(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長さ、幅及び高さで規定された略直方体状のコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の長さ方向両端部に設けられた外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサであって、
前記コンデンサ本体は、(1)セラミックス製の第1保護部と、(2)複数の内部電極層がセラミック層を介して積層された容量部と、(3)セラミックス製の電歪緩和部と、(4)複数の内部電極層がセラミック層を介して積層された特性調整部と、(5)セラミックス製の第2保護部と、が高さ方向に層状に並ぶように有しており、
前記容量部に含まれる複数の内部電極層の一部の端縁は前記外部電極の一方に電気的に接続され、且つ、残部の端縁は前記外部電極の他方に電気的に接続されており、
前記特性調整部に含まれる複数の内部電極層の一部の端縁は前記外部電極の一方に電気的に接続され、且つ、残部の端縁は前記外部電極の他方に電気的に接続されており、
前記容量部の厚さをT2とし、前記電歪緩和部の厚さをT3とし、前記特性調整部の厚さをT4としたとき、該T2、T3及びT4はT2>T3>T4の条件を満足しており、
前記特性調整部に含まれる複数の内部電極層の対向面積は、前記容量部に含まれる複数の内部電極層の対向面積よりも小さい、
積層セラミックコンデンサ。
前記コンデンサ本体の高さをHとし、前記第2保護部の厚さをT5としたとき、前記T3及びT4と該H及びT5は0.25≦(T3+T4+T5)/H≦0.4の条件を満足している、
請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記電歪緩和部を介して向き合う前記容量部の内部電極層の端縁と前記特性調整部の内部電極層の端縁は、前記外部電極の一方及び他方のうちの異なる側の外部電極にそれぞれ接続されている、
請求項1〜7の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記電歪緩和部を介して向き合う前記容量部の内部電極層の端縁と前記特性調整部の内部電極層の端縁は、前記外部電極の一方及び他方のうちの同じ側の外部電極に接続されている、
請求項1〜8の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部は、組成が略同じで誘電率も略同じセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部のうち、前記電歪緩和部は、前記第1保護部、前記容量部に含まれるセラミック層、前記特性調整部に含まれるセラミック層及び前記第2保護部と組成を異する低誘電率のセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部のうち、前記特性調整部に含まれるセラミック層は、前記第1保護部、前記容量部に含まれるセラミック層、前記電歪緩和部及び前記第2保護部と組成を異にする低誘電率のセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部のうち、前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層は、前記第1保護部、前記容量部に含まれるセラミック層及び前記第2保護部と組成を異にする低誘電率のセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部のうち、前記第1保護部と前記第2保護部は、前記容量部に含まれるセラミック層、前記電歪緩和部及び前記特性調整部に含まれるセラミック層と組成と異にする低誘電率のセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部のうち、前記第1保護部と前記電歪緩和部と前記第2保護部は、前記容量部に含まれるセラミック層及び前記特性調整部に含まれるセラミック層と組成を異にする低誘電率のセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
前記第1保護部と前記容量部に含まれるセラミック層と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部のうち、前記第1保護部と前記電歪緩和部と前記特性調整部に含まれるセラミック層と前記第2保護部は、前記容量部に含まれるセラミック層と組成を異にする低誘電率のセラミックスから成る、
請求項1〜9の何れか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサは、一般に、長さ、幅及び高さで規定された略直方体状のコンデンサ本体と、コンデンサ本体の長さ方向両端部に設けられた外部電極とを備えている。コンデンサ本体は、セラミックス製の第1保護部と、複数の内部電極層がセラミック層を介して積層された容量部と、セラミックス製の第2保護部と、が高さ方向に層状に並ぶように有している。また、容量部に含まれる複数の内部電極層の一部の端縁は外部電極の一方に電気的に接続され、且つ、残部の端縁は前記外部電極の他方に電気的に接続されている(後記特許文献1の
図1を参照)。
【0003】
