特許第6377866号(P6377866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6377866
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】伸縮自在織物構造体
(51)【国際特許分類】
   D03D 11/00 20060101AFI20180813BHJP
   D03D 15/08 20060101ALI20180813BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   D03D11/00 Z
   D03D15/08
   D03D1/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-10036(P2018-10036)
(22)【出願日】2018年1月24日
【審査請求日】2018年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592129420
【氏名又は名称】新興細巾織物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 欣也
(72)【発明者】
【氏名】小杉 剛央
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−511336(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0273697(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/011336(WO,A1)
【文献】 実開昭54−139774(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3104242(JP,U)
【文献】 特開2002−302845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00−27/18
A62B1/00−5/00
35/00−99/00
B60R22/00−22/48
E04G21/24−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し織りパターンを有する伸縮自在織物構造体であって、
上層と、中層と、下層とを備え、
前記各層は、長手方向の縦糸と、縦糸と略直角方向に配設された横糸と、で平織されて形成されており、
伸縮ゴム糸が、前記中層に配置された横糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設され、
綴じ糸が、前記中層、上層及び下層の横糸を絡めるように長手方向に配設され、
伸縮自在織物構造体の縮小時において、
綴じ糸に絡められた横糸が引き寄せられ、
引き寄せられた上層及び下層の横糸が中層に連結されるとともに、
伸縮自在織物構造体がその長手方向において縮められることによって、
蛇腹状に形成されるようにしたことを特徴とする伸縮自在織物構造体。
【請求項2】
前記繰り返し織りパターンが、横糸28本の繰り返し織りパターンであることを特徴とする請求項1に記載の伸縮自在織物構造体。
【請求項3】
前記中層に、識別色糸を追加し、上層又は下層が擦れて摩耗したときに前記識別色糸が露出して外側から見えるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮自在織物構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト等の伸縮性の要求される織物構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性の要求される織物構造体は、伸縮ゴム糸やウレタン弾性糸等を、同一幅の織物構造体の中に織り込んだもので、ベルトなどに広く使用されている。
例えば、高所作業者が高い位置から落ちたりした場合などにおいても、織物構造体は落下を止め、高所作業者の安全を守ることができる。
また、車のシートベルト等においても、突然の停止あるいは衝突した場合に自動車の乗員を守り、損傷の危険を低減するために使用される。
しかしながら、一般的な織物構造体では作業者の動きが唐突に止められたり、
不意の停止による衝撃力を受けるので危険な場合がある。
