(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝達するステップ及び前記変形させるステップが、前記ハンドル及び前記トルク伝達部材を前記器具軸上で器具近位端とその反対側の器具遠位端との間で静止させたままにして行われる、請求項1に記載の打ち込み器具。
前記変形させるステップが、前記ハンドルを第1の形態から第2の形態に変形させるステップを更に含み、前記第1の形態は、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転できないときとして規定され、前記第2の形態は、前記印加トルクが前記制限トルク値より大きく、かつ、前記ハンドルが変形されて、前記ハンドルが、前記トルク伝達部材及び前記シャフトの両方に対して回転できるときとして規定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の打ち込み器具。
前記ハンドルが、本体と前記本体から延在する突出部とを有し、前記本体の前記突出部が、前記トルク伝達部材の相補的構造体に結合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の打ち込み器具。
前記打ち込み器具が、近位端と、前記器具軸に沿って前記近位端から離間された係合端とを画定し、前記ハンドル又は前記トルク伝達部材が、少なくとも部分的に前記器具軸に沿って延在する少なくとも1つの溝を画定し、前記ハンドル及び前記トルク伝達部材の他方が、本体と前記本体から延在する少なくとも1つの突出部とを画定し、前記少なくとも1つの突出部が、前記少なくとも1つの溝と結合され、前記変形させるステップが、更に、前記少なくとも1つの溝から前記少なくとも1つの突出部を分離するステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の打ち込み器具。
前記少なくとも1つの突出部が、前記基部から延在して対応する少なくとも1つの溝と係合する少なくとも1つの柔軟なタブであり、前記変形させるステップが、更に、前記少なくとも1つの柔軟なタブを変形させて、前記少なくとも1つの溝との係合から外すステップを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の打ち込み器具。
前記ハンドルが、前記トルク伝達部材を収容するように構成された内部空洞を画定し、前記トルク伝達部材を前記ハンドルに取り付けるステップが、更に、前記トルク伝達部材を前記内部空洞に挿入するステップを含む、請求項8に記載の方法。
前記トルク伝達部材が、基部と前記基部から延在する少なくとも1つのタブとを画定し、前記ハンドルが、少なくとも1つの溝を画定し、前記トルク伝達部材を前記ハンドルに取り付けるステップは、更に、前記少なくとも1つのタブが、前記ハンドルの前記少なくとも1つの溝によって少なくとも部分的に収容されるように、前記トルク伝達部材を位置決めするステップを含む、請求項8に記載の方法。
前記ハンドルに印加されたトルクが前記制限トルク値より小さい場合、前記ハンドル及び前記トルク伝達部材が、前記打ち込み器具の前記近位端及び前記遠位端に対して静止している、請求項12に記載の打ち込み器具。
前記ハンドルの前記相補的構造体が、前記壁に形成された少なくとも1つの溝であり、前記少なくとも1つの溝が、少なくとも部分的に前記器具軸に沿って延在する、請求項12又は13に記載の打ち込み器具。
前記打ち込み器具が、第1の形態と第2の形態とを繰り返すように構成され、前記第1の形態は、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転可能でないときとして規定され、前記第2の形態は、前記印加トルクが前記制限トルク値より大きく、前記ハンドルが、前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転可能であるときとして規定される、請求項12〜15のいずれか一項に記載の打ち込み器具。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照すると、トルク制限打ち込み器具、即ち器具2は、締結具14を受容又は支持することができ、また締結具14を締結位置16に、指定されたトルク限度又は制限トルク値TLまで固定することができる。器具2は、ハンドル4、ハンドル4に回転可能に結合されたトルク伝達部材6、及び少なくともトルク伝達部材6によって支持されたシャフト8を含むことができる。例えば、シャフト8は、トルク伝達部材6に取り付けられるか、又はトルク伝達部材6と一体化してモノリシックである。器具2は、ハンドル4によって画定されうる近位端10と、近位端10から器具軸11に沿って離間された遠位又は締結具係合端12との間で延在し、器具軸11は、長手方向L又は必要に応じて他の線形又は非線形方向に沿って延在することができる。本明細書で使用されるとき、用語「近位」とその派生語は、締結具係合端12から近位端に向かう方向を指す。本明細書で使用されるとき、用語「遠位」とその派生語は、近位端10から締結具係合端12に向かう方向を指す。
【0007】
シャフト8は、ハンドル4に対して、器具軸11に沿って締結具係合端12に向かって延在する。ハンドル4に第1の回転方向3(
図5)に沿って印加されたトルク(本明細書では印加トルクTAとも呼ばれる)が、制限トルク値TLより小さいとき、印加トルクTAは、トルク伝達部材6を介してシャフト8に伝達され、器具2は、締結具14を締結位置16に打ち込む。ハンドル4に加わる印加トルクTAが、制限トルク値TLより大きいとき、トルク伝達部材6及びハンドル4の少なくとも一方が弾性的に変形して、ハンドル4が、トルク伝達部材6及びシャフト8の両方に対する回転方向3に沿って回転可能となり得る。ハンドル4が、トルク伝達部材6及びシャフト8の両方に対して回転するとき、トルクがシャフト8を介して締結具14に伝達されなくなるので、締結具14の回転方向3に沿った更なる回転又は締結位置16への更なる締め付けが制限される。ハンドル4及び/又はトルク伝達部材6の変形は、器具軸11上の一定位置に沿って起こり、その結果、ハンドル4及びトルク伝達部材6のいずれも長手方向にずらされず、シャフト8に伝達されるトルクが制限される。更に、器具は、前述のようにハンドル4が第1の回転方向3に沿って回転されるときにトルクを制限するように構成される。ハンドル4が、第1の回転方向と逆の第2の回転方向5に沿って回転されるとき、器具2は、トルク制限機能を含まない。当業者は、時計回りの回転方向によって所定位置に固定又は締結される締結具もあれば、反時計回りの回転方向によって所定位置に締め付けられることができる締結具もあることを理解するであろう。したがって、本明細書で述べるトルク制限器具は、締結具がどのような締結方向用に構成されても、締結方向に印加されるトルクの印加を制限するように構成されうる。
【0008】
器具2は、ハンドル4又はトルク伝達部材6が、第1の形態X(
図4、
図15A)と第2又は変形形態Y(
図10A、
図10B、
図15B)とを周期的に繰り返すことができるように構成される。第1の形態Xは、ハンドル4及びトルク伝達部材6が回転可能に結合されたときに、器具2が、印加トルクTAをトルク伝達部材6を介してシャフト8に伝達できるようになるものである。第2又は変形形態Yは、印加トルクTAがトルク制限値TLを超えたときに、ハンドル4又はトルク伝達部材6のどちらかが変形されて、ハンドル4が、トルク伝達部材6から切り離され、かつトルク伝達部材6及びシャフト8に対して回転できるようになるものである。器具2が第2の形態Yにあり、更なるトルクが回転方向3に沿ってハンドル4に印加されたとき、ハンドル4は、トルク伝達部材6に対して回転し続けて器具2が第1の形態Xに戻る(
図4,15A)。第1の形態と第2の形態Yの間の繰り返しは、「カチッ」という音を発生させて、締結具14の指定トルク制限が満たされたことをユーザに知らせることができる。器具軸11は、器具長手方向Lと概ね位置合わせされ、かつその方向に沿って延びる。器具2は、長手方向L及び/又は器具軸11と垂直に向けられた径方向Rを画定する。径方向Rは、長手方向L及び/又は器具軸11に垂直な横断方向Tに沿って、径方向R並びに長手方向L及び/又は器具軸11の両方に垂直な横方向Aに沿って、あるいは横方向Aと横断方向Tを組み合わせた方向に沿って向けられてもよい。したがって、器具2は径方向座標を有するように示されているが、代替として、器具は、横方向A及び横断方向Tの一方又は両方を規定するように、デカルト座標を規定するように構成されてもよい。
【0009】
締結具係合端12は、締結具14を受容、係合する、又は支持するように構成される。締結具14は、任意のタイプの締結具(例えば、アンカー、ねじ、ボルト、又はねじシャフト)でよい。締結位置16は、骨19内のボア又は空洞17、インプラント内のボア及び/又は空洞、追加の締結具(例えば、ナット又はソケット)、自己ドリリング締結具、又は締結具を受容するように構成された任意の他の装置又は構造物であってよい。特定の実施形態では、本明細書に記載される器具は、埋め込み可能な装置、骨又は他の組織内にアンカー又はねじを埋め込むために使用される外科用打ち込み器具である。
【0010】
図4を参照すると、ハンドル4は、トルク伝達部材6に回転可能に結合するように構成される。示された実施形態では、ハンドル4は、ハンドル本体30の一部分に沿って延在する1つ又は複数の長手方向に整列された溝60を有するハンドル本体30を画定することができる。トルク伝達部材6は、本体70から径方向Rに沿って突出して溝60と連結係合する1つ又は複数の突出部72を有する本体70を画定することができる。溝60及び突出部72は、器具2が第1の形態Xにあるときに、他方の対応する構造体と嵌合及び結合するように構成される。器具が第2の形態Yのとき、突出部72は溝60から分離され、ハンドル4は、トルク伝達部材6及びシャフト8に対して回転可能になる。
