特許第6377904号(P6377904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6377904振動アクチュエータ、および携帯情報端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377904
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】振動アクチュエータ、および携帯情報端末
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-271555(P2013-271555)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-126673(P2015-126673A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片田 好紀
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−199689(JP,A)
【文献】 特開2011−030403(JP,A)
【文献】 特開2011−189337(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0018366(US,A1)
【文献】 特開2006−007161(JP,A)
【文献】 国際公開第00/062945(WO,A1)
【文献】 特開2002−336786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体およびコイルを備えた固定子と、前記筐体内に収容されたマグネットおよび錘部を有する可動子と、前記筐体と前記可動子との間に設けられた付勢部材と、を有し、前記コイルと前記マグネットの協働により、前記可動子が前記固定子に対して振動方向にリニアに振動する振動アクチュエータであって、
前記筐体は、前記可動子に対する内周面に前記可動子側に突出した第1の凸部または第1の凹部を有し、
前記可動子は、その外周面に、前記筐体の前記第1の凸部に遊嵌する第2の凹部、または、前記筐体の前記第1の凹部に遊嵌する第2の凸部と、を有し、
前記第1の凸部と前記第2の凹部の凹凸遊嵌構造、または前記第1の凹部と前記第2の凸部の凹凸遊嵌構造により、前記可動子が、該可動子の振動方向と直交する面内で規定角度以上回転することを規制されていることを特徴とする
振動アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の凸部または前記第2の凸部は、前記第1の凹部または前記第2の凹部に向かって、前記可動子の外周面と前記筐体の内周面との間の距離の2倍以上の大きさとなる突出した形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項3】
前記筐体から径方向に突出する給電端子を備え、
前記第1の凹部は、前記筐体の内周面のうち前記給電端子側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の振動アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の振動アクチュエータを有する携帯情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動アクチュエータ、および携帯情報端末に関するものであり、例えば、携帯電話などの携帯情報端末の着信などを利用者に知らせるための振動発生源、タッチパネルの操作感触、ゲームコントローラなどの遊技機の臨場感を指や手などに伝えるための振動発生源などとして利用される小型の振動アクチュエータ、その振動アクチュエータを有する携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動発生装置(振動アクチュエータ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の振動発生装置は、環状永久磁石を持つ機械振動子が懸架バネ手段を介して固定部に支持され、固定部に支持されて環状永久磁石の中央孔を貫通した磁性芯体と、磁性芯体の外周面に嵌って中央孔の内周面に面したコイルとを有し、コイルに交流電流を入力した場合、電磁気力により機械振動子が振動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−189337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の振動発生装置では、例えば、外部から衝撃力が可動子の周方向(回転方向)に加わり、可動子が規定角度以上回転した場合、可動子に固定されている付勢部材(懸架バネ手段)が破損、不要な変形などの不具合が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。外部から衝撃力が加わった場合であっても、マグネットと錘部を有する可動子の規定角度以上の回転を防止可能な、簡単な構造の振動アクチュエータを提供すること、その振動アクチュエータを有する携帯情報端末を提供すること、などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明による振動アクチュエータは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