【0003】
このため、例えば、特許文献1には、縦糸及び横糸で平袋織された外筒敷布の内側に、非伸縮性糸からなる非伸縮性芯糸と伸縮性糸からなる伸縮性芯糸とが、長手方向に伸びて挿入された細巾織物が記載されており、落下などの衝撃を吸収する結束具としての利用が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5383456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された構造体は、縦糸及び横糸で平袋織された外筒敷布の内側に、非伸縮性糸からなる非伸縮性芯糸と伸縮性糸からなる伸縮性芯糸とが、長手方向に伸びて挿入されているだけなので、構造体の縮小時の形状が見栄えが悪く、また、強度上の問題点もある。
そこで、本発明の課題は、縮小時において見栄えが良く、伸長時にエネルギーを吸収し、織物構造体全体としての落下物等を支えることができる織物構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の伸縮自在織物構造体は、繰り返し織りパターンを有する伸縮自在織物構造体(以下、織物構造体と記述する場合がある)であって、
上層と、中層と、下層とを備え、前記各層は、長手方向の縦糸と、縦糸と略直角方向に配設された横糸と、で平織されて形成されており、
伸縮ゴム糸が、前記中層に配置された横糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設され、
綴じ糸が、前記中層、上層及び下層の横糸を絡めるように長手方向に配設され、
伸縮自在織物構造体の縮小時において、
綴じ糸に絡められた横糸が引き寄せられ、
引き寄せられた上層及び下層の横糸が中層に連結されるとともに、
伸縮自在織物構造体がその長手方向において縮められることによって、
蛇腹状に形成されるようにしたことを特徴とする。
(2)本発明の伸縮自在織物構造体は、上記(1)において、前記繰り返し織りパターンが、横糸28本の繰り返し織りパターンであることを特徴とする。
(3)本発明の伸縮自在織物構造体は、上記(1)又は(2)において、前記中層に、識別色糸を追加し、上層又は下層が擦れて摩耗したときに前記識別色糸が露出して外側から見えるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の織物構造体は、上層と、中層と、下層とを備え、各層は、長手方向の縦糸と、縦糸と略直角方向に配設された横糸と、で平織されて形成されており、伸縮ゴム糸が、中層に配置された横糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設され、綴じ糸が、中層、上層及び下層の横糸を絡めるように長手方向に配設され、織物構造体の縮小時において、綴じ糸に絡められた横糸が引き寄せられ、引き寄せられた上層及び下層の横糸が中層に連結されるとともに、織物構造体がその長手方向において縮められることによって、蛇腹状に形成されるようにしたので、
通常時は、伸縮ゴム糸が縮小するため蛇腹状態で、見栄えの良い縮小状態にあるが、所定の荷重を適用すると伸長するとともに蛇腹を展開して伸長して引張り荷重を支持することができる。
また、織物構造体は伸長しながら、織物構造体に掛かるエネルギーを吸収することができるので、人や物の落下、あるいは他の動きを止める際の衝撃力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の28本の横糸を用いた織物構造体の縦方向断面図である。
図2図1の織物構造体が縮んだ状態を示す縦方向断面図である。
図3】実施形態1の織物構造体10Xの上層の製織構造を示す斜視図である。
図4】実施形態1の織物構造体10Xに使用するピック図であり、(a)は横糸28本の織りパターンで織製する際に用いるピック図であり、(b)は視認性を増すための識別色糸Xを加えた場合のピック図である。
図5】実施形態2の織物構造体20Xであり、(a)は44本の横糸を用いた織物構造体20Xの縦方向断面図であり、(b)は、その織物構造体20Xに使用するピック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態1の織物構造体について説明する。
図1は、実施形態1の織物構造体の縦方向断面図を示し、28本の横糸を用いた28本の繰り返し織りパターンを備えた織物構造体である。