【0011】
図1、
図2及び
図7に示されるように、シャフト8の少なくとも一部分は、トルク伝達部材6に固定(例えば回転して固定)される。シャフト8の一部分はまた、ハンドル4によって支持されてもよい。シャフト8は、遠位端18、遠位端18から近位側に長手方向Lに沿って離間された近位端20、及びシャフト遠位端18と近位端20との間に配置された中間部分22を画定することができる。示された実施形態では、シャフト遠位端18は、器具2の締結具係合端12を形成し、中間部分22は、トルク伝達部材6によって保持され、シャフト近位端20は、ハンドル4によって支持される(
図7〜
図8)。シャフト遠位端18は、締結具14と係合するように任意の方式で構成されうる。締結具係合端12は、六角ねじ、プラスねじ、マイナスねじ、スターねじ、ソケット、又は任意の他の適切な締結具取付け部材を画定することができる。別の実施形態では、締結具係合端12は、締結具取付け部材に取り付けられてもよい。例えば、締結具係合端12は、締結具取付け部材を画定するソケット(
図12)に結合されてもよい。ソケットは、締結具のヘッド(例えば、アンカー又はねじのヘッド)又はナットと嵌合するように構成されてもよい。更に、シャフト遠位端18はモジューラ設計を有するように構成されてもよく、その結果、様々な係合先端をシャフト遠位端18と結合させて、それらを交換可能に使用することができる。シャフト遠位端18は、締結具を支持するために磁化されてもよい。シャフト中間部分22は、トルク伝達部材がシャフト8に回転して固定されるようにトルク伝達部材6と係合する。シャフト8は、シャフト近位端20とシャフト遠位端18との間に配置された隆起部28を画定することができる。中間部分22は、シャフト近位端20に向かって隆起部28に対しての近位側に配置される。中間部分22は、トルク伝達部材6の対応する構造体と嵌合するように構成された、正方形、矩形又は十字形断面寸法を有することができる。隆起部28に対して遠位の断面寸法は、円形でよい。シャフト近位端20は、ネック部24、及びネック部24から延在する係合部材26を画定することができる。シャフト8は、打ち込み器具で使用するのに十分な強度と剛性を有する鋼、ステンレス鋼、金属若しくは金属合金、又は任意の他の材料から形成されてもよい。ハンドル4は、ハンドル4がシャフトに対して回転できるようにシャフト係合部材26を収容することができる。
【0012】
図5A〜
図5Cを参照すると、ハンドル4は、ハンドル近位端32と、近位端32から長手方向Lに沿って離間されたハンドル遠位端34との間に延在するハンドル本体30を画定することができる。ハンドル本体30は、更に、ハンドル本体30の径方向中心に配置されたハンドル中心軸31を画定することができる。ハンドル軸31は、器具軸11と共軸である。ハンドル本体30は、また、外側面36、外側面36から径方向Rに沿って離間された内側面38、及び内側面38から径方向Rに沿ってハンドル中心軸31に向かって延在する遠位対向面40を画定することができる。壁62は、ハンドル外側面36とハンドル内側面38との間で、径方向Rに沿って、ハンドル本体30の周囲のまわりに延在する。内側面38及び遠位対向面40は、ハンドル本体30を長手方向Lに沿って少なくとも部分的に通る空洞42を画定することができる。ハンドル本体30は、また、空洞42と連通する遠位開口44を画定する。開口44は、トルク伝達部材6の少なくとも一部分を、その中を通して収容するようにサイズを決められる。空洞42は、後で詳述されるように、ハンドル4をトルク伝達部材6に回転可能に結合するように構成される。
【0013】
図3及び
図5A〜
図5Cを参照すると、ハンドル本体30、例えば壁62は、溝60a〜hを画定することができる。溝60a〜hは、突出部72の構造に対応するように構成される。溝60a〜hは、長手方向L(
図3)に沿って、ハンドル遠位端34から遠位対向面40に向かって延在する。溝60a〜hは、直線の溝であってよい。ハンドル本体30は、対向する溝60(例えば、溝60a及び60e)を通る第1のハンドル径方向軸T1を画定することができる。第1の径方向軸は、ハンドル軸31に垂直である。ハンドル本体30は、また、例えば対向する溝60(例えば、溝60c及び60g)の間に延在する第2のハンドル径方向軸T2を画定する。第1の径方向軸T1は、第2の径方向T2に垂直である。各軸T1及びT2は、ハンドル軸31又はハンドル本体30の径方向中心Cと交差する。
【0014】
図5B及び
図5Cを参照すると、壁62は、各溝60が径方向Rに沿って外側面36に向かって延在するように、溝60を画定する。内側面38は、また、それぞれの溝60の間に配置された内径面166a〜hを画定する。内径面166a〜hは、また、壁突起64の末端部と呼ぶこともできる。ハンドル内側面38は、それぞれの1つ又は複数の溝60の最も外側の径方向境界を画定する1つ又は複数の外径面160を画定することができる。外径面160は、第1の壁162と第1の壁162と反対側の第2の壁164との間に配置されてもよい。第1の壁162及び第2の壁164、並びに外径面160は、溝60を少なくとも部分的に画定する。第1の壁162は、外径面160から、径方向Rに沿ってハンドル外側面36(及び外径面160)から離間した第1の内径面166aまで延在する。第2の壁164は、また、外径面160から内径面166aまで延在する。第1の壁162は、第1の回転方向3の方に傾けられる。具体的には、第1の壁162は、角度αで傾けられる。角度αは、第1の壁162に沿って延びる線165と第1の径方向T1との間に画定される。示された実施形態では、角度αは、約20度〜約75度で変化してもよい。例示的実施形態では、角度αは、約45度である。第2の壁164は、外径面160に対して垂直でもよく、又は外径面160に対してわずかな傾きを有してもよい。
【0015】
引き続き
図5B及び
図5Cを参照すると、ハンドル本体30は、第1の形態と第2の形態Yとの間での変形又は繰り返しを容易にするように寸法決めされる。ハンドル本体30は、正反対にあるそれぞれの溝60c及び60gの対向する径方向面160cと160gの間に延在する第1の距離又は溝対距離A1を画定することができる。ハンドル本体30は、また、第2の径方向軸T2と交差する外側面36上の66bの1対の対向する点66aの間に延在する第2の距離又はハンドル外径A2を画定することができる。A1とA2との差は、壁溝厚さW1を画定することができる。ハンドル本体30は、また、ハンドル4の内側面166b及び166f上の1対の点67aと67bの間に延在する第3の距離又は突起対内径A3を画定することができる。距離A2とA3との差は、壁突起厚さW2を画定することができる。W2とW1との差は、径方向Rに沿った溝深さW3を画定する。距離A1、A2及びA3は、必要に応じて変化してもよく、トルク伝達部材6の対応寸法と一致するように選択される。一実施形態では、第1の距離A1は、約14mm〜約46mmの範囲とすることができる。第2の距離A2は、約18mm〜約50mmの範囲とすることができる。第3の距離A3は、約12mm〜約43mmの範囲とすることができる。壁溝厚さW1、突起壁厚さW2、及び溝深さW3も同様に、距離A1、A2及びA3の変更に応じて変化してもよい。例えばトルク制限が0.8nMに構成された器具では、A1は18.3mmとすることができ、距離A2は約22mmとすることができ、距離A3は17mmとすることができる。例えばトルク制限が4.0nMに構成された器具では、A1は約22mmとすることができ、距離A2は約22mmとすることができ、距離A3は約20mmとすることができる。
【0016】
図7〜
図8Bを参照すると、ハンドル本体30は、シャフト8の一部分を収容して、ハンドル4がシャフト8に対して回転できるように構成されてもよい。示された実施形態では、ハンドル本体30は、遠位対向面40からハンドル近位端32に向かって長手方向Lに沿って延在するボア46を画定する。ボア46は、ハンドル本体30を通って部分的に延在することができる。遠位対向面40は、ボア46と連通する開口47を画定する。シャフト8は、開口47を通ってボア46に入ることができる。ボア46及び開口47は、ハンドル軸31及び器具軸11と共軸であってよい。
【0017】
図8A及び
図8Bを参照すると、ハンドル本体30は、シャフト8の一部分を回転可能に支持するように構成される。ハンドル本体は、径方向Rに沿ってボア46内に延在してシャフトネック24に入る隆起部55を画定する。シャフト係合部材26は、ボア46内のシャフト8の長手方向位置を固定するための隆起部55の近くにある。前述のように、隆起部55は、印加トルクがトルク制限を超えたときにハンドル4がシャフト8のまわりに回転できるように、シャフト係合部材26と当接する。
【0018】
図4、
図6A及び
図6Bを参照すると、トルク伝達部材6は、ハンドル4に回転可能に結合するように構成され、シャフト8の一部分に固定結合され、その結果、トルク伝達部材6及びシャフト8は、一体に回転可能となる。トルク伝達部材本体70は、近位端74と、近位端74から長手方向Lに沿って離間された遠位端76との間に延在する。本体70は、本体近位端74及び本体遠位端76を通って延びる中心軸71を画定する。中心軸71は、器具軸11と共軸であり、長手方向Lと位置合わせされる。本体70は、また、突出部72a及び72bを通って径方向Rに沿って延びる第1の径方向軸M1と、径方向Rに沿って延び、かつ第1の径方向軸M1及び中心軸71に垂直な第2の径方向軸M2とを画定することができる。周辺レッジ78は、本体70から径方向Rに沿って延出し、かつ、ハンドル本体30のd 63に当接するように構成された近位対向面79を有する。本体70は、ハンドル本体30の開口47に挿入されるように構成された近位突出部75を画定することができる。本体70は、シャフト8(例えば、シャフト8の中間部分22)を固定支持するように構成される。本体70は、中心軸71に沿って本体70の近位端74と遠位端76との間に延在するボア82を画定する。ボア82は、そこを通るシャフト8の少なくとも一部分を固定式に収容するように構成される。ボア82の断面形状は、シャフト8の中間部分22の断面形状に対応することができ、その結果、
