(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
離型フィルム及びこの離型フィルムの表面の少なくとも一部の領域に積層される伝導性接着層を備え、この伝導性接着層が、対向するプリント配線板及び金属板を接着すると共に、このプリント配線板のうち導電パターンが対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に電気伝導性又は熱伝導性を発現させる接着シートであって、
上記伝導性接着層が、少なくとも厚さ方向に電気伝導性又は熱伝導性を有する1又は複数のバンプと、この1又は複数のバンプの周囲に充填される接着剤層とを有し、
上記1又は複数のバンプが上記プリント配線板の伝導領域との接着予定領域のみに存在
し、
上記バンプの中央縦断面形状が台形状である接着シート。
離型フィルム及びこの離型フィルムの表面の少なくとも一部の領域に積層される伝導性接着層を備え、この伝導性接着層が、対向するプリント配線板及び金属板を接着すると共に、このプリント配線板の導電パターンのうち対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に電気伝導性又は熱伝導性を発現させる接着シートの製造方法であって、
電気伝導性又は熱伝導性を有する伝導性スラリーを印刷により上記離型フィルムの表面のうち上記プリント配線板の伝導領域との接着予定領域内のみに積層する工程と、
積層した上記伝導性スラリーを硬化し、1又は複数のバンプを形成する工程と、
接着剤の充填により、上記1又は複数のバンプの周囲かつ上記離型フィルムの表面のうちの一部の領域に接着剤層を形成する工程と
を有する接着シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
本発明は、離型フィルム及びこの離型フィルムの表面の少なくとも一部の領域に積層される伝導性接着層を備え、この伝導性接着層が、対向するプリント配線板及び金属板を接着すると共に、このプリント配線板のうち導電パターンが対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に電気伝導性又は熱伝導性を発現させる接着シートであって、上記伝導性接着層が、少なくとも厚さ方向に電気伝導性又は熱伝導性を有する1又は複数のバンプと、この1又は複数のバンプの周囲に充填される接着剤層とを有し、上記1又は複数のバンプが上記プリント配線板の伝導領域との接着予定領域のみに存在する接着シートである。
【0015】
当該接着シートは、このようにプリント配線板の伝導領域との接着予定領域のみに1又は複数の電気又は熱を伝導するバンプを配置することによって、接着予定領域における電気伝導性又は熱伝導性を向上できると共に、接着予定領域以外の領域において接着剤層の接着力を高められるので比較的大きな機械的接着強度が得られる。従って、機械的接着強度の向上及び電気伝導性又は熱伝導性の向上を両立できる。
【0016】
また、当該接着シートが接着するプリント配線板は、伝導領域以外の領域にカバーレイ等の絶縁層が積層されている。従って、伝導領域との接着予定領域以外にもバンプを有する接着シートによれば、伝導領域以外のバンプをカバーレイ等の表面で圧縮し、伝導領域のバンプの伝導性を確保する必要がある。一方、本発明の接着シートは伝導領域との接着予定領域以外にバンプを有しないので、バンプを圧縮する必要がなく、伝導領域との接着予定領域のバンプを容易かつ確実に接続することができる。
【0017】
上記伝導領域毎に1個のバンプが配設されているとよい。このように各伝導領域に対して1個のバンプを接続するよう構成することによって、接着剤層の接着力が各伝導領域において1個のバンプに集中して圧接力を作用させるので、バンプの接触による電気的又は熱的な接続をより確実に確保できる。
【0018】
上記伝導性接着層における上記バンプの総面積率としては0.01%以上2%以下が好ましい。このようにバンプの総面積率を上記範囲とすることにより、良好な接着強度と良好な電気伝導性又は熱伝導性とが得られる。
【0019】
上記伝導領域で露出する導電パターンがグランド配線であり、上記バンプが電気伝導性粒子とそのバインダーとを含有するとよく、この電気伝導性粒子の含有量としては40体積%以上70体積%以下が好ましい。このように、金属板をグランドパターンに接続して接地することにより、金属板が電磁ノイズを遮断できる。また、バンプが上記含有量の電気伝導性粒子とバインダーとを含有することにより、バンプのより良好な電気伝導性及び機械的強度が得られる。
【0020】
上記バンプが、熱伝導性粒子とそのバインダーとを含有するとよく、この熱伝導性粒子の含有量としては30体積%以上90体積%以下が好ましい。このように、バンプが上記含有量の熱伝導性粒子とバインダーとを含有することにより、バンプのより良好な熱伝導性及び機械的強度が得られる。
【0021】
上記バンプの中央縦断面形状が台形状であるとよい。このようにバンプの中央縦断面形状が台形状であることによって、台形の傾斜した側辺を接着剤が被覆するため、伝導性接着層からのバンプの脱落を防止できる。また、当該接着シートを被接着部材に圧着するとき、バンプの幅が小さい側(台形の頂辺側)の圧力が高くなるため、密着性が低い被接着部材にバンプの幅が小さい側の面を貼り付けることで、電気又は熱の伝達の信頼性を高められる。
