(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377614
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】クロストーク環境におけるロバストハンドシェーク手順
(51)【国際特許分類】
H04B 3/32 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
H04B3/32
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-527628(P2015-527628)
(86)(22)【出願日】2013年8月15日
(65)【公表番号】特表2015-529414(P2015-529414A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】US2013055089
(87)【国際公開番号】WO2014028705
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年5月24日
【審判番号】不服2017-4052(P2017-4052/J1)
【審判請求日】2017年3月21日
(31)【優先権主張番号】61/683,611
(32)【優先日】2012年8月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506009350
【氏名又は名称】イカノス・コミュニケーションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IKANOS COMMUNICATIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、ムルリ・モハン
【合議体】
【審判長】
中木 努
【審判官】
松永 稔
【審判官】
北岡 浩
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第7180936(US,B1)
【文献】
米国特許第6952442(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0270038(US,A1)
【文献】
特開2007−067761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04B 3/00-3/44, H04B 3/50-3/60, H04L 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
第1のトランシーバと第2のトランシーバとの間で、複数のハンドシェークメッセージを含むハンドシェークフェーズを開始することと、
前記第1のトランシーバにおいて、前記第1のトランシーバに一意的に関係付けられている一意的な識別子(ID)を発生させることと、
前記ハンドシェークメッセージのうちの1つを使用して、前記第1のトランシーバから前記第2のトランシーバに対して、前記第1のトランシーバに一意的に関係付けられている一意的なIDを送信することと、
前記第1のトランシーバにおいて、後続するハンドシェークメッセージを受信することと、
前記受信した後続するハンドシェークメッセージが、前記第1のトランシーバに一意的に関係付けられている一意的なIDを含まない場合に、前記第1のトランシーバにおいて、前記ハンドシェークフェーズを中止することとを含み、
前記第1のトランシーバに一意的に関係付けられている一意的なIDと前記第2のトランシーバに一意的に関係付けられている一意的なIDとは異なる方法。
【請求項2】
前記複数のハンドシェークメッセージのうちの少なくとも1つは、G.994.1ハンドシェーク(g.hs)メッセージを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数のハンドシェークメッセージのうちの少なくとも1つは、モード要求/能力リストおよび要求(MR/CLR)g.hsメッセージを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記複数のハンドシェークメッセージのうちの少なくとも1つは、モード選択/能力リスト(MS/CL)g.hsメッセージを含む請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記受信した後続するハンドシェークメッセージは、MS/CLg.hsメッセージを含む請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記受信した後続するハンドシェークメッセージは、肯定応答(ACK)g.hsメッセージを含む請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記1つのハンドシェークメッセージは、前記一意的なIDに対するフィールドを含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記一意的なIDは、16ビット数を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記一意的なIDを発生させることは、乱数を発生させることを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記第2のトランシーバにおいて、前記第2のトランシーバに関係付けられている第2の一意的なIDを発生させることと、
