特許第6378009号(P6378009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378009
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】電池固定装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180813BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20180813BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20180813BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20180813BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALN20180813BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALN20180813BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   !H01M10/613
   !H01M10/625
   !H01M10/647
   !H01M10/6555
   !H01M10/6563
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-178169(P2014-178169)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-51685(P2016-51685A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】成毛 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】稲越 賢司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亘樹
(72)【発明者】
【氏名】本吉 拓弥
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−109956(JP,A)
【文献】 特開2014−022134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10、10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に内蔵され、厚み方向に配列される複数のバッテリーセルを固定する電池固定装置であり、
前記バッテリーセル同士の間に配置されたセパレータと、
前記バッテリーセルが配列される方向に沿って延在し、前記セパレータと接触する接触部を有するガイドと、を具備し、
前記セパレータが前記バッテリーセル同士の間で左右方向の両端部付近に夫々配置され、
前記セパレータと前記ガイドとが接触する部分の少なくとも一方が傾斜面を有し、
前記車両に衝撃が作用した際に、前記ガイドが前記厚み方向に沿って移動し、前記接触部が前記セパレータに接触することで、前記セパレータが前記バッテリーセル同士の間から外側に移動することを特徴とする電池固定装置。
【請求項2】
前記ガイドに設けられた傾斜面と、前記セパレータに設けられた傾斜面とが対面することを特徴とする請求項1に記載の電池固定装置。
【請求項3】
前記セパレータは、前記バッテリーセルの表面に接触して回転するローラーを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池固定装置。
【請求項4】
前記ガイドは前記バッテリーセルの上方および下方に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電池固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の内部で複数のバッテリーセルの位置を固定する電池固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車では、モータに電力を駆動するための二次電池が搭載される。
【0003】
この二次電池では、複数のバッテリーセルを厚み方向に整列させている。これにより、スペース的な制約を考慮しつつ、所定の電気容量や出力電圧を得ることが出来る。このようにバッテリーセルを配列させる場合、使用状況下での振動などで各バッテリーセルが移動しないように、これらの位置を固定する必要がある。車両の内部にてバッテリーセルの位置を固定する発明が以下の特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0004】
特許文献1の図5およびその説明箇所を参照すると、電池の取り出し易さが考慮された電池の拘束装置が開示されている。具体的には、バッテリーセル同士の間に配置されるスペーサ20にはテーパ部23が形成され、上下両治具にもこれらに対応したテーパ部51等が形成されている。これにより、テーパ部23、51同士が接触することにより、電池Wの位置決めが行われている。
【0005】
特許文献2の図1およびその説明箇所を参照すると、複数の電池セルの積層方向に於ける積層体12の両側に保持部材18等を配置し、保持部材同士の間にピアノ線23を架設し、このピアノ線の張力を張力調節機構35で調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−218968号公報
【特許文献2】特開2013−109956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した各文献に記載された発明では、車両の衝突時に於ける二次電池の安全性が必ずしも十分に確保されていなかった。
【0008】
具体的には、特許文献1に記載された発明では、上記した図5等を参照して、使用状況下においてスペーサ20は常に二次電池W同士の間に存在している。よって、車両衝突事故が発生した場合であっても、このスペーサ20が存在している。従って、衝突事故時に於ける二次電池Wの状態が必ずしも安全でない恐れがあった。
【0009】
また、特許文献2に記載した発明であっても、図1を参照すると、電池セル11同士の間にはスペーサ部材13が存在している。よって、衝突事故発生に於いてスペーサ13が存在していることにより、電池セル11が破損してしまう恐れがあった。
【0010】
本願発明は、上記した課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、衝突事故発生時に於いてバッテリーセルの損傷を抑止する電池固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車両に内蔵され、厚み方向に配列される複数のバッテリーセルを固定する電池固定装置であり、 前記バッテリーセル同士の間に配置されたセパレータと、 前記バッテリーセルが配列される方向に沿って延在し、前記セパレータと接触する接触部を有するガイドと、を具備し、前記セパレータが前記バッテリーセル同士の間で左右方向の両端部付近に夫々配置され、前記セパレータと前記ガイドとが接触する部分の少なくとも一方が傾斜面を有し、 前記車両に衝撃が作用した際に、前記ガイドが前記厚み方向に沿って移動し、前記接触部が前記セパレータに接触することで、前記セパレータが前記バッテリーセル同士の間から外側に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、衝突事故等が発生した際に、バッテリーセルに沿って配置したガイドがその配列方向に沿って移動し、ガイドの接触部がセパレータに接触することで、セパレータが外側に退避する。よって、バッテリーセル同士がその厚み方向に詰まることにより、バッテリーセルの破損が抑止されている。
【0013】
更に、衝撃を吸収するためのストロークが十分に確保され、十分に衝突エネルギーを吸収することが可能となる。更には、これにより大容量のバッテリーを搭載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の電池固定装置を示す図であり、(A)は電池固定装置を備えた車両を示す斜視図であり、(B)はバッテリーモジュールを示す斜視図である。
図2】本発明の電池固定装置を示す図であり、(A)はバッテリーモジュールを部分的に示す上面図であり、(B)は断面図であり、(C)は斜視図であり、(D)はセパレータを拡大して示す上面図である。
図3】本発明の電池固定装置を示す図であり、バッテリーアレイを示す側面図である。
図4】本発明の電池固定装置を示す図であり、(A)は衝突前の車両の後部を示す側面図であり、(B)は衝突後の車両の後部を示す側面図である。
図5】本発明の電池固定装置を示す図であり、(A)および(B)は衝突時にセパレータが移動する状況を逐次的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本形態の電池固定構造を説明する。以下の説明において、左方および右方は車両10の進行方向を向いた場合を示す。
【0016】
図1(A)を参照して、本形態の電池固定装置が採用されるバッテリーモジュール14は、車両10に採用される。車両10は例えば電気自動車またはハイブリッド自動車である。車両10が電気自動車の場合は、バッテリーモジュール14から供給される電力で回転するモータを駆動源として車両10が走行する。車両10がハイブリッド自動車の場合は、上記したモータまたはエンジンの一方または両方を駆動源として車両10が走行する。
【0017】
バッテリーモジュール14は、車両10の後端付近に配置される。この図を参照すると、複数のバッテリーセル22が行列状にケース16に収納され、このケース16がフレーム12により支持されている。
【0018】
図1(B)を参照して、本形態のバッテリーモジュール14では、ケース16の内部に複数のバッテリーアレイ20A、20Bが収納されている。バッテリーアレイ20A、20Bは、その厚み方向に積層された複数のバッテリーセル22から構成されている。本形態では、バッテリーセル22の厚み方向と車両10の前後方向とは一致しているので、前後方向に積層された多数のバッテリーセル22によりバッテリーアレイ20A、20Bが構成される。
【0019】
バッテリーアレイ20Aを構成するバッテリーセル22は、風路18Aを経由して導入される空気により冷却される。具体的には、バッテリーアレイ20Aを構成するバッテリーセル22同士は後述するセパレータにより所定間隔で離間されている。そして、風路18Aを経由して車両10の前方から取り入れられた外気がバッテリーアレイ20Aを構成するバッテリーセル22同士の間に進入する。また、この風路18Aは、バッテリーアレイ20Bにも連通しており、風路18Aを経由した空気がバッテリーアレイ20Bにも供給される。バッテリーアレイ20Aを冷却した空気は風路18Bを経由して系外に放出される。同様に、バッテリーアレイ20Bを冷却した空気も風路18Cを経由して系外に放出される。
【0020】
バッテリーセル22の過熱を防止するために、バッテリーセル22同士はセパレータで離間されている。本形態では、車両10が衝突した際に、このセパレータを外部に退避させることで、バッテリーセル22同士の間隙を潰れ代として用いて、バッテリーセル22の破損を抑止している。係る事項は図5等を参照して後述する。
【0021】
図2を参照して、上記したバッテリーセル22の位置を固定する電池固定装置11の構成を説明する。図2(A)は1つバッテリーアレイを上方から見た平面図であり、図2(B)は図2(A)のB−B線での断面図であり、図2(C)はガイド30とセパレータ26との関連構成を示す斜視図であり、図2(D)はガイド30とセパレータ26とを上方から見た平面図である。
【0022】
図2(A)を参照して、電池固定装置11は、バッテリーセル22同士の間に配置されるセパレータ26と、衝突時にこのセパレータ26を外側に退避させるガイド30とを具備している。
【0023】
セパレータ26は、バッテリーセル22同士の間に複数が配置されている。図2(A)に示すように、セパレータ26はバッテリーセル22同士の間で左右方向の両端部付近に夫々配置されている。また、図2(B)に示すように、バッテリーセル22同士の間で上端部および下端部にセパレータ26が配置されている。即ち本形態では、バッテリーセル22同士の間に合計で4個のセパレータ26が配置されている。セパレータ26の概略的形状は、図2(C)に示すような板形状を呈しており、衝突時にセパレータ26自身を側方に移動するための傾斜面36がその上面に形成されている。セパレータ26同士は上下方向に離間されており、これにより前述した冷却のための空気が流通する間隙が確保されている。
【0024】
図2(A)を参照して、ガイド30は、前後方向に直軸を有する板状の部材であり、後述するように、各セパレータ26に対応して傾斜面を有している。換言すると、ガイド30には各セパレータ26に対応して切欠きが設けられており、この切欠きにセパレータ26の上方部分が収納されている。また、図2(A)に示すように、ガイド30はバッテリーセル22の左右端部付近で前後方向に伸びるように配置されている。
【0025】
また、図2(B)に示すようにガイド30は、バッテリーセル22の上方および下方の両方で前後方向に伸びるように配置されている。よって、1つのバッテリーアレイに対して4つのガイド30が設けられている。ガイド30がバッテリーセル22の上方および下方に配置されることで、ガイドがバッテリーセル22の側方に突出しないので、バッテリーアレイの平面視での大きさをコンパクト化することが出来る。
また、図2(A)に示すように、各ガイド30はバッテリーセルの後方にて連結されても良い。これにより、衝突時に各ガイド30を前後方向に同時に移動させ、これによりセパレータ26を同時に外側に退避させることが出来る。
【0026】
図2(C)及び図2(D)を参照して、セパレータ26と接触する部分のガイド30は傾斜面34(接触部)を呈している。具体的には、ガイド30の、セパレータ26に接触する面は、前方に向かって左方(内側)に傾斜する傾斜面34である。
【0027】
また、上方に配置されたセパレータ26の上方部分は、バッテリーセル22の上端よりも上方に突出している。そして、傾斜面34に接触する部分のセパレータ26は、前方に向かって左方(内側)に傾斜する傾斜面36である。通常の使用状況下では、ガイド30の傾斜面34と、セパレータ26の傾斜面36とは略並行に対面している。そして、衝突時にはこれらの斜面同士は面的に接触して摺動する。
【0028】
また、バッテリーセル22の下部に配置されるセパレータ26とガイド30との関連構成も上記と同様である。即ち、バッテリーセル22よりも下方に突出するセパレータ26の傾斜面36と、ガイド30の傾斜面34とが対面するように配置されている。
【0029】
ガイド30およびセパレータ26がこのような傾斜構造を呈していることにより、衝突時にバッテリーセル22同士の間隙からセパレータ26を外側に退避させることが可能となる。係る事項は図5を参照して後述する。ここで、傾斜面36が前後方向から傾斜する角度と、傾斜面34が前後方向から傾斜する角度とは、同程度であることが好ましい。これにより、衝突時において、傾斜面34と傾斜面36とを良好に摺動させることが可能となる。
【0030】
図2(C)および図2(D)を参照して、上端に配置されたセパレータ26と、下端に配置されたセパレータ26との間にはローラー38が回転可能に配置されている。具体的には、ローラー38は上下方向に伸びる回転軸を有する円筒状の部材であり、その上端は上方に配置されたセパレータ26の下面に接続され、その下端は下方に配置されたセパレータ26の上面に配置されている。本形態では、セパレータ26同士の間に2つのローラー38が配置されており、前方に配置されたローラー38は前側のバッテリーセル22に接触し、後方に配置されたローラー38は後側のバッテリーセル22に接触している。このようにバッテリーセル22同士の間にローラー38を配置させることで、衝突時にローラー38を回転させつつセパレータ26を右側(外側)に退避させることができるので、この退避をよりスムーズに行うことが可能となる。更に、本形態ではバッテリーセル22同士の間に前後方向に2つのローラー38が配置されるが、このローラー38同士が離間することで間隙が形成されている。これにより、この間隙を空気が流通してバッテリーセル22が冷却される効果を大きくすることが出来る。
