特許第6377764号(P6377764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6377764スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法及びこの方法で生成したブロッコリの利用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377764
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法及びこの方法で生成したブロッコリの利用方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/30 20160101AFI20180813BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20180813BHJP
   A61K 8/9783 20170101ALN20180813BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALN20180813BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20180813BHJP
   A61K 8/46 20060101ALN20180813BHJP
   A23K 10/30 20160101ALN20180813BHJP
   A23K 20/105 20160101ALN20180813BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20180813BHJP
   C07C 331/20 20060101ALN20180813BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20180813BHJP
【FI】
   A23L5/30
   A23L19/00 A
   !A61K8/9783
   !A61Q19/10
   !A61Q19/00
   !A61K8/46
   !A23K10/30
   !A23K20/105
   !A23L33/105
   !C07C331/20
   !A23L2/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-562917(P2016-562917)
(86)(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公表番号】特表2017-518039(P2017-518039A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】KR2015003340
(87)【国際公開番号】WO2015160124
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0044150
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0046670
(32)【優先日】2015年4月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516306360
【氏名又は名称】ビーケーバイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BKBIO CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヒュクジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,キョンスク
(72)【発明者】
【氏名】チョン,チュンギ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドンオン
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0030790(KR,A)
【文献】 特表2013−531052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0314630(US,A1)
【文献】 Pol. J. Food Nutr. Sci.,2014年 2月13日,Vol. 64, No. 1,pp.17-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/AGRICOLA/BIOTECHNO/CABA/TOXCENTER/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法であって、
液体培地の入ったバッチ式の容器又は連続式の容器に完全な状態であるか又は断片に切り分けられ、かつ、粉砕も粉状化もされていないブロッコリを導入するステップと、
前記液体培地に、0.1乃至10kV/cm、周波数1乃至100Hz、0.1乃至300秒間の高電圧パルス電界処理を1乃至100回行うステップと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記高電圧パルス電界処理は、0.2乃至10kV/cmで1乃至50秒間行われることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記液体培地は、水、エチルアルコール又はこれらの混合物であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記高電圧パルス電界処理を受けたブロッコリは、乾燥されるか、粉砕されるか、粉砕後に乾燥されるか、又は乾燥後に粉砕されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルフォラファン(sulforaphane)含有量が増大されたブロッコリを生成する方法、当該方法により生成されたブロッコリ及び当該ブロッコリを含む食品、飼料若しくは化粧品の組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法によって生成されたブロッコリからスルフォラファンを生産する方法、及び当該方法により生産されたスルフォラファンを含む食品、飼料若しくは化粧品の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
