特許第6377637号(P6377637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377637
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】バッテリ充電管理
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20180813BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180813BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20180813BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20180813BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20180813BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H02J7/10 B
   H02J7/00 P
   H02J7/10 H
   B60L3/00 S
   B60L11/18 C
   H01M10/44 A
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-553148(P2015-553148)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公表番号】特表2016-510585(P2016-510585A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】FR2014050079
(87)【国際公開番号】WO2014111659
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】1350408
(32)【優先日】2013年1月17日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドロベル, ブリュノ
(72)【発明者】
【氏名】サン−マルクー, アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジロー, マルク−アンリ
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−205418(JP,A)
【文献】 特開平10−214643(JP,A)
【文献】 特開2012−023836(JP,A)
【文献】 特開2003−153436(JP,A)
【文献】 特開平01−160325(JP,A)
【文献】 特開平02−119539(JP,A)
【文献】 特開平06−078471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ充電管理方法であって、
増大する電圧で高速充電段階を制御し、次いで
第1の電圧値で規制された低下する電流で吸収段階を制御することを含み、
高速充電段階は、バッテリ電極間の電圧値が第1の電圧値よりも厳密に大きい第2の電圧値に到達するまで、制御され、
吸収段階の少なくとも一部において、
電力プロファイル又は電流プロファイルを適用することを含み、前記電力プロファイル又は電流プロファイルはバッテリのモデリングに基づいて決定され
高速充電段階において、バッテリ電極間の電圧値が第1の電圧値未満である間は充電用電力を一定に保持し、次いで、バッテリ電極間の電圧が第2の電圧値に到達するまでは前記電力プロファイルを適用することを特徴とする、方法。
【請求項2】
吸収段階の少なくとも一部において、バッテリ電極間の電圧が一定に保持される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
第1の電圧値は、バッテリの所望の充電済み容量及び/又はエネルギーに対応する、制限電圧値に等しい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数の指令を含むコンピュータプログラム製品であって、これらの指令は、プロセッサによって実行されると請求項1からの何れか一項に記載の方法のステップを実行する、コンピュータプログラム製品。
【請求項5】
自動車両のバッテリ充電管理のためのデバイス(13)であって、
バッテリ電極間で測定された電圧値を受信する手段、並びに
