特許第6377926号(P6377926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377926
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/414 20060101AFI20180813BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G01G19/414 H
   G07G1/00 331C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-57713(P2014-57713)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-184013(P2015-184013A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】青山 健吾
(72)【発明者】
【氏名】野々原 靖也
(72)【発明者】
【氏名】中川 祐治
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−135657(JP,A)
【文献】 特開2006−029927(JP,A)
【文献】 特開2009−163330(JP,A)
【文献】 特開2007−310804(JP,A)
【文献】 特開2013−025500(JP,A)
【文献】 特開2013−108817(JP,A)
【文献】 特開平10−105774(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0213695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/414
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる特徴部を有する容器群の中の一の容器及び商品を含む被計量物の計量を客が行う計量装置であって、
前記被計量物を計量する計量部と、
前記互いに異なる特徴部に基づいて前記容器を識別する識別部と、
前記互いに異なる特徴部を有する容器ごとに、定額商品として前記商品の価格を算出するのか、又は、量り売り商品として前記商品の価格を算出するのか、という価格算出情報が、関連付けて記憶されている記憶部と、
前記識別部によって識別された容器に関連付けられている前記価格算出情報に従って前記商品の価格を算出する、価格算出部と、を備え、
前記記憶部には、前記定額商品及び前記量り売り商品の少なくとも一方において、異なる商品と前記商品の単価情報とが関連付けて記憶されており、
前記価格算出部は、前記識別部によって識別された前記容器に関連付けられている前記価格算出情報と、前記客が前記商品の種類を入力又は選択できるようなインタフェイスが表示されたタッチパネルから入力された前記商品に対応する前記単価情報とに基づいて、前記商品の価格を算出する、計量装置。
【請求項2】
前記識別部は、前記容器を撮像する撮像装置によって取得された撮像情報から前記特徴部を抽出し、抽出した前記特徴部に基づいて前記容器を識別する、請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記価格算出部は、前記定額商品として前記商品の価格を算出する場合には、前記撮像装置によって取得された前記撮像情報に基づいて前記商品の個数を推定する、請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記価格算出部は、前記定額商品として前記商品の価格を算出する場合には、前記計量部によって計量された計量値に基づいて前記商品の個数を推定する、請求項1〜3の何れか一項に記載の計量装置。
【請求項5】
前記価格算出部は、前記定額商品として前記商品の価格を算出する場合には、推定された前記商品の個数に基づいて前記商品の価格を算出する、請求項3又は4に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、客が計量を行う計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
