(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなドッキング装置は、複数種類の携帯用情報機器を接続可能であることが汎用性の点で望ましい。ところが、特許文献1の構成は、複数種類の携帯用情報機器の接続は考慮されていない。このため、特許文献1の構成は、携帯用情報機器の機種や仕様による筐体の前後方向寸法等の違いに対応することができず、各種類の携帯用情報機器にコネクタを円滑に且つ確実に接続することは困難である。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができ、高い汎用性を確保することができるドッキング装置及び携帯用情報機器とドッキング装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るドッキング装置は、使用面に載置して使用され、携帯用情報機器を着脱可能に構成されたドッキング装置であって、前端側が前記使用面に当接配置される前記携帯用情報機器の後端側を支持することで、前記携帯用情報機器を前下がりの角度姿勢で載置可能な機器載置部と、前記機器載置部の側部で起立し、前記機器載置部に載置された前記携帯用情報機器の側面に対向配置される接続機構部と、前記接続機構部に回動可能に設けられ、前記機器載置部に載置された携帯用情報機器の側面に設けられた接続端子に対して接続可能なコネクタと、前記機器載置部に載置された前記携帯用情報機器の載置角度を検出する検出器と、前記検出器による前記載置角度の検出結果に基づいて、前記コネクタを回動させて前記接続端子に接続可能な角度に調整する角度調整機構と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、仕様の異なる携帯用情報機器をドッキングする際にそれぞれの載置角度が異なる場合にも、各載置角度に応じた角度姿勢にコネクタが調整される。このため、携帯用情報機器の側面に設けられた接続端子に対してコネクタを対向配置でき、両者を円滑に且つ確実に接続できる。このため、当該ドッキング装置は、複数種類の携帯用情報機器のドッキングが可能となり、高い汎用性が得られる。
【0009】
前記角度調整機構は、前記機器載置部及び前記接続機構部を支持するベース部材に対して回動軸を介して回動可能に連結され、前記コネクタを支持する支持部材を備える構成であってもよい。
【0010】
前記検出器は、前記機器載置部に載置される前記携帯用情報機器の底面で押下操作されて昇降する昇降部材を有し、前記角度調整機構は、前記昇降部材の昇降動作と前記支持部材の回動動作とを連動させる連動部材を有する構成であってもよい。そうすると、昇降部材の昇降動作とコネクタの回動動作とが連動するため、簡素な構成でありながらコネクタの角度を確実に且つ迅速に調整できる。
【0011】
前記コネクタは、前記接続端子に向かって進退可能に設けられ、前記角度調整機構は、前記支持部材を前記コネクタの進退方向に沿ってスライド可能に支持するスライドベースを有し、前記スライドベースが前記ベース部材に対して前記回動軸を介して回動可能に連結された構成であってもよい。
【0012】
前記コネクタは、前記接続端子に向かって進退可能に設けられ、前記角度調整機構は、前記支持部材を前記コネクタの進退方向に沿ってスライド可能に支持するスライドベースを有し、前記スライドベースが前記ベース部材に対して前記回動軸を介して回動可能に連結され、前記連動部材は、前記スライドベースに対して固定されている構成であってもよい。そうすると、コネクタの進退移動に連動部材及び昇降部材が関与せず、コネクタを進退させる機構の構成を簡素化できる。
【0013】
前記機器載置部は、載置される前記携帯用情報機器の底面が着地する脚部材を有し、前記回動軸の中心軸の延長線上に前記脚部材を設けた構成であってもよい。そうすると、携帯用情報機器の角度変化の中心点と、コネクタの角度変化の中心点との前後方向位置が一致するため、携帯用情報機器の載置角度とコネクタの角度姿勢とをより確実に合わせることができる。
【0014】
前記機器載置部に載置される前記携帯用情報機器の後面を位置決めする位置決め部材を備えた構成であってもよい。そうすると、携帯用情報機器の前後方向位置が確実に規定されるため、コネクタと接続端子の位置及び角度を一層確実に合わせることができる。
【0015】
前記コネクタは、前記支持部材に対してフローティング機構を介して支持された構成であってもよい。そうすると、コネクタが角度調整機構による角度調整後に接続端子に対して多少位置ずれしている場合にもこの位置ずれをフローティング機構で吸収できる。
【0016】