増大する電圧で高速充電段階を制御し、次いで、第1の電圧値で規制された低下する電流で吸収段階を制御するように構成された、処理手段であって、これら処理手段は、受信されたバッテリ電極間の電圧値が第1の電圧値を上回る第2の電圧値に到達するまで、高速充電段階を制御するように設定される、処理手段を備え、
吸収段階の少なくとも一部において、
前記デバイスは、電力プロファイル又は電流プロファイルを適用し、前記電力プロファイル又は電流プロファイルはバッテリのモデリングに基づいて決定され
高速充電段階において、バッテリ電極間の電圧値が第1の電圧値未満である間は充電用電力を一定に保持し、次いで、バッテリ電極間の電圧が第2の電圧値に到達するまでは前記電力プロファイルを適用する、
デバイス。
【請求項6】
バッテリ充電手段と請求項に記載の管理デバイスとを備える、自動車両バッテリ充電管理システム。
【請求項7】
駆動バッテリと、請求項に記載の管理デバイスとを備える、自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリ充電管理に関し、特に、電気自動車やハイブリッド車のバッテリ充電管理に関する。
【0002】
バッテリの充電時間は、電気自動車か他のタイプの車両かという消費者の選択を左右することがある。充電プロセスのスピードアップのためにバッテリを比較的高電圧で充電することが可能であるが、これによりバッテリが劣化し寿命が縮む可能性がある。
【0003】
従って、一般的に、バッテリの充電時間と寿命との間に妥協点を見出すことが課題となる。
【0004】
例えば、文献WO2011122946による既知の解決策は、下記の2つの段階(phase)でバッテリ充電を管理することである。
バッテリ電極間の電圧は、所望の容量又は所望の充電済みエネルギーに対応するのに必要な制限電圧値に到達するまで上昇する、高速充電(「ブースト(boost)」と称される)段階。この第1の段階中、バッテリは、例えば定電流で充電され得る。
バッテリ電極間の電圧は、この制限電圧値付近で比較的一定に維持される、吸収(absorption)段階。この第2の段階中、充電用電流が時間と共に低減するように、電圧は例えばこの制限値付近で維持され得る。定電流を印加することも意図され、制限電圧値に到達すると、この電流は所与の係数、例えば0.8で低減され得る。これは「マルチステップ充電」と称される。
【0005】
充電速度対バッテリ寿命の妥協という観点で、より高パフォーマンスのバッテリ充電工程に対する需要がある。
【0006】
自動車両のバッテリ充電管理のための方法が提供され、この方法は例えば、
増大する電圧で高速充電段階を制御し、次いで
第1の電圧値で規制された低下する電流で、吸収段階を制御すること
を含む。
【0007】
高速充電段階は、バッテリ電極間の電圧が第1の電圧値よりも厳密に大きい第2の電圧値に到達するまで、制御される。
【0008】
従って、所望の充電容量及び/又はエネルギーに対応する電圧よりも高い、高速充電段階を停止するための電圧が用いられる。これにより、高速充電段階を長引かせることが可能となり、実際に、この段階は、充電されたエネルギー/容量と充電時間とのレートが最高である段階である。
【0009】
更に、比較的高電圧下で経過する時間は比較的短く、これによりバッテリに一定の持続性が担保される。
【0010】
有利には、第1の電圧値は、このバッテリの所定の最大電圧に対応する。
【0011】
従って、高速充電段階中、バッテリは、このバッテリに対応する所定の値を超えて充電される。
【0012】
実際にはこの制限値はバッテリの寿命内で変化(例えば4.08ボルト〜4.126ボルトへと変化)する可能性があるので、上記に記載の方法により充電の不必要な制限を回避することが可能ではあるが、バッテリはより高い電力を損傷なく吸収する能力がある。
【0013】
バッテリは、例えば電気自動車及び/又はハイブリッド車のバッテリ、例えばこれら種類の車両用の駆動バッテリであり得る。
【0014】
本発明は、高速充電段階が行われる方式には全く限定されない。
【0015】
例えば、この高速充電段階は、この段階中すべてに亘り、或いはこの段階の一部のみにおいて、充電用電流が一定であるように制御されてもよい。別の実施形態では、この高速充電段階が、高速充電段階中すべてに亘り、或いはこの段階の一部のみにおいて、充電用電力が一定であるように制御されてもよい。
【0016】
本発明はまた、吸収段階が適用される方式によって、具体的には電圧が第1の電圧値で規制される方式によっても、限定されない。
【0017】
