(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御回路は、前記OB画素領域の各画素を読み出す期間において、前記リセット部への前記リセット信号の供給と、前記供給によりリセットされた前記電荷保持部の電圧に応じた信号レベルの信号の出力とを、前記OB画素領域の各画素について複数回実施し、
前記信号処理部は、前記OB画素領域の画素それぞれから信号の入力を複数回受け付けて、受け付けた複数回の信号レベルに基づいて各画素について前記ノイズを低減させた信号レベルを取得する、請求項1に記載の固体撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
<実施の形態1>
図面を参照して実施の形態1の固体撮像素子および電子機器について説明する。
【0016】
<構成>
図1は、実施の形態1の固体撮像素子を備える電子機器100の構成を示すブロック図である。電子機器100は、各画素への電荷の蓄積タイミングおよび蓄積期間を同期させるグローバルシャッタ動作を行う。
図1に示すように、電子機器100に含まれる固体撮像素子10は、水平走査回路21と、A/D(analog to digital)変換器22と、画素電流源&S/H回路23と、垂直走査回路24と、画素アレイ25と、デジタル信号処理器26と、画素電流源&S/H回路27と、A/D変換器28と、水平走査回路29と、デジタル信号処理器30と、タイミング発生回路31とを備える。
【0017】
画素アレイ25は、複数の画素(
図1では、一部の画素として、画素32Aと画素32Bとを示している)を2次元に配列して構成される。画素アレイ25の各画素は、詳しくは後述するが、光電変換素子を含んでおり、入射光量に応じて電荷を蓄積する。
【0018】
図1に示すように、画素アレイ25に含まれる各画素は、
図1の画素アレイ25内部の上側の領域と下側の領域とに2分割される。画素32Aは、上側の領域に含まれる画素であり、画素32Bは、下側の領域に含まれる画素である。上側の領域に含まれる各画素は、画素電流源&S/H回路23、A/D変換器22、水平走査回路21およびデジタル信号処理器26と対応している。上側の領域に含まれる各画素(例えば、画素32A)の信号は、画素電流源&S/H回路23へ転送される。下側の領域に含まれる各画素は、画素電流源&S/H回路27、A/D変換器28、水平走査回路29およびデジタル信号処理器30と対応している。下側の領域に含まれる各画素(例えば、画素32B)の信号は、画素電流源&S/H回路27へ出力される。
【0019】
画素アレイ25は、行ごとに、
図1の左右方向に沿って各画素を駆動するための駆動線を含む。また、画素アレイ25は、列ごとに、
図1の上下方向に沿って各画素を駆動するための垂直駆動線を含む。固体撮像素子10は、図示しない行デコーダ、列デコーダ、パワーアンプ等を備え、アドレスを指定するためのアドレス制御信号に応じてこれら行方向の駆動線および列方向の駆動線に駆動信号を印加する。これにより、固体撮像素子10は、露光または読み出し対象の画素を選択し、選択した画素の露光制御、または画素信号の読み出しを行う。
【0020】
垂直走査回路24は、各画素に駆動信号を供給して、各画素に蓄積される電荷の画素電流源&S/H回路23への転送を制御する。垂直走査回路24は、固体撮像素子10の露光時における各画素の駆動と、各画素から信号を読み出す時の駆動とを制御する。
【0021】
垂直走査回路24は、アドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ25の各画素を、全ての画素について一度に、または行単位で駆動する。垂直走査回路24は、画素アレイ25の各画素から信号を読み出すための読み出し走査と、各画素の電荷を掃き出すための掃き出し走査と、全画素について一括して信号を掃き出すための駆動と、全画素について一括して信号を読み出すための駆動とを行うための構成を有する。
【0022】
