特許第6377813号(P6377813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377813
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ナノヘテロ接合構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20180813BHJP
   H01L 31/108 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20180813BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20180813BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20180813BHJP
   H01L 29/267 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H01L29/78 618B
   H01L31/10 C
   H01L31/10 H
   B82Y30/00
   B82Y20/00
   H01L29/267
   H01L29/78 301B
   H01L29/78 301X
   H01L29/06 601N
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-128712(P2017-128712)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-6754(P2018-6754A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】201610502944.8
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 金
(72)【発明者】
【氏名】魏 洋
(72)【発明者】
【氏名】姜 開利
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−250904(JP,A)
【文献】 特表2009−512966(JP,A)
【文献】 特表2002−538606(JP,A)
【文献】 特開2002−118248(JP,A)
【文献】 特表2005−512930(JP,A)
【文献】 特表2005−539404(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0034907(US,A1)
【文献】 特開2011−198750(JP,A)
【文献】 特開2018−006756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B82Y 20/00
B82Y 30/00
H01L 21/336
H01L 29/06
H01L 29/267
H01L 29/78
H01L 29/786
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一カーボンナノチューブ、半導体層及び第二カーボンナノチューブを含み、前記第一カーボンナノチューブが第一方向に沿って延伸し、前記半導体層の厚さが1ナノメートル〜100ナノメートルであり、前記第二カーボンナノチューブが前記半導体層の表面に設置され、前記半導体層を前記第一カーボンナノチューブと前記第二カーボンナノチューブとの間に設置させ、前記第二カーボンナノチューブが第二方向に沿って延伸し、該第二方向と前記第一方向とは、角度を成し、該角度が0°より大きく、且つ90°以下であることを特徴とするナノヘテロ接合構造。
【請求項2】
前記第一カーボンナノチューブ又は前記第二カーボンナノチューブが金属性カーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【請求項3】
前記第一カーボンナノチューブと前記第二カーボンナノチューブが互いに交叉し、交差点が形成され、該交差点に第一カーボンナノチューブ、半導体層及び第二カーボンナノチューブからなる三層の立体構造が形成され、該三層の立体構造の断面の面積が1nm〜100nmであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【請求項4】
前記半導体層の厚さが1ナノメートル〜10ナノメートルであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【請求項5】
前記第二方向と前記第一方向が形成された角度は、60°より大きく、且つ90°以下であることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノヘテロ接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘテロ接合は、二つの異なる半導体の材料が接触して、形成される界面区域である。二つの半導体の材料の導電タイプによって、ヘテロ接合は、同一ヘテロ接合(P−p接合又はN−n接合)及び異型ヘテロ接合(P−n接合又はp−N接合)に分けられ、複数層のヘテロ接合をヘテロ接合構造と称する。一般的には、ヘテロ接合を形成する条件は、二つの半導体が類似する結晶構造、接近する原子距離及び熱膨張係数を持つことである。界面合金、エピタキシャル成長、真空蒸着等の技術を利用して、ヘテロ接合を製造できる。ヘテロ接合は、二つの半導体のそれぞれのPN接合が持たない優れた光電特性を有して、超高速なスイッチ、太陽電池及び半導体レーザーなどを製造することに適用される。
【0003】
