(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の判定閾値は、視差値が大きくなると閾値も大きくなるように規定したマップを参照することで視差値に応じて決定される判定閾値、または、予め固定値として設定された判定閾値である請求項3から5のうちいずれか一項に記載の視差画像生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明にかかる視差画像生成装置および視差画像生成方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0026】
[実施形態]
図3〜
図15を参照して、本発明に係る視差画像生成装置の構成について説明する。ここで、
図3は、本発明に係る視差画像生成装置の構成を示す図である。
図4〜
図11は、本実施形態における視差最適化処理の一例を示す図である。
図12は、本実施形態における対応付け処理の一例を示す図である。
図13は、本実施形態における視差画像比較処理の一例を示す図である。
図14は、本実施形態における判定閾値の一例を示す図である。
図15は、本実施形態において生成される画像の一例を示す図である。
【0027】
本実施形態における視差画像生成装置は、車両(自車両)に搭載され、典型的には、撮像装置1と、車両運動量検出装置2と、ECU3と、アクチュエータ4と、を備える。
【0028】
撮像装置1は、車両の進行方向の交通環境を撮像する撮像手段である。撮像装置1は、撮像可能な右カメラ1aと左カメラ1bとから構成される。右カメラ1aは、車両前方右側に設置され、左カメラ1bは、車両前方左側に設置される。右カメラ1a及び左カメラ1bは、例えば、ステレオカメラである。右カメラ1aは、車両の進行方向を撮像した画像である輝度画像RをECU3へ出力する。左カメラ1bは、車両の進行方向を撮像した画像である輝度画像LをECU3へ出力する。
【0029】
車両運動量検出装置2は、車両運動量を示す各種情報(車速やヨーレートや加速度等)を検出する自車運動量検出手段である。車両運動量検出装置2は、車速センサ2aとヨーレートセンサ2bと加速度センサ2cを少なくとも含んで構成される。車速センサ2aは、車輪毎に設けられ、夫々の車輪速度を検出する車輪速度検出装置である。各車速センサ2aは、各車輪の回転速度である車輪速度を検出する。各車速センサ2aは、検出した各車輪の車輪速度を示す車輪速信号をECU3へ出力する。ECU3は、各車速センサ2aから入力される各車輪の車輪速度に基づいて、車両の走行速度である車速を算出する。ECU3は、各車速センサ2aのうち少なくとも1つから入力される車輪速度に基づいて車速を算出してもよい。ECU3は、算出した車速を車両の運動情報として取得する。ヨーレートセンサ2bは、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出装置である。ヨーレートセンサ2bは、検出したヨーレートを示すヨーレート信号をECU3へ出力する。ECU3は、入力されたヨーレート信号を車両の運動情報として取得する。加速度センサ2cは、車体にかかる加速度を検出する加速度検出装置である。加速度センサ2cは、検出した加速度を示す加速度信号をECU3へ出力する。ECU3は、入力された加速度信号を車両の運動情報として取得する。
【0030】
ECU3は、車両の各部の駆動を制御するものであり、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子制御ユニットである。ECU3は、撮像装置1および車両運動量検出装置2と電気的に接続され、検出結果に対応した電気信号が入力される。そして、ECU3は、検出結果に対応した電気信号に応じて各種演算処理を行い、演算結果に対応した制御指令を出力することで、ECU3と電気的に接続されたアクチュエータ4の作動を制御する。例えば、ECU3は、この演算処理結果に基づいた制御信号をアクチュエータ4へ出力して、アクチュエータ4を作動させることで車両の挙動を制御する運転支援制御を行う。
【0031】
ECU3の各種処理部の詳細について説明する。ECU3は、輝度画像取得部3aと、視差画像取得部3bと、第一補正部3cと、第二補正部3dと、車両情報取得部3eと、対応付け部3fと、視差画像生成部3gと、対象物検出部3hと、車両制御部3iと、を少なくとも備える。
【0032】
ECU3のうち、輝度画像取得部3aは、撮像装置1の右カメラ1a及び左カメラ1bからそれぞれ出力される輝度画像Rおよび輝度画像Lを取得する輝度画像取得手段である。輝度画像取得部3aは、更に、画像歪補正処理として、右カメラ1aと左カメラ1bのレンズ歪みがなくなるように輝度画像Rおよび輝度画像Lを補正し、右カメラ1aと左カメラ1bの光軸が平行になるように輝度画像Rおよび輝度画像Lを補正する処理を行う機能も有する。輝度画像取得部3aにより取得されかつ歪みを補正された輝度画像Rおよび輝度画像Lは、視差画像取得部3bの処理に用いられる。
【0033】
視差画像取得部3bは、車両の周囲環境の撮像結果に基づいて視差画像を取得する視差画像取得手段である。視差画像取得部3bは、輝度画像取得部3aにより取得されかつ歪み補正された輝度画像Rおよび輝度画像Lに基づいて、視差画像Dを取得する。本実施形態において、視差画像取得部3bは、輝度画像Lおよび輝度画像Rの何れか一方のみをベースとして視差画像Dを取得する。言い換えると、視差画像取得部3bは、輝度画像Lおよび輝度画像Rの両方に基づいて輝度画像Lをベースとして視差画像D(1)を取得するか、又は、輝度画像Lおよび輝度画像Rの両方に基づいて輝度画像Rをベースとして視差画像D’(1’)を取得する。視差画像取得部3bで取得された視差画像D(すなわち、視差画像D(1)または視差画像D’(1’)のいずれか)は、第一補正部3c及び第二補正部3dの処理に用いられる。
【0034】
例えば、輝度画像L及び輝度画像Rの両方に基づいて輝度画像Lをベースとして視差画像D(1)を、次の処理で用いる視差画像Dとして取得する場合の一例を以下に説明する。まず、視差画像取得部3bは、輝度画像Lと輝度画像Rの間で対応する画素を探索する。そして、視差画像取得部3bは、探索した対応する画素ごとに視差値D(x,y)及び信頼度R(x,y)を算出する。更に、視差画像取得部3bは、算出した視差値D(x,y)及び信頼度R(x,y)をその画素の位置情報(x,y)ごとに紐付ける処理を行う。なお、本実施形態において、画素は、単一画素の場合のみならず、複数画素のまとまりとしてもよい。
【0035】
