(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6377871
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】排ガス処理装置の診断システム
(51)【国際特許分類】
F23G 7/06 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
F23G7/06 101E
F23G7/06 103
F23G7/06 101D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-38921(P2018-38921)
(22)【出願日】2018年3月5日
【審査請求日】2018年3月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】村山 滋
(72)【発明者】
【氏名】村上 保
(72)【発明者】
【氏名】行岡 俊明
(72)【発明者】
【氏名】水津 明彦
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
再公表特許第2014/034742(JP,A1)
【文献】
特開2014−173774(JP,A)
【文献】
特開2010−169340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスに含まれる有機成分を処理する燃焼手段を備えた燃焼室と、
前記燃焼室において燃焼処理された処理済みガスの熱を蓄熱し、蓄熱した熱で前記燃焼室に供給される排ガスを予熱する蓄熱体が収容された蓄熱室と、
前記蓄熱室から処理済みガスが排出される排出ラインと、
前記燃焼室から前記蓄熱室をバイパスして処理済みガスが排出されるバイパスラインと、
前記バイパスラインを開閉するバイパス弁と、
前記排出ラインと前記バイパスラインを合流させる合流ラインと、を備える排ガス処理装置において、
前記排ガス処理装置からデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータから診断を行う診断部と、
前記診断部が行った診断結果を表示する表示部と、を備え、
前記データ取得部は、前記バイパス弁が開放されている時間を取得し、
前記診断部は、前記バイパス弁が開放されている時間が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、
前記表示部は、排熱利用がさらに可能であることを表示することを特徴とする、排ガス処理装置の診断システム。
【請求項2】
排ガスに含まれる有機成分を処理する燃焼手段を備えた燃焼室と、
前記燃焼室において燃焼処理された処理済みガスの熱を蓄熱し、蓄熱した熱で前記燃焼室に供給される排ガスを予熱する蓄熱体が収容された蓄熱室と、
前記蓄熱室から処理済みガスが排出される排出ラインと、
前記燃焼室から前記蓄熱室をバイパスして処理済みガスが排出されるバイパスラインと、
前記バイパスラインを開閉するバイパス弁と、
前記排出ラインと前記バイパスラインを合流させる合流ラインと、を備える排ガス処理装置において、
前記排ガス処理装置からデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータから診断を行う診断部と、
前記診断部が行った診断結果を表示する表示部と、を備え、
前記データ取得部は、前記燃焼手段が燃焼処理している時間を取得し、
前記診断部は、前記燃焼手段が燃焼処理している時間が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、
前記表示部は、排熱利用がさらに可能であることを表示することを特徴とする、排ガス処理装置の診断システム。
【請求項3】
排ガスに含まれる有機成分を処理する燃焼手段を備えた燃焼室と、
前記燃焼室において燃焼処理された処理済みガスの熱を蓄熱し、蓄熱した熱で前記燃焼室に供給される排ガスを予熱する蓄熱体が収容された蓄熱室と、
前記蓄熱室から処理済みガスが排出される排出ラインと、
前記燃焼室から前記蓄熱室をバイパスして処理済みガスが排出されるバイパスラインと、
前記バイパスラインを開閉するバイパス弁と、
前記排出ラインと前記バイパスラインを合流させる合流ラインと、を備える排ガス処理装置において、
前記排ガス処理装置からデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータから診断を行う診断部と、
前記診断部が行った診断結果を表示する表示部と、を備え、
前記データ取得部は、前記排出ラインの排気温度と前記合流ラインの排気温度を取得し、
前記診断部は、前記バイパス弁が閉止されているとき、前記合流ラインの排気温度が前記排出ラインの排気温度より高い場合には、前記バイパス弁に漏れが生じていると診断し、
