特許第6377978号(P6377978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6377978
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20180813BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20180813BHJP
   H01M 8/06 20160101ALI20180813BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20180813BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20180813BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   H01M8/0606
   H01M8/06
   C01B3/38
   !H01M8/12
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-133944(P2014-133944)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-12489(P2016-12489A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】大河原 裕記
(72)【発明者】
【氏名】上野山 覚
(72)【発明者】
【氏名】曽木 忠幸
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−212961(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097622(WO,A1)
【文献】 特開2014−172780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/2495
C01B 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、
改質水から水蒸気を生成する蒸発部と、
改質用原料と前記水蒸気とから前記燃料を生成して前記燃料電池に供給する改質部と、
前記水素を利用することにより前記改質用原料に含まれる硫黄成分を除去して、前記改質用原料を前記改質部に供給する脱硫器と、
前記改質部から前記燃料電池に前記燃料を供給する燃料供給管と前記脱硫器に前記改質用原料を供給する改質用原料供給管とを接続し、前記燃料の一部をリサイクル燃料として前記脱硫器に戻すリサイクル燃料管と、
前記リサイクル燃料管を流れている前記リサイクル燃料の状態を示す物理量を検知する検知装置と、
前記検知装置によって検知された前記物理量に基づいて前記リサイクル燃料管を通過する前記リサイクル燃料の通過を検出する検出部と、を備え
前記物理量は、前記リサイクル燃料の水蒸気量に関する物理量であり、
前記検知装置は、前記改質用原料供給管における前記リサイクル燃料管の接続部と前記脱硫器との間、または、前記リサイクル燃料管に配設され、前記リサイクル燃料の水蒸気量に関する物理量を検知する燃料電池システム。
【請求項2】
前記検知装置は、前記改質用原料供給管における前記リサイクル燃料管の接続部と前記脱硫器との間に配設され、前記改質用原料と前記リサイクル燃料との混合ガスの露点温度を検知する露点センサであり、
前記物理量は、前記混合ガスの露点温度であり、
前記燃料電池システムは、
前記改質部内の温度を検出する温度センサと、
前記改質用原料の流量に対する前記リサイクル燃料の流量の比率を示すリサイクル燃料比率と、前記混合ガスの露点温度との前記改質部内の温度毎の関係を表すマップに基づいて、前記温度センサによって検出された温度および所定リサイクル燃料比率に応じた露点温度を露点しきい値として算出する算出部と、をさらに備え、
前記検出部は、前記検知装置によって検出された露点温度が、前記算出部によって算出された前記露点しきい値以上である場合、前記リサイクル燃料管を通過する前記リサイクル燃料の通過を検出する請求項の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムの一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図1に示されているように、燃料電池システムは、改質用原料供給流路14を通して供給される改質用原料中の硫黄成分を除去するための脱硫器22と、脱硫された改質用原料を改質するための改質器4と、改質改質用原料及び酸化剤の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタック6とを備えている。この燃料電池システムは、脱硫器22による改質用原料の脱硫反応を水素が含まれる条件下で行うため、改質器4で改質された改質改質用原料の一部を脱硫器22に戻すためのリサイクル流路48が設けられている。このリサイクル流路48にはオリフィス部材50が設けられており、オリフィス部材50によって脱硫器22に戻される改質改質用原料の流量が調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−159485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載されている燃料電池システムにおいては、リサイクル流路48にはオリフィス部材50によって改質器4に戻される改質改質用原料の流量が調整されているが、オリフィス部材50の流路孔が異物によって閉塞するおそれがある。オリフィス部材50の流路孔が異物により閉塞した場合には、リサイクル流路48に改質改質用原料が流れなくなり、脱硫器22は改質改質用原料の水素が混合されないことによって脱硫機能が低下するおそれがあった。さらに、脱硫器22で脱硫機能が低下すると、燃料電池セルスタック6が改質改質用原料に含まれる硫黄成分によって劣化するおそれもあった。
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、燃料電池システムにおいて、改質部にて改質された燃料の一部を脱硫器に戻すリサイクル燃料管の異常を確実に検出し、ひいては、硫黄成分による改質部の劣化や燃料電池の故障を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る燃料電池システムは、水素を含む燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、改質水から水蒸気を生成する蒸発部と、改質用原料と水蒸気とから燃料を生成して燃料電池に供給する改質部と、水素を利用することにより改質用原料に含まれる硫黄成分を除去して、改質用原料を改質部に供給する脱硫器と、改質部から燃料電池に燃料を供給する燃料供給管と脱硫器に改質用原料を供給する改質用原料供給管とを接続し、燃料の一部をリサイクル燃料として脱硫器に戻すリサイクル燃料管と、リサイクル燃料管を流れているリサイクル燃料の状態を示す物理量を検知する検知装置と、検知装置によって検知された物理量に基づいてリサイクル燃料管を通過するリサイクル燃料の通過を検出する検出部と、を備え、物理量は、リサイクル燃料の水蒸気量に関する物理量であり、検知装置は、改質用原料供給管におけるリサイクル燃料管の接続部と脱硫器との間、または、リサイクル燃料管に配設され、リサイクル燃料の水蒸気量に関する物理量を検知する。
これによれば、検出部により、検知装置によって検知された物理量に基づいてリサイクル燃料管を通過するリサイクル燃料の通過を検出することができる。よって、リサイクル燃料管の異常を確実に検知できるようになる。したがって、リサイクル燃料が脱硫器に供給されないことによって、脱硫器により除去されなかった硫黄成分による改質部の劣化や燃料電池の故障を発生させないような対処をすることが可能になる。その結果、燃料電池システムにおいて、硫黄成分による改質部の劣化や燃料電池の故障を抑制することができる。
さらに、燃料および燃料の一部であるリサイクル燃料は、水蒸気と改質用原料から生成された改質ガスの一部であり、水蒸気を含んだ水素リッチガスであるため、改質用原料に対し水蒸気を多量に含んでいる。よって、リサイクル燃料がリサイクル燃料管および改質用原料供給管を通過する場合、これら管内の水蒸気量が増加する。ここで、検知装置は、改質用原料供給管におけるリサイクル燃料管の接続部と脱硫器との間、または、リサイクル燃料管に配設され、リサイクル燃料の水蒸気量に関する物理量を検知する。よって、検出部により、検知装置によって検知されたリサイクル燃料管および改質用原料供給管内の水蒸気量に関する物理量に基づいて、リサイクル燃料の通過を検知することができる。ここで、検知装置は、例えば、湿度センサや露点センサであり、一般的に比較的低コストである。したがって、このような検知装置を用いることによって比較的低コストにて、リサイクル燃料管の異常を確実に検知できる。