具体的には、視差画像取得部3bは、視差値D(x,y)を算出するときに輝度画像Lをベースとする場合、対応する画素間で、輝度画像Lから輝度画像Rまでのズレ量を視差値D(x,y)として算出する。なお、輝度画像Rをベースとして視差画像D’(1’)を、次の処理で用いる視差画像Dとして取得する場合については、対応する画素間で、輝度画像Rから輝度画像Lまでのズレ量を視差値D(x,y)として算出すればよい。また、視差画像取得部3bは、輝度画像Lおよび輝度画像Rの左右画像間で対応する画素が略同等の輝度値情報を持つかどうかを判定することで視差算出コストとしての信頼度R(x,y)を算出する。視差画像取得部3bは、略同等の輝度値情報を持つと判定した場合は信頼度R(x,y)を高い値に設定し、略同等の輝度値情報を持たないと判定した場合は信頼度R(x,y)を低い値に設定する。
【0036】
第一補正部3cは、視差画像取得部3bで取得された視差画像Dを構成する各々の画素の視差値D(x,y)を、同画素に対して少なくとも一方向の所定の画素経路である第一画素経路A(A1,A2,A3,A4,…)の少なくとも一部を構成する画素の視差値に基づいて最適化する第一補正手段である。本実施形態において、第一補正部3cは、第一時刻(t−1)に視差画像取得部3bによって取得された第一視差画像D(t−1)に対して、上記最適化処理を実行する。例えば、
図4に示すように、第一補正部3cは、第一時刻(t−1)に視差画像取得部3bによって取得された第一視差画像D(t−1)を構成する各々の画素の視差値Dt−1(x,y)を、第一画素経路A(A1,A2,A3,A4,…)を構成する画素の視差値に基づいて最適化する。
図4の例において、第一画素経路A(A1,A2,A3,A4,…)は、複数の画素から構成される、対象とする画素(
図4中の太枠で囲われた画素)周辺の画素領域であり、同画素を起点とする複数の画素経路A1,A2,A3,A4を構成する複数の画素から構成される。つまり、
図4の例は、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を最適化するために用いる画素領域が、画素経路A1,A2,A3,A4上の画素から構成される場合を示している。この場合、第一補正部3cは、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を、複数の画素経路A1,A2,A3,A4上の画素の視差値を用いて最適化処理を実行する。
【0037】
例えば、第一補正部3cは、上記最適化処理において、周囲の視差との滑らかさを考慮して対象の画素の視差値を最適化する以下の数式を用いる。以下の数式は、E(D
p)が最小値となるD
pを決定するための式であり、本実施形態では、以下の数式で決定されたD
pを最適化された画素位置pにおける視差値とする。
【数1】
上記[数1]に示した数式における各変数の詳細は、以下の通りである。
pは、画素位置を示す。画素位置pは、単一画素の中心位置であっても、複数の画素から構成される画素領域の中心位置であってもよい。
D
pは、画素位置pに対応する視差値を示す。
C(p,D
p)は、コスト関数を示す。
N
pは、画素位置pの近傍画素領域を示す。近傍画素領域N
pは、画素位置pに対応する画素領域を含まないように設定される。近傍画素領域N
pは、
図4〜10に示す画素経路のように、種々のパターンに従って設定される。
qは、近傍画素領域N
pを構成する画素位置を示す。
Tは、論理演算子を示す。論理演算子Tは、設定された条件が「真」である場合は値「1」をとる一方、設定された条件が「偽」である場合は値「0」をとる。
D
thは、予め設定される閾値(固定値)を示す。閾値D
thは、画素位置pに対応する視差値D
pと、近傍画素領域N
pを構成する画素位置qに対応する視差値D
qと、の差が大きいか小さいかを区別するために設定される。
P
1,P
2は、それぞれ重み付け定数を示す。重み付け定数P
1と重み付け定数P
2は、P
1<P
2となるように設定される。
【0038】
図4の例において、上記[数1]に示した数式の画素位置pは、第一視差画像D(t−1)を構成する各画素の位置(x,y)に対応する。ここでは、説明上、対象とする画素位置pを、
図4中の太枠で囲われた画素の位置とする。上記[数1]に示した数式の視差値D
pは、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)に対応する。上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素経路A1〜A4に対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素経路A1〜A4をそれぞれ構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図4の例では、画素経路A1を構成する2つの画素の位置(2,3),(1,3)と、画素経路A2を構成する2つの画素の位置(2,2),(1,1)と、画素経路A3を構成する2つの画素の位置(3,2),(3,1)と、画素経路A4を構成する2つの画素の位置(4,2),(5,1)となる。
【0039】
上記[数1]に示した数式の説明を続ける。当該数式の右辺第一項は、左右の輝度画像のうちいずれか一方の輝度画像(例えば、輝度画像L)における画素位置p上の輝度値情報と、左右の輝度画像の他方の輝度画像(例えば、輝度画像R)中においてx方向(水平方向)に移動量として視差値D
p分だけ移動した画素位置上の輝度値情報と、の類似度を算出する項である。類似度が高いほど、コスト関数C(p,D
p)は小さな値をとり、類似度が低いほど、コスト関数C(p,D
p)は大きな値をとる。つまり、本実施形態において、コスト関数C(p,D
p)は、上述の信頼度R(x,y)に対応する。なお、コスト関数の式は、例えば、SAD(Sum of Absolute Difference)を利用した視差コスト算出式やSSD(Sum of Squared Difference)の式を利用した視差コスト算出式などの周知の式であってもよい。
【0040】
上記[数1]に示した数式の右辺第二項及び右辺第三項は、画素位置pの周囲の画素位置qに対応する視差値D
qを加味して、当該数式の左辺の値を最適化するための項である。したがって、当該数式の右辺第二項及び右辺第三項は、画素位置pに対応する視差値D
pの値を最適化するための項となる。
【0041】
例えば、上記[数1]に示した数式において、D
th=1である場合、当該数式の右辺第二項のT[|D
p−D
q|=1]においては、|D
p−D
q|=1ならば、T[|D
p−D
q|=1]=1となり、|D
p−D
q|≠1ならば、T[|D
p−D
q|=1]=0となる。同様に、D
th=1である場合、当該数式の右辺第三項のT[|D
p−D
q|>1]においては、|D
p−D
q|>1ならば、T[|D
p−D
q|=1]=1となり、|D
p−D
q|≦1ならば、T[|D