最近、二次元の半導体材料が優れた電子性能及び光学性能を有するので、ヘテロ接合構造の領域の研究がホットスポットになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、技術レベルの制限を受けるので、この材料のヘテロ接合構造はマイクロメートル構造体であり、ある程度その応用範囲が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これによって、ナノヘテロ接合構造を提供する必要がある。
【0006】
ナノヘテロ接合構造は、第一カーボンナノチューブ、半導体層及び第二カーボンナノチューブを含む。第一カーボンナノチューブが第一方向に沿って延伸し、半導体層の厚さが1ナノメートル〜100ナノメートルであり、第二カーボンナノチューブが前記半導体層の表面に設置され、半導体層を第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブとの間に設置させ、第二カーボンナノチューブが第二方向に沿って延伸し、第二方向と第一方向とは、角度を成し、該角度が0°より大きく、且つ90°以下である。
【0007】
第一カーボンナノチューブ又は第二カーボンナノチューブが金属性カーボンナノチューブである。
【0008】
第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブが互いに交叉し、交差点が形成され、該交差点に第一カーボンナノチューブ、半導体層及び第二カーボンナノチューブからなる三層の立体構造が形成され、該三層の立体構造の断面の面積が1nm〜100nmである。
【0009】
半導体層の厚さが1ナノメートル〜10ナノメートルである。
【0010】
第二方向と第一方向が形成された角度は、60°より大きく、且つ90°以下である。
【発明の効果】
【0011】
従来技術と比べて、本発明のナノヘテロ接合構造は、第一カーボンナノチューブ、第二カーボンナノチューブ及び、第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブとの間に挟まれた半導体層は三層の立体構造に形成され、該三層の立体構造の断面の大きさは第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブの直径によって、決まり、カーボンナノチューブの直径がナノスケールであるので、三層の立体構造の断面の面積はナノスケールである。従って、ナノヘテロ接合構造が応用される時には、低いエネルギー消費、高い空間分解能及びより高い完全性を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施例のナノヘテロ接合構造の構造を示す図である。
図2】本発明の第一実施例のナノヘテロ接合構造の側面を示す図である。
図3】本発明の第二実施例のナノヘテロ接合構造の製造方法のフローチャートである。
図4】本発明の第三実施例のナノのトランジスターの構造を示す図である。
図5】本発明の第四実施例のナノのトランジスターの製造方法のフローチャートである。
図6】本発明の第五実施例の光検出器の構造を示す図である。
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0014】
図1及び図2を参照すると、本発明の第一実施例は、ナノヘテロ接合構造100を提供する。ナノヘテロ接合構造100は、第一カーボンナノチューブ102、半導体層104及び第二カーボンナノチューブ106を含む。第一カーボンナノチューブ102が第一方向に沿って延伸する。半導体層104の厚さが1ナノメートル〜100ナノメートルである。第二カーボンナノチューブ106が半導体層104の表面に設置され、半導体層104を第一カーボンナノチューブ102と第二カーボンナノチューブ106との間に設置させる。第二カーボンナノチューブ106が第二方向に沿って延伸し、第二方向と第一方向とは、角度を成し、該角度が0°より大きく、且つ90°以下である。
【0015】
前記第一カーボンナノチューブ102は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。第一カーボンナノチューブ102は、金属性カーボンナノチューブ又は半導体性カーボンナノチューブである。好ましくは、第一カーボンナノチューブ102が金属性カーボンナノチューブである。第一カーボンナノチューブ102の直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜150ナノメートルであり、ある実施例において、第一カーボンナノチューブ102の直径が1ナノメートル〜10ナノメートルである。好ましくは、第一カーボンナノチューブ102が単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートル〜5ナノメートルである。本実施例において、第一カーボンナノチューブ102が金属性の単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートルである。第一カーボンナノチューブ102が第一方向に沿って延伸する。
【0016】
半導体層104は、二次元構造の半導体層である。即ち、半導体層104の厚さが小さくて、半導体層の厚さが1ナノメートル〜200ナノメートルである。好ましくは、半導体層104の厚さが1ナノメートル〜10ナノメートルである。本実施例において、半導体層の厚さが2ナノメートルである。半導体層104の材料は、P型半導体又はN型半導体である。半導体層104の材料が制限されなく、無機化合物半導体、元素半導体又は有機半導体であり、例えば、ガリウムヒ素、炭化ケイ素、多結晶シリコン、単結晶シリコン又はナフタレンなどである。ある実施例において、半導体層104の材料は、遷移金属硫化物である。本実施例において、半導体層104の材料がN型半導体である硫化モリブデン(M)であり、その厚さが2ナノメートルである。