筐体およびコイルを備えた固定子と、前記筐体内に収容されたマグネットおよび錘部を有する可動子と、前記筐体と前記可動子との間に設けられた付勢部材と、を有し、前記コイルと前記マグネットの協働により、前記可動子が前記固定子に対して振動方向にリニアに振動する振動アクチュエータであって、前記筐体は、前記可動子に対する内周面に前記可動子側に突出した第1の凸部または第1の凹部を有し、前記可動子は、その外周面に、前記筐体の前記第1の凸部に遊嵌する第2の凹部、または、前記筐体の前記第1の凹部に遊嵌する第2の凸部と、を有し、前記第1の凸部と前記第2の凹部の凹凸遊嵌構造、または前記第1の凹部と前記第2の凸部の凹凸遊嵌構造により、前記可動子が、該可動子の振動方向と直交する面内で規定角度以上回転することを規制されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の携帯情報端末は、上記本発明の振動アクチュエータを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部から衝撃力が加わった場合であっても、マグネットと錘部を有する可動子の規定角度以上の回転を防止可能な振動アクチュエータを提供することができる。
また、本発明によれば、その振動アクチュエータを有する携帯情報端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る振動アクチュエータの斜視図。
図2図1に示した振動アクチュエータの分解斜視図。
図3図1に示した振動アクチュエータのA−A線に沿った断面図。
図4図1に示した振動アクチュエータの透過上面図。
図5図1に示した振動アクチュエータの上ケースの斜視図。
図6図1に示した振動アクチュエータの錘部の斜視図。
図7】本発明の第2実施形態に係る振動アクチュエータの斜視図。
図8図7に示した振動アクチュエータの分解斜視図。
図9図7に示した振動アクチュエータのB−B線に沿った断面図。
図10図7に示した振動アクチュエータの透過上面図。
図11図7に示した振動アクチュエータの上ケースの斜視図。
図12図7に示した振動アクチュエータの錘部の斜視図。
図13】振動アクチュエータを有する携帯情報端末の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る振動アクチュエータは、筐体およびコイルを備えた固定子と、筐体内に収容されたマグネットおよび錘部を有する可動子と、筐体と可動子との間に設けられた付勢部材と、を有し、コイルとマグネットの協働により、可動子が固定子に対して振動方向にリニアに振動する。筐体は、可動子に対する内周面に可動子側に突出した第1の凸部または第1の凹部を有する。可動子は、その外周面に、筐体の第1の凸部に遊嵌する第2の凹部、または、筐体の第1の凹部に遊嵌する第2の凸部と、を有する。振動アクチュエータは、凹凸遊嵌構造により、可動子が、該可動子の振動方向と直交する面内で規定角度以上回転することを規制するように構成されている。
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。なお、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る振動アクチュエータ1の斜視図である。図2は振動アクチュエータ1の分解斜視図である。図3図1に示した振動アクチュエータ1のA−A線に沿った断面図である。図4は振動アクチュエータ1の透過上面図である。図5は振動アクチュエータ1の上ケース部11(2)の斜視図である。図6は振動アクチュエータ1の錘部15の斜視図である。
【0013】
本発明の第1実施形態に係る小型のリニア型振動アクチュエータ1は、例えば、携帯通信機器(携帯電話やスマートフォンなど)の通信機器に内蔵されて、呼び出し機能の振動発生源などとして利用される。本実施形態では、振動アクチュエータ1は直径約10mm、厚さ約3mmのコイン型に形成されている。
【0014】
本実施形態に係る振動アクチュエータ1は、筐体としてのケース2と、コイル24と、マグネット13と、錘部15(分銅)と、付勢部材としての板バネ17と、などを有する。マグネット13および錘部15を有する可動子は、固定子としての筐体(ケース2)に対して振動方向に振動自在に構成されている。
以下、振動アクチュエータ1の各構成要素について詳細に説明する。
【0015】
振動アクチュエータ1の筐体としてのケース2は、非磁性材料(ステンレスなど)で形成された略断面U字形状の上ケース部11(2)と、上ケース部11の開放側を閉鎖可能な非磁性材料(ステンレスなど)で略円板形状に形成された下ケース部12(2)と、を有する。下ケース部12は、上ケース部11の円形の開放端に嵌合するように構成されている。上ケース部11と下ケース部12は溶接により固定されてもよい。上ケース部11には1つまたは複数の通気用孔11mが設けられている。
【0016】
ケース2の内側には、マグネット13が収容されている。マグネット13は環状(リング状)に形成されている。マグネット13は、ケース2に立設されたシャフト20(支柱)の軸線L方向においてN極とS極を形成するように着磁されている。マグネット13の上面には平面部13aが形成され、マグネット13の下面には平面部13bが形成されている。マグネット13の外周面13cには、環状(リング状)の錘部15(分銅)の内周面15bが接着剤などにより固着されている。
錘部15(分銅)は、タングステンなどの所定の材料により形成されている。可動子はこの錘部15とマグネット13を有する。錘部15の上面側には環状の緩衝部材32が設けられている。
【0017】
付勢部材としての板バネ17は、小径の環状をなす上側着座部17aと、大径の環状をなす下側着座部17bと、上側着座部17aと下側着座部17bとの間を連結する円弧状の弾性片17cと、を有する。上側着座部17aがマグネット13の下側の平面部13bに溶接などにより固定され、下側着座部17bは下ケース部12の内壁面に溶接などにより固定されている。下ケース部12の内壁面上であって、板バネ17の下側着座部17bの径方向内側に、緩衝部材31が設けられている。
【0018】
下ケース部12は、上ケース部11の開放端に合致する形状をなす略円板形状の本体部12aと、本体部12aから径方向に突出する舌片12dと、を有している。下ケース部12の内壁面には、基板としてのフレキシブル回路基板19が固定されている。フレキシブル回路基板19は、下ケース部12の内壁面に載置される略円弧状の本体部19aと、下ケース部12の舌片12d上に載置される延長部19bと、を有する。延長部19bには給電端子19cが設けられ、給電端子19cを外部に露出するように構成されている。
【0019】
下ケース部12の本体部12aの中央には、シャフト20を立設するための孔12cが設けられている。磁性体などで形成されたシャフト20は、樹脂製のボビン21を支持している。
【0020】
ボビン21は、シャフト20を挿入させるための中央孔21aと、軸線L方向において両端に位置するフランジ部21b,21cと、フランジ部21b,21cの間に位置するフランジ状の仕切部21dと、を有する。
フランジ部21bと仕切部21dと支柱21eとで第1のボビン部21Aを構成し、フランジ部21cと仕切部21dと支柱21fとで第2のボビン部21Bを構成している。
第1のボビン部21Aと第2のボビン部21Bは、軸線L方向に並設されている。また、支柱21eおよび支柱21fを貫通する中央孔21aに対して、シャフト20は圧入若しくは少ない誤差をもって差し込まれている。
【0021】
コイル24は、第1のボビン部21Aの支柱21eにコイル線が巻回されてなる第1のコイル部22と、第2のボビン部21Bの支柱21fにコイル線が第1のコイル部22と逆方向に巻回されてなる第2のコイル部23とを有し、第1のコイル部22と第2のコイル部23は軸線方向に並置されている。
第1のコイル部22のコイル線と第2のコイル部23のコイル線は直列に接続され、コイル24はフレキシブル回路基板19に電気的に接続されている。
【0022】
リング状のマグネット13は、シャフト20によって支持されたコイル24を軸線Lを中心として囲むように配置され、板バネ17によってケース2内で保持されている。板バネ17は圧縮バネであり、シャフト20の軸線L方向にマグネット13および錘部15(分銅)を付勢している。電源オフ時、マグネット13は、マグネット13の内周面13dとボビン21の仕切部21dとが対向するように、第1のコイル部22と第2のコイル部23を跨いで配置されている。
【0023】
振動アクチュエータ1においては、マグネット13とシャフト20とで磁気回路を構成し、ボビン21に巻かれたコイル24は、磁気回路の一部分をなすシャフト20で支持され、シャフト20を中心にしてその周囲を巻回するように配置されているので、シャフト20の有効活用を図って、コイル24の位置決めが可能となる。
すなわち、ケース2内で立設させたシャフト20を基準としたコイル24の位置決めを可能にし、これによって、ケース2内におけるボビン21の組み付けが容易になる。
【0024】
錘部15(分銅)の外周面15cとケース2の上ケース部11の周壁11bとの間の隙間P1は、マグネット13の内周面13dとコイル24の外周面24aとの間の隙間P2より小さい。
このような構成を採用すると、落下衝撃時、錘部15(分銅)の外周面15cと、ケース2の周壁11bとが衝突することはあっても、コイル24の外周面24aとマグネット13の内周面13dとが衝突することがないので、落下衝撃によりコイル24が断線し難くなる。
【0025】
ボビン21のフランジ状の仕切部21dは、第1のコイル部22の外周面22aと、第2のコイル部23の外周面23aから突出するように構成されている。このような構成は、第1のコイル部22と第2のコイル部23とを仕切るための仕切部21dの有効利用を図っている。もし、落下衝突時に仕切部21dの端部がマグネット13の内周面13dと衝突する場合であっても、コイル24とマグネット13とが衝突する事態が起こらず、落下衝撃によりコイル24が断線し難くなる。この仕切部21dは、ボビン21に異なる巻き方向のコイル線を巻き易くしている。