客が計量を行う計量装置が知られている。このような計量装置が、例えば、特許文献1(特開平6−92338号公報)に開示されている。特許文献1の計量装置によれば、カメラによって取得された被計量物の撮像データから特徴部を抽出し、抽出された特徴部と記憶部に記憶された商品ごとの特徴部とを照合することにより、被計量物の商品が自動的に特定される。
【0003】
スーパーマーケットなどの店舗の食料品売り場においては、量り売りされる商品の計量及び値付けが、管理者(店員)ではなく、客自身に任される場合がある。そのような商品の計量及び値付けをするために、例えば、上記特許文献1に記載される計量装置を用いることが考えられる。この場合、容器に入れられた商品は自動的に特定され、商品の価格が算出される。ところが、一点あたりの単価が決まっている定額商品と、単位質量あたりの単価が決まっている量り売り商品とが混在する場合には、定額商品と量り売り商品とで商品の価格の算出方法が異なっているため、客は、計量装置において、容器内の商品が定額商品なのか量り売り商品なのかを、何らかの操作(以下、「価格体系選択操作」と称す。)をして入力する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−92338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように計量装置を操作するのは客自身であり、計量装置の扱いに不慣れな客は、適切に価格体系選択操作をできない場合がある。一方、計量装置の扱いに慣れた客が、価格体系選択操作の際に、例えば、金額が安くなるように不正を行うことも考えられる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、定額商品と量り売り商品とが混在する場合であっても、不慣れな客による不適切な操作を防止すると共に、扱いに慣れた客による不正な操作を防止することができる計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の計量装置は、互いに異なる特徴部を有する容器群の中の一の容器及び商品を含む被計量物の計量を客が行う計量装置であって、被計量物を計量する計量部と、互いに異なる特徴部に基づいて容器を識別する識別部と、互いに異なる特徴部を有する容器ごとに、定額商品として商品の価格を算出するのか、又は、量り売り商品として商品の価格を算出するのか、という価格算出情報が、関連付けて記憶されている記憶部と、識別部によって識別された容器に関連付けられている価格算出情報に従って商品の価格を算出する価格算出部と、を備えている。
【0008】
ここでいう「定額商品」とは、一個あたり又は複数個あたりの単価が決まっている商品をいい、「量り売り商品」とは、単位質量あたりの単価が決まっている商品をいう。
【0009】
この構成の計量装置では、記憶部が、互いに異なる特徴部を有する容器ごとに、定額商品として商品の価格を算出するのか、又は、量り売り商品として商品の価格を算出するのか、という価格算出情報を、関連付けて記憶している。このため、容器に入れられた商品が計量部に載置されると、それぞれの容器が有する特徴部に基づいて、互いに異なる特徴部を有する容器群の中から一の容器が識別され、この識別された容器に関連付けられている価格算出情報に従って商品の価格が算出される。これにより、定額商品と量り売り商品とが混在する場合であっても、客は、容器に入れられた商品を計量部に載置するだけで自動的に商品の価格が算出されるので、不慣れな客による不適切な操作を防止することができる。また、容器に入れられた商品が計量部に載置されると自動的に商品の価格が算出されるので、どの客が操作しても同じ商品の価格が算出される。これにより、不正がなされる可能性のある操作を排除できるので、扱いに慣れた客による不正な操作を防止することができる。
【0010】
本発明の計量装置は、識別部は、容器を撮像する撮像装置によって取得された撮像情報から特徴部を抽出し、抽出した特徴部に基づいて容器を識別してもよい。
【0011】
この構成の計量装置では、簡易な構成で、互いに異なる特徴部を有する容器群の中から一の容器を識別することができる。
【0012】
本発明の計量装置では、価格算出部は、定額商品として商品の価格を算出する場合には、撮像装置によって取得された撮像情報に基づいて商品の個数を推定してもよい。
【0013】
この構成の計量装置では、計量装置において商品の個数を入力する操作を省くことができるので、不慣れな客による不適切な操作を防止すると共に、扱いに慣れた客による不正な操作を防止するという効果をより高めることができる。また、客に商品の個数を入力させる構成の計量装置であっても、客によって入力された個数に間違いがないかを確認することができ、客にその旨を報知するなどの対処が可能となる。
【0014】
本発明の計量装置では、価格算出部は、定額商品として商品の価格を算出する場合には、計量部によって計量された計量値に基づいて商品の個数を推定してもよい。
【0015】
この構成の計量装置では、計量装置において商品の個数を入力する操作を省くことができるので、不慣れな客による不適切な操作を防止すると共に、扱いに慣れた客による不正な操作を防止するという効果をより高めることができる。また、客に商品の個数を入力させる構成の計量装置であっても、客によって入力された個数に間違いがないかを確認することができ、客にその旨を報知するなどの対処が可能となる。更に、撮像装置によって取得された撮像情報に基づいて商品の個数を推定できる場合には、クロスチェックが可能となるので、商品の個数の推定精度を高めることができる。
【0016】
本発明の計量装置では、価格算出部は、定額商品として商品の価格を算出する場合には、推定された商品の個数に基づいて商品の価格を算出してもよい。
【0017】
この構成の計量装置では、推定された商品の個数に1個あたりの単価を乗じて算出した価格を商品価格としたり、推定された商品の個数が所定個数以上ある場合には、推定された商品の個数に1個あたりの単価を乗じて算出した価格から一定の割引をした価格を商品価格としたりするなど、推定された商品の個数に基づいた多様な商品価格の算出が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、定額商品と量り売り商品とが混在する場合であっても、不慣れな客による不適切な操作を防止すると共に、扱いに慣れた客による不正な操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る計量装置を含むネットワークの構成図である。
図2】一実施形態に係る計量装置の斜視図である。
図3】一実施形態に係る計量装置のブロック図である。
図4】容器情報記憶部が記憶する容器情報の一例である。
図5】価格算出情報記憶部が記憶する価格算出情報の一例である。
図6】一実施形態に係る計量装置の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
(1)全体構成
図1に示される計量装置1は、スーパーマーケットなどの店舗100の食料品売り場において、客自身による惣菜などの商品の計量に用いられるセルフ式の計量装置である。計量装置1は、客が所望の商品を所望の容器に入れて計量を行った際に、商品の質量値に基づく商品の価格が表示されたラベルを発行する。客は、発行されたラベルを容器に貼って、所望のレジ端末103に持参する。以下、商品が容器に入れられたものを「被計量物」という。
【0022】
計量装置1は、図1に示されるように、店舗100に構築されたネットワーク101を介して店舗サーバ102及び複数のレジ端末103のそれぞれと通信可能となっている。店舗サーバ102は、商品に関する各種情報を記憶している。各レジ端末103は、客に請求する金額の算出、及び客の支払いに対する釣銭の算出などを行う。店舗サーバ102には、各レジ端末103に入力された商品に関する情報(具体的には、商品の価格、商品番号(ID)など)がネットワーク101を介して送られ、当該情報が蓄積される。
【0023】
図2に示されるように、計量装置1は、本体部2、計量皿3及びタッチパネル4を備えている。本体部2には、計量機構(計量部)5が設けられている。計量皿3は、本体部2から上側に突出する計量機構5の皿装着部5aに対して着脱自在に装着されている。タッチパネル4は、本体部2の背面から上側に延在する2本の支柱6によって支持されている。タッチパネル4は、主として客が見たり操作したりするために用いられるが、各種設定等を行う場合には店員が見たり操作したりするために用いられる。
【0024】
ここで、本実施形態では、商品が複数種類ある中で客が自由に好みの商品を容器に入れる販売態様において、量り売り商品及び定額商品のそれぞれで、各商品の単価が同じである場合を例にとって説明する。すなわち、量り売り商品では、どの商品であっても単位質量あたりの単価が同じであり、定額商品では、どの商品であっても1個あたりの単価が同じであるとする。
【0025】