固体撮像素子10がグローバルシャッタ動作を行う場合、垂直走査回路24は、例えば一括して各画素の信号を掃き出す動作をする。このようにして、各画素の光電変換素子から電荷がリセットされる。固体撮像素子10は、電子シャッタ動作を行い、新たに露光を開始する。各画素は、光電変換部を含み、光信号を電荷信号に変換することで画素内に電荷を保持する。露光期間の終了後、垂直走査回路24は、例えば行ごとに各画素に蓄積された電荷を読み出す読み出し走査を行うことで、蓄積された電荷に応じた電圧(信号レベル)の信号を各画素から画素電流源&S/H回路23または画素電流源&S/H回路27へ転送させる。垂直走査回路24は、各画素に保持される電荷をリセットし、リセット後の電圧(リセットレベル)の信号を各画素から画素電流源&S/H回路23または画素電流源&S/H回路27へ転送させる。これら信号レベルに応じた信号と、リセットレベルの信号とは、画素電流源&S/H回路23のS/H回路または画素電流源&S/H回路27のS/H回路へそれぞれ保持される。
【0023】
画素電流源&S/H回路23と画素電流源&S/H回路27とは、画素アレイ25の各画素に対応する各垂直駆動線に供給するための定電流を生成する。また、画素電流源&S/H回路23と画素電流源&S/H回路27とは、画素アレイ25の各画素から出力される信号(各画素に蓄積された電荷に応じた信号レベルの信号と、リセットレベルの信号)を、S/H回路により保持する。
【0024】
A/D変換器22は、画素電流源&S/H回路23からアナログ信号の入力を受けてデジタル信号へと変換する。A/D変換器28は、画素電流源&S/H回路27からアナログ信号の入力を受けてデジタル信号へと変換する。A/D変換器22と、A/D変換器28とは、画素アレイ25に含まれる各画素の列ごとに設けられる。A/D変換器22とA/D変換器28とは、ある画素について、画素に蓄積された電荷に応じた信号レベルの信号と、リセットレベルの信号との差分に基づいてA/D変換することで、画素ごとのオフセットを除去したデジタルの画素信号を得る。
【0025】
水平走査回路21は、画素アレイ25の列ごとに配置されたA/D変換器22に保持される各列のデジタル信号を、順次、デジタル信号処理器26へ転送する。水平走査回路29は、画素アレイ25の列ごとに配置されたA/D変換器28に保持される各列のデジタル信号を、順次、デジタル信号処理器30へ転送する。
【0026】
デジタル信号処理器26は、水平走査回路21の制御によってA/D変換器22から転送されるデジタル信号を受け付けて信号処理を行い、信号処理後の信号を固体撮像素子10から出力する。信号処理とは、例えば、固定パターンノイズ(FPN)などのノイズ除去処理などである。デジタル信号処理器30は、水平走査回路29の制御によってA/D変換器28から転送されるデジタル信号を受け付けて信号処理を行い、信号処理後の信号を固体撮像素子10から出力する。
【0027】
タイミング発生回路31は、垂直走査回路24、画素電流源&S/H回路23等を駆動するタイミングを制御するための信号を生成して固体撮像素子10の各回路の駆動を制御する。タイミング発生回路31は、タイミングジェネレータ等によって構成される。
【0028】
図2は、画素アレイ25に含まれる各画素の構成を示す図である。
図2に示すように、画素アレイ25は、有効画素を含む有効画素領域と、OB(optical black)画素を含むOB画素領域とから構成される。
【0029】
OB画素領域は、垂直OB画素51と、垂直OB画素52と、水平OB画素53と、水平OB画素54とを含む。垂直OB画素51と垂直OB画素52とは、例えば、数行×数千列の画素により構成される。水平OB画素53と水平OB画素54とは、例えば、数千行×数列の画素により構成される。有効画素領域に含まれる有効画素は、例えば、数千行×数千列の2次元配列された画素により構成される。
【0030】
固体撮像素子10は、OB画素領域に含まれる各画素に光が入射しないように、メタル配線等で遮光している。このようなOB画素領域の各画素は、黒色の基準となる信号レベルを得るために用いられている。OB画素領域の各画素の信号レベルに応じて有効画素領域に含まれる各有効画素の信号レベルを補正することで、有効画素のオフセット成分を除去することができる。例えば、各画素の列ごとに、有効画素の信号レベルから、OB画素領域の画素の信号レベルを減算することで、列ごとに固定パターンノイズ(FPN)やシェーディングなどのノイズを除去することができる。
