(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交換時期設定手段は、前記フィーダセットエリアにセットされている各フィーダの部品切れ時期を算出し、部品切れ時期が重ならないフィーダについてはその全てのフィーダの交換時期を部品切れ時期に設定し、部品切れ時期が重なるフィーダについてはそのうちの1つのフィーダの交換時期のみを部品切れ時期に設定し、それ以外のフィーダの交換時期を部品切れ時期より前倒しした時期に設定することで各フィーダの交換時期が重ならないように設定することを特徴とする請求項1に記載のフィーダ自動交換システム。
【背景技術】
【0002】
従来の部品実装機は、特許文献1(WO2004/103052号公報)、特許文献2(特開2012−99614号公報)に記載されているように、部品実装機のフィーダセット台に複数のフィーダをセットして、各フィーダにより供給される部品を吸着ノズルで吸着して回路基板に実装し、そのフィーダが部品切れになる毎に、作業者が部品切れのフィーダをフィーダセット台から取り外して、同じ部品を供給するフィーダをフィーダセット台にセットするフィーダ交換作業を行うようにしている。
【0003】
更に、特許文献1では、作業者がフィーダ交換作業を能率良く行うことができるようにするために、部品切れまでの残り時間を予告して、部品切れとなるまでに同じ部品を供給するフィーダを準備する時間的な余裕を作業者に与えるようにしている。
【0004】
しかし、部品実装機には多数のフィーダがセットされるため、複数のフィーダの交換時期が重なることがあるが、1人の作業者が部品切れした複数のフィーダを同じ交換時期に交換することは困難であるため、部品切れした全てのフィーダの交換作業が終わるまで部品実装機の稼働を停止させてしまい、部品実装機の稼働率が低下するという欠点があった。
【0005】
そこで、特許文献2では、フィーダ交換作業が一時期に集中することがないようにフィーダの交換時期を分散させるフィーダ交換作業計画を作成し、作業者がこのフィーダ交換作業計画に従ってフィーダを交換するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献2では、フィーダ交換作業計画を作成する際に、フィーダの交換時期を分散させることを優先して、部品を使い切る前にフィーダを交換するため、フィーダの部品を最後まで使い切ることができず、生産コストアップの要因となる。しかも、作業者がフィーダ交換作業計画通りにフィーダの交換作業を行わなければならないため、作業者にかかる負担も大きい。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フィーダ交換作業を自動化し、且つ、フィーダ交換時に部品実装機の稼働を停止させず、部品実装機の稼働率を向上できると共に、フィーダの部品を最後まで使い切ることができて、生産コストも低減できるフィーダ自動交換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、部品実装機のフィーダセットエリアにセットした複数のフィーダの中から交換が必要なフィーダを自動的に交換するフィーダ自動交換システムであって、前記交換が必要なフィーダと交換するフィーダを待機させるフィーダストックエリアと、前記フィーダセットエリアから前記交換が必要なフィーダを取り出すと共に前記フィーダストックエリアで待機する複数のフィーダの中から前記交換が必要なフィーダと同じ部品を供給するフィーダを取り出して前記フィーダセットエリアにセットする交換ロボットと、前記フィーダセットエリアから取り出すフィーダが部品の残った使いかけのフィーダである場合にその部品残数を当該フィーダと関連付けて記憶する記憶手段と、前記フィーダセットエリアにセットした各フィーダの交換時期を他のフィーダと交換時期が重ならないように設定する交換時期設定手段とを備え、前記交換ロボットは、前記交換時期設定手段で設定した交換時期に前記フィーダセットエリアから当該交換時期になったフィーダを取り出して、少なくとも前記使いかけのフィーダを前記フィーダストックエリアに回収すると共に、前記フィーダストックエリアで待機する複数のフィーダの中から当該交換時期になったフィーダと同じ部品を供給するフィーダを取り出して前記フィーダセットエリアにセットし、前記交換時期設定手段は、前記交換ロボットが前記フィーダセットエリアに前記使いかけのフィーダをセットした場合は、前記記憶手段に記憶した部品残数を用いて当該使いかけのフィーダの交換時期を設定することを特徴とするものである。
【0010】