【0026】
本実施形態では、シャフト20の一方の端部は下ケース部12の孔12cに圧入され、他方の端部は上ケース部11に当接し、シャフト20がケース2の中央に立設するように構成されている。
【0027】
また、本発明の実施形態に係る振動アクチュエータ1において、筐体としての上ケース部11(2)は、可動子(錘部15など)に対する内周面に、可動子側に突出した凸部11g(2g)を有する。本実施形態では、可動子としての錘部15は、その外周面に、上ケース部11(2)の凸部11g(2g)に遊嵌する凹部15gを有する。上ケース部11(2)の凸部11g(2g)は、例えば、絞り加工処理、プレス加工処理などにより形成される。尚、上ケース部11(2)の内周面に設けられた凸部11g(2g)は別部材により構成されていてもよい。
上述した凹凸遊嵌構造により、可動子である錘部15およびマグネット13が、その可動子の振動方向と直交する面内で規定角度θa以上回転することを規制するように構成されている。詳細には、凹凸遊嵌構造により、可動子である錘部15およびマグネット13が、その可動子の振動方向と平行な軸線Lを中心にして規定角度θa以上回転することを規制するように構成されている。本実施形態では、上ケース部11(2)の凸部11g(2g)は軸線L方向に沿って延在するように形成されている。本実施形態では、規定角度θaは10°程度に設定されている。
【0028】
本発明の第1実施形態に係る振動アクチュエータ1において、上記付勢部材としての板バネ17は、錘部15とマグネット13を有する可動子に固定されている。通常動作時、コイル24に交流電流を入力した場合、電磁気力により可動子が軸線L方向に沿って振動するとともに、僅かに周方向に回転しながら(ねじれながら)振動する。このため、通常動作時、可動子が振動する場合であっても、上ケース部11(2)に形成された凸部11g(2)に接触しないように、錘部15の外周部に形成された凹部15gの幅が規定されている。詳細には、凸部11g(2g)と凹部15gとの間の周方向に沿った距離Laは、通常動作時に、凸部11g(2g)と凹部15gとが接触しないように構成されている。また、可動子とケースとの組立誤差がある場合であっても、通常動作時、上ケース部11(2)に規制された凸部11g(2)に接触しないように凹部15gが形成されていることが好ましい。
【0029】
また、上ケース部11(2)の凸部11g(2g)の突出の高さは、可動子が回転方向に最大に寄った場合であっても、可動子の外周が凸部11g(2g)に乗り上がらない大きさとすることが好ましい。詳細には、凸部11g(2g)は、周壁11bから径方向内側へ向かって、隙間P1の距離の2倍以上の大きさLT11となる突出した形状に形成されている。
【0030】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態に係る振動アクチュエータ1は、筐体であるケース2及びコイル24を有する固定子と、筐体であるケース2内に収容されたマグネット13および錘部15(分銅)を有する可動子と、筐体と可動子との間に設けられた付勢部材(板バネ17)とを有し、コイル24とマグネット13の協働により、可動子が固定子に対して振動方向にリニアに振動する。筐体であるケース2は可動子に対する内周面に可動子側に突出した凸部11g(2g)を有し、可動子はその外周面に凸部11g(2g)に遊嵌する凹部15gを有する。凹凸遊嵌構造により、可動子が振動方向と直交する面内で規定角度θa以上回転することを規制するように構成されている。詳細には、凹凸遊嵌構造により、可動子が振動方向と平行な軸線を中心にして規定角度以上回転することを規制するように構成されている。
このため、外部から衝撃力が加わり可動子が軸線Lと中心として回転した場合であっても、簡単な構造で、マグネット13と錘部15を有する可動子の規定角度θa以上の回転を防止可能な振動アクチュエータ1を提供することができる。すなわち、付勢部材としての板バネ17の破損や不要な変形を防止することができる。
【0031】
<第2実施形態>
図7は本発明の第2実施形態に係る振動アクチュエータ100の斜視図である。図8は振動アクチュエータ100の分解斜視図である。図9図7に示した振動アクチュエータのB−B線に沿った断面図である。図10は振動アクチュエータ100の透過上面図である。図11は振動アクチュエータ100の上ケース部11(2)の斜視図である。図12は振動アクチュエータ100の錘部15の斜視図である。
【0032】
本発明の第2実施形態に係る振動アクチュエータ100が、第1実施形態に係る振動アクチュエータ1と異なる点は、可動部としての錘部15の外周側面に凸部15hが設けられ、上ケース部11(2)の内周面に凹部11h(2h)が形成されていることである。