前記表示部は、前記バイパス弁に漏れが生じていることを表示することを特徴とする、排ガス処理装置の診断システム。
【請求項4】
前記表示部が表示した内容を前記排ガス処理装置の使用者に連絡する連絡手段を備えている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の診断システム。
【請求項5】
印刷装置を備えており、
前記印刷装置は、前記表示部が表示した内容を書面に印刷する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の診断システム。
【請求項6】
請求項5記載の診断システムによって印刷された診断書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスに含まれる有機成分を処理する排ガス処理装置を診断する診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
塗装工場等から排出される有機成分(Volative Organic Compounds:以下「VOC」と称する)を含む排ガスは、蓄熱式燃焼脱臭装置(Regenerative Thermal Oxidizer:以下「RTO」と称する)等の排ガス処理装置によって加熱分解処理される。RTOでは、特許文献1に示されるように、定期的に清掃が必要であり、また、特許文献2に示されるように、待機時にバーナの燃焼を中止し、燃焼室を保温する等の省エネ対策が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−194390号公報
【特許文献2】特開2016−205712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、排ガス処理装置の省エネ対策や設備の交換については、使用者が自主的にその工程や運転状態を調整しながら行う必要があり、排ガス処理装置の所定データから診断を行い、排ガス処理装置のエネルギー利用効率を向上させることが求められている。
【0005】
そこで本発明では、排ガス処理装置からデータを取得し診断することによって、リアルタイムに装置の診断が行え、燃料の無駄や装置トラブルを事前に回避することができる排ガス処理装置の診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、排ガスに含まれる有機成分を処理する燃焼手段を備えた燃焼室と、
前記燃焼室において燃焼処理された処理済みガスの熱を蓄熱し、蓄熱した熱で前記燃焼室に供給される排ガスを予熱する蓄熱体が収容された蓄熱室と、
前記蓄熱室から処理済みガスが排出される排出ラインと、
前記燃焼室から前記蓄熱室をバイパスして処理済みガスが排出されるバイパスラインと、
前記バイパスラインを開閉するバイパス弁と、
前記排出ラインと前記バイパスラインを合流させる合流ラインと、を備える排ガス処理装置において、
前記排ガス処理装置からデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータから診断を行う診断部と、
前記診断部が行った診断結果を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記構成によれば、診断システムが排ガス処理装置からデータを取得するデータ取得部と、データ取得部が取得したデータから診断を行う診断部と、診断部が行った診断結果を表示する表示部とを備えることによって、リアルタイムに装置の診断が行え、燃料の無駄や装置トラブルを事前に回避することができる。
【0008】
本発明は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0009】
(1)前記データ取得部は、前記バイパス弁が開放されている時間を取得し、
前記診断部は、前記バイパス弁が開放されている時間が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、
前記表示部は、排熱利用がさらに可能であることを表示する。
【0010】
(2)前記データ取得部は、前記燃焼手段が燃焼処理している時間を取得し、
前記診断部は、前記燃焼手段が燃焼処理している時間が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、
前記表示部は、排熱利用がさらに可能であることを表示する。
【0011】
(3)前記データ取得部は、前記排出ラインの排気温度と前記合流ラインの排気温度を取得し、
前記診断部は、前記バイパス弁が閉止されているとき、前記合流ラインの排気温度が前記排出ラインの排気温度より高い場合には、前記バイパス弁に漏れ(リーク)が生じていると診断し、
前記表示部は、前記バイパス弁に漏れが生じていることを表示する。
【0012】
(4)前記表示部が表示した内容を前記排ガス処理装置の使用者に連絡する連絡手段を備えている。
【0013】
(5)印刷装置を備えており、