この構成では、部品実装機のフィーダセットエリアにセットした各フィーダを、交換ロボットにより同じ部品を供給するフィーダと自動交換できるため、作業者がフィーダ交換作業を行う必要がなく、省力化できる。しかも、フィーダセットエリアにセットした各フィーダの交換時期を他のフィーダと交換時期が重ならないように設定するため、部品実装機の稼働を停止させずにフィーダを自動交換でき、部品実装機の稼働率を向上できる。更に、フィーダセットエリアから取り出したフィーダが使いかけのフィーダである場合には、その使いかけのフィーダをフィーダストックエリアに回収して再使用できるため、フィーダの部品を最後まで使い切ることができて、生産コストも低減できる。尚、本発明では、フィーダの交換回数が従来より増加するが、フィーダの交換作業は交換ロボットが行うため、作業者の作業量が増えることはない。
【0011】
この場合、前記交換時期設定手段は、前記フィーダセットエリアにセットされている各フィーダの部品切れ時期を算出し、部品切れ時期が重ならないフィーダについてはその全てのフィーダの交換時期を部品切れ時期に設定し、部品切れ時期が重なるフィーダについてはそのうちの1つのフィーダの交換時期のみを部品切れ時期に設定し、それ以外のフィーダの交換時期を部品切れ時期より前倒しした時期に設定することで各フィーダの交換時期が重ならないように設定するようにすると良い。このようにすれば、フィーダセットエリアにセットされている各フィーダの交換時期を部品切れ時期に設定すると、交換時期が重なるフィーダについてのみ交換時期を部品切れ時期より前倒しした時期に設定して各フィーダの交換時期が重ならないようにすることができ、フィーダセットエリアから取り出す使いかけのフィーダの数を必要最小限に抑えることができて、フィーダの交換回数の増加を必要最小限に抑えることができる。
【0012】
また、本発明は、部品を全て使い切った使用済みのフィーダを回収する使用済みフィーダ回収エリアを備え、前記交換ロボットは、前記フィーダセットエリアから取り出すフィーダが使用済みのフィーダである場合に当該フィーダを前記使用済みフィーダ回収エリアに回収するようにしても良い。このようにすれば、部品を全て使い切った使用済みのフィーダと使いかけのフィーダとを分別して回収することができ、部品実装機から使用済みのフィーダを取り出す作業が容易となる。
【0013】
また、本発明は、フィーダセットエリアにセットされている各フィーダと同じ部品を供給するフィーダがフィーダストックエリアに存在するか否かを監視するフィーダ監視手段と、前記フィーダ監視手段が前記フィーダストックエリアに存在しないと判定した部品のフィーダを当該フィーダストックエリアに補給するように表示及び/又は音声で作業者に案内する案内手段とを備えた構成とすると良い。このようにすれば、フィーダセットエリアにセットされている各フィーダと同じ部品を供給するフィーダがフィーダストックエリアに存在しない場合に、作業者に当該フィーダをフィーダストックエリアに補給するように案内することができ、フィーダストックエリアへのフィーダの補給作業を作業者に遅滞なく確実に行わせることができる利点がある。
【0014】
また、本発明は、フィーダに、フィーダ識別情報を記録又は記憶した識別情報記録部を設けると共に、フィーダストックエリアには、当該フィーダストックエリアで待機するフィーダの識別情報記録部から前記フィーダ識別情報を読み取る識別情報読取り部を設け、前記交換ロボットを制御する制御手段は、前記識別情報読取り部から送信されてくる前記フィーダ識別情報に基づいてフィーダを識別するようにすると良い。このようにすれば、フィーダストックエリアで待機する複数のフィーダがどの様な順序で並んでいても、それらのフィーダの中から、フィーダ識別情報に基づいて交換するフィーダを正確に選び出してフィーダセットエリアにセットすることができる。また、フィーダストックエリアにフィーダを補給する際に、フィーダをどの様な順序で並べても良いため、任意の空きスペース(空きスロット)に自由にフィーダを補給することが可能となり、フィーダストックエリアへのフィーダの補給を作業者が行う場合でも、そのフィーダの補給作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、フィーダストックエリアに補給するフィーダの搬入及び使用済みのフィーダの搬出を行うフィーダ搬送用のコンベアと、前記コンベアと前記フィーダストックエリアとの間でフィーダを載せ替える載替ロボットとを備えた構成としても良い。このようにすれば、フィーダストックエリアへのフィーダの搬入及び使用済みのフィーダの搬出も自動的に行うことができる。
【0016】
本発明に使用するフィーダは、巻回した部品供給テープを装填するテープ装填部と、前記テープ装填部から引き出した部品供給テープを部品吸着位置へ送るテープ送り機構と、前記部品吸着位置の手前で前記部品供給テープからトップフィルムを剥離して当該部品供給テープ内の部品を露出させるトップフィルム剥離機構と、前記テープ装填部、前記テープ送り機構及び前記トップフィルム剥離機構を内蔵したカセットケースとを備えたカセット式フィーダを用いるようにしても良い。このように、カセット式フィーダを用いれば、自動交換時の取り扱いが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、
図3に基づいてカセット式フィーダ11の構成を説明する。
【0019】
カセット式フィーダ11のカセットケース12は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース12内には、部品供給テープ13が巻回されたテープリール14を着脱可能(交換可能)に装填するテープ装填部15が設けられている。テープ装填部15の中心には、テープリール14を回転可能に保持するリール保持軸16が設けられている。
【0020】
カセットケース12内には、テープリール14から引き出した部品供給テープ13を部品吸着位置へ送るテープ送り機構18と、部品吸着位置の手前で部品供給テープ13からトップフィルム20を剥離して該部品供給テープ13内の部品を露出させるトップフィルム剥離機構19とが設けられている。部品吸着位置は、カセットケース12の上面のテープ送り方向側の端部付近に位置している。カセットケース12内には、テープリール14から引き出した部品供給テープ13を部品吸着位置へ案内するテープガイド21が設けられている。
【0021】
テープ送り機構18は、部品吸着位置の下方付近に設けられたスプロケット22と、このスプロケット22を回転駆動するモータ23等から構成され、部品供給テープ13の片方の側縁に所定ピッチで形成されたテープ送り穴にスプロケット22の歯を噛み合わせて該スプロケット22を回転させることで、部品供給テープ13を部品吸着位置へピッチ送りするようになっている。
【0022】
トップフィルム剥離機構19は、部品吸着位置の手前で部品供給テープ13を押さえて該部品供給テープ13の上面からトップフィルム20を剥離するためのテープ押え25と、該テープ押え25で剥離したトップフィルム20をテープ送り方向とは逆方向に引っ張ってカセットケース12の上部に設けられたトップフィルム回収部26内へ送り込むトップフィルム送りギア機構27と、該トップフィルム送りギア機構27を駆動するモータ28等から構成されている。
【0023】
カセットケース12のうちのテープ送り方向側の端縁部には、部品吸着位置を通過して部品が取り出された廃棄テープ13a(本実施例ではトップフィルム20が剥離されたキャリアテープのみ)を下方に案内して排出する廃棄テープ排出通路30が下方に延びるように設けられ、該廃棄テープ排出通路30の出口30aがカセットケース12のテープ送り方向側の端面の中央より下側の位置に設けられている。廃棄テープ排出通路30の上部には、エアー導入口(図示せず)がカセットケース12のうちのテープ送り方向側の端面に開口するように設けられ、該エアー導入口から該廃棄テープ排出通路30内にエアーを導入して該廃棄テープ排出通路30内に下向きのエアーの流れを生じさせるようになっている。
【0024】
カセットケース12内には、テープ送り機構18のモータ23やトップフィルム剥離機構19のモータ28を制御する制御装置32が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース12には、後述するフィーダ自動交換システム34側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。
【0025】
また、カセットケース12の所定位置には、フィーダ識別情報(以下「フィーダID」と表記する)を記録又は記憶した識別情報記録部(図示せず)が設けられている。この識別情報記録部としては、例えばフィーダIDをバーコード、二次元コード等で記録したコードラベルを用いても良いし、フィーダIDのデータを記憶した電子タグ(RFタグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)を用いても良い。
【0026】
次に、上記構成のカセット式フィーダ11を用いたフィーダ自動交換システム34の構成を
図1、
図2及び
図4を用いて説明する。
図1に示すように、部品実装機35には、回路基板を搬送する2本のコンベア37と、カセット式フィーダ11から供給される部品を吸着して回路基板に実装する吸着ノズル(図示せず)を保持する装着ヘッド38と、装着ヘッド38をXY方向(左右前後方向)に移動させるXY移動機構39と、吸着ノズルに吸着した部品を撮像する撮像装置63(
図4参照)等が設けられている。その他、
図4に示すように、部品実装機35の制御装置60には、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置64と、後述する
図5乃至
図7のフィーダ自動交換用の各プログラムや各種データ等を記憶するハードディスク、RAM、ROM等の記憶装置65(記憶手段)と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置66等が接続されている。
【0027】
フィーダ自動交換システム34は、部品実装機35の前方(コンベア37の搬送方向であるX方向と直交するY方向)に着脱可能に設置されている。フィーダ自動交換システム34には、フィーダセットエリア41とフィーダ入替エリア42とフィーダストックエリア43が設けられている。フィーダセットエリア41は、コンベア37の前方(Y方向)に位置し、部品実装機35の部品吸着位置に部品を供給する複数のカセット式フィーダ11を並べてセットするエリアである。このフィーダセットエリア41には、カセット式フィーダ11側の通信・電源用のコネクタ(図示せず)と接続される通信・電源用のコネクタ(図示せず)が設けられ、双方のコネクタの接続によりカセットケース12内の制御装置32と部品実装機35の制御装置60(
図4参照)との間で制御信号等を送受信すると共に、カセットケース12内の制御装置32等に通電されるようになっている。
【0028】
フィーダセットエリア41の下方には、フィーダストックエリア43が配置されている。このフィーダストックエリア43は、フィーダセットエリア41内の交換が必要なカセット式フィーダ11と交換する次のカセット式フィーダ11を収納すると共に、フィーダセットエリア41から取り出したカセット式フィーダ11を回収するエリアである。このフィーダストックエリア43には、カセット式フィーダ11を1個ずつセットするスロットが該フィーダストックエリア43に収容可能なフィーダ数分だけ形成されていると共に、各スロットにセットしたカセット式フィーダ11の識別情報記録部からフィーダIDを読み取る識別情報読取り部61(
図4参照)が設けられ、該識別情報読取り部61で読み取ったフィーダIDをフィーダ自動交換システム34の制御装置である部品実装機35の制御装置60(制御手段)に送信して、各スロットにセットしたカセット式フィーダ11の部品種等を自動認識するようになっている。
【0029】
このようにすれば、フィーダストックエリア43で待機する複数のカセット式フィーダ11がどの様な順序で並んでいても、それらのカセット式フィーダ11の中から、フィーダIDに基づいて交換するカセット式フィーダ11を正確に選び出してフィーダセットエリア41にセットすることができる。また、フィーダストックエリア43にカセット式フィーダ11を補給する際に、カセット式フィーダ11をどの様な順序で並べても良いため、任意の空きスペース(空きスロット)に自由にカセット式フィーダ11を補給することが可能となり、フィーダストックエリア43へのカセット式フィーダ11の補給を作業者が行う場合でも、そのカセット式フィーダ11の補給作業を容易に行うことができる。
【0030】
尚、本実施例では、フィーダセットエリア41から取り出した全てのカセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43に回収するようにしたが、本発明は、この構成に限定されず、例えば、フィーダストックエリア43に隣接して使用済みフィーダ回収エリア(図示せず)を配置し、フィーダセットエリア41から取り出したカセット式フィーダ11のうち、部品を全て使い切った使用済み(部品切れ)のカセット式フィーダ11を使用済みフィーダ回収エリアに回収し、部品の残った使いかけのカセット式フィーダ11のみをフィーダストックエリア43に回収するようにしても良い。このようにすれば、部品を全て使い切った使用済みのカセット式フィーダ11と使いかけのカセット式フィーダ11とを分別して回収することができ、部品実装機35から使用済みのカセット式フィーダ11を取り出す作業が容易となる。
【0031】
フィーダストックエリア43及びフィーダセットエリア41の前方には、フィーダ入替エリア42が配置され、このフィーダ入替エリア42を使用してフィーダストックエリア43とフィーダセットエリア41との間でカセット式フィーダ11が入れ替えられる。このフィーダ入替エリア42には、交換ロボット45(
図2、
図4参照)が設けられている。この交換ロボット45は、フィーダセットエリア41から交換が必要なカセット式フィーダ11を取り出すと共に、フィーダストックエリア41で待機する複数のフィーダセットエリア41の中から前記交換が必要なカセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11を取り出してフィーダセットエリア41にセットする。
【0032】
また、部品実装機35の制御装置60は、識別情報読取り部61で読み取ったフィーダIDに基づいて、フィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11がフィーダストックエリア53に存在するか否かを監視するフィーダ監視手段としても機能し、前記フィーダ監視手段がフィーダストックエリア43に存在しないと判定した部品のカセット式フィーダ11を当該フィーダストックエリア43に補給するように表示装置66の表示及び/又は音声で作業者に案内する案内手段としても機能する。このようにすれば、フィーダセットエリア51にセットされている各カセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11がフィーダストックエリア43に存在しない場合に、作業者に当該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43に補給するように案内することができ、フィーダストックエリア43へのカセット式フィーダ11の補給作業を作業者に遅滞なく確実に行わせることができる利点がある。
【0033】
更に、本実施例では、フィーダストックエリア43へのカセット式フィーダ11の補給を自動化した構成としている。具体的には、部品実装機35の下部に、フィーダストックエリア43に補給するカセット式フィーダ11の搬入及び使用済みのカセット式フィーダ11の搬出を行うフィーダ搬送用のコンベア51を設けると共に、フィーダ搬送用のコンベア51とフィーダストックエリア43との間でカセット式フィーダ11を載せ替える載替ロボット52を設けた構成としている。
【0034】
フィーダ搬送用のコンベア51は、回路基板搬送用のコンベア37の搬送方向と同じ方向(X方向)にカセット式フィーダ11を横倒し状態で搬送するように設けられている。このフィーダ搬送用のコンベア51には、搬入したカセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の後方位置で停止させるためのストッパ53が昇降可能に設けられている。
【0035】
載替ロボット52は、カセット式フィーダ11をクランプするクランプ機構54と、該クランプ機構54を水平軸の回りを回転させる回転機構55と、該クランプ機構54を上下方向及びXY方向(水平方向)に移動させる移動機構56とから構成されている。
【0036】
次に、フィーダ搬送用のコンベア51と載替ロボット52の動作を説明する。
フィーダストックエリア43に補給するカセット式フィーダ11をコンベア51に載せて搬入する場合は、ストッパ53を上方に突出させて該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の後方位置で停止させる。この後、載替ロボット52を動作させて、クランプ機構54でフィーダ搬送用のコンベア51上の横倒し状態のカセット式フィーダ11をクランプして、移動機構56によりクランプ機構54を上昇させて該カセット式フィーダ11をフィーダ搬送用のコンベア51から持ち上げて該カセット式フィーダ11の回転スペースを確保する。この後、回転機構55によりクランプ機構54を90°回転させて該カセット式フィーダ11を90°回転させて立てた状態にした後、移動機構56によりクランプ機構54をフィーダ搬送用のコンベア51と平行な方向(X方向)に移動させて、該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の空きスロットの位置に合わせて、該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の空きスロットに収納する。
【0037】
一方、フィーダストックエリア43から使用済みのカセット式フィーダ11を取り出して搬出する場合は、ストッパ53を下方に引っ込めた状態にすると共に、フィーダストックエリア43の使用済みのカセット式フィーダ11をクランプ機構54でクランプして引き出して、回転機構55によりクランプ機構54を90°回転させて該カセット式フィーダ11を立てた状態から横倒し状態にしてフィーダ搬送用のコンベア51上に載せて搬出する。
【0038】
次に、上記構成のフィーダ自動交換システム34を用いて、部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットした複数のカセット式フィーダ11の交換時期を分散させてカセット式フィーダ11を自動的に交換する方法を説明する。フィーダ自動交換システム34の制御装置である部品実装機35の制御装置60は、フィーダセットエリア41から取り出すカセット式フィーダ11が部品の残った使いかけのカセット式フィーダ11である場合に、その部品残数を当該カセット式フィーダ11のフィーダIDと関連付けて記憶装置65に記憶する機能と、フィーダセットエリア41にセットした各カセット式フィーダ11の交換時期を他のカセット式フィーダ11と交換時期が重ならないように設定する交換時期設定手段としての機能を備え、交換ロボット45の動作を制御して、設定した交換時期にフィーダセットエリア41から当該交換時期になったカセット式フィーダ11を取り出してフィーダストックエリア43に回収すると共に、フィーダストックエリア41で待機する複数のカセット式フィーダ11の中から当該交換時期になったカセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11を取り出してフィーダセットエリア41にセットする。