【0017】
第二カーボンナノチューブ106は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。第二カーボンナノチューブ106は、金属性カーボンナノチューブ又は半導体性カーボンナノチューブである。第二カーボンナノチューブ106の直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜150ナノメートルであり、ある実施例では、第二カーボンナノチューブ106の直径が1ナノメートル〜10ナノメートルである。好ましくは、第二カーボンナノチューブ106が単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートル〜5ナノメートルである。本実施例において、第二カーボンナノチューブ106が金属性の単層カーボンナノチューブであり、その直径が2ナノメートルである。第二カーボンナノチューブ106及び第一カーボンナノチューブ102は、材料及びサイズが同じでもよく、異なってもよい。第二カーボンナノチューブ106が第二方向に沿って延伸する。
【0018】
第一カーボンナノチューブ102の延伸方向と第二カーボンナノチューブ106の延伸方向が夾角を成し、該夾角が0度より大きく、90度以下である。すなわち、第一方向と第二方向との夾角が0度より大きく、90度以下である。ある実施例では、第一方向と第二方向との夾角が60度より大きく、90度以下である。好ましくは、第一方向と第二方向との夾角が90度である。本実施例において、図1に示すように、第一カーボンナノチューブ102の延伸方向と第二カーボンナノチューブ106の延伸方向が互いに垂直であり、すなわち、夾角が90度である。第一カーボンナノチューブ102と第二カーボンナノチューブ106が互いに交叉し、交差点が形成される。交差点に第一カーボンナノチューブ102、半導体層104及び第二カーボンナノチューブ106からなる三層の立体構造110が形成される。三層の立体構造110の断面の面積が第一カーボンナノチューブ102と第二カーボンナノチューブ106の直径によって決まる。第一カーボンナノチューブ102及び第二カーボンナノチューブ106がナノ材料であるので、三層の立体構造110の断面の面積もナノスケールである。好ましくは、三層の立体構造110の断面の面積は、0.25nm〜1000nmである。更に好ましくは、三層の立体構造110の断面の面積は、1nm〜100nmである。
【0019】
第一カーボンナノチューブ102、第二カーボンナノチューブ106及び二次元の半導体層104は、三層の立体構造110にファンデルワールスヘテロ接合構造が形成される。応用する時は、第一カーボンナノチューブ102及び第二カーボンナノチューブ106と半導体層104との間にショットキー接合が形成され、電流が三層の立体構造110を流れることができる。第一カーボンナノチューブ102及び第二カーボンナノチューブ106がナノ材料であるので、三層の立体構造110の断面の面積もナノスケールであり、即ち、ナノヘテロ接合構造が形成される。ナノヘテロ接合構造は、低いエネルギー消費、高い空間分解能及びより高い完全性を持つ。
【0020】
図3を参照すると、本発明の第二実施例は、上記のナノヘテロ接合構造の製造方法を提供する。ナノヘテロ接合構造の製造方法は、下記のステップを含む。
【0021】
S1:支持構造を提供して、支持構造に第一カーボンナノチューブ層を形成し、第一カーボンナノチューブ層が複数の第一カーボンナノチューブを含む。
【0022】
S2:第一カーボンナノチューブ層に半導体層を形成する。
【0023】
S3:半導体層に第二カーボンナノチューブ層を覆い、第二カーボンナノチューブ層が複数の第二カーボンナノチューブを含み、少なくとも一つの第二カーボンナノチューブの延伸方向と第一カーボンナノチューブの延伸方向とが互いに交叉する。
【0024】
S4:互いに交叉している一組の第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブを捜して、該組の第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブをマークして、残りの第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを除去する。
【0025】
S5:上記の構造に焼鈍処理を行う。
【0026】
ステップS1において、支持構造が第一カーボンナノチューブ層を支え、その材料が制限されない。支持構造の材料は絶縁材料であることが好ましい。本実施例において、支持構造が二層の構造であり、下層がシリコンであり、上層が酸化ケイ素であり、酸化ケイ素の厚さが300ナノメートルである。第一カーボンナノチューブ層が複数の第一カーボンナノチューブを含む。第一カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。第一カーボンナノチューブは、金属性カーボンナノチューブ又は半導体性カーボンナノチューブである。第一カーボンナノチューブの直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜150ナノメートルである。ある実施例では、第一カーボンナノチューブ102の直径が1ナノメートル〜10ナノメートルである。好ましくは、第一カーボンナノチューブ102が単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートル〜5ナノメートルである。複数の第一カーボンナノチューブは、配列方向が制限されなく、交差して配列され、又は平行配列される。本実施例において、第一カーボンナノチューブ層の中の複数の第一カーボンナノチューブが互いに平行する。支持構造に第一カーボンナノチューブ層を形成する方法は、移行方法である。この移行方法は下記のステップを含む。