【0031】
図3は、画素、画素電流原およびS/H回路の詳細な構成を示す図である。
図3の例は、画素アレイ25の任意の画素の列と、その列に対応するS/H回路等を示している。
図3に示すように、各画素(画素32−1、画素32−2、画素32−3、・・・画素32−nのN個の画素を示す)からなる列について、S/H回路77と、S/H回路78と、差動増幅回路79とが対応付けられている。画素32(
図3では、画素32−nの詳細を示す)は、フォトダイオード71と、転送ゲート72と、浮遊拡散領域73と、リセットトランジスタ74と、増幅トランジスタ75と、選択トランジスタ76とを含む。
【0032】
フォトダイオード71(PD)は、光を受光して、受光した光量に応じた電荷を生成して蓄積する。フォトダイオード71は、光電変換部として機能する。フォトダイオード71のアノードは接地されており、フォトダイオード71のカソードは転送ゲート72のソースに接続されている。
【0033】
転送ゲート72(MT)は、フォトダイオード71に蓄積される電荷を、駆動信号TXに応じて浮遊拡散領域73へ転送する転送部として機能する。転送ゲート72のドレインは、リセットトランジスタ74のドレインおよび増幅トランジスタ75のゲートに接続される。この接続点が、浮遊拡散領域73を構成する。
【0034】
浮遊拡散領域73(FD)は、転送ゲート72を介して転送される、フォトダイオード71に蓄積される電荷を受け付けて、電圧に変換する電荷保持部として機能する。固体撮像素子10がグローバルシャッタ動作を行う場合、浮遊拡散領域73は、露光期間中にフォトダイオード71に蓄積された電荷を保持する。
【0035】
リセットトランジスタ74(MR)は、浮遊拡散領域73に保持される電圧をリセットするリセット部として機能する。リセットトランジスタ74のソースは、電源電圧Vddに接続されている。リセットトランジスタ74は、例えば垂直走査回路24から供給される駆動信号RSTに従って、浮遊拡散領域73に蓄積される電荷の排出をオンまたはオフにする。例えば、リセットトランジスタ74は、Hレベルの駆動信号RSTが供給されることで、浮遊拡散領域73を電源電圧Vddにクランプする。これにより浮遊拡散領域73に蓄積される電荷を排出する(浮遊拡散領域73の電圧をリセットする)。リセットトランジスタ74は、Lレベルの駆動信号RSTが供給されることで、浮遊拡散領域73を電気的に浮遊状態にする。
【0036】
増幅トランジスタ75は、浮遊拡散領域73に蓄積されている電荷に応じた電圧を増幅し、増幅後の電圧(電荷保持部の電圧に応じた信号レベルの信号)を、選択トランジスタ76を介して垂直駆動線へ出力する。
【0037】
選択トランジスタ76は、例えば垂直走査回路24から供給される駆動信号SELに従って、増幅トランジスタ75から出力される電圧(電荷保持部の電圧に応じた信号レベルの信号)の、垂直駆動線への出力をオンまたはオフにする。例えば、選択トランジスタ76は、Hレベルの駆動信号SELが供給されることで、増幅トランジスタ75からの信号を垂直駆動線に出力し、Lレベルの駆動信号SELが供給されると、増幅トランジスタ75からの信号の垂直駆動線への出力を停止する。N行目の画素について垂直走査回路24から供給される駆動信号SELがHレベルのとき、N行目の画素に含まれる増幅トランジスタ75と電流源とによってソースフォロワ型(SF(Source Follower)型)のアンプが形成される。このSF型のアンプによって選択された行の画素信号が読み出され、S/H回路(S/H回路77またはS/H回路78)に保持される。
【0038】
S/H回路(
図3の例では、S/H回路77とS/H回路78)は、クロック信号によってサンプル値の取り込みのタイミングが制御される。
図3の例では、S/H回路77は、クロック信号CLK1に応じて、増幅トランジスタ75から選択トランジスタ76を介して垂直駆動線へ出力される信号を保持する。S/H回路78は、クロック信号CLK2に応じて、増幅トランジスタ75から選択トランジスタ76を介して垂直駆動線へ出力される信号を保持する。