【0039】
更に、部品実装機35の制御装置60は、交換ロボット45がフィーダセットエリア41に使いかけのカセット式フィーダ11をセットした場合は、記憶装置65から当該カセット式フィーダ11のフィーダIDに対応する部品残数を用いて当該使いかけのカセット式フィーダ11の交換時期を設定する。具体的には、フィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11の部品切れ時期を算出し、部品切れ時期が重ならないカセット式フィーダ11についてはその全てのカセット式フィーダ11の交換時期を部品切れ時期に設定し、部品切れ時期が重なるカセット式フィーダ11についてはそのうちの1つのカセット式フィーダ11の交換時期のみを部品切れ時期に設定し、それ以外のカセット式フィーダ11の交換時期を部品切れ時期より前倒しした時期に設定することで、各カセット式フィーダ11の交換時期が重ならないように設定する。このようにすれば、フィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11の交換時期を部品切れ時期に設定すると、交換時期が重なるカセット式フィーダ11についてのみ交換時期を部品切れ時期より前倒しした時期に設定して各カセット式フィーダ11の交換時期が重ならないようにすることができ、フィーダセットエリア41から取り出す使いかけのカセット式フィーダ11の数を必要最小限に抑えることができて、カセット式フィーダ11の交換回数の増加を必要最小限に抑えることができる。
【0040】
以上説明した本実施例のカセット式フィーダ11の自動交換は、部品実装機35の制御装置60によって
図5乃至
図7のフィーダ自動交換用の各プログラムに従って次のように実行される。
[フィーダ自動交換メインプログラム]
図5のフィーダ自動交換メインプログラムは、生産開始前に起動され、まず、ステップ101で、生産計画を設定した後、ステップ102に進み、後述する
図6のフィーダ交換時期分散処理プログラムを実行して、部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする各カセット式フィーダ11の交換時期を分散させる。この後、ステップ103に進み、生産の段取り替えを実施し、次のステップ104で、生産を開始する。
【0041】
生産中は、ステップ105で、基板の生産枚数、各部品の使用数を制御装置60に報告する。この後、ステップ106に進み、再度、後述する
図6のフィーダ交換時期分散処理プログラムを実行して、フィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11の交換時期を分散させる。この後、ステップ107に進み、フィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11がフィーダストックエリア53に存在するか否かを監視し、フィーダストックエリア43に存在しないと判定した部品のカセット式フィーダ11を準備、配膳するように表示装置66の表示及び/又は音声で作業者に案内する。このステップ107の処理が請求の範囲でいうフィーダ監視手段及び案内手段に相当する。
【0042】
そして、次のステップ108で、作業者が準備したカセット式フィーダ11をフィーダ搬送用のコンベア51によりフィーダ自動交換システム34内に搬入して、載替ロボット52によりフィーダストックエリア43に配膳する。そして、次のステップ109で、部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11の交換時期のスケジュールに従って交換ロボット45によってフィーダセットエリア41から当該交換時期になったカセット式フィーダ11を取り出してフィーダストックエリア43に回収すると共に、フィーダストックエリア41で待機する複数のカセット式フィーダ11の中から当該交換時期になったカセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11を取り出してフィーダセットエリア41にセットする。
【0043】
この後、ステップ110に進み、生産終了か否かを判定し、生産中と判定されれば、上述したステップ105〜110の処理を再度実行する。これにより、生産を終了するまで、上述したステップ105〜110の処理を所定周期で繰り返し実行し、生産を終了した時点で、本プログラムを終了する。