スルフォラファンは、アブラナ科の植物にみられる抗癌及び抗酸化物質である。また、スルフォラファンは、アブラナ科の植物にみられるイソチオシアネートの一種であり、グルコシノレートの酵素による加水分解によって二次代謝産物として生成される。生のブロッコリはグルコシノレートを多く含み、これと比較して極めて少量のスルフォラファンを含む。しかし、生のブロッコリが粉砕されて粉末になると、グルコシノレートからスルフォラファンへの生物変換が起こり、当該粉末中のスルフォラファン含有量は相当に増大する。従って、当該粉末からのブロッコリ抽出物は、生のブロッコリと比較して大幅に増大した量のスルフォラファンを含む。そのようなブロッコリ抽出物は、酸化のダメージによって引き起こされる遺伝子の変異を抑制する抗酸化酵素の発現を誘導すること、胃癌の発生の原因として知られるヘリコバクターピロリの成長を抑制すること、及び動物実験において発癌性物質による胃癌の発生を抑制することが知られている。
【0004】
ブロッコリは生で加工食品によく用いられる野菜であり、たいていはサラダとして消費される。ブロッコリサラダを調理する場合、一般に水蒸気又は沸騰した湯で湯がき、ブロッコリの柔らかい食感を提供する。しかしながら、生のブロッコリを加熱することはグルコシノレートの分解を引き起こし、その結果、グルコシノレートの含有量が低下し、スルフォラファン含有量の低下を招く。
【0005】
高電圧パルス電界処理は、腐敗微生物に対する非加熱殺菌法として知られるプロセスであり、野菜の風味への少ないダメージで野菜の保存期限を延ばす(特許文献1)。高電圧パルス電界処理は、抽出収率を増大させる処理プロセスとしても知られている(特許文献2)。しかしながら、高電圧パルス電界処理をブロッコリの処理に用いてスルフォラファン含有量を増大させることについては報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公報第2000-0016830号
【特許文献2】韓国特許公報第10-2010-0052065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高電圧パルス電界処理を用いてスルフォラファン含有量が増大されたブロッコリの生成方法を提供することである。当該スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリは生で食べることができ、又は食べる前に適当大きさに切ることができ、粉砕することを要しない。また、本発明の目的は、当該方法によって生成されたブロッコリ及び当該ブロッコリを含む食品、飼料若しくは化粧品の組成物を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、高電圧パルス電界処理を用いてスルフォラファン含有量が増大されたブロッコリの生成方法によって生成されたブロッコリからスルフォラファンを生産する方法、及び当該方法により生産されたスルフォラファンを含む食品、飼料若しくは化粧品の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリの生成方法であって、
液体培地の入ったバッチ式の容器又は連続式の容器にブロッコリを導入するステップと、
当該液体培地に、0.1乃至200kV/cm、周波数1乃至100Hz、0.1乃至300秒間の高電圧パルス電界処理を1乃至50回行うステップと、を含む方法を提供する。
【0010】
当該高電圧パルス電界処理は、0.2乃至20kV/cmで1乃至50秒間行われることが好ましい。
【0011】
好ましくは、未処理の状態で容器に導入されるブロッコリは、完全な状態であるか又は断片に切り分けられており、当該ブロッコリは粉砕も粉状化もされていない。
【0012】
当該液体培地は、水、エタノール又はこれらの混合物であることが好ましい。
【0013】
当該液体培地はさらに、酢酸、クエン酸若しくは乳酸などの有機酸又は食塩などの無機塩を含んでいても良い。
【0014】
好ましくは、当該高電圧パルス電界処理を受けたブロッコリは、乾燥されるか、粉砕されるか、粉砕後に乾燥されるか、又は乾燥後に粉砕される。
【0015】
本発明の他の態様は、当該方法で生成されてスルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを提供する。当該ブロッコリの高電圧パルス電界処理後のスルフォラファン含有量は、少なくとも30%、好ましくは50%、より好ましくは100-1000%、処理前の元のスルフォラファン含有量よりも高い。
【0016】
高電圧パルス電界処理前の生のブロッコリは一般に、乾燥ブロッコリ100g当たりに30mg乃至70mgのスルフォラファンを含み、平均で40mg含まれている。ブロッコリは、含有するスルフォラファンの大部分を湯通しによって失う。湯通しは、食べる前の最も一般的な前処理プロセスである。本願発明によれば、高電圧パルス電界処理後のブロッコリのスルフォラファン含有量は、乾燥ブロッコリ100g当たり100mg乃至200mgである。当該含有量は、当該処理前の手を加えていないブロッコリの1.5倍から8倍の高い値である。
【0017】
本発明の他の態様は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリからスルフォラファン抽出物を生産する方法を提供する。
【0018】
当該スルフォラファン抽出物は、抽出溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合物を用いて生産されても良い。当該有機溶媒の種類及び水と有機溶媒との混合比に特定の制限は無い。
【0019】
例えば、当該有機溶媒は、低級アルコール、ヘキサン、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなるグループから選択されても良い。当該低級アルコールはC−Cアルコールであっても良く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、1−ペンタノール、2−ブトキシエタノール又はエチレングリコールであっても良い。他の有機溶媒の例には次のようなものが含まれる。極性溶媒として、酢酸、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)などが含まれる。また、非極性溶媒として、アセトニトリル、エチルアセテート、メチルアセテート、フロロアルカン、ペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、デカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジイソブチレン、1-ペンテン、1-クロロブタン、1-クロロペンタン、o-キシレン、ジイソプロピルエーテル、2-クロロプロパン、トルエン、1-クロロプロパン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジエチルスルフィド、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アニリン、ジエチルアミン、エーテル、四塩化炭素及びテトラヒドロフラン(THF)などが含まれる。
【0020】
スルフォラファンは、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリから抽出される際に、水、エタノール、メタノール又は水、エタノール若しくはメタノールから選択した2以上の溶媒を用いて抽出されても良い。
【0021】
当該スルフォラファン抽出物は、40℃から100℃の水で2時間から48時間、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリから抽出することによって生産されても良い。好ましくは、当該スルフォラファン抽出物は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを酵素のグループから選択された少なくとも1つの酵素を含む水で、40から55℃で2時間から24時間抽出することによって生産されても良い。当該酵素のグループは、セルラーゼ、ビスコザイム、アルカラーゼ、及びぺプシンからなる。当該酵素が添加されると、水溶性の成分を水によって抽出する際の抽出効率が向上する。
【0022】
エタノール抽出物又は水を含むエタノール(以下、エタノール水と称する)抽出物は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリをエタノール又は35から75体積%のエタノールを含むエタノール水で、20℃から60℃で2時間から36時間、好ましくは40℃から50℃で2.5時間から6時間、抽出することによって生産されても良い。より好ましくは、当該エタノール水抽出物は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリをエタノールが70体積%のエタノール水により45℃で3時間抽出することによって生産される。
【0023】
本明細書において、「抽出物」という用語は、分溜の生成物を含むものである。当該分溜の生成物は、抽出物をさらに分溜して得られる。従って、スルフォラファン抽出物は、上記した抽出溶媒を用いて得られる抽出物だけでなく、当該抽出物のさらなる精製によって得られるスルフォラファン濃縮物も含む。本発明のスルフォラファン抽出物はまた、抽出物又は分溜の生成物を特定の分画分子量の限外ろ過膜に通して得られる留分を含むものである。また、本願のスルフォラファン抽出物は、様々な追加の精製プロセスを経て得られる留分を含むものである。当該追加の精製プロセスには、例えば、様々なクロマトグラフィーによる分離プロセス(サイズ、電荷、疎水性又は親和力に基づく)がある。
【0024】
本発明の他の態様は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを含む食品組成物又は上記の方法で生産されたスルフォラファン抽出物を含む食品組成物を提供する。
【0025】
本発明によるスルフォラファン含有量が増大されたブロッコリ又は当該ブロッコリから生産されたスルフォラファン抽出物は、健康機能性食品又は一般食品の有効成分として用いられても良い。この場合、本発明のブロッコリ又はスルフォラファン抽出物は、さらに追加して加工されなくても良く、又は他の食品又は食品成分と一緒に当該技術分野で公知の方法で用いられても良い。当該有効成分の量は、目的に従って適切に決定されても良い。当該目的には例えば、予防、健康管理又は治療の目的などがある。
【0026】
食品又は飲料を生産する場合、本願のブロッコリ又はスルフォラファン抽出物は概して、当該食品又は飲料の原料の重量を100として、15以下の重量で、好ましくは10以下の重量で添加される。当該食品又は飲料が健康、衛星又は健康管理の目的で長期間にわたって摂取される場合、当該ブロッコリ又はスルフォラファン抽出物の量は上記で定義したよりも低い範囲で調製されても良い。本発明の食品組成物は、安全に関する問題とは無縁である。天然の生産物又はその抽出物を使用するからである。従って、当該ブロッコリ又はスルフォラファン抽出物は、上記した上限を超えて使用されても良い。
【0027】
当該食品の種類に関して特定の制限は無い。当該ブロッコリ又はスルフォラファン抽出物が加えられるであろう食品の例は全ての一般的な食品を含む。当該一般的な食品は、例えば肉、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ、スナック、クッキー、ピザ、インスタントヌードル、その他の麺類、チューインガム、アイスクリームを含む乳製品、スープ、飲料、茶、アルコール飲料及びビタミン複合体などである。
【0028】
健康機能性食品は、飲料食品であっても良い。この場合、当該飲料食品は、調味料や天然の炭水化物といった1つ以上の添加成分を含んでいても良い。当該天然の炭水化物は、ブドウ糖(グルコース)及び果糖(フルクトース)などの単糖類であっても良く、麦芽糖(マルトース)及びショ糖(スクロース)などの二糖類、デキストリン及びシクロデキストリンなどの多糖類、並びにキシリトール、ソルビトール及びエリスリトールなどの糖アルコールであっても良い。当該飲料食品は、1つ以上の甘味料を含んでいても良い。甘味料としては例えば、タウマチン及びステビア抽出物などの天然の甘味料、並びにサッカリン及びアスパルテームなどの合成甘味料が用いられても良い。天然の炭水化物の総重量は、当該機能性食品100ml当たり0.01-0.04gであっても良く、好ましくは、0.02-0.03gである。
【0029】
本発明の食品組成物は、その抗酸化作用による炎症又は癌の改善又は予防に用いられても良い。この場合、本発明の食品組成物は、さらに1つ以上の添加物を含んでいても良く、当該添加物は滋養剤、ビタミン、電解質、調味料、着色料、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド状の増粘剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、グリセリン、アルコール及び炭酸飲料向けの炭水化物の中から選択されても良い。本発明の食品組成物は、さらに果肉を含んでいても良く、天然のフルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料が生産されても良い。そのような成分は単独で又は上記した成分の混合物として用いられても良い。上記したような添加物の割合は制限されないが、通常は本発明の組成物の重量100に対して重量0.01-0.1の範囲の中から選択される。
【0030】
本発明の他の態様は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを含む飼料組成物又は上記した方法で生産されたスルフォラファン抽出物を含む飼料組成物を提供する。当該飼料組成物は、飼料又は飼料添加物であっても良い。
【0031】
飼料組成物はさらに、1つ以上の添加物を含んでいても良い。当該1つ以上の添加物は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸及びリンゴ酸などのような有機酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、二水素リン酸塩及びポリリン酸塩などのリン酸塩、並びにポリフェノール、カテキン、アルファ-トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、緑茶抽出物、カンゾウエキス、キトサン、タンニン酸及びフィチン酸などの天然の抗酸化剤の中から選択されても良い。
【0032】
当該飼料組成物に用いられるのに適切な助剤成分の例には、アミノ酸、無機塩、ビタミン、抗生物質、抗菌性物質、抗酸化/抗真菌性の酵素、活性及び微生物性の薬剤などの補助剤(adjuvants)が含まれる。当該飼料組成物に用いられるのに適切な主成分の例には、例えば、粉砕された又は粉末状の小麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ及び米などの穀類、例えば、主成分としてナタネ、インゲン豆及びヒマワリを含む飼料などの植物性蛋白質飼料、例えば、血粉、肉粉、骨粉及び魚粉などの動物性蛋白質飼料、並びに、例えば乾燥した成分を混合することによって得られる動物性脂肪及び植物性脂肪などの砂糖及び乳製品が含まれる。当該乾燥した成分は粉ミルク及び乾燥した添加物入りのホエイパウダからなり、任意に当該混合物を、液体成分及び加熱後に液化する成分、すなわち脂質と共に、加熱によって液化する。これらの成分に加えて、当該飼料組成物はさらに栄養補助食品、消化吸収の改善薬、成長促進剤、予防薬などを含んでいても良い。
【0033】
当該飼料組成物は、単独で与えられても良く、又は動物が可食なキャリア内の他の飼料添加物と組み合わせて与えられても良い。
【0034】
当該飼料組成物は、追肥(top dressing)として用いられても良く、動物の飼料に直接混合されても良い。あるいは、当該飼料組成物は餌とは別に用いられても良い。この場合、飼料組成物は経口の処方により容易に投与されても良く、又は、他の成分と組み合わせて注射によって若しくは経皮的に投与されても良い。一般的に、飼料組成物は、1日当たり一度に又は分割した投与量で、当該技術分野で周知のように投与されても良い。
【0035】
飼料組成物が動物の飼料とは別に投与される場合、当該組成物は、毒性が無く薬学的に許容される食用のキャリア(carriers)と結合されても良く、当該技術分野において周知のように、即効性又は持効性の処方の両方を提供しても良い。そのような食用のキャリアは、固体又は液体のキャリアであっても良く、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、豆フレーク、ピーナツオイル、オリーブオイル、セサミオイル及びプロピレングリコール等であっても良い。固体のキャリアが用いられる場合、当該組成物の投与の形式は、錠剤、カプセル、散剤、トローチ、ロゼンジ(lozenges)、及び非分散の追肥などであっても良い。液体のキャリアについては、当該組成物の投与の形式は、ソフトゼラチンカプセル、シロップ、懸濁液、乳濁液(エマルジョン)及び溶液であっても良い。当該投与の形式は1つ以上の補助剤を含んでいても良い。当該補助剤には例えば、防腐剤(保存料)、安定剤、界面活性剤、乳化剤及び可溶化剤などがある。
【0036】
当該飼料組成物は、動物の飼料に浸漬、噴霧及び混合によって添加されても良い。
【0037】