【0027】
S11:基底に第一カーボンナノチューブ層を成長して、第一カーボンナノチューブ層が互いに平行する複数のカーボンナノチューブを含む。その中で、基底がシリコンの基底である。
【0028】
S12:第一カーボンナノチューブ層の表面に過渡層を塗布する。本実施例において、過渡層の材料がPMMAである。過渡層の厚さが制限されなく、1マイクロメートル〜10マイクロメートルであることが好ましい。
【0029】
S13:過渡層が塗布された第一カーボンナノチューブ層及び基底をアルカリ溶液の中に置き、70℃〜90℃に加熱して、過渡層及び第一カーボンナノチューブ層を基底と分離させる。S13において、第一カーボンナノチューブ層と過渡層との結合が更に緊密になり、過渡層と基底とが分離する時、少なくともの一部の第一カーボンナノチューブ層が過渡層に形成される。アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液である。本実施例において、過渡層が塗布された第一カーボンナノチューブ層及び基底を、水酸化ナトリウム溶液の中に置き、80℃で5分間加熱する。
【0030】
S14:第一カーボンナノチューブ層が接着された過渡層を支持構造に敷設する。過渡層を除去して、第一カーボンナノチューブ層を支持構造の表面に形成させる。本実施例において、PMMAの過渡層がアセトンで洗浄する方法によって除去される。
【0031】
S2において、半導体層の結晶体を提供して、テープで半導体層の結晶体を何度も引き裂いて、この半導体層の厚さをますます薄くならせて、テープに二次元の半導体層を形成するまで引き裂く。その後、二次元の半導体層を第一カーボンナノチューブ層の表面に設置して、テープを除去する。本実施例において、テープで硫化モリブデンの単結晶体を何度も引き裂いて、得られたシート状の硫化モリブデンの厚さをますます薄くならせて、ナノスケールの厚さの硫化モリブデン層を形成するまで引き裂く。半導体層が形成されたテープを第一カーボンナノチューブ層に覆い、半導体層を第一カーボンナノチューブ層と接触させ、テープを剥がして、少なくともの一部の半導体層は、第一カーボンナノチューブ層の表面に残る。
【0032】
S3において、第二カーボンナノチューブが第一カーボンナノチューブと同じでもよく、違ってもよい。複数の第二カーボンナノチューブの配列方向が制限されなく、交差して配列し又は平行に配列する。本実施例では、第二カーボンナノチューブ層における複数の第二カーボンナノチューブが互いに平行して、第一カーボンナノチューブの配列方向と第二カーボンナノチューブの配列方向が互いに垂直する。第二カーボンナノチューブ層が移行方法によって、半導体層の表面に移行する。第二カーボンナノチューブ層の移行方法が第一カーボンナノチューブ層の移行方法と同じである。
【0033】
ステップS4は、具体的に以下のサブステップを含む。
【0034】
S41:走査型電子顕微鏡(SEM)の協力のもとで、一組の交差している第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを選択して、該組の第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブの座標位置を標識する。
【0035】
S42:電子ビーム露光の方法で、該組の第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを保護して、その他の第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを露出して、プラズマエッチングの方法で、その他の第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブをエッチングする。
【0036】
ステップS41では、まず、支持構造体の長さ及び幅に座標目盛りを標識して、XY座標である。その後、走査型電子顕微鏡の下で、一組の交差している第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを選択して、且つ該組の交差している第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブの座標値を読み出す。
【0037】
ステップS5では、焼鈍処理が真空環境で行われ、アニーリング温度が300〜400℃である。アニーリング処理をした後、ナノヘテロ接合構造の表面の不純物を除去でき、更に、第一カーボンナノチューブと半導体層と第二カーボンナノチューブとの間の結合力を強くならせる。
【0038】
図4を参照すると、本発明の第三実施例は、ナノトランジスタ200を提供する。ナノトランジスタ200は、ソース電極202、ドレイン電極204、ゲート電極208及びナノヘテロ接合構造100を含む。ナノヘテロ接合構造100がソース電極202及びドレイン電極204に電気的に接続され、ゲート電極208が絶縁層210によって、ナノヘテロ接合構造100、ソース電極202及びドレイン電極204に絶縁的に設置される。ナノヘテロ接合構造100の具体的な構造が第一実施例のナノヘテロ接合構造100の構造と同じであり、ここに詳しく説明をしない。
【0039】
