【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高感度変換材料の変換要素を有すると同時に浅い構造のオプトエレクトロニクス半導体装置の製造方法を提供することが達成すべき目的の1つである。長寿命化された、高感度変換材料の変換要素を有するオプトエレクトロニクス半導体装置を提供することが達成すべきさらなる目的である。
【0004】
これら目的は特に、それぞれ、本独立請求項に係る方法および半導体装置によって達成される。諸構成および好適な態様が従属請求項の主題を成している。
【0005】
複数のオプトエレクトロニクス半導体装置の製造方法を提供する。
【0006】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、電磁放射を発生させるための複数の半導体チップを設けるステップを含む。半導体チップは特に、電磁放射を発生させるために設けられる活性領域を有する半導体ボディを備える。半導体ボディ、特に活性領域は例えば、III−V族化合物半導体材料を含む。さらに、半導体チップは特に、半導体ボディが配置されるキャリアを備える。キャリアは例えば、半導体ボディの半導体層の成長基板である。キャリアは代替的に、半導体ボディの半導体層の成長基板とは異なる。この場合、キャリアが半導体ボディの機械的安定化に役立つ結果、成長基板は機械的安定化のためには必要なく、除去されうる。成長基板が除去された半導体チップは、薄膜半導体チップとしても知られている。
【0007】
本明細書において1つの層または要素が他の層または要素「の上に」またはこれら他の層または要素「に亘って」配置または被着されているという記述は、当該1つの層または要素が他方の層または要素に直接機械的および/または電気的に接触して配置されていることを意味する。この記述はさらに、当該1つの層または要素が他方の層または要素の上にまたはこれら他方の層または要素に亘って間接的に配置されていることも意味しうる。この場合、さらなる層および/または要素が当該1つの層と他方の層との間に配置されうる。
【0008】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、複数の半導体チップを平面状に配置するステップを含む。半導体チップはこの場合、互いに横方向に離間する。本明細書において横方向とは、半導体チップが配置される平面に平行な方向を意味するものと理解される。また、縦方向とは、前記平面に直交する方向を意味するものと理解される。
【0009】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、パッケージ本体集合体を形成するステップであって、パッケージ本体集合体の少なくとも一部は、半導体チップの間に配置されるステップを含む。パッケージ本体集合体は特に、キャスティング方法を用いて製造されうる。
【0010】
本明細書においてキャスティング方法という用語は、成形材料を所定の型に導入し、かつ特に次いで硬化する全ての製造方法を包含する。キャスティング方法という用語は特に、キャスト法(casting)、射出成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法、およびディスペンス法(dispensing)を包含する。パッケージ本体集合体は好ましくは、圧縮成形法またはフィルム補助トランスファー成形法(film assisted transfer molding)によって形成される。パッケージ本体集合体には例えば、充填用のまたは非充填用の成形用樹脂(例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン)が含まれうる。パッケージ本体集合体の厚さは、50μm〜500μm、好ましくは100μm〜200μm、典型的には約150μmでありうる。パッケージ本体集合体は好ましくは、白色材料によって形成される。
【0011】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、パッケージ本体集合体の形成に使用される形成用材料は、半導体チップの側面および/または半導体チップの後面を、それぞれ、少なくとも部分的に、好ましくは完全に被覆するように被着される。この場合、半導体チップは例えば、オーバーモールドされてもよく、次いでパッケージ本体集合体が薄膜化される。その結果、半導体チップは所々で露出する。
【0012】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、複数の変換要素を設けるステップを含む。各変換要素は波長変換材料を含み、半導体チップの1つに配置される。変換要素は、パッケージ本体集合体が形成される前に半導体チップの上に配置され得る。また、変換要素は任意選択的には、半導体チップが平面状に配置される前、例えば半導体チップが補助キャリアに、または構造化された金属複合物(structured metal composite)に固着される前に半導体チップの上に配置されることすらありうる。
【0013】
ここで、波長変換材料には、半導体チップによって出射される電磁放射の波長をこの変換材料において変換する特徴がある。したがって変換要素は、半導体チップにおいて発生した第1の波長の一次放射を第1の波長とは異なるより長波長の二次放射に変換するように構成される。例えば半導体装置は、混合光、特に人の目からは白色に見える混合光を発生させるために設けられる。例えば青色電磁放射は、変換要素によって少なくとも部分的にまたは完全に赤色放射および/または緑色放射に変換される。
【0014】
変換要素は特に、高感度の波長変換材料を含む。高感度変換材料には例えば、酸素および/または水等に接触する際に酸化等によって破壊され得、かつ/または損傷を受け得る特徴がある。さらに、高感度変換材料は温度の変動に敏感に反応し得、例えば、そのような温度の変動によって高感度変換材料の機能が損なわれうる。
【0015】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、本発明は、複数の変換要素を、少なくとも変換要素の側縁部において変換材料とは異なる封止材料で封止するステップを含む。封止材料は、水分および酸素の影響から変換要素を保護するように構成される。封止材料の水蒸気透過率は例えば、最大でも1×10
−3g/m
2/日、例えば最大でも3×10
−4g/m
2/日、好ましくは最大でも1×10