[フィーダ交換時期分散処理プログラム]
図6のフィーダ交換時期分散処理プログラムは、
図5のフィーダ自動交換メインプログラムのステップ102及びステップ106で実行されるサブルーチンであり、請求の範囲でいう交換時期設定手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、生産計画から生産対象ジョブ、生産予定枚数、現在の生産枚数、基板1枚当たりの部品使用数を取得した後、ステップ202に進み、段取り替えで準備、もしくは現在使用中の各部品の残数を取得すると共に、次のステップ203で、補給する各部品の部品数を取得する。
【0044】
この後、ステップ204に進み、部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットされている各カセット式フィーダ11の部品切れ時期を算出した後、ステップ205に進み、各カセット式フィーダ11の準備、配膳スケジュールを標準化するように算出する。この後、ステップ206に進み、カセット式フィーダ11の部品切れ時期が重複するものを抽出する。
【0045】
そして、次のステップ207で、カセット式フィーダ11の部品切れ時期が重複するか否かを判定し、重複しないと判定されれば、カセット式フィーダ11の交換時期を分散する必要がないため、以降の処理を行わず、そのまま本プログラムを終了する。
【0046】
これに対し、上記ステップ207で、カセット式フィーダ11の部品切れ時期が重複すると判定されれば、ステップ208に進み、後述する
図7のフィーダ交換時期前倒し処理プログラムを実行して、各カセット式フィーダ11の交換時期が重ならないように交換時期を前倒しして分散させる。この後、ステップ209に進み、各カセット式フィーダ11の準備、配膳スケジュールに反映して、本プログラムを終了する。
[フィーダ交換時期前倒し処理プログラム]
図7のフィーダ交換時期前倒し処理プログラムは、
図6のフィーダ交換時期分散処理プログラムのステップ208で実行されるサブルーチンであり、請求の範囲でいう交換時期設定手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、生産する基板毎にフィーダ交換本数(部品切れ数と再交換本数)を計算する。
【0047】
この後、ステップ302に進み、部品切れ時期が重複する複数のカセット式フィーダ11のうちの1つのカセット式フィーダ11の交換時期を、部品切れが発生しない基板の生産時間に前倒しする。この後、ステップ303に進み、一時的に交換して抜いた使いかけのカセット式フィーダ11の部品残数を取得する。この後、ステップ304に進み、一時的に交換して抜いた使いかけのカセット式フィーダ11の再交換と交換後に部品切れになる時期が、部品切れの発生しない基板の生産時間になるように再交換時期を計算する。
【0048】
この後、ステップ305に進み、各カセット式フィーダ11の部品切れ時期が重複しているか否かを判定し、部品切れ時期が重複していると判定されれば、上述したステップ301〜305の処理を再度実行する。これにより、各カセット式フィーダ11の部品切れ時期が重複していないと判定されるまで、部品切れ時期が重複するカセット式フィーダ11の交換時期を前倒しする処理を繰り返し、各カセット式フィーダ11の部品切れ時期が重複しなくなったときに本プログラムを終了する。
【0049】
以上説明した本実施例によれば、部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットした各カセット式フィーダ11を、交換ロボット45により同じ部品を供給するカセット式フィーダ11と自動交換できるため、作業者がフィーダ交換作業を行う必要がなく、省力化できる。しかも、フィーダセットエリア41にセットした各カセット式フィーダ11の交換時期を他のフィーダセットエリア41と交換時期が重ならないように設定するため、部品実装機35の稼働を停止させずにカセット式フィーダ11を自動交換でき、部品実装機35の稼働率を向上できる。更に、フィーダセットエリア41から取り出したカセット式フィーダ11が使いかけのカセット式フィーダ11である場合には、その使いかけのカセット式フィーダ11をフィーダストックエリア41に回収して再使用できるため、カセット式フィーダ11の部品を最後まで使い切ることができて、生産コストも低減できる。尚、本実施例では、カセット式フィーダ11の交換回数が従来より増加するが、フィーダ交換作業は交換ロボット45が行うため、作業者の作業量が増えることはない。
【0050】
本発明は、カセット式フィーダ11を用いる構成に限定されず、カセット式でないフィーダを用いる構成としても良く、また、交換ロボットの構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。