特許第6377814号(P6377814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377814
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ナノヘテロ接合構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8238 20060101AFI20180813BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20180813BHJP
   H01S 5/32 20060101ALI20180813BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20180813BHJP
   H01L 29/267 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20180813BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   H01L27/092 A
   H01S5/32
   B82Y30/00
   H01L29/267
   H01L27/06 102A
   H01L29/78 618B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-128716(P2017-128716)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-6756(P2018-6756A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】201610502873.1
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 金
(72)【発明者】
【氏名】魏 洋
(72)【発明者】
【氏名】姜 開利
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−179564(JP,A)
【文献】 特開2011−198750(JP,A)
【文献】 特表2003−504857(JP,A)
【文献】 特開2007−250904(JP,A)
【文献】 特表2009−512966(JP,A)
【文献】 特表2002−538606(JP,A)
【文献】 特開2002−118248(JP,A)
【文献】 特表2005−512930(JP,A)
【文献】 特表2005−539404(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0034907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8238
B82Y 30/00
H01L 21/8234
H01L 27/06
H01L 27/092
H01L 29/267
H01L 29/786
H01S 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ、半導体層及び第二金属性カーボンナノチューブを含むナノヘテロ接合構造において、前記半導体層は、第一表面及び該第一表面と相対する第二表面を含み、前記第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブが平行して間隔を置いて、前記第一表面に設置され、前記第二金属性カーボンナノチューブが第二表面に設置され、前記第一金属性カーボンナノチューブ及び前記半導体性カーボンナノチューブが第一方向に沿って延伸し、前記第二金属性カーボンナノチューブが第二方向に沿って延伸し、前記第二方向と前記第一方向とは、角度を成し、該角度が0°より大きく、且つ90°以下であることを特徴とするナノヘテロ接合構造。
【請求項2】
前記第一金属性カーボンナノチューブ又は前記第二金属性カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであり、該第一金属性カーボンナノチューブ又は該第二金属性カーボンナノチューブの直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【請求項3】
前記半導体性カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであり、該半導体性カーボンナノチューブの直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【請求項4】
前記第一金属性カーボンナノチューブ、半導体層及び前記第二金属性カーボンナノチューブが互いに交叉し、交叉点が形成され、該交叉点に一つの第一三層の立体構造が形成され、該第一三層の立体構造の断面の面積が0.25nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【請求項5】