前記角度調整機構によって角度が調整された前記コネクタを前記接続端子に向かって進退させる進退機構を備える構成としてもよい。そうすると、当該ドッキング装置は、携帯用情報機器を機器載置部に対して例えば鉛直上方から載置した後、コネクタを進動させるだけで接続端子に接続することができる。このため、携帯用情報機器のドッキング動作が容易となる。但し、機器載置部に携帯用情報機器を鉛直上方から載置する構成とした場合、コネクタと接続端子の接続位置を外部から視認し難いことがある。この点、当該ドッキング装置は、角度調整機構によってコネクタの角度姿勢が調整された状態でコネクタが進退するため、コネクタと接続端子とを円滑に接続できる。
【0017】
前記接続端子は、前記携帯用情報機器の前記側面の前後方向に沿って複数並列され、前記コネクタは、前記接続端子と対応するように複数並列された構成であってもよい。そうすると、携帯用情報機器の載置角度の違いによる接続端子とコネクタとの間の角度ずれの影響が大きくなるが、角度調整機構によってこの角度ずれを解消できる。
【0018】
本発明の第2態様に係る電子機器は、上記構成のドッキング装置と、前記携帯用情報機器とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記形態によれば、側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができ、高い汎用性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るドッキング装置について、この装置に着脱される携帯用情報機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、一実施形態に係るドッキング装置10に携帯用情報機器12Aをドッキングする動作を示す分解斜視図である。
図2Aは、携帯用情報機器12Aの側面図であり、
図2Bは、
図2Aに示す携帯用情報機器12Aとは仕様の異なる携帯用情報機器12Bの側面図である。
【0023】
本実施形態のドッキング装置10は、例えばノート型PCである携帯用情報機器12A,12Bを着脱可能である。携帯用情報機器12Aと携帯用情報機器12Bとは、少なくとも外形形状が異なる。ドッキング装置10は、携帯用情報機器12A,12B以外にも複数種類の携帯用情報機器を装着可能であるが、以下では2種類の携帯用情報機器12A,12Bを着脱する場合を代表的に説明する。ドッキング装置10は、装着された携帯用情報機器12A,12Bを複数の周辺機器やネットワークに接続させる等、その機能を拡張するものである。従って、ドッキング装置10に携帯用情報機器12A,12Bを装着した電子機器は、携帯用情報機器12A,12B単体よりも高機能となる。ドッキング装置10は、ノート型PC以外の携帯用情報機器の拡張用として使用することもでき、例えばタブレット型PC、携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等の機能拡張用として用いてもよい。
【0024】
以下、ドッキング装置10に携帯用情報機器12Aを搭載した状態を基準とし、
図1における手前側を前、奥側を後、ドッキング装置10や携帯用情報機器12A,12Bの厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0025】
図2Aに示すように、ドッキング装置10への接続対象の一例としての携帯用情報機器12Aは、本体筐体14に対してディスプレイ筐体16をヒンジ18によって開閉可能に連結したクラムシェル型である。携帯用情報機器12Aは、本体筐体14の上面にキーボード20が設けられ、ディスプレイ筐体16の下面にディスプレイ22が設けられている。本体筐体14の左側面(側面14a)には、接続端子24a,24b,24cと、ガイド穴26a,26bとが設けられている。
【0026】
接続端子24a〜24cは、側面14aの後端側寄りとなる位置に前後方向に並列されている。接続端子24a〜24cは、ドッキング装置10のコネクタ30a〜30c(
図6参照)を接続可能である。ドッキング装置10は、コネクタ30a〜30cを接続端子24a〜24cにそれぞれ接続することにより、携帯用情報機器12Aと電気的に接続される。これにより携帯用情報機器12Aは、ドッキング装置10に搭載した各種拡張機能を使用可能となる。接続端子24a〜24c及びコネクタ30a〜30cは、3連構造以外、例えば単独構造や2連構造等で構成されてもよい。コネクタ30a〜30cと接続端子24a〜24cとは、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠した接続規格である。
【0027】
ガイド穴26a,26bは、接続端子24a〜24cと並ぶように設けられている。ガイド穴26a,26bは、ドッキング装置10のコネクタ30a〜30cと並ぶように設けられたガイドピン32a,32b(