当該飼料組成物は、哺乳類、家禽及び魚類を含む多くの動物の食物に適用されても良い。より詳細には、当該食物は、商業的に重要な哺乳類に用いられても良い。例えば当該哺乳類には、豚、畜牛、羊、ヤギ、実験用のげっ歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター及びアレチネズミ(gerbils)など)及び家畜(livestock)(例えば、猫及び犬など)などが挙げられる。商業的に重要な家禽は、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、キジ及びウズラを含む。当該動物には例えばマスなどの養殖の魚も含まれる。
【0038】
当該飼料組成物が動物の飼料に混合される場合、1kgの動物の飼料当たり(乾燥重量を基準とする)、1g−100gが用いられる。当該飼料の混合物は完全に混ぜ合わされた後、成分の粉砕の度合いによって固い錠剤又は顆粒が得られる。当該混合物は、すり潰したものとして供給されてもよく、所望の分割した形態に形成されて更なる加工又は包装がなされても良い。その際に、動物の飼料には水が加えられることが好ましく、続いて錠剤化、伸展又は押し出し成型がなされる。この連続したプロセスは、貯蔵中の飼料成分の分離を防ぐ。過剰な水分は乾燥によって取り除かれても良い。
【0039】
本発明の他の態様は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを含む化粧品組成物又は上記した方法で生産されたスルフォラファン抽出物を含む化粧品組成物を提供する。
【0040】
本発明の化粧品組成物は、トーナー、ローション、エッセンス、クリーム又はパックに配合されても良い。
【0041】
スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリ又は当該ブロッコリから生産されたスルフォラファン抽出物は、それぞれの処方における重量に基づいて、少なくとも0.1%の重量で用いられても良く、好ましくは0.2−50%の重量で、より好ましくは0.3−30%の重量で、最も好ましくは0.5−10%の重量で用いられる。
【0042】
当該化粧品組成物はさらに、化粧品の生産に通常用いられる適切なキャリア、賦形剤又は希釈剤を含んでいても良い。
【0043】
当該キャリア、賦形剤又は希釈剤の例は、限定するものではないが、純水、オイル(oils)、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、抗酸化剤、粘度安定剤、キレート剤、緩衝剤及び低級アルコールを含む。当該化粧品組成物はさらに、ホワイトニング剤(whitening agents)、保湿剤(moisturizing agents)、ビタミン、紫外線(UV)吸収剤、香料、染料及び抗菌物質を任意に含んでいても良い。
【0044】
オイルには、水素化(硬化)した植物油、ヒマシ油、綿実油、オリーブオイル、パームオイル、ホホバオイル及びアボカドオイルが用いられても良い。ワックスには、蜜蝋、鯨蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、モンタン蝋、セレシン蝋、流動パラフィン及びラノリン(羊毛蝋)が用いられても良い。脂肪酸には、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸及びオレイン酸が用いられても良い。脂肪酸アルコールには、セチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、パンテノール、ラノリンアルコール、ステアリルアルコール及びヘキサデカノールが用いられても良い。脂肪酸エステルには、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル及びステアリン酸ブチルが用いられても良い。界面活性剤は例えば、ステアリン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩及びN−アシルグルタミン酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド(stearyl dimethyl benzyl ammonium chloride)、及びトリメチルステアリルアンモニウムクロリドなどの陽イオン界面活性剤、アルキルアミノエチルグリシン塩酸塩及びレシチンなどの両性の界面活性剤、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノステアレート、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンココナツ脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン界面活性剤を含む。グリセリン、1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールが湿潤剤として用いられても良い。エタノール及びイソプロパノールが低級アルコールとして用いられても良い。増粘類には例えば、アルギン酸ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン(gelatin agar)、キサンタンガム、スターチ、セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどが含まれる。抗酸化剤には、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、プロピルガレート、クエン酸及びエトキシキンが用いられても良い。キレート剤には、エデト酸二ナトリウム及びエタンヒドロキシ二リン酸などが用いられても良い。緩衝剤には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素二ナトリウムなどが用いられても良い。
【0045】
[有利な効果]