【0007】
また、請求項に係る発明は、請求項に係る燃料電池システムにおいて、検知装置は、改質用原料供給管におけるリサイクル燃料管の接続部と脱硫器との間に配設され、改質用原料とリサイクル燃料との混合ガスの露点温度を検知する露点センサであり、物理量は、混合ガスの露点温度であり、燃料電池システムは、改質部内の温度を検出する温度センサと、改質用原料の流量に対するリサイクル燃料の流量の比率を示すリサイクル燃料比率と、混合ガスの露点温度との改質部内の温度毎の関係を表すマップに基づいて、温度センサによって検出された温度および所定リサイクル燃料比率に応じた露点温度を露点しきい値として算出する算出部と、をさらに備え、検出部は、検知装置によって検出された露点温度が、算出部によって算出された露点しきい値以上である場合、リサイクル燃料管を通過するリサイクル燃料の通過を検出する。
これによれば、検出部は、検知装置によって検出された露点温度に基づいて、算出部によって算出される露点しきい値を用いることにより、リサイクル燃料管を通過するリサイクル燃料の通過を検出する。よって、リサイクル燃料管の異常を精度よく検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の概要を示す概略図である。
図2図1に示す燃料電池システムのブロック図である。
図3図2に示す制御装置で実行されるプログラムのフローチャートである。
図4】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第一変形例の概要を示す部分概略図である。
図5】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第一変形例における制御装置で実行されるプログラムのフローチャートである。
図6】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第二変形例の概要を示す部分概略図である。
図7】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第二変形例の変形例の概要を示す部分概略図である。
図8】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第三変形例の概要を示す部分概略図である。
図9図8に示す検知装置によって検知されるリサイクルガスの状態を示す物理量とリサイクル燃料比率との相関関係を示す図である。
図10】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第三変形例における制御装置で実行されるプログラムのフローチャートである。
図11】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第三変形例の変形例の概要を示す部分概略図である。
図12】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第四変形例の概要を示す部分概略図である。
図13】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の第四変形例における制御装置で実行されるプログラムのフローチャートである。
図14】本発明による燃料電池システムの第一実施形態の各変形例において、リサイクル燃料管にポンプを配設した場合の概要を示す部分概略図である。
図15】本発明による燃料電池システムの第二実施形態における制御装置のフィードバック制御部のブロック線図である。
図16】本発明による燃料電池システムの第二実施形態における制御装置で実行されるプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
以下、本発明による燃料電池システムの第一実施形態について説明する。図1に示すように、燃料電池システムは、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、および制御装置15を備えている。
【0012】
燃料電池モジュール11は、後述するように燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール11は、改質用原料、改質水およびカソードエアが供給されている。具体的には、燃料電池モジュール11は、一端が供給源Gsに接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が接続されている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端が水タンク14に接続されて改質水が供給される水供給管11bの他端が接続されている。水供給管11bは、改質水ポンプ11b1が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端がカソードエアブロワ11c1に接続されてカソードエアが供給されるカソードエア供給管11cの他端が接続されている。
【0013】
改質用原料供給管11aに関して詳述する。改質用原料供給管11aには、上流から順番に遮断弁11a1、第一圧力センサ11a2、流量センサ11a3(特許請求の範囲の流量検出装置に相当)、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5(特許請求の範囲の原料供給装置に相当)および脱硫器11a6が設けられている。遮断弁11a1、第一圧力センサ11a2、流量センサ11a3、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5および脱硫器11a6は、筐体10a内に収納されている。
【0014】
遮断弁11a1は改質用原料供給管11aを制御装置15の指令によって開閉自在に遮断する弁(2連弁)である。第一圧力センサ11a2は、燃料電池34に供給されている燃料(改質用原料)の圧力(特に第一圧力センサ11a2の設置場所の圧力)を検出するものであり、その検出結果を制御装置15に送信している。流量センサ11a3は、燃料電池34に供給されている燃料(改質用原料)の流量すなわち単位時間あたりの流量を検出するものであり、その検出結果を制御装置15に送信している。
【0015】
圧力調整装置11a4は、入力した燃料を所定の圧力に調整して出力する。例えば、圧力調整装置11a4は、入力した燃料を大気圧にて出力するゼロガバナで構成されている。圧力調整装置11a4は、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5より1次側を後述するリサイクルガス管39(特許請求の範囲のリサイクル燃料管に相当)に対して圧力を低くするためのものである。圧力調整装置11a4は、改質用原料供給管11aをリサイクルガス管39より低圧とすることにより、改質ガス(リサイクルガス(特許請求に範囲のリサイクル燃料に相当))がリサイクルガス管39を流通する。原料ポンプ11a5は、燃料電池34に燃料(改質用原料)を供給する原料供給装置であり、制御装置15からの制御指令値にしたがって供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。この原料ポンプ11a5は、改質用原料を吸入し改質部33に圧送する圧送装置である。
【0016】
脱硫器11a6は、水素を利用することにより改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。脱硫器11a6内には、触媒および超高次脱硫剤が収容されている。触媒においては、硫黄化合物と水素とが反応して硫化水素が発生する。例えば、触媒は、ニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系である。超高次脱硫剤としては、例えば銅−亜鉛系脱硫剤、銅−亜鉛−アルミニウム系脱硫剤などを用いることができる。超高次脱硫剤は、触媒にて硫黄化合物から変換された硫化水素を取り込んで除去する。このような超高次脱硫剤は、200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態で優れた脱硫作用を発揮する。したがって、脱硫器11a6は、内部が200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態となる箇所に配置されている。例えば、脱硫器11a6は、ケーシング31内、またはケーシング31外面に配置されている。