前記ハンドシェークメッセージのうちの別の1つを使用して、前記第2のトランシーバから前記第1のトランシーバに対して、前記第2の一意的なIDを送信することと、
前記第2のトランシーバにおいて、後続するハンドシェークメッセージを受信することと、
前記受信した後続するハンドシェークメッセージが前記第2の一意的なIDを含まない場合に、前記第2のトランシーバにおいて、前記ハンドシェークフェーズを中止することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ハンドシェークフェーズが中止されなかった場合に、G.ベクトル初期化のO−シグニチャフェーズに進行することと、
前記O−シグニチャフェーズの間に、前記第1のトランシーバから前記第2のトランシーバに対して、前記第1のトランシーバに関係付けられている一意的なIDを送信することと、
前記O−シグニチャフェーズの間に送信された一意的なIDが、前記ハンドシェークフェーズの間に送信された一意的なIDに一致しない場合に、前記第2のトランシーバにおいて、前記O−シグニチャフェーズを中止することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
通信デバイスにおいて、
プロセッサと、
前記プロセッサと電子通信するメモリと、
前記メモリ中に記憶されている命令とを具備し、
前記命令は、前記通信デバイスに、
複数のハンドシェークメッセージを含む、遠隔トランシーバとのハンドシェークフェーズを開始させ、
前記通信デバイスに一意的に関係付けられている一意的な識別子(ID)を発生させ、
前記ハンドシェークメッセージのうちの1つを使用させて、前記通信デバイスに一意的に関係付けられている一意的なIDを、前記遠隔トランシーバに対して送信させ、
後続するハンドシェークメッセージを受信させ、
少なくとも1つの前記受信させた後続するハンドシェークメッセージが、前記通信デバイスに一意的に関係付けられている一意的なIDを含まない場合に、前記ハンドシェークフェーズを中止させるように前記プロセッサによって実行可能であり、
前記通信デバイスに一意的に関係付けられている一意的なIDと前記遠隔トランシーバに一意的に関係付けられている一意的なIDとは異なる通信デバイス。
【請求項13】
前記複数のハンドシェークメッセージのうちの少なくとも1つは、G.994.1ハンドシェーク(g.hs)メッセージを含む請求項12記載の通信デバイス。
【請求項14】
前記複数のハンドシェークメッセージのうちの少なくとも1つは、モード要求/能力リストおよび要求(MR/CLR)g.hsメッセージを含む請求項13記載の通信デバイス。
【請求項15】
前記複数のハンドシェークメッセージのうちの少なくとも1つは、モード選択/能力リスト(MS/CL)g.hsメッセージを含む請求項13記載の通信デバイス。
【請求項16】
前記受信させた後続するハンドシェークメッセージは、MS/CLg.hsメッセージを含む請求項13記載の通信デバイス。
【請求項17】
前記受信させた後続するハンドシェークメッセージは、肯定応答(ACK)g.hsメッセージを含む請求項13記載の通信デバイス。
【請求項18】
前記1つのハンドシェークメッセージは、前記一意的なIDに対するフィールドを含む請求項12記載の通信デバイス。
【請求項19】
前記一意的なIDを発生させることは、乱数を発生させることを含む請求項12記載の通信デバイス。
【請求項20】
前記命令はさらに、前記プロセッサに、
前記ハンドシェークフェーズが中止されなかった場合に、G.ベクトル初期化のO−シグニチャフェーズに進行させ、
前記O−シグニチャフェーズの間に、前記一意的なIDを、前記遠隔トランシーバに対して送信させ、
前記O−シグニチャフェーズの間に送信された一意的なIDが、前記ハンドシェークフェーズの間に送信された一意的なIDに一致しない場合に、前記O−シグニチャフェーズの前記遠隔トランシーバにおける中止の表示を受信させる請求項12記載の通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]
本出願は、2012年8月15日に出願された米国仮出願番号61/683,611号に対して優先権を主張する。その仮出願の内容は、その全体が参照によってここに組み込まれている。
【0002】
[0002]
本発明は概して通信に関連しており、さらに詳細には、xDSL通信システムにおけるトランシーバのトレーニングに関連している。
【0003】
[0003]
DSLトランシーバが能力情報を交換して共通の動作モードを選択するための柔軟なメカニズムをG.994.1は提供する。しかしながら、1つの接続がクロストークチャネルを介している高クロストーク環境において、1つの遠隔トランシーバに対して2つ以上のトランシーバがトレーニングアップするのを防ぐ能力をG.994.1は欠いている。
【0004】
[0004]
例えば、非常に多くの場合、1つのトランシーバが遠隔トランシーバに対してダイレクトチャネル上でトレーニングアップする一方で、別のトランシーバが同一の遠隔トランシーバに対してFEXTチャネル上でトレーニングアップする。このFEXTチャネルトランシーバは非常に多くの場合、アクティブ化に失敗する前に、ハンドシェークや、チャネル発見のいくつかのフェーズを通過する。この誤ったトレーニングは、ベクトル化VDSL2(G.ベクトル)システムに対して非常に問題であることがあり、また、他のラインに再トレーニングさせることもある。