前記印刷装置は、前記表示部が表示した内容を書面に印刷する。
【0014】
前記構成(1)によれば、排ガス処理装置の省エネ余地を判断できる。なお、排ガス処理装置に省エネ余地がある場合、熱交換器やボイラで空気や水を加熱することが考えられる。
【0015】
前記構成(2)によれば、排ガス処理装置の省エネ余地を判断できる。なお、排ガス処理装置に省エネ余地がある場合、蓄熱体の容量を増加させ、排ガス予熱温度を上昇させることが考えられる。
【0016】
前記構成(3)によれば、排ガス処理装置の装置であるバイパス弁のトラブルを事前に回避することができる。なお、対策として、バイパス弁を交換することが考えられる。
【0017】
前記構成(4)によれば、使用者がリアルタイムに排ガス処理装置の省エネ余地を判断できる。なお、排ガス処理装置に省エネ余地がある場合、熱交換器やボイラで空気や水を加熱することが考えられる。
【0018】
前記構成(5)によれば、表示部が表示した内容が印刷された書面を得ることができ、表示内容を自由に所持したり、郵送することができる。
【0019】
本発明の別の態様は、前記構成(5)を備える診断システムによって印刷された診断書である。
【0020】
上記別の態様によれば、表示部が表示した内容、すなわち、診断システムの診断結果を診断書として使用者に明示できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、リアルタイムに装置の診断が行え、燃料の無駄や装置トラブルを事前に回避することができる排ガス処理装置の診断システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る排ガス処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る排ガス処理システムの概略図である。
図1に示されるように、排ガス処理システム90は、排ガスに含まれる有機成分を処理する排ガス処理装置2と、排ガス処理装置2を診断する診断システム91と、を備えている。
【0024】
排ガス処理装置2は、RTOであり、バーナ等の燃焼手段21を備えた燃焼室22と、燃焼室22に一端が連通する少なくとも2つ(
図1では2つ)の蓄熱室23と、蓄熱室23の他端に連通すると共に、排ガスをいずれかの蓄熱室23に供給し、他の蓄熱室23から処理済ガスを排出することを交互に行わせる電動弁等の切替装置24と、を備えている。
【0025】
塗装工程を通過直後の鋼帯等の処理材82を乾燥させるオーブン81において、蒸発して発生した排ガスは、供給ライン41を通り、供給ファン25から、切替装置24を介して、蓄熱室23の1つに供給される。そして、排ガスは、蓄熱室23の蓄熱体26と熱交換して加熱され、燃焼室22に至る。
【0026】
供給ライン41には、供給ライン41の排ガスを外部に放出する放気弁42、供給ライン41を開閉する開閉弁43及び供給ライン41に外気(空気)を供給する供給弁44が設けられている。放気弁42は、供給ライン41の排ガスを排ガス処理装置2に送らず、外部に放出する場合に、開放される。また、供給弁44は、オーブン81から排ガスが供給されないときに、排ガス処理装置2に空気を供給し、排ガス処理装置2をウォームアップしたり、排ガスの濃度が高すぎる場合に希釈したりする場合に、開放される。
【0027】
燃焼室22に送られた排ガスは、燃焼手段21によって燃焼処理される。具体的には、排ガス中のVOCは、燃焼反応により無害化処理される。そして、燃焼処理された処理済ガスは他の蓄熱室23を通り、その間に蓄熱室23の蓄熱体26と熱交換して冷却され、切替装置24を介して、排出ライン51に送られる。
【0028】
また、燃焼室22には、燃焼室22からから蓄熱室23をバイパスして処理済ガスが排出されるバイパスライン52が連通しており、バイパスライン52には、バイパスライン52を開閉するバイパス弁53が設けられている。そして、バイパス弁53の下流側には、排出ライン51とバイパスライン52とを合流させる合流ライン54が設けられている。
【0029】
合流ライン54の処理済ガスは、排気筒61から外部に排出される。また、供給ファン55から供給された空気は、合流ライン54の高温の排気によって熱交換器57で予熱され、供給ライン56を介してラジアントチューブバーナのようなガスバーナ83に供給されて、処理材82の加熱等に用いられることもできる。
【0030】
診断システム91は、排ガス処理装置2からデータを取得するデータ取得部92と、データ取得部92が取得したデータから診断を行う診断部93と、診断部93が行った診断結果を表示する表示部94と、を備えている。表示部94は、画面に表示させるものに限定されず、書面等に印刷するものも含まれる。なお、表示部94は、排ガス処理装置2と電気通信を行うようになっており、排ガス処理装置2に対して遠隔地に設けられてもよい。
【0031】