【0039】
クロック信号は、垂直走査回路24が、各画素から各画素に蓄積された電荷に応じた信号レベルの信号を出力させるタイミングと、リセットレベルの信号を出力させるタイミングとに応じてS/H回路77およびS/H回路78に入力される。例えば、S/H回路77は、各画素に蓄積された電荷に応じた信号レベルの信号が出力されるタイミングでクロック信号CLK1の入力を受け付ける。S/H回路78は、リセットレベルの信号が各画素から出力されるタイミングでクロック信号CLK2の入力を受け付ける。
【0040】
差動増幅回路79は、S/H回路77に保持される信号レベルと、S/H回路78に保持されるリセットレベルとの差分を示す信号を後段のA/D変換器(A/D変換器22またはA/D変換器28)へ出力する。
【0041】
A/D変換器(A/D変換器22またはA/D変換器28)は、信号レベルとリセットレベルの差分に基づいて、信号のA/D変換をする。これにより、SF型のアンプのばらつきを解消することができる。
【0042】
図4は、垂直走査回路24の構成を示す図である。垂直走査回路24は、画素32に含まれる各トランジスタを駆動するための駆動信号を生成して画素32へ供給する。
図4に示すように、垂直走査回路24は、主要な構成として、デコード回路201と、垂直走査回路24の各行に対応して設けられるAND回路部92(AND回路部92−1、AND回路部92−2、AND回路部92−3、・・・AND回路部92−n)とを含む。デコード回路201は、タイミング発生回路31から入力されるアドレス信号をデコードし、画素アレイ25に含まれる各画素の行を選択する。デコードされたアドレス信号は、AND回路部92に含まれる各AND回路に入力される。
【0043】
選択信号出力部94は、駆動信号SELを生成し、生成した駆動信号SELを、AND回路部92に対応する行の各画素へ供給するための回路である。選択信号出力部94は、デコード回路201からのアドレス信号のデコード結果を示す信号と、タイミング発生回路31から供給されるクロック信号SEL0とのANDをとることで、駆動信号SELを生成する。
【0044】
転送信号出力部95は、駆動信号TXを生成し、生成した駆動信号TXを、AND回路部92に対応する行の各画素へ供給するための回路である。転送信号出力部95は、デコード回路201からのアドレス信号のデコード結果を示す信号と、タイミング発生回路31から供給されるクロック信号TX0とのANDをとることで、駆動信号TXを生成する。
【0045】
リセット信号出力部96は、駆動信号RSTを生成し、生成した駆動信号RSTを、AND回路部92に対応する行の各画素へ供給するための回路である。リセット信号出力部96は、デコード回路201からのアドレス信号のデコード結果を示す信号と、タイミング発生回路31から供給されるクロック信号RST0と、タイミング発生回路31から供給される制御信号OB0のANDをとることで、駆動信号RSTを生成する。
【0046】
なお、実施の形態1では、制御信号OB0の出力を反転させた信号をリセット信号出力部96に入力されるものとする。すなわち、制御信号OB0がHレベルの場合、選択中の画素へはリセット信号がリセット信号出力部96から出力されない。制御信号OB0がLレベルの場合、選択中の画素へはリセット信号がリセット信号出力部96から出力される。すなわち、タイミング発生回路31は、垂直OB画素51および垂直OB画素52などのOB画素領域の画素へは駆動信号RSTを出力しないことで、リセットトランジスタ74によるリセットに伴うランダムなリセットノイズの影響を低減する。
【0047】
<動作>
図5は、実施の形態1における露光制御および画素の読み出し制御を示す図である。固体撮像素子10は、グローバルシャッタ動作を行い、露光期間において各画素に光電変換により電荷を蓄積させる。垂直走査回路24は、読み出しのタイミングにおいて、OB画素領域と有効画素領域とでそれぞれ異なる駆動信号を供給する。これにより、OB画素領域から、リセットノイズを低減させた信号を読み出して、読み出した信号と、有効画素領域から読み出した信号との差分に基づいて、有効画素領域の各画素の画像信号を出力する。