【0022】
上記離型フィルムにおける伝導性接着剤が積層されていない領域に位置決めのためのマーキングを有するとよい。このようにマーキングを有することにより、接着予定領域をプリント配線板の伝導領域に対向するよう正確に位置決めできる。
【0023】
また、本願発明は、離型フィルム及びこの離型フィルムの表面の少なくとも一部の領域に積層される伝導性接着層を備え、この伝導性接着層が、対向するプリント配線板及び金属板を接着すると共に、このプリント配線板の導電パターンのうち対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に電気伝導性又は熱伝導性を発現させる接着シートの製造方法であって、電気伝導性又は熱伝導性を有する伝導性スラリーを印刷により上記離型フィルムの表面のうち上記プリント配線板の伝導領域との接着予定領域内のみに積層する工程と、積層した上記伝導性スラリーを硬化し、1又は複数のバンプを形成する工程と、接着剤の充填により、上記1又は複数のバンプの周囲かつ上記離型フィルムの表面のうちの一部の領域に接着剤層を形成する工程とを有する接着シートの製造方法を含む。
【0024】
このように、印刷により電気伝導性又は熱伝導性を有する伝導性スラリーを積層し、積層した伝導性スラリーを硬化してバンプを形成した後に接着剤を充填することによって、機械的接着強度及び電気伝導性又は熱伝導性に優れた接着シートを容易かつ確実に得られる。
【0025】
ここで、「金属板」とは、フレキシブルプリント配線板に積層される板状の金属体を意味し、フレキシブルプリント配線板を補強するための補強板やフレキシブルプリント配線板の放熱性を高めるためのヒートシンクを含む概念である。「バンプ」とは、隆起又は突起を形成するものをいう。「バンプの総面積率」とは、伝導性接着層を厚さ方向の略中央で切断した面におけるバンプの表出面積の総和の比率をいう。「台形状」とは、底辺とこの底辺に対向する頂辺を有し、底辺から頂辺に向かって幅が小さくなる形状を意味し、頂辺又は側辺が曲線であるものも含む概念である。「バンプの中央縦断面形状」とは、バンプの重心を通り、伝導性接着層に垂直な面での断面形状を意味する。「マーキング」とは、位置決めに用いられるものであって、離型フィルム自体の形状によるもの及び離型フィルムの表面に積層した印刷や他の部材等によるものを含む。また、「スラリー」とは、固形分が流体に混合され、印刷可能な流動性を有するものをいい、接着剤、ペースト、インキ、塗料等を含む。
【0026】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0027】
[第一実施形態]
図1及び
図2の接着シート1は、離型フィルム2と、この離型フィルム2の表面の中央の領域に積層される伝導性接着層3とを備える。当該接着シート1は、伝導性接着層3により、対向するプリント配線板及び金属板を接着すると共に、このプリント配線板のうち導電パターンが対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に電気伝導性を発現させる。
【0028】
<離型フィルム>
離型フィルム2は、伝導性接着層3が積層されていない両端の領域に、位置決めのためのマーキングとして、位置決め穴4を有する。
【0029】
離型フィルム2を構成する材料としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シート、金属箔、これらのラミネート体等からなる適当なフィルム状体を用いることができる。また、離型フィルム2の表面には、剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を施すことが好ましい。離型フィルム2の剥離性は、剥離処理に用いる薬剤の種類又はその塗工量等を調節することにより制御することができる。
【0030】
<伝導性接着層>
伝導性接着層3は、表面側及び裏面側に対向するフレキシブルプリント配線板及び金属板を互いに接着すると共に、このフレキシブルプリント配線板のうち導電パターンが対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に電気伝導性を発現させる目的で形成された層である。
【0031】
この目的ために、伝導性接着層3は、少なくとも厚さ方向に電気伝導性を有する複数のバンプ5と、このバンプ5の周囲に充填される接着剤層6とを有している。これにより、伝導性接着層3は、上記バンプ5によって少なくとも表面と垂直な方向(厚さ方向)に電気エネルギーを伝導可能であると共に、上記接着剤層6によって接着性を有する。
【0032】
〔バンプ〕
バンプ5は、電気伝導性粒子とそのバインダーとを含有する。このバンプ5は、伝導性接着層3において、
図1に一点鎖線で示したフレキシブルプリント配線板の伝導領域との接着予定領域7のみに存在するよう配設されている。
【0033】
バンプ5の平面視形状は特に限定されず、円形状の他に、多角形状、十字状、星形状等とすることができる。また、バンプ5の平面視の配設パターンは、接着予定領域7の面積や形状等に合わせて適宜設計することができ、例えば
図3Aに示す複数の線状のバンプ5が並置されたストライプ状、
図3Bに示す複数の線状のバンプ5が交差した格子状、
図3Cに示す複数の円環にした線状のバンプ5からなる同心円状、
図3Dに示す散点状のバンプ5を格子状に配置したもの、図示しないが散点状のバンプ5を千鳥状に配置したもの等とすることができ、またこれらを組み合わせてもよい。上記各形状は、平面視で接着予定領域7内にバンプ5が形成されない領域を有する。
【0034】
伝導性接着層3におけるバンプ5の総面積率は特に限定されるものではないが、伝導性接着層3の面積に対するバンプ5の総面積率の下限としては、0.01%が好ましく、0.05%がより好ましい。一方、伝導性接着層3の面積に対するバンプ5の総面積率の上限としては、2%が好ましく、1.5%がより好ましい。伝導性接着層3の面積に対するバンプ5の総面積率が上記下限未満の場合、伝導性接着層3の電気伝導性が不十分となるおそれがある。伝導性接着層3の面積に対するバンプ5の総面積率が上記上限を超える場合、接着剤層6の割合が少なくなって伝導性接着層3の機械的接着強度が低下するおそれがある。なお、伝導性接着層3の面積に対するバンプ5の総面積率とは、伝導性接着層3を厚さ方向の略中央で切断した面におけるバンプ5の表出面積の総和を伝導性接着層3の平面視面積(バンプ5を含む)で除した数値である。
【0035】
また、接着予定領域7におけるバンプ5の総面積率は特に限定されるものではないが、接着予定領域7の面積に対するバンプ5の総面積率の下限としては、0.1%が好ましく、1%がより好ましい。一方、接着予定領域7の面積に対するバンプ5の総面積率の上限としては、80%が好ましく、60%がより好ましい。接着予定領域7の面積に対するバンプ5の総面積率が上記下限未満の場合、伝導性接着層3の電気伝導性が不十分となるおそれがある。接着予定領域7の面積に対するバンプ5の総面積率が上記上限を超える場合、接着剤層6の割合が少なくなって伝導性接着層3の機械的接着強度が低下するおそれがある。なお、伝導性接着層3の面積に対するバンプ5の総面積率とは、伝導性接着層3を厚さ方向の略中央で切断した面におけるバンプ5の表出面積の総和を伝導性接着層3の平面視面積(バンプ5を含む)で除した数値である。
【0036】
上記複数のバンプ5は、接着剤層6によって平面視周囲を囲繞される状態で配設される。つまり、
図2のように接着予定領域7の周縁においてはバンプ5が存在せずに接着剤層6が存在するよう配設されている。
【0037】
上記バンプ5は、伝導性接着層3に垂直な台形状の中央縦断面形状を有する。具体的には、バンプ5の中央縦断面形状は、離型フィルム2に当接する底辺と、伝導性接着層3の表面に表出する頂辺とを有し、底辺から頂辺に向かって幅が小さくなっている。つまり、頂辺は底辺よりも長さが小さく、頂辺と底辺とを結ぶ側辺は傾斜している。この傾斜した側辺上には接着剤層6が積層される。バンプ5は、この台形状の頂辺がフレキシブルプリント配線板側に位置するように配置されてもよく、また台形状の頂辺が金属板側に位置するように配置されてもよい。バンプ5の台形状の頂辺側の当接面積は底辺側の当接面積に対し相対的に小さくなるため、接着圧力を高めたい部材側に頂辺が位置するようにバンプ5を配置することで、この部材との密着性を高めることができる。
【0038】
上記中央縦断面形状において、バンプ5の底辺の平均長さw1に対する頂辺の平均長さw2の比(w2/w1)の上限としては、0.95が好ましく、0.8がより好ましい。底辺の平均長さw1に対する頂辺の平均長さw2の比が上記上限を超える場合、バンプ5の脱落防止効果が十分得られないおそれがある。一方、バンプ5の底辺の平均長さw1に対する頂辺の平均長さw2の比(w2/w1)の下限としては、0.2が好ましく、0.4がより好ましい。底辺の平均長さw1に対する頂辺の平均長さw2の比が上記下限未満の場合、底辺の平均長さw1が大きくなり過ぎバンプ5の周辺に充填される接着剤の充填量が減少して機械的な接着強度が低下するおそれや、頂辺の平均長さw2が小さくなり過ぎ被接着部材間の電気伝導性が低下するおそれがある。
【0039】
上記中央縦断面形状において、バンプ5の底辺の平均長さw1としては、フレキシブルプリント配線板及び金属板の接着面積等に合わせて適宜設計することができ、例えば50μm以上2000μm以下とすることができる。同様に、バンプ5の頂辺の平均長さw2としては、例えば10μm以上1900μm以下とすることができる。また、バンプ5同士の平均間隔(底辺間の距離)dとしては、例えば50μm以上2000μm以下とすることができる。なお、バンプ5の底辺及び頂辺の平均長さとは、各バンプ5の底辺長さが最小となる中央縦断面形状における底辺長及び頂辺長ささの平均値を意味し、バンプ5の平均間隔とは、隣接するバンプ5の最小距離の平均値を意味する。
【0040】
バンプ5の平均高さhの下限としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましい。一方、バンプ5の平均高さhの上限としては、50μmが好ましく、45μmがより好ましい。バンプ5の平均高さhが上記下限未満の場合、バンプ5の形成が困難になるおそれがある。また、例えばフレキシブルプリント配線板に伝導性接着層3を用いて金属板を接着する際に、導電パターンの表面に積層されるカバーレイの厚さよりもバンプ5の平均高さhが小さくなって導電パターンと金属板とを電気的に接続できなくなるおそれがある。バンプ5の平均高さhが上記上限を超える場合、伝導性接着層3の厚さが必要以上に大きくなるおそれがある。
【0041】
(電気伝導性粒子)
上記バンプ5に含有される電気伝導性粒子の材質としては、例えば銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ等を挙げることができ、これらを単体で又は2種以上混合して用いることができる。これらの中でも優れた電気伝導性を示す銀粉末、銀コート銅粉末、ハンダ粉末等が好ましい。
【0042】
バンプ5における電気伝導性粒子の含有率の下限としては、20体積%が好ましく、30体積%がより好ましい。一方、バンプ5における伝導性粒子の含有率の上限としては、70体積%が好ましく、60体積%がより好ましい。電気伝導性粒子の含有率が上記下限未満の場合、フレキシブルプリント配線板と金属板との間における電気伝導性が不十分となるおそれがある。バンプ5における電気伝導性粒子の含有率が上記上限を超える場合、バインダーが少なくなるので、バンプ5の形成が困難になるおそれや、使用時にバンプ5が破断して電気伝導性を損なうおそれがある。
【0043】
(バインダー)
上記バインダーとしては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でもバンプ5の耐熱性を向上できる熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0044】
上記バインダーとして用いるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、F型、S型、AD型、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合型、ナフタレン型、ノボラック型、ビフェニル型、ジシクロペンタジエン型等のエポキシ樹脂や、高分子エポキシ樹脂であるフェノキシ樹脂を挙げることができる。
【0045】
また、上記バインダーは溶剤に溶解して使用することができる。この溶剤としては、例えばエステル系、エーテル系、ケトン系、エーテルエステル系、アルコール系、炭化水素系、アミン系等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を用いることができる。なお、後述するようにバンプ5が電気伝導性を有する伝導性スラリーの印刷によって形成される場合、印刷性に優れた高沸点溶剤を用いることが好ましく、具体的にはカルビトールアセテートやブチルカルビトールアセテート等を用いることが好ましい。
【0046】
〔接着剤層〕
上記接着剤層6を形成する接着剤としては、接着性を有するものであれば特に限定されず、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を挙げることができ、耐熱性の観点から熱硬化性樹脂が好ましく、フレキシブルプリント配線板との接着性の観点からはエポキシ樹脂又はアクリル樹脂が特に好ましく、上記バンプ5を形成する伝導性スラリーと同種の接着剤を用いることがさらに好ましい。
【0047】
接着剤層6には、上述した溶剤、硬化剤、助剤等を適宜添加することができる。また、接着剤層6には、伝導性接着層3の電気伝導性向上のために電気伝導性粒子を添加することができる。
【0048】
接着剤層6への電気伝導性粒子の添加量の上限としては、20体積%が好ましく、10体積%がより好ましく、5体積%がさらに好ましい。接着剤層6の伝導性粒子の添加量が上記上限を超える場合、接着剤層6内の不純物の増加によって接着剤層6の接着性が低下するおそれがある。
【0049】
接着剤層6の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、15μmがより好ましい。一方、接着剤層6の平均厚さの上限としては、40μmが好ましく、35μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。接着剤層6の平均厚さが上記下限未満の場合、伝導性接着層3が十分な機械的接着強度や電気的接続性を発揮できないおそれがある。接着剤層6の平均厚さが上記上限を超える場合、伝導性接着層3を用いてフレキシブルプリント配線板と金属板とを接着して構成される電子部品の厚さが必要以上に大きくなるおそれがある。なお、接着剤層6の平均厚さとは、厚さ方向にバンプ5が存在しない領域における接着剤層6の平均厚さを意味する。また、バンプ5の平均高さhは、接着剤層6の平均厚さよりも大きくてもよい。バンプ5の平均高さhを伝導性接着層3の平均厚さよりも大きくしてバンプ5を接着剤層6の表面から突出させることで、伝導性接着層3の電気伝導性を向上できる。ただし、バンプ5の突出長さが大き過ぎると、接着剤層6とフレキシブルプリント配線板及び金属板との接着面積が低下して機械的接着強度が低下するおそれがあるため、バンプ5の突出長さ(バンプ5の平均高さhから接着剤層6の平均厚さを引いたもの)の上限としては、20μmが好ましく、10μmがより好ましい。