図6参照)が挿入される。ガイドピン32a,32bがそれぞれガイド穴26a,26bに挿入されることにより、コネクタ30a〜30cと接続端子24a〜24cとが互いに位置決めされ、両者が確実に且つ円滑に接続される。ガイド穴及びガイドピンの設置数は変更してもよく、省略してもよい。
【0028】
上記した通り、本実施形態のドッキング装置10は、
図2Aに示す携帯用情報機器12Aと前後方向寸法が異なる別仕様の携帯用情報機器12Bを着脱することもできる。
【0029】
図2Bに示すように、ドッキング装置10への接続対象の別の一例としての携帯用情報機器12Bは、その前後方向寸法や厚み寸法が異なる以外は
図2Aに示す携帯用情報機器12Aと同一構造である。
図2Bに示す携帯用情報機器12Bは、
図2Aに示す携帯用情報機器12Aと同一又は同様な要素に同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
図2Bに示すように、携帯用情報機器12Bは、携帯用情報機器12Aの前後方向寸法L1より短い前後方向寸法L2を有する。但し、携帯用情報機器12Aと携帯用情報機器12Bとは、それぞれの後端面14cから各コネクタ30a〜30c及びガイド穴26a,26bまでのピッチは同一又は略同一に設定されている。また、携帯用情報機器12Aと携帯用情報機器12Bとは、それぞれの底面14bから各コネクタ30a〜30c及びガイド穴26a,26bまでのピッチも同一又は略同一に設定されている。なお、ドッキング装置10に装着する他の仕様の携帯用情報機器についてもコネクタ30a〜30c及びガイド穴26a,26bの配置関係は同様に設定されるとよい。
【0031】
図3Aは、
図2Aに示す携帯用情報機器12Aをドッキング装置10に装着した状態を模式的に示す側面図である。
図3Bは、
図2Bに示す携帯用情報機器12Bをドッキング装置10に装着した状態を模式的に示す側面図である。
【0032】
図1、
図3A及び
図3Bに示すように、ドッキング装置10は、携帯用情報機器12A又は携帯用情報機器12Bの本体筐体14を載置した状態で用いられる。ドッキング装置10は、機器載置部34と、接続機構部36を有する。
【0033】
機器載置部34は、例えば携帯用情報機器12A,12Bの後側略半分の部分を載置することのできる大きさの上面を有し、樹脂等で形成された薄い箱体である。機器載置部34は、携帯用情報機器12A,12Bの底面14bが載置される載置台34aを備える。載置台34aは、前側から後側に向かって漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜した傾斜面である。載置台34aの後側には、載置台34aより一段低く形成された逃げ部34bが設けられている。逃げ部34bは、携帯用情報機器12A,12Bの後方下面から図示しないバッテリ等が突出している場合に該バッテリ等を避けるための凹みである。
【0034】
載置台34aは、その上面の左端付近に係合突起38、ガイドポスト39及び検出ピン40が突出している。係合突起38は、その上端で後方を向いたフック部分が後方に向かって弾性付勢されている。
図4に示すように、係合突起38は、携帯用情報機器12A,12Bの底面14bに設けられた係合穴14dに係合可能である。係合突起38が係合穴14dに係合することで、携帯用情報機器12A,12Bが機器載置部34に対して上下に抜け止めされる。ガイドポスト39は、係合突起38と共に係合穴14dに挿入され、携帯用情報機器12A,12Bを前後左右に位置決めする。検出ピン40は、携帯用情報機器12A,12Bの底面14bによって押下可能である。
【0035】
載置台34aの上面左右両端側には、携帯用情報機器12A,12Bの底面14bを支持するための脚部材42がそれぞれ設けられている。左右の脚部材42,42は、左右方向に沿って並んでおり、載置台34aの上面での前後方向位置が一致又は略一致している。脚部材42は、例えば左右方向に延びた角柱状の突起であり、樹脂や硬質のゴム等で形成されている。
【0036】
逃げ部34bは、その上面の左端側に昇降部材44が設けられ、その上面の右端側に後方支持脚45が設けられている。昇降部材44は、載置台34a上に載置された携帯用情報機器12A,12Bの底面14bの後端側部分によって押圧されて昇降可能である。昇降部材44は、携帯用情報機器12A,12Bの機器載置部34への載置角度θを検出する検出器である。後方支持脚45は、載置台34a上に載置された携帯用情報機器12A,12Bの底面14bの後端側部分を支持する。後方支持脚45は、例えば昇降可能に設けられ、図示しない弾性部材やストッパ機構等によって携帯用情報機器12A,12Bを所定の上昇位置で支持する。
【0037】