(2)各部構成
図2及び図3に示されるように、計量装置1は、計量皿3、タッチパネル4、計量機構(計量部)5、カメラ(撮像装置)7、人感センサ8、ラベル発行機構9、スピーカ11、店舗側無線部12、通信部13、制御部30、容器情報記憶部41及び価格算出情報記憶部(記憶部)43を備えている。これらの構成要素のうち、計量機構5、ラベル発行機構9、店舗側無線部12、通信部13、制御部30及び容器情報記憶部41及び価格算出情報記憶部43は、本体部2内に収容されている。
【0026】
(2−1)計量皿
計量皿3には、容器及び商品を含む被計量物が載置される。計量皿3は、例えば金属からなり、その表面には、容器を識別し易い色が施されている。例えば、容器が白色である場合には、計量皿3の表面は黒色であることが好ましい。
【0027】
(2−2)計量機構
計量機構5は、計量皿3に載置された被計量物を計量する。計量機構5は、被計量物の質量値(計量信号)を制御部30に送信する。
【0028】
(2−3)カメラ
カメラ7は、タッチパネル4の下側において2本の支柱6に掛け渡された支持部材6aに取り付けられており、計量皿3を含む撮像領域の画像を上側から撮る。カメラ7は、撮像領域の画像データを制御部30に送信する。
【0029】
(2−4)人感センサ
人感センサ8は、カメラ7の左側及び右側に位置するように支持部材6aに取り付けられており、計量皿3周囲における人の存在を検知する。人感センサ8は、例えば赤外線センサ又は超音波による距離センサ等であり、計量装置1の正面側の空間における人の存在を検知する。人感センサ8は、計量皿3周囲における人の存在を検知した際に、その旨を示す信号を制御部30に送信する。
【0030】
(2−5)ラベル発行機構
ラベル発行機構9は、商品の価格が表示されたラベルを客に発行する。ラベル発行機構9は、ラベルカセット及び複数のセンサなどによって構成されており、ラベルカセットから繰り出される用紙に、商品の価格などを印字して、ラベルとして発行する。ラベル用の用紙としては、裏面のみに粘着性を有するものが用いられる。
【0031】
(2−6)タッチパネル
タッチパネル4は、客向けの様々な情報を含む画像を表示する。例えば、タッチパネル4は、客の接近によって人感センサ8が人の存在を検知した際に、購入手順の案内用の画像の表示を開始する。具体的には、タッチパネル4は、被計量物を計量皿3に載置することを客に促す画像、上述したラベルを発行するために、タッチパネル4に表示された発行ボタンを押下することを客に促す画像、及び発行したラベルを容器に貼り付けることを客に促す画像などを表示する。
【0032】
(2−7)スピーカ
スピーカ11は、支持部材6aに内蔵されており、客向けの様々な情報を含む音声を出力する。例えば、スピーカ11は、客の接近によって人感センサ8が人の存在を検知した際に、タッチパネル4による画像の表示に連動した音声を出力する。
【0033】
(2−8)店舗側無線部
店舗側無線部12は、店員が所持する携帯端末と無線通信を行う。例えば、店舗側無線部12は、人感センサ8が客の存在を所定時間以上継続して検知した際に、その旨を示す信号を店員の携帯端末に送信する。これにより、店員は、計量装置1の操作に困惑しているような客に対し、迅速にサービスを提供することができる。なお、店舗側無線部12は、ラベル発行機構9におけるラベルロールの残量が所定量以下となった場合、及び未使用の容器の数が所定数以下となった場合などに、その旨を示す信号を店員の携帯端末に送信してもよい。
【0034】
(2−9)通信部
通信部13は、店舗サーバ102及び複数のレジ端末103のそれぞれと通信を行う。例えば、通信部13は、ラベル発行機構9が発行したラベルに関する情報を店舗サーバ102及び複数のレジ端末103のそれぞれに送信する。ラベルに関する情報としては、ラベルに記載された商品の価格の他、ラベルを発行した時間などが挙げられる。
【0035】
(2−10)容器情報記憶部
容器情報記憶部41は、容器ごとに容器の特徴部を関連付けて記憶する部分である。本実施形態の容器情報記憶部41は、例えば、図4に示すように、容器IDとサイズ情報(長辺サイズ、短辺サイズ)と質量情報とが関連付けられた容器情報T1を記憶している。
【0036】
(2−11)価格算出情報記憶部