図8に示されたように器具が組み立てられたとき、トルク伝達部材6は、シャフト8のまわりに回転できない。例えば、ボア82の断面形状は、正方形、矩形、又は十字形とすることができる。
【0019】
図6Bに示されるような特定の実施形態では、本体70は、ボア82を含むシャフト支持部材85を画定することができる。本体70は、外側面80と内側面81との間に延在する壁83を画定するように、外側面80から径方向Rに沿って離間された内側面81を有することができる。本体70は、壁83から径方向Rに沿って中心軸71に向かって延在してシャフト支持部材85を支持する、支柱84a〜84dを有する。支柱84a及び84cは、第1の横軸M1と概ね位置合わせされ、支柱84b及び84dは、第2の径方向軸M2と位置合わせされる。示された実施形態では、シャフト支持部材85は、近位突出部75を画定する。ボア82が、ハンドル本体ボア46と軸方向に位置合わせされ、それにより、シャフト8が、ボア82及び46によって少なくとも部分的に収容される。
【0020】
図4、
図6A及び
図6Bを参照すると、1つ又は複数の突出部72が、本体70から径方向Rに沿って突出し、かつハンドル4の対応する溝60内に延在して結合する。1つ又は複数の突出部72は、本体70から径方向Rに沿って突出する第1の突出部72aと、本体70から径方向Rに沿って突出する第2の突出部72bとを有することができる。第1の突出部72aは、第2の突出部72bに対して正反対に向かい合って示されている。突出部72は、必要に応じて、他の周辺間隔を有することができる。第1及び第2の突出部72a及び72bは、対向するそれぞれの溝60に収容される。例えば、第1及び第2の突出部72a及び72bは、
図4に示されるように、それぞれの溝対60a及び60eに収容される。第1及び第2の突出部72a及び72bは、第1の径方向軸M1に沿って配置される。また、1つ又は複数の突出部72が、本体近位端74と本体遠位端76の間に少なくとも部分的に、本体70の外側面80に沿って、長手方向Lに沿って延在することができる。例えば、突出部72は、レッジ78から端部89まで延在することができ、突出部長さL1を画定することができる。長さL1は、5mm〜10mmの範囲とすることができる。トルク制限値が0.8Nmに構成された器具の例示的な実施形態では、長さL1は、約6.8mmとすることができる。トルク制限値が4.0Nmに構成された器具の例示的な実施形態では、長さL1は、8.1mmとすることができる。突出部72は、また、本体近位端74と本体近位端74の間で長手方向Lに沿って延在してもよい。例えば、突出部72は、レッジ78から本体近位端74まで延在することができる。1対の突出部72a及び72bが示されているが、3つ以上の突出部72を使用することができる。例えば、突出部72は、複数の柔軟タブであってもよい(
図14)。
【0021】
図4及び
図9Aを参照すると、各突出部72は、また、第1の壁88と、外側本体表面80から径方向Rに沿って離間された外側突出部表面90と、径方向Rに沿って外側面80から突出部表面90に向かって径方向Rに沿って延在する第2の壁92とを画定することができる。第1の壁88は、溝60の第1の壁162と嵌合するように傾けられる。第1の壁88は、1)第1の壁88に沿って延びる線と、2)第1の径方向軸M1と、の間に画定された角度βで傾けられる。一実施形態では、角度βは、角度αと実質的に等しい。第2の壁92は、本体70に垂直でもよく、本体に対して任意の方向にわずかに傾けられてもよい。トルク伝達部材6は、軸M1に沿って対向する突出部表面90aと90bの間に延びる第1又は外側部材距離B1を画定することができる。外側距離B1は、約15mm〜約25mmの範囲とすることができるが、この距離はそのように限定されない。距離B1は、溝対距離A2より小さいか、又はそれとほぼ等しく、かつ突起対距離A3より大きく、したがって、ハンドルが回転するときに突出部72が壁62を撓ませることができる(
図10A及び
図10B)。本体70は、また、第2の本体外側距離B2を画定することができる。第2の本体外側距離B2は、約17mm〜約23mmの範囲とすることができるが、この距離はそのように限定されない。例えばトルク制限が0.8nMに構成された器具では、距離B1は18.3mmとすることができ、距離B2は、約16mmとすることができる。例えばトルク制限が4.0nMに構成された器具では、距離B1は21.9mmとすることができ、距離B2は、約18.5mmとすることができる。特定の寸法B1及びB2は、トルク伝達部材6がハンドル4と摩擦嵌めするようなものである。
【0022】
図9A〜
図10Bを参照すると、第1の形態Xは、部材対72が対応する溝60に結合されたときを指し、第2の形態Yは、ハンドル4が撓められ、それにより、1対の突出部72が溝60から分離され、ハンドル4が、トルク伝達部材6のまわりに回転可能になるときを指す。
図4に示された第1の形態Xでは、突出部対72a及び72bは、対応する対の溝60a及び60eに結合される。第1の傾斜壁88a,88bは、溝対60a及び60eのそれぞれの溝傾斜壁162a、162eと摺動可能に係合している。第2の突出部壁92a及び92bは、溝60a及び60eのそれぞれの第2の溝壁164a及び164eと当接関係にある。ハンドル4が第1の回転方向3に回転されると、第1の傾斜壁88a及び88bは、ハンドル4に加わる印加トルクがトルク制限値TLよりも大きくなるまで、溝傾斜壁162a及び162eと接触する。印加トルクがトルク制限値TL以上のとき、突出部対72a,72bが溝傾斜壁162a、162eに沿って摺動して、ハンドル本体30を、
図10A及び
図10Bに示される第2の変形形態Yに変形させる。ハンドル4が更に変形するにつれて、突出部対72a、72bは摺動してハンドル本体内径面166a及び166eと当接関係になって、ハンドル4を第2の歪み形態Yに変形させる。ハンドル4が回転方向3に更に回転すると、突出部対72a及び72bは、隣接した溝60b及び60f(図示せず)にそれぞれ滑り込む。
【0023】
図4に示されるようにハンドル4が第1の形態Xにあるとき、ハンドル本体壁62は、円形断面寸法を画定することができる。ハンドル4が第2の形態Yに変形されると、壁62は、
図10Aに示すような寸法Q及びZを有する概略楕円断面寸法に撓むか又は変形する。したがって、ハンドル4が回転されて突出部72と溝が再び結合されたとき、ハンドル本体壁62は、実質的に、最初の円形断面寸法に回復する。
【0024】
一実施形態では、ハンドル、トルク伝達部材、又はハンドル及びトルク伝達部材の両方は、特定量の印加トルクに耐えるように構成される。印加トルクTAが制限に達したとき、ハンドル4又はトルク伝達部材6のいずれかが径方向に変形することができ、それにより、ハンドル又はトルク伝達部材6が他方に対して回転可能となる。例えば、印加トルクTAが制限に達したとき、ハンドル4が径方向に拡張して、ハンドル4は、トルク伝達部材6に対して回転することができる。他の実施形態では、印加トルクTAが制限に達したとき、トルク伝達部材6が径方向に変形して、ハンドル4は、トルク伝達部材6に対して回転することができる。
【0025】
ハンドル4及びトルク伝達部材6は、高分子材料から形成されてもよい。そのような高分子材料は、加熱可塑性材料又は熱硬化性樹脂であってもよい。更に、高分子材料は、1つ又は複数の高分子の混合物であってもよい。硬化剤、分子量増量剤、顔料、充填剤、潤滑剤、粘度調整剤などの追加の添加物が、1つ又は複数の高分子材料と混合されてもよい。ハンドル4及び/又はトルク伝達部材6を形成するために使用できる高分子材料には、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグリコール乳酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEK)及びポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリエーテルケトン(PEK)、並びにこれらの高分子のいずれかの共重合体、シリコーン及びその誘導体が挙げられる。一実施形態では、ハンドル4及びトルク伝達部材6は、同じ高分子材料から形成されてもよい。代替実施形態では、ハンドル4は、第1の高分子材料から形成され、トルク伝達部材6は、第1の高分子材料とは異なる第2の高分子材料から形成される。更に、ハンドル4又はトルク伝達部材のどちらかが、金属材料から形成されてもよく、ハンドル4及びトルク伝達部材6の他方が、高分子材料で形成されてもよい。金属材料は、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム又は任意の金属合金であってもよい。
【0026】
図1〜
図10Bに示された実施形態は、ハンドル4又は壁62が、トルク伝達部材6に対して変形し、その結果、突出部72が溝60から分離するように示されている。他の実施形態では、突起64は、ハンドル4をトルク伝達部材6から選択的に分離するために弾性的に圧縮可能であってもよい。例えば、突出部対72a,72bは、印加トルクがトルク制限値より大きいときに溝260から分離するように、弾性的に圧縮可能であってもよい。更に他の代替実施形態では、トルク伝達部材6は、ハンドル4に対して変形及び回復することができる。例えば、トルク伝達部材6は、第1の径方向軸T1に沿って径方向に圧縮されてもよく、それにより、突出部対72a、72bは、例えば
図11〜