半導体性カーボンナノチューブ、半導体層及び前記第二金属性カーボンナノチューブが互いに交叉し、交叉点が形成され、該交叉点に一つの第二三層の立体構造が形成され、該第二三層の立体構造の断面の面積が0.25nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項1に記載のナノヘテロ接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノヘテロ接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘテロ接合は、二つの異なる半導体の材料が接触して、形成される界面区域である。二つの半導体の材料の導電タイプによって、ヘテロ接合は、同一ヘテロ接合(P−p接合又はN−n接合)及び異型ヘテロ接合(P−n接合又はp−N接合)に分けられ、複数の層のヘテロ接合をヘテロ接合構造と称する。一般的には、ヘテロ接合を形成する条件は、二つの半導体が類似する結晶構造、接近する原子距離及び熱膨張係数を持つことである。界面合金、エピタキシャル成長、真空蒸着等の技術を利用して、ヘテロ接合を製造できる。ヘテロ接合は、二つの半導体のそれぞれのPN接合が持たない優れた光電特性を有して、超高速なスイッチ、太陽電池及び半導体レーザーなどを製造することに適用される。
【0003】
最近、二次元の半導体材料が優れた電子性能及び光学性能を有するので、ヘテロ接合構造の領域の研究がポットスポットになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、技術レベルの制限を受けるので、この材料のヘテロ接合構造はマイクロスケールの構造体であり、ある程度その応用範囲が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これによって、ナノヘテロ接合構造を提供する必要がある。
【0006】
ナノヘテロ接合構造は、第一金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ、半導体層及び第二金属性カーボンナノチューブを含む。半導体層は、第一表面及び該第一表面と相対する第二表面を含み、第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブが平行して間隔を置いて、第一表面に設置され、第二金属性カーボンナノチューブが第二表面に設置され、第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブが第一方向に沿って延伸し、第二金属性カーボンナノチューブが第二方向に沿って延伸し、第二方向と第一方向とは、角度を成し、該角度が0°より大きく、且つ90°以下である。
【0007】
第一金属性カーボンナノチューブ又は第二金属性カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであり、第一金属性カーボンナノチューブ又は第二金属性カーボンナノチューブの直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルである。
【0008】
半導体性カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであり、半導体性カーボンナノチューブの直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルである。
【0009】
第一金属性カーボンナノチューブ、半導体層及び第二金属性カーボンナノチューブが互いに交叉し、交叉点が形成され、該交叉点に一つの第一三層の立体構造が形成され、該第一三層の立体構造の断面の面積が0.25nm〜1000nmである。
【0010】
半導体性カーボンナノチューブ、半導体層及び第二金属性カーボンナノチューブが互いに交叉し、交叉点が形成され、該交叉点に一つの第二三層の立体構造が形成され、該第二三層の立体構造の断面の面積が0.25nm〜1000nmである。
【発明の効果】
【0011】
従来技術と比べて、本発明のナノヘテロ接合構造において、第一金属性カーボンナノチューブ、n型の半導体層及び第二金属性カーボンナノチューブの交叉点にn型のナノヘテロ接合が形成され、半導体性カーボンナノチューブ、半導体層及び第二金属性カーボンナノチューブの交叉点に異型のナノヘテロ接合のP−n接合が形成される。第一金属性カーボンナノチューブ及び第二金属性カーボンナノチューブの直径がナノスケールであり、n型のナノヘテロ接合及びP−n接合の接合区域がナノスケールである。従って、ナノヘテロ接合構造が低いエネルギー消費、高い集積度を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施例のナノヘテロ接合構造の構造を示す図である。
図2】本発明の第二実施例のナノヘテロ接合構造の製造方法のフローチャートである。
図3】本発明の第三実施例の半導体素子の構造を示す図である。
図4】本発明の第三実施例の半導体素子の電気回路を示す図である。
図5】本発明の第四実施例の半導体素子の製造方法のフローチャートである。