具体的には、電圧は、例えば低下する値で順序づけられた一連の電圧の組で、或いは、例えば第1の電圧値及び第2の電圧値などの、幾つかの電圧値で規制され得る。
【0018】
吸収段階は、高速充電段階の終端、換言すれば、バッテリ電極間の電圧が第2の電圧値に到達したことを検知するとすぐに、或いはその後で行われてもよい。
【0019】
例えば、バッテリ電極間の電圧値が第2の電圧値に到達したという事実の検知に続き、所定の期間又はその他の期間、この電圧値に等しい定電圧での充電がなされ得る。
【0020】
一実施形態で、吸収段階中、電圧は一定である。この電圧は、例えば、このバッテリに対応する制限電圧値に等しくてもよく、或いは一又は複数の他の値に等しくてもよい。
【0021】
例えば、第2の電圧値に等しい定電圧が所定の期間印加され、次いで、第1の電圧値に等しい定電圧が印加され得る。
【0022】
別の実施形態では、吸収段階の少なくとも一部において、
(a)一定の充電用電流又は一定の充電用電力を印加すること、
(b)バッテリ電極間の電圧値を閾値と比較すること、
(c)バッテリ電極間の電圧値が前記閾値に到達する或いは前記閾値を上回る場合、充電用電流値又は充電用電力値をそれぞれ低下させること、及び
(d)ステップ(a)から(d)を反復することを含む。

電圧が、目標値(例えば第1の電圧値)を下回っている間、一定の充電用電流又は一定の充電用電力が印加され得る。バッテリ電極間の電圧が第1の値に到達するとすぐに、充電用電力又は充電用電流の値は減少され、例えば、印加された電圧値又は電力値に1未満の値(例えば0.8又はそれ未満の値)の係数が適用される。このように、バッテリ電極間の電圧を第1の電圧値で規制するステップによって調整がなされる。
【0023】
別の実施形態では、電圧を目標値(例えば第1の電圧値)にするために、電力プロファイルが適用されてもよい。この電力プロファイルは、例えば、バッテリのモデリングに基づいて決定されてもよい。
【0024】
当然ながら、この電圧を第2の電圧値から第1の電圧値にすることのできる、バッテリ電極間の電圧を制御するための様々な方策が組み合わせられ得る。例えば、第2の電圧値に等しい値にある定電圧が、所定の期間印加され、次いで、電力プロファイルが適用され得る。
【0025】
本発明はまた、高速充電段階及び吸収段階を制御する方式によっても、限定されない。例えば、制御信号の生成、並びに、バッテリと電源(例えば充電ターミナル、送電線、交流発電機又は他のソースなど)との間の電気接続手段への、生成された信号の送信が、提供され得る。
【0026】
更に、上記に記載の方法のステップを実施するための指令を含むコンピュータプログラム製品が提供され、これらの指令は、信号のデジタル処理手段(例えばプロセッサ)によって実行される。このコンピュータプログラムは、ハードディスクに記憶されるかダウンロードされてもよい。
【0027】
更に、自動車両のバッテリ充電管理のためのデバイスが提供され、このデバイスは、下記を備える。
バッテリ電極間で測定された電圧値を受信する手段。
増大する電圧で高速充電段階を制御し、次いで、第1の電圧値で規制された低下する電流で吸収段階を制御するように構成された、処理手段であって、これら処理手段は、受信されたバッテリ電極間の電圧値が第1の電圧値を上回る第2の電圧値に到達するまで、高速充電段階を制御するように設定される、処理手段。
【0028】
このデバイスは、例えば、一又は複数のプロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他のデバイス)を備えるかこれらに組み込まれ得る。
【0029】
このデバイスは、車両(例えば、バッテリ管理システムもしくはBMS又はその他)に組み込まれ得る。例えば、上記に記載のデバイスが電気自動車用の充電ターミナルに組み込まれてもよい。
【0030】
受信手段は例えば、入力コネクタ、入力ポート又はその他の手段を含み得る。処理手段は、例えば中央処理装置(即ちCPU)を含み得る。
【0031】
更に、上記に記載の充電管理デバイスと共に、バッテリ充電手段及び/又はバッテリそのものを備える、自動車両用バッテリシステムが提供される。これらの充電手段は、例えば、充電ターミナル、交流発電機又は他の手段を含み得る。
【0032】
更に、上記に記載のシステム及び/又はデバイスを備えた車両(例えば電気自動車及び/又はハイブリッド車)が提供される。
【0033】
非限定的な実施形態を示す下記図面を参照することによって、本発明はより深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態による、自動車両用バッテリ充電システムの一例を示す。