p−D
q|=1]=0となる。よって、上記[数1]に示した数式において、D
th=1の場合、パターン(1)|D
p−D
q|<D
thでは、P
1及びP
2の何れも加算されず、パターン(2)|D
p−D
q|=D
thでは、P
1は加算され、パターン(3)|D
p−D
q|>D
thでは、P
2は加算されることとなる。
【0042】
すなわち、設定した近傍画素領域N
pにおいて、画素位置pに対応する視差値D
pと近傍画素領域Npを構成する画素位置qに対応する視差値D
qとの差|D
p−D
q|が、所定の値(閾値D
th)より大きくなるような画素位置p周辺の画素位置qの数が多い程、上記[数1]に示した数式の左辺E(D
p)の値はより大きな値をとりやすくなる。言い換えると、画素位置ごとの視差値の分布において、画素位置pから近傍画素領域N
pにかけての視差値変化が滑らかであることの蓋然性が低い程、当該数式の左辺E(D
p)の値はより大きな値をとりやすくなる。つまり、視差値の信頼度としては下がりやすくなる。一方で、画素位置pに対応する視差値D
pと近傍画素領域Npを構成する画素位置qに対応する視差値D
qとの差|D
p−D
q|が、所定の値(閾値D
th)未満となるような画素位置p周辺の周辺の画素位置qの数が多い程、当該数式の左辺E(D
p)の値はより小さな値をとりやすくなる。言い換えると、画素位置ごとの視差値の分布において、画素位置pから近傍画素領域N
pにかけての視差値変化が滑らかであることの蓋然性が高い程、当該数式の左辺E(D
p)の値はより小さな値をとりやすくなる。つまり、視差値の信頼度としては上がりやすくなる。
【0043】
本実施形態では、この算出を、従来の視差値決定方法と同じように、式の変数である視差値D
p(=D
p1,D
p2,D
p3,…)それぞれに対して、設定された範囲で実行することで、どの視差値D
pのときにE(D
p)が最小値を取るかを調べる。そして、E(D
p)が最小値となる視差値D
pを最終的な視差値として決定する。このため、画素位置pに対応する視差値D
pの決定に際し、画素位置ごとの視差値の分布において画素位置pから近傍画素領域N
pにかけての視差値変化が滑らかであることの蓋然性が低い場合の視差値D
pよりも、画素位置pから近傍画素領域N
pにかけての視差値変化が滑らかであることの蓋然性が高い場合の視差値D
pの方が、最終的な視差値として選択されやすくなる。
【0044】
その結果、近傍画素領域Npを構成する画素位置qに対応する視差値D
qを加味せずに(すなわち、上記[数1]に示した数式の右辺において第一項のみを使用して)視差値を算出する場合に対して、近傍画素領域Npを構成する画素位置qに対応する視差値D
qを加味して(すなわち、数式の右辺において第一項のみではなく更に第二項及び第三項を使用して)視差値を算出する場合は、周囲の視差値の滑らかさを考慮して最適化された視差値を算出することができる。
【0045】
図3に戻り、第二補正部3dは、視差画像取得部3bで取得された視差画像Dを構成する各々の画素の視差値D(x,y)を、同画素に対して少なくとも一方向の所定の画素経路であり且つ第一画素経路Aと異なる画素経路である第二画素経路B(B1,B2,B3,B4,…)の少なくとも一部を構成する画素の視差値に基づいて最適化する第二補正手段である。ここで、第一画素経路Aと異なる画素経路とは、第一画素経路の方向と略対向する方向の画素経路を意味する。本実施形態において、第二補正部3dは、第一時刻(t−1)より後の時刻である第二時刻(t)に視差画像取得部3bによって取得された第二視差画像D(t)に対して、上記最適化処理を実行する。例えば、
図5に示すように、第二補正部3dは、第二時刻(t)に視差画像取得部3bによって取得された第二視差画像D(t)を構成する各々の画素の視差値Dt(x,y)を、第二画素経路B(B1,B2,B3,B4,…)を構成する画素の視差値に基づいて最適化する。
図5の例において、第二画素経路B(B1,B2,B3,B4,…)は、複数の画素から構成される、対象とする画素(
図5中の太枠で囲われた画素)周辺の画素領域であり、同画素を起点とする複数の画素経路B1,B2,B3,B4を構成する複数の画素から構成される。つまり、
図5の例は、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を最適化するために用いる画素領域が、画素経路B1,B2,B3,B4上の画素から構成される例を示している。この場合、第二補正部3dは、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を、複数の画素経路B1,B2,B3,B4上の画素の視差値を用いて最適化処理を実行する。
【0046】
例えば、第二補正部3dも第一補正部3cと同様に、上記最適化処理において、周囲の視差との滑らかさを考慮して視差値を最適化する上記[数1]で示した数式を用いる。
図5の例において、上記[数1]に示した数式の画素位置pは、第二視差画像D(t)を構成する各画素の位置(x,y)に対応する。ここでは、説明上、対象とする画素位置pを、
図5中の太枠で囲われた画素の位置とする。上記[数1]に示した数式の視差値D
pは、対象とする画素の視差値Dt(x,y)に対応する。上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素経路B1〜B4に対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素経路B1〜B4をそれぞれ構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図5の例では、画素経路B1を構成する3つの画素の位置(4,3),(5,3),(6,3)と、画素経路B2を構成する3つの画素の位置(4,4),(5,5),(6,6)と、画素経路B3を構成する3つの画素の位置(3,4),(3,5),(3,6)と、画素経路B4を構成する2つの画素の位置(2,4),(2,5)となる。
【0047】
図4の例では、第一補正部3cが、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を、同画素に対して4方向の第一画素経路A(A1,A2,A3,A4)を構成する画素の視差値に基づいて最適化する例を示したが、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を最適化するために用いる画素領域が、対象とする画素に対して1方向の画素経路A1上の画素から構成される場合、第一補正部3cは、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を、画素経路A1上の画素の視差値を用いて最適化してもよい。
図6の例において、上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素経路A1に対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素経路A1を構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図6の例では、画素経路A1を構成する2つの画素の位置(2,3),(1,3)となる。
【0048】
また、
図5の例では、第二補正部3dが、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を、同画素に対して4方向の第二画素経路B(B1,B2,B3,B4)を構成する画素の視差値に基づいて最適化する例を示したが、これに限定されない。例えば、
図7に示すように、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を最適化するために用いる画素領域が、対象とする画素に対して1方向の画素経路B1上の画素から構成される場合、第二補正部3dは、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を、画素経路B1上の画素の視差値を用いて最適化してもよい。
図7の例において、上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素経路B1に対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素経路B1を構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図7の例では、画素経路B1を構成する3つの画素の位置(4,3),(5,3),(6,3)となる。
【0049】
なお、第一補正部3c及び第二補正部3dが最適化に用いる画素経路の組み合わせは、
図6と
図7に示した画素経路A1及び画素経路B1同士の組み合わせの他、画素経路A2及び画素経路B2同士の組み合わせ、画素経路A3及び画素経路B3同士の組み合わせ、画素経路A3及び画素経路B3同士の組み合わせなども可能である。つまり、第一補正部3c及び第二補正部3dが最適化に用いる画素経路の組み合わせは、対向する方向同士の画素経路の組み合わせであればよい。
【0050】
図6では、第一補正部3cが、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を、同画素に対して1方向の第一画素経路A1を構成する全ての画素の視差値に基づいて最適化し、
図7では、第二補正部3dが、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を、同画素に対して1方向の第一画素経路B1を構成する全ての画素の視差値に基づいて最適化する例を示したが、これに限定されない。
【0051】
例えば、
図8に示すように、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を最適化するために用いる画素領域が、対象とする画素に対して1方向の画素経路A1’上の画素から構成される場合、第一補正部3cは、対象とする画素の視差値Dt−1(x,y)を、画素経路A1’上の画素の視差値を用いて最適化してもよい。ここで、
図8の画素経路A1’は、
図6の画素経路A1を構成する画素の内、対象とする画素に近い1つの画素のみから構成されている。
図8の例において、上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素経路A1’に対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素経路A1’を構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図8の例では、画素経路A1’を構成する1つの画素の位置(2,3)となる。
【0052】
また、
図9に示すように、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を最適化するために用いる画素領域が、対象とする画素に対して1方向の画素経路B1’上の画素から構成される場合、第二補正部3dは、対象とする画素の視差値Dt(x,y)を、画素経路B1’上の画素の視差値を用いて最適化してもよい。ここで、
図9の画素経路B1’は、
図7の画素経路B1を構成する画素の内、対象とする画素に近い2つの画素のみから構成されている。
図9の例において、上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素経路B1’に対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素経路B1’を構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図9の例では、画素経路B1’を構成する2つの画素の位置(4,3),(5,3)となる。
【0053】
なお、本実施形態において、最適化用の画素領域を構成する画素は、画素経路上に存在する画素に限定されず、ラスタ走査済みの画素領域の中から設定することも可能である。この場合、第一補正部3cで用いる最適化用の画素領域を構成する画素と、第二補正部3dで用いる最適化用の画素領域を構成する画素とは、
図10の画素領域Aと
図11の画素領域Bに示すように、第一視差画像D(t−1)と第二視差画像D(t)の2枚の対照画像の対応点(
図10中の太枠で囲われた画素、及び、
図11中の太枠で囲われた画素)において、互いに略対向する方向に位置する画素であればよい。
図10の例において、上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素領域Aに対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素領域Aを構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図10の例では、画素領域Aを構成する11個の画素の位置(1,1),(2,1),(3,1),(4,1),(5,1),(1,2),(2,2),(3,2),(4,2),(1,3),(2,3)となる。
図11の例において、上記[数1]に示した数式の近傍画素領域N
pは、画素領域Bに対応する。上記[数1]に示した数式の画素位置qは、画素領域Bを構成する画素の位置に対応する。具体的にx座標とy座標で画素位置qを例示すると、
図11の例では、画素領域Bを構成する20個の画素の位置(6,6),(5,6),(4,6),(3,6),(2,6),(1,6),(6,5),(5,5),(4,5),(3,5),(2,5),(1,6),(6,4),(5,4),(4,4),(3,4),(2,4),(6,3),(5,3),(4,3)となる。
【0054】
図3に戻り、車両情報取得部3eは、車両の運動情報を取得する車両情報取得手段である。車両情報取得部3eは、車両運動量検出装置2から入力される車速、ヨーレート、加速度を車両の運動情報として取得する。
【0055】
対応付け部3fは、車両情報取得部3eによって取得された第一時刻(t−1)から第二時刻(t)までの運動情報に基づいて、第一視差画像D(t−1)を構成する所定の画素位置と、第二視差画像D(t)を構成する所定の画素位置と、が同一の撮像位置となるように対応付ける対応付け手段である。
図12に示すように、対応付け部3fは、時系列で連続する視差画像について、1フレーム前の視差画像D(t−1)の点を自車運動量だけ移動させ、画像座標上で同じ位置に存在する現フレームの視差画像D(t)の点と対応付けする。
図12では、対応付け部3fは、時刻t−1の視差画像D(t−1)について、この時刻t−1の視差画像D(t−1)を時刻tの視差画像D(t)と比較可能なように、視差点を自車運動量だけ移動させる(
図12において、時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1))。そして、対応付け部3bは、この時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1)と、時刻tの視差画像D(t)とを用いて、画像上で同じ位置の点を対応付ける。
【0056】
例えば、対応付け部3fは、以下の方法に従って、時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1)と、時刻tの視差画像D(t)とを用いて、画像上で同じ位置の点を対応付ける処理を行う。一例として、時刻t−1における視差点(u
t−1,v
t−1,d
t−1)を時刻t−1から時刻tへの自車運動量だけ移動させた時刻tにおける視差点(u
t,v
t,d
t)の導出法を以下に示す。まず、次式に従って、時刻t−1における画像座標点(u
t−1,v
t−1,d
t−1)を車両座標点(X
t−1,Y
t−1,Z
t−1)に座標変換する。ここで、fは、焦点距離を示し、bは、基線長を示す。
【数2】
続いて、次式に従って、時刻t−1における車両座標点(X
t−1,Y
t−1,Z
t−1)を時刻t−1から時刻tへ自車運動量だけ移動させた時刻tにおける車両座標点(X
t,Y
t,Z
t)を算出する。ここで、Rは、自車運動量の回転成分を示し、Tは、自車運動量の並進成分を示す。
【数3】
最後に、次式に従って、時刻tにおける車両座標点(X
t,Y
t,Z
t)を画像座標点(u
t,v
t,d
t)に座標変換する。
【数4】
【0057】
図3に戻り、視差画像生成部3gは、第一時刻(t−1)に視差画像取得部3bによって取得された第一視差画像D(t−1)に対して、第一補正部3cによる最適化処理を適用し、第一時刻(t−1)より後の時刻である第二時刻(t)に視差画像取得部3bによって取得された第二視差画像D(t)に対して、第二補正部3dによる最適化処理を適用し、第一補正部3cにより補正された第一視差画像D(t−1)と、第二補正部3dにより補正された第二視差画像D(t)との比較に基づいて所望の視差画像D2を算出して生成する視差画像生成手段である。
【0058】
ここで、視差画像生成部3gは、対応付け部3fによって対応付けされた画素間で、第一補正部3cにより最適化された第一視差画像D(t−1)と、第二補正部3dにより最適化された第二視差画像D(t)とを、画素ごとに比較することで、所望の視差画像D2を算出する。本実施形態において、所望の視差画像D2は、第二視差画像D(t)を補正したものであることが望ましい。ただし、所望の視差画像D2は、第二視差画像D(t)とは別に新たに生成されたものであってもよい。
【0059】
具体的には、視差画像生成部3gは、第一補正部3cにより最適化された第一視差画像D(t−1)の視差値と、第二補正部3dにより最適化された第二視差画像D(t)の視差値との差を、画素ごとに比較することで所望の視差画像D2を算出して生成するときに、視差値の差が、所定の判定閾値Th以上である場合は、第二視差画像D(t)における同画素の視差値を所望の視差画像D2の視差値として使用することを抑制する一方で、視差値の差が、判定閾値Thより小さい場合は、第二視差画像D(t)における同画素の視差値を所望の視差画像D2の視差値として使用することを促進する。
【0060】
本実施形態において、「視差値として使用することを促進する」ことには、(i)「視差値として使用すること」、及び、(ii)「信頼度が高いとのフラグを立てることなどによって、視差値としての信頼度を高く設定すること」が含まれる。また、「視差値として使用することを抑制する」ことには、(iii)「視差値として使用しないこと」、及び、(iv)「信頼度が低いとのフラグを立てることなどによって、視差値としての信頼度を低く設定すること」が含まれる。
【0061】
本実施形態において、視差画像生成部3gは、第一補正部3cにより最適化された第一視差画像D(t−1)の視差値と、第二補正部3dにより最適化された第二視差画像D(t)の視差値との差を、画素ごとに比較することで所望の視差画像D2を算出して生成するときに、視差値の差が、判定閾値Th以上である場合は、第二視差画像D(t)における同画素の視差値を所望の視差画像の視差値として使用しない一方で、視差値の差が、判定閾値Thより小さい場合は、第二視差画像D(t)における同画素の視差値を所望の視差画像の視差値として使用する。
【0062】
例えば、
図13に示すように、視差画像生成部3gは、
図13(a)の時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1)と、
図13(b)の時刻tの視差画像D(t)の間で、対応付けした視差点の視差値の差分を算出し、差分値が判定閾値Th以上の場合は、最適解が誤っていると判断して視差値を除去する。一方、視差画像生成部3gは、対応付けした視差点の視差値の差分を算出し、差分値が判定閾値Thより小さい場合は、最適解は正しいと判断して視差値を保持する。ここで、時刻tの視差画像D(t)における位置(x,y)の視差点の視差値をDt(x,y)とし、時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1)における位置(x,y)の視差点の視差値をDt−1(x,y)とすると、視差画像生成部3gは、|Dt(x,y)−Dt−1(x,y)|<Thの場合は、時刻tの視差画像D(t)における視差値を保持し、一方、|Dt(x,y)−Dt−1(x,y)|≧Thの場合は、時刻tの視差画像D(t)における視差値を除去する。このようにして時刻tの視差画像D(t)の各視差点が保持されるか又は除去される。
【0063】
本実施形態において、所定の判定閾値Thは、
図14に示すように、視差値Dt(x,y)が大きくなると閾値も大きくなるように規定したマップを参照することで視差値に応じて決定される判定閾値である。なお、本実施形態において、所定の判定閾値Thは、予め固定値として設定された判定閾値であってもよい
【0064】
また、視差画像生成部3gは、第一補正部3cにより最適化された第一視差画像D(t−1)の視差値と、第二補正部3dにより最適化された第二視差画像D(t)の視差値との差を、画素ごとに比較することで所望の視差画像D2を算出して生成するときに、視差値の差が、判定閾値Th以上である場合は、第二視差画像D(t)における同画素の視差値を信頼度の低い視差値として所望の視差画像に設定する一方で、視差値の差が、判定閾値より小さい場合は、第二視差画像D(t)における同画素の視差値を信頼度の高い視差値として所望の視差画像D2に設定してもよい。
【0065】
この場合、例えば、
図13に示すように、視差画像生成部3gは、
図13(a)の時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1)と、
図13(b)の時刻tの視差画像D(t)の間で、対応付けした視差点の視差値の差分を算出し、差分値が判定閾値Th以上の場合は、最適解が誤っていると判断して視差値の信頼度フラグをOFFにする。一方、視差画像生成部3gは、対応付けした視差点の視差値の差分を算出し、差分値が判定閾値Thより小さい場合は、最適解は正しいと判断して視差値の信頼度フラグをONにする。ここで、時刻tの視差画像D(t)における位置(x,y)の視差点の視差値をDt(x,y)とし、時刻t−1の移動済み視差画像D’(t−1)における位置(x,y)の視差点の視差値をDt−1(x,y)とすると、|Dt(x,y)−Dt−1(x,y)|<Thの場合は、時刻tの視差画像D(t)における位置(x,y)の視差点の信頼度フラグをONにし、一方、|Dt(x,y)−Dt−1(x,y)|≧Thの場合は、時刻tの視差画像D(t)における位置(x,y)の視差点の信頼度フラグをOFFにする。このようにして時刻tの視差画像D(t)の各視差点の信頼度フラグにONもしくはOFFが設定される。
【0066】
ここで、
図15を参照して、視差画像生成部3gにより生成される画像の一例について説明する。
図15(a)は、各画素に視差値(
図15(a)において、視差値1〜7)が付与された視差画像を示している。
図15(a)の視差画像には、第一補正部3c及び第二補正部3dの処理により最適化された視差値が各画素に付与されている。ここで、視差値の差分値の判定閾値Th=5とすると、
図15(b)に示すように、視差画像生成部3gの処理により、視差値5以上の視差値を有する画素の視差値は除去され、視差値5より小さい、視差値1〜4の視差値を有する画素の視差値は除去される。あるいは、
図15(c)に示すように、視差画像生成部3gの処理により、視差値5以上の視差値を有する画素に対して信頼度フラグがOFFに設定され、視差値5より小さい、視差値1〜4の視差値を有する画素に対して信頼度フラグがONに設定される(
図15(c)において、信頼度フラグONは○印、信頼度フラグOFFは×印に対応)。そして、
図15(d)に示すように、視差画像生成部3gの処理により、視差値が保持された画素または信頼度フラグがONに設定された画素のみから構成される画像が生成される。
図15(d)の画像は、視差画像生成部3gの処理において、第一補正部3cの処理により最適化された第一視差画像D(t−1)の視差値と、第二補正部3dの処理により最適化された第二視差画像D(t)の視差値との差が判定閾値Thより小さいと判定された第二視差画像D(t)の視差値を有する画素のみから構成される。このようにして視差画像生成部3gは、
図15(d)の視差画像を所望の視差画像D2として生成する。
【0067】
図3に戻り、対象物検出部3hは、視差画像生成部3gにより生成された所望の視差画像D2を用いて対象物を検出する対象物検出手段である。対象物検出部3hは、視差画像生成部3gにより生成された所望の視差画像D2内に、検出対象とする対象物(例えば、歩行者など)が存在するか否かを、パターンマッチング等の手法により解析することで対象物を検出する。
【0068】
車両制御部3iは、対象物検出部3hにより検出された対象物を車両が回避するように車両挙動を制御する運転支援制御を行う車両制御手段である。車両制御部3iは、例えば、車両の車速及び加速度、車両が走行可能な領域を示す各種情報、及び、回避対象となる対象物の位置などに基づいて、車両が対象物を回避可能な走行軌跡や走行速度等を演算する。そして、車両制御部3iは、この演算処理結果に基づいた制御信号をアクチュエータ4へ出力して、アクチュエータ4を作動させることで回避制御を実行する。車両制御部3iは、回避制御として、例えば、EPS等のアクチュエータ4を介して車両の操舵輪の舵角を制御することで、車両が対象物を回避するように操舵支援を実行する。車両制御部3iは、対象物をより確実に回避できるように、回避制御として、操舵支援にブレーキ支援を組み合わせて実行してもよい。このようにして、車両制御部3iは、対象物の位置への車両の移動を回避する回避制御手段として機能する。
【0069】
続いて、上述のように構成される視差画像生成装置において実行される処理について、
図16を参照して説明する。ここで、
図16は、本発明に係る視差画像生成装置の基本処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
図16に示すように、ECU3は、左右カメラの歪補正済みの輝度画像間で対応点を探索して視差画像を算出する(ステップS1)。
【0071】
ECU3は、ステップS1で算出した視差画像の撮像タイミング番号に対応するフレーム番号が奇数であるか偶数であるかを判定する(ステップS2)。
【0072】
ステップS2において、例えば、フレーム番号が1〜10まであるとすると、奇数フレームは、1,3,5,7,9となる。また、偶数フレームは、2,4,6,8,10となる。
図16の処理において、第一時刻(t−1)を奇数フレーム1とした場合、第二時刻(t)は偶数フレーム2となる。また、第一時刻(t−1)を奇数フレーム3とした場合、第二時刻(t)は偶数フレーム4となる。同様に、第一時刻(t−1)をそれぞれ奇数フレーム5,7,9とした場合、第二時刻(t)はそれぞれ偶数フレーム6,8,10となる。
【0073】
ECU3は、ステップS2においてフレーム番号が奇数であると判定した場合(ステップS2:奇数)、上述の
