特許第6378025号(P6378025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378025
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ステアリングロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/0215 20130101AFI20180813BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20180813BHJP
   E05B 77/04 20140101ALI20180813BHJP
   E05B 81/72 20140101ALI20180813BHJP
   E05B 81/42 20140101ALI20180813BHJP
【FI】
   B60R25/0215
   E05B83/00 H
   E05B83/00 A
   E05B77/04
   E05B81/72
   E05B81/42
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-199710(P2014-199710)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-68742(P2016-68742A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】太田 充浩
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−231123(JP,A)
【文献】 特開2010−208363(JP,A)
【文献】 特開2010−241301(JP,A)
【文献】 特開2009−083657(JP,A)
【文献】 特開2012−126354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R25/02−25/0215
E05B77/00−85/28
B62H5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングをロックするためのステアリングロック装置であって、
車両のステアリングから離間した離間位置と当該ステアリングと係止してステアリングロックするロック位置との間を移動可能なロックバーと、
回転軸を中心に非作動位置と作動位置との間で回転して前記ロックバーを移動させ得るとともに、前記非作動位置にあるとき前記ロックバーを前記離間位置とし、前記作動位置にあるとき前記ロックバーを前記ロック位置とするカム部材と、
通電により駆動して前記カム部材を前記非作動位置と作動位置との間で回転させ得る駆動源と、
前記カム部材の回転軸を固定するとともに、当該ロックバー、カム部材及び駆動源を収容したハウジングと、
を具備するとともに、前記ロックバーのロック位置から離間位置に向かう方向の延長線上に前記カム部材の回転軸が配設され、当該ロックバーに対して付与された前記ロック位置から離間位置に向かう負荷を前記回転軸で受け得る構成とされたことを特徴とするステアリングロック装置。
【請求項2】
前記カム部材の回転軸は、前記ハウジングに固定された金属製の軸状部材から成ることを特徴とする請求項1記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
前記ロックバーとカム部材との間に介在して配設され、当該カム部材の回転に応じて移動して前記ロックバーを前記離間位置とロック位置との間で移動させ得るスライダと、
前記駆動源の駆動力により回転し得る第1ギア部材と、
前記カム部材と一体化されるとともに、前記第1ギア部材の回転力を受けