(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記損傷検出手段は、損傷のない基板について予め取得された参照画像を記憶する参照画像記憶手段を有し、前記撮像手段で撮像した画像を前記参照画像と比較し、パターンマッチングにより前記損傷を検出する、請求項1に記載の基板損傷検出装置。
基板搬送ロボットの基板載置部を前後にスライド移動させるスライド駆動手段に、前記基板載置部に載置された基板に対して当該基板の周縁部に沿って相対移動可能に撮像手段を設け、その撮像手段で撮影された前記基板の周縁部の画像に基づいて前記基板の損傷を検出する基板損傷検出方法であって、
前記撮像手段は、
ラインセンサを有し、当該ラインセンサが前記基板載置部の左右方向と平行になる第1の向きと前記基板載置部の前後方向と平行になる第2の向きに切換可能なカメラと、
前記カメラの向きを切り換えるカメラ切換手段と、
前記カメラを前記基板載置部の左右方向にスライド移動可能に支持するカメラ支持手段と、
前記カメラの前記基板載置部の左右方向の移動を行うカメラ駆動手段と、
を含み、
前記カメラの向きを前記第1の向きに設定し、前記カメラをスライド移動の開始位置に固定した状態で、前記基板が載置された前記基板載置部をスライド移動させながら前記カメラに撮影動作をさせて前記基板の左右方向の一方の側部の画像を取り込み、
前記基板の前側の端部が前記カメラの位置となる第1の位置に前記基板載置部を設定し、前記カメラの向きを前記第2の向きに切り換えた状態で当該カメラを前記スライド移動の開始位置から終了位置までスライド移動させながら撮影動作をさせて前記基板の前側の側部の画像を取り込み、
前記カメラの向きを前記第1の向きに設定し、前記カメラをスライド移動の終了位置に固定した状態で、前記基板が載置された前記基板載置部をスライド移動させながら前記カメラに撮影動作をさせて前記基板の左右方向の他方の側部の画像を取り込み、
前記基板の後側の端部が前記カメラの位置となる第2の位置に前記基板載置部を設定し、前記カメラの向きを前記第2の向きに切り換えた状態で当該カメラを前記終了位置から前記開始位置までスライド移動させながら撮影動作をさせて前記基板の後側の側部の画像を取り込み、
前記基板の側部毎に、取り込まれた画像に基づいて前記基板の損傷を検出することを特徴とする、基板損傷検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る基板損傷検出装置が適用される基板処理システムの一例を示す斜視図である。
図2は、同基板処理システムを上から見た上面図である。
図2では、作図の都合上、各チャンバーの形状を長方形に簡略化している。後述する
図9〜
図12についても同様である。
【0020】
図1に示す基板処理システムXは、2つのロードロックチャンバー1A,1Bと、4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dと、1つの搬送チャンバー3と、1台の基板搬送ロボット4を含む構成である。2つのロードロックチャンバー1A,1Bと4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dは、搬送チャンバー3の回りに放射状に配置されている。
図2に示すように、上面視で、搬送チャンバー3は六角形をなし、隣接する2つの側面にロードロックチャンバー1A,1Bが配置され、残りの4つの側面に処理チャンバー2A,2B,2C,2Dが配置されている。また、搬送チャンバー3の中央に基板搬送ロボット4が配置されている。搬送チャンバー3の各側面の所定の高さ位置には基板搬送ロボット4により基板5の出し入れを行うための横長長方形の窓301が設けられている。
【0021】
4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dは、液晶基板や半導体基板等からなる基板5の表面に所定の製造プロセス処理を行うチャンバーである。製造プロセス処理は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術やPVD(Physical Vapor Deposition)技術による薄膜形成処理、ドライエッチング技術やリソグラフィ技術による回路のパターン形成処理、CMP(Chemical Mechanical Polishing)技術による基板の平坦化処理、ドライ洗浄技術による基板洗浄処理、イオン注入技術による接合形成処理等の処理である。
【0022】
2つのロードロックチャンバー1A,1Bは、搬送チャンバー3内の真空状態を保持して基板処理システムXの外部から基板5を搬送チャンバー3内に搬入したり、基板5を基板処理システムXの外部に搬出したりするためのチャンバーである。本実施形態では、ロードロックチャンバー1Aが基板5の搬入用チャンバーであり、ロードロックチャンバー1Bが基板5の搬出用チャンバーである。
【0023】
図示は省略しているが、ロードロックチャンバー1A,1Bの外側には基板処理システムXに基板5を搬入したり、基板処理システムXから基板5を搬出したりするためのインターフェースが設けられている。ロードロックチャンバー1A,1Bの外側の側面には、インターフェースから基板5を出し入れするための横長長方形の窓101が設けられている。
【0024】
インターフェースは、基板搬送ロボット(搬送チャンバー3内の基板搬送ロボット4とは別のロボット)と、複数の基板5が収納された1又は2以上のカセットを含み、カセット内の基板5を基板搬送ロボットによって取り出してロードロックチャンバー1Aの窓101から基板処理システムX内に搬送したり、ロードロックチャンバー1B内の処理済の基板5を基板搬送ロボットによってロードロックチャンバー1Bの窓101から取り出したカセットに収納したりする機能を果たす。なお、カセットは、自走車によって他の場所から基板処理システムXのインターフェースに搬送される。
【0025】
基板搬送ロボット4は、ロードロックチャンバー1Aに搬入された基板5を受け取って4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dに順番に搬送した後、処理済の基板5をロードロックチャンバー1Bに搬出する。
【0026】
図3は、同基板搬送ロボット4を上から見た上面図、
図4は、基板搬送ロボット4を横から見た側面図である。
図5は、基板搬送ロボット4のスライド駆動部41と基板損傷検出装置45の部分を示す斜視図である。
【0027】
基板搬送ロボット4は、基板5を載置する2つのハンド401,402を有し、各ハンド401,402の位置を円筒座標によって独立して制御することができる円筒座標型ロボットである。基板搬送ロボット4は、ハンド401,402の位置を制御する機構として、ハンド401,402のスライド移動(円筒座標のr軸方向の移動)を行うスライド駆動部41と、そのスライド駆動部41を回転させることによってハンド401,402の回転移動(円筒座標のθ軸方向の移動)を行う回転駆動部42と、回転駆動部42及びスライド駆動部41を上下動させることによってハンド401,402の昇降移動(円筒座標のz軸方向の移動)を行う昇降駆動部43と、スライド駆動部41、回転駆動部42及び昇降駆動部43の動作を制御する駆動制御部44と、を備える。なお、駆動制御部44は、後述する基板搬送ロボット4を統括的に制御する制御部40(
図14参照)の機能の一部であるので、
図3,
図4,
図5には描かれていない。
【0028】
また、基板搬送ロボット4のスライド駆動部41には、当該スライド駆動部41のハンド401又ハンド402で搬送される基板5に損傷がある場合、その損傷を検出する基板損傷検出装置45が設けられている。
【0029】
本実施形態に係る基板搬送ロボット4は、基板損傷検出装置45を備え、基板5をロードロックチャンバー1Aから処理チャンバー2Aに搬送している期間にその基板損傷検出装置45で当該基板5の損傷を検出する機能を有する点に特徴がある。以下では、主としてその特徴的な構成と作用について説明する。
【0030】
基板搬送ロボット4の昇降駆動部43は、
図4に示されているように、上下動可能に支持されたシャフト431と、そのシャフト431に連結されたモータ(
図3〜
図5では見えていない。)を含み、シャフト431がモータの回転力によって上下動する。基板搬送ロボット4の回転駆動部42は、ロータを鉛直方向に向けて配置されたモータを含み、そのロータの先端部にスライド駆動部41が直結されている。
【0031】
昇降駆動部43のモータと回転駆動部42のモータは、ACサーボモータで構成され、駆動制御部44は、昇降駆動部43のACサーボモータの回転量を制御することによりハンド401,402のz軸方向の位置を制御し、回転駆動部42のACサーボモータの回転量を制御することによりハンド401,402のθ方向の位置を制御する。なお、円筒座標(r,θ,z)は、例えば、昇降駆動部43のシャフト431の軸と搬送チャンバー1Aの窓101の中心を通る水平線とが交差する位置を原点O(0,0,0)として基板搬送ロボット4に仮想的に設定されている。
【0032】
ハンド401(以下、「第1ハンド401」という。)は、横長の支持板401aの一方の長辺に一対の縦長の板材からなるアーム401b,401cを固着した構造を有する。一対のアーム401b,401cは、支持板401aの長手方向の中心に対して対照となる位置に固着され、アーム401b,401cの長手方向と支持板401aの長手方向は互いに直交している。
【0033】
第1ハンド401は、2つのアーム401b,401cで矩形の基板5の左右方向(幅方向)の両端部を下側から支持することによって当該基板5を保持する。従って、アーム401b,401cの前側の端部(先端部)の上面は、基板5が載置される基板載置部となっている。アーム401bとアーム401cの間の距離L
1は、基板5の幅方向のサイズW
Sよりも若干短い距離に設定されている。
【0034】
ハンド402(以下、「第2ハンド402」という。)も第1ハンド401と同様に、横長の支持板402aの一方の長辺に一対の縦長の板材からなるアーム402b,402cを固着した構造を有する。アーム402bとアーム402cの間の距離はアーム401bとアーム401cの間の距離L
1と同一であり、アーム402b,402cの先端部の上面は、基板5が載置される基板載置部となっている。
【0035】
第2ハンド402の支持板402aの長さは第1ハンド401の支持板401aよりも短く、距離L
1よりもわずかに長い長さを有している。従って、アーム402bとアーム402cは、支持板412aの両端部に固着されている。支持板402aの長さを支持板401aよりも短くしているのは、
図5に示されるように、第1ハンド401の下側に、当該第1ハンド401の長手方向の中心と第2ハンド402の長手方向の中心を合わせて第2ハンド402を配置するためである。
【0036】
スライド駆動部41は、低背の直方体形状を有し、第2ハンド402の下側に配置されている。スライド駆動部41は、上面視で、アーム402bとアーム402cの間の距離L
1(又はアーム401bとアーム401cの間の距離L
1)よりもわずかに短い幅Wと、支持板402aからアーム402bとアーム402cまでの距離L
2(又は支持板401aからアーム401bとアーム401cまでの距離L
2)よりもわずかに長い長さLを有する長方形状を有している。
【0037】
スライド駆動部41の上面の左右方向(幅方向)の両端部には第1ハンド401の前後方向(アーム401b,401cの長手方向に沿う方向)のスライド移動をガイドする2本のガイドレール411(
図4参照),412(
図3〜
図5では見えていない)が平行に設けられている。また、ガイドレール411,412よりも内側に第2ハンド402の前後方向(アーム402b,402cの長手方向に沿う方向)のスライド移動をガイドする2本のガイドレール413,414(
図3参照)が設けられている。
【0038】
更に、ガイドレール411,412の下側にそれぞれ無端ベルトによる第1ハンド401のスライド駆動機構(
図3〜
図5では見えていない。)が設けられ、ガイドレール413,414の下側にそれぞれ無端ベルトによる第2ハンド402のスライド駆動機構(
図3〜
図5では見えていない。)が設けられている。
【0039】
図6は、ガイドレール411の下側に設けられているスライド機構の構成を示す図である。ガイドレール412の下側に設けられているスライド機構の構成も
図6の構成と同一である。
【0040】
スライド駆動機構は、ガイドレール411の下側の側板に突設された1つの駆動プーリ416aと、2つの従動プーリ416b,416cと、駆動プーリ416a及び従動プーリ416b,416cに架け渡された無端ベルト417と、駆動プーリ416aの軸に接続されたモータ(
図6では見えていない。)と、を含む構成である。スライド駆動機構に設けられるモータもACサーボモータで構成される。
【0041】
一対の従動プーリ416b,416cは、ガイドレール411の下側の側板の長手方向の両端部に設けられ、駆動ローラ416aは、従動プーリ416bと従動ローラ416cの間の適所に設けられている。駆動ローラ416aの近傍には一対のガイドプーリ416d,416eと、一対のアイドラープーリ416f,416gが設けられている。一方の従動プーリ416bは、スライド可能に取り付けられており、従動プーリ416bの位置を調整することにより無端ベルト417のテンションが調整されるようになっている。
【0042】
無端ベルト417には、第1ハンド401の支持板401aを着脱自在に接続するためのハンド接続部418が設けられている。ガイドレール413,414に設けられたスライド駆動機構もガイドレール411に設けられたスライド駆動機構と同様の構成で、そのスライド駆動機構の無端ベルト417には第2ハンド402の支持板402aを着脱自在に接続するためのハンド接続部418が設けられている。
【0043】
第2ハンド402の支持板402aの下面のガイドレール413とガイドレール414に対向する位置には、それぞれ第2ハンド402をスライド駆動部41に着脱自在に装着するためのハンド装着部(
図3〜
図5では見えていない。)が設けられている。一方のハンド装着部には、ガイドレール413に嵌入されるガイド溝(
図3〜
図5では見えていない。)と、当該ガイドレール413の下側に架け渡された無端ベルト417のハンド接続部418に接続される接続部とが設けられ、他方のハンド装着部にもガイドレール414に嵌入されるガイド溝と、当該ガイドレール414の下側に架け渡された無端ベルト417のハンド接続部418に接続される接続部とが設けられている。従って、第2ハンド402は、ハンド装着部の各ガイド溝をガイドレール413とガイドレール414に嵌込し、各接続部を各無端ベルト417のハンド接続部418に接続してスライド駆動部41に取り付けられている。
【0044】
第2ハンド402は、スライド駆動部41の駆動プーリ416aで無端ベルト417を回転させることにより、ガイドレール413,414に沿って予め設定された範囲でスライド移動を行う。
【0045】
第1ハンド401の支持板401aの下側にも第2ハンド402と同様に、ハンド装着部(
図3〜
図5では見えてしない)が設けられている。このハンド装着部は、第1ハンド401の下側に第2ハンド402が重ねて配置されるため、第2ハンド402と干渉しないように第1ハンド401に設けられている。すなわち、第1ハンド401の両端にL字型のブラケット415を両ブラケット415の先端が支持板402aの下側に延びるように延設し、両ブラケット415の先端部にそれぞれハンド装着部が設けられている。
【0046】
一方のハンド装着部は支持板402aに設けられたハンド装着部と同様に、ガイドレール411に嵌入されるガイド溝(
図3〜
図5では見えていない。)と、当該ガイドレール411の下側に架け渡された無端ベルト417のハンド接続部418に接続される接続部とが設けられ、他方のハンド装着部にもガイドレール412に嵌入されるガイド溝と、当該ガイドレール412の下側に架け渡された無端ベルト417のハンド接続部418に接続される接続部とが設けられている。従って、第1ハンド401は、ハンド装着部の各ガイド溝をガイドレール411とガイドレール412に嵌込し、各接続部を各無端ベルト417のハンド接続部に接続してスライド駆動部41に取り付けられている。
【0047】
第1ハンド401も、スライド駆動部41の駆動プーリ416aで無端ベルト417を回転させることにより、ガイドレール411,412に沿って予め設定された範囲でスライド移動を行う。第1ハンド401のスライド移動の範囲は、第2ハンド402のスライド移動の範囲と同一である。
図3に示す状態は、第1,第2ハンド401,402をスライド範囲の最も後退させた位置(以下、この位置を「基準位置」という。)に設定した状態である。第1,第2ハンド401,402をスライド範囲の最も前進させた位置は、ロードロックチャンバー1A,1Bや処理チャンバー2A〜2Dで基板5の受け取りや送り出しを行う位置(以下、この位置を「基板送受位置」という。)である。駆動制御部44は、スライド駆動部41のACサーボモータの回転量を制御することにより、第1ハンド401と第2ハンド402のr方向の位置を制御する。
【0048】
基板損傷検出装置45は、スライド駆動部41の先端部に取り付けられている。基板損傷検出装置45は、直線状のガイドレール451と、そのガイドレール451にスライド可能に取り付けられた撮像部452と、撮像部452をガイドレール451に沿ってスライド移動させるスライド駆動部453と、撮像部452及びスライド駆動部453の動作を制御するとともに、撮像部452の撮影画像を用いて基板5の損傷を検出する損傷検出部454とを含む。なお、損傷検出部454も制御部40(
図14参照)の機能の一部であるので、
図3,
図4,
図5では作図されていない。
【0049】
ガイドレール451は、スライド駆動部41の先端部の所定の高さ位置(第1ハンド401のスライド移動を妨害しない高さ位置)に、スライド駆動部41の左右方向(幅方向)と平行に配置されている。上面視で、スライド駆動部41の先端部におけるガイドレール451の位置は、第1ハンド401(又は第2ハンド402)を基準位置に設定したときに、当該第1ハンド401(又は第2ハンド402)に載置された基板5の前端5a(前側の端面。
図8参照)がガイドレール451に重なるような位置である。
【0050】
ガイドレール451の両端には、当該ガイドレール451をスライド駆動部41に固定するためのL字型のブラケット451a,451bが取り付けられている。ブラケット451a,451bは、それぞれ先端がスライド駆動部41の側面に延びるようにガイドレール451に取り付けられており、ブラケット451a,451bの先端はスライド駆動部41の側面にネジ止めされている。
【0051】
ガイドレール451は、
図5に示すように、上面にレールが形成され、下面にスライド駆動部453が設けられている。スライド駆動部453は、ガイドレール451の両端に回転自在に突接されたプーリ453a,453bと、プーリ453aとプーリ453bとに架け渡された無端ベルト453cと、一方のプーリ453a(以下、「駆動プーリ453a」という。)にロータが接続されたモータ453dとで構成される。無端ベルト453cには、後述するように撮像部452が固定されている。
【0052】
無端ベルト453cは、駆動プーリ453aとプーリ453bとの間ではガイドレール451と平行になっており、モータ453dの回転力が駆動プーリ453aを介して無端ベルト453cに伝達されると、当該無端ベルト453cが駆動プーリ453aとプーリ453bとの間で直線移動し、当該無端ベルト453cに固定された撮像部452はガイドレール451に沿って直線移動をする。
【0053】
撮像部452は、
図7に示すように、モノクロのラインセンサを撮像素子とするカメラ4521と、このカメラ4521の向き(ラインセンサの向き)を切り換えるカメラ切換部4522と、被写体を照明するライト4523と、カメラ4521、カメラ切換部4522及びライト4523を収納するハウジング4524と、ハウジング4524をガイドレール451及びスライド駆動部41に取り付けるハウジング取付部4525で構成される。
【0054】
ハウジング4524は、底面に円形の窓4524aが形成された直方体形状をなしている。ライト4523は、複数の発光素子をリング状に配置した円形ライトからなり、ハウジング4524の窓4524aに設けられている。カメラ切換部4522は、一対のプーリ4522a,4522b、無端ベルト4522c及びモータ4522dで構成される。一方のプーリ4522aは、ハウジング4524の天面の窓4524aに対向する位置に回転自在に固定され、他方のプーリ4522bは、一方のプーリ4522aに対して所定の間隔を設けてハウジング4524の天面に回転自在に固定されている。プーリ4522aとプーリ4522bの間には無端ベルト4522cが架け渡されている。
【0055】
プーリ4522bの回転軸には、L型ブラケット4522eによってカメラ4521が取り付けられている。カメラ4521は、レンズをハウジング4524の窓4524a側に向けて(カメラ4521の光軸を下向きにして)L型ブラケット4552fに固定されている。プーリ4522aには、L型ブラケット4522fでハウジング4524の天面に固定されたモータ4522dのロータが連結されている。
【0056】
モータ4522dが回転すると、その回転力がプーリ4522a,4522b及び無端ベルト4522cを介してカメラ4521に伝達され、カメラ4521の向きが切り換わる。損傷検出部454は、カメラ4521が初期回転位置から+90°だけ回転するように、モータ4522dの回転方向と回転量を制御してカメラ4521の向きを切り換える。
【0057】
カメラ4521の初期回転位置は、ラインセンサのセンサ配列方向がガイドレール451と平行になる位置である。カメラ4521を初期回転位置に設定したときのカメラ4521の向きは、第1ハンド401又は第2ハンド402に載置された基板5に対してカメラ4521を基板5の縦方向(第1ハンド401又は第2ハンド402が移動する方向)に相対移動させて画像を取り込む向きである。
【0058】
また、カメラ4521の回転方向は、窓4524aからカメラ4521側を見て時計回りに回転する方向である。従って、カメラ4521を初期回転位置から+90°回転すると、カメラ4521の向きは、ラインセンサのセンサ配列方向がガイドレール451に対して直交する向きとなる。このカメラ4521の向きは、第1ハンド401又は第2ハンド402に載置された基板5に対してカメラ4521を基板5の横方向(第1ハンド401又は第2ハンド402の左右方向)に相対移動させて画像を取り込む向きである。以下の説明では、カメラ4521を初期回転位置に設定したときのカメラ4521の向きを「第1の向き(縦方向撮影の向き)」とし、カメラ4521を初期回転位置から+90°回転した位置に設定した向きを「第2の向き(横方向撮影の向き)」として説明する。
【0059】
本実施形態では、ベルト駆動機構によりカメラ4521の向きを切り換えるようにしているが、カメラ4521の向きを切り換える機構はベルト駆動機構に限定されるものではなく、第1の向きと第2の向きを切り換えることができる任意の切換機構を採用することができる。
【0060】
ガイドレール451には、撮像部452が往復動する移動範囲が設定されている。この移動範囲は、基板5のサイズに応じて設定され、基板5の幅方向のサイズWsと略同一の長さである。基板搬送ロボット4を正面から見て(
図5でN方向から見て)、ガイドレール451の移動範囲の左端側の端点(移動範囲のブラケット451a側の端点)を撮像部452の往動の開始位置P
S(以下、「往動開始位置P
S」という。)とし、ガイドレール451の移動範囲の右端側の端点(移動範囲のブラケット451b側の端点)を撮像部452の往動の終了位置P
E(以下、「往動終了位置P
E」という。撮像部452の復動の開始位置でもある。)とする。
【0061】
カメラ4521を第1の向き(縦方向撮影の向き)に設定した状態で撮像部452を往動開始位置P
Sに固定し、第1ハンド401又は第2ハンド402に載置した基板5を前後に移動させると、カメラ4521が基板5の左側の端部に対して前後方向に相対移動するので、基板5の移動中にカメラ4521の撮影動作を行うと、
図8に示すように基板5の右側の領域Aの画像G
A(
図13参照)を取り込むことができる。
【0062】
また、カメラ4521を第1の向き(縦方向撮影の向き)に設定した状態で往動終了位置P
Eに固定し、第1ハンド401又は第2ハンド402に載置した基板5を前後に移動させると、カメラ4521が基板5の右側の端部に対して前後方向に相対移動するので、基板5の移動中にカメラ4521の撮影動作を行うと、
図8に示すように基板5の左側の領域Bの画像G
Bを取得することができる。
【0063】
また、第1ハンド401又は第2ハンド402に載置した基板5を当該基板5の前側の端面がガイドレール451の真下となる位置(この位置は第1ハンド401又は第2ハンド402を後退させた位置である。)に固定した状態で、カメラ4521を第2の向き(横方向撮影の向き)にして往動開始位置P
Sと往動終了位置P
Eの間を移動させながら撮影動作を行うと、
図8に示すように基板5の前側の領域Cの画像G
Cを取得することができる。
【0064】
また、第1ハンド401又は第2ハンド402に載置した基板5を当該基板5の後端5b(
図8参照)がガイドレール451の真下となる位置に固定した状態で、カメラ4521を第2の向き(横方向撮影の向き)にして往動開始位置P
Sと往動終了位置P
Eとの間を移動させながら撮影動作を行うと、
図8に示すように基板5の後側の領域Dの画像G
Dを取得することができる。
【0065】
損傷検出部454は、
図9に示すように、基板搬送ロボット4が第1ハンド401(又は第2ハンド)を基板送受位置に設定してロードロックチャンバー1Aで基板5を受け取り、その後、第1ハンド401(又は第2ハンド)を基板5が点線で示される位置となる基準位置に後退させる期間に、画像G
Aの取り込みとその画像G
Aを用いて基板5の領域Aにおける損傷の検出を行う。すなわち、基板5が載置された第1ハンド401(又は第2ハンド)が基板送受位置から基準位置に後退移動する期間はカメラ4521が基板5の領域Aに対して相対移動をする期間であるので、損傷検出部454は、カメラ4521を第1の向き(縦方向撮影の向き)にし、その期間にカメラ4521に撮影動作を行わせて画像G
Aを取り込み、撮影終了後にその画像G
Aを用いて周知のパターンマッチングにより損傷の検出を行う。
【0066】
損傷検出部454には、損傷のない基板5に対して予め取得された画像G
A’〜画像G
D’がパターンマッチング用の参照画像として記憶されている(
図14の参照画像メモリ46を参照)。損傷検出部454は、
図13に示すように、カメラ4521で撮影した画像G
Aを参照画像G
A’と比較し、画像G
Aに参照画像G
A’には存在しない一定サイズの画像G
Sが含まれている場合、その画像G
Sを基板5の損傷部分の画像として検出する。
【0067】
基板5の領域Aについて損傷が検出されなければ、基板搬送ロボット4は、基板5を受け取った第1ハンド401(又は第2ハンド402)を基準位置に後退させると、その状態を保持してスライド駆動部41を処理チャンバー2Aの窓301に正対する位置まで回転させる。損傷検出部454は、
図10に示すように、基板搬送ロボット4がスライド駆動部41を回転させている期間に、カメラ4521を第2の向き(横方向撮影の向き)に切り換えて往動開始位置P
Sから往動終了位置P
Eまで移動させながらカメラ4521に撮影動作を行わせて画像G
Cを取り込み、撮影終了後にその画像G
Cと参照画像G
C’を用いて上述したパターンマッチング手法により基板5の領域Cにおける損傷の検出を行う。
【0068】
基板5の領域Cについて損傷が検出されなければ、基板搬送ロボット4は、スライド駆動部41を処理チャンバー2Aまで回転させた後、基板5を載置した第1ハンド401(又は第2ハンド402)を前進させて当該基板5を処理チャンバー2A内にセットする。この第1ハンド401(又は第2ハンド402)の前進処理では、基板搬送ロボット4は、第1ハンド401(又は第2ハンド402)が所定の位置(第1ハンド401に載置された基板5の後端5bが撮像部452の位置に到達する位置。
図11参照)に到達すると、一旦第1ハンド401(又は第2ハンド402)を停止させる。
【0069】
損傷検出部454は、
図11に示すように、カメラ5421を第1の向き(縦方向撮影の向き)に戻し、基板搬送ロボット4が第1ハンド401(又は第2ハンド)を所定の位置まで前進させる期間にカメラ4521に撮影動作を行わせて画像G
Bを取り込み、撮影終了後にその画像G
Bと参照画像G
B’を用いて上述したパターンマッチングにより基板5の領域Bにおける損傷の検出を行う。
【0070】
基板5の領域Bについて損傷が検出されなければ、損傷検出部454は、
図12に示すように、カメラ4521を第2の向き(横方向撮影の向き)に切り換えて往動終了位置P
Eから往動開始置P
Sまで移動させながらカメラ4521に撮影動作を行わせて画像G
Dを取り込み、撮影終了後にその画像G
Dと参照画像G
D’を用いて上述したパターンマッチング手法により基板5の領域Dにおける損傷の検出を行う。
【0071】
基板5の領域Dについて損傷が検出されなければ、基板搬送ロボット4は、第1ハンド401(又は第2ハンド402)を所定の位置から前進させて処理チャンバー2A内にセットする。この後は、損傷検出部454による基板損傷検出処理は行われないので、基板搬送ロボット4は、処理チャンバー2Aからプロセス処理終了後の基板5を取り出す処理と、処理チャンバー2B〜2Dに対して基板5をチャンバー内にセットする処理とプロセス処理終了後の基板5をチャンバー内から取り出す処理を順番に繰り返した後、基板5をロードロックチャンバー1Bに搬送する。
【0072】
一方、基板5の領域A〜領域Dのいずれかで損傷が検出されると、基板5は不良品であるので、基板搬送ロボット4は、直ちに基板5をロードロックチャンバー1Bに搬送し、基板処理システムXから排出する。
【0073】
図14は、基板損傷検出処理に関連する電気的な構成を示すブロック図である。
図1〜
図7に示される部材と同一の部材には同一の符号を付している。
【0074】
制御部40は、基板搬送ロボット4の第1,第2ハンド401,402の動作と基板損傷検出装置45による基板損傷検出の処理を統括的に制御するものである。制御部40は、例えば、相互に接続されたCPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを含むマイクロコンピュータを主要な構成要素としている。制御部40は、ROMに予め記憶された基板搬送プログラムを実行することにより、基板処理システムXにおける第1ハンド401又は第2ハンド402による基板5の搬送動作を制御する。また、制御部40は、ROMに予め記憶された基板損傷検出プログラムを実行することにより、第1ハンド401又は第2ハンド402により搬送している基板5に損傷が生じているか否かを検査する。
【0075】
制御部40の基板搬送プログラムの実行により実現される機能が上述した駆動制御部44による制御機能に相当し、制御部40の基板損検出プログラムの実行により実現される機能が上述した損傷検出部454による損傷検出機能に相当する。制御部40には予め取得された参照画像G
A’〜G
D’を記憶する参照画像メモリ46が設けられている。参照画像メモリ46には、例えば、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発メモリが用いられる。
【0076】
制御部40に接続されているスライド駆動部41、昇降駆動部42、回転駆動部43及びスライド駆動部453と、第1,第2ハンド401,402及び撮像部452は、
図1〜
図7を用いて上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
次に、
図15,
図16のフローチャートと
図9〜
図12を用いて、基板損傷検出装置45による基板5の損傷を検出する処理手順を説明する。以下の説明では、第1ハンド401で基板5を搬送する場合について説明するが、第2ハンド402で基板5を搬送する場合も処理内容は同じである。
【0078】
図15,
図16に示すフローチャートは、(a)第1ハンド401をロードロックチャンバー1A内の基板送受位置に前進させ、当該第1ハンド401を上昇させて基板5を受け取る(第1ハンド401に基板5を載せる)、(b)基板5を受け取った第1ハンド401をロードロックチャンバー1A内の基板送受位置から基準位置まで後退させる、(c)スライド駆動部41を+60°回転させて第1ハンド401を処理チャンバー2Aの窓301に正対させる、(d)第1ハンド401を前進させて基板5を処理チャンバー2A内の基板送受位置にセットする、という、第1ハンド401による基板5の搬送動作における損傷検出処理を示したものである。
【0079】
(a)の第1ハンド401による基板5の受取動作をするときの基板搬送ロボット4の向きは、第1,第2ハンド401,402を搬送チャンバー3のロードロックチャンバー1Aに対する窓301に正対させた向きである。このとき、基板搬送ロボット4の姿勢は、第1,第2ハンド401,402が基準位置に設定され、撮像部452はカメラ4521を第1の向き(縦方向撮影の向き)にして往動開始位置P
Sに設定した姿勢である。
【0080】
損傷検出部454は、ステップS1〜S7で基板5の領域Aにおける損傷の検出処理を行う(
図9の損傷検出処理)。すなわち、損傷検出部454は、スライド駆動部41により後退させている第1ハンド401が所定の位置(第1ハンド401に載置された基板5の後端5bが撮像部452の位置に到達する位置。
図9参照)に到達すると(S1:YES)、カメラ4521の撮影動作を開始する(S2)。続いて、損傷検出部454は、スライド駆動部41により後退させている第1ハンド401が基準位置に到達すると(S3)、カメラ4521の撮影動作を停止する(S4)。第1ハンド401を基準位置に収納した状態では、第1ハンド401に載置された基板5の前端5aが撮像部452の位置となっている。
【0081】
続いて、損傷検出部454は、参照画像メモリ46から参照画像G
A’を読み出し(S5)、カメラ4521で撮影した画像G
Aを参照画像G
A’と比較してパターンマッチングにより損傷と看做すことができる画像G
Sの有無を判定する(S6,S7)。損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出すると(S7:YES)、「不合格」と判定し、駆動制御部44は、ステップS29(
図16参照)に移行して基板5を基板処理システムXから排出する処理をした後、基板損傷検出処理を終了する。
【0082】
損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出しなければ(S7:NO)、「合格」と判定し、基板損傷検出処理を継続する。また、駆動制御部44は、基板搬送ロボット4の姿勢を変更する処理に移行する。すなわち、駆動制御部44は、第1ハンド401を基準位置に設定した状態でスライド駆動部41を回転駆動部43により+60°回転させて基板搬送ロボット4の姿勢を第1ハンド401が処理チャンバー2Aの窓301に正対する姿勢に変更する。損傷検出部454は、この基板搬送ロボット4の姿勢変更の期間にステップS8〜S14を実行して基板5の領域Cにおける損傷の検出処理を行う(
図10の損傷検出処理)。
【0083】
すなわち、損傷検出部454は、カメラ4521を第2の向き(横方向撮影の向き)に切り換えた後(S8)、撮像部452のスライド移動とカメラ4521の撮影動作を開始し(S9)、撮像部452が往動終了位置P
Eに到達すると(S10:YES)、撮像部452のスライド移動とカメラ4521の撮影動作を停止する(S11)。続いて、損傷検出部454は、参照画像メモリ46から参照画像G
C’を読み出し(S12)、カメラ4521で撮影した画像G
Cを参照画像G
C’と比較してパターンマッチングにより損傷と看做すことができる画像G
Sの有無を判定する(S13,S14)。損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出すると(S14:YES)、「不合格」と判定し、駆動制御部44は、ステップS29に移行して基板5を基板処理システムXから排出する処理をした後、基板損傷検出処理を終了する。
【0084】
損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出しなければ(S14:NO)、「合格」と判定し、基板損傷検出処理を継続する。また、駆動制御部44は、第1ハンド401を基準位置から前進させて当該第1ハンド401に載置された基板5を処理チャンバー2A内の基板送受位置にセットする処理に移行する。そして、損傷検出部454は、この基板5の搬送期間に、ステップS15〜S21を実行して基板5の領域Bにおける損傷の検出処理を行う(
図11の損傷検出処理)。
【0085】
すなわち、損傷検出部454は、カメラ4521を第1の向き(縦方向撮影の向き)に戻した後(S15)、第1ハンド401の前進移動が開始されると同時にカメラ4521の撮影動作を開始する(S16)。続いて、損傷検出部454は、スライド駆動部41により前進させている第1ハンド401が所定の位置(第1ハンドに載置された基板5の後端5bが撮像部452の位置に到達する位置。
図11参照)に到達すると(S17)、カメラ4521の撮影動作を停止する(S18)。
【0086】
続いて、損傷検出部454は、参照画像メモリ46から参照画像G
B’を読み出し(S19)、カメラ4521で撮影した画像G
Bを参照画像G
B’と比較してパターンマッチングにより損傷と看做すことができる画像G
Sの有無を判定する(S20,S21)。損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出すると(S21:YES)、「不合格」と判定し、駆動制御部44は、ステップS29に移行して基板5を基板処理システムXから排出する処理をした後、基板損傷検出処理を終了する。
【0087】
損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出しなければ(S21:NO)、「合格」と判定し、ステップS22〜S28の処理に移行して基板5の領域Dにおける損傷の検出処理を行う(
図12の損傷検出処理)。すなわち、損傷検出部454は、カメラ4521を第2の向き(横方向撮影の向き)に切り換えた後(S22)、撮像部452のスライド移動とカメラ4521の撮影動作を開始し(S23)、撮像部452が往動開始位置P
Sに到達すると(S24:YES)、撮像部452のスライド移動とカメラ4521の撮影動作を停止する(S25)。
【0088】
続いて、損傷検出部454は、参照画像メモリ46から参照画像G
D’を読み出し(S26)、カメラ4521で撮影した画像G
Dを参照画像G
D’と比較してパターンマッチングにより損傷と看做すことができる画像G
Sの有無を判定する(S27,S28)。損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出すると(S28:YES)、「不合格」と判定し、駆動制御部44は、ステップS29に移行して基板5を基板処理システムXから排出する処理をした後、基板損傷検出処理を終了する。一方、損傷検出部454は、損傷の画像G
Sを検出しなければ(S28:NO)、「合格」と判定し、基板5の排出処理に移行することなく、基板損傷検出処理を終了する。
【0089】