価格算出情報記憶部43は、互いに異なる特徴部を有する容器ごとに、定額商品として商品の価格を算出するのか、又は、量り売り商品として商品の価格を算出するのか、という価格算出情報が、関連付けて記憶されている部分である。本実施形態の価格算出情報記憶部43は、例えば、図5に示すように、容器IDと、量り売り商品又は定額商品という価格算出情報とが関連付けられた価格算出特定情報T2を記憶している。
【0037】
(2−12)制御部
制御部30は、計量装置1における各種動作を制御する部分であり、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスクなどで構成される。図3に示すように、制御部30は、計量装置1における各種制御処理を実行する概念的な部分としての識別部31と価格算出部33と、を有している。このような概念的な部分は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。なお、制御部30は、電子回路などによるハードウェアとして構成されてもよい。
【0038】
(2−12−1)識別部
識別部31は、互いに異なる特徴部に基づいて容器を識別する部分である。具体的には、識別部31は、容器を撮像するカメラ7によって取得された画像データ(撮像情報)から容器の特徴部、すなわち容器のサイズ情報を抽出し、抽出したサイズ情報に基づいて容器を特定する。容器のサイズ情報は、例えば、画像データから容器部分を抽出し、抽出された容器部分のピクセル数などに基づいて算出され、容器の長辺サイズ、短辺サイズの他に、例えば円形の容器などの場合、近似させた多角形の辺の合計や、周囲長などからも判断することができる。
【0039】
(2−12−2)価格算出部
価格算出部33は、識別部31によって識別された容器に関連付けられている価格算出情報に従って商品の価格を算出する部分である。具体的には、価格算出部33は、容器情報記憶部41に記憶された容器情報T1の中から、識別部31によって特定された容器に合致する価格算出情報が、量り売り商品であるか定額商品であるかを特定する。
【0040】
価格算出部33は、商品価格を算出する商品が量り売り商品であると特定された場合には、容器情報記憶部41に記憶された容器情報T1の中から、識別部31によって特定された容器IDに合致する質量情報を抽出し、計量機構5によって計量された計量値からこの質量情報の値を差し引いた内容量を算出する。そして、価格算出部33は、この内容量に単位質量あたりの単価を乗じて商品の価格を算出する。
【0041】
価格算出部33は、商品価格を算出する商品が定額商品であると特定された場合には、価格算出部33は、容器に入れられた定額商品の個数を推定する。価格算出部33における定額商品の個数の推定は、カメラ7によって取得された画像データに基づいて個数を推定してもよいし、計量機構5によって計量された質量に基づいて個数を推定してもよい。以下、計量機構5によって計量された質量に基づいて個数を推定する場合を詳細に説明する。
【0042】
計量機構5によって計量された質量に基づいて個数を推定する場合には、価格算出部33は、計量機構5によって計量された計量値から、定額商品を計量する際に入れる容器の質量を差し引いた内容量を算出する。本実施形態では、図4に示すように、定額商品を計量する際の容器(NO.4)は1つしかないので、価格算出部33は、容器情報記憶部41に記憶されている容器情報T1を参照することにより、定額商品を計量する際の容器の質量を得ることができる。価格算出部33は、上述した方法で算出した内容量を、容器情報T1に予め記憶されている商品一つあたりの質量で除することにより、定額商品の個数を推定することができる。
【0043】
価格算出部33は、上述の方法によって推定された商品の個数に基づいて定額商品の価格を算出する。具体的には、価格算出部33は、商品1個あたりの単価に推定された商品の個数を乗じることにより、商品の価格を算出することができる。このとき、価格算出部33は、例えば、商品の個数が5個以上ある場合には、一定率の割引を設定するなどしてもよい。
【0044】
また、価格算出部33は、例えば、商品の個数ごとに対応する商品価格が関連付けられた情報に基づいて商品の価格を算出してもよい。これにより、単純に、商品1個あたりの単価に商品の個数を乗じた商品価格だけでなく、商品の個数が複数以上の場合に割引をするボリュームディスカウントのような商品価格の設定が容易となる。
【0045】
なお、カメラ7によって取得された画像データに基づいて個数を推定する場合には、価格算出部33は、まず、カメラ7によって取得された画像データを処理して特徴画像を抽出する。次に、価格算出部33は、商品画像情報記憶部45に記憶された商品画像情報の中に、抽出した特徴画像が含まれていた場合には、その特徴画像の数をカウントする。これにより、価格算出部33は、カメラ7によって取得された画像データに基づいて、定額商品の個数を推定することができる。
【0046】
(2−11−3)ラベル情報生成部
ラベル情報生成部35は、ラベル発行機構9によって発行されるラベルに表示すべき情報を生成する。当該情報としては、商品の消費期限、商品の単価、価格算出部33によって算出された商品の価格、商品の内容量、商品の個数及び商品の価格を表すバーコードなどが挙げられる。
【0047】
(3)計量時における制御部の処理手順
次に、計量装置1における動作について説明する。店内の客は、商品売り場に置かれている複数種類の容器の中から1つの種類の容器を選択して、その容器に商品を入れる。
【0048】
計量機構5は、客によって計量皿3に載置された一の容器及び商品を含む被計量物を計量する(ステップS1)。計量機構5は、被計量物の計量値を制御部30に出力する。また、カメラ7は、客によって被計量物が計量皿3に載置されると、すなわち、計量機構5から出力された計量信号を受信すると、計量皿3に載置された商品が入れられた容器を撮影し、画像データを取得する(ステップS2)。カメラ7は、撮影した画像データを制御部30に送信する。
【0049】
識別部31は、カメラ7によって取得された画像データから容器における短辺方向及び長辺方向のサイズを特定する(ステップS3)。具体的には、識別部31は、画像データから容器部分の画像を抽出し、例えば、抽出した容器部分の画像のピクセル数に基づいて、容器における短辺方向及び長辺方向のサイズを特定する。
【0050】
次に、識別部31は、容器情報記憶部41に記憶された容器情報T1の中から、ステップS3において特定されたサイズ情報に合致する容器IDを抽出する(ステップS4)。これにより、計量皿3に載置された容器の種類を特定することができる。
【0051】
次に、価格算出部33は、容器情報記憶部41に記憶された容器情報T1の中から、ステップS3において特定した容器IDに合致する価格算出情報を抽出する(ステップS4)。これにより、価格算出部33が、被計量物の商品の価格を量り売り商品として算出するのか、定額商品として算出するのかが決定される(ステップS5)。
【0052】
ステップS5において、被計量物の商品の価格を量り売り商品として算出することが決定された場合には(S5:量り売り商品)、価格算出部33は、容器情報記憶部41に記憶された容器情報T1の中から、ステップS4において特定された容器IDに合致する質量情報を抽出する。次に、価格算出部33は、計量機構5によって計量された計量値からこの質量情報の値を差し引いた内容量を算出する。そして、価格算出部33は、この内容量に単位質量あたりの単価を乗じて商品の価格を算出する(ステップS6)。
【0053】
一方、ステップS4において、被計量物の商品の価格を定額商品として算出することが決定された場合には(S5:定額商品)、価格算出部33は、容器に入れられた定額商品の個数を推定する(ステップS7)。価格算出部33における定額商品の個数の推定は、カメラ7によって取得された画像データに基づいて個数を推定してもよいし、計量機構5によって計量された質量に基づいて個数を推定してもよい。また、カメラ7によって取得された画像データ及び計量機構5によって計量された質量の両方に基づいて個数を推定する(Wチェック・クロスチェック)流れとしてもよい。
【0054】
価格算出部33は、上述の方法によって推定された商品の個数に基づいて定額商品の価格を算出する(ステップS8)。具体的には、価格算出部33は、商品1個あたりの単価に推定された商品の個数を乗じることにより商品の価格を算出する。
【0055】
次に、ラベル情報生成部35は、ラベル発行機構9によって発行されるラベルに表示すべき情報を生成する。つまり、ラベル情報生成部35は、ステップS6又はステップS8において算出された商品の価格を含む情報を生成する。ラベル発行機構9は、ラベル情報生成部35によって生成される情報に基づいて、ラベルに情報を印字する(ステップS8)。ラベル発行機構9は、商品の価格の他に、例えば、消費期限、商品の単価、内容量、商品の価格を表すバーコードなどを印字することができる。
【0056】
客は、このようにしてラベル発行機構9から印字されるラベルを容器に貼付してレジに持っていく。
【0057】
(4)特徴及び作用・効果
上記実施形態の計量装置1では、価格算出情報記憶部43が、互いに異なるサイズ情報を有する容器ごとに、定額商品として商品の価格を算出するのか、又は、量り売り商品として商品の価格を算出するのか、という価格算出情報を関連付けて記憶している。このため、容器に入れられた商品が計量皿3に載置されると、それぞれの容器が有するサイズ情報に基づいて、互いに異なるサイズ情報を有する容器群の中から一の容器が特定され、この特定された容器に関連付けられている価格算出情報に従って商品の価格が算出される。これにより、定額商品と量り売り商品とが混在する場合であっても、客は、容器に入れられた商品を計量皿3に載置するだけで自動的に商品の価格が算出されるので、不慣れな客による不適切な操作を防止することができる。また、容器に入れられた商品が計量皿3に載置されると自動的に商品の価格が算出されるので、どの客が操作しても同じ商品の価格が算出される。これにより、不正がなされる可能性のある操作を排除できるので、扱いに慣れた客による不正な操作を防止することができる。
【0058】
また、上記実施形態の計量装置1では、価格算出部33は、定額商品として商品の価格を算出する場合には、カメラによって取得された画像データに基づいて商品の個数が推定されるか、又は、計量機構5によって計量された計量値に基づいて商品の個数が推定される。したがって、計量装置1において商品の個数を入力する操作を省くことができるので、不慣れな客による不適切な操作を防止すると共に、扱いに慣れた客による不正な操作を防止するという効果をより高めることができる。
【0059】
また、上記実施形態の計量装置1では、価格算出部33は、定額商品として商品の価格を算出する場合には、推定された商品の個数に基づいて商品の価格を算出している。したがって、推定された商品の個数に1個あたりの単価を乗じて算出した価格を商品価格としたり、推定された商品の個数が所定個数以上ある場合には、推定された商品の個数に1個あたりの単価を乗じて算出した価格から一定の割引をした価格を商品価格としたりするなど、推定された商品の個数に基づいた多様な商品価格の算出が可能になる。
【0060】
(5)変形例
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
<変形例1>
上記実施形態の計量装置1では、カメラによって撮像された画像データからサイズ情報を抽出し、このサイズ情報に基づいて容器を識別する方法を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、カメラによって撮像された画像データから容器の形状、色、素材及び質感などの特徴部を抽出し、抽出された特徴部に基づいて容器を特定してもよい。
【0062】
また、計量装置1は、可視光の照明を更に備えてもよい。この場合、店舗の照明環境によっては影などの色ムラが生じることがあるが、可視光の照明を備えることで、色ムラが少なくなり、容器の識別が行いやすくなる。また、計量装置1は、可視光の照明の代わりにブラックライトを備えていてもよい。この場合、例えば、ブラックライトに反応する特殊塗料によって容器が識別できる情報を特徴部として容器に付加する。上記情報がブラックライトによって反応した状態の容器をカメラによって撮影することにより、容器を識別することができる。
【0063】
また、計量装置1は、カメラの代わりにコードリーダ、IC(integratedcircuit)リーダ又はRFID(Radio Frequency Identification)リーダを備える構成としてもよい。コードリーダの場合には、容器の種類が特定できるコードを容器に貼付すれば、容器を識別することができる。この場合のコードは、一次元バーコードであってもよいし、二次元バーコードであってもよい。ICリーダの場合には、容器の種類が特定できるICタグを容器に貼付すれば、容器を識別することができる。RFIDリーダの場合には、容器の種類が特定できるICタグを容器に貼付すれば、容器を識別することができる。
【0064】
また、計量装置1は、カメラの代わりにX線装置を備える構成としてもよい。この場合であっても、容器の種類が特定できる金属片などを容器に固着すれば、容器を識別することができる。
【0065】
<変形例2>