【0048】
図5において、横軸は時間軸を示し、駆動信号SEL、駆動信号RST、駆動信号TX、クロック信号CLK1、クロック信号CLK2、制御信号OB、各画素の信号pixoutの遷移を示す。
【0049】
垂直走査回路24は、露光の開始前に、全画素の駆動信号RSTをHレベルに遷移させ、全画素の浮遊拡散領域73のノードを、リセットトランジスタ74によって電源に短絡させる。これにより、浮遊拡散領域73の容量の電荷をリセットする。垂直走査回路24は、全画素について駆動信号TXをHレベルに遷移させ、フォトダイオード71に蓄積された電荷を全て浮遊拡散領域73に転送することでフォトダイオード71をリセットする。駆動信号TXをLレベルに遷移させた時点から、露光期間が開始する。
【0050】
垂直走査回路24は、露光期間の終了前に、全画素の駆動信号RSTをHレベルに遷移させ、全画素の浮遊拡散領域73のノードをリセットする。垂直走査回路24は、全画素の駆動信号TXをHレベルに遷移させ、フォトダイオード71に蓄積された電荷が浮遊拡散領域73に転送され、浮遊拡散領域73において保持される。これらの動作により、固体撮像素子10は、全画素が同時に露光するグローバルシャッタ機能を実現する。
【0051】
露光期間の終了後、垂直走査回路24は、各画素からの信号を読み出すための読み出し動作を行う。
図5の例では、画素アレイ25の上側の領域にある画素32Aから信号が読み出される例を示す。画素アレイ25の画素の1行目と2行目がOB画素領域(
図2の垂直OB画素51の配置される領域)であるとし、3行目以降は有効画素領域であるとする。各画素からの信号を読み出すための読み出し動作において、垂直走査回路24は、行ごとに読み出し動作を行う。垂直走査回路24は、OB画素領域の画素からの信号を読み出す場合は、制御信号OBをHレベルにすることにより、駆動信号RSTを画素32へ供給しない。そのため、垂直走査回路24は、OB画素領域の画素からは、リセットノイズがない信号をS/H回路77とS/H回路78とへ保持させる。OB画素領域の画素から読み出された信号は、A/D変換が行われ、デジタル信号処理器26において、有効画素領域の各画素の信号レベルとの差分を得るために用いられる。
【0052】
有効画素領域の画素からの信号を読み出す場合(3行目以降の画素)、垂直走査回路24は、クロック信号CLK1により、各画素に蓄積された電荷に応じた信号レベルの信号をS/H回路77に保持させる。その後、垂直走査回路24は、駆動信号RSTを各画素へ供給して浮遊拡散領域73をリセットし、クロック信号CLK2により、リセットレベルの信号をS/H回路78に保持させる。これらS/H回路に保持された信号は、後段の回路により信号処理が行われ、固体撮像素子10の外部へ出力される。4行目以降に画素についても同様に各画素に蓄積された電荷に応じた信号レベルの信号と、リセットレベルの信号とをS/H回路に保持させる。これにより、固体撮像素子10は、各画素から1行ごとに画像信号を読み出すことができる。画素アレイ25の下側の領域にある画素32Bが読み出される場合は、露光期間が終了した後、
図2に示される垂直OB画素52が下側(画素電流源及びS/H回路27に近い側)から順に信号が読み出される。次いで、有効画素が下側から順に信号が読み出される。よって露光期間の終了後、上側及び下側のそれぞれ垂直OB画素51、52からのそれぞれ信号は同じサイクル(
図5に示すOB期間)で順次読み出される。その後、画素アレイ25の上側の領域、下側の領域からのそれぞれ信号は同じサイクル(
図5のActive期間)で順次読み出される。後述する実施の形態においても同様である。
【0053】
<実施の形態1のまとめ>
図5に示すように、OB画素領域(
図5の例では、1行目および2行目の画素)の画素から信号を読み出す場合は、垂直走査回路24は、駆動信号RSTを遷移させない。これにより、リセットノイズの影響が低減された、低雑音の信号レベルをOB画素領域から読み出すことができる。