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明の第一実施例は、ナノヘテロ接合構造100を提供する。ナノヘテロ接合構造100は、第一金属性カーボンナノチューブ102、半導体性カーボンナノチューブ104、半導体層106及び第二金属性カーボンナノチューブ108を含む。半導体層106は、第一表面及び該第一表面と相対する第二表面を含み、第一金属性カーボンナノチューブ102及び半導体性カーボンナノチューブ104が平行して間隔を置いて、第一表面に設置され、第二金属性カーボンナノチューブ108が第二表面に設置される。第一金属性カーボンナノチューブ102及び半導体性カーボンナノチューブ104が第一方向に沿って延伸する。第二金属性カーボンナノチューブ108が第二方向に沿って延伸し、第二方向と第一方向とは、角度を成し、該角度が0°より大きく、且つ90°以下である。
【0015】
前記第一金属性カーボンナノチューブ102は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。第一金属性カーボンナノチューブ102は、直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜100ナノメートルであり、ある実施例において、第一金属性カーボンナノチューブ102の直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルである。好ましくは、第一金属性カーボンナノチューブ102が単層カーボンナノチューブであり、その直径が0.5ナノメートル〜2ナノメートルである。本実施例において、第一金属性カーボンナノチューブ102が単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートルである。
【0016】
半導体性カーボンナノチューブ104は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。半導体性カーボンナノチューブ104は、直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜10ナノメートルであり、ある実施例において、半導体性カーボンナノチューブ104は、直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜5ナノメートルである。好ましくは、半導体性カーボンナノチューブ104が単層カーボンナノチューブであり、その直径が0.5ナノメートル〜2ナノメートルである。本実施例において、半導体性カーボンナノチューブ104が単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートルである。
【0017】
半導体層106は、二次元構造の半導体層である。即ち、半導体層106の厚さが小さくて、半導体層の厚さが1ナノメートル〜200ナノメートルである。好ましくは、半導体層106の厚さが5ナノメートル〜30ナノメートルである。本実施例において、半導体層の厚さが8ナノメートルである。半導体層106の材料が制限されなく、無機化合物半導体、元素半導体又は有機半導体であり、例えば、ガリウムヒ素、炭化ケイ素、多結晶シリコン、単結晶シリコン、ナフタレン又は硫化モリブデンなどである。ある実施例において、半導体層106の材料は、遷移金属硫化物である。本実施例において、半導体層106の材料が硫化モリブデン(M)であり、その厚さが8ナノメートルである。
【0018】
第二金属性カーボンナノチューブ108は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。第二金属性カーボンナノチューブ108の直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜100ナノメートルであり、ある実施例では、第二金属性カーボンナノチューブ108の直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルである。好ましくは、第二金属性カーボンナノチューブ108が単層カーボンナノチューブであり、その直径が0.5ナノメートル〜2ナノメートルである。本実施例において、第二金属性カーボンナノチューブ108が単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートルである。第二金属性カーボンナノチューブ108及び第一金属性カーボンナノチューブ102は、材料及びサイズが同じでもよく、異なってもよい。
【0019】
第一金属性カーボンナノチューブ102と半導体性カーボンナノチューブ104とが平行して、間隔を置いて設置され、第一金属性カーボンナノチューブ102と半導体性カーボンナノチューブ104との距離が10ナノメートル〜10マイクロメートルであることが好ましい。
【0020】