この積層セラミックコンデンサの回路基板への実装は、積層セラミックコンデンサの各外部電極の被接合面を、回路基板に設けられたパッドの表面にハンダを用いて接合することによって為されている。各外部電極の被接合面が接合されるパッドの表面形状は、一般に、各外部電極の被接合面形状よりも大きな矩形であるため、実装後の各外部電極の端面には溶融ハンダの濡れ上がりに基づくハンダフィレットが形成される(後記特許文献1の
図1及び
図2を参照)。
【0004】
この実装構造において回路基板の各パッドを通じて両外部電極に電圧、特に交流電圧が印加されると、コンデンサ本体に電歪現象に基づく伸縮(主として容量部が長さ方向に縮むような収縮及びその復元)が生じ、この伸縮に伴う応力が外部電極、ハンダ及びパッドを通じて回路基板に伝わって振動(主として両パッドの間部分が凹むような反り及びその復元)を招来し、この振動によって可聴域の音(所謂、音鳴き)を発生することがある。
【0005】
ところで、後記特許文献1には、前記音鳴きを抑制するために、「パッドの表面を基準としたハンダフィレットの高さ」を「パッドの表面とコンデンサ本体との間隔」+「コンデンサ本体の下側の保護部の厚さ」よりも低くした実装構造が記載されている(
図2を参照)。
【0006】
しかしながら、ハンダフィレットは、各外部電極の端面に対する溶融ハンダの濡れ上がりに基づいて形成されるものであるため、各外部電極の端面のハンダ濡れ性が良好であることも相まって、特別な方法を用いない限り、前記「パッドの表面を基準としたハンダフィレットの高さ」を制御することは極めて難しい。
【0007】
具体例を挙げて説明すれば、各外部電極の端面の高さが500μmである積層セラミックコンデンサにあっては、ハンダ量が同じであっても、実際には、各外部電極の端面の下端を基準とした場合のハンダフィレットの高さが200μmを優に超えるものや200μmに満たないものが非実装不良として発生する。
【0008】
即ち、後記特許文献1に記載されている実装構造は「パッドの表面を基準としたハンダフィレットの高さ」を制御する特別な方法を採用したものではないため、実際上、「パッドの表面を基準としたハンダフィレットの高さ」を「パッドの表面とコンデンサ本体との間隔」+「コンデンサ本体の下側の保護部の厚さ」よりも低くすることは極めて難しく、故に音鳴き抑制に対する実用性は極めて低い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《第1実施形態》
図1及び
図2は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-1は、長さL、幅W及び高さHで規定された略直方体状のコンデンサ本体11と、コンデンサ本体11の長さ方向両端部に設けられた外部電極12とを備えている。
【0015】
コンデンサ本体11は、(1)セラミックス製の第1保護部11aと、(2)複数の内部電極層11b1がセラミック層11b2を介して積層された容量部11bと、(3)セラミックス製の電歪緩和部11cと、(4)複数の内部電極層11d1がセラミック層11d2を介して積層された特性調整部11dと、(5)セラミックス製の第2保護部11eと、が高さ方向で層状に並ぶように有している。
【0016】
容量部11bに含まれる複数(図中は24層)の内部電極層11b1は、各々の輪郭形状が略等しい矩形であり、各々の厚さも略等しい。また、隣接する内部電極層11b1の間に存するセラミック層11b2(隣接する内部電極層11b1に挟まれた部分と挟まれていない長さ方向両側部分を含む層、図中は23層)は、各々の輪郭形状が略等しく、且つ、内部電極層11b1の輪郭形状よりも大きな矩形であり、各々の厚さも略等しい。容量部11bに含まれる24層の内部電極層11b1は長さ方向に交互にずれていて、
図2の上から奇数番目に当たる12層の端縁は外部電極12の一方(
図2の左側)に電気的に接続され、且つ、
図2の上から偶数番目に当たる12層の端縁は外部電極12の他方(
図2の右側)に電気的に接続されている。
【0017】
特性調整部11dに含まれる複数(図中は2層)の内部電極層11d1は、各々の輪郭形状が略等しい矩形であり、各々の厚さも略等しい。因みに、各内部電極層11d1の輪郭形状は前記内部電極層11b1と略同じであり、対向面積も前記内部電極層11b1と略同じである。また、隣接する内部電極層11d1の間に存するセラミック層11d2(隣接する内部電極層11d1に挟まれた部分と挟まれていない長さ方向両側部分を含む層、図中は1層)は、輪郭形状が内部電極層11d1の輪郭形状よりも大きな矩形である。因みに、セラミック層11d2の輪郭形状は前記セラミック層11b2と略同じであり、厚さも前記セラミック層11b2と略同じである。特性調整部11dに含まれる2層の内部電極層11d1は長さ方向に交互にずれていて、
図2の上から奇数番目に当たる1層の端縁は外部電極12の一方(
図2の左側)に電気的に接続され、且つ、
図2の上から偶数番目に当たる1層の端縁は外部電極12の他方(
図2の右側)に電気的に接続されている。
【0018】
容量部11bに含まれる24層の内部電極層11b1と、特性調整部11dに含まれる2層の内部電極層11d1は、組成が略同じ導体から成る。この導体には、好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体を使用できる。因みに、ここでの「組成が略同じ導体」は、組成が同じ導体の他、焼結度合等の関係から組成が許容範囲内で若干異なる導体を指す。
【0019】