図15Bに示されかつ後述されるように、溝60から分離される。更に、トルク伝達部材6によって形成された空洞にハンドル4が部分的に挿入されるように器具2が構成されてもよいことが理解されよう。例えば、ハンドル4は突出部対72を有することができ、一方、トルク伝達部材6は、突出部72に結合するための溝60/突起64を有することができる。したがって、ハンドル4がトルクを制限するように構成されてもよく、又はトルク伝達部材6がトルクを制限するように構成されてもよい。
【0027】
図11〜
図15Bを参照すると、代替実施形態により、器具202は、ハンドル204、ハンドル204に結合されたトルク伝達部材206、並びにハンドル204及びトルク伝達部材206によって支持されたシャフト208を含むことができる。キャップ部材207は、ハンドル204に結合され、かつトルク伝達部材206と係合する。例えば、キャップ部材207は、ハンドル204内にトルク伝達部材206を保持することができる。器具202は、近位端210、及び近位端210から器具軸211に沿って離間された遠位又は締結具係合端212を画定する。シャフト208は、トルク伝達部材206に回転して固定され、ハンドル204に対して器具軸211に沿って締結具係合端212向かって延在する。代替実施形態によれば、ハンドル204に加えられるトルクが、トルク制限値TVを超えたとき、トルク伝達部材206の一部分が変形されて、ハンドル204が、トルク伝達部材206及びシャフト208に対して回転することができるようになる。具体的には、ハンドル本体230は、ハンドル204の長手方向Lに沿って延在する複数の溝260を画定することができる。更に、トルク伝達部材206が本体270を画定し、例えば柔軟なタブ272a〜272fとして構成された複数の突出部272が、本体270から延出して対応する数の溝260と結合する。器具202は、第1の形態X(
図14、15A)と第2の形態Y(
図15Bに示される)とを繰り返すように構成される。トルク伝達部材206が第1の形態Xのとき、柔軟なタブ272は、溝260と係合するように付勢されるか、又は圧縮応力を与えられる。
図15Bに示されるトルク伝達部材206及び第2の形態Yのとき(タブが点線で示されている)、柔軟なタブ272a〜fは、ハンドル204がトルク伝達部材206及びシャフト208に対して回転できるように、溝260から分離される。
【0028】
図11及び
図12に示されるように、シャフト208は、遠位端218、長手方向Lに沿って遠位端218から離間された近位端220、及びシャフト遠位端218と近位端220との間に配置された中間部分222を画定することができる。代替実施形態によれば、シャフト遠位端218は、器具202の締結具係合端212を形成し、中間部分222は、ハンドル204(
図11)によって支持され、シャフト近位端220は、トルク伝達部材206に回転して固定される。シャフト遠位端218は、駆動先端221を収容するように構成されたソケット219として構成されてもよい。シャフト遠位端218は、締結具14と係合するように構成されてもよい。シャフト近位端220は、トルク伝達部材206内の対応する構造体と嵌合するように構成された係合部材223を画定することができる。係合部材223は、十字の形の断面形状を有することができる(
図14)。トルク伝達部材206内の対応する構造体と嵌合するように構成された、正方形、矩形、又は部分的に直線の断面寸法などの他の形状が可能である。係合部材223は、先端227を画定することができる。シャフト208は、また、隆起部228を画定することができる。シャフト中間部分222は、隆起部228から係合部材223まで近位に延在する。シャフト中間部分222は、第1の断面寸法1Cを有する。先端227は、第1の断面寸法C1より小さい第2の断面寸法C2を有する。先端227は、十字として示された同じ断面形状を有することができる。中間部分222は、円形断面形状を有することができる。
【0029】
ハンドル204は、トルク伝達部材206を支持又は保持する。
図12及び
図13を参照すると、ハンドル204は、ハンドル近位端232と、近位端232から長手方向Lに沿って離間されたハンドル遠位端234と間に延在するハンドル本体230を画定することができる。ハンドル本体230は、更に、ハンドル中心軸231を画定することができる。ハンドル軸231は、器具軸211と共軸である。ハンドル本体230は、また、外側面236、外側面236から径方向Rに沿って離間された内側面238、内側面238から径方向Rに沿ってハンドル中心軸231に向かって延在する近位対向横断面240を画定することができる。ハンドル本体内側面238及び近位対向面240は、ハンドル本体230を通り長手方向Lに沿って近位対向面240からハンドル近位端232に向かって延在する空洞242を画定することができる。ハンドル本体230は、空洞242と連通する近位開口244を画定することができ、開口244は、そこを通るキャップ部材207の少なくとも一部分を収容するようにサイズが決められる。空洞242は、ハンドル204をトルク伝達部材206に結合するように構成される。具体的には、空洞242にある内側面238は、複数の突出部265と交互になっている複数の溝260を画定することができる。上記の各溝260は、第1の壁362と第2の壁364との間に延在する径方向面360を有する。隣り合った壁362及び364は、交差して突出部265を画定することができる。壁362及び364の交差部分は、突出部頂点365を画定することができる。溝260は、ハンドル204の長手方向Lに沿って延在する。更に、ハンドル本体230は、キャップ部材207の一部分と嵌合するように構成される。ハンドル本体230の近位端232は、内側面238から径方向Rに沿って、少なくとも部分的にハンドル本体230内に、ハンドル外側面236に向かって延在する、1対の戻り止め部分248及び250を画定することができる。代替実施形態では、溝260は、ハンドル204の一部分に沿って非直線的に延在し、ハンドル本体230内へと徐々にテーパー状になる(
図12)。器具202を組み立てる際、非線形テーパー溝は、トルク伝達部材206を器具近位端210に向かって適所に導くことができる。具体的には、トルク伝達部材206を空洞242に挿入することができる。トルク伝達部材206が長手方向Lに沿って進められると、テーパー溝はタブ272と係合する。トルク伝達部材206が長手方向Lに沿って更に前進すると、タブ272は、トルク伝達部材206が空洞の最遠位部分に着座するまで付勢され、タブ272は付勢されて溝260の中へと入る。キャップ部材207は、ハンドル204内のトルク伝達部材206の長手方向位置を維持することができる。
【0030】
ハンドル本体230は、ハンドル204がシャフト208に対して回転できるようにシャフト208の一部分を支持する。ハンドル本体230は、近位対向面240からハンドル遠位端234まで長手方向Lに沿って延在するボア246を、空洞242の遠位に画定することができる。近位対向面240は、ボア246内へのシャフト208の経路を提供する開口247を画定する。ボア246及び開口247は、ハンドル軸231及び器具軸211と位置合わせされてもよい。ボア246は、シャフト208の一部分を回転可能に収容して保持し、ハンドル本体230がシャフト208のまわりに回転するように構成される。例えば、ボア246は、シャフト208の中間部分222と相補的な略円筒状の断面寸法を有することができる。したがって、ボア246は、シャフト208の中間部分222を回転可能に収容して保持し、その結果、ハンドル本体230はシャフト208のまわりに回転することができる。
【0031】
図11〜
図13を参照すると、キャップ部材207は、近位端312と反対側の遠位端314との間に延在する本体310を画定することができる。本体310は、本体310から長手方向Lに沿ってキャップ部材遠位端314まで延在する細長い部材315を画定することができる。キャップ部材遠位端314は、トルク伝達部材206の近位端276に当接することができる。細長い部材315は、トルク伝達部材206に力Fを加えて、空洞242の最遠位部分内にトルク伝達部材206を維持することができる。キャップ部材本体310は、外側面318と、外側面318から径方向Rに沿って離間された内側面320との間に延在する壁316を画定することができる。キャップ部材本体310は、本体310から径方向Rに沿って突出する1対のスラット322及び324を画定することができる。スラット対322及び324は、ハンドル本体230の戻り止め部分対248及び250内に収容され、それにより、キャップ部材207が、ハンドル本体230内に回転して固定される。更に、キャップ部材本体は、本体310から延在し、器具が組み立てられたときにハンドル本体230の最近位部分263と当接することができる遠位面328を形成するレッジ326を画定する。
【0032】
図11〜
図15Bを参照すると、トルク伝達部材206は、ハンドル204に回転可能に結合され、一方、シャフト208に回転して固定される。トルク伝達部材本体270は、近位端276と、近位端276から器具軸211に沿って離間された遠位端278との間に延在する。本体270は、本体270の近位端276と遠位端278との間を通って延在するボア280を画定することができる。ボア280は、第1の部分282、及び第1の部分282に対して近位の第2の部分284を画定することができる。ボア280は、シャフト208の係合部材223の断面形状に対応する断面形状を有することができ、例えば十字形を有することができる。第1のボア部分282は、係合部材基部225を収容することができ、第2のボア部分288は、係合部材先端227を収容する。係合部材223がボア280に挿入されると、トルク伝達部材206は、シャフト208に対して回転して固定され、その結果、トルク伝達部材206がシャフト208のまわりを回転するのが防止される。
【0033】