【0050】
<接着シートの使用方法>
当該接着シート1は、次の手順で使用することができる。まず、表面(離型フィルム2と反対側の面)を導電パターンが露出する伝導領域を有するフレキシブルプリント配線板に貼り付ける。このとき、例えばフレキシブルプリント配線板に予め当該接着シート1の位置決め穴4に対応する位置に同じ形状の位置決め穴を形成しておき、フレキシブルプリント配線板の位置決め穴及び対応する当該接着シート1の位置決め穴4が当該接着シート1の厚さ方向に並ぶ状態をレーザー光等の光学的手段により検出することにより、フレキシブルプリント配線板の伝導領域と当該接着シート1の接着予定領域とを正確に重ね合わすことができる。また、プリント配線板の位置決め穴及び対応する当該接着シート1の位置決め穴4にピンを挿入することによって、フレキシブルプリント配線板の伝導領域に対して当該接着シート1の接着予定領域を位置合わせしてもよい。次に、離型フィルム2を剥離し、伝導性接着層3の裏面(離型フィルム2が積層されていた面)を金属板に貼り付ける。伝導性接着層3と金属板との位置合わせは、例えばレーザー光等の光学的手段又はピン等の機械的手段を用いて位置決できる位置決め穴を金属板又はその治具に形成することによって行うことができる。また、伝導性接着層3と金属板とを同一形状とすることによって、目視により位置合わせを行ってもよい。
【0051】
また、当該接着シート1の接着予定領域7に対応し、フレキシブルプリント配線板の導電領域で露出する導電パターンは、グランド配線であることが好ましい。このように構成することにより、伝導性接着層3が電気伝導性を発現する場合には、金属板がグランド配線に接続されて接地されるので、シールド効果が得られる。
【0052】
上述のように、当該接着シート1の表面をフレキシブルプリント配線板に貼り付け、バンプ5の中央縦断面形状における台形状の頂辺を伝導領域で露出している導電パターンに当接させると、バンプ5の導電パターンとの当接面積を金属板との当接面積に対して相対的に小さくしてバンプ5の導電パターンに対する接着圧力をより大きくすることができる。その結果、導電パターンに対する当該接着シート1の密着性を高めることができる。また、バンプ5の金属板への当接面積が大きくなることで伝導性接着層3と金属板とのエネルギー伝達面積が増大し電気伝導性をさらに向上できる。
【0053】
なお、当該接着シート1の表面を金属板に貼り付け、バンプ5の中央縦断面形状における台形状の頂辺が金属板に当接するようにしてもよい。当該接着シート1をこのような向きに貼着すれば、バンプ5の金属板との当接面積をフレキシブルプリント配線板の導電パターンとの当接面積に対して相対的に小さくし、伝導性接着層3の金属板に対する接着圧力をより大きくできる。
【0054】
<接着シートの製造方法>
次に、上記接着シート1を製造する方法について
図3を参酌しつつ説明する。当該接着シートの製造方法は以下の工程を有する。
(1)電気伝導性を有する伝導性スラリーを印刷により離型フィルム2の表面のうちプリント配線板の伝導領域との接着予定領域7内ののみに積層する工程
(2)積層した上記伝導性スラリーを硬化し、複数のバンプ5を形成する工程
(3)接着剤の充填により、複数のバンプ5の周囲かつ離型フィルム2の表面のうちの一部の領域に接着剤層6を形成する工程
【0055】
<(1)伝導性スラリー積層工程>
伝導性スラリー積層工程において、
図4Aに示すように離型フィルム2の表面に、電気伝導性粒子とそのバインダーとを含む伝導性スラリーを、印刷により所望の立体形状となるよう積層する。この伝導性スラリーの印刷方法としては特に限定されず、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷等を用いることができる。
【0056】
(伝導性スラリー)
バンプ5を形成する伝導性スラリーは、バンプ5を構成する電気伝導性粒子とバインダーとを含むことにより電気伝導性を有する組成物であって、バインダーが硬化しておらず、印刷技術によってパターンを形成できる適度な流動性を有し、後述する硬化工程において硬化させられるものであればよい。従って、電気伝導性を有する伝導性スラリーとしては、例えば導電性ペースト、導電性インク、導電性塗料、導電性接着剤等の名称で市販されているものを使用してもよい。
【0057】
また、伝導性スラリーには硬化剤を添加することができる。この硬化剤としては、例えばアミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸及び酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、第三アミノ類、イミダゾール類等を挙げることができる。
【0058】