診断システム91はさらに、表示部94が表示した内容を排ガス処理装置2の使用者に連絡する連絡手段95を備えている。連絡手段95は、表示部94が表示した内容に加えて、表示部94が表示した内容を診断書や提案書等の形に整理して、使用者に連絡することもできる。連絡手段は、表示部94が表示した内容を使用者のパーソナルコンピュータに電子的に送付するものでもよい。また、表示部94が表示した内容を、印刷装置96を用いて「診断書」や「提案書」等の書面にしてもよい。
【0032】
データ取得部92は、排ガス処理装置2の各種データを取得する。取得するデータとしては、例えば、バイパス弁53が開放されている時間(S1)、燃焼手段21が燃焼処理している時間(S2)、燃焼室22に供給される排ガスの流量(Q1)、燃焼室22の温度(T1)、排出ライン51の排気温度(T2)、及び合流ライン54の排気温度(T3)が挙げられる。
【0033】
診断部93は、データ取得部92が取得したデータから、排ガス処理装置2からの回収可能熱量を算出する。表示部94は、診断部93が算出した回収可能熱量を表示する。
【0034】
データ取得部92が、バイパス弁53が開放されている時間(S1)を取得する場合、診断部93は、S1が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、表示部94は、排熱利用がさらに可能であることを表示する。
【0035】
データ取得部92が、燃焼手段21が燃焼処理している時間(S2)を取得する場合、診断部93は、S2が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、表示部94は、排熱利用がさらに可能であることを表示する。
【0036】
データ取得部92が、排出ライン51の排気温度(T2)と合流ライン54の排気温度(T3)を取得する場合、診断部93は、バイパス弁53が閉止されているとき、T3がT2より高い場合には、バイパス弁53に漏れが生じていると診断し、表示部94は、バイパス弁53に漏れが生じていることを表示する。
【0037】
また、データ取得部92が、燃焼室22に供給される排ガスの流量(Q1)、燃焼室22の温度(T1)、排出ライン51の処理済ガスの温度(T2)、及び燃焼手段21の燃料消費量(Q2)を取得する場合、診断部93は、排ガス処理装置2の必要熱量を算出する。表示部94は、診断部93が算出した必要熱量を表示する。
【0038】
また、データ取得部92が、バイパス弁53が閉止されているときのリーク量(Q3)を取得する場合、診断部93は、バイパス弁53の取替時期を算出する。表示部94は、診断部93が算出した取替時期を表示する。
【0039】
なお、診断システム91は、排ガス処理装置2の近傍に設けられてもよく、また、排ガス処理装置2から離れて設けられ、排ガス処理装置2の遠隔から排ガス処理装置2のデータを取得し、データの診断を行い、診断結果を表示するようになっていてもよい。
【0040】
前記構成の排ガス処理システム90によれば、次のような効果を発揮できる。
【0041】
(1)診断システム91が、排ガス処理装置2からデータを取得するデータ取得部92と、データ取得部92が取得したデータから診断を行う診断部93と、診断部93が行った診断結果を表示する表示部94とを備えている。したがって、リアルタイムに装置の診断が行え、燃料の無駄や装置トラブルを事前に回避することができる。
【0042】
(2)データ取得部92は、バイパス弁53が開放されている時間を取得し、診断部93は、バイパス弁53が開放されている時間が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、表示部94は、排熱利用がさらに可能であることを表示する。したがって、排ガス処理装置2の省エネ余地を判断できる。なお、排ガス処理装置2に省エネ余地がある場合、合流ライン54の排気の熱を用い、熱交換器やボイラで空気や水を加熱することが考えられる。
【0043】
(3)データ取得部92は、燃焼手段21が燃焼処理している時間を取得し、診断部93は、燃焼手段21が燃焼処理している時間が所定時間より長い場合には、排熱利用がさらに可能と診断し、表示部94は、排熱利用がさらに可能であることを表示する。したがって、排ガス処理装置2の省エネ余地を判断できる。なお、排ガス処理装置2に省エネ余地がある場合、蓄熱体26の容量を増加させ、排ガス予熱温度を上昇させることが考えられる。
【0044】
(4)データ取得部92は、排出ライン51の排気温度と合流ライン54の排気温度を取得し、診断部93は、バイパス弁53が閉止されているとき、合流ライン54の排気温度が排出ライン51の排気温度より高い場合には、バイパス弁53に漏れが生じていると診断し、表示部94は、バイパス弁53に漏れが生じていることを表示する。したがって、排ガス処理装置2の装置であるバイパス弁53のトラブルを事前に回避することができる。なお、対策として、バイパス弁を交換することが考えられる。