また、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2と、特性調整部11dに含まれる1層のセラミック層11d2は、第1保護部11a、電歪緩和部11c及び第2保護部11eを含め、組成が略同じで誘電率も略同じセラミックスから成る。このセラミックスには、好ましくはチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、酸化チタン等を主成分とした誘電体セラミックス、より好ましくはε>1000又はクラス2(高誘電率系)の誘電体セラミックスを使用できる。因みに、ここでの「組成が略同じで誘電率も略同じセラミックス」は、組成と誘電率が同じセラミックスの他、焼結度合等の関係から組成と誘電率の少なくとも一方が許容範囲内で若干異なるセラミックスを指す。
【0020】
図1及び
図2から分かるように、コンデンサ本体11の高さLと幅Wと高さHはL>H>Wの条件を満足している。また、容量部11bの厚さT2と電歪緩和部11cの厚さT3と特性調整部11dの厚さT4はT2>T3>T4の条件を満足している。さらに、容量部11bの厚さT2と電歪緩和部11cの厚さT3と特性調整部11dの厚さT4と第2保護部11eの厚さT5はT2>T3>T5>T4の条件を満足している。さらに、電歪緩和部11cの厚さT3と特性調整部11dの厚さT4と第2保護部11eの厚さT5とコンデンサ本体11の高さHは、好ましくは0.25≦(T3+T4+T5)/H≦0.4の条件を満足している。さらに、容量部11bの厚さT2と電歪緩和部11cの厚さT3と特性調整部11dの厚さT4とコンデンサ本体11の幅Wは、好ましくは(T2+T3+T4)>Wの条件を満足している。さらに、第1保護部11eの厚さT1は、第2保護部11eの厚さT5と同じか、或いは、第2保護部11eの厚さT5よりも薄くても良いため、第1保護部11eの厚さT1と第2保護部11eの厚さT5はT1≦T5の条件を満足している。これら条件の意義については後に詳述する。
【0021】
一方、各外部電極12は、コンデンサ本体11の長さ方向端面と該端面と隣接する4側面の一部を覆うように設けられている。図示を省略したが、各外部電極12はコンデンサ本体11の外面に密着した下地膜と、該下地膜の外面に密着した表面膜との2層構造、或いは、下地膜と表面膜との間に少なくとも1つの中間膜を有する多層構造を有している。下地膜は例えば焼き付け膜から成り、該焼き付け膜には、好ましくはニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、これらの合金等を主成分した良導体を使用できる。表面膜は例えばメッキ膜から成り、該メッキ膜には、好ましくはスズ、パラジウム、金、亜鉛、これらの合金等を主成分とした良導体を使用できる。中間膜は例えばメッキ膜から成り、該メッキ膜には、好ましくは白金、パラジウム、金、銅、ニッケル、これらの合金等を主成分とした良導体を使用できる。
【0022】
ここで、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1の好ましい製造例を紹介する。第1保護部11aと容量部11bのセラミック層11b2と電歪緩和部11cと特性調整部11dのセラミック層11d2と第2保護部11eがチタン酸バリウムを主成分とし、容量部11bの内部電極層11b1と特性調整部11dの内部電極層11d1がニッケルを主成分とする場合には、先ず、チタン酸バリウム粉末とエタノール(溶剤)とポリビニルブチラール(バインダ)と分散剤等の添加剤を含むセラミックスラリーを準備すると共に、ニッケル粉末とターピネオール(溶剤)とエチルセルロース(バインダ)と分散剤等の添加剤を含む電極ペーストを準備する。
【0023】
そして、ダイコータ等の塗工装置と乾燥装置を用いて、キャリアフィルム上にセラミックスラリーを塗工し乾燥して、第1グリーンシートを作製する。加えて、スクリーン印刷機等の印刷装置と乾燥装置を用いて、第1グリーンシート上に電極ペーストを千鳥状又はマトリクス状に印刷し乾燥して、内部電極層用パターン群が形成された第2グリーンシートを作製する。
【0024】
そして、打ち抜き刃及びヒータを有する吸着ヘッド等の積層装置を用いて、第1グリーンシートから打ち抜いた単位シートを所定数に至るまで積み重ねて熱圧着して、第2保護部11eに対応した部位を作製する。続いて、第2グリーンシートから打ち抜いた単位シート(内部電極層用パターン群を含む)を所定数に至るまで積み重ねて熱圧着して、特性調整部11dに対応した部位を作製する。続いて、第1グリーンシートから打ち抜いた単位シートを所定数に至るまで積み重ねて熱圧着して電歪緩和部11cに対応した部位を作製する。続いて、第2グリーンシートから打ち抜いた単位シート(内部電極層用パターン群を含む)を所定数に至るまで積み重ねて熱圧着して、容量部11bに対応した部位を作製する。続いて、第1グリーンシートから打ち抜いた単位シートを所定数に至るまで積み重ねて熱圧着して、第1保護部11aに対応した部位を作製する。そして、熱間静水圧プレス機等の本圧着装置を用いて、積み重ねて熱圧着したものを最終的に本圧着して、未焼成積層シートを作製する。
【0025】
そして、ダイシング機等の切断装置を用いて、未焼成積層シートを格子状に切断して、コンデンサ本体11に対応した未焼成チップを作製する。そして、トンネル型焼成炉等の焼成装置を用いて、多数の未焼成チップを還元性雰囲気下、或いは、低酸素分圧雰囲気下で、チタン酸バリウム及びニッケルに応じた温度プロファイルで焼成(脱バインダ処理と焼成処理を含む)を行って、コンデンサ本体11に対応した焼成チップを作製する。