さらに、伝導性スラリーは、上述した成分に加えて、増粘剤、レベリング剤等の助剤を添加することができる。また、伝導性スラリーは、上記各成分を例えば三本ロールや回転攪拌脱泡機等により混合することで得ることができる。
【0059】
<(2)バンプ形成工程>
バンプ形成工程において、離型フィルム2の表面に積層した伝導性スラリーのバインダーの種類に応じた適切な方法により、例えばバインダーが熱硬化性樹脂である場合には加熱により、伝導性スラリーを硬化させてバンプ5を形成する。また、伝導性スラリーが溶剤を含む場合には、このバンプ形成工程において溶剤を蒸発させる。
【0060】
<(3)接着剤充填工程>
接着剤充填工程において、
図4Bに示すように上記複数のバンプ5を形成した離型フィルム2の表面(バンプ5の周囲)に接着剤を充填し、接着剤層6を形成する。この接着剤の充填方法としては、印刷による方法又は塗工による方法を用いることができる。上記印刷方法としては特に限定されず、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷等を用いることができる。また上記塗工方法としては特に限定されず、例えばナイフコート、ダイコート、ロールコート等を用いることができる。
【0061】
<利点>
当該接着シート1は、伝導性接着層3が、フレキシブルプリント配線板の導電パターンが露出する伝導領域に対する接着予定領域7に形成された電気伝導性を有する複数のバンプ5と、これらのバンプ5の周囲に充填される接着剤からなる接着剤層6とを備えるため、伝導性接着層3によりフレキシブルプリント配線板と金属板とを接着すると、伝導性接着層3がフレキシブルプリント配線板の伝導領域で対向面に露出している導電パターンと金属板との間に厚さ方向に電気伝導性を発現する。また、接着剤層6は、電気伝導性が要求されず、接着予定領域7以外にはバンプ5が存在していないので、比較的大きな接着力を発現する。つまり、当該接着シート1は、フレキシブルプリント配線板及び金属板間の機械的接着強度の向上及び電気伝導性の向上を両立できる。
【0062】
また、当該接着シート1は、バンプ5がフレキシブルプリント配線板の導電パターンと金属板とに同時に接触することで確実にこれらを電気的に接続するため、複数の伝導性粒子の接触によって導通を確保する従来の電気伝導性接着剤に比べて、抵抗値のバラツキを抑えることができる。
【0063】
また、従来の電気伝導性を有する粒子を分散した接着剤では、電気伝導に寄与しない(導電パターンと金属板とを電気的に接続しない)電気伝導経路が電気伝導性粒子によって複数構成されるが、当該接着シート1ではこれが防止され、電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0064】
また、当該接着シート1は、接着予定領域7以外の領域にはバンプ5が存在しないので、接着予定領域7以外の領域において伝導性接着層3が比較的大きな接着力を発揮できる。これにより、フレキシブルプリント配線板と金属板との接着強度をより向上できる。
【0065】
また、当該接着シート1は、バンプ5が台形状の中央縦断面形状を有しているため、台形の傾斜した側辺を接着剤層6で被覆し、バンプ5の脱落を防止することができる。
【0066】
さらに、当該接着シート1は、接着予定領域7内に複数のバンプ5を有するため、1個のバンプ5がプリント配線板の導電パターン又は金属板から離間しても、他のバンプ5によりプリント配線板の導電パターンと金属板との電気伝導性を維持できる。
【0067】
[第二実施形態]
図5の接着シート11は、離型フィルム12と、この離型フィルム12に所定パターンで形成された複数の伝導性接着層13とを備える。この接着シート11は、二点鎖線で示す形状Pを有する複数のフレキシブルプリント配線板に対してそれぞれ2つの伝導性接着層13を積層し、離型フィルム12を剥がした伝導性接着層13の裏面に、各伝導性接着層13と略等しい平面形状を有する金属板をそれぞれ積層するために使用される。
【0068】
<離型フィルム>
離型フィルム12は、2つの伝導性接着層13を積層する各フレキシブルプリント配線板との位置決めを行うために、各フレキシブルプリント配線板に対応する領域毎に2つの位置決め穴14を有する。この離型フィルム12の材質としては、
図1の接着シート1における離型フィルム2と同様のものが使用できる。
【0069】
<伝導性接着層>
各伝導性接着層13は、それぞれ1個のバンプ15と、このバンプ15の周囲に充填される接着剤層16とを有している。伝導性接着層13は、それぞれ1つの接着予定領域17を有し、各接着予定領域17にそれぞれ上記バンプ15を有する。個々のバンプ15は、
図1の接着シート1におけるバンプ5と同様であるため、説明を省略する。また、接着剤層16は、バンプ15の配置に対応する平面形状を除いて、
図1の接着シート1における接着剤層6と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
<利点>