図2は、図1の織物構造体が縮小した状態を示す縦方向断面図である。
図3は、図1の上層の製織構造を示す斜視図である。
図1図2図3に示すように、実施形態1の織物構造体10Xは、繰り返し織りパターンを有する織物構造体であって、上層10aと、中層10bと、下層10cとを備え、前記各層は、長手方向の縦糸と、縦糸と略直角方向に配設された横糸と、で平織されて形成されており、伸縮ゴム糸Eが、中層10bに配置された縦糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設され、綴じ糸Fが、前記横糸を絡めるように長手方向に配設され、織物構造体10Xの縮小時において、綴じ糸Fに絡められた横糸が引き寄せられ、引き寄せられた上層10a及び下層10cの横糸が中層10bに連結されるとともに、織物構造体10Xがその長手方向において縮められることによって、蛇腹状に形成されるようにした。
すなわち、図2の縦方向断面図から分かるように、伸縮ゴム糸Eを含んだ中層10bが、上層10a及び下層10cとで挟まれた状態で、織物構造体10Xが、長手方向に山谷を繰り返えす蛇腹状の形態となっている。
【0010】
<ニードル織製機>
なお、本発明の織物構造体10Xは、ニードル織製機等、プログラム可能織機で織製することができる。
【0011】
<上層、中層、下層>
実施形態の織物構造体10Xは、上層10a、中層10b及び下層10cからなる。
図示するように、前記各層は、長手方向に配設された、縦糸A、縦糸B、縦糸C、縦糸D、縦糸G及び縦糸Hと、
前記縦糸に略直角方向に配設された、第1横糸1〜第1横糸28の28本の横糸と、
で平織されて形成されている。
すなわち、上層10aにおいては、第2横糸2、第7横糸7、第9横糸9、第11横糸11,第16横糸16、第21横糸21、第23横糸23、第25横糸25は、縦糸A,Bと共に平織に製織されている(図3参照)。
【0012】
中層10bにおいては、第3横糸3、第4横糸4、第5横糸5,第12横糸12、第13横糸13、第14横糸14、第17横糸17,第18横糸18、第19横糸19、第26横糸26、第27横糸27,第28横糸28は、縦糸C,Dと共に平織に製織されている。
【0013】
下層10cにおいては、第1横糸1、第6横糸6、第8横糸8,第10横糸10、第15横糸15,第20横糸20、第22横糸22、第24横糸24は、縦糸G,縦糸Hと共に平織に製織されている。
【0014】
このように、上層10a、中層10b、下層10cにおいては、図1に示す縦断面図の奥方向に向かって配設された複数本の縦糸の間を、横糸が投入されて製織されて各層が形成されているのである。
上層10a、中層10b、下層10cに用いられる縦糸や横糸としては、産業用繊維のポリエステル、ナイロン、ノーメックス(登録商標)、ケブラー(登録商標)などが挙げられ、略1000デニールの太さのものが好ましい。
【0015】
<伸縮ゴム糸E>
伸縮ゴム糸Eは、中層10bに配置された、第3横糸3、第4横糸4、第5横糸5の下方、
第12横糸12〜第19横糸19の上方、
第26横糸26、第27横糸27、第28横糸28の下方を、
交互に長手方向に配設されている。
なお、伸縮ゴム糸Eは、中層10bの横糸に織り込まれることなく、織物構造体10Xの長手方向に引き揃えて織物内に存在させており、中層10bに配置された横糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設されているので、織物構造体100に良好な伸縮性が保持される。
この伸縮ゴム糸の存在により、織物構造体10Xに伸縮性が付与され引張り荷重を受けると伸長して衝撃吸収部材としての効果をもたらす。
また、伸縮ゴム糸Eの縮小により、織物構造体10Xは、長手方向の長さを縮めるように強いられ、後述するように、綴じ糸Fによって、上層10a及び下層10cにおいて絡んでいる横糸を中層10b方向に引き寄せて、蛇腹状の形態を形成するようになる。
伸縮ゴム糸Eとしては、ポリエステル等のポリマー材料から成る部分延伸糸(POY)などが挙げられるが、高伸長特性を有する一つ又は複数の適切な材料から形成され得るものであれば、この材質に限定されない。
なお、実施形態1においては、伸縮ゴム糸Eは、略300デニールから略5,800デニールの線密度を有するものが好ましく採用される。
【0016】
<綴じ糸F>