接続機構部36は、樹脂等で形成された直方体状の箱体である筐体48を有する。筐体48は、機器載置部34よりも大きな高さ寸法を有する。筐体48は、機器載置部34の側部で起立し、機器載置部34に載置された携帯用情報機器12A,12Bの側面14aに対面する壁部48aを有する。コネクタ30a〜30c及びガイドピン32a,32b(以下、まとめて「コネクタ30」と呼ぶこともある)は、壁部48aに形成された開口48bから携帯用情報機器12A,12Bの側面14aに向かう左右方向に進退可能に設けられている。
【0038】
筐体48の上面には、操作レバー50及び電源ボタン51が設けられている。操作レバー50は、コネクタ30を開口48bから進退移動させるため操作部である。電源ボタン51は、当該ドッキング装置10の電源をオン・オフするためのボタンである。
【0039】
接続機構部36は、開口48bの後側に位置決め部材52を有する。位置決め部材52は、壁部48aから右側に向かって突出している。位置決め部材52は、機器載置部34に載置される携帯用情報機器12A,12Bの後端面14cと当接し、携帯用情報機器12A,12Bの前後方向位置を位置決めする。位置決め部材52は、ディスプレイ筐体16の開閉動作に干渉しないように上下動可能に設けられており、通常は上方に弾性付勢されている。
【0040】
図3A及び
図3Bに示すように、ドッキング装置10は、通常、机の上面等の平面状の使用面54に載置して使用される。携帯用情報機器12A,12Bは、ドッキング装置10に装着されると、前端側が使用面54に当接支持され、後端側が載置台34a上の脚部材42に当接支持された前下がりの角度姿勢となる。本実施形態の場合、携帯用情報機器12A,12Bは、左右の脚部材42に底面14bが当接した位置がドッキング装置10に対する搭載位置の基準点Oとなる。この基準点Oを基準とし、携帯用情報機器12A,12Bは前端側が前下がりに傾いた状態で、その底面14bの着地点Pが使用面54上に着地して安定する。なお、
図3Aに示す携帯用情報機器12Aでは、底面14bに設けられた前側のゴム脚55が着地点Pとなる。
【0041】
ところで、携帯用情報機器12Aと携帯用情報機器12Bとは、その前後方向寸法が異なる。このため、携帯用情報機器12Aは、基準点Oから着地点Pまでの距離が大きくなる(
図3A参照)。一方、携帯用情報機器12Bは、基準点Oから着地点Pまでの距離が携帯用情報機器12Aの場合よりも小さくなる(
図3B参照)。この際、携帯用情報機器12A,12Bは、それぞれの後端面14cの前後方向位置は位置決め部材52によって位置決めされている。その結果、携帯用情報機器12A,12Bは、後端側の基準点Oを回動中心として前端側が首振りするように上下に回動して着地点Pが使用面54に着地する。
【0042】
そこで、携帯用情報機器12Aがドッキング装置10に装着された場合の使用面54に対する底面14bの前下がり姿勢の角度を載置角度θ1と称し(
図3A参照)、携帯用情報機器12Bがドッキング装置10に装着された場合の使用面54に対する底面14bの前下がり姿勢の角度を載置角度θ2と称する(
図3B参照)。そうすると、携帯用情報機器12Aの載置角度θ1は、携帯用情報機器12Bの載置角度θ2よりも小さくなる。逆に言えば、携帯用情報機器12Bの載置角度θ2は、携帯用情報機器12Aの載置角度θ1よりも大きい。勿論、携帯用情報機器12Aよりも前後方向寸法が大きい携帯用情報機器は載置角度が一層小さくなる一方、携帯用情報機器12Bよりも前後方向寸法が小さい携帯用情報機器は載置角度が一層大きくなる。
【0043】
従って、
図3A及び
図3Bに示すように、携帯用情報機器12A,12Bは、接続端子24a〜24c及びガイド穴26a,26b(以下、まとめて「接続端子24」と呼ぶこともある)の角度もそれぞれの載置角度θ1,θ2に応じた角度となる。そこで、本実施形態のドッキング装置10は、携帯用情報機器12A,12Bの前後方向寸法の違いによる載置角度θ1,θ2の変化に応じてコネクタ30を回動させ、接続端子24に接続可能な角度に調整する角度調整機構56を備える。これにより、ドッキング装置10は、搭載した携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2の違いによる接続端子24の角度の違いにコネクタ30の角度を対応させ、コネクタ30を接続端子24に円滑に接続可能となっている。
【0044】
次に、角度調整機構56の構成と、角度調整機構56で角度調整したコネクタ30を携帯用情報機器12A,12Bに向かって進退させる進退機構58の構成とを説明する。
【0045】
図5は、ドッキング装置10の内部構造の構成例を示した斜視図である。
図6は、角度調整機構56の構成例を示す斜視図である。
【0046】
図5及び
図6に示すように、角度調整機構56は、接続機構部36から機器載置部34に亘って設けられている。角度調整機構56は、支持部材60と、連動部材62と、昇降部材44とを有する。角度調整機構56は、ドッキング装置10の底面を形成するベースプレート(ベース部材)10aの上面側で動作する。