上記したように、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法は、高電圧パルス電界処理を用いる。本発明の方法によれば、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリは、粉砕する必要が無く、生で食べることができ、又は、食べる前に適当な大きさに切ることができる。さらに、当該スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリからスルフォラファンが抽出され得る。当該高電圧パルス電界処理は、高圧の容器を必要とせず、必要な処理時間は数秒から数分と非常に短く、バッチ式処理及び連続式処理の両方で実施され得る。従って、本発明の方法は、現在知られている技術を超えた商業化において有利である。さらに、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリ及び当該ブロッコリから生産されたスルフォラファン抽出物は、食品、飼料又は化粧品の組成物に有効成分として用いられ得る。そして、当該ブロッコリ及び当該抽出物は、抗酸化作用及び抗炎症作用を含むスルフォラファンの作用を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1a】比較例1のブロッコリの画像(左側)及び実施例1のブロッコリの高電圧パルス電界処理直後の画像(右側)である。
図1b】比較例1のブロッコリを室温で1日保管した後の画像(左側)及び実施例1のブロッコリを高電圧パルス電界処理の後に室温で1日保管後の画像(右側)である。
図1c】比較例1のブロッコリを室温で3日保管した後の画像(左側)及び実施例1のブロッコリを高電圧パルス電界処理の後に室温で3日保管後の画像(右側)である。
図1d】比較例1のブロッコリを室温で4日保管した後の画像(左側)及び実施例1のブロッコリを高電圧パルス電界処理の後に室温で4日保管後の画像(右側)である。
図1e】比較例1のブロッコリを冷所で6日保管した後の画像(左側)及び実施例1のブロッコリを高電圧パルス電界処理の後に冷所で6日保管後の画像(右側)である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法を提供する。当該方法は、液体培地の入ったバッチ式の容器又は連続式の容器にブロッコリを導入するステップと、当該液体培地に0.1乃至200kV/cm、周波数1乃至100Hz、0.1乃至300秒間の高電圧パルス電界処理を1乃至50回行うステップと、を含む。
【0048】
[発明の実施形態]
本発明は、以下に挙げる例を参照してより詳細に説明されるであろう。しかしながら、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0049】
韓国の済州島で収穫された生のブロッコリ及び韓国の江華島で収穫された生のカブを購入し、サンプルとして用いた。ELCRACK HVP5装置(ドイツ食品工業研究所、ドイツ)(German Institute of Food Technology, Germany)を高電圧パルス電界処理に用いた。
【0050】
[実験例1]アブラナ科に属する植物のスルフォラファン含有量の分析
アブラナ科の野菜として生のラディッシュ、カブ、キャベツ、赤キャベツ、芽キャベツ、ブロッコリ及びカリフラワーのスルフォラファン含有量を以下の手順で分析した。
【0051】
スルフォラファン標準物質(90%、シグマ)を用いて標準溶液を調製し、ULPC-MS/MS(Waters社製)を用いて当該標準溶液を分析し、標準キャリブレーションカーブを作成した。1gの各サンプル(乾燥重量に基づく)を10mlの水中でミキサを用いて粉砕して2時間浸漬し、グルコラファニンをスルフォラファンに、ミロシナーゼによって変換させた。2時間の反応後、反応混合物を90mlのメタノールで抽出処理した。当該抽出は攪拌しながら行った。当該抽出物(100ml)から10mlを採取し、10倍に希釈し、ULPC-MS/MSによってスルフォラファン含有量を分析した。当該UPLCシステムは、アクイティUPLCシステム(Waters corporation、ミルフォート゛、マサチューセッツ州)であり、2つの溶媒マネージャと1つのサンプルマネージャを含む。当該MSシステムは、ウォーターズクワトロプレミアXEタンデムMSシステム(Waters Quattro Premier XE Tandem MS system )(Micromass UK limited製)である。当該システムは、Masslynx V4.1ソフトウェアによって制御される。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の結果より、赤キャベツ及びブロッコリはアブラナ科の野菜の中で最もスルフォラファン源に適していることが確認されるであろう。
【0054】
[実験例2]アブラナ科に属する植物のスルフォラファン含有量の分析
スルフォラファンの前駆体であるグルコラファニンについて、スルフォラファンの含有量が高いことが実験例1において見出された赤キャベツ及びブロッコリ中の含有量を決定するため、以下の手順でスルフォラファン及びグルコラファニンを同時に分析することを確立した。
【0055】
グルコラファニン標準物質(90%、PhytoLab)を用いて標準溶液を調製し、ULPC-MS/MS(Waters社製)を用いて当該標準溶液を分析し、標準キャリブレーションカーブを作成した。1gの各サンプル(乾燥重量に基づく)を10mlの水中でミキサを用いて粉砕して2時間浸漬し、グルコラファニンをスルフォラファンに、ミロシナーゼによって変換させた。2時間の反応後、90mlのメタノールの代わりにエチルアルコールを加え、グルコラファニン及びスルフォラファンを同時に抽出した。当該抽出は攪拌しながら行った。当該抽出物(100ml)から10mlを採取し、10倍に希釈し、ULPC-MS/MSによってグルコラファニン及びスルフォラファン含有量を分析した。当該UPLCシステムは、実験例1で使用したものと同じものである。MS/MS法は、スルフォラファンについてはポジティブイオンモード(MS178m/z→娘イオン113.9m/z)で、グルコラファニンについてはネガティブイオンモード(MS436m/z→娘イオン372,96.9m/z)でスキャンすることによって実施した。
【0056】
【表2】
【0057】