【0017】
燃料電池システムは、脱硫剤として超高次脱硫剤を用いることに関連して、改質部33にて改質された改質ガスの一部が改質用原料供給管11aに戻されるように構成されている。具体的には、改質ガスを戻すためのリサイクルガス管39が設けられている。リサイクルガス管39の一端は、改質部33から燃料電池34に改質ガス(特許請求の範囲の燃料に相当)を供給する改質ガス供給管(特許請求の範囲の燃料供給管に相当)38に接続されている。リサイクルガス管39の他端は、改質用原料供給管11aの脱硫器11a6の上流位置、さらに具体的には、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の配設部位と圧力調整装置11a4の配設部位との間の接続部11a7にて接続されている。これにより、改質部33から改質ガス供給管38を通して流れる改質ガスの一部がリサイクルガス管39を通して改質用原料供給管11aに戻される。
【0018】
このように、水素が含まれている改質ガスの一部が改質用原料供給管11aに戻されることにより、改質ガス中の水素が改質用原料に混合されて改質用原料供給管11aを通して脱硫器11a6内の超高次脱硫剤に送給される。その結果、改質用原料中の硫黄化合物が水素と反応して硫化水素が発生し、その硫化水素が超高次脱硫剤によって除去される。
【0019】
リサイクルガス管39には、第一湿度センサ39a1、オリフィス39bおよび熱交換器(凝縮器)39cが設けられている。
第一湿度センサ39a1は、リサイクルガス管39を流れるリサイクルガスの状態を示す水蒸気量に関する物理量である湿度(特に第一湿度センサ39a1の設置場所の湿度)を検出する検知装置である。第一湿度センサ39a1は、その検出結果を制御装置15に送信するようになっている。オリフィス39bは、リサイクルガス管39の第一湿度センサ39a1より上流側に設けられている。オリフィス39bには流路孔が設けられ、流路孔によってリサイクルガス管39を通して戻される改質ガスの流量を調整する。
熱交換器39cはリサイクルガス管39のオリフィス39bより上流側に設けられている。リサイクルガスと熱交換する冷媒には改質部33に供給する改質水が用いられ、熱交換器39cには改質部33に改質水を供給する水供給管11bの一部が収容されている。リサイクルガスの熱は水供給管11bを通過する改質水と熱交換される。
【0020】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。具体的には、貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、貯湯槽21の下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配設されている。熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12は、水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。
【0021】
熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管11dを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。なお、水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。
【0022】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0023】
さらに、インバータ装置13は、燃料電池34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。また、インバータ装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。なお、制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システムの運転を制御する。
【0024】
燃料電池モジュール11(30)は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
【0025】
蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部33に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0026】
蒸発部32には、一端(下端)が水タンク14に接続された水供給管11bの他端が接続されている。また、蒸発部32には、一端が供給源Gsに接続された改質用原料供給管11aが接続されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。
【0027】
改質部33は、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部33は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池34に供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0028】
燃料電池34は、燃料と酸化剤ガスにより発電するものである。燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。
【0029】
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。燃料電池34は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する。
【0030】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管11cを介して供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0031】
燃焼部36は、燃料電池34と蒸発部32および改質部33との間に設けられている。燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて改質部33を加熱する。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて火炎37が発生している。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されてその燃焼排ガスが発生している。
【0032】
さらに燃料電池システムは、制御装置15を備えている。制御装置15には上述した第一圧力センサ11a2、流量センサ11a3、第一湿度センサ39a1、遮断弁11a1、各ポンプ11a5,11b1,22a、カソードエアブロワ11c1が接続されている(図2参照)。制御装置15はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(何れも図示省略)を備えている。CPUは燃料電池システムの運転に必要な各種プログラムを実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMはプログラムを記憶するものである。
【0033】
次に、上述した第一実施形態の燃料電池システムの作動について説明する。制御装置15は、燃料電池システムの運転中(暖機運転中、発電運転中)において、図3に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行している。制御装置15は、ステップS102において、第一湿度センサ39a1によって検出されたリサイクルガスの検出湿度Hkを取得する。
【0034】
リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合、第一湿度センサ39a1は、リサイクルガスの湿度を検出する。リサイクルガスは、改質部33によって改質された改質ガスの一部であるため、比較的高温であり、かつ、水蒸気を大量に含んでいる。ここで、第一湿度センサ39a1は、熱交換器39cより下流側に配設されているため、熱交換器39cによって凝縮された後のリサイクルガスの湿度を検出する。凝縮後のリサイクルガスの湿度は、およそ100%になっている。よって、この場合、第一湿度センサ39a1が検出する検出湿度Hkは、およそ100%である。