【0047】
支持部材60は、基板64と、スライド部材66とを有する。
【0048】
基板64は、コネクタ30a〜30cが電気的に接続された電子基板であり、前後方向に延びたプレート状部材である。コネクタ30は、矩形棒状のホルダ68を介して基板64の右側表面に実装されている。スライド部材66は、スライド部66aと、基板支持部66bとを有する。スライド部66aは、スライドベース70の上面で左右方向に進退可能に支持されている。基板支持部66bは、前後方向に延びた棒状部材であり、基板64の左側裏面に連結固定されている。スライド部66aと基板支持部66bは一体的に連結されている。
【0049】
基板支持部66bは、フローティング機構72を介して基板64を支持している。基板64は、ねじ74を用いて基板支持部66bに締結固定されている。ねじ74は、基板64に形成された貫通孔を通して基板支持部66bに形成された雌ねじに螺合される。本実施形態の場合、このねじ74の外周面と基板64の貫通孔の内周面との間にゴム等の弾性部材を介在させることでフローティング機構72を構成し、基板64を基板支持部66bにフローティング支持している。フローティング機構72は、例えば基板64を基板支持部66bに対してばね等の弾性部材を用いて弾性支持した構成等であってもよい。
【0050】
スライドベース70は、回動軸76を介して軸受部材78に回動可能に連結されている。回動軸76は、左右方向に沿って延びた軸部材である。軸受部材78は、ベースプレート10aの上面に固定されている。これにより支持部材60は、回動軸76を中心としてベースプレート10aに対して上下方向に回動可能に支持されている。従って、支持部材60が回動軸76を介して回動すると、コネクタ30が回動軸76を中心に旋回する。この際、支持部材60は、回動軸76周りに設けられたねじりコイルばね79によって後端側が上方に向かう方向に常時付勢されている。つまりコネクタ30は、コネクタ30c側がコネクタ30a側よりも上方に旋回する方向に常時付勢されている。
【0051】
本実施形態の場合、ドッキング装置10は、回動軸76の中心軸Oの延長線上に脚部材42の頂面を配置した構成となっている(
図3A、
図3B及び
図5参照)。つまり回動軸76の中心軸Oの延長線は、脚部材42による携帯用情報機器12A,12Bの底面14bの支持位置である基準点Oと一致又は略一致する。
【0052】
連動部材62は、スライドベース70と昇降部材44との間を連結する棒状部材である。本実施形態の場合、連動部材62は、スライドベース70の下部から右側へと延び、前側上方にクランクした後、再び右側に延びて昇降部材44の下部に固定されている。連動部材62は、棒状の剛体であり、昇降部材44の昇降動作をスライドベース70に伝達し、スライドベース70を回動軸76を中心として回動させる。つまり、昇降部材44は、スライドベース70を介して回動軸76を中心として上下旋回方向に昇降する。従って昇降部材44が旋回方向に昇降すると、スライドベース70を介して支持部材60及びコネクタ30も旋回方向に昇降する。なお、連動部材62の途中に設けたクランク形状は、スライド部材66がスライドベース70に対して左右方向に進退した際、当該連動部材62が基板64と干渉することを回避するための逃げ部である。
【0053】
昇降部材44は、
図1に示すように逃げ部34bに形成された開口から突出しており、この開口を囲むガイド壁80によってガイドされつつ回動軸76を中心とした上下旋回方向に昇降する。昇降部材44は、機器載置部34に載置された携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2を検出する角度調整機構56の検出器としての機能を有する。つまり、昇降部材44は、ねじりコイルばね79の付勢力によって常時上昇位置にある。そして、昇降部材44は、機器載置部34に対して載置される携帯用情報機器12A,12Bの底面14bの後端側で押下される。その結果、昇降部材44は、携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2に応じた下降位置まで回動軸76を中心として旋回下降し、この下降位置に保持される(
図3A及び
図3B参照)。
【0054】
図7Aは、ドッキング装置10に
図2Aに示す携帯用情報機器12Aを装着した場合の角度調整機構56の動作状態を模式的に示した側面図である。
図7Bは、ドッキング装置10に
図2Bに示す携帯用情報機器12Bを装着した場合の角度調整機構56の動作状態を模式的に示した側面図である。
【0055】
図7Aに示すように、携帯用情報機器12Aは、前下がりの載置角度θ1でドッキング装置10に対して装着される。この際、角度調整機構56は、携帯用情報機器12Aの底面14bで昇降部材44が押下される。そうすると、昇降部材44は、連動部材62及びスライドベース70を介して連結された支持部材60と共に回動軸76を中心として下方に回動する。その結果、コネクタ30は、携帯用情報機器12Aの接続端子24と同一の載置角度θ1に設定される。