【0031】
また、図2(D)に示すように、1つのセパレータ26の前方部分に2つのローラー38を配置し、その後方部分に2つのローラー38を配置してもよい。このようにセパレータ26の前後方向夫々に複数のローラー38を配置させることで、上記した退避動作をよりスムーズに行うことが可能となる。
【0032】
図3を参照して、ガイド30に関して更に説明する。上記した構成のガイド30は、バッテリーアレイ20の前端から後端の後方に至るまで連続して形成されている。上記したように、ガイド30は、前後方向に伸びる複数の板状の部材から成るが、これらのガイド30はバッテリーモジュール14の後端で連結されても良い。これにより、上記したセパレータ26を退避させる動作を、上部のセパレータ26と、下部のセパレータ26とで同時に行うことが出来る。
【0033】
衝突発生時には、車両後部から衝突エネルギーが作用すると、バッテリーモジュール14の他の構成部品よりも、ガイド30が前方に優先的に移動する。これにより、各セパレータ26がバッテリーセル22同士の間から外部に退避する。その後、セパレータ26が退避した間隙を詰めるように各バッテリーセル22が前方に移動する。これにより、各バッテリーセル22の破損が抑制される。
【0034】
図4を参照して、上記した構成のバッテリーモジュール14を有する車両10が衝突した場合を説明する。図4(A)は衝突前の車両10の状態を示し、図4(B)は衝突後の車両10の状態を示している。
【0035】
図4(A)を参照して、先ず、本形態のバッテリーモジュール14の位置等を説明する。バッテリーモジュール14は、車両10の内部において後部座席42の後方に配置される。また、後部座席42の後方には床となる仕切り板40で荷室が区画されており、バッテリーモジュール14は仕切り板40の下方に配置されている。バッテリーモジュール14は、前後方向に積層された複数のバッテリーセル22を有しており、バッテリーセル22は上部からカバーで保護されている。また、各バッテリーセル22同士の間にはセパレータ26が配置されおり、バッテリーセル22の側方には上記したガイド30が配置されている。また、ガイド30の後端部は、最後部のバッテリーセル22よりも後方に配置されている。これにより、後方からの衝突時の際に、ガイド30をバッテリーセル22よりも先に前方に移動させて、各セパレータ26を側方に退避させることが出来る。
【0036】
図4(B)を参照して、事故を再現するための衝突バリア44が車両後方から車両10に衝突して衝撃が生じると、車両後端のバンパとバンパビームが衝突変形する。また、この衝突に伴い、バッテリーセル22に優先してガイド30が前方に移動して上記したセパレータ26が側方に移動する。その後、バッテリーセル22同士が前方に詰まるように移動する。これにより、後方からの衝突によりバッテリーセル22が破損することが抑制される。また、バッテリーセル22が前方に寄せられることで、その後方に衝撃を吸収するためのストロークが十分に確保され、十分に衝突エネルギーを吸収することが可能となる。よって、比較的小型の車でも十分な衝撃吸収ストロークを確保することが可能となる。更には、これにより大容量のバッテリーを搭載することが可能となる。
【0037】
図5を参照して、上記した衝突に伴い、セパレータ26が側方に退避する動作を説明する。図5(A)は衝突する前の状態を示し、図5(B)は移動後の状態を示している。
【0038】
図5(A)を参照して、衝突前の段階においては、各セパレータ26は、バッテリーセル22同士の間に配置されている。そして、ガイド30の傾斜面34と、セパレータ26の傾斜面36とは対面している。
【0039】
上記したように車両10が後方から衝突されると、ガイド30は前方に移動する。ガイド30が前方に移動することにより、ガイド30の傾斜面34が、セパレータ26の傾斜面36を押圧しながら摺動する。これにより、セパレータ26が徐々に外側に移動し、バッテリーセル22同士の間にはセパレータ26が存在しないこととなる。
【0040】
図5(B)を参照して、上記のように、セパレータ26を退避させることにより、バッテリーセル22の間に介在していた部分のセパレータ26は、バッテリーセル22の側方に移動する。
【0041】
そして、バッテリーセル22同士の間隙にはセパレータ26は存在していないので、後方からの衝撃エネルギーにより、バッテリーセル22は前方に詰まるように移動する。この際、バッテリーセル22同士は接触するが、主面同士が接触するため、この接触によるバッテリーセル22の損傷は抑制されている。
【0042】
上記した本形態は、例えば以下のように変更することが出来る。
【0043】
図2(D)を参照して、セパレータ26とガイド30とが接触する部分は、何れも傾斜面を呈しているが、何れか一方のみが傾斜面を呈するようにしてもよい。かかる構成であっても、衝突時にセパレータ26を側方に退避させることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
10 車両
11 電池固定装置
12 フレーム
14 バッテリーモジュール
16 ケース
18A,18B,18C 風路
20,20A,20B バッテリーアレイ
22 バッテリーセル
26 セパレータ
30 ガイド
34 傾斜面
36 傾斜面
38 ローラー
40 仕切り板
42 後部座席
44 衝突バリア
図1
図2
図3
図4
図5