−6g/m
2/日、特に好ましくは最大でも1×10
−8g/m
2/日である。
【0016】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、パッケージ本体集合体を複数のオプトエレクトロニクス半導体装置に個片化するステップであって、各半導体装置が少なくとも1つの半導体チップ、1つの変換要素、およびパッケージ本体としてのパッケージ本体集合体の一部を有するステップを含む。このように各パッケージ本体は、個片化時にのみ、したがって半導体チップが既にパッケージ本体内に位置しているときにのみパッケージ本体集合体から形成される。パッケージ本体集合体の個片化の結果の1つとして、得られるオプトエレクトロニクス半導体装置の側面は、パッケージ本体の領域において個片化の痕跡を示す。
【0017】
すべてのまたは少なくともほとんどの製造ステップが集合体レベルで行われることにより、オプトエレクトロニクス半導体装置を特に効率的に製造することができ、その間に有利なことに、得られるオプトエレクトロニクス半導体装置内の変換要素の完全で緊密な封止が実現される。得られるオプトエレクトロニクス半導体装置はまた、特に浅く小型の設計を有することにより、例えばバックライト装置での使用に適している。
【0018】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、変換材料は、波長変換量子ドットを含む。変換要素は例えば、マトリックス材料を含み、波長変換量子ドットがマトリックス材料に導入されている。
【0019】
量子ドットを変換材料として使用することによって、良好な演色性が実現されうる。変換された電磁放射が相対的に狭帯域であることによって異なるスペクトルの色の混合が生じないからである。変換された放射のスペクトルの波長幅は例えば、少なくとも20nm〜最大でも60nmである。これにより、非常に精確に一スペクトル域に色が割り当てられうる光を発生させることができる。これにより、本オプトエレクトロニクス半導体装置をバックライト装置において使用する場合に広い色域が実現されうる。
【0020】
量子ドットは好ましくは、ナノ粒子、すなわちナノメートル範囲の大きさの粒子である。量子ドットは半導体コアを備え、半導体コアは波長変換特性を有する。半導体コアは例えば、CdSe、CdS、InAs、CuInS
2、ZnSe(例えば、Mnドープ)、および/またはInPで形成され得、かつ例えばドープされうる。赤外線が用いられる用途の場合、半導体コアは例えば、CdTe、PbS、PbSe、および/またはGaAsで形成され得、かつ同様に例えば、ドープされうる。半導体コアは、複数の層で被包されうる。換言すれば、半導体コアの外面は、さらなる層によって完全にまたは略完全に被覆されうる。
【0021】
量子ドットの第1の被包層は例えば、ZnS、CdS、および/またはCdSe等の無機材料で形成され得、量子ドットポテンシャルを作り出すことに役立つ。第1の被包層および半導体コアの露出した外面は、少なくとも1層の第2の被包層によって略完全に包囲されている。第2の層は例えば、シスタミンまたはシステイン等の有機材料で形成され得、マトリックス材料および/または溶媒の中での量子ドットの溶解性を高めることに役立ちうる(アミン類、および硫黄含有有機化合物またはリン含有有機化合物も使用されうる)。この場合、第2の被包層によって、量子ドットのマトリックス材料内での空間的に均一な分布を増進することができる。
【0022】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、複数の変換要素は、変換材料を含む変換箔(conversion foil)の個片化によって形成される。変換箔は好ましくは、2層のバリア層を備え、変換材料がこれらバリア層の間に配置され、かつこれらバリア層は、水分および酸素の影響からの保護を確実にする。この場合、個片化によって形成される変換要素には、変換要素の側縁部、すなわち変換箔が切断された(それにより開かれた)領域であって、変換材料が露出して保護されていない領域に封止部を設けることで十分である。この封止部が、バリア層と共に確実に変換材料を全側面から十分に保護する。
【0023】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、変換箔は、パッケージ本体集合体および半導体チップに固着される。変換箔は例えば、シリコーンまたはハイブリッドポリマーを使用して接着接合されてもよく、代替的に積層(laminated)されてもよい。変換箔が切断されて変換要素を形成するのは、固着した後にのみである。これは、変換箔にトレンチが導入され、本発明では半導体チップの上に形成される変換要素の範囲をトレンチが画定することによって実現されうる。次いで変換要素は、例えば少なくともトレンチの領域、すなわち個片化によって形成される変換要素の側縁部において封止材料で封止される。封止は好ましくは、変換材料への重大な損傷を防ぐために、トレンチ形成から短時間で(例えば、1時間、好ましくは30分以内に)行われる。
【0024】
変換箔にトレンチを導入することによって変換要素を形成する目的は、後に製造される半導体装置に適切に放射出射面を画定すること、および半導体装置の効率を高めることである。
【0025】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、変換要素は、コーティング方法を使用して封止される。封止は例えば、原子層堆積(ALD)および/または化学気相蒸着(CVD)および/またはスパッタリングによって行われうる。化学気相蒸着を、プラズマによって促進してもよい。例えばAl
2O
3、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、Si
3N
4、シロキサン、および/またはSiO
xN
yが封止材料として使用されうる。パリレンを使用することもできる。他の有機材料もしくは無機材料、またはそれらの組合せを使用してもよい。封止材料は、反射性材料、好ましくは非金属反射性材料(例えば、白色エポキシド等の白色プラスチック材料)であってもよく、これら材料の1つを含んでもよい。
【0026】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、変換要素は、キャスティング方法を使用して封止される。本明細書においてキャスティング方法という用語は、成形材料を所定の型に導入する上述の全ての製造方法を包含する。