本体270は、柔軟なタブ272a〜272fとして構成された複数の突出部272を有する。柔軟なタブ272は、トルク伝達部材206が空洞242内に位置決めされ、かつ溝260によって収容されたときに、各272のタブが圧縮又は付勢されるように構成される。各柔軟なタブ272aと272fは、基部288と基部288から離間された反対側の自由端290との間に延在するタブ本体273を画定することができる。基部288は、トルク伝達部材本体270に隣接しており、自由端290は、径方向Rに沿って本体270からずらされ、その結果、タブ272は、本体270に対して傾けられるか、又は角度的にずらされる。タブ本体273は、更に、基部288、ハンドル本体270の内側面238に面する自由端290との間に延在する外側面289、並びに本体270及び隣接したタブ272に部分的に面する反対側の内側面291を画定することができる。本体270及び内部対向面291は、その間にギャップ293を画定する。
【0034】
図15Aと
図15Bを参照すると、柔軟なタブ272a〜272fは、弾性的に屈曲して、対応の溝260と選択的に結合及び分離するように構成される。トルク伝達部材206は、タブ272が溝260に移動可能に結合されたときの第1の形態Xと、柔軟なタブ272が溝260から分離するために撓んだ第2の形態Yとを繰り返すことができる。トルク伝達部材206が第1の形態Xのとき、タブ272は、空洞242内で圧縮状態にある。即ち、タブ272は、溝260に結合されたときに本体270に向かって付勢される。付勢の程度は、所望のトルク制限値に影響を与えることがある。第1の形態Xのときにタブ272が強く圧縮又は付勢されるほど、トルク制限値を高くすることができる。タブ272はまた、第1の形態Xのときに付勢されていない形態で溝260の中に突出できることが理解されよう。第2の形態Yは、トルク伝達部材206が径方向に変形されて、ハンドル204がトルク伝達部材206に対して回転可能になるときに生じる。例えば、柔軟なタブ272a〜272fは、溝260から分離するように撓められる。ハンドル204は、柔軟なタブ272a〜272fが本体270に向かって屈曲又は変形されて溝260から分離されたときに、トルク伝達部材206及びシャフト208のまわりで回転可能である。ハンドル4が第1の回転方向3に回転されると、印加トルクが大きくなるので、タブ自由端273は壁362に対して摺動する。タブ自由端273は、本体270に向かって付勢又は撓められ、それにより、ギャップ293が減少し、その結果、トルク伝達部材206が第2の形態Yに変形される。印加トルクがトルク制限値TL以上のとき、タブ自由端273は、摺動して頂点265を過ぎ、隣り合った溝260に入る。タブは、第1の形態Xへと弾性的に回復する。ハンドル4を回転方向3に更に回転すると、柔軟なタブ272が定められた隣りの溝260の中に導かれる。ハンドル4を第2の回転方向5に回転させると、タブ自由端273が溝260と当接し、その結果、ハンドル204、トルク伝達部材206及びシャフト8が一緒に回転する。即ち、器具202は、締結具を締結位置へと締め付けるために使用されるのと同じ回転方向である第1の回転方向に沿ったトルクを制限するように構成される。
【0035】
別の代替実施形態によれば、器具は、トルク制限方法を有して構成される。器具は、例えば、外科用打ち込み器具であってもよく、
図1〜
図15Bに関して前述した実施形態に従って構成されてもよい。方法は、シャフト8に対して回転方向3に沿って、ハンドル4にトルクを加えるステップを含むことができる。更に、印加トルクが制限トルク値より小さいとき、印加トルクは、ハンドル4からトルク伝達部材6を介してシャフト8に伝達されることができる。方法は、印加トルクが制限トルク値より大きい場合に、トルク伝達部材及びハンドルの少なくとも一方を変形させるステップを含むことができる。ハンドル4及びトルク伝達部材6が、器具軸11上の器具近位端10と器具遠位端12との間で静止している間に、トルク伝達、及びハンドル4/トルク伝達部材6の変形が起こることがある。一実施形態では、トルク伝達部材6が変形され、他の実施形態では、ハンドル4が変形される。
【0036】
方法は、また、ハンドルを第1の形態から第2の形態に変形させるステップを含むことができる。一実施形態では、第1の形態は、ハンドルが、トルク伝達部材及びシャフトに対して回転できないときとして規定され、第2の形態は、ハンドルが、トルク伝達部材及びシャフトの両方に対する方向に沿って回転できるようにハンドルが変形されたときとして規定される。例えば、変形させるステップは、突出部を溝から分離させて、ハンドルがトルク伝達部材のまわりに回転できるようにすることができる。あるいは、変形させる方法は、トルク伝達部材を第1の形態から第2の形態に変形させるステップを含むことができる。別の実施形態では、第1の形態は、ハンドルが、トルク伝達部材及びシャフトに対して回転できないときであり、第2の形態は、ハンドルがトルク伝達部材及びシャフトに対する方向に回転できるようにトルク伝達部材が変形されたときとして規定される。例えば、変形させるステップは、柔軟なタブを少なくとも1つの溝から分離させて、ハンドルがトルク伝達部材のまわりに回転できるようにすることができる。
【0037】
本開示の一実施形態は、前述しかつ
図1〜
図15Bに示された実施形態によるトルク制限打ち込み器具を作製する方法を含む。方法は、ハンドル4,204を形成し、トルク伝達部材6,206を形成するステップを含むことができる。また、方法は、前述しかつ
図11〜
図13に示されたキャップ部材207を形成するステップを含むことができる。方法は、高分子、添加剤、潤滑剤及び他の処理剤を高分子化合物に混合するステップを含むことができる。高分子化合物は、射出成形、反応射出成形、吹込み成形、真空成形、熱成形、付加加工、又はレーザ焼結によって、ハンドル4(又は204)及びトルク伝達部材6(又は206)へと形成されうる。ハンドル又はトルク伝達部材が熱硬化性樹脂から形成される場合、硬化ステップを含むことができる。混合ステップ及び形成ステップは、別々に順に行われてもよく、単一ステップで行われてもよい。更に、金属材料がハンドル又はトルク伝達部材を形成する場合、CNC機械加工又は他の金属成形技術が使用されてもよい。形成ステップ(高分子によるか又は金属材料によるかにかかわらず)は、ハンドル及びトルク伝達部材を、前述しかつ
図1〜
図15Bに示されたそれぞれの構造詳細を有するように形成するステップを含む。
【0038】
更に、器具を作製する方法は、ハンドル、トルク伝達部材及びシャフトを組み立てて、特定のトルク制限を有する器具を形成するステップを含むことができる。作製する方法は、シャフトがトルク伝達部材から器具軸11に沿って延在するようにシャフトをトルク伝達部材に取り付けるステップを含むことができる。方法は、また、トルク伝達部材をハンドルに取り付けるステップを含むことができる。トルク伝達部材をハンドルに取り付けるステップは、トルク伝達部材をハンドルの空洞に挿入するステップを含む。代替実施形態によれば、方法は、ハンドルをトルク伝達部材の空洞に挿入するステップを含むことができる。更に、方法は、器具をパッケージ化するステップを含むことができる。パッケージ化するステップは、器具を、高分子バッグ、カートン又は他のパッキング材料などの滅菌容器に入れるステップを含むことができる。
【0039】
図16〜
図19Bを参照すると、代替実施形態により、器具402は、ハンドル404、ハンドル404に結合されたトルク伝達部材406、並びにハンドル404及びトルク伝達部材406によって支持されたシャフト408を含むことができる。器具は、更に、移動可能なトルク作動部材546を含むアクチュエータ407を含むことができる。トルク作動部材546は、ハンドル404及びトルク伝達部材406に対して長手方向Lに沿って移動又は撓むように構成される。アクチュエータ407がハンドル404に結合されると、後で詳述されるように、トルク作動部材546が撓んで、トルク伝達部材406と回転可能に結合することができ、かつ該結合から外れることができる。
図1〜
図15に関して前述した実施形態と同様に、器具402は、近位端410、及び近位端410から器具軸411に沿って離間された遠位又は締結具係合端412を画定することができる。器具軸411は、器具長手方向Lと整合され、かつその方向に沿って延在する。シャフト408は、ハンドル404に対して、器具軸411に沿って締結具係合端412に向かって延在し、トルク伝達部材406に回転して固定されうる。代替実施形態によれば、アクチュエータ407は、器具402に、1)非作動形態(ハンドル404が、トルク伝達部材406及びシャフト408に対して回転可能であり、締結具14を締結位置16に打ち込む器具402の能力が制限されている)と、2)作動形態(ハンドル404が、トルク伝達部材406と共に回転可能である)と、を繰り返させるように構成される。更に、器具402が作動形態にあるとき、ハンドル404への印加トルクTAは、印加トルクが制限トルク値TVより小さいときに、トルク伝達部材406を介してシャフト408に伝達される。印加トルクTAが制限トルク値TVより大きいとき、トルク伝達部材406とトルク作動部材546とが分離し、それにより、ハンドル404が、トルク伝達部材406及びシャフト408に対して回転することができる。
【0040】
図16と