図4に示したように、フレーム番号が奇数なら画像の左上の画素を起点として上の行から下の行に向かってラスタ走査して視差を最適化する(ステップS3)。その後、ステップS5の処理へ移行する。
【0074】
ECU3は、ステップS2においてフレーム番号が偶数であると判定した場合(ステップS2:偶数)、上述の
図5に示したように、フレーム番号が偶数なら画像の右下の画素を起点として下の行から上の行に向かってラスタ走査して視差を最適化する(ステップS4)。その後、ステップS5の処理へ移行する。
【0075】
ECU3は、ステップS3及びステップS4の最適化処理の後、フレーム間で視差点を対応付けする(ステップS5)。具体的には、ECU3は、上述の
図12に示したように、時系列で連続する視差画像について、1フレーム前の視差画像D(t−1)の点を自車運動量だけ移動させ、画像座標上で同じ位置に存在する現フレームの視差画像D(t)の点と対応付けする。
【0076】
ECU3は、ステップS5で対応付けした視差画像から視差差分を算出する(ステップS6)。ECU3は、ステップS6で算出した視差差分が判定閾値Thより小さいか否かを画素ごとに判定する(ステップS7)。ECU3は、ステップS7において視差差分が判定閾値Thより小さいと判定した場合(ステップS7:YES)、その画素については、視差値を保持する(ステップS8)。一方、ECU3は、ステップS7において視差差分が判定閾値Th以上であると判定した場合(ステップS7:No)、その画素については、視差値を除去する(ステップS9)。ECU3は、ステップS8およびステップS9の処理の結果に基づいて、視差画像を生成する(ステップS10)。例えば、ステップS10において、ECU3は、上述の
図15に示したような画像を生成する。その後、本処理を終了する。
【0077】
このように、本実施形態では、時系列で連続する視差画像に対して最適化処理の走査方向をフレーム毎に切り替えて視差値の最適化処理を行い、時系列で連続し走査方向の異なる2枚の視差画像間で対応する視差点の視差値を比較し、視差値の差分が大きい点は最適解が誤っていると判断することができる。具体的には、視差値の最適化処理を対象の視差画像に対して一回だけ走査し、最適化処理の走査方向をフレーム毎に、画像の左上の画素を起点として上の行から下の行に向かうラスタ走査、画像の右下の画素を起点として下の行から上の行に向かうラスタ走査とを交互に切り替えることができる。これにより、最適化処理の走査回数を一回にすることで1フレームに要する処理量を抑えることができる。なお、最適化処理の走査方向はフレーム毎に、画像の左上の画素を起点として左の列から右の列に向かうラスタ走査と、画像の右下の画素を起点として右の列から左の列に向かうラスタ走査とを交互に切り替えてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、対応付けした視差点の視差値を比較し、例えば、視差値の差分が判定閾値Th以上の場合は、最適解が誤っていると判断し、視差を除去する。これにより、誤った視差値が算出され易い画素位置(例えば、影など)の視差値の使用を抑制して、信頼精度の高い視差値のみから構成される所望の視差画像D2を算出することができる。ここで、上述の
図2に示したように、1方向のラスタ走査で最適化処理をすると、コントラストが低い水平面の視差は、コントラストが高い水平面の視差の寄与度が高い情報で最適化されてしまい、誤った最適解が導出される。しかし、本実施形態によれば、最適化処理の走査方向が異なる視差画像を比較することで誤った最適解が導出された点を識別することができる。
【0079】
上述の
図16の例では、判定閾値Th以上の場合は視差値を除去し、判定閾値Thより小さい場合は視差値を保持する例を説明したが、本実施形態では、判定閾値Th以上の場合は視差値の信頼度フラグをOFFにし、判定閾値Thより小さい場合は視差値の信頼度フラグをONにしてもよい。この場合の処理について、
図17を参照して説明する。
図17は、本発明に係る視差画像生成装置の基本処理の別の一例を示すフローチャートである。
図17では、フレーム間で対応付けした視差点の視差差分を閾値処理して、信頼度を付与する場合の処理フローを示している。
【0080】
図17に示すように、ECU3は、左右カメラの歪補正済み輝度画像間で対応点を探索して視差画像を算出する(ステップS1)。
【0081】
ECU3は、ステップS1で算出した視差画像の撮像タイミング番号に対応するフレーム番号が奇数であるか偶数であるかを判定する(ステップS2)。
【0082】
ステップS2において、例えば、フレーム番号が1〜10まであるとすると、奇数フレームは、1,3,5,7,9となる。また、偶数フレームは、2,4,6,8,10となる。
図17の処理において、第一時刻(t−1)を奇数フレーム1とした場合、第二時刻(t)は偶数フレーム2となる。また、第一時刻(t−1)を奇数フレーム3とした場合、第二時刻(t)は偶数フレーム4となる。同様に、第一時刻(t−1)をそれぞれ奇数フレーム5,7,9とした場合、第二時刻(t)はそれぞれ偶数フレーム6,8,10となる。
【0083】
ECU3は、ステップS2においてフレーム番号が奇数であると判定した場合(ステップS2:奇数)、上述の
図4に示したように、フレーム番号が奇数なら画像の左上の画素を起点として上の行から下の行に向かってラスタ走査して視差を最適化する(ステップS3)。その後、ステップS5の処理へ移行する。
【0084】
ECU3は、ステップS2においてフレーム番号が偶数であると判定した場合(ステップS2:偶数)、上述の
図5に示したように、フレーム番号が偶数なら画像の右下の画素を起点として下の行から上の行に向かってラスタ走査して視差を最適化する(ステップS4)。その後、ステップS5の処理へ移行する。
【0085】
ECU3は、ステップS3及びステップS4の最適化処理の後、フレーム間で視差点を対応付けする(ステップS5)。具体的には、ECU3は、上述の
図12に示したように、時系列で連続する視差画像について、1フレーム前の視差画像D(t−1)の点を自車運動量だけ移動させ、画像座標上で同じ位置に存在する現フレームの視差画像D(t)の点と対応付けする。
【0086】
ECU3は、ステップS5で対応付けした視差画像から視差差分を算出する(ステップS6)。ECU3は、ステップS6で算出した視差差分が判定閾値Thより小さいか否かを画素ごとに判定する(ステップS7)。ECU3は、ステップS7において視差差分が判定閾値Thより小さいと判定した場合(ステップS7:YES)、その画素については、視差値の信頼度フラグをONにする(ステップS11)。一方、ECU3は、ステップS7において視差差分が判定閾値Th以上であると判定した場合(ステップS7:No)、その画素については、視差値の信頼度フラグをOFFにする(ステップS12)。ECU3は、ステップS11およびステップS12の処理の結果に基づいて、時刻tの信頼度付き視差画像を生成する(ステップS13)。例えば、ステップS13において、ECU3は、上述の