【0054】
ここで、本実施形態の固体撮像素子10とは異なり、有効画素領域と同様に、OB画素領域についても、画素からの信号の読み出し動作において駆動信号RSTを供給する場合、OB画素領域の画素からのデジタル信号にリセットノイズが重畳される。そのため、このOB画素領域の画素からのデジタル信号を用いて、有効画素領域の各画素のデジタル信号から減算をすると、リセットノイズが重畳される。
【0055】
これに対し、実施の形態1の固体撮像素子10においては、露光期間において全画素に対し駆動信号RSTを供給する際にリセットノイズが生じ得る。そこで、固体撮像素子10は、画素からの信号を読み出すための読み出し動作において、クロック信号CLK1およびクロック信号CLK2により、浮遊拡散領域73の信号を2回サンプリングしている。すなわち、固体撮像素子10は、これらサンプリングした信号の差分に基づくA/D変換を行うことで、リセットノイズを除去したデジタル信号を得る。固体撮像素子10は、このOB画素領域についてリセットノイズが除去されたデジタル信号を用いて、有効画素領域の各画素のデジタル信号から減算をすることで、FPN、シェーディングなどのノイズを除去することができる。
【0056】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2の固体撮像素子および電子機器について説明する。実施の形態2では、固体撮像素子10は、OB画素領域の画素からの信号の読み出しを複数回実施する。デジタル信号処理器26は、OB画素領域の画素それぞれから信号の入力を複数回受け付けて、受け付けた複数回の信号レベルに基づいて、信号レベルを平均化すること等により、OB画素領域の各画素の信号レベルを低雑音化する。
【0057】
図6は、実施の形態2の固体撮像素子および電子機器のタイミング発生回路31に含まれるアドレス生成部33の構成を示す図である。
図6に示すように、アドレス生成部33は、OBカウンタ97と、比較器98と、アドレスカウンタ99とを含む。アドレス生成部33によって生成されたアドレスは、タイミング発生回路31から垂直走査回路24へ出力される。
【0058】
アドレスカウンタ99は、カウントアップするカウンタであり、垂直走査回路24へ、画素アレイ25の各列のアドレスを出力する。
【0059】
OBカウンタ97は、順次、カウントアップするカウンタであり、カウント値を比較器98へ出力する。
【0060】
比較器98は、OBカウンタ97からの出力値と、予め定められた制御値とを受け付けて、OBカウンタ97の出力が制御値よりも低い場合は、アドレスカウンタ99のカウント値をリセットするための信号をアドレスカウンタ99へ出力する。比較器98は、OBカウンタ97の出力が制御値よりも高い場合は、アドレスカウンタ99をリセットするための信号を停止する。これにより、アドレスカウンタ99は、各列のアドレスを、順次、垂直走査回路24へ供給する。
【0061】
<実施の形態2の動作>
図7は、実施の形態2における露光制御および画素の読み出し制御を示す図である。
図7に示すように、OB画素領域の各画素について、読み出し期間において駆動信号RSTにより浮遊拡散領域73の電荷をリセットしている。そのためOB画素領域の各画素から読み出される信号には、リセットノイズが含まれ得る。
【0062】
実施の形態2において、OB画素領域の画素(
図7の例では、1行目および2行目の画素)から信号を読み出す場合、固体撮像素子10は、複数回にわたって各画素から読み出しを行う。
図7の例では、OB画素領域の画素である1行目の画素と2行目の画素からの信号の読み出しが繰り返し行われる。
【0063】
<実施の形態2のまとめ>
OB画素領域の各画素から複数回にわたって読み出された信号は、それぞれA/D変換器22またはA/D変換器28によってA/D変換される。A/D変換により得られる各回のデジタルデータは、デジタル信号処理器26またはデジタル信号処理器30において平均化される。この平均化により、OB画素領域の各画素の信号レベルからリセットノイズ、SF型アンプ、S/H回路の雑音を低減する。固体撮像素子10は、この平均化されたOB画素領域の各画素のデジタルデータを用いて、有効画素領域の各画素の信号レベルのデジタルデータから列ごとに減算を行う。これにより、有効画素領域の各画素のデジタル信号から、FPN、シェーディングなどのノイズを除去することができる。