上記実施形態の計量装置1では、被計量物の商品の価格を定額商品として算出することが決定された場合、価格算出部33が、容器に入れられた定額商品の個数を推定する例を挙げて説明した。本発明はこれに限定されるものではない。例えば、被計量物の商品の価格を定額商品として算出することが決定された場合、客が商品の個数を入力できるようなインタフェイスをタッチパネル4に表示する構成としてもよい。そして、価格算出部33は、この客に入力された商品の個数に基づいて商品の価格を算出してもよい。
【0066】
また、上述したように商品の個数を客に入力させる構成の計量装置であっても、価格算出部33は、上記実施形態で説明したような方法により、容器に入れられた定額商品の個数を推定してもよい。これにより、タッチパネル4から客が入力した商品の個数に間違いがないかを確認できると共に、入力間違いの可能性がある場合には、タッチパネル4及びスピーカ11などを介してその旨を客に報知することができる。
【0067】
<変形例3>
上記実施形態の計量装置1では、量り売り商品においては、どの商品であっても単位質量あたりの単価が同じであり、定額商品においては、どの商品であっても1個あたりの単価が同じである場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの場合に使用が限定されるものではない。例えば、量り売り商品において、商品ごとに単位質量あたりの単価が異なり、また、定額商品において、商品ごとに1個あたりの単価が異なるような場合であっても、以下のような機能を備えることで使用が可能となる。
【0068】
例えば、客が商品の種類を入力(選択)できるようなインタフェイスをタッチパネル4に表示する機能を設けてもよい。このようなインタフェイスを表示させるタイミングは、商品の価格を算出するステップ(図6に示す、ステップS6又はステップS8)までであれば、どのタイミングであってもよい。価格算出部33は、客によって入力された商品に対応する単位質量あたりの単価又は1個あたりの単価に基づいて、商品の価格を算出することができる。
【0069】
また、識別部31が、計量皿3に載置された容器の中の商品を自動的に識別できるような機能を有していてもよい。具体的には、商品ごとに商品の特徴画像を関連付けて記憶する部分である商品画像情報記憶部45(図3参照)を新たに設ける。商品画像情報記憶部45には、例えば、商品IDと単価情報と特徴画像とが関連付けられた商品画像情報を記憶させる。ここで特徴画像とは、カメラなどによって取得できる商品の画像データを処理して商品の特徴を抽出したデータをいう。
【0070】
識別部31は、カメラ7によって取得された画像データを処理して撮像した商品の特徴を抽出する。次に、識別部31は、商品画像情報記憶部45に記憶された商品画像情報の中から、先に識別部31によって抽出された商品の特徴画像に合致する商品ID及び単価情報を抽出する。価格算出部33は、商品の価格を算出する際に(ステップS6又はステップS8)、抽出された商品の単価情報に基づいて商品の価格を算出する。
【0071】
例えば、上述した2つの構成の何れかを採用することにより、定額商品と量り売り商品とが混在するだけでなく、定額商品及び量り売り商品の少なくとも一方において、商品ごとに異なる単価が設定されている場合であっても、客は、容器に入れられた商品を計量皿3に載置するだけで自動的に商品の価格が算出されるので、不慣れな客による不適切な操作を防止することができる。また、容器に入れられた商品が計量皿3に載置されると自動的に商品の価格が算出されるので、どの客が操作しても同じ商品の価格が算出される。これにより、不正がなされる可能性のある操作を排除できるので、扱いに慣れた客による不正な操作を防止することができる。
【0072】
以上説明した種々の実施形態及び変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々、組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…計量装置、2…本体部、3…計量皿、4…タッチパネル、5…計量機構(計量部)、7…カメラ(撮像装置)、8…人感センサ、9…ラベル発行機構、30…制御部、31…識別部、33…価格算出部、35…ラベル情報生成部、41…容器情報記憶部(記憶部)、43…価格算出情報記憶部、45…商品画像情報記憶部、100…店舗、T1…容器情報、T2…価格算出特定情報。
図1
図2
図3
図4
図5
図6