【0005】
[0005]
例えば、ベクトル化VDSL2において、ハンドシェークセッションの後に、1つのVTU−O(すなわち、中央オフィス(CO)ベースのVDSL2モデム)が2つのVTU−R(すなわち、カスタマー構内位置ベースのモデム(CPE))との接続を同時に確立することが観測されている。この事象において、例として、ラインのCPE側における2つのモデムがこのラインのCO側における単一のモデムと初期化しようとする可能性がある。通常の動作条件、特にベクトリングなしのVDSL動作の下では、ダイレクトチャネル上のCPEモデムは初期化のトレーニングフェーズの間に(望ましくは)著しくより良好なSNRを観測し、クロストークチャネルを通したCPEモデムはかなり悪いSNRを観測してやがては初期化を中止するであろう。しかしながら、この事象がベクトル化VDSL2システムにおいて生じる場合、新たなラインが加わろうとして、クロストークパスを介した第2のラインもまたベクトル化グループに加わろうとしているときに、チャネル行列の更新においていくつかの問題が生じることがある。これは
図1において説明している状況である。
【0006】
[0006]
図1において示されているように、ショータイムにおいて、ベクトル化グループ102において動作する(CO側DSLAM110中のVTU−O#1からVTU−O#3によって表される)多数のラインが存在し、ベクトル化グループ内のクロストークは、CO中のVCEによって消去されている。さらに示されているように、CPEモデムVTU−R#J1 106に関係付けられているライン#J1は、ベクトル化グループ102に加わることを望む。しかしながら、ハンドシェークの間に、VTU−O#J1と通信している2つのCPEモデム、所望のVTU−R#J1 106と、クロストーク結合パスを介した別のモデムVTU−R#J1F 104とが存在する。ハンドシェークの間、両方のCPEデバイスがVTU−O#J1との通信を確立して初期化フェーズに入ることが可能である。チャネル発見フェーズの間に、ダウンストリーム方向においてO−シグニチャメッセージを介してパイロットシーケンスが通信され、アップストリームベクトリングがイネーブルされる場合、トレーニングシーケンスR−P−ベクトル1中で、アップストリーム方向において、アップストリームチャネルに対するパイロットシーケンスが適用のためにCPEに通信されるであろう。このケースでは、2つのCPEモデムがチャネル発見の間に、R−P−ベクトル1中で同一のパイロットシーケンスアップストリームを送信しているであろう。アップストリーム方向でのクロストークチャネル行列の更新において、2つのモデムが同一のパイロットシーケンスを送信しているという事実は混同を生じさせることがある。トレーニングフェーズになって初めてSNR測定が行われ、悪いSNR読取が原因で1つのラインが切断されることがあるが、このときまで、アップストリームクロストークチャネル行列に対して、何らかの潜在的な害が与えられているかもしれない。
【0007】
[0007]
たとえダイレクトチャネルとは逆にクロストークチャネルを介して接続が確立されるとしても、ハンドシェークから外れた後の接続がただ1つのモデムペアによって行われ、1つより多くのラインにわたって1つのパイロットシーケンスが適用されるのを回避することが、強く望まれる。
【発明の概要】
【0008】
[0008]
本発明の実施形態は、FEXTチャネル上でトレーニングしようと試行するトランシーバをハンドシェークフェーズの間に分離して誤ったアクティブ化を中止するための、ロバストなメカニズムを提供する。本発明の態様にしたがうと、ハンドシェークフェーズの間に、いずれかまたは両方のトランシーバがもう一方のトランシーバの一意的な識別子に肯定応答する。このことによって、確実に、トレーニングおよびそれ以降もただ1つの他の遠隔トランシーバとともにトランシーバは進行する。ある追加の態様にしたがうと、1つの遠隔トランシーバに対して複数のトランシーバがアクティブ化しようとするという長年の問題をこのプロトコルは取り扱う。G.ベクトルシステムに関して、このことはある利点を提供することができる。現在、このようなプロトコルなしでは、両方のトランシーバがチャネル発見/トレーニングに進行するかもしれず、実際のおよびクロストークのチャネルトランシーバからのFEXT寄与が識別できなくなる。このことは、準最適性能:より低いSNR、CRC、およびライン再トレーニングへとつながるかもしれない。本発明は、とりわけこの問題を取り扱う。
【0009】
[0009]
これらのおよび他の態様にしたがうと、本発明の実施形態にしたがったFEXTチャネル上でトレーニングするトランシーバを識別するための方法は、第1のトランシーバと第2のトランシーバとの間での複数のハンドシェークメッセージを含むハンドシェークフェーズを開始することと、第1のトランシーバにおいて一意的なIDを発生させることと、ハンドシェークメッセージのうちの1つを使用して、第1のトランシーバから第2のトランシーバに一意的なIDを送信することと、ハンドシェークメッセージのうちの、ID値を含む異なる1つを受信することと、受信したID値が一意的なIDと一致しない場合に、ハンドシェークフェーズを中止することとを含んでいる。最終の確認のために、O−シグニチャメッセージの間にも、一意的なチャネルを通してIDを通信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010]