詳細には、筐体としての上ケース部11(2)は、可動子としての錘部15(分銅)に対する内周面に、凹部11h(2h)が形成されている。可動子としての錘部15(分銅)の外周面には、筐体としての上ケース部11(2)の凹部11h(2h)に遊嵌する凸部15hが設けられている。上ケース部11(2)の凹部11h(2h)は、例えば、絞り加工処理、プレス加工処理などにより形成される。尚、錘部15の外周面に設けられた凸部15hは別部材により構成されていてもよい。そして、凹凸遊嵌構造により、可動子がその振動方向に直交する面内で規定角度θa以上回転することを規制するように構成されている。詳細には、凹凸遊嵌構造により、可動子が、その可動子の振動方向と平行な軸線Lを中心にして規定角度θa以上回転することを規制するように構成されている。
【0033】
また、凸部15hは、錘部15の外周面から径方向外側に向かって、隙間P1の距離の2倍以上の大きさLT15となる突出した形状に形成されている。このため、可動子が回転方向に最大に寄った場合であっても、凸部15hが凹部11h(2h)を超えて移動することを防止することができる。
【0034】
上述したように、上ケース部11(2)の内周面に凹部11h(2h)を設け、可動子としての錘部15(分銅)の外周面に凸部15hを設け、凹凸遊嵌構造により、可動子がその可動子の振動方向と平行な軸線Lを中心にして規定角度θa以上回転することを規制するように構成されているので、外部から衝撃力が加わり可動子が軸線Lと中心として回転した場合であっても、簡単な構造で、可動子の規定角度θa以上の回転を防止可能な振動アクチュエータ100を提供することができる。すなわち、付勢部材としての板バネ17の破損や不要な変形を防止することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る振動アクチュエータ100は筐体から径方向に突出する給電端子19cを有し、筐体である上ケース部11(2)の内周面に形成された凹部11h(2h)は、筐体である上ケース部11(2)の内周面のうち給電端子側に設けられている。このため、比較的小型の振動アクチュエータ100を提供することができる。
【0036】
図13は振動アクチュエータ1(100)を有する携帯情報端末500の一例を示す図である。
本発明の実施形態では、携帯情報端末500は、上記小型の振動アクチュエータ1(100)を有する。このため、小型の携帯情報端末500を提供することが可能である。また、携帯情報端末500に外部から衝撃力が加わり、振動アクチュエータ1(100)の可動子が軸線Lと中心として回転した場合であっても、簡単な構造で、付勢部材としての板バネ17の破損や不要な変形を防止することができる。
【0037】
以上、説明したように、本発明の振動アクチュエータ1(100)は、筐体としての上ケース部11(2)が、可動子に対する内周面に可動子側に突出した凸部11g(2g)または凹部11h(2h)を有し、可動子が、その外周面に、筐体の凸部11g(2g)に遊嵌する凹部15g、または、筐体の凹部11h(2h)に遊嵌する凸部15hと、を有する。
【0038】
詳細には、振動アクチュエータ1(100)は、筐体(ケース2)内に設けられた支柱としてのシャフト20にコイル24が設けられ、その外周側に可動子としての環状のマグネット13および環状の錘部15(分銅)が配置され、上記付勢部材としての板バネ17が可動子およびケース2に溶接や接着剤などにより固定され、可動子が振動方向(シャフト20の軸線L方向に振動自在に設けられている。
振動アクチュエータ1(100)は、凹凸遊嵌構造により、可動子がその可動子の振動方向と直交する面内で規定角度θa以上回転するように構成されている。詳細には、凹凸遊嵌構造により、可動子がその可動子の振動方向と平行な軸線Lを中心にして規定角度θa以上回転することを規制するように構成されているので、付勢部材の一例としての板バネ17の破損や不要な変形を防止することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0040】
尚、上記実施形態の振動アクチュエータでは、筐体(ケース2)の内周面に形成された1つの凸部11g(2g)と可動子の外周面に形成された1つの凹部15g、または、筐体(ケース2)の内周面に形成された1つの凹部11h(2h)と可動子の外周面に形成された1つの凸部15hとを備える構成であったが、この形態に限られるものではない。
例えば、筐体(ケース2)の内周面に1つまたは複数の凸部を形成し、可動子の外周面に1つまたは複数の凸部を設けた構造であってもよい。可動子がその可動子の振動方向と平行な軸線Lを中心にして規定角度θa以上回転することを規制するように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0041】
1,100…振動アクチュエータ、2…ケース(筐体)、11…上ケース部、11g(2g)…凸部(第1の凸部)、11h(2h)…凹部(第1の凹部)、12…下ケース部、13…マグネット、15…錘部、15g…凹部(第2の凹部)、15h…凸部(第2の凸部)、17…板バネ(付勢部材)、19…フレキシブル回路基板(基板)、20…シャフト(支柱)、21…ボビン、24…コイル、500…携帯情報端末。
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