ソース電極202及びドレイン電極204は、導電材料からなり、導電材料が金属、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー又は導電カーボンナノチューブ等である。金属材料がアルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム又は任意の組み合わせの合金である。ソース電極202及びドレイン電極204も導電フィルムであってもよく、導電フィルムの厚さが2マイクロメートル〜100マイクロメートルである。本実施例において、ソース電極202及びドレイン電極204が銅及びチタンからなる金属複合構造であり、具体的には、金属複合構造が銅層及びチタン層からなり、銅層がチタン層の表面に設置される。チタン層の厚さが2ナノメートルであり、銅層の厚さが50ナノメートルである。本実施例において、ソース電極202が第一カーボンナノチューブ102に電気的に接続され、第一カーボンナノチューブ102の一端に設置され、第一カーボンナノチューブ102の表面と緊密に接触して、その中で、チタン層が第一カーボンナノチューブ102の表面に設置され、銅層がチタン層の表面に設置される。ドレイン電極204が第二カーボンナノチューブ106に電気的に接続され、第二カーボンナノチューブ106の一端に設置され、第二カーボンナノチューブ106の表面と緊密に接触して、その中で、チタン層が第二カーボンナノチューブ106の表面に設置され、銅層がチタン層の表面に設置される。
【0040】
ゲート電極208が導電材料からなり、導電材料が金属、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー又は導電カーボンナノチューブ等である。金属がアルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム又は任意の組み合わせの合金である。本実施例において、ゲート電極208が層状構造であり、絶縁層210がゲート電極208の表面に設置され、ソース電極202、ドレイン電極204、及び半導体構造206が絶縁層210に設置され、且つゲート電極208及び絶縁層210に支持される。
【0041】
ナノトランジスタ200において、第一カーボンナノチューブ102及び第二カーボンナノチューブ106と半導体層104との間にショットキー接合が形成される。つまり三層の立体構造110の内部にショットキー接合が形成される。ゲート電極208にバイアス電圧を印加することによって、ショットキー接合のバリヤーの高さを変える。これによって、ソース電極202とドレイン電極204との間の電流の大きさを制御する。本実施例において、半導体層104の材料が硫化モリブデンであり、n型半導体である。ソース電極202及びドレイン電極204のバイアス電圧が一定して、ゲート電極208の電圧が正電圧である時には、三層の立体構造110の内部に形成されたショットキー接合のバリヤーが低くなり、ソース電極202とドレイン電極204との間が電流を流して、オン状態になり、電流が順番にソース電極202、第一カーボンナノチューブ102、三層の立体構造110、第二カーボンナノチューブ106及びドレイン電極204を流れる。ゲート電極208の電圧が負電圧である時には、ショットキー接合のバリヤーが高くなり、ソース電極202とドレイン電極204との間が基本的に電流を流させず、オフ状態になる。本実施例のナノトランジスタ200のオンオフ比が10に達する。
【0042】
図5を参照すると、本発明の第四実施例は、ナノトランジスタの製造方法を提供する。ナノトランジスタの製造方法は、以下のステップを含む。
【0043】
M1:支持構造を提供して、支持構造の表面に第一カーボンナノチューブ層を形成して、第一カーボンナノチューブ層が複数の第一カーボンナノチューブを含む。
【0044】
M2:第一カーボンナノチューブ層に半導体層を形成する。
【0045】
M3:半導体層に第二カーボンナノチューブ層を覆って、第二カーボンナノチューブ層が複数の第二カーボンナノチューブを含み、少なくとも一つの第二カーボンナノチューブの伸び方向が第一カーボンナノチューブの伸び方向と互いに交差する。
【0046】
M4:一組の互いに交叉している第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブを選択して、該組の第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブを標識して、電極を設置して、電極をそれぞれ第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブに電気的に接続させ、その後、残りの第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを除去する。
【0047】
M5:上記構造に焼鈍処理を行う。
【0048】
本実施例において、ステップM1では、支持構造が二層構造であり、下層が導電層であり、上層が絶縁層である。第一カーボンナノチューブ層が絶縁層に形成される。支持構造における導電層がナノトランジスタのゲート電極である。
【0049】
ステップM2、M3及びM5は、それぞれ第三実施例におけるステップS2、S3及びS5と同じであり、ここに詳しく説明しない。
【0050】
ステップM4は、具体的に以下のサブステップを含む。
【0051】
M41:走査型電子顕微鏡(SEM)の協力のもとで、互いに交差している第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブを選択して、且つ第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブの座標位置を標識する。
【0052】