【0035】
一方、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合、第一湿度センサ39a1は、その配設された位置における流体の湿度を検出する。リサイクルガスが通過しない場合、リサイクルガスに含まれる水蒸気が通過しないため、リサイクルガス管39内の流体に含まれている水蒸気量が比較的少ない。よって、リサイクルガス管39内の湿度は比較的低い。この場合のリサイクルガス管39内の流体の湿度は、具体的には、およそ20%以下であることが予め実験等による実測により確かめられている。よって、この場合、第一湿度センサ39a1が検出する検出湿度Hkは、およそ20%以下である。
【0036】
そして、制御装置15は、ステップS104(検出部)にて、検出湿度Hkが湿度しきい値Hd以上であるか否かを確認する。湿度しきい値Hdは、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過しているか否かを判定するためのしきい値である。具体的には、湿度しきい値Hdは、あらかじめ実験等により実測されたリサイクルガスが通過している場合の検出湿度Hkと、リサイクルガスが通過していない場合の検出湿度Hkとの間の湿度に設定されている。具体的には、湿度しきい値Hdは、例えば70%である。
【0037】
リサイクルガス管39のオリフィス39bの流路孔が閉塞される異常が発生した場合、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しないため、第一湿度センサ39a1によって検出される検出湿度Hkが、湿度しきい値Hdより低くなる。この場合、制御装置15は、ステップS104にて「NO」と判定し、ステップS106において、リサイクルガス管39が閉塞された状態等により、リサイクルガス管39の異常が発生していると検知する。このとき、制御装置15は、例えば使用者へ警告等を行う。そして、制御装置15は、プログラムをステップS108に進めて一旦終了させる。
【0038】
一方、リサイクルガス管39が正常であれば、リサイクルガス管39にはリサイクルガスが通過することで、リサイクルガスの水蒸気が通過するため、第一湿度センサ39a1によって検出される検出湿度Hkが、湿度しきい値Hd以上になる。この場合には、制御装置15は、ステップS104にて「YES」と判定し、プログラムをステップS108に進めて一旦終了させる。
【0039】
このように、第一実施形態の燃料電池システムは、リサイクルガス管39に配設され、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの水蒸気量に関する物理量である湿度を検出する第一湿度センサ39a1と、第一湿度センサ39a1によって検出される検出湿度Hkに基づいてリサイクルガス管39を通過するリサイクルガスが正常に通過をしていることを検出する検出部(ステップS104)と、を備えている。よって、検出部(ステップS104)により、第一湿度センサ39a1によって検知された湿度に基づいてリサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過を検出することができる。これにより、リサイクルガス管39の異常を確実に検知できるようになる。したがって、リサイクルガスが脱硫器11a6に供給されないことによって、脱硫器11a6により除去されなかった硫黄成分による改質部33の劣化や燃料電池34の故障を発生させないような対処をすることが可能になる。その結果、燃料電池システムにおいて、硫黄成分による改質部33の劣化や燃料電池34の故障を抑制することができる。
また、第一湿度センサ39a1は、一般的に比較的低コストであり、例えば改質ガスに含まれる水素や一酸化炭素を検出するセンサと比べても低コストである。よって、制御装置15は、第一湿度センサ39a1を用いて、検出部によりリサイクルガス管39をリサイクルガスが正常に通過しているか否かを判定することで、リサイクルガス管39の異常を比較的低コストにて検知できるようになる。
【0040】
(第一実施形態の第一変形例)
次に、第一実施形態の第一変形例について、主に第一実施形態と異なる部分について説明する。本第一変形例は、第一実施形態の燃料電池システムが備えている第一湿度センサ39a1に代えて、図4に示すように、第一露点センサ39d1を備えている。第一露点センサ39d1は、リサイクルガス管39に配設され、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの状態を示す水蒸気に関する物理量である露点温度を検知する検知装置である。第一露点センサ39d1は、例えば、センサの材質に酸化アルミが用いられた静電容量式の露点センサである。また、本第一変形例は、第一実施形態の燃料電池システムが備えている熱交換器39cを備えていない。
【0041】
第一実施形態において、制御装置15は、図3に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行するが、本第一変形例においては、制御装置15は、図5に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。制御装置15は、ステップS202にて、第一露点センサ39d1によって検出されたリサイクルガスの検出露点温度Rkを取得する。
【0042】
リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合、第一露点センサ39d1は、リサイクルガスの露点温度を検出する。この場合のリサイクルガスの露点温度は、具体的には、およそ50℃以上であることが予め実験等による実測により確かめられている。よって、この場合、第一露点センサ39d1が検出する検出露点温度Rkは、およそ50℃以上である。
【0043】
一方、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合、第一露点センサ39d1は、その配設された位置における流体の露点温度を検出する。リサイクルガスが通過しない場合、リサイクルガスに含まれる水蒸気が通過しないため、リサイクルガス管39内の流体に含まれている水蒸気量が比較的少ない。この場合のリサイクルガス管39内の流体の露点温度は、具体的には、およそ10℃以下であることが予め実験等による実測により確かめられている。よって、この場合、第一露点センサ39d1が検出する検出露点温度Rkは、およそ10℃以下である。
【0044】
そして、制御装置15は、ステップS204(検出部)にて、検出露点温度Rkが第一露点しきい値Rd1以上であるか否かを確認する。第一露点しきい値Rd1は、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過しているか否かを判定するためのしきい値である。具体的には、第一露点しきい値Rd1は、あらかじめ実験等により実測されたリサイクルガスが通過している場合の検出露点温度Rkと、リサイクルガスが通過していない場合の検出露点温度Rkとの間の露点温度に設定されている。具体的には、第一露点しきい値Rd1は、例えば40℃に設定されている。
【0045】
リサイクルガス管39のオリフィス39bの流路孔が閉塞される異常が発生した場合、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しないため、第一露点センサ39d1によって検出される検出露点温度Rkが、第一露点しきい値Rd1より低くなる。この場合、制御装置15は、ステップS204にて「NO」と判定する。これ以降は、上述した第一実施形態と同様である。
【0046】
一方、リサイクルガス管39が正常であれば、リサイクルガス管39にはリサイクルガスが通過するため、第一露点センサ39d1によって検出される検出露点温度Rkが、第一露点しきい値Rd1以上になる。この場合には、制御装置15は、ステップS204にて「YES」と判定し、プログラムをステップS108に進めて一旦終了させる。
【0047】
このように、本第一変形例の燃料電池システムは、リサイクルガス管39に配設され、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの水蒸気量に関する物理量である露点温度を検出する第一露点センサ39d1と、第一露点センサ39d1の検出露点温度Rkに基づいてリサイクルガス管39を通過するリサイクルガスが正常に通過をしていることを検出する検出部(ステップS204)と、を備えている。これにより、第一実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
また、第一露点センサ39d1は、一般的に比較的低コストであり、例えば改質ガスに含まれる水素や一酸化炭素を検出するセンサと比べても低コストである。よって、制御装置15は、第一露点センサ39d1を用いて、検出部によりリサイクルガス管39をリサイクルガスが正常に通過しているか否かを判定することで、リサイクルガス管39の異常を比較的低コストにて検知できるようになる。
【0048】
(第一実施形態の第二変形例)
次に、第一実施形態の第二変形例について、主に第一実施形態の第一変形例と異なる部分について説明する。本第二変形例は、上述した第一変形例の燃料電池システムが備えている第一露点センサ39d1に代えて、図6に示すように、第二露点センサ39d2を備えている。第二露点センサ39d2は、改質用原料供給管11aにおける接続部11a7と脱硫器11a6との間に配設されている。よって、本第二変形例の場合、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しているとき、第二露点センサ39d2が配設されている部位には、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスが通過する。すなわち、第二露点センサ39d2は、混合ガスの露点温度Rを検出する検知装置である。
また、本第二変形例においても、上述した第一変形例と同様に、図5に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。制御装置15は、ステップS202にて、第二露点センサ39d2によって検出されたリサイクルガスの検出露点温度Rkを取得する。
【0049】
リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合、リサイクルガスが改質用原料供給管11aに戻らないため、第二露点センサ39d2が配設された部位には、改質用原料のみが通過する。ここで、改質用原料に含まれる水蒸気量は一般に比較的少ない。改質用原料の露点温度は、具体的には、およそマイナス40℃であることが予め実測により確かめられている。よって、この場合、第二露点センサ39d2が検出する検出露点温度Rkは、およそマイナス40℃である。
【0050】
一方、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合、リサイクルガスが改質用原料供給管11aに戻るため、第二露点センサ39d2が配設された部位には、改質用原料とリサイクルガスとが通過する。よって、第二露点センサ39d2は、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの露点温度Rを検出露点温度Rkとして検出する。この場合、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの水蒸気量は、改質用原料のみが通過する場合に比べてリサイクルガスの水蒸気量の分だけ増加する。この場合の混合ガスの露点温度Rは、改質用原料を脱硫するために必要なリサイクルガスの流量によって変動するが、具体的には、およそ40℃以上であることが予め実験等による実測により確かめられている。よって、この場合、第二露点センサ39d2が検出する検出露点温度Rkは、およそ40℃以上である。
ここで、第一露点しきい値Rd1は、あらかじめ実験等により実測されたリサイクルガスが通過している場合の検出露点温度Rkと、リサイクルガスが通過していない場合の検出露点温度Rkとの間の露点温度に設定されている。本第二変形例において、第一露点しきい値Rd1は、例えば10℃に設定されている。
【0051】
このように、本第二変形例の燃料電池システムは、改質用原料供給管11aにおけるリサイクルガス管39の接続部11a7と脱硫器11a6との間に配設され、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの水蒸気量に関する物理量として、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの露点温度Rを検出する第二露点センサ39d2と、第二露点センサ39d2の検出露点温度Rkに基づいてリサイクルガス管39を通過するリサイクルガスが正常に通過をしていることを検出する検出部(ステップS204)と、を備えている。これにより、第一実施形態および第一実施形態の第一変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
【0052】
ここで、本第二変形例における変形例について説明する。本第二変形例の燃料電池システムは、第二露点センサ39d2を備えているが、これに代えて、図7に示すように、リサイクルガスの状態を示す水蒸気量に関する物理量である湿度を検知する第二湿度センサ39a2を備えている。この場合、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しているとき、第二湿度センサ39a2が配設されている部位には、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスが通過する。すなわち、第二湿度センサ39a2は、混合ガスの湿度を検出する検知装置である。
また、本第二変形例において、制御装置15は、図5に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行するが、これに代えて、図3に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。制御装置15は、ステップS102において、第二湿度センサ39a2によって検出された混合ガスの検出湿度Hkを取得する。
【0053】
リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合、リサイクルガスが改質用原料供給管11aに戻らないため、第二湿度センサ39a2が配設された部位には、改質用原料のみが通過する。この場合、第二湿度センサ39a2は、改質用原料のみの湿度を検出湿度Hkとして検出する。
一方、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合、リサイクルガスが改質用原料供給管11aに戻るため、第二湿度センサ39a2が配設された部位には、改質用原料とリサイクルガスとが通過する。この場合、第二湿度センサ39a2は、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの湿度を検出湿度Hkとして検出する。
また、この場合、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの水蒸気量は、リサイクルガスの水蒸気量の分だけ改質用原料のみが通過する場合に比べて増加する。したがって、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合に比べて、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合の第二湿度センサ39a2によって検出される検出湿度Hkは高くなる。この差に基づいて、湿度しきい値Hdを設定することにより、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過を検知することができる。
【0054】
(第一実施形態の第三変形例)
次に、第一実施形態の第三変形例について、主に第一実施形態の第二変形例と異なる部分について説明する。本第三変形例の燃料電池システムは、図8に示すように、改質部33内の温度を検出する第一温度センサ33a(特許請求の範囲の温度センサに相当)をさらに備えている。また、制御装置15には、マップMが記憶されている。マップMは、図9に示すように、改質用原料の流量に対するリサイクルガスの流量の比率を示すリサイクルガス比率(=リサイクルガス流量/改質用原料流量;特許請求の範囲のリサイクル燃料比率に相当)Rpと、混合ガスの露点温度Rとの改質部33内の温度Th毎の相関関係を表している。この相関関係は、予め実験等により実測されて導出されている。図8において、改質部33内の温度Thのうち第一温度Th1、第二温度Th2、第三温度Th3の順に温度Thが高くなっている。すなわち、同じリサイクルガス比率Rpの値で比較した場合、改質部33内の温度Thの高い方が、混合ガスの露点温度Rが低くなっている。