第一金属性カーボンナノチューブ102の延伸方向及び半導体性カーボンナノチューブ104の延伸方向と第二金属性カーボンナノチューブ108の延伸方向とが夾角を成し、該夾角が0度より大きく、90度以下である。すなわち、第一方向と第二方向との夾角が0度より大きく、90度以下である。ある実施例では、第一方向と第二方向との夾角が60度より大きく、90度以下である。好ましくは、第一方向と第二方向との夾角が90度である。本実施例において、第一金属性カーボンナノチューブ102の延伸方向及び半導体性カーボンナノチューブ104の延伸方向と第二金属性カーボンナノチューブ108の延伸方向が互いに垂直であり、すなわち、夾角が90度である。
【0021】
第一金属性カーボンナノチューブ102と第二金属性カーボンナノチューブ108が互いに交叉し、交叉点が形成される。交叉点に第一金属性カーボンナノチューブ102、半導体層106及び第二金属性カーボンナノチューブ108からなる第一三層の立体構造110が形成される。第一三層の立体構造110の断面の面積が第一金属性カーボンナノチューブ102と第二金属性カーボンナノチューブ108の直径によって決まる。第一金属性カーボンナノチューブ102及び第二金属性カーボンナノチューブ108がナノ材料であるので、第一三層の立体構造110の断面の面積もナノスケールである。好ましくは、第一三層の立体構造110の断面の面積は、0.25nm〜1000nmである。更に好ましくは、第一三層の立体構造110の断面の面積は、0.25nm〜100nmである。
【0022】
同様に半導体性カーボンナノチューブ104と第二金属性カーボンナノチューブ108が互いに交叉し、交叉点が形成される。交叉点に半導体性カーボンナノチューブ104、半導体層106及び第二金属性カーボンナノチューブ108からなる第二三層の立体構造120が形成される。第二三層の立体構造120の断面の面積が半導体性カーボンナノチューブ104と第二金属性カーボンナノチューブ108の直径によって決まる。半導体性カーボンナノチューブ104及び第二金属性カーボンナノチューブ108がナノ材料であるので、第二三層の立体構造120の断面の面積もナノスケールである。好ましくは、第二三層の立体構造120の断面の面積は、0.25nm〜1000nmである。更に好ましくは、第二三層の立体構造120の断面の面積は、0.25nm〜100nmである。
【0023】
第一金属性カーボンナノチューブ102、半導体性カーボンナノチューブ104及び第二金属性カーボンナノチューブ108は、直径がナノスケールであり、ナノのフォトリソグラフィの必要がない時に、第一金属性カーボンナノチューブ102、半導体層106及び第二金属性カーボンナノチューブ108の交叉点にn型のナノヘテロ接合が形成される。半導体性カーボンナノチューブ104、半導体層106及び第二金属性カーボンナノチューブ108の交叉点に異型のナノヘテロ接合のP−n接合が形成される。応用する場合には、電流がn型のナノヘテロ接合を流れる時に、半導体性カーボンナノチューブ及びナノヘテロ接合のP−n接合がオフ状態になり、電流が半導体性カーボンナノチューブ及びナノヘテロ接合のP−n接合を流れる時に、n型のナノヘテロ接合がオフ状態になる。第一金属性カーボンナノチューブ102及び第二金属性カーボンナノチューブ108がナノ材料であるので、ナノヘテロ接合構造が低いエネルギー消費、高い集積度を持つ。
【0024】
図2を参照すると、本発明の第二実施例は、上記のナノヘテロ接合構造100の製造方法を提供する。ナノヘテロ接合構造100の製造方法は、下記のステップを含む。
【0025】
S1:支持構造を提供して、支持構造に第一カーボンナノチューブ層を形成し、第一カーボンナノチューブ層が複数の第一カーボンナノチューブを含む。
【0026】
S2:第一カーボンナノチューブ層に半導体層を形成する。
【0027】
S3:半導体層に第二カーボンナノチューブ層を覆い、第二カーボンナノチューブ層が複数の第二カーボンナノチューブを含む。
【0028】
S4:第一カーボンナノチューブ層に平行して間隔を置いて設置された一つの第一金属性カーボンナノチューブ及び一つの半導体性カーボンナノチューブを捜して、該第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブをマークして、第二カーボンナノチューブ層に一つの第二金属性カーボンナノチューブを捜して、該第二金属性カーボンナノチューブの延伸方向と第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブの延伸方向とが互いに交叉する、該第二金属性カーボンナノチューブをマークして、残りの第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを除去する。
【0029】
S5:上記の構造に焼鈍処理を行う。
【0030】
ステップS1において、支持構造が第一カーボンナノチューブ層を支え、その材料が制限されない。支持構造の材料は絶縁材料であることが好ましい。本実施例において、支持構造が二層の構造であり、下層がシリコンであり、上層が酸化ケイ素であり、酸化ケイ素の厚さが300ナノメートルである。複数の第一カーボンナノチューブの配列方向が制限されなく、交叉して配列され、又は平行して配列される。本実施例において、第一カーボンナノチューブ層における複数の第一カーボンナノチューブが互いに平行する。