当該接着シート11は、各接着予定領域17に1個のバンプ15を有し、このバンプ15に接着剤層16の接着力による圧力が集中するので、バンプ15とフレキシブルプリント配線板の導電パターンとの間の電気伝導を可能にする電気的接続が確実になる。また、バンプ15は当接位置においてフレキシブルプリント配線板と金属板との距離を定めるが、各接着予定領域17にバンプ15が1個だけであることにより、バンプ15の周囲ではフレキシブルプリント配線板の可撓性によりレキシブルプリント配線板と金属板との距離が小さくなる。これによって、接着剤層16がフレキシブルプリント配線板及び金属板に対してより確実に当接するので、より大きい接着力が得られる。
【0071】
また、当該接着シート11は、複数のフレキシブルプリント配線板に対してそれぞれ2つの伝導性接着層13を同時に積層できる。このため、フレキシブルプリント配線板と金属板とを伝導性接着層13により接着して構成される電子部品を効率よく製造できる。
【0072】
[第三実施形態]
図6及び
図7の接着シート21は、離型フィルム2と、この離型フィルム2の表面の中央の領域に積層される伝導性接着層23とを備える。当該接着シート1は、伝導性接着層3により、対向するプリント配線板及び金属板を接着すると共に、このプリント配線板のうち導電パターンが対向面に露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に熱伝導性を発現させる。
図6及び
図7の接着シート21において、離型フィルム2は、
図1及び
図2の接着シート1の離型フィルム2と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
<伝導性接着層>
伝導性接着層23は、表面側及び裏面側に対向するフレキシブルプリント配線板及び金属板を互いに接着すると共に、このフレキシブルプリント配線板のうち導電パターンが露出する伝導領域及び金属板間に少なくとも厚さ方向に熱伝導性を発現させる目的で形成された層である。
【0074】
この目的ために、伝導性接着層23は、少なくとも厚さ方向に熱伝導性を有する複数のバンプ25と、このバンプ25の周囲に充填される接着剤層6とを有している。これにより、伝導性接着層23は、上記バンプ25によって少なくとも表面と垂直な方向(厚さ方向)に熱エネルギーを伝導可能であると共に、上記接着剤層6によって接着性を有する。この伝導性接着層23において、接着剤層6は
図1及び
図2の接着シート1の伝導性接着層23における接着剤層6と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
〔バンプ〕
バンプ25は、熱伝導性粒子とそのバインダーとを含有する。このバンプ25は、
図1及び
図2の接着シート1の伝導性接着層23におけるバンプ5とその熱伝導性粒子を除いては同様であるため、その形状や配置、バインダーの材質等の重複する説明を省略する。
【0076】
(熱伝導性粒子)
上記バンプ25に含有される熱伝導性粒子の材質としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、窒化ホウ素(BN)、酸化ベリリウム(BeO)等が挙げられる。これらの中で、熱伝導性の観点から、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素が好ましい。なお、上記熱伝導性粒子は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
上記熱伝導性粒子の平均粒径の下限としては、接着シート21の厚さにもよるが、2μmが好ましく、3μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。一方、熱伝導性粒子の平均粒径の上限としては、30μmが好ましく、20μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。熱伝導性粒子の平均粒径が上記下限未満の場合、熱伝導性粒子の成形が困難になるおそれがある。熱伝導性粒子の平均粒径が上記上限を超える場合、バンプ25の表面が粗くなって被接着部材との接着性が損なわれるおそれがある。なお、「平均粒径」とは、粒子群に対し、篩分法により得た各粒度の篩い下の全粒子質量から得られる積算分布より、積算量が50質量%となる粒径値を意味する。
【0078】
バンプ25の熱伝導性粒子の含有率の下限としては、30体積%が好ましく、50体積%がより好ましい。一方、バンプ25の熱伝導性粒子の含有率の上限としては、90体積%が好ましく、70体積%がより好ましい。熱伝導性粒子の含有率が上記下限未満の場合、被接着部材間の熱伝導性が低下するおそれがある。バンプ25の熱伝導性粒子の含有率が上記上限を超える場合、バインダーが少なくなるので、バンプ25の形成が困難になるおそれや、使用時にバンプ25が破断して熱伝導性を損なうおそれがある。
【0079】
<接着シートの使用方法>
当該接着シート21は、次の手順で使用することができる。まず、表面(離型フィルム2と反対側の面)を導電パターンが露出する伝導領域を有するフレキシブルプリント配線板に貼り付ける。次に、離型フィルム2を剥離し、伝導性接着層23の裏面(離型フィルム2が積層されていた面)を金属板に貼り付ける。当該接着シート21によりフレキシブルプリント配線板に接着する金属板は、フレキシブルプリント配線板に対して垂直に突出したフィンを有するヒートシンクであることが好ましい。