【0064】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3の固体撮像素子および電子機器について説明する。実施の形態3では、OB画素領域の各画素は、有効画素領域の各画素とは異なり、バイアス電圧の入力を受け付けて、駆動信号SELに応じて、バイアス電圧に応じた信号を垂直駆動線へ出力する。ここで、バイアス電圧を、有効画素領域の各画素のリセットレベル付近に設定する。
【0065】
図8は、実施の形態3の各画素の構成を示す図である。
図8では、有効画素領域に含まれる画素として、単位画素62−1、単位画素62−2を示し、OB画素領域に含まれる画素として、単位画素62−(n−1)、単位画素62−nを示す。また、単位画素62−1〜単位画素62−nは、画素アレイ25に含まれる各画素のうち、任意の1つの列を示す。
【0066】
図9は、実施の形態3における露光制御および画素の読み出し制御を示す図である。
OB画素領域に含まれる各画素(例えば、単位画素62−n)は、増幅トランジスタ81と、選択トランジスタ82とを含む。垂直走査回路24から供給される駆動信号SELが、単位画素62−nが含まれる行においてHレベルの場合、単位画素62−nの増幅トランジスタ81と選択トランジスタ82とソースフォロワ(SF型)のアンプが構成される。OB画素領域の各画素は、バイアス電圧Vbを入力電圧とするSF型のアンプから電圧を垂直駆動線へ出力する。
【0067】
このように構成される単位画素62−nによると、垂直走査回路24は、OB画素領域の各画素に対し、駆動信号RSTを供給しない。また、クロック信号CLK1によってS/H回路77に保持される信号と、クロック信号CLK2によってS/H回路78に保持される信号とは、いずれも、バイアス電圧Vbを入力とするSF型のアンプの出力である。そのため、差動増幅回路79によって得られるS/H回路77とS/H回路78との差分に基づいてA/D変換器22またはA/D変換器28でA/D変換された変換結果からは、変換結果にリセットノイズが含まれていない。OB画素領域の各画素からの信号をA/D変換した結果を用いて、デジタル信号処理器26またはデジタル信号処理器30が有効画素領域の各画素の信号レベルのデジタルデータから減算することにより、FPN、シェーディングなどのノイズを除去して低雑音化することができる。
【0068】
<実施の形態3のまとめ>
実施の形態3の固体撮像素子および電子機器によると、OB画素領域の各画素は、有効画素領域の各画素と比較して、フォトダイオード71などの素子を含まない。そのため、OB画素領域の各画素に対し、駆動信号TX、駆動信号RSTなどを供給する必要がなく、これら画素アレイ25の各画素を駆動するための垂直走査回路24を小面積化することができる。
【0069】
あるいは、OB画素領域の各画素と、有効画素領域の各画素とに対し、一様に制御信号を供給することもでき、この場合、垂直走査回路24の構成を単純化することができる。ただし、この場合、駆動信号RSTおよび駆動信号TXは、OB画素領域の各画素の駆動に用いられないため、フローティング出力であるとする。
【0070】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4の固体撮像素子および電子機器について説明する。
【0071】
図10は、実施の形態4の各画素の構成を示す図である。実施の形態4では、実施の形態1と比較すると、各画素において、グローバルリセットトランジスタ83が含まれる。
図10では、画素アレイ25に含まれる各画素のうち、任意の1つの列を示す。
【0072】
単位画素63−nに示すように、各画素に含まれるグローバルリセットトランジスタ83は、グローバルリセット信号GRによって駆動される。グローバルリセットトランジスタ83のソースは、電源電圧Vddに接続される。グローバルリセット信号GRがHレベルとなることで、全画素について、フォトダイオード84が電源電圧Vddに短絡され、フォトダイオード84の電荷がリセットされる。