【0027】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、最初に変換箔が変換要素に個片化され、変換要素は半導体チップの上に形成される。変換箔の変換要素への個片化は、変換箔/変換要素を半導体チップに固着する前に行っても固着した後に行ってもよい。個片化後にのみ、パッケージ本体集合体は形成される。この場合、パッケージ本体集合体が、複数の変換要素を変換要素の少なくとも側縁部において封止することが好ましい。したがって、封止が行われるのは、パッケージ本体集合体の形成時、例えばパッケージ本体集合体を形成するために使用されるキャスティング方法(好ましくは、フィルム補助キャスティング方法)を行うときである。この場合、封止材料は好ましくは、エポキシ樹脂を含む。
【0028】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、補助キャリアを設けるステップを含む。補助キャリアは、可撓性の構成、例えば膜の形状の構成であっても、剛性の構成であってもよい。
【0029】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、複数の半導体チップを補助キャリアに固着するステップを含む。オプトエレクトロニクス半導体チップは、互いに横方向に離間する。この場合、横方向は、補助キャリアの主延在面に一致する。補助キャリアは例えば、半導体チップが付着する接着膜の形態をとりうる。しかしながら、複数の半導体チップは、必ずしも直接的に補助キャリアに配置されなくてもよい。半導体チップを例えば、補助キャリアを被覆する接着層に配置すれば十分であり、その結果、半導体チップは補助キャリアに少なくとも間接的に搭載される。
【0030】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、例えば層間剥離によって補助キャリアを除去するステップを含む。これは好ましくは、パッケージ本体集合体の形成直後に行われるが、時間をおいて行われてもよい。
【0031】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、変換箔は、補助キャリアの除去後にパッケージ本体集合体および半導体チップに固着される。変換箔は好ましくは、パッケージ本体集合体の、補助キャリアが除去されるまで配置されていた面に形成される。すなわち、変換箔は、実質的に補助キャリアに取って代わる。
【0032】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、複数の半導体チップを構造化された金属複合物に固着するステップを含む。オプトエレクトロニクス半導体チップは、互いに横方向に離間する。この場合、横方向は、構造化された金属複合物の主延在面に一致する。パッケージ本体集合体を複数のオプトエレクトロニクス半導体装置に個片化した後、各半導体装置は、構造化された金属複合物の少なくとも一部をリードフレームとして備える。
【0033】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、変換要素は追加的に、変換要素の前面において封止材料で封止され、この場合、封止材料は透明である。本明細書において変換要素の前面とは、変換要素に接続された半導体チップとは反対側の面を意味するものと理解される。半導体チップの後面は反対に、半導体チップの、変換要素とは反対側の面を意味するものと理解される。
【0034】
少なくとも一実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体装置が電磁放射を発生させるために設けられた半導体チップを備える。
【0035】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、半導体装置は、半導体チップを横方向において取り囲むパッケージ本体を備える。
【0036】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、変換要素が半導体チップの上に配置されており、変換要素は、波長変換材料を含む。変換材料とは異なる封止材料からなる封止部が変換要素の少なくとも1つの側縁部に設けられている。封止部は例えば、金属層、特に金属反射層、吸収層、または非金属反射層を備えていてもよい。
【0037】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、パッケージ本体の側面は、個片化の痕跡を示している。
【0038】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、封止部の少なくとも1つの側面およびパッケージ本体の少なくとも1つの側面は、互いに面一に終端している。
【0039】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、半導体装置は後面に、半導体チップとの接触のための2つの接触子を備える。半導体装置の後面は、半導体装置の、半導体チップの後面に対応する面を意味するものと理解される。
【0040】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、半導体装置は追加的に、リードフレームを備える。2つの接触子は好ましくは、リードフレームの部分によって半導体装置の後面に形成されている。
【0041】
本オプトエレクトロニクス半導体装置の少なくとも一実施形態によれば、リードフレームは、半導体装置の少なくとも1つの側面の所々で露出している。
【0042】
上述の、オプトエレクトロニクス半導体装置の製造方法は、本オプトエレクトロニクス半導体装置の製造に特に適している。したがって、本方法に関連して記載した特徴は、本半導体装置にも使用され得、逆も同様である。
【0043】
さらなる特徴、構成、および好適な態様を、図と併せた例示的実施形態の以下の説明によって明らかにする。
【0044】
図において、同一の要素、同様の要素、または、同一の作用の要素には、同一の参照番号を付す。
【0045】
各図および図中に示した各要素の互いに対する大きさの比は、正しい縮尺ではないものとみなされたい。むしろ、平易な図示のために、かつ/または、理解しやすくするために、個々の要素、特に層の厚さは、誇張した大きさで示され得る。