【0080】
<接着シートの製造方法>
図6及び
図7の当該接着シート21の製造方法は以下の工程を有する。
(1)熱伝導性を有する伝導性スラリーを印刷により離型フィルム2の表面のうちプリント配線板の伝導領域との接着予定領域7内ののみに積層する工程
(2)積層した上記伝導性スラリーを硬化し、複数のバンプ25を形成する工程
(3)接着剤の充填により、複数のバンプ25の周囲かつ離型フィルム2の表面のうちの一部の領域に接着剤層6を形成する工程
【0081】
当該接着シート21の製造方法は、上述の
図1及び
図2の接着シート1と伝導性スラリーが異なる以外は同様であるため、重複する説明は省略する。
【0082】
(伝導性スラリー)
バンプ25を形成する伝導性スラリーは、バンプ25を構成する熱伝導性粒子とバインダーとを含むことにより熱伝導性を有する組成物であって、バインダーが硬化しておらず、印刷技術によってパターンを形成できる適度な流動性を有し、硬化工程において硬化させられるものであればよい。
【0083】
<利点>
当該接着シート21は、伝導性接着層23が、フレキシブルプリント配線板の導電パターンが露出する伝導領域に対する接着予定領域7に形成された熱伝導性を有する複数のバンプ25と、これらのバンプ25の周囲に充填される接着剤からなる接着剤層6とを備えるため、伝導性接着層23によりフレキシブルプリント配線板と金属板とを接着すると、伝導性接着層23がフレキシブルプリント配線板の伝導領域で露出している導電パターンと金属板との間に厚さ方向に熱伝導性を発現する。また、接着剤層6は、熱伝導性が要求されず、接着予定領域7以外にはバンプ25が存在していないので、比較的大きな接着力を発現する。つまり、当該接着シート21は、フレキシブルプリント配線板及び金属板間の機械的接着強度の向上及び熱伝導性の向上を両立できる。
【0084】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0085】
例として、熱伝導性を有するバンプを備え、他の特徴が
図5の接着シート11と同様である接着シートも本発明の企図するところである。
【0086】
さらに、当該接着シート及びその伝導性接着層の平面形状は、上記実施形態のものに限定されず、接着するプリント配線板及び金属板の形状に応じて任意の形状とできる。
【0087】
また、当該接着シートは、可撓性のないプリント配線板に対して金属板を接着するものを含む。
【0088】
当該接着シートにおいて、バンプは、電気伝導性及び熱伝導性の両方を有してもよい。つまり、バンプを形成する伝導性スラリーは、電気伝導性粒子と熱伝導性粒子とを含むことができる。この場合、バンプの電気伝導性粒子及び熱伝導性粒子の含有率の下限及び上限は、電気伝導性粒子及び熱伝導性粒子の体積比に応じて、上述の電気伝導性粒子の下限及び上限と上述の熱伝導性粒子の下限及び上限とを比例配分した値とすればよい。
【0089】
また、当該接着シートにおいて、電気伝導性粒子を含むことにより電気伝導性を有するバンプと熱伝導性粒子とを含むことにより熱伝導性を有するバンプとが別々に形成されてもよい。この場合、プリント配線板の設計に応じて、電気伝導性を有するバンプと熱伝導性を有するバンプとを同一の接着予定領域に配設してもよく、電気伝導性を有するバンプと熱伝導性を有するバンプとを別々の接着予定領域に配設してもよい。
【0090】
上記各実施形態では、当該接着シートは伝導性接着層の一方の面(裏面)側のみに離型フィルムを備えていたが、伝導性接着層の他方の面(表面)側に離型フィルムを備えてもよい。
【0091】
また、当該接着シートは、最初に金属板に積層し、続いて離型フィルムを剥がした伝導性接着層の裏面にフレキシブルプリント配線板を接着してもよい。
【0092】
また、バンプは離型シートが積層される裏側の幅が小さく、表面側の幅が大きい形状であってもよい。さらに、バンプは当該接着シートの厚さ方向に複数のバンプが積層されたものであってもよい。
【0093】
また、本発明のバンプの伝導性接着層に垂直な断面の形状は上記実施形態のような厳密な台形に限定されず、例えば台形の頂辺が円弧である台形状や、底辺と頂辺とが非平行である台形状であってもよい。またさらに台形以外の半円形、三角形、長方形、高さ方向の中央部分に向かって幅が減少するくびれ形状、高さ方向の中央部分に向かって幅が増大する樽形状等を採用することも可能である。
【0094】
さらに、当該接着シートの伝導性接着層において、バンプが表面側及び裏面側の一方又は両方に表出しないよう形成してもよい。このようにバンプの表面や裏面に接着剤層が存在しても、伝導性接着層をフレキシブルプリント配線板や金属板に接着する際の圧接力により、バンプの表面や裏面の接着剤が外側に押し出され、バンプをフレキシブルプリント配線板の導電パターンや金属板に接触させることができる。
【0095】
また、当該接着シートにおいて、位置決めのためのマーキングは、上記実施形態のような貫通孔の他、切欠きや突起、あるいは離型フィルムに印刷した目印等であってもよい。