【0055】
また、上述した第二変形例において、制御装置15は、図5に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行するが、本第三変形例においては、制御装置15は、図10に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。制御装置15は、ステップS302において、第一温度センサ33aによって検出された改質部33内の検出温度Thkを取得して、プログラムをステップS304に進める。
【0056】
制御装置15は、ステップS304(算出部)にて、マップMに基づいて、検出温度Thkおよび所定リサイクルガス比率(特許請求の範囲の所定リサイクル燃料比率に相当)Rpsから第二露点しきい値Rd2(特許請求の範囲の露点しきい値に相当)を算出する。所定リサイクルガス比率Rpsは、予め制御装置15に記憶された値である。具体的に、所定リサイクルガス比率Rpsは、改質用原料に含まれる硫黄成分を除去するために必要な水素量を含むリサイクルガスの流量が確保されているリサイクルガス比率Rpである。ここで、例えば、検出温度Thkが第二温度Th2であった場合、図9に示すように、第二温度Th2の相関関係に基づいて、所定リサイクルガス比率Rpsに応じた混合ガスの所定露点温度Rsが第二露点しきい値Rd2として算出される。
そして、制御装置15は、ステップS306にて、第二露点センサ39d2によって検出された検出露点温度Rkを取得して、プログラムをステップS308に進める。
【0057】
制御装置15は、ステップS308(検出部)にて、検出露点温度Rkが、第二露点しきい値Rd2以上であるか否かを確認する。例えばオリフィス39bの流路孔が閉塞状態に近くなる異常が発生することにより、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの流量が減少することで、検出露点温度Rkが第二露点しきい値Rd2より小さくなった場合、制御装置15は、ステップS308にて「NO」と判定する。そして、制御装置15は、ステップS106にて、例えばオリフィス39bの流路孔が閉塞状態に近くなることで、改質用原料の脱硫を行うために必要なリサイクルガスの流量が確保されていないとして、リサイクルガス管39の異常を検知する。
【0058】
一方、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの流量が、改質用原料の脱硫を行うために必要な流量を確保している場合、第二露点センサ39d2によって検出される検出露点温度Rkが、第二露点しきい値Rd2以上になる。この場合には、制御装置15は、ステップS308にて「YES」と判定し、プログラムをステップS108に進めて一旦終了させる。
【0059】
このように、検知装置は、改質用原料供給管11aにおけるリサイクルガス管39の接続部11a7と脱硫器11a6との間に配設され、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの露点温度Rを検知する第二露点センサ39d2であり、物理量は、混合ガスの露点温度Rであり、燃料電池システムは、改質部33内の温度Thを検出する第一温度センサ33aをさらに備えている。制御装置15は、改質用原料の流量に対するリサイクルガスの流量の比率を示すリサイクルガス比率Rpと、混合ガスの露点温度Rとの改質部33内の温度Th毎の関係を表すマップMに基づいて、第一温度センサ33aによって検出された検出温度Thkおよび所定リサイクルガス比率Rpsに応じた所定露点温度Rsを第二露点しきい値Rd2として算出する算出部(ステップS304)と、をさらに備えている。検出部(ステップS308)は、第二露点センサ39d2によって検出された検出露点温度Rkが、算出部によって算出された第二露点しきい値Rd2以上である場合、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過を検出する。
これによれば、検出部は、第二露点センサ39d2によって検出された混合ガスの露点温度Rに基づいて、算出部によって算出される第二露点しきい値Rd2を用いることにより、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過を検出することができる。よって、リサイクルガス管39の異常を精度よく検知できる。
なお、本第三変形例において、所定リサイクルガス比率Rpsは、改質用原料に含まれる硫黄成分を除去するために必要な水素量を含むリサイクルガスの流量が確保されているリサイクルガス比率Rpであるが、これに代えて、所定リサイクルガス比率Rpsを、ゼロより大きく、改質用原料の脱硫を行うために必要なリサイクルガスの流量が確保されていないリサイクルガス比率Rpより小さくするようにしても良い。これによれば、制御装置15は、検出部によって、リサイクルガス管39をリサイクルガスが通過しているか否かを判定することが可能となる。
また、本第三変形例において、所定リサイクルガス比率Rpsは、一定の値であるが、これに代えて、例えば改質用原料の流量に応じて変更するようにしても良い。
【0060】
また、本第三変形例において、燃料電池システムは、第二露点センサ39d2を備えているが、これに代えて、図11に示すように、改質用原料供給管11aにおけるリサイクルガス管39の接続部11a7と脱硫器11a6との間に配設された第三湿度センサ39a3、および、第二温度センサ11a8をさらに備えるようにしても良い。第三湿度センサ39a3は、混合ガスの湿度を検知する検知装置である。また、第二温度センサ11a8は、混合ガスの温度を検知する検知装置である。これにより、第二温度センサ11a8の検出値と第三湿度センサ39a3の検出する検出湿度Hkとから、混合ガスの露点温度Rを算出することができる。これによれば、混合ガスの露点温度Rから、本第三変形例のように、図9に示す混合ガスの露点温度Rとリサイクルガス比率Rpの相関関係に基づいて、第二露点しきい値Rd2を設定することができる。よって、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの流量が減少して、改質用原料の脱硫が十分に行われない場合、制御装置15は、検出部(ステップS308)によって、リサイクルガス管39の異常を検知することができるようになる。
なお、燃料電池システムが筐体10a内の温度を検出する温度センサを備える場合であって、この温度センサが検出する温度を混合ガスの温度とみなすことができるときは、この温度センサの検出結果と第三湿度センサ39a3の検出結果に基づいて、混合ガスの露点温度Rを算出するようにしても良い。この場合、第二温度センサ11a8を備えないようにすることができる。
【0061】
(第一実施形態の第四変形例)
次に、第一実施形態の第四変形例について、主に第一実施形態と異なる部分について説明する。本第四変形例は、第一実施形態の燃料電池システムが備えている第一湿度センサ39a1に代えて、図12に示すように、第二圧力センサ39e(特許請求の範囲の圧力センサに相当)を備えている。第二圧力センサ39eは、リサイクルガス管39に配設され、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの状態を示す物理量である圧力を検知する検知装置である。
【0062】
第一実施形態において、制御装置15は、図3に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行するが、本第四変形例においては、制御装置15は、図13に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。制御装置15は、ステップS402にて、第二圧力センサ39eによって検出されたリサイクルガスの検出圧力値Pkを取得する。
リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合、リサイクルガスの流量が生じているため、リサイクルガスの圧力が生じる。よって、第二圧力センサ39eは、リサイクルガスの圧力を検出圧力値Pkとして検出する。この場合、第二圧力センサ39eが検出するリサイクルガスの検出圧力値Pkは、およそ50kPa以上であることが予め実験等による実測により確認されている。
【0063】
リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合、リサイクルガスの流量がゼロであるため、リサイクルガスの圧力が生じない。よって、第二圧力センサ39eは、その配設された位置における流体の圧力を検出する。この場合、第二圧力センサ39eが検出するリサイクルガスの検出圧力値Pkは、およそ5kPa以下であることが予め実験等による実測により確認されている。
【0064】
そして、制御装置15は、ステップS404(検出部)にて、検出圧力値Pkが圧力しきい値Pd以上であるか否かを確認する。圧力しきい値Pdは、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過しているか否かを判定するためのしきい値である。具体的には、圧力しきい値Pdは、あらかじめ実験等により実測されたリサイクルガスが通過している場合の検出圧力値Pkと、リサイクルガスが通過していない場合の検出圧力値Pkとの間の圧力値に設定されている。具体的には、圧力しきい値Pdは、例えば30kPaに設定されている。
【0065】
リサイクルガス管39のオリフィス39bの流路孔が閉塞される異常が発生した場合、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しないため、第二圧力センサ39eによって検出される検出圧力値Pkが、圧力しきい値Pdより低くなる。この場合、制御装置15は、ステップS404にて「NO」と判定する。これ以降は、上述した第一実施形態と同様である。
【0066】
一方、リサイクルガス管39が正常であれば、リサイクルガス管39にはリサイクルガスが通過するため、第二圧力センサ39eによって検出される検出圧力値Pkが、圧力しきい値Pd以上になる。この場合には、制御装置15は、ステップS404にて「YES」と判定し、プログラムをステップS108に進めて一旦終了させる。
【0067】
このように、本第四変形例の燃料電池システムは、リサイクルガス管39に配設され、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの状態を示す物理量である圧力を検出する第二圧力センサ39eと、第二圧力センサ39eの検出圧力値Pkに基づいてリサイクルガス管39を通過するリサイクルガスが正常に通過をしていることを検出する検出部(ステップS404)と、を備えている。これにより、第一実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
また、第二圧力センサ39eは、一般的に比較的低コストであり、例えば改質ガスに含まれる水素や一酸化炭素を検出するセンサと比べても低コストである。よって、制御装置15は、第二圧力センサ39eを用いて、検出部によりリサイクルガス管39をリサイクルガスが正常に通過しているか否かを判定することで、リサイクルガス管39の異常を比較的低コストにて検知できるようになる。
【0068】
また、本第四変形例において、第二圧力センサ39eは、リサイクルガス管39に配設されているが、これに代えて、改質用原料供給管11aにおけるリサイクルガス管39の接続部11a7と脱硫器11a6との間に配設するようにしても良い。この場合、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しているとき、第二圧力センサ39eが配設されている部位には、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスが通過する。すなわち、第二圧力センサ39eは、混合ガスの圧力を検出する。
この場合、改質用原料供給管11aを通過する改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスの流量は、リサイクルガスの流量の分だけ改質用原料のみが通過する場合に比べて多くなる。したがって、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しない場合に比べて、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する場合の第二圧力センサ39eによって検出される検出圧力値Pkは高くなる。この差に基づいて、圧力しきい値Pdを設定することにより、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過を検知することができる。
【0069】
また、上述した本第四変形例における第二圧力センサ39eに代えて、リサイクルガス管39において、リサイクルガス管39内の圧力を検出する圧力センサをオリフィス39bの上流側および下流側にそれぞれ配設するようにしても良い。制御装置15は、これら圧力センサが検出した値から、オリフィス39bの上流側と下流側との圧力差を算出して、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過しているか否かを判断する。すなわち、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過している場合、オリフィス39bによる圧力損失を、オリフィス39bの上流側と下流側との圧力差として検出できる。一方、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過していない場合、オリフィス39bによる圧力損失が生じないため、オリフィス39bの上流側と下流側との圧力差が生じない。よって、リサイクルガスが通過している場合の圧力差と、リサイクルガスが通過していない場合の圧力差との間に圧力しきい値Pdを設けることで、制御装置15は、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過しているか否かを判断できる。
【0070】
また、上述した各実施形態(各変形例)において、リサイクルガス管39に改質ガス(リサイクル燃料)を流通させるためのリサイクル燃料供給装置として、改質用原料供給管11aに圧力調整装置11a4を設けたが、これに代えて、リサイクルガス管39に改質ガス(リサイクル燃料)を流通させるためのリサイクル燃料供給装置として、図14に示すように、リサイクルガス管39にリサイクルガスを送り出すポンプ39fを設けたものであってもよい。この場合、燃料電池システムは、オリフィス39bを備えないようにしても良い。
さらに、この場合、制御装置15は、ポンプ39fによって、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの流量を制御することができるようになる。よって、上述した第三変形例において、混合ガスの露点温度Rが第二露点しきい値Rd2より小さい、すなわち、リサイクルガス比率Rpが所定リサイクルガス比率Rpsより小さい場合、制御装置15は、ポンプ39fの駆動量(回転数)を増加させて、リサイクルガスの流量を増加して、リサイクルガス比率Rpを大きくすることができる。これにより、リサイクルガス比率Rpが所定リサイクルガス比率Rps以上とすることができ、改質用原料の脱硫を行うために必要なリサイクルガスの流量を確保することができる。なお、ポンプ39fを備えない場合においても、原料ポンプ11a5が圧送する改質用原料の流量とリサイクルガスの流量との間に相関関係があるときには、制御装置15は、原料ポンプ11a5を制御して、リサイクルガス比率Rpに応じてリサイクルガスの流量を制御するようにしても良い。
【0071】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について、主に第一実施形態と異なる部分について説明する。本第二実施形態の燃料電池システムは、第一実施形態の燃料電池システムが備える第一湿度センサ39a1を備えていない。また、本第二実施形態の燃料電池システムは、制御装置15は、フィードバック制御部15aをさらに備えている。
【0072】
フィードバック制御部15aは、流量センサ11a3によって検出される改質用原料の流量である実流量Qrが目標流量Qtとなるように、原料ポンプ11a5に対する制御指令値を算出して、制御指令値を原料ポンプ11a5に出力するフィードバック制御を行う部位である。フィードバック制御部15aは、図15に示すように、減算部15a1および制御指令値演算部15a2を備えている。目標流量Qtは、外部電力負荷16cの消費電力と、制御装置15に予め記憶されている燃料供給マップとに基づいて導出される。燃料供給マップは、外部電力負荷16cの消費電力と改質用原料、改質水およびカソードエアの各供給量(目標流量Qt)との相関関係を示すものである。
【0073】