【0026】
そして、ローラ塗布機等の塗布装置を用いて、焼成チップの長さ方向両端部に電極ペースト(内部電極層用の電極ペーストを流用)を塗布し、前記同様の雰囲気下で焼き付け処理を行って下地膜を形成し、その上に表面膜、或いは、中間膜と表面膜を電解メッキ等のメッキ処理で形成して、外部電極を作製する。因みに、下地膜は、未焼成チップの長さ方向両端部に電極ペーストを塗布して乾燥した後、これを未焼成チップと同時焼成することによって作製しても良い。
【0027】
図3は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1を回路基板21に実装した構造を示す。回路基板21は積層セラミックコンデンサ10-1の各外部電極12に対応した導電性のパッド21aを備えており、各外部電極12の被接合面(コンデンサ本体11の4側面の一部を覆う部分の下面)はハンダ22を用いて各パッド21aの表面に接合されている。各外部電極12の被接合面が接合されるパッド21aの表面形状は、各外部電極12の被接合面形状よりも大きな矩形であるため、実装後の各外部電極12の端面12aには溶融ハンダの濡れ上がりに基づくハンダフィレット22aが形成される。因みに、
図3に示したHfは、コンデンサ本体11の高さ方向下面を基準としたハンダフィレット22aの最上点の高さを示す。
【0028】
ここで、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1の好ましい実装例を紹介する。先ず、回路基板21の各パッド21a上に適量のクリームハンダを塗布する。そして、塗布されたクリームハンダに各外部電極12の被接合面が接するように積層セラミックコンデンサ10-1を搭載する。そして、リフローハンダ付け法等の熱処理によって、クリームハンダを一端溶融してから硬化させ、各外部電極12の被接合面をハンダ22を介して各パッド21aの表面に接合する。
【0029】
図4は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果を確認するための用意したサンプル1〜6(積層セラミックコンデンサ)の仕様と、比較のために用意したサンプルR(積層セラミックコンデンサ)の仕様と、各サンプル1〜6及びRを回路基板21に実装した状態で測定した特性(音鳴きとESL)を示す。因みに、サンプル1〜6及びRは前記製造例に準じて作製されたものであり、特性は前記実装例に準じて作製された実装構造(
図3を参照)にて測定されたものである。
【0030】
〈サンプル1の仕様詳細〉
コンデンサ本体11の長さLが1000μm、幅Wが500μm、高さHが702μm。第1保護部11aの厚さT1が25μm、容量部11bの厚さT2が450μm、電歪緩和部11cの厚さT3が200μm、特性調整部11dの厚さT4が2μm、第2保護部11eの厚さT5が25μm。第1保護部11aと容量部11bのセラミック層11b2と電歪緩和部11cと特性調整部11dのセラミック層11d2と第2保護部11eの主成分がチタン酸バリウム、容量部11bの内部電極層11b1と特性調整部11dの内部電極層11d1の主成分がニッケル。容量部11bに含まれる内部電極層11b1が350層、内部電極層11b1の厚さが0.7μm、セラミック層11b2の厚さが0.6μm。特性調整部11dに含まれる内部電極層11d1が2層、内部電極層11d1の0.7μm、セラミック層11d2の厚さが0.6μm。各外部電極12の厚さが10μm、コンデンサ本体11の4側面の一部を覆う部分の長さが230μm。各外部電極12はニッケルを主成分とする下地膜と、銅を主成分とする中間膜と、スズを主成分とする表面膜の3層構造。
【0031】
〈サンプル2〜6の仕様詳細〉
サンプル2の仕様は、電歪緩和部11cの厚さT3を290μmに増加し、コンデンサ本体11の高さHを792μmとした以外は前記サンプル1と同じ。サンプル3の仕様は、電歪緩和部11cの厚さT3を380μmに増加し、コンデンサ本体11の高さHを882μmとした以外は前記サンプル1と同じ。サンプル4の仕様は、電歪緩和部11cの厚さT3を130μmに減少し、コンデンサ本体11の高さHを632μmとした以外は前記サンプル1と同じ。サンプル5の仕様は、電歪緩和部11cの厚さT3を60μmに減少し、コンデンサ本体11の高さHを562μmとした以外は前記サンプル1と同じ。サンプル6の仕様は、第2保護部11eの厚さT5を45μmに増加し、コンデンサ本体11の高さHを722μmとした以外は前記サンプル1と同じ。
【0032】
〈サンプルRの仕様詳細〉
コンデンサ本体11から電歪緩和部11cと特性調整部11dを無くして、コンデンサ本体11の高さHを500μmとした以外は前記サンプル1と同じ。このサンプルRはサンプル1〜6のような電歪緩和部11c及び特性調整部11dを有しないことから、前記製造例からこれらを作製する工程を除外して作製されている。
【0033】
〈実装構造の仕様詳細〉