【0045】
(5)表示部94が表示した内容を排ガス処理装置2の使用者に連絡する連絡手段95を備えている。したがって、使用者がリアルタイムに排ガス処理装置2の省エネ余地を判断できる。なお、排ガス処理装置に省エネ余地がある場合、熱交換器やボイラで空気や水を加熱することが考えられる。
【0046】
(6)排ガス処理装置2の所定データから排ガス処理装置2からの回収可能熱量及び/又は排ガス処理装置2の必要熱量を算出することによって、それらの熱量の有効利用を検討することができ、それにより、排ガス処理装置2のエネルギー利用効率を向上させることができる。
【0047】
(7)データ取得部92は、燃焼室22に供給される排ガスの流量(Q1)、燃焼室22の温度(T1)、排出ライン51の処理済ガスの温度(T2)、及び合流ライン54の処理済ガスの温度(T3)を取得し、診断部93は、データ取得部92が取得したデータから、排ガス処理装置2からの回収可能熱量を算出するので、回収可能熱量から廃熱利用のための廃熱ボイラの設置を検討することができ、それにより、排ガス処理装置2のエネルギー利用効率を向上させることができる。
【0048】
(8)データ取得部92は、燃焼室22に供給される排ガスの流量(Q1)、燃焼室22の温度(T1)、排出ライン51の処理済ガスの温度(T2)、及び燃焼手段21の燃料消費量(Q2)を取得し、診断部93は、データ取得部92が取得したデータから、排ガス処理装置2の必要熱量を算出するので、必要熱量から蓄熱室23にさらに蓄熱体26を設置することを検討でき、それにより、排ガス処理装置2のエネルギー利用効率を向上させることができる。より具体的には、蓄熱体26をさらに設置することによって、処理済ガスの熱量を蓄熱できる量を増加させることができ、蓄熱体26で蓄熱した熱量を供給ライン41から流入する排ガスに付与することによって、燃焼室22における燃焼手段21の必要燃料を低減することができる。
【0049】
(9)データ取得部92は、バイパス弁53のリーク量(Q3)を取得し、診断部93は、データ取得部92が取得したデータから、バイパス弁53の取替時期を算出する。ここで、バイパス弁53のリーク量が大きくなると、熱量の損失が大きいので、リーク量の大きいバイパス弁53をリークの無いものに取り替えることによって、排ガス処理装置2のエネルギー効率を向上させることができる。
【0050】
(10)排ガス処理装置2で処理された処理済ガスをオーブン81における処理材82の加熱に利用しているので、排ガス処理システム90全体の熱効率をさらに向上させることができる。
【0051】
上記実施形態では、排ガス処理装置2は蓄熱式燃焼脱臭装置(RTO)であるが、本発明の排ガス処理装置は蓄熱式燃焼脱臭装置に限定されず、有機成分を含む排ガスを燃焼処理する装置であればよい。
【0052】
上記実施形態では、オーブン81からの排ガスを排ガス処理装置2で処理した後、処理済ガスを同じオーブン81において処理材82の加熱に利用しているが、異なる設備や工場において利用してもよい。
【0053】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明では、リアルタイムに装置の診断が行え、燃料の無駄や装置トラブルを事前に回避することができる排ガス処理装置の診断システムを提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0055】
2 排ガス処理装置
21 燃焼手段 22 燃焼室 23 蓄熱室 24 切替装置
25 供給ファン 26 蓄熱体
41 供給ライン 42 放気弁 43 開閉弁 44 供給弁
51 排出ライン 52 バイパスライン 53 バイパス弁
54 合流ライン 55 供給ファン 56 供給ライン 57 熱交換器
61 排気筒
81 オーブン 82 処理材 83 ガスバーナ
90 排ガス処理システム
91 診断システム
92 データ取得部
93 診断部
94 表示部
95 連絡手段
96 印刷手段
【要約】
【課題】リアルタイムに装置の診断が行え、燃料の無駄や装置トラブルを事前に回避することができる排ガス処理装置の診断システムを提供する。
【解決手段】排ガスに含まれる有機成分を処理する燃焼手段21を備えた燃焼室22と、燃焼室22において燃焼処理された処理済みガスの熱を蓄熱し、蓄熱した熱で燃焼室22に供給される排ガスを予熱する蓄熱体26が収容された蓄熱室23と、蓄熱室23から処理済みガスが排出される排出ライン51と、燃焼室22から蓄熱室23をバイパスして処理済みガスが排出されるバイパスライン52と、バイパスライン52を開閉するバイパス弁53と、排出ライン51とバイパスライン52を合流させる合流ライン54と、を備える排ガス処理装置2において、排ガス処理装置2からデータを取得するデータ取得部92と、データ取得部92が取得したデータから診断を行う診断部93と、診断部93が行った診断結果を表示する表示部94と、を備える。
【選択図】
図1