図2A】本発明の実施形態による第1の例示的方法が適用された場合の、バッテリセルの電極間の電圧を時間の関数として示すグラフである。
図2B】第1の例示的方法を適用中の、充電用電力を充電時間の関数としてkWで示すグラフである。
図3A】本発明の実施形態による第2の例示的方法が適用された場合の、バッテリセルの電極間の電圧を時間の関数として示すグラフである。
図3B】第2の例示的方法を適用中の、充電用電力を充電時間の関数としてkWで示すグラフである。
図4A】本発明の実施形態による第3の例示的方法が適用された場合の、バッテリセルの電極間の電圧を時間の関数として示すグラフである。
図4B】第3の例示的方法を適用中の、充電用電力を充電時間の関数としてkWで示すグラフである。
図5A】本発明の実施形態による第4の例示的方法が適用された場合の、バッテリセルの電極間の電圧を時間の関数として示すグラフである。
図5B】第4の例示的方法を適用中の、充電用電力を充電時間の関数としてkWで示すグラフである。
図6A】本発明の実施形態による第5の例示的方法が適用された場合の、バッテリセルの電極間の電圧を時間の関数として示すグラフである。
図6B】第5の例示的方法を適用中の、充電用電力を充電時間の関数としてkWで示すグラフである。
図7A】本発明の実施形態による第6の例示的方法が適用された場合の、バッテリセルの電極間の電圧を時間の関数として示すグラフである。
図7B】第6の例示的方法を適用中の、充電用電力を充電時間の関数としてkWで示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、電気式自動車両10は、給電線に接続された充電ターミナル12を用いて再充電可能な、駆動バッテリ11を備える。
【0036】
バッテリ11は、例えばリチウムイオンバッテリであり得る。
【0037】
ターミナル12は、例えば、車両10のバッテリ11にDC電流を供給する高速充電ターミナルであり得る。
【0038】
このターミナル12は、充電管理デバイス13(例えばプロセッサ)を組み込み得る。このプロセッサは、例えば、自動車両10のセンサ(図示せず)と電気的に通信する入力プラグなどの受信手段(図示せず)を備える。従って、これらのセンサから来る測定値は、充電ケーブル14を経由して通過し、プロセッサ13によって受信される。具体的には、プロセッサ13がバッテリ11の電極間の電圧の測定値を受信し得る。より一般的には、充電用電流及び電圧の制御に必要な情報は、車両10によって、充電ケーブル14を通じて充電器へと送信される。従って、高速充電ターミナル12は車両10と通信し、これにより、エネルギーの分配を最適な安全条件下でその車両に適合させることが可能となる。
【0039】
具体的には、プロセッサ13がバッテリ11の電極間の電圧値を受信し得る。より高速の充電を獲得するために、プロセッサ13は、
定電力を用いる第1の段階であって、バッテリ11の電極間の電圧が増大し、充電用電力の値は外気温の関数であり得、例えばチャートが用いられてもよい、第1の段階、及び
定電圧を用いる第2の段階であって、例えばバッテリの充電が安定化される、第2の段階
によって、充電を行い得る。
【0040】
バッテリの充電時間を減らすために、増大する電圧での高速充電段階が、バッテリ11の電極間の電圧が所望の容量に対応するのに要する制限電圧値を上回る電圧値に到達するまで、増大する電圧で延長される。
【0041】
例えば、バッテリは4.08ボルト制限電圧値を有し得、この充電段階は、バッテリ電極間の電圧値が4.1ボルト、或いは4.126ボルトに到達するまで継続される。
【0042】
図2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5Bは、外気温が25°Cに等しい場合の様々な方策を示す。一方、図6A、6B、7A及び7Bにおける値は、15°Cの外気温において測定された。
【0043】
図2Aを参照すると、高速充電段階は約t=32分まで続き、換言すれば、バッテリ電極間の電圧が4.126ボルトの値となるまで続く。続いて、4.08ボルトにおける定電圧値を用いた充電が行われる。
【0044】
従って、バッテリ電極間の電圧値はこの目標値に到達するまで速やかに下落し、充電は約t=79分まで続く。
【0045】
電圧が4.08ボルトに到達するまで定電流が印加され、次いでこの電圧が4.08ボルトで維持される場合、バッテリ充電に要するのは約81分であるので、ここで適用される方法は有利である。