【0056】
図7Bに示すように、携帯用情報機器12Bの場合も携帯用情報機器12Aの場合と略同様である。すなわち、携帯用情報機器12Bは、前下がりの載置角度θ2でドッキング装置10に対して装着される。この際、コネクタ30は、携帯用情報機器12Bの接続端子24と同一の角度に設定される。このように角度調整機構56は、昇降部材44が携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2を検出する検出器として機能し、この検出結果に応じてコネクタ30の角度が調整される。
【0057】
図8Aは、コネクタ30が開口48b内に退動している状態を模式的に示す一部断面側面図である。
図8Bは、
図8Aに示す状態から機器載置部34に携帯用情報機器12A(12B)を載置した状態を模式的に示す一部断面側面図である。
図8Cは、
図8Bに示す状態から進退機構58を用いてコネクタ30を開口48b外に進動させた状態を模式的に示す一部断面側面図である。
【0058】
進退機構58は、筐体48の壁部48aに形成された開口48bからコネクタ30を進退させる機構である。進退機構58は、操作レバー50の進退操作に伴い、コネクタ30を開口48bから進退させる。進退機構58は、操作レバー50と、支持部材60と、スライドベース70とを有する。
【0059】
操作レバー50は、筐体48の上面で左右方向にスライド可能に設けられている。操作レバー50の下面には、下方に突出した連結片50aが設けられている。連結片50aは、スライド部材66のスライド部66aの上面に開口形成された連結穴66cに対して挿入されている。連結片50aは、左右方向に対しては相対移動不能な状態で連結穴66cに挿入される一方、回動軸76を中心としたスライド部66aの上下方向の旋回動作に対しては相対移動可能な状態で連結穴66cに挿入されている。つまり連結片50aは、連結穴66cに対して左右方向には一体的に連結され、略上下方向(旋回方向)には摺動可能に挿入されている。
【0060】
従って、進退機構58は、操作レバー50を左右方向にスライドさせると、支持部材60が左右方向にスライドし、その結果コネクタ30が左右方向に進退する。この際、スライドベース70は、ベースプレート10a上に固定された軸受部材78に対して回動軸76を介して回動可能に支持されている。このため、進退機構58は、角度調整機構56によって調整したコネクタ30の角度姿勢を維持したまま、コネクタ30を左右方向に進退させることができる。
【0061】
次に、ドッキング装置10に対する携帯用情報機器12A,12Bの装着動作を説明する。
【0062】
携帯用情報機器12A,12Bを装着する前の状態(初期状態)では、ドッキング装置10は操作レバー50が左側に後退した初期位置にある(
図8A参照)。この状態では、支持部材60も左側に後退した初期位置にあり、コネクタ30は筐体48内に収納されている。またこの状態では、昇降部材44がねじりコイルばね79の付勢力によって最も上昇した初期位置にあり、コネクタ30は最も前下がりに傾斜した角度姿勢にある。つまりコネクタ30は、
図7Bに示す載置角度θ2以上に大きな角度になっている。
【0063】
携帯用情報機器12A,12Bは、このような初期状態にあるドッキング装置10に対して装着される。先ず、
図2Aに示す携帯用情報機器12Aを装着する場合は、携帯用情報機器12Aを載置台34aに載置する。すなわち、
図3Aに示すように携帯用情報機器12Aは、後端面14cを位置決め部材52で位置決めし、その側面14aを筐体48の壁部48aで位置決めした状態で載置台34a上に載置する。そうすると、携帯用情報機器12Aは、前端側が着地点Pで使用面54に当接し、後端側が基準点Oで脚部材42に当接し、使用面54に対して載置角度θ1で載置される。同時に、携帯用情報機器12Aは、底面14bで検出ピン40を押下し、係合穴14dが係合突起38と係合する(
図4参照)。
【0064】
この際、角度調整機構56は、載置角度θ1となった携帯用情報機器12Aの底面14bで昇降部材44が押下されるため、支持部材60が回動軸76を介して回動する。これにより、
図7A及び
図8Bに示すようにコネクタ30が載置角度θ1に応じた角度姿勢となるまで回動軸76を中心として下方に旋回し、この角度姿勢に保持される。その結果、載置角度θ1に沿う角度姿勢となった接続端子24と、コネクタ30の角度姿勢とが一致し、コネクタ30と接続端子24とが互いに対向配置される。
【0065】
そこで、