【0031】
第一金属性カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。第一金属性カーボンナノチューブの直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜150ナノメートルである。ある実施例では、第一金属性カーボンナノチューブの直径が0.5ナノメートル〜10ナノメートルである。好ましくは、第一金属性カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであり、その直径が0.5ナノメートル〜2ナノメートルである。
【0032】
半導体性カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。半導体性カーボンナノチューブの直径が制限されなく、0.5ナノメートル〜10ナノメートルである。ある実施例では、半導体性カーボンナノチューブの直径が0.5ナノメートル〜5ナノメートルである。好ましくは、半導体性カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであり、その直径が0.5ナノメートル〜2ナノメートルである。本実施例において、半導体性カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであり、その直径が1ナノメートルである。
【0033】
支持構造に第一カーボンナノチューブ層を形成する方法は、移行方法である。この移行方法は下記のステップを含む。
【0034】
S11:基底に第一カーボンナノチューブ層を成長して、第一カーボンナノチューブ層が複数の第一カーボンナノチューブを含む。その中で、基底がシリコンの基底である。
【0035】
S12:第一カーボンナノチューブ層の表面に過渡層を塗布する。本実施例において、過渡層の材料がPMMAである。過渡層の厚さが制限されなく、0.1マイクロメートル〜1マイクロメートルであることが好ましい。
【0036】
S13:過渡層が塗布された第一カーボンナノチューブ層及び基底をアルカリ溶液の中に置き、70℃〜100℃に加熱して、過渡層及び第一カーボンナノチューブ層を基底と分離させる。S13において、第一カーボンナノチューブ層が過渡層に転移される。第一カーボンナノチューブ層と過渡層との結合が更に緊密になり、過渡層と基底とが分離する時、大部分の第一カーボンナノチューブ層が過渡層に形成される。アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液である。本実施例において、過渡層が塗布された第一カーボンナノチューブ層及び基底を、水酸化ナトリウム溶液の中に置き、90℃で20分間加熱する。
【0037】
S14:第一カーボンナノチューブ層が接着された過渡層を支持構造に敷設する。過渡層を除去して、第一カーボンナノチューブ層を支持構造の表面に形成させる。本実施例において、PMMAの過渡層がアセトンで洗浄する方法によって除去される。
【0038】
S2において、半導体層の結晶体を提供して、テープで半導体層の結晶体を何度も引き裂いて、この半導体層の厚さをますます薄くならせて、テープに二次元の半導体層を形成するまで引き裂く。その後、二次元の半導体層を第一カーボンナノチューブ層の表面に設置して、テープを除去する。本実施例において、テープで硫化モリブデンの単結晶体を何度も引き裂いて、得られたシート状の硫化モリブデンの厚さをますます薄くならせて、ナノスケールの厚さの硫化モリブデン層を形成するまで引き裂く。半導体層が形成されたテープを第一カーボンナノチューブ層に覆い、半導体層を第一カーボンナノチューブ層と接触させ、テープを剥がして、少なくともの一部の半導体層は、第一カーボンナノチューブ層の表面に残る。
【0039】
S3において、第二カーボンナノチューブ層における複数の第二カーボンナノチューブが平行して配列される。本実施例において、第二カーボンナノチューブ層における複数の第二カーボンナノチューブが互いに平行して、第一カーボンナノチューブの配列方向と第二カーボンナノチューブの配列方向が互いに垂直する。第二カーボンナノチューブ層が移行方法によって、半導体層の表面に移行する。第二カーボンナノチューブ層の移行方法が第一カーボンナノチューブ層の移行方法と同じである。
【0040】
ステップS4は、具体的に以下のサブステップを含む。
【0041】
S41:走査型電子顕微鏡(SEM)の協力のもとで、第一カーボンナノチューブ層における、平行して間隔を置いて設置された一つの第一金属性カーボンナノチューブ及び一つの半導体性カーボンナノチューブを選択して、第一金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブの座標位置を標識する。第二カーボンナノチューブ層に一つの第二金属性カーボンナノチューブを捜して、第二金属性カーボンナノチューブの伸び方向が第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブの伸び方向と互いに交叉する、第二金属性カーボンナノチューブの座標位置をマークする。