上記の実施形態では、ロードロックチャンバー1Aから基板5を受け取って処理チャンバー2A内にセットするまでの期間に当該基板5の損傷検出処理を1度だけ行っているが、ロードロックチャンバー1Aから基板5を受け取って4つの処理チャンバー2A〜2Dで所定のプロセス処理を行った後、ロードロックチャンバー1Bから基板5を排出するまでの期間に当該基板5の損傷検出処理を複数回繰り返すようにしてもよい。
【0090】
上記の実施形態では、デュアルハンドタイプの基板搬送ロボット4について説明したが、シングルハンドタイプの場合にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【0091】
以上、説明したように、本実施形態によれば、基板搬送ロボット4に基板損傷検出装置45を設けているので、従来のように基板処理システムXのチャンバー毎に基板損傷検出装置を設ける構成に比べて、基板損傷検出装置45の構成を簡単にすることができる。
【0092】
また、スライド駆動部41によって第1,第2ハンド401,402をスライド移動させるタイプの基板処理システムXに対し、撮像素子としてラインセンサを用いたカメラ4521をスライド駆動部41に取り付け、第1,第2ハンド401,402による基板5の前後方向の移動を利用してカメラ4521を基板5に対して相対移動させて当該基板5の左右の側部の画像を取り込むようにしているので、撮像部452の構成を簡単にすることができる。
【0093】
更に、カメラ4521を基板5に対して幅方向(左右方向)にスライド移動可能にし、、第1,第2ハンド401,402による基板5の前後方向の移動とカメラ4521のスライド移動とを組み合わせることにより、カメラ4521で基板5の4つの側部の画像G
A〜G
Dを取り込み、各画像G
A〜G
Dを用いてパターンマッチングにより損傷を検出するようにしているので、基板5の全ての側部について損傷の有無を検査することができる。また、画像G
A〜G
Dを取り込むカメラ4521は1台であるので、撮像部452の構成やカメラ4521の撮影制御の負担を軽減することができる。
【0094】
ところで、上記の実施形態では、第1ハンド401又は第2ハンド402のいずれか一方で基板5を搬送する場合について説明したが、両方のハンド401,402で2枚の基板5を同時に搬送する場合でも各基板5に対して損傷の検出を行うことができる。
【0095】
この場合は、
図17に示すように、第1ハンド401の基準位置を第2ハンド402の基準位置よりも後ろ側(
図17では左側)にずらし、第1ハンド401に載置された基板5(以下、「第1基板5」という。)の先端の位置P
r1と第2ハンド402に載置された基板5(以下、「第2基板5」という。)の先端の位置P
r2をずらすとともに、ガイドレール451を前後方向(
図17では左右方向)に移動可能にスライド駆動部41に取り付ける。
【0096】
第1ハンド401に載置された第1基板5の損傷を検出する場合は、ガイドレール451を位置P
r1に設定して上述した手順で第1基板5の4つの側部について損傷の検出処理を行い、第2ハンド402に載置された第2基板5の損傷を検出する場合は、撮像部452を位置P
r2に設定して上述した手順で第2基板5の4つの側部について損傷の検出処理を行う。
【0097】
この構成では、基板損傷検出装置45の構成を複雑にすることなく、2枚の基板5の損傷の検出を効率良く行うことができる。
【0098】
また、上記の実施形態では、ラインセンサを用いたカメラ4521で基板5を相対的にスキャンして画像を取り込む構成としているが、第1ハンド401を基準位置に収納したときに当該第1ハンド401に載置された基板5の領域A〜Dに対向するように、4つの帯状のエリアセンサをスライド駆動部41に設け、これらのエリアセンサで基板5の領域A〜Dの画像を同時に取り込むようにしてもよい。この構成では、カメラ4521をスキャンさせる構成を必要としないので、構造が簡単になるとともにメンテナンスが容易になるという利点がある。また、4つの画像を同時に取り込むことができるので、基板損傷検出の高速化を図ることができる。
【0099】
また、上記の実施形態では、長方形状の基板5の4つの側部に生じた損傷を全て検出するようにしているが、第2の向きに固定した2つのカメラ4521をガイドレール451の往動開始位置P
Sと往動終了位置P
Eにそれぞれ固定し、基板5の2つの側部の領域A,Bに生じた損傷だけを検出するようにしてもよい。この場合は、2つのカメラ4521に対して向きの切換えやスライド移動をさせる必要がないので、カメラ切換部4522やスライド駆動部453の構成とカメラ4521の切換や撮像部452のスライド移動の制御が不要になる利点がある。
【0100】
また、上記実施形態では、カメラ4521に撮像素子としてラインセンサを1個設けたが、センサの配列方向を互いに直交させた2個のラインセンサを設けるようにしてもよい。この場合は、一方のラインセンサを基板5の縦方向撮影用とし、他方のラインセンサを基板5の横方向撮影用とすることにより、撮像部452のカメラ切換部4522が不要になる利点がある。
【0101】
また、上記実施形態では、長方形の基板5の4つの側部に生じる損傷を検出するための構成としたが、円形の基板5の周縁部に生じる損傷を検出する構成に応用してもよい。例えば、カメラ4521内のラインセンサをセンサの配列方向が基板5の径方向となる向きに設定するとともに、ガイドレール451を基板5の周縁部に沿う円形状にし、カメラ4521を基板5の周縁部に沿ってスキャンさせながら撮影動作をさせると、基板5の周縁部の画像を取り込むことができる。従って、その画像を用いてパターンマッチングにより基板5の周縁部に生じた損傷を検出することができる。