図8Cに示すように操作レバー50を右側へとスライドする。これにより、先ずガイドピン32a,32bがそれぞれガイド穴26a,26bに挿入され、続いてコネクタ30a〜30cが接続端子24a〜24cに接続される。すなわち、コネクタ30は、角度調整機構56によって携帯用情報機器12Aの載置角度θ1に応じた回動位置に調整されるため、接続端子24に対して円滑に且つ確実に接続できる。この際、連動部材62は、スライドベース70に連結されているため、コネクタ30の進退移動に連動部材62及び昇降部材44が関与せず、進退機構58の構成が簡素化されている。
【0066】
しかも角度調整機構56は、コネクタ30を支持した基板64と、基板64を支持したスライド部材66(基板支持部66b)との間にフローティング機構72を設けている。このため、角度調整後のコネクタ30の角度姿勢と接続端子24の角度姿勢とが多少ずれを生じていたとしても、フローティング機構72の作用によってコネクタ30が接続端子24に対して自動的に位置調整されながら接続される。
【0067】
なお、本実施形態では、検出ピン40が携帯用情報機器12Aの底面14bで押下されることで、
図5に示すロックスライダ82が左右方向にスライド可能な状態となる。ロックスライダ82は、スライド部66aに対して左右方向に連動してスライド可能に連結されている。すなわち、本実施形態の場合、ロックスライダ82がスライド可能な状態となることで、操作レバー50のスライド操作が許容される。このように当該ドッキング装置10は、携帯用情報機器12A等を載置台34a上に装着していない状態ではコネクタ30を操作レバー50によって進動させることができない構成であり、コネクタ30が誤って進動した状態で携帯用情報機器12A等が載置台34a上に載置されることが回避されている。
【0068】
次に、
図2Bに示す携帯用情報機器12Bを装着する場合は、上記した携帯用情報機器12Aの場合と同様に携帯用情報機器12Bを載置台34aに載置する。そうすると、携帯用情報機器12Bは、前端側が着地点Pで使用面54に当接し、後端側が基準点Oで脚部材42に当接し、使用面54に対して載置角度θ2で載置される。
【0069】
この際、角度調整機構56は、載置角度θ2となった携帯用情報機器12Bの底面14bで昇降部材44が押下される。このため、
図7B及び
図8Bに示すようにコネクタ30は、載置角度θ2に応じた角度姿勢となるまで下方に旋回し、この角度姿勢に保持される。その結果、載置角度θ2に沿う角度姿勢となった接続端子24と、コネクタ30の角度姿勢とが一致し、コネクタ30と接続端子24とが互いに対向配置される。そこで、
図8Cに示すように操作レバー50を右側へとスライドする。そうすると、コネクタ30は、角度調整機構56によって携帯用情報機器12Bの載置角度θ2に応じた回動位置に調整されているため、接続端子24に対して円滑に且つ確実に接続される。
【0070】
一方、ドッキング装置10に装着された携帯用情報機器12A等を取り外す際には、操作レバー50を左側に移動させ、コネクタ30を退動させて接続端子24から抜き取る。この際、ロックスライダ82も左側にスライドし、係合突起38の係合穴14dへの係合状態が解除される。その結果、携帯用情報機器12A等を機器載置部34から円滑に取り外すことができる。
【0071】
以上のように、本実施形態のドッキング装置10は、使用面54に載置して使用され、携帯用情報機器12A,12Bを着脱可能に構成されている。ドッキング装置10は、前端側が使用面54に当接配置される携帯用情報機器12A,12Bの後端側を支持することで、携帯用情報機器12A,12Bを前下がりの角度姿勢で載置可能な機器載置部34と、機器載置部34の側部で起立し、機器載置部34に載置された携帯用情報機器12A,12Bの側面14aに対向配置される接続機構部36とを備える。さらにドッキング装置10は、接続機構部36に回動可能に設けられ、機器載置部34に載置された携帯用情報機器12A,12Bの側面14aに設けられた接続端子24に対して接続可能なコネクタ30と、機器載置部34に載置された携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2を検出する検出器となる昇降部材44と、昇降部材44による載置角度θ1,θ2の検出結果に基づいて、コネクタ30を回動させて接続端子24に接続可能な角度に調整する角度調整機構56とを備える。
【0072】
従って、当該ドッキング装置10は、仕様の異なる携帯用情報機器12A,12Bをドッキングする際にそれぞれの載置角度θ1,θ2が異なる場合にも、各載置角度θ1,θ2に応じた角度姿勢にコネクタ30が調整される。このため、携帯用情報機器12A,12Bの側面14aに設けられた接続端子24に対してコネクタ30を対向配置でき、両者を円滑に且つ確実に接続できる。このため、当該ドッキング装置10は、複数種類の携帯用情報機器12A,12Bのドッキングが可能となり、高い汎用性が得られる。
【0073】