綴じ糸Fは、上層10a、中層10b、下層10cを連結する。
すなわち、綴じ糸Fは、長手方向に沿って、上層10aから中層10bへ、中層10bから下層10cへ、下層10cから中層10bへ、中層10bから上層10aへと、
中層10bを介して、上層10aと下層10cの間を順次行き来して、
それぞれの層に配設されている横糸を絡め、上層10a、中層10b、下層10cを連結させている。
すなわち、図示するように、綴じ糸Fは、
上層において第16横糸16の上方、
中層において、第4横糸4の上方、第13横糸13の下方、第18横糸18の下方、第27横糸27の上方、
下層において第1横糸1の下方、をそれぞれ巻き回して絡めるとともに長手方向に配設されている。
このような状態の織物構造体10Xが、伸縮ゴム糸の縮小により長さが縮小すると、より短い距離を占めるように強いられるので、綴じ糸Fに絡められた横糸は伸縮ゴム糸F側に引き寄せられる。
そして、引き寄せられた上層10a及び下層10cの横糸が中層10bに連結され、織物構造体10Xがその長手方向において縮められることによって、蛇腹状に形成されるようになる。
【0017】
図4(a)は、実施形態1の織物構造体10Xの織製に際し使用するピック図(チェーン図もしくはカム製図としても知られている)である。
このピック図は、8本のハーネスが配設されている織製機を用いて、横糸28本の織りパターンで織物構造体100を織製する際に用いる。
8本のハーネス織機において、ハーネス1a〜4a、7a,8aには縦糸が通され、ハーネス5aには伸縮ゴム糸が通され、ハーネス6aには綴じ糸Fが通されている。
なお、ハーネス織製機、ハーネスは図示していない。
図4(a)のピック図において、表の縦列(縦スケール)は、縦糸A、B,C,D、G、Hの8本の縦糸、伸縮ゴム糸E、綴じ糸F、を示し、表の横列(横スケール)は第1横糸1〜第28横糸28の横糸を示している。
表の中の記号の○は、ハーネスが上昇して上位置にあることを示す。
すなわち、表中○印を付した糸は、織製時に上に位置していることを表している。
【0018】
図1図2の縦方向断面図及び図4のピック図を対応させながらみれば分かるように、このピック図に基づいたプログラミングにより、ハーネス織製機は、以下のように作用する。
【0019】
<第1横糸1>
第1横糸1が投入されるときには、ハーネス1a〜5a、8aは上昇し、それ以外のハーネス6a,7aは下降した位置にある。
すなわち、
ハーネス1aに架かる縦糸A、
ハーネス2aに架かる縦糸B、
ハーネス3aに架かる縦糸C、
ハーネス4aに架かる縦糸D、
ハーネス5aに架かる伸縮ゴム糸E、
及びハーネス8aに架かる縦糸H持ち上げられる。
その他の、ハーネス6aに架かる綴じ糸F、
ハーネス7aに架かる縦糸Gは、下位置のままである。
【0020】
<第2横糸2>
第2横糸2が投入されるときには、ハーネス2aに架かる縦糸Bのみが持ち上げられ、それ以外の縦糸A、縦糸C、縦糸D、伸縮ゴム糸E、綴じ糸F、縦糸G、縦糸Hは下位置のままである。
【0021】
<第3横糸3>
第3横糸3が投入されるときには、ハーネス1a、2a、4aに架かる縦糸A、縦糸B、縦糸Dが持ち上げられ、それ以外の縦糸C、伸縮ゴム糸E、綴じ糸F、縦糸G、縦糸Hは下位置のままである。
第4横糸4〜第28横糸28については、ピック図を見れば分かるので説明を省略する。
すなわち、ピック図に基づくプログラミングにより、横糸28本の繰り返し織りパターンを有する織物構造体100が織製される。
【0022】
<識別色糸>
図4(b)は、中層に、識別色糸Xを長手方向に介入させた場合のピック図である。
図4(b)に示すように、縦糸として、識別色糸Xを加えたパターンの場合のプログラミングを示している。
識別色糸とは、その素材や色を特に限定するものものではないが、上層や下層とは色が異なる糸で構成されるものをいう。
中層に、識別色糸を加えることにより、上層又は下層が擦れて摩耗したときに識別色糸が露出して外側から見え、織物構造体の取り替え時期の指標となる。
【0023】
織物構造体10Xは、縮小状態では図2に示すような蛇腹状であるが、荷重が織物構造体10Xにかかり始めると、織物構造体10Xが伸び、織物構造体10Xにかかる荷重の力を吸収する。
織物構造体10Xが伸びるにつれ、織物構造体10Xが蛇腹状に形状を展開しながら伸長する。
伸長状態では図1に示すような真っ直ぐな状態になる。