【0073】
図11は、実施の形態4における露光制御および画素の読み出し制御を示す図である。
図12は、垂直走査回路24の構成を示す図である。
図12に示すように、垂直走査回路24において、AND回路部93は、グローバルリセット信号出力部91を含む。グローバルリセット信号出力部91は、デコード回路201からのアドレス信号のデコード結果を示す信号と、タイミング発生回路31から供給されるグローバルリセット制御信号GR0とのANDをとることで、グローバルリセット信号GRを生成する。
【0074】
図11に示すように、垂直走査回路24は、露光期間の開始前に、全画素のグローバルリセット信号GRをHレベルに遷移させる。これにより、全画素について、フォトダイオード84の電荷がリセットされる。垂直走査回路24は、グローバルリセット信号GRをLレベルに遷移させて露光を開始する。
【0075】
露光期間において、垂直走査回路24は、各画素から信号を読み出す。
露光期間の終了前に、垂直走査回路24は、全画素について駆動信号RSTをHレベルにして供給し、全画素の浮遊拡散領域87のノードの電荷をリセットする。垂直走査回路24は、続けて駆動信号TXを全画素についてHレベルにして供給し、全画素のフォトダイオード84に保持されている電荷が浮遊拡散領域87へ転送され、浮遊拡散領域87において保持される。浮遊拡散領域87に保持される電荷は、次の露光のバックグラウンドにおいて、垂直走査回路24によって読み出される。
【0076】
<実施の形態4のまとめ>
実施の形態1と比較すると、実施の形態4の固体撮像素子および電子機器は、グローバルリセットトランジスタ83が追加されることにより、露光のバックグラウンドにおいて、各画素の浮遊拡散領域87に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すことができ、処理を高速化することができる。
【0077】
<まとめ>
各実施の形態について説明した固体撮像素子および電子機器によると、タイミング発生回路31および垂直走査回路24によって画素アレイ25の各画素からの信号の読み出しを制御することにより、各画素の浮遊拡散領域に保持される電荷をリセットするリセット信号の印加によるノイズを低減させるための駆動信号の供給タイミングの制御をOB画素領域の各画素について行うことができる。
【0078】
固体撮像素子および電子機器は、デジタル信号処理器26またはデジタル信号処理器30において、OB画素領域の各画素から、リセット信号の印加によるノイズを低減させた信号レベルを取得し、取得した信号レベルを、有効画素領域の各画素の信号レベルから減算することで、リセットノイズ、FPN、シェーディングなどのノイズを低減させた画像信号を出力する。
【0079】
具体的には、各実施の形態において、以下のように各画素への駆動信号の供給を制御している。
【0080】
(1)実施の形態1においては、有効画素領域の各画素には駆動信号RSTを印加するが、OB画素領域の各画素には駆動信号RSTを印加させない構成としている。
【0081】
(2)実施の形態2においては、OB画素領域の各画素は、複数回、信号の読み出しを行ってデータを平均化する。
【0082】
(3)実施の形態3においては、OB画素領域の各画素は、フォトダイオード、転送ゲート(転送用トランジスタ)、リセットトランジスタを含まない構成としている。
【0083】
これら各実施の形態で説明した固体撮像素子は、グローバルシャッタ型のイメージセンサに適用することができる。また、各実施形態で説明した固体撮像素子は、光学ドライブに用いることもできる。
【0084】
このように各実施形態について説明してきたが、これら実施形態を組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【0085】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。