本発明の特定の実施形態の以下の記述を、付随する図面とともにレビューするとき、本発明のこれらの態様および特徴、ならびに、他の態様および特徴が、当業者に明白となろう。
【
図1】[0011]
図1は、既存のVDSLシステムにおけるいくつかの問題を図示しているダイヤグラムである。
【
図2】[0012]
図2は、本発明の実施形態にしたがった、ハンドシェーク手順のための例示的な方法を図示しているフローチャートである。
【
図3】[0013]
図3は、本発明の実施形態にしたがった、ハンドシェーク手順の例示的なインプリメンテーションを図示しているダイヤグラムである。
【0011】
[0014]
当業者が発明を実施できるように、発明の実例となる例として提供している図面を参照して、本発明をここで詳細に説明する。特に、以下の図面および例は本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意味しているのではなく、説明または図示した要素のうちのいくつかまたはすべての交換によって他の実施形態が可能である。さらに、本発明のある要素を既知のコンポーネントを使用して部分的にまたは完全に実現できる場合、このような既知のコンポーネントのうちの、本発明の理解のために必要である部分のみを説明し、発明を曖昧にしないように、このような既知のコンポーネントのうちの他の部分の詳細な説明は省略する。ソフトウェア中で実現するとして説明する実施形態はそれに限定すべきではなく、ここでそうでないと特定しない限りは、当業者に明白となるようにハードウェア中、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現する実施形態も含むことができ、逆もまた同じである。本明細書において、単数のコンポーネントを示す実施形態は限定的であると見なされるべきでなく、むしろ、ここでそうでないと明示的に示さない限りは、複数の同一のコンポーネントを含む他の実施形態を発明が含んでいるように意図しており、逆もまた同じである。さらに、明示的にそうであるとして述べていない限り、明細書または特許請求の範囲中の任意の用語が一般的でない意味または特別な意味に帰するようには出願人は意図していない。さらに、ここで実例として言及している既知のコンポーネントに対する現在および将来の既知の均等物を本発明は含んでいる。
【0012】
[0015]
ある態様にしたがうと、1つのトランシーバが一意的に遠隔トランシーバを識別することを可能にするロバストなプロトコルを本発明は提供する。このことによって、確実に、トレーニングおよびそれ以降もただ1つの他の遠隔トランシーバとともにトランシーバは進行する。したがって、例えば、トランシーバの識別子が予期した識別子と一致しないとき、最終的にクロストークチャネルを介してアクティブ化することになる任意のトランシーバを、ハンドシェーク初期に検出することができる。
【0013】
[0016]
図2は、本発明の実施形態にしたがった、例示的な方法論を図示しているフローチャートである。
【0014】
[0017]
図2の例において、ラインがベクトル化グループに加わることを要求する(ステップS202)ときに、プロセスは開始する。例えば、CPEモデムを電源投入または再始動するときのように、新たなCPEモデムがオンラインになった後に、このことは生じうる。
【0015】
[0018]
G.993.2の、標準化されたベクトル化DSLプロトコルにしたがうと、新たなラインがベクトル化グループに加わることを要求するプロセスのかなり初期に、G.994.1によって特定されるようなハンドシェーク手順が開始される(ステップS204)。例えば、CPEモデムと同一のラインにアタッチされているCOモデムによって、このハンドシェーク手順が開始される。
【0016】
[0019]
本発明の態様にしたがうと、ステップS206において示されているステップのような追加のステップによって、従来のハンドシェーク手順を補足する。ハンドシェークの間に、CO側モデムとCPE側モデム(すなわち、xTU−RまたはxTU−C)のうちの1つまたは両方が、一意的なIDを発生させてもう一方のモデムに送信する。実施形態において、一意的なIDは、例えば擬似乱数発生器によって発生される16ビット(すなわち、2バイト)数であってもよい。しかしながら、何らかの特定の長さ、または、何らかの特定の発生技術に、本発明が制限されるものではない。好ましくは、ID発生技術および長さは、特定の時間フレームおよび環境において誤った重複のかなり低い可能性をもたらすべきであり、これは当業者によって決定および確立することができる。
【0017】
[0020]
次に、ステップS208において、後続するハンドシェークメッセージをモデムは交換する。ステップS210において、もう一方のモデムによるそれらのIDの肯定応答を後続するハンドシェークメッセージが含んでいるか否かを、一意的なIDを送信したモデムが決定する。言い換えれば、それらの一意的なIDをもう一方のモデムに送信した後に、モデムによって送信したのと同一の一意的なIDを、もう一方のモデムからの後続するハンドシェークメッセージが含むべきである(すなわち、もう一方のモデムによって一意的なIDが肯定応答される)。
【0018】
[0021]
ステップS206において一意的なIDを送信したモデムが、送信したIDの肯定応答を受信しない場合、または、送信したIDと同一でないIDを後続するメッセージが含んでいる場合、ステップS214において、送信モデムによってハンドシェークシーケンスは中止される。そうでないならば、正常として完了されるまでハンドシェーク手順は継続し、その後、トレーニングのような後続する手順が始められる。