織物構造体10Xがその最大長さに達すると、すなわち、蛇腹形状が完全に展開されると、織物構造体10Xは伸長を停止し、織物構造体10Xにかかる荷重を支える。
なお、実施形態1の織物構造体10Xは、横糸28本をセットにして、繰り返し構造をすることにより、所望の長さに形成することが可能である。
また、織物構造体の素材は、織物構造体を織製する適切な材料からでも形成され得る。
【0024】
<実施形態2の織物構造体>
図5に、44本の横糸を用いた実施形態2の織物構造体20Xを示す。(a)は縦方向断面図であり、(b)はその織物構造体20Xの製造に用いるピック図であり、縦糸として、識別色糸X1、X2、Y1、Y2を加えたパターンの場合のプログラミングを示している。
実施形態2の織物構造体20Xは、実施形態1と同様に、上層及び下層は平織りで構成されているが、横糸の本数、中上層、中下層を増加させている。
すなわち、図5(a)、(b)に示すように、実施形態2の織物構造体20Xは、
繰り返し織りパターンを有する織物構造体であって、
上層20aと、中層20bと、下層20cとを備え、
前記各層は、長手方向の縦糸と、縦糸と略直角方向に配設された横糸と、
で平織されて形成されており、
伸縮ゴム糸Eが、中層20bに配置された縦糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設され、
綴じ糸Fが、前記横糸を絡めるように長手方向に配設され、
織物構造体20Xの縮小時において、
綴じ糸Fに絡められた横糸が引き寄せられ、
引き寄せられた上層20a及び下層20cの横糸が中層20bに連結されるとともに、
織物構造体20Xがその長手方向において縮められることによって、
蛇腹状に形成されるようにした点で、
実施形態1の織物構造体10Xと同じである。
しかし、実施形態2の織物構造体20Xは、下記の点で実施形態1の織物構造体10Xと異なっている。
すなわち、上層20aと中層20bとの間に、中上層20a1として、横糸7,11、15,22、29,33,37、44に、識別色糸である縦糸X1と縦糸X2を絡ませて平織りした層を介在させている。
また、下層20cと中層20bとの間に、中下層20c1として、横糸6,10、14,21、28,32,36、43に、識別色糸である縦糸Y1と縦糸Y2を絡ませて平織りした層を介在させている。
これらの中上層20a1及び中下層20c1を介在させることにより、織物構造体の強度を増加させることができ、
織物構造体の取り替え時期の指標となる識別色糸が露出がさらに見えやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の織物構造体は、伸縮自在ベルトとして広く用いることができる。
また、クリップ、金属留め金、もしくはシートベルト部品等のハードウェア部品に取り付けられて、例えば、自動車などの車両で使用されるチャイルドシートなどの安全ベルトとして利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10X 実施形態1の織物構造体
10a 実施形態1の上層
10b 実施形態1の中層
10c 実施形態1の下層
1〜28 実施形態1の織物構造体の横糸
A〜D、G、H 縦糸
E 伸縮ゴム糸
F 綴じ糸
X 識別色糸
20X 実施形態2の織物構造体
20a 実施形態2の上層
20b 実施形態2の中層
20c 実施形態2の下層
X1、X2 中上層の識別色糸
Y1、Y2 中下層の識別色糸
【要約】
【課題】縮小時において見栄えが良く、伸長時にエネルギーを吸収し、織物構造体全体としての落下物等を支えることができる織物構造体を提供すること。
【解決手段】
繰り返し織りパターンを有する伸縮自在織物構造体10であって、上層10aと、中層と10b、下層10cとを備え、各層は、長手方向の縦糸と、縦糸と略直角方向に配設された横糸と、で平織されて形成されており、伸縮ゴム糸Eが、中層に配置された横糸の下方又は上方を交互に長手方向に配設され、綴じ糸Fが、中層、上層及び下層の横糸を絡めるように長手方向に配設され、伸縮自在織物構造体10の縮小時において、綴じ糸に絡められた横糸が引き寄せられ、引き寄せられた上層10a及び下層10bの横糸が中層10cに連結されるとともに、伸縮自在織物構造体がその長手方向において縮められることによって、蛇腹状に形成されるようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5