回路基板21の厚さが150μm、各パッド21aの厚さが15μm。各パッド21aの長さが400μm、幅が600μm、長さ方向間隔が400μm。回路基板21の主成分がエポキシ樹脂、各パッド22の主成分が銅。ハンダ22がスズ−アンチモン系ハンダ、クリームハンダの塗布量が厚さ換算で50μm。ハンダフィレット22aの最上点の高さHfは100〜300μm。先に述べたように、ハンダフィレット22aは外部電極12の端面12aにおける溶融ハンダの濡れ上がりに基づくものであるため、最上点の高さHfに前記のような範囲が生じるが、該範囲内であれば実装不良にはならない。
【0034】
〈音鳴きの測定方法〉
各サンプル1〜6及びRを用いた実装構造(
図3を参照)を10個作製し、回路基板21の各パッド21aを通じて両外部電極12に交流電圧5Vを周波数を0〜1MHzに上げながら印加し、このときに発生した可聴域の音の強さを、TYPe−3560−B130(ブリュエル・ケア・ジャパン製)を用いて、防音・無響室(横浜音環境システムズ製)の中で個別に測定した。因みに、
図4中の「音鳴き(db)」は、各10個の実装構造における音鳴きの強さの平均値である。
【0035】
〈ESL(等価直列インダクタンス)の測定方法〉
各サンプル1〜6及びRを用いた実装構造(
図3を参照)を10個作製し、回路基板21の各パッド21aを通じて両外部電極12にオシレーションレベルを0dbmとして周波数を1MHz〜3GHzの範囲で印加し、このときに発生したESL(ESL特性)を、4991A(アジレント・テクノロジー製)を用いて個別に測定した。因みに、
図4中の「ESL(nH)」は、各10個の実装構造における1000MHzのESLの平均値である。
【0036】
各サンプル1〜6及びRを用いた実装構造にあっては、回路基板21の各パッド21aを通じて両外部電極12に電圧、特に交流電圧が印加されると、コンデンサ本体11に電歪現象に基づく伸縮(主として容量部11bが長さ方向に縮むような収縮及びその復元)が生じる。しかしながら、サンプル1〜6のコンデンサ本体11は、何れも、容量部11bの下側に電歪緩和部11cと特性調整部11dと第2保護部11eを有しているため、該容量部11bに生じた伸縮に伴う応力の下方伝達を電歪緩和部11cと特性調整部11dと第2保護部11eによって徐々に減衰することができる。依って、ハンダフィレット22aの最上点の高さHfに拘わらず、実装状態において前記伸縮に伴う応力が回路基板21に伝わることを軽減して音鳴きを抑制することができる。
【0037】
また、各サンプル1〜6及びRを用いた実装構造にあっては、コンデンサ本体11の容量部11bと第2保護部11eとの間に電歪緩和部11cが介在するため、該容量部11bとパッド21aとの高さ間隔がサンプルRよりも大きくなるが故にESLが増加する。しかしながら、サンプル1〜6のコンデンサ本体11は、何れも、電歪緩和部11cと第2保護部11eとの間に2層の内部電極層11d1を含む特性調整部11dが介在しているため、該2層の内部電極層11d1を電流ルートとして利用してインピーダンスを低減することができる。依って、ハンダフィレット22aの最上点の高さHfに拘わらず、実装状態における低ESL化を実現することができる。
【0038】
以下、
図4に示した各サンプル1〜6及びRの仕様と特性(音鳴きとESL)を考慮の上で、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果について説明する。
【0039】
第1に、サンプル1〜6の「音鳴き(db)」の値はサンプルRの「音鳴き(db)」の値よりも低く、しかも、サンプル1〜6の「ESL(nH)」の値はサンプルRの「ESL(nH)」の値と殆ど差が無い。サンプル1〜6は、何れも、「容量部11bの厚さT2>電歪緩和部11cの厚さT3>特性調整部11dの厚さT4」の条件を満足しているため、この条件を満足していれば音鳴き抑制に有効であり、しかも、低ESL化に適していると言える。また、サンプル1〜6は、何れも、「容量部11bの厚さT2>電歪緩和部11cの厚さT3>第2保護部11eの厚さT5>特性調整部11dの厚さT4」の条件も満足しているため、この条件を満足していても同様のことが言える。
【0040】
第2に、サンプル1〜4及び6の「音鳴き(db)」の値は理想値である25dbを下回っている。サンプル1〜4及び6は、何れも、「0.25≦(電歪緩和部11cの厚さT3+特性調整部11dの厚さT4+第2保護部11eの厚さT5)/コンデンサ本体11の高さH≦0.4」の条件の満足していることから、音鳴き抑制を重視する場合には、前記「容量部11bの厚さT2>電歪緩和部11cの厚さT3>特性調整部11dの厚さT4」の条件に加えて「0.25≦(電歪緩和部11cの厚さT3+特性調整部11dの厚さT4+第2保護部11eの厚さT5)/コンデンサ本体11の高さH≦0.4」の条件を満足していることが好ましいと言える。
【0041】
第3に、サンプル1〜6は、何れも、「(容量部11bの厚さT2+電歪緩和部11cの厚さT3+第2保護部11eの厚さT5)>コンデンサ本体11の幅W」の条件も満足しているため、前記「容量部11bの厚さT2>電歪緩和部11cの厚さT3>特性調整部11dの厚さT4」の条件に加えて「(容量部11bの厚さT2+電歪緩和部11cの厚さT3+第2保護部11eの厚さT5)>コンデンサ本体11の幅W」の条件を満足していれば、音鳴き抑制に有効であり、しかも、低ESL化に適していると言える。
【0042】