図17に示されるように、シャフト408は、遠位端418、遠位端4148から長手方向Lに沿って離間された近位端420、及びシャフト近位端420と遠位端418の間に配置された中間部分422を画定することができる。代替実施形態によれば、シャフト遠位端418は、器具402の締結具係合端412を形成し、中間部分422は、ハンドル404によって支持され、シャフト近位端420は、トルク伝達部材406に回転して固定される。シャフト遠位端418は、駆動先端421を収容するように構成されたソケット419として構成されてもよい。駆動先端421は、六角形状を有することができる。シャフト遠位端418は、締結具14と係合することができる。シャフト近位端420は、トルク伝達部材がシャフト408に回転して固定され、かつシャフト408に沿って位置的に固定されるように、トルク伝達部材406と係合するように構成されうる。即ち、トルク伝達部材406は、シャフト408に沿って長手方向Lに沿って摺動できないことが好ましい。シャフト近位端420は、トルク伝達部材406内の対応する構造体と嵌合するように構成された係合部材423を画定することができる。係合部材423は、十字形の断面形状を有することができる。必要に応じて、正方形、矩形、星形などの他の形状が可能である。係合部材423は、先端427を画定することができる。シャフトの中間部分422は、第1の断面寸法C3を有することができ、先端427は、第1の断面寸法C3より小さい第2の断面寸法C4を有する。シャフトの中間部分422は、ハンドル404と嵌合するように構成された円形断面形状を有することができる。
【0041】
ハンドル404は、アクチュエータ407及びトルク伝達部材406の少なくとも一部分を支持又は保持するように構成される。
図16〜
図18に見られるように、ハンドル404は、ハンドル近位端432と、近位端432から長手方向Lに沿って離間されたハンドル遠位端434との間に延在するハンドル本体430を画定することができる。ハンドル本体430は、更に、ハンドル本体430の径方向中心(図示せず)と交差するハンドル中心軸431を画定することができる。ハンドル軸431は、器具軸411と共軸であってよい。ハンドル本体430は、外側面436、外側面436から径方向Rに沿って離間された内側面438、及び内側面438から径方向Rに沿ってハンドル中心軸431に向かって延在する近位対向横断面440を画定する。ハンドル本体430は、外側面436と内側面438の間に延在する壁461を有する。ハンドル本体内側面438及び近位対向面440は、空洞442を画定することができる。したがって、示された実施形態では、空洞442は、ハンドル本体430を通り、長手方向Lに沿って、近位対向表面440からハンドル近位端432に向かって延在する。ハンドル本体430は、また、空洞442と連通する近位開口444を画定する。開口444は、アクチュエータ407の少なくとも一部分を収容するようにサイズが決められる。ハンドル本体430は、内側面438から径方向Rに沿って、少なくとも部分的にハンドル本体430内に入り、ハンドル外側面436に向かって延在する、戻り止め対448及び450を含むことができる。戻り止め対448及び450は、アクチュエータ407の一部分をその中に収容するように構成される。更に、本体430は、壁461を貫通する横断開口433を有する。
【0042】
ハンドル本体430は、また、ハンドル404がシャフト408に対して回転可能になるようにシャフト408の一部分を支持するように構成される。示された実施形態では、ハンドル本体430は、ハンドル遠位端434と近位対向面440との間で長手方向Lに沿って本体430を貫通するボア445を画定することができる。近位対向面440はまた、ボア445と連通する開口447を画定することができる。開口447は、シャフトの通路を提供する。ボア445及び開口447は、器具軸411と共軸であってもよい。例えば、ボア455は、シャフト408の中間部分422と相補的な略円筒状の断面寸法を有することができる。したがって、ボア445は、ハンドル本体430がシャフト408のまわりに回転できるように、シャフト408の中間部分422を収容して保持することができる。
【0043】
アクチュエータ407及びトルク伝達部材406は、器具に作動形態と非作動形態とを繰り返させるように選択的に結合される。
図16〜
図18を参照すると、ハンドル404は、空洞442の最遠位部分内のトルク伝達部材406、アクチュエータ407の少なくとも一部分、及びトルク伝達部材406とアクチュエータ407の一部分との間に配置された付勢部材409(例えば、ばね)を保持する。付勢部材409は、トルク伝達部材406にばね力を加えてトルク伝達部材406を付勢し、ハンドル本体430の近位面440と接触させる。
【0044】
図14を参照すると、アクチュエータ407は、アクチュエータ軸511に沿って近位端512とその反対側の遠位端514との間に延在する。アクチュエータ近位端512は、器具近位端410と呼ばれることもある。アクチュエータ遠位端514は、トルク伝達部材406と係合することができる(
図20A〜
図20B)。アクチュエータ407は、基部510、基部510に接続された可動結合部材516、及び結合部材516に接続された細長い部材518を画定することができる。細長い部材518は、基部510に対して、長手方向Lに沿って、アクチュエータ遠位端514に向かって延在する。アクチュエータ遠位端314には、トルク作動部材546が配置される。結合部材516は、第1の位置(
図19)と第2の位置(図示せず)を繰り返して、トルク作動部材546をトルク伝達部材406(
図16)に回転可能に結合することができる。基部510は、遠位対向面520、及び長手方向Lに沿って該面520からアクチュエータ近位端512に向かって延在する周辺スロット521を画定することができる。
【0045】
アクチュエータ407は、支柱524と、支柱524を結合部材518に接続する柔軟部材540とを含む。支柱524は、また、基部510を細長い部材518に接続する。アクチュエータ407は、基部510及び細長い部材518が静的に接続されるように構成され、結合部材516は、柔軟部材540によって支柱524に可動式に接続される。結合部材516が更に下に詳述されるようにハンドル404に結合されると、基部510及び細長い部材518は、第1の位置と第2の位置の間で長手方向Lに沿って移動することができる。例えば、アクチュエータ407の近位端512に荷重を加えることによって、基部510及び細長い部材518が、結合部材516(及びハンドル404)に対して並進することができる。
【0046】
結合部材516は、外側面528と、外側面528から径方向Rに沿って離間された内側面530との間に延在する壁526を画定することができる。結合部材516は、本体526から径方向Rに沿って突出する1対のスラット532及び534を画定することができる。スラット対532及び534は、ハンドル本体430の戻り止め対448及び450によって収容され、その結果、ハンドル本体430内でのアクチュエータ407の回転運動が防止される。更に、結合部材516は、壁526から延在し、かつ近位面539から離間された遠位面538を形成するレッジ536を画定する(
図16)。遠位面538は、器具502が組み立てられたときにハンドル本体430の最近位部分と当接することができる。柔軟部材540は、壁526と支柱524との間に延在する。周辺隆起部542がレッジ536から長手方向Lに沿って延在して、(基部の)スロット521と選択的に係合する。隆起部542がスロット521に挿入されると、レッジ近位面539は、基部510の表面520と当接する。壁526の最位遠部分463は、付勢部材409と係合する自由端527を画定する。本体519は、径方向Rに沿って部材本体519を貫通する横断開口533を有することができる。非作動形態のとき(
図16)、横断開口533は、ハンドル本体開口433と位置合わせされる。
【0047】
細長い部材518は、長手方向Lに沿ってアクチュエータ遠位端514に向かって延在する本体519を画定することができる。細長い部材518は、遠位端514に配置されたトルク作動部材546を有することができる。トルク作動部材546は、本体548(例えば円板)、1つ又は複数の隆起部550、及び本体548から長手方向Lに沿って延在する突出部552を画定する。隆起部550は、例えば1対の隆起部550a〜bとして構成されうる。隆起部対550a〜550b及び突出部552は、トルク伝達部材406と選択的かつ回転可能に結合するように構成される。各隆起部550は、斜面556、本体548から離間された遠位面558、及び本体548と遠位面558との間に垂直方向に延在する側表面560を有することができる。側面560は、本体548に対してわずかに傾けられてもよい。斜面556は、本体548に垂直な線に対して角度θで配置される。一実施形態では、角度θは、約20度〜約75度の間で変化することができる。示された実施形態では、角度θ(図示せず)は、約45度である。斜面は、図示されたように線形でもよく、又は必要に応じて曲線でもよいことが理解されよう。隆起部対550a及び550bは、それぞれの斜面556が回転方向3に向くように配置される。
【0048】
トルク伝達部材406は、本体462、及び本体462から突出する1つ又は複数の隆起部464を画定する。1つ又は複数の隆起部は、1対の隆起部464a,464bとすることができる。隆起部対464a,464bは、トルク伝達部材本体462から突出して、対応する隆起部対550a及び550bと結合する。トルク伝達部材406の隆起部対464a及び464bは、アクチュエータ407の隆起部対550a及び550bと同じように構成される。しかしながら、隆起部対464の斜面466は、第2の回転方向5(第1の回転方向3と逆)に向いてアクチュエータ407の斜面556と当接する。トルク伝達部材本体462は、近位端468と、近位端468から器具軸411に沿って離間された遠位端470との間に延在する。本体462は、近位端468と遠位端470との間に延在するボア446を画定することができる。ボア446は、本体462からボア446の一部分に延在してボア446を2つの部分に分割する隆起部473を画定することができる。したがって、ボア446は、隆起部473から遠位に延在するシャフト係合又は第1の部分474と、隆起部473から近位に延在するアクチュエータ係合又は第2の部分476とを有することができる。ボア474は、シャフト408の係合部材423の断面形状に対応する断面形状を有することができ、例えば十字形を有することができる。シャフト係合部材423がシャフト係合部分474に挿入されると、トルク伝達部材406はシャフト408に対して回転して固定され、先端427は隆起部473と当接する。アクチュエータ係合部分476は、アクチュエータ突出部552の断面形状に対応する断面形状を有することができる。例えば、アクチュエータ係合部分476は、突出部がその中で選択的に摺動しかつ/又は回転できるように円筒状でよい。