【0042】
S42:電子ビーム露光の方法で、マークされた第一金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブ、及び第二金属性カーボンナノチューブを保護して、第一カーボンナノチューブ層及び第二カーボンナノチューブ層におけるその他のカーボンナノチューブを露出して、プラズマエッチングの方法で、第一カーボンナノチューブ層及び第二カーボンナノチューブ層におけるその他の第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブをエッチングする。
【0043】
ステップS41では、まず、支持構造の長さ及び幅に座標目盛りを標識して、XY座標である。その後、走査型電子顕微鏡の下で、第一金属性カーボンナノチューブと一つの半導体性カーボンナノチューブ及び第二金属性カーボンナノチューブを選択して、且つ該組の交叉している第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブの座標値を読み出す。
【0044】
ステップS5では、焼鈍処理が真空環境で行われ、アニーリング温度が300〜400℃である。アニーリング処理をした後、ナノヘテロ接合構造の表面の不純物を除去でき、更に、第一カーボンナノチューブ層と半導体層と第二カーボンナノチューブ層との間の結合力を強くならせる。
【0045】
図3を参照すると、本発明の第三実施例は、上記ナノヘテロ接合構造100を使用した半導体素子200を提供する。半導体素子200は、上記ナノヘテロ接合構造100、第一電極201、第二電極202、第三電極203及び第四電極204を含む。第一電極201は、絶縁層205によって、第二電極202、第三電極203、第四電極204及びナノヘテロ接合構造100と電気的に絶縁する。第二電極202、第三電極203、及び第四電極204は、ナノヘテロ接合構造100と電気的に接続される。ナノヘテロ接合構造100の具体的な構造が第一実施例のナノヘテロ接合構造100の構造と同じであり、ここに詳しく説明をしない。
【0046】
第二電極202、第三電極203及び第四電極204は、導電材料からなり、導電材料が金属、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー又は導電カーボンナノチューブ等である。金属材料がアルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム又は任意の組み合わせの合金である。第二電極202、第三電極203及び第四電極204が導電フィルムであってもよく、導電フィルムの厚さが0.01マイクロメートル〜10マイクロメートルである。本実施例において、第二電極202、第三電極203及び第四電極204が銅及びチタンからなる金属複合構造であり、具体的には、金属複合構造は、銅がチタンの表面に複合して形成され、チタンの厚さが5ナノメートルであり、銅の厚さが50ナノメートルである。本実施例において、第二電極202が第一金属性カーボンナノチューブ102に電気的に接続され、第一金属性カーボンナノチューブ102の一端に設置され、第三電極203が第二金属性カーボンナノチューブ108に電気的に接続され、第二金属性カーボンナノチューブ108の一端に設置され、第四電極204が半導体性カーボンナノチューブ104に電気的に接続され、半導体性カーボンナノチューブ104の一端に設置される。
【0047】
第一電極201が導電材料からなり、導電材料が金属、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー又は導電カーボンナノチューブ等である。金属がアルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム又は任意の組み合わせの合金である。本実施例において、第一電極201が層状構造であり、絶縁層が第一電極201の表面に設置され、第二電極202、第三電極203、第四電極204及びナノヘテロ接合構造100が絶縁層205に設置され、且つ第一電極201及び絶縁層205に支持される。
【0048】
絶縁層205の材料が窒化シリコン及び酸化シリコン等の硬質材料又は、ベンゾシクロブテン、ポリエステル及びアクリル樹脂等の軟質材料である。絶縁層の厚さが2ナノメートル〜100マイクロメートルである。本実施例において、絶縁層205の材料が酸化シリコンである。
【0049】
第一金属性カーボンナノチューブ102、半導体層106、第二金属性カーボンナノチューブ108、第二電極202、第四電極204及び第一電極201及び絶縁層205は、NMOSトランジスタが形成される。半導体性カーボンナノチューブ104、半導体層106、第二金属性カーボンナノチューブ108、第三電極203、第四電極204、第一電極201及び絶縁層205は、PMOSトランジスタが形成される。図4を参照すると、半導体素子の電気回路図であり、ローレベルを入力する時、PMOSトランジスタがオン状態になり、NMOSトランジスタがオフ状態になり、ハイレベルを出力する。ハイレベルを入力する時、PMOSトランジスタがオフ状態になり、NMOSトランジスタがオン状態になり、ローレベルを出力する。即ち、回路におけるNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタが交互に作動して、インバータが形成され、電源の作動電圧VDDと公共のグランドの電圧VSSとの間に低インピーダンスの直流通路はないので、静的消費電力が極めて小さい。