表2の結果は、赤キャベツ中のスルフォラファン含有量はブロッコリのおよそ半分であったこと、しかしスルフォラファンの前駆体であるグルコラファニンについては、赤キャベツ中の含有量はブロッコリ中の含有量の10分の1以下であったことを示している。さらに、ブロッコリ中のグルコラファニンからスルフォラファンへの変換がスルフォラファン含有量の著しい増大をもたらしたであろうことが示唆される。
【0058】
[実施例1]
ブロッコリの食用にならない部分は捨て、ブロッコリを小房に切り分けた(1回あたり50g)。切り分けた小房を高電圧パルス電界処理システムの、水で満たしたバッチ式の容器に導入した。そして、2kV/cmの電界及び周波数10Hzで10秒間の処理を1回行った。
【0059】
[実施例2]
当該ブロッコリに2kV/cmの電界及び周波数20Hzで10秒間の処理を1回行った点を除いて、実施例1の手順を繰り返した。
【0060】
[比較例1]
高電圧パルス電界処理を受けたブロッコリの小房と比較するため、対照するものとして生のブロッコリを用いた。当該ブロッコリの食用にならない部分は捨て、ブロッコリを小房に切り分けた(1回あたり50g)。
【0061】
[比較例2]
生のブロッコリの食用にならない部分は捨て、ブロッコリを小房に切り分けた(1回あたり50g)。切り分けた小房を沸騰した100℃の水で1分間湯通しした。
【0062】
[比較例3]
生のブロッコリの食用にならない部分は捨て、ブロッコリを小房に切り分けた(1回あたり50g)。切り分けた小房をミキサを用いて2分間粉砕した。
【0063】
[実験例3]スルフォラファン含有量の分析
スルフォラファン標準物質(90%、シグマ)を用いて標準溶液を調製し、ULPC-MS/MS(ウォーターズ製)を用いて当該標準溶液を分析し、標準キャリブレーションカーブを作成した。当該標準キャリブレーションカーブに基づいて、実施例1−2及び比較例1−3のそれぞれのブロッコリについて、スルフォラファン含有量を分析した。当該分析は実験例1と同じ手法で行った。
【0064】
【表3】
【0065】
[実験例4]
実施例1−2及び比較例1−3のそれぞれのブロッコリについて、バクテリアの数を計測した。当該計測は、韓国食品標準規格(Korean Food Standards Codex)に記載された、バクテリアの数を計測する試験方法に従って行った。結果を表4に示している。サンプルは、洗浄後においてもバクテリアが最も生存可能なブロッコリの小房から収集された。
【0066】
【表4】
【0067】
比較例2のブロッコリは熱湯で湯通しされると、当該ブロッコリ中のバクテリアの数は生のブロッコリと比較して99%以上減少した。実施例1−2のそれぞれのブロッコリの滅菌において、高電圧パルス電界処理の効果は、比較例2の滅菌効果と実質的に同等であった。
【0068】
[実験例5]
高電圧パルス電界処理を受けた各ブロッコリの保管条件及び保存期限を予測するため、実施例1のブロッコリ及び比較例1のブロッコリについて色の変化を観察した。当該観察は、室温(25℃)で及び冷蔵庫(5℃)の中で保管している間に行った。その画像を図1a-図1eに示す。
【0069】
生のブロッコリ(比較例1)と、高電圧パルス電界処理を受けたブロッコリ(実施例1)との両方において、室温で3日間は褐変が観察されなかったが、4日目に褐変が起こった。特に、実施例1のブロッコリの小房は4日目から小片に砕けた。
【0070】
これに対して、生のブロッコリ(比較例1)と、高電圧パルス電界処理を受けたブロッコリ(実施例1)との両方は、冷蔵庫の条件下では6日目でも褐色に変化しなかった。
【0071】
これらの結果より、高電圧パルス電界処理を受けたブロッコリの保存期限は、生のブロッコリの保存期限に対して少なくとも同等であるか又はより長いと予測され得る。
【0072】
[実施例3]
実施例1のブロッコリ50gを40℃の熱空気中で乾燥し、粉末状とした。
【0073】
[実施例4]
実施例1のブロッコリ50gに、70wt%のエタノールと水の混合液を250ml加えた。この混合物をホモジナイザで3分間粉砕して微粒化し、20℃で12時間抽出処理をし、減圧下で濃縮し、冷凍乾燥してスルフォラファン抽出物の粉末を生成した。
【0074】
[実施例5]
実施例1のブロッコリの小房50gに、250mlのエチルアセテートを加えた。この混合物をホモジナイザで3分間粉砕して微粒化し、20℃で1時間攪拌して抽出処理をした。エチルアセテート層を減圧下で濃縮し、冷凍乾燥してスルフォラファン抽出物の粉末を生成した。
【0075】
[実験例6]スルフォラファン含有量の分析
実施例3のブロッコリの粉末中及び実施例4−5のスルフォラファン抽出物の粉末中のスルフォラファン含有量を分析した。当該分析は実験例1と同様の手法で行った。結果を表5に示している。
【0076】
【表5】
【0077】
[実験例7]
生のブロッコリの小房のそれぞれを、高電圧パルス電界処理システムの、水で満たされたバッチ式の処理容器にセットした。当該小房を、様々な電界、周波数、処理時間及び処理回数で処理した。処理された小房について、スルフォラファン含有量を分析し、又、官能評価を行った。
【0078】
20人の解答者が当該官能評価に要請された。当該評価は9点のスケールに基づいて行われた。比較例1の生のブロッコリが最も高いスコア(9)と定義され、他のブロッコリについては相対的なスコアで表された。処理条件及びスルフォラファン含有量を表6に示している。
【0079】
【表6】
【0080】
[実験例8]
生のブロッコリの小房のそれぞれは、高電圧パルス電界処理システムのバッチ式の容器内の液体培地内で、電界2kV/cm、周波数5乃Hzで5秒間1回処理された。当該液体培地は50vol%のエタノール水溶液、20vol%のエタノール水溶液、又は0.5vol%のブライン(塩水)であった。スルフォラファン含有量の分析結果を表7に示している。
【0081】
【表7】
【0082】
本発明によるスルフォラファン含有量が増大されたブロッコリ又は当該ブロッコリから生産されたスルフォラファン抽出物を含む食品組成物を以下のような配合で調合した。当該配合における成分の割合は、消費者の地域的及び国家的な好み、例えば社会的階級、国民性及び使用目的などに応じて任意に変更され得ると解されるべきであろう。