【0046】
図3A及び3Bは別の方策を示し、ここで、バッテリ電極間の電圧が4.1ボルトに到達する高速充電段階の後、この電圧はこの4.1ボルトの値で10分間保持され、次いで、4.08ボルトの電圧が印加される。図3Bもまた、充電時間が80分未満であることを示す。
【0047】
図4A及び4Bは、第3の方策に対応し、ここで、バッテリ電極間の電圧が4.1ボルトに到達するまでの高速充電段階の後、4.1ボルトの電圧が5分間、次いで、電圧が目標値に到達するたびに更新された値を伴う電力レベルが印加され、この目標値は、4.08ボルトの値に到達するまで漸進的に減少する。
【0048】
t=約33分周辺から適用され始めるこの電力プロファイルは、バッテリのモデリングに基づいて取得され得る。
【0049】
例えば、印加される充電用電力とバッテリ電極間の現在の電圧とを知ることにより、次のサンプリング時間におけるバッテリ電極間の電圧を知ることが可能である。
【0050】
このバッテリモデリングを用いて、所定の期間の終端で4.08ボルトの電圧に到達するために各サンプリングステップにおいて印加される電力が、算出され得る。
【0051】
この方策が採られる場合もまた、充電時間は80分未満である。
【0052】
図5A及び5Bは別の実施形態を示し、ここで、高速充電段階中、バッテリは電極間の電圧が4.126ボルトに到達するまで充電され、バッテリのモデリングに基づいて決定された電力プロファイルは、直接的に適用される。換言すれば、目標電圧は、4.08ボルトに到達する前に、充電と共に漸進的に変動する。この方策は、充電時間が約75分のみであるので比較的有利である。
【0053】
気温がより低い場合、時間における利得はさらに大きくなり得る。
【0054】
例えば、15°Cの外気温において従来技術による既知の方法が適用された場合、高速充電段階中には4.08ボルトの電圧に到達するまでバッテリが定電流で充電され、次いで、バッテリ電極間の電圧が4.08ボルトに到達すると、充電は4.08ボルトに等しい定電圧で実施され、この場合充電時間は約103分である。
【0055】
ステップ式の充電方法が適用される場合、換言すれば、バッテリ電極間の電圧が4.08ボルト未満である間は充電が定電流で実施され、次いでバッテリ電極間の電圧が4.08ボルトに到達すると充電用電流の値が、例えば0.8又は0.9の係数を適用することにより減少される場合、充電時間は113分に近い。
【0056】
外気温が15°Cであって、下記の充電方式が、
バッテリ電極間の電圧が4.08V未満である間は定電力を用い、次いで、バッテリ電極間の電圧が4.126ボルトに到達するまでは電力プロファイルを用いる、高速充電段階
バッテリ電極間の電圧が4.08ボルトで保持される吸収段階であって、外気温は15°C未満である、吸収段階
によって適用される場合、
充電時間は100分をわずかに上回る。
【0057】
外気温が15°Cであって、下記の方式が、
バッテリ電極間の電圧が4.08V未満である間は定電力を用い、次いで、バッテリ電極間の電圧が4.126ボルトに到達するまで電力プロファイルを用いた、高速充電段階、
電圧が4.1Vで10分間保持され、次いで4.08ボルトで保持される、吸収段階
によって適用される場合、
充電時間は約101分である。
【0058】
図6A及び6Bを参照すると、
バッテリ電極間の電圧が4.08V未満である間は定電力を用い、次いで、バッテリ電極間の電圧が4.126ボルトに到達するまで電力プロファイルを用いた、高速充電段階、
電圧がt=約56分まで4.1Vで保持され、次いで電力プロファイルで保持される、吸収段階
による方式が適用され、
充電時間は約86分である。
【0059】
高速充電段階は、定電力を用いた第1のステージと低下するプロファイルに従う電力を用いた第2のステージとの、幾つかの段階に亘って行われ得るということを理解されたい。高速充電段階から吸収段階へ移行するときの充電用電力の低下が低減できるので、このプロファイルの適用は有利であり得る。
【0060】
図7A及び7Bにおける実施形態で、図5A及び5Bにおける方式が適用され、外気温は15°Cである。また、充電時間は80分を下回る。従って、本発明は、外気温が比較的低い場合に特に有利である。
【0061】
これらの図2A〜7Bのこれらの図面においてサンプリングレートは比較的高いため、幾つかのポイントは表されていないことに留意されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B