図15に示したような画像を生成する。その後、本処理を終了する。
【0087】
このように、本実施形態における視差画像生成装置および視差画像生成方法によれば、視差値の最適化処理を、従来技術(特許文献1等)のように輝度画像Lベースの視差画像D(1)及び輝度画像Rベースの視差画像D’(1’)の両方に基づいて行うのではなく、輝度画像L及び輝度画像Rの何れか一方のみをベースとして、相互に異なる撮像時刻の撮像フレームごとで算出された第一視差画像D(t−1)及び第二視差画像D(t)に基づいて行うことができる。これにより、従来技術と同程度の補正レベルを維持した上で、輝度画像L及び輝度画像Rの何れか一方のみをベースとした輝度画像に基づいて、所望の視差画像D2を得ることができる。更に、その結果として、視差画像の算出処理及びそれ以降の画像処理を、輝度画像Lベース及び輝度画像Rベースの両方で行う必要がなくなるため、従来技術よりも処理コストを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態における視差画像生成装置および視差画像生成方法によれば、時系列で連続する視差画像について、1フレーム前の視差画像D(t−1)の点を自車運動量だけ移動させ、画像座標上で同じ位置に存在する現フレームの視差画像D(t)の点と対応付けするので、第一時刻(t−1)から第二時刻(t)までの間に、車両が大きく運動(併進や旋回)し、第二時刻(t)における画素の撮像範囲が、第一時刻(t−1)における画素の撮像範囲から大きくはずれる場合であっても、最適化して処理を続行することができる。
【0089】
この他、本実施形態では、視差画像生成部3gは、最適化処理の走査方向をフレーム毎に切り替えるのではなく、視差画像取得部3bにより取得された視差画像Dの上下をフレーム毎に切り替える処理を行ってもよい。例えば、本実施形態における上下反転処理の一例を示す図である
図18に示すように、奇数フレームの時刻t−1の視差画像D(t−1)については、そのまま視差最適化処理を行い、偶数フレームの時刻tの視差画像D(t)については、上下反転した後、奇数フレームの時刻t−1の視差画像D(t−1)に対する視差最適化処理と同様の処理を実施する。そして、視差最適化処理を実施後の時刻t−1の最適化済み視差画像D’’(t−1)については、その後そのままフレーム間対応付け処理へ移行する。ここで、視差最適化処理を実施後の時刻tの最適化済み視差画像D’’(t)については、再び上下反転した後に、フレーム間対応付け処理へ移行する。これにより、最適化処理の走査方向毎に処理ロジックを用意する必要がなくなるため、車載マイコン(ECU)に実装する回路規模を抑えることができる。この場合の処理について、
図19を参照して説明する。
図19は、本発明に係る視差画像生成装置における別の処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
図19に示すように、ECU3は、左右カメラの歪補正済み輝度画像間で対応点を探索して視差画像を算出する(ステップS1)。
【0091】
ECU3は、ステップS1で算出した視差画像の撮像タイミング番号に対応するフレーム番号が奇数であるか偶数であるかを判定する(ステップS2)。
【0092】
ステップS2において、例えば、フレーム番号が1〜10まであるとすると、奇数フレームは、1,3,5,7,9となる。また、偶数フレームは、2,4,6,8,10となる。
図19の処理において、第一時刻(t−1)を奇数フレーム1とした場合、第二時刻(t)は偶数フレーム2となる。また、第一時刻(t−1)を奇数フレーム3とした場合、第二時刻(t)は偶数フレーム4となる。同様に、第一時刻(t−1)をそれぞれ奇数フレーム5,7,9とした場合、第二時刻(t)はそれぞれ偶数フレーム6,8,10となる。
【0093】
ECU3は、ステップS2においてフレーム番号が奇数であると判定した場合(ステップS2:奇数)、上述の
図4に示したように、画像の左上の画素を起点として上の行から下の行に向かってラスタ走査して視差を最適化する(ステップS3)。その後、ステップS5の処理へ移行する。
【0094】
ECU3は、ステップS2においてフレーム番号が偶数であると判定した場合(ステップS2:偶数)、上述の
図18に示したように、偶数フレームの視差画像については上下反転させる(ステップS14)。その後、ステップS3の処理へ移行し、上下反転させた視差画像に対して、上述の
図4に示したように、奇数フレームと同様に画像の左上の画素を起点として上の行から下の行に向かってラスタ走査して視差を最適化する。なお、偶数フレームの最適化済みの視差画像については、ステップS5の処理へ移行する前に、再度上下反転させる。その後、ステップS5の処理へ移行する。
【0095】
ECU3は、ステップS3の最適化処理の後、フレーム間で視差点を対応付けする(ステップS5)。具体的には、ECU3は、上述の
図12に示したように、時系列で連続する視差画像について、1フレーム前の視差画像D(t−1)の点を自車運動量だけ移動させ、画像座標上で同じ位置に存在する現フレームの視差画像D(t)の点と対応付けする。
【0096】
ECU3は、ステップS5で対応付けした視差画像から視差差分を算出する(ステップS6)。ECU3は、ステップS6で算出した視差差分が判定閾値Thより小さいか否かを画素ごとに判定する(ステップS7)。ECU3は、ステップS7において視差差分が判定閾値Thより小さいと判定した場合(ステップS7:YES)、その画素については、視差値を保持する(ステップS8)。一方、ECU3は、ステップS7において視差差分が判定閾値Th以上であると判定した場合(ステップS7:No)、その画素については、視差値を除去する(ステップS9)。ECU3は、ステップS8およびステップS9の処理の結果に基づいて、視差画像を生成する(ステップS10)。例えば、ステップS10において、ECU3は、上述の
図15に示したような画像を生成する。その後、本処理を終了する。
【0097】
なお、上述の実施形態において、第一時刻(t−1)を奇数フレームに対応する1,3,5,7,9とし、第二時刻(t)を偶数フレームに対応する2,4,6,8,10とした例について説明したがこれに限定されない。第二時刻(t)は、第一時刻(t−1)の後の時刻であればよく、一定間隔ごとに設定してもよい。例えば、一定間隔を3フレーム毎にした場合、第一時刻(t)を1,4,7として、第2時刻(t−1)を2,5,8としてもよい。