【0083】
[調製例1]錠剤の生産
ブロッコリ粉末(実施例3) 10mg
コーンスターチ 100mg
ラクトース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記の成分を全て混合し、当該混合物を圧縮して当該技術分野において周知の一般的な方法に従って錠剤を生産した。
【0084】
[調製例2]カプセルの生産
スルフォラファン抽出物粉末(実験例4)10mg
結晶セルロース 3mg
ラクトース 14.8mg
ステアリン酸マグネシウム 0.2mg
上記の成分を全て混合し、当該混合物をゼラチンカプセルに充填し、当該技術分野において周知の一般的な方法に従ってカプセルを生産した。
【0085】
[調製例3]粉末の健康機能性食品の生産
ブロッコリ粉末(実施例3) 1000mg
ビタミン混合物 適量
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチンアミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
ミネラル混合物 適量
硫酸第一鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
リン酸二水素カリウム 15mg
リン酸一水素カルシウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
ビタミン及びミネラルの混合物を、健康機能性食品に適した成分を用いて調合した。当該混合物による組成物は、好ましい実施例として提供するものであり、任意に変更し得ると解されるべきである。上記の成分を全て混合し、当該混合物を顆粒状にした。当該技術分野において周知の一般的な方法に従って、当該顆粒を健康機能性食品の生産に用いた。
【0086】
[調製例4]飲料の生産
スルフォラファン抽出物粉末(実施例4)1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴ糖 100g
プラム濃縮物 2g
タウリン 1g
純水 900mlに対して
当該技術分野において周知の一般的な方法に従って、上記の成分を全て混合し、攪拌しながら85℃で1時間加熱し、ろ過し、滅菌した2Lの容器内に密封して滅菌し、冷蔵庫に保管した。生成した溶液を機能性飲料組成物の生産に用いた。
【0087】
本発明によるスルフォラファン含有量が増大されたブロッコリ又は当該ブロッコリから生産されたスルフォラファン抽出物を含む化粧品組成物を以下のような配合で調合した。当該配合における成分の割合は、消費者の地域的及び国家的な好み、例えば社会的階級、国民性及び使用目的などに応じて任意に変更され得ると解されるべきであろう。
【0088】
[調製例5]石鹸の生産
スルフォラファン抽出物粉末(実施例4)5wt%
油脂 75wt%
水酸化ナトリウム 5wt%
香料 10wt%
純水 残部(Balance)
当該技術分野において周知の一般的な方法に従って、上記の成分を全て混合し、当該混合物を石鹸となるように調製した。
【0089】
[調製例6]化粧水の生産
スルフォラファン抽出物粉末(実施例4)3wt%
L-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム 1wt%
水溶性コラーゲン(1%水溶液) 1wt%
クエン酸ナトリウム 0.1wt%
クエン酸 0.05wt%
カンゾウエキス 0.2wt%
1,3-ブチレングリコール 3wt%
純水 残部
当該技術分野において周知の一般的な方法に従って、上記の成分を全て混合し、当該混合物を化粧水となるように調製した。
【0090】
[調製例7]クリームの生産
スルフォラファン抽出物粉末(実施例4) 3wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート 2wt%
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 5wt%
セチルアルコール 4wt%
スクアレン 6wt%
トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル 6wt%
スフィンゴ糖脂質 1wt%
1,3-ブチレングリコール 7wt%
純水 残部
当該技術分野において周知の一般的な方法に従って、上記の成分を全て混合し、当該混合物をクリームとなるように調製した。
【0091】
[調製例8]パックの生産
ブロッコリ粉末(実施例3) 2wt%
ポリビニルアルコール 13wt%
L-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム 1wt%
ラウリルヒドロキシプロリン 1wt%
水溶性コラーゲン(1%水溶液) 2wt%
1,3-ブチレングリコール 3wt%
エタノール 5wt%
純水 残部
当該技術分野において周知の一般的な方法に従って、上記の成分を全て混合し、当該混合物をパックとなるように調製した。
【0092】
上記から明らかなように、本発明による、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリを生成する方法は、高電圧パルス電界処理を用いる。本発明の方法によれば、スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリは、生で食べることができ、又は食べる前に適当大きさに切ることができ、粉砕することを要しない。さらに、当該スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリから、スルフォラファンが抽出され得る。当該スルフォラファン含有量が増大されたブロッコリ及び当該ブロッコリから生産されたスルフォラファン抽出物は、食品、飼料若しくは化粧品の組成物の有効成分として使用され得る。そして、当該ブロッコリ及び当該抽出物は、抗酸化作用及び抗炎症作用を含むスルフォラファンの作用を示し得る。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e