【0049】
締結具14を締結位置16に打ち込むように器具402が操作されると、アクチュエータ407は作動されて動作形態となりうる。器具402を作動させるために、アクチュエータ基部510が長手方向Lに沿って移動されて柔軟部材540を屈曲又は変形させ、その結果、基部510及び細長い部材518が、結合部材516及びハンドル404に対して平行移動する。動作中、基部スロット521は結合部材隆起部542を収容し、一方、突出部552は、トルク伝達部材406のボア446の中に移動される。アクチュエータ壁526(壁自由端527)は、更に、付勢部材409を圧縮し、その結果、アクチュエータ隆起部550がトルク伝達部材の隆起部472と当接し、それにより、トルク作動部材546がトルク伝達部材406に回転可能に結合される。器具402が作動形態にあり、かつトルクがハンドル404に回転方向3に沿って印加されると、ハンドル404は、トルク伝達部材406を介して印加トルクTAをシャフト408に伝達し、それにより、ハンドル404、トルク伝達部材406、及びシャフト408が一緒に回転する。ハンドルに印加されるトルクが増大するにつれて、トルク伝達部材406はトルク作動部材546に対して回転し、それにより、隆起部472及び550が互いに対して摺動する。更に回転すると、トルク伝達部材406は、付勢部材409のばね力に対抗して移動する。印加トルクTAが制限トルク値TVより大きいとき、トルク伝達部材406は、トルク作動部材546を動かして柔軟部材540を撓ませ、更にばねを圧縮し、隆起部472及び550が摺動して互いに通り過ぎる。隆起部472及び550がスリップするにつれて、ハンドル4は、トルク伝達部材406及びシャフト408に対して回転する。
【0050】
本開示の一実施形態は、前述しかつ
図16〜
図20Bに示された実施形態によるトルク制限打ち込み器具を作製する方法を含む。方法は、ハンドル404及びトルク伝達部材406を形成するステップを含む。更に、方法は、アクチュエータ407を形成するステップを含むことができる。ハンドル404、トルク伝達部材406及び/又はアクチュエータ407は、高分子材料から形成されてもよい。代替実施形態によれば、方法は、高分子、添加剤、潤滑剤、及び高分子化合物を形成する他の処理剤を混合するステップを含むことができる。高分子化合物は、射出成形、吹込成形、及び/又は反応射出成形などを使用できる塑性成形又は混合方法などを使用して、ハンドル404、トルク伝達部材406及び/又はアクチュエータ407へと形成されることができる。混合及び形成ステップは、別個に行われてもよく、連続的に行われてもよく、又は単一ステップで一緒に行われてもよい。熱硬化性樹脂の場合は硬化ステップが含まれてもよい。更に、ハンドル又はトルク制限部材の一方を形成するために金属材料が使用される場合、CNC機械加工又は他の金属成形プロセスを使用することができる。ハンドル404又はトルク伝達部材406及びアクチュエータ407を形成するステップは、上に記載されかつ
図16〜
図20Bに示された構造の詳細を有するように、それぞれのハンドル404、トルク伝達部材406、及びアクチュエータ407を形成するステップを含むことができる。
【0051】
更に、
図16〜
図20Bに示された器具を作製する方法は、特定のトルク制限を有する器具402を形成するために、ハンドル404、トルク伝達部材406、シャフト408及びアクチュエータ407を組み立てるステップを含む。方法は、シャフト408が器具軸11に沿ってトルク伝達部材406から延在するようにシャフト408をトルク伝達部材406に取り付けるステップを含むことができる。方法は、また、トルク伝達部材406(シャフトの有無にかかわらず)をハンドル空洞442に挿入することによって、トルク伝達部材406をハンドル404に取り付けるステップを含むことができる。更に、方法は、ハンドル404内の付勢部材409をトルク伝達部材406と係合させるステップを含むことができる。アクチュエータ407は、ハンドル404及びトルク伝達部材406に結合されてもよい。アクチュエータが配置されている間、アクチュエータは、バイアス力がトルク伝達部材406及びアクチュエータ407の一部分に印加されるように、付勢部材を付勢させてもよい。更に、方法は、器具402を滅菌容器内にパッケージ化するステップ(例えば、器具を滅菌容器内に個々にパッケージ化するステップ)を含むことができる。
【0052】
本開示の一実施形態は、また、2つ以上のトルク制限器具、例えば第1の打ち込み器具及び第2の打ち込み器具を含む外科用キットを含む。第1及び第2の器具は、
図1〜
図20Bにおいて説明しかつ示した実施形態のいずれかに従って構成されてもよい。しかしながら、第1の打ち込み器具は、第1のトルク制限に達するまで第1の締結具を第1の回転方向3に沿って回転させるように構成される。第1のトルク制限は、例えば0.8nMとすることができる。第2の打ち込み器具は、第2のトルク制限に達するまで第2の締結具を第1の回転方向3に沿って回転させるように構成される610。第2のトルク制限は、例えば4.0nMとすることができる。器具のトルク制限は、任意の特定の制限の範囲であってよい。一実施形態では、トルクが第1の回転方向に沿って印加されたときにシャフトに伝達されるトルクを制限する第1のトルク制限器具、第2のトルク制限器具、又は第1及び第2の両方のトルク制限器具は、第1の回転方向3と逆の第2の回転方向5に沿った回転が、第2の回転方向5に印加されるトルクに関係なく第2の回転方向5に沿った締結具の回転を可能にするように構成される。即ち、器具は、1つの回転方向のトルクを制限するように構成され、その回転方向は、締結具を所定位置に締め付けるための回転方向と同じ方向であり、締結具が緩む回転方向に回転されたときにはトルク制限を含まない。
【0053】
本明細書に示されたような任意の単一の構成要素又は2つ以上の構成要素の組み合わせが、本発明の例示的な実施形態を構成できることを理解されたい。例えば、本明細書で述べられたハンドルとトルク制限部材の任意の組み合わせ、又はハンドルとトルク制限部材の一部分、並びに方法の様々なステップが、本発明の様々な実施形態を構成することができる。更に、一実施形態におけるそのような前述の構成要素のそれぞれの特定の特徴が、必要に応じて、他の実施形態における様々な構成要素の他の特徴と共に使用されてもよい。例えば、本明細書で開示された材料の任意の1つ又は組み合わせは、器具装置の様々な実施形態における様々な構成要素又は構成要素の組み合わせで使用されてもよい。
【0054】
本開示について詳細に説明してきたが、種々の変更、代用、及び修正が、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書においてなされ得ることを理解されたい。更に、本開示の範囲は、明細書に記載した特定の実施形態に限定することを意図したものではない。当業者が容易に理解するように、本明細書で述べた対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施するか又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発される、器具、装置、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップが、本開示に従って利用され得る。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 打ち込み器具のハンドル端からトルク伝達部材を介して、前記ハンドルに対して延在するシャフトに伝達されるトルクを制限するための方法であって、
前記シャフトに対する方向に沿って前記ハンドルにトルクを印加するステップと、
前記印加トルクが制限トルク値より小さいときに、前記印加トルクを前記ハンドルから前記トルク伝達部材を介して前記シャフトに伝達するステップであって、前記印加トルクが前記制限トルク値より大きいときに、前記トルク伝達部材及び前記ハンドルの少なくとも一方が変形して、前記ハンドルが、前記トルク伝達部材及び前記シャフトの両方に対する方向に沿って回転できるようにする、ステップと、を含む方法。
(2) 前記印加トルクが前記制限トルク値より大きいときに、前記トルク伝達部材及び前記ハンドルの少なくとも一方を変形させるステップを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記シャフトが、軸に沿って細長く、前記伝達するステップ及び前記変形させるステップが、前記ハンドル及び前記トルク伝達部材を前記軸上で器具近位端とその反対側の器具遠位端との間で静止させたままにして行われる、実施態様1又は2に記載の方法。
(4) 前記トルク伝達部材が、基部と、前記基部から延在する突出部とを有し、前記突出部が、前記ハンドルの相補的構造体に結合され、前記変形させるステップが、前記ハンドルを変形させるステップを含む、実施態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(5) 前記変形させるステップが、前記ハンドルを第1の形態から第2の形態に変形させるステップを更に含み、前記第1の形態は、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転できないときとして規定され、前記第2の形態は、前記印加トルクが前記制限トルク値より大きく、かつ、前記ハンドルが変形されて、前記ハンドルが、前記トルク伝達部材及び前記シャフトの両方に対する方向に沿って回転できるときとして規定される、実施態様1〜4のいずれかに記載の方法。