第4に、サンプル6は、サンプル1〜5に比べて、第2保護部11eの厚さT5が2倍ほど厚いが、「音鳴き(db)」の値と「ESL(nH)」の値はサンプル1を用いた実装構造と殆ど変わらない。つまり、前記「容量部11bの厚さT2>電歪緩和部11cの厚さT3>特性調整部11dの厚さT4」の条件に加えて「第1保護部11aの厚さT1≦第2保護部11eの厚さT5」の条件を満足していれば、音鳴き抑制に有効であり、しかも、低ESL化に適していると言える。因みに、第2保護部11eの厚さT5を第1保護部11aの厚さT1よりも厚くした場合の利点としては、製造時の焼成工程で、特性調整部11dに含まれる2層の内部電極層11d1のうちの最も外側の内部電極層11d1が酸化して導電性が損なわれることを防止して、2層の内部電極層11d1による電流ルートの確保を確実に行える点を挙げることができる。
【0043】
第5に、サンプル1〜6は、何れも、「コンデンサ本体11の長さL>コンデンサ本体11の高さH>コンデンサ本体11の幅W」の条件を満足していることから、捉え方を変えると、前記「容量部11bの厚さT2>電歪緩和部11cの厚さT3>特性調整部11dの厚さT4」の条件に加えて「コンデンサ本体11の長さL>コンデンサ本体11の高さH>コンデンサ本体11の幅W」の条件を満足していれば、音鳴き抑制に有効であり、しかも、低ESL化に適していると言える。
【0044】
このように、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1は、実装状態における音鳴き抑制に対し実用性が極めて高いことに加え、高周波回路のインピーダンス低減やノイズ除去等に有用な低ESL化を確実に実現することができる。
【0045】
《第2実施形態》
図5は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-2(第2実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-2は、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)と、特性調整部11d-2に含まれる内部電極層11d1を4層に増加し、
図5の上から奇数番目に当たる2層の端縁を外部電極12の一方(
図5の左側)に電気的に接続し、且つ、
図5の上から偶数番目に当たる2層の端縁を外部電極12の他方(
図5の右側)に電気的に接続した点で異なる。
【0046】
この積層セラミックコンデンサ10-2は、第1実施形態の欄で説明した好ましい製造例における積層工程で特性調整部11d-2に対応した部位を作製する際に、第2グリーンシートから打ち抜いた単位シートの積み重ね数を2から4に増加することによって製造することができる。因みに、この積層セラミックコンデンサ10-2の好ましい実装例及び実装構造は、第1実施形態の欄で説明した実装例及び実装構造(
図3を参照)と同じである。
【0047】
図5に示した積層セラミックコンデンサ10-2は、製造時の焼成工程で、特性調整部11d-2に含まれる4層の内部電極層11d1のうちの最も外側の内部電極層11d1が酸化して導電性が損なわれた場合でも、残りの内部電極層11d1によって電流ルートを確実に確保して所期のインピーダンス低減を確実に行うことができる。この効果は特性調整部11d-2に含まれる内部電極層11d1を3層とした場合や5層以上とした場合でも同様に得ることができるが、特性調整部11d-2は容量確保を目的としたものではないため、内部電極層11d1は3層又は4層が好ましい。他の効果は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
《第3実施形態》
図6は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-3(第3実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-3は、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)と、特性調整部11d-3に含まれる2層の内部電極層11d1のうち、
図6の上から奇数番目に当たる1層の端縁を外部電極12の他方(
図6の右側)に電気的に接続し、且つ、
図6の上から偶数番目に当たる1層の端縁を外部電極12の一方(
図6の左側)電気的に接続した点で異なる。即ち、電歪緩和部11cを介して向き合う容量部11bの内部電極層11b1の端縁と特性調整部11d-3の内部電極層11d1の端縁は、外部電極12の一方及び他方のうちの同じ側の外部電極12に電気的に接続されている。
【0049】
この積層セラミックコンデンサ10-3は、第1実施形態の欄で説明した好ましい製造例における積層工程で特性調整部11d-3に対応した部位を作製する際に、第2グリーンシートから打ち抜いた単位シートの積み重ね向きを180度変えることによって製造することができる。因みに、この積層セラミックコンデンサ10-3の好ましい実装例及び実装構造は、第1実施形態の欄で説明した実装例及び実装構造(
図3を参照)と同じである。
【0050】
図6に示した積層セラミックコンデンサ10-3は、実装状態における電圧印加時において、電歪緩和部11cを介して向き合う容量部11bの内部電極層11b1と特性調整部11d-3の内部電極層11d1とが同一極性となるため、とりわけ電歪緩和層11cの厚さT3が薄い場合にこれら内部電極層11b1及び11d1によって電歪緩和層11cに電界が形成されて電歪を生じることを回避して、所期の音鳴き抑制を確実に行うことができる。他の効果は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0051】