【0019】
[0022]
図3は、本発明の実施形態にしたがった、ロバストなハンドシェーク手順の例示的なインプリメンテーションを図示している。
【0020】
[0023]
図3に示されているように、トランシーバXTU−C−1およびトランシーバXTU−R−1によって終端するライン、または、トランシーバXTU−C−2およびトランシーバXTU−R−2によって終端するラインのいずれかが、有効なハンドシェーク手順を開始しようと試行しているのに対して、もう一方のラインの任意のトランシーバがクロストークチャネルを介して傍受しようと試行している。
【0021】
[0024]
この例においては、G.994.1の既存のg.hsメッセージに新たなフィールドを追加することによって、本発明のハンドシェーク手順は実現される。1つの例示的な実施形態では、
図3において示されているように、ハンドシェークの間に以下の手順が追加され、アップストリームおよびダウンストリームの両方において遠隔トランシーバの曖昧性を除去している。
【表1】
【0022】
[0025]
1つの例において、xtur_idおよびxtuc_idは16ビット乱数である。しかしながら、この例は限定的ではない。
【0023】
[0026]
図3において示しているように、上記のメカニズムを使用して、クロストークチャネルを介して‘傍受’しているxTU−RまたはxTU−Cトランシーバのいずれかが、遠隔トランシーバが他の誰かと話していることを初期に認識することができ、ラインアクティブ化を中止することができる。特に、
図3の例では、本発明にしたがってクロストークチャネルを介してxTU−R−1から受信したg.hsACKメッセージ中のxtuc_id値が、x−TU−C−2自身の一意的なxtuc_id値に一致しない場合に、x−TU−C−2はハンドシェーク手順を中止できる。
【0024】
[0027]
上記の実施形態の任意のものにおいて付加的または代替的に、アップストリームパイロットシーケンスを送信するより前に、一意的な通信リンクの付加的または最終の検証のために、G.ベクトルのO−シグニチャメッセージ中で、トランシーバ間で一意的なIDを通信してもよい。
【0025】
[0028]
特に本発明の好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更および修正をしてもよいことは、当業者にとって容易に明白となるはずである。添付した特許請求の範囲は、このような変更および修正を含むことを意図されている。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]FEXTチャネル上でトレーニングするトランシーバを識別するための方法において、
第1のトランシーバと第2のトランシーバとの間での複数のハンドシェークメッセージを含むハンドシェークフェーズを開始することと、
前記第1のトランシーバにおいて、一意的なIDを発生させることと、
前記ハンドシェークメッセージのうちの1つを使用して、前記第1のトランシーバから前記第2のトランシーバに前記一意的なIDを送信することと、
前記第1のトランシーバにおいて、後続するハンドシェークメッセージを受信することと、
前記受信した後続するハンドシェークメッセージが前記一意的なIDを含まない場合に、前記第1のトランシーバにおいて、前記ハンドシェークフェーズを中止することとを含む方法。
[2]前記複数のハンドシェークメッセージは、G.994.1g.hsメッセージを含む[1]記載の方法。
[3]前記1つのハンドシェークメッセージは、MR/CLRg.hsメッセージを含む[2]記載の方法。
[4]前記1つのハンドシェークメッセージは、MS/CLg.hsメッセージを含む[2]記載の方法。
[5]前記受信した後続するハンドシェークメッセージは、MS/CLg.hsメッセージを含む[2]記載の方法。
[6]前記受信した後続するハンドシェークメッセージは、ACKg.hsメッセージを含む[2]記載の方法。
[7]前記1つのハンドシェークメッセージは、前記一意的なIDに対するフィールドを含む[1]記載の方法。
[8]前記一意的なIDは、16ビット数を含む[1]記載の方法。
[9]前記一意的なIDを発生させることは、乱数を発生させることを含む[1]記載の方法。
[10]前記第2のトランシーバにおいて、第2の一意的なIDを発生させることと、
前記ハンドシェークメッセージのうちの別の1つを使用して、前記第2のトランシーバから前記第1のトランシーバに前記第2の一意的なIDを送信することと、
前記第2のトランシーバにおいて、後続するハンドシェークメッセージを受信することと、
前記受信した後続するハンドシェークメッセージが前記第2の一意的なIDを含まない場合に、前記第2のトランシーバにおいて、前記ハンドシェークフェーズを中止することとをさらに含む[1]記載の方法。
[11]前記ハンドシェークフェーズが中止されなかった場合に、G.ベクトル初期化のO−シグニチャフェーズに進行することと、
前記O−シグニチャフェーズの間に、前記第1のトランシーバから前記第2のトランシーバに前記一意的なIDを送信することと、
前記ハンドシェークフェーズの間に送信された前記一意的なIDに前記一意的なIDが一致しない場合に、前記第2のトランシーバにおいて、前記O−シグニチャフェーズを中止することとをさらに含む[1]記載の方法。