【0050】
本実施例における半導体素子が二つのナノの鉛直ヘテロ接合構造からなり、三次元の構造の素子であり、且つ平面内のサイズがナノスケールであり、素子を小型化させること及び素子の集積度を高めることに非常に意味がある。
【0051】
図5を参照すると、本発明の第四実施例は、半導体素子の製造方法を提供する。半導体素子の製造方法は、以下のステップを含む。
【0052】
M1:支持構造を提供して、支持構造の表面に第一カーボンナノチューブ層を形成して、第一カーボンナノチューブ層が複数の第一カーボンナノチューブを含む。
【0053】
M2:第一カーボンナノチューブ層に半導体層を形成する。
【0054】
M3:半導体層に第二カーボンナノチューブ層を覆って、第二カーボンナノチューブ層が複数の第二カーボンナノチューブを含む。
【0055】
M4:第一カーボンナノチューブ層に平行して間隔を置いて設置された一つの第一金属性カーボンナノチューブ及び一つの半導体性カーボンナノチューブを捜して、該第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブをマークして、第二カーボンナノチューブ層に一つの第二金属性カーボンナノチューブを捜して、該第二金属性カーボンナノチューブの延伸方向と第一金属性カーボンナノチューブ及び半導体性カーボンナノチューブの延伸方向とが互いに交叉する、該第二金属性カーボンナノチューブをマークして、残りの第一カーボンナノチューブと第二カーボンナノチューブを除去する。
【0056】
M5:マークされた第一金属性カーボンナノチューブの一端に第三電極を形成して、マークされた半導体性カーボンナノチューブの一端に第四電極を形成して、マークされた第二金属性カーボンナノチューブの一端に第二電極を形成する。
【0057】
M6:上記の構造に焼鈍処理を行う。
【0058】
本実施例において、ステップM1では、支持構造が二層構造であり、下層が導電層であり、上層が絶縁層である。第一カーボンナノチューブ層が絶縁層に形成される。支持構造における導電層が半導体素子の第一電極である。
【0059】
ステップM1〜M4及びM6は、それぞれ第二実施例のナノヘテロ接合構造を製造するステップS1〜S5と同じであり、ここに詳しく説明しない。
【0060】
ステップM5において、第二電極、第三電極及び第四電極が導電材料からなる。導電材料は、金属、合金、ITO、ATO、導電銀テープ、導電性ポリマー及び導電カーボンナノチューブ等のいずれかの一種である。金属材料は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、チタン、パラジウム又は任意の組み合わせの合金である。第二電極、第三電極及び第四電極も、一層の導電フィルムであってもよく、導電フィルムの厚さが0.01マイクロメートル〜10マイクロメートルである。
【0061】
第二電極、第三電極及び第四電極が形成された材料の種類によって、同じでない方法を採用して、第二電極、第三電極及び第四電極を形成する。具体的には、第二電極、第三電極及び第四電極の材料が金属、合金、ITO又はATOである時に、蒸着、スパッタリング、沈積、マスキング、エッチングなどの方法で、第二電極、第三電極及び第四電極を形成できる。第二電極、第三電極及び第四電極の材料が導電銀テープ、導電性ポリマー又は導電カーボンナノチューブである時に、印刷塗布又は直接に粘着する方法で、第二電極、第三電極及び第四電極を形成できる。
【0062】
本実施例において、第二電極、第三電極及び第四電極は、それぞれ、金属の銅とチタンからなる金属複合構造である。前記ステップM5は、具体的に以下のサブステップを含む。
【0063】
M51:支持構造の表面にフォトレジストを塗布する。
【0064】
M52:電子ビーム露光、現像する方法及び電子ビーム蒸着方法で、第一金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ及び第二金属性カーボンナノチューブの表面に、それぞれ金属層を沈積する。
【0065】
M53:アセトンなどの有機溶剤で剥離する。
【符号の説明】
【0066】
100 ナノヘテロ接合構造
102 第一金属性カーボンナノチューブ
104 半導体性カーボンナノチューブ
106 半導体層
108 第二金属性カーボンナノチューブ
110 第一三層の立体構造
120 第二三層の立体構造
200 半導体素子
201 第一電極
202 第二電極
203 第三電極
204 第四電極
205 絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5