尚、
図6に示した積層セラミックコンデンサ10-3に、第2実施形態の欄で説明した思想(特性調整部に含まれる内部電極層を3層又は4層とする思想)を採用しても良い。
【0052】
《第4実施形態》
図7は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-4(第4実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-4は、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)と、特性調整部11d-4に含まれる2層の内部電極層11d1’の対向面積を、容量部11bに含まれる24層の内部電極層11b1の対向面積よりも小さくした点で異なる。
【0053】
この積層セラミックコンデンサ10-4は、第1実施形態の欄で説明した好ましい製造例における積層工程で特性調整部11d-4に対応した部位を作製する際に、第2グリーンシートの内部電極層用パターン群よりも長さが短いパターン群が形成された第3グリーンシートを用いることによって製造することができる。因みに、この積層セラミックコンデンサ10-4の好ましい実装例及び実装構造は、第1実施形態の欄で説明した実装例及び実装構造(
図3を参照)と同じである。
【0054】
図7に示した積層セラミックコンデンサ10-4は、特性調整部11d-4に含まれる2層の内部電極層11d1’の対向面積が容量部11bに含まれる24層の内部電極層11b1の対向面積よりも小さいため、特性調整部11d-4に形成される容量を極力低減して該特性調整部11d-4を電流ルートの確保に重点を置いたものとすることができる。他の効果は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0055】
尚、
図7に示した積層セラミックコンデンサ10-4に、第2実施形態の欄で説明した思想(特性調整部に含まれる内部電極層を3層又は4層とする思想)を採用しても良い。
【0056】
《第5実施形態》
図8は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-5(第5実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-5は、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)と、電歪緩和部11c-5が、第1保護部11a、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2、特性調整部11dに含まれる1層のセラミック層11d2及び第2保護部11eと組成を異する低誘電率のセラミックスから成る点で異なる。
【0057】
この積層セラミックコンデンサ10-5は、第1実施形態の欄で説明した好ましい製造例におけるシート作製工程で第1グリーンシートと組成を異する低誘電率の第4グリーンシートを作製し、積層工程で電歪緩和部11c-5に対応した部位を作製する際に該第4グリーンシートから打ち抜いた単位シートを所定数に至るまで積み重ねて熱圧着することによって製造することができる。第4グリーンシートは、第1グリーンシート用セラミックスラリーで用いられているセラミックスの種類を低誘電率のものに変えたセラミックスラリーや、セラミックスの種類を変えずに低誘電率化に適した副成分(例えばMg等のアルカリ土類金属元素の化合物やMn等の遷移金属元素の化合物)を添加又は該副成分の含有量を増加したセラミックスラリー等を用いて作製することができる。因みに、この積層セラミックコンデンサ10-5の好ましい実装例及び実装構造は、第1実施形態の欄で説明した実装例及び実装構造(
図3を参照)と同じである。
【0058】
図8に示した積層セラミックコンデンサ10-5は、電歪緩和部11c-5の誘電率が、第1保護部11a、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2、特性調整部11dに含まれる1層のセラミック層11d2及び第2保護部11eの誘電率よりも低いため、実装状態における電圧印加時において電歪緩和層11cに生じ得る電歪を極力低減して、所期の音鳴き抑制を確実に行うことができる。他の効果は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0059】
尚、
図8に示した積層セラミックコンデンサ10-5に、第2〜第4実施形態の欄で説明した思想(特性調整部に含まれる内部電極層を3層又は4層とする思想や、特性調整部に含まれる内部電極層の向きを変える思想や、特性調整部に含まれる内部電極層の対向面積を減少させる思想)を適宜採用しても良い。
【0060】
《第6実施形態》
図9は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-6(第6実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-6は、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)と、特性調整部11d-6に含まれる1層のセラミック層11d2’が、第1保護部11a、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2、電歪緩和部11c及び第2保護部11eと組成を異する低誘電率のセラミックスから成る点で異なる。