上記した通り、コネクタ30は3連構造ではなく単独構造等でもよい。但し、接続端子24及びコネクタ30がそれぞれ複数並列された構造であると、携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2の違いによる接続端子24とコネクタ30との間の角度ずれの影響が大きくなる。このため、本実施形態のように接続端子24及びコネクタ30を複数並列した構成であると角度調整機構56を設ける効果が一層大きくなる。
【0074】
上記した通り、本実施形態では前後方向寸法が異なる2種類の携帯用情報機器12A,12Bをドッキングする構成を例示したが、角度調整機構56によるコネクタ30の角度調整範囲内であればさらに別の種類の携帯用情報機器をドッキングすることも可能である。本実施形態の角度調整機構56は、例えば載置角度が4度〜9度程度の範囲内でコネクタ30の角度を調整可能に構成されるが、この調整角度は適宜変更可能である。
【0075】
当該ドッキング装置10では、機器載置部34は、載置される携帯用情報機器12A,12Bの底面14bが着地する脚部材42を有し、回動軸76の中心軸Oの延長線上に脚部材42を設けている。すなわち、
図3A及び
図3Bに示すように機器載置部34に携帯用情報機器12A,12Bを載置する場合は、その底面14bを支持する脚部材42を回動中心(基準点O)として携帯用情報機器12A,12Bの載置角度が変化する。そこで当該ドッキング装置10では、回動軸76の中心軸Oの延長線上にこの脚部材42を設けることで、携帯用情報機器12A,12Bの角度変化の中心点(基準点O)と、コネクタ30の角度変化の中心点(中心軸O)との前後方向位置が一致し、携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2とコネクタ30の角度姿勢とをより確実に合わせることができる。
【0076】
当該ドッキング装置10は、角度調整機構56によって角度が調整されたコネクタ30を接続端子24に向かって進退させる進退機構58を備える。このため、当該ドッキング装置10は、携帯用情報機器12A,12Bを機器載置部34に対して例えば鉛直上方から載置した後、コネクタ30を進動させるだけで接続端子24に接続することができる。すなわち、機器載置部34に対して携帯用情報機器12A,12Bを載置しつつ、同時に携帯用情報機器12A,12Bの位置を調整しながら接続端子24をコネクタ30に対して接続する作業が不要となり、携帯用情報機器12A,12Bのドッキング動作が容易となる。但し、機器載置部34に携帯用情報機器12A,12Bを鉛直上方から載置する構成とした場合、コネクタ30と接続端子24の接続位置を外部から視認し難いことがある。この点、当該ドッキング装置10は、角度調整機構56によってコネクタ30の角度姿勢が調整された状態でコネクタ30が進退するため、コネクタ30と接続端子24とを円滑に接続できる。なお、進退機構58は省略してもよい。この場合はコネクタ30を壁部48aから突出した位置に設けておき、機器載置部34に携帯用情報機器12A,12Bを載置し、コネクタ30の角度調整が実行されてから携帯用情報機器12A,12Bを側方にスライドさせ、接続端子24をコネクタ30に接続するとよい。
【0077】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0078】
上記では、携帯用情報機器12A,12Bの載置角度θ1,θ2を検出する検出器として、コネクタ30と一体的に回動する昇降部材44を例示した。しかしながら、この検出器は、例えばコネクタ30とは別体に構成され、携帯用情報機器12A,12Bの底面14bで押下される昇降型の検出ピン等でもよい。この構成では、例えば検出ピンの押下量から載置角度θ1,θ2を演算し、この演算結果に応じた位置にコネクタ30及び支持部材60を電動モータ等を用いて回動させればよい。
【課題】側面に接続端子が設けられた複数種類の携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができ、高い汎用性を確保することができるドッキング装置を提供する。
【解決手段】ドッキング装置10は、前端側が使用面54に当接配置される携帯用情報機器12Aの後端側を支持することで、前下がりの角度姿勢で載置可能な機器載置部34と、機器載置部34の側部で起立し、載置された携帯用情報機器12Aの側面に対向配置される接続機構部36と、接続機構部36に回動可能に設けられ、携帯用情報機器12Aの側面に設けられた接続端子24a〜24cに対して接続可能なコネクタ30a〜30cと、携帯用情報機器12Aの載置角度θ1を検出する検出器となる昇降部材44と、昇検出結果に基づいて、コネクタ30a〜30cを回動させて接続端子24a〜24cに接続可能な角度に調整する角度調整機構とを備える。