減算部15a1は、目標流量Qtと実流量Qrとが入力される。減算部15a1は、目標流量Qtから実流量Qrを減算して両流量の偏差(=目標流量Qt−実流量Qr)etを算出し、その算出値を制御指令値演算部15a2に出力する。制御指令値演算部15a2は、入力された偏差に基づいて原料ポンプ11a5の制御指令値(回転数)を算出する。ここで、原料ポンプ11a5がPWM制御されているため、制御指令値は、PWM制御のデューティ比で算出される。そして、その制御指令値が、デューティ比にて原料ポンプ11a5のドライバ回路(図示なし)に出力される。これにより、外部電力負荷16cの消費電力量(燃料電池34の負荷電力量)に応じて、実流量Qrが目標流量Qtとなるようにフィードバック制御される。
【0074】
上述した第一実施形態は、図3に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行しているが、本第二実施形態においては、図16に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。制御装置15は、ステップS502において、改質用原料の目標流量Qtに設定された所定目標流量Qt1に基づいて、所定デューティ比しきい値Dd1を決定する。所定デューティ比しきい値Dd1は、後述するステップS508において、リサイクルガス管39をリサイクルガスが正常に通過しているか否かを判定するためのデューティ比しきい値Ddの値である。
【0075】
制御装置15は、ステップS504において、流量センサ11a3によって検出される実流量Qrと所定目標流量Qt1との差が所定値Qs以下であるか否かを判定する。所定値Qsは、実流量Qrが目標流量Qtと一致しているか否かを判定するための値である。所定値Qsは、目標流量Qtに設定された所定目標流量Qt1の例えば3%に相当する値に設定されている。
実流量Qrと所定目標流量Qt1との差が所定値Qsより大きい場合、実流量Qrが所定目標流量Qt1と一致していないとして、制御装置15は、ステップS504にて「NO」と判定し、ステップS504を繰り返し実行する。一方、実流量Qrと所定目標流量Qt1との差が所定値Qs以下である場合、制御装置15は、実流量Qrが所定目標流量Qt1と一致したとして、ステップS504にて「YES」と判定し、プログラムをステップS506に進める。
【0076】
制御装置15は、ステップS506(制御指令値検知部)にて、その時点におけるデューティ比を検出デューティ比Dkとして取得する。そして、制御装置15は、ステップS508(検出部)において、ステップS506にて取得した検出デューティ比Dkが所定デューティ比しきい値Dd1以上であるか否かを判定する。
リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過していない場合、原料ポンプ11a5が圧送する流体は、改質用原料のみである。この場合、ステップS508による判定時においては、改質用原料の流量が所定目標流量Qt1に達しているため、検出デューティ比Dkは、所定目標流量Qt1に相当するデューティ比である。
【0077】
一方、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過している場合、原料ポンプ11a5が圧送する流体は、改質用原料とリサイクルガスとの混合ガスである。このとき、この混合ガスの流量は、改質用原料の流量である所定目標流量Qt1とリサイクルガスの流量とを合わせた流量である。よって、この場合の検出デューティ比Dkは、所定目標流量Qt1とリサイクルガスの流量とを合わせた流量に相当するデューティ比ある。すなわち、リサイクルガス管39にリサイクルガスが通過している場合の検出デューティ比Dkは、リサイクルガスが通過していない場合に比べて、リサイクルガスの流量に相当するデューティ比分が増加する。
【0078】
所定デューティ比しきい値Dd1は、所定目標流量Qt1に相当するデューティ比と、所定目標流量Qt1とリサイクルガスの流量とを合わせた流量に相当するデューティ比との間に設定されている。ここで、リサイクルガスの流量は、目標流量Qtと所定の相関関係を有している。所定の相関関係は、実験等により実測されて導出され、予め制御装置15に記憶されている。この相関関係に基づいて、所定目標流量Qt1に応じたリサイクルガスの流量が導出され、所定目標流量Qt1における所定デューティ比しきい値Dd1が設定されている。
【0079】
図16に示すフローチャートに戻って説明を続ける。リサイクルガス管39をリサイクルガスが通過していない場合、ステップS506において検出される検出デューティ比Dkは、所定目標流量Qt1に相当するデューティ比である。この場合、検出デューティ比Dkが所定デューティ比しきい値Dd1より小さいため、制御装置15は、ステップS508にて「NO」と判定し、プログラムをステップS106に進める。制御装置15は、ステップS106において、リサイクルガス管39の異常を検知して、プログラムをステップS108に進めて終了させる。
【0080】
一方、リサイクルガス管39をリサイクルガスが通過している場合、ステップS506において検出される検出デューティ比Dkは、所定目標流量Qt1とリサイクルガスの流量を合わせた流量に相当するデューティ比である。この場合、検出デューティ比Dkが所定デューティ比しきい値Dd1以上であるため、制御装置15は、ステップS508にて「YES」と判定し、プログラムをステップS108に進めて一旦終了させる。
【0081】
このように、本第二実施形態の燃料電池システムの制御装置15は、流量センサ11a3によって検出される流量が改質用原料の目標流量Qtとなるように、原料ポンプ11a5に対する制御指令値を算出して、制御指令値を原料ポンプ11a5に出力するフィードバック制御を行うフィードバック制御部15aと、検出デューティ比Dkを検出する制御指令値検知部(ステップS506)と、制御指令値検知部によって検知された検出デューティ比Dkに基づいてリサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過を検出する検出部(ステップS508)と、を備えている。
これらにより、制御装置15は、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過していない状態を確実に検知する。よって、燃料電池システムは、リサイクル燃料の物理量を検知するセンサ等を追加することなく、比較的低コストにて、リサイクルガス管39の異常を確実に検知できる。
【0082】
なお、上述した各実施形態において、燃料電池システムの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、上述した各実施形態において熱交換器39cを備えている燃料電池システムについて、熱交換器39cを備えないようにしても良い。
また、上述した各実施形態において、リサイクルガス管39は、改質用原料供給管11aにおける圧力調整装置11a4と原料ポンプ11a5との間に接続されているが、これに代えて、リサイクルガス管39を原料ポンプ11a5と脱硫器11a6との間に接続するようにしても良い。
また、上述した実施形態の燃料電池システムの燃料電池34は固体酸化物形燃料電池(SOFC)であるが、本発明はこれに限られるものでなく、燃料電池として固体高分子形燃料電池(PEFC)にも適用されるものである。
【符号の説明】
【0083】
11…燃料電池モジュール、11a…改質用原料供給管、11a3…流量センサ(流量検出装置)、11a4…圧力調整装置、11a5…原料ポンプ(原料供給装置)、11a6…脱硫器、11a7…接続部、11a8…第二温度センサ(検知装置)、15…制御装置(検出部、フィードバック制御部、制御指令値検知部)、15a…フィードバック制御部、32…蒸発部、33…改質部、33a…第一温度センサ(温度センサ)、34…燃料電池、38…改質ガス供給管、39…リサイクルガス管(リサイクル燃料管)、39a1…第一湿度センサ(検知装置)、39a2…第二湿度センサ(検知装置)、39a3…第三湿度センサ(検知装置)、39b…オリフィス、39c…熱交換器、39d1…第一露点センサ(検知装置)、39d2…第二露点センサ(検知装置)、39e…第二圧力センサ(圧力センサ;検知装置)、M…マップ、Rd1…第一露点しきい値、Rd2…第二露点しきい値(露点しきい値)、Rp…リサイクルガス比率(リサイクル燃料比率)、Rps…所定リサイクルガス比率(所定リサイクル燃料比率)。
図1
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