【0061】
この積層セラミックコンデンサ10-6は、第1実施形態の欄で説明した好ましい製造例におけるシート作製工程で第1グリーンシートと組成を異する低誘電率の第4グリーンシートを作製して該第4グリーンシート上に内部電極層用パターン群を形成した第5グリーンシートを作製し、積層工程で特性調整部11d-6を作製する際に第2グリーンシートから打ち抜いた単位シート(内部電極層用パターン群を含む)を積み重ねて熱圧着し、続けて第5グリーンシートから打ち抜いた単位シート(内部電極層用パターン群を含む)を積み重ねて熱圧着することによって製造することができる。第4グリーンシートの作製例については第5実施形態の欄で述べた通りであるため、その説明を省略する。因みに、この積層セラミックコンデンサ10-5の好ましい実装例及び実装構造は、第1実施形態の欄で説明した実装例及び実装構造(
図3を参照)と同じである。
【0062】
図9に示した積層セラミックコンデンサ10-6は、特性調整部11d-6に含まれる1層のセラミック層11d2’の誘電率が、第1保護部11a、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2、電歪緩和部11c及び第2保護部11eの誘電率よりも低いため、実装状態における電圧印加時において特性調整部11d-6に生じ得る電歪を極力低減して、所期の音鳴き抑制を確実に行うことができる。他の効果は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
尚、
図9に示した積層セラミックコンデンサ10-6に、第2〜第4実施形態の欄で説明した思想(特性調整部に含まれる内部電極層を3層又は4層とする思想や、特性調整部に含まれる内部電極層の向きを変える思想や、特性調整部に含まれる内部電極層の対向面積を減少させる思想)を適宜採用しても良い。また、
図9に示した積層セラミックコンデンサ10-6に、第5実施形態の欄で説明した思想(電歪緩和部11cを低誘電率化する思想)を採用しても良い。
【0064】
《第7実施形態》
図10は本発明を適用した積層セラミックコンデンサ10-7(第7実施形態)を示す。この積層セラミックコンデンサ10-7は、
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1(第1実施形態)と、第1保護部11a-7と第2保護部11e-7が、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2、電歪緩和部11c及び特性調整部11dに含まれる1層のセラミック層11d2と組成を異する低誘電率のセラミックスから成る点で異なる。
【0065】
この積層セラミックコンデンサ10-7は、第1実施形態の欄で説明した好ましい製造例におけるシート作製工程で第1グリーンシートと組成を異する低誘電率の第4グリーンシートを作製し、積層工程で第1保護部11a-7と第2保護部11e-7を作製する際に第4グリーンシートから打ち抜いた単位シートを積み重ねて熱圧着することによって製造することができる。第4グリーンシートの作製例については第5実施形態の欄で述べた通りであるため、その説明を省略する。因みに、この積層セラミックコンデンサ10-7の好ましい実装例及び実装構造は、第1実施形態の欄で説明した実装例及び実装構造(
図3を参照)と同じである。
【0066】
図10に示した積層セラミックコンデンサ10-7は、第1保護部11a-7と第2保護部11e-7の誘電率が、容量部11bに含まれる23層のセラミック層11b2、電歪緩和部11c及び特性調整部11dに含まれる1層のセラミック層11d2の誘電率よりも低いため、実装状態における電圧印加時において第1保護部11a-7と第2保護部11e-7に生じ得る電歪を極力低減して、所期の音鳴き抑制を確実に行うことができる。他の効果は
図1及び
図2に示した積層セラミックコンデンサ10-1によって得られる効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
尚、
図10に示した積層セラミックコンデンサ10-7に、第2〜第4実施形態の欄で説明した思想(特性調整部に含まれる内部電極層を3層又は4層とする思想や、特性調整部に含まれる内部電極層の向きを変える思想や、特性調整部に含まれる内部電極層の対向面積を減少させる思想)を適宜採用しても良い。また、
図10に示した積層セラミックコンデンサ10-7に、第5及び第6実施形態の欄で説明した思想(電歪緩和部11cを低誘電率化する思想や、特性調整部11dに含まれるセラミック層11d2を低誘電率化する思想)を適宜採用しても良い。
【0068】
《他の実施形態》
(1)第1〜第7実施形態の欄及び図面には、コンデンサ本体11の容量部11bとして24層又は350層の内部電極層11b1を有するものを示したが、容量部11bに含まれる内部電極層11b1の層数に特段の制限は無い。
【0069】
(2)第1〜第7実施形態の欄及び図面には、コンデンサ本体11として長さL>高さ>幅Wのものを例示したが、容量部11bに含まれる内部電極層11b1の層数等との関係から該容量部11bの厚さT2を薄くできる場合には、コンデンサ本体11を長さL>高さ=幅Wの条件、或いは、長さL>幅W>高さの条件を満足するものとすることもできる。