M42:電子ビーム露光の方法で第一カーボンナノチューブの一端に第一電極を形成して、第二カーボンナノチューブの一端に第二電極を形成して、その後、第一電極が形成された第一カーボンナノチューブ及び第二電極が形成された第二カーボンナノチューブを保護して、その他の第一カーボンナノチューブ及び二カーボンナノチューブを露出して、プラズマエッチングの方法を採用して、その他の第一カーボンナノチューブ及び第二カーボンナノチューブをエッチングする。
【0053】
図6を参照すると、本発明の第五実施例は、光検出器300を提供する。光検出器300は、ナノヘテロ接合構造100、第一電極302、第二電極304、電流検出素子306及び電源308を含む。ナノヘテロ接合構造100が、第一実施例が提供されたナノヘテロ接合構造100の構造と同じである。ここには、詳しく説明しない。ナノヘテロ接合構造100は、第一カーボンナノチューブ102、半導体層104及び第二カーボンナノチューブ106を含む。第一カーボンナノチューブ102が第一電極302に電気的に接続され、第二カーボンナノチューブ106が第二電極304に電気的に接続される。第一電極302及び第二電極304が電流検出素子306に電気的に接続される。電源308が第一電極302、第二電極304に電気的に接続される。第一電極302、第二電極304、電流検出素子306及び電源308は、電気回路が形成される。本実施例において、第一電極302が第一カーボンナノチューブ102の一端に設置され、第二電極304が第二カーボンナノチューブ106の一端に設置され、電流検出素子306、電源308が、それぞれリード線によって、第一電極302及び第二電極304と電気回路が形成される。
【0054】
ナノヘテロ接合構造100において、第一カーボンナノチューブ102と第二カーボンナノチューブ106との交差点に形成された、第一カーボンナノチューブ102、半導体層104及び第二カーボンナノチューブ106からなる三層の立体構造110が光検出器の検出点である。
【0055】
第一電極302及び第二電極304が導電材料からなる。導電材料は、金属、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー及び導電カーボンナノチューブ等のいずれかの一種である。金属材料は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム又は任意の組み合わせの合金である。第一電極302及び第二電極304も、一層の導電フィルムであってもよく、導電フィルムの厚さが2マイクロメートル〜100マイクロメートルである。本実施例において、第一電極302及び第二電極304は、それぞれ、金属の銅とチタンからなる金属複合構造である。具体的には、金属複合構造は、金属の銅が金属のチタンの表面に複合して形成され、金属のチタンが第一カーボンナノチューブ102/第二カーボンナノチューブ106の表面に設置され、金属の銅が金属のチタンの表面に設置される。金属のチタンは、厚さが2ナノメートルであり、金属の銅は、厚さが50ナノメートルである。
【0056】
前記電流検出素子306は、第一電極302及び第二電極304と電流検出素子306とが形成された回路で電流が流れるかどうかを検出する。電流検出素子306が電流計である。電源308は、第一電極302及び第二電極304に電圧を提供する。つまり、第一電極302と第二電極304との間にバイアス電圧を形成する。
【0057】
光検出器300は、光の定性検出又は定量検出を行う。光検出器300の光の定性検出の作動原理は、電源308を入れて、第一電極302と第二電極304との間に所定のバイアス電圧を印加して、光線が光検出器の検出点に照射しなく、即ち、光線が三層の立体構造110に照射しない時に、三層の立体構造110がオン状態にならなく、回路に電流が流れることはなく、電流検出素子306が電流を検出しない。光線が光検出器の検出点に照射して、光線が半導体層に照射する時には、半導体層が光キャリアーを生成して、第一カーボンナノチューブ102と第二カーボンナノチューブ106との間に形成された局所電界が、光生電子正孔対を分かれて、このように光生電流を形成して、即ち、第一電極302と第二電極304との間にオン状態になり、回路に電流を発生して、電流検出素子306が電流を検出することができる。つまり、回路に電流を発生するかどうかによって、光源を検出する。
【0058】
光検出器300の光の定量検出の作動原理は、電源308を入れて、異なる強度を有する既知光線で順番に検出点に照射して、電流検出素子306が検出された電流値を読み出して、一つの強度の光線が一つの電流値に対応して、異なる強度の光線が対応した異なる電流値を相応する曲線図を作成して、即ち、異なる強度の光線が対応して形成された電流の標準曲線を表示できる。未知の強度の光線が検出点に照射する時に、電流検出素子306が検出された電流値によって、標準曲線から光線の強度値を読み出すことができる。
【0059】
本発明の光検出器は、ナノヘテロ接合構造の特別な構造設計によって、電界が二つのカーボンナノチューブの交差点に集中して、光線が二つのカーボンナノチューブの交差点のナノヘテロ接合構造に照射してこそ、有効な電流を発生できる。従って、このナノヘテロ接合構造は、空間の高い解像度の光線の検出を実現できる。
【符号の説明】
【0060】
100 ナノヘテロ接合構造
102 第一カーボンナノチューブ
104 半導体層
106 第二カーボンナノチューブ
110 三層の立体構造
200 ナノトランジスタ
202 ソース電極
204 ドレイン電極
208 ゲート電極
210 絶縁層
300 光検出器
302 第一電極
304 第二電極
306 電流検出素子
308 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6