【0056】
(6) 前記ハンドルが、本体と前記本体から延在する突出部とを有し、前記突出部が、前記トルク制限部材の相補的構造体に結合され、前記変形させるステップが、前記トルク伝達部材を変形させるステップを含む、実施態様1〜5のいずれかに記載の方法。
(7) 前記変形させるステップが、前記トルク伝達部材を第1の形態から第2の形態に変形させるステップを更に含み、前記第1の形態は、前記ハンドルが前記シャフトに対して回転できないときとして規定され、前記第2の形態は、前記印加トルクが前記制限トルク値より大きく、かつ、前記トルク伝達部材が変形されて、前記ハンドルが、前記シャフトに対する方向に沿って回転できるときとして規定される、実施態様1〜6のいずれかに記載の方法。
(8) 前記打ち込み器具が、近位端と、器具軸に沿って前記近位端から離間された係合端とを画定し、前記ハンドル又は前記トルク伝達部材が、少なくとも部分的に前記器具軸に沿って延在する少なくとも1つの溝を画定し、前記ハンドル及び前記トルク伝達部材の他方が、本体と前記本体から延在する少なくとも1つの突出部とを画定し、前記少なくとも1つの突出部が、前記少なくとも1つの溝と結合され、前記変形させるステップが、更に、前記少なくとも1つの溝から前記少なくとも1つの突出部を分離するステップを含む、実施態様1〜7のいずれかに記載の方法。
(9) 前記少なくとも1つの突出部が、前記基部から延在して対応する少なくとも1つの溝と係合する少なくとも1つの柔軟なタブであり、前記変形させるステップが、更に、前記少なくとも1つの柔軟なタブを変形させて、前記少なくとも1つの溝との係合から外すステップを含む、実施態様1〜8のいずれかに記載の方法。
(10) トルク制限打ち込み器具を製造する方法であって、前記打ち込み器具が、締結具を締結位置に打ち込むように構成され、前記打ち込み器具が、近位端と、器具軸に沿って前記近位端から離間された締結具係合端とを画定し、前記方法が、
シャフトがトルク伝達部材から中心軸に沿って延在するように、前記シャフトを前記トルク伝達部材に取り付けるステップと、
前記トルク伝達部材をハンドルに取り付けるステップであって、前記トルク伝達部材又は前記ハンドルの少なくとも一方が、前記トルク伝達部材又は前記ハンドルの他方に接するように構成された少なくとも1つの突出部を画定する、ステップと、を含み、
前記トルク伝達部材又は前記ハンドルは、制限トルク値より大きいトルクが前記ハンドルに印加されるのに反応して変形し、それにより、前記ハンドルが、前記シャフトに対して回転できるように構成される、方法。
【0057】
(11) 前記ハンドルが、前記トルク制限部材を収容するように構成された内部空洞を画定し、前記トルク伝達部材を前記ハンドルに取り付けるステップが、更に、前記トルク伝達部材を前記ハンドル空洞に挿入するステップを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記トルク伝達部材が、前記ハンドル部材を収容するように構成された空洞を画定し、前記トルク伝達部材を前記ハンドルに取り付けるステップが、更に、前記ハンドルを前記トルク伝達部材空洞に挿入するステップを含む、実施態様10又は11に記載の方法。
(13) 前記トルク伝達部材が、基部と前記基部から延在する少なくとも1つの柔軟なタブとを画定し、前記ハンドルが、少なくとも1つの溝を画定し、前記トルク伝達部材を前記ハンドルに取り付けるステップは、更に、前記少なくとも1つの柔軟なタブが、前記ハンドルの前記少なくとも1つの溝によって少なくとも部分的に収容されるように、前記トルク伝達部材を位置決めするステップを含む、実施態様10に記載の方法。
(14) アンカーを手術部位に打ち込むためのトルク制限打ち込み器具であって、前記打ち込み器具が、近位端と、器具軸に沿って前記近位端から離間された遠位端とを画定し、前記打ち込み器具が、
ハンドルと、
前記ハンドルに結合されたトルク伝達部材であって、前記トルク伝達部材が、前記トルク制限部材から延在する少なくとも1つの突出部を有し、前記少なくとも1つの突出部材が前記ハンドルの相補的構造体に接するように前記トルク伝達部材が前記ハンドルに結合された、トルク伝達部材と、
前記器具軸に沿って前記トルク伝達部材からアンカー係合端まで延在するシャフトであって、前記トルク制限部材に回転して固定された、シャフトと、を含み、
前記ハンドル及び前記トルク伝達部材のどちらかは、前記ハンドルが前記トルク制限部材に対して選択的に回転可能になるように変形可能であり、前記打ち込み器具は、前記ハンドルに印加されたトルクが制限トルク値より大きくなるまで前記アンカーを回転方向に沿って回転させるように構成された、トルク制限打ち込み器具。
(15) 前記ハンドル及び前記トルク伝達部材が、前記打ち込み器具の前記近位端及び前記遠位端に対して静止している、実施態様14に記載の打ち込み器具。
【0058】
(16) 前記ハンドルの前記相補的構造体が、少なくとも部分的に前記器具軸に沿って延在する少なくとも1つの溝である、実施態様14又は15に記載の打ち込み器具。
(17) 前記ハンドル及び前記トルク伝達部材の少なくとも一方が、高分子である、実施態様14〜16のいずれかに記載の打ち込み器具。
(18) 前記打ち込み器具が、第1の形態と第2の形態とを繰り返すように構成され、前記第1の形態は、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転可能でないときとして規定され、前記第2の形態は、前記印加トルクが前記制限トルク値より大きく、前記ハンドルが、前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転可能であるときとして規定される、実施態様14〜17のいずれかに記載の打ち込み器具。
(19) 前記ハンドルは、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転できるように変形するように構成された、実施態様14〜18のいずれかに記載の打ち込み器具。
(20) 前記トルク伝達部材は、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転できるように変形するように構成された、実施態様14〜19のいずれかに記載の打ち込み器具。
【0059】
(21) 前記ハンドルの前記相補的構造体が、少なくとも1つの溝である、実施態様14〜20のいずれかに記載の打ち込み器具。
(22) 前記少なくとも1つの突出部が、前記トルク伝達部材から延在して前記ハンドルの対応する少なくとも1つの溝と係合する少なくとも1つの柔軟なタブである、実施態様14〜21のいずれかに記載の打ち込み器具。
(23) アンカーを手術部位に打ち込むためのトルク制限打ち込み器具であって、前記打ち込み器具が、近位端と、器具軸に沿って前記近位端から離間された遠位端とを画定し、前記打ち込み器具が、
ハンドルと、
前記ハンドルに結合されたトルク伝達部材と、
前記器具軸に沿って前記トルク伝達部材から延在するシャフトであって、前記ハンドルが、前記トルク伝達部材及び前記シャフトの周囲で選択的に回転可能である、シャフトと、
前記ハンドルに取り付けられ、前記トルク伝達部材に選択的に回転可能に結合されたアクチュエータと、を含み、前記アクチュエータが、前記打ち込み器具に、1)前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転可能である非活動形態と、2)前記ハンドルに印加されたトルクが制限トルク値より大きくなって、それにより前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトに対して回転可能になるまで、前記ハンドルが前記トルク伝達部材及び前記シャフトと共に回転可能である活動形態と、を繰り返させるように構成された、トルク制限打ち込み器具。
(24) 前記アクチュエータは、前記器具が前記活動形態にあるときに前記トルク伝達部材と回転可能に結合されるトルク作動部材を含み、前記トルク作動部材は、前記器具が前記非活動形態にあるときに前記トルク伝達部材から切り離される、実施態様23に記載の打ち込み器具。
(25) 前記ハンドル、前記トルク伝達部材、及び前記アクチュエータの少なくとも1つが、高分子である、実施態様23又は24に記載の打ち込み器具。
【0060】
(26) 前記トルク伝達部材と前記アクチュエータの一部分との間に付勢部材を更に有する、実施態様23〜25のいずれかに記載の打ち込み器具。
(27) 前記アクチュエータが、前記ハンドルに柔軟に結合される、実施態様23〜26のいずれかに記載の打ち込み器具。
(28) 前記アクチュエータが、基部であって、前記トルク作動部材が前記基部から前記器具軸に沿って遠位に延在する、基部と、前記トルク作動部材に可動式に取り付けられた結合部材とを有し、前記結合部材が、前記ハンドルに取り付けられ、それにより、前記トルク作動部材が、前記器具軸に沿って移動可能になる、実施態様23〜27のいずれかに記載の打ち込み器具。
(29) 柔軟部材が、前記結合部材を前記トルク作動部材に可動式に取り付ける、実施態様23〜28のいずれかに記載の打ち込み器具。
(30) 実施態様14〜29のいずれかに記載の打ち込み器具のトルクを制限する方法。
【0061】
(31) 実施態様14〜29のいずれかに記載の打ち込み器具を組み立てる方法。
(32) 実施態様14〜29のいずれかに記載の打ち込み器具を含むシステム。
(33) 実施態様14〜29のいずれかに記載の打ち込み器具のうちの1つ又は複数を含む手術キット。
(34) 本明細書に記載されたような打ち込み器具。
(35) 本明細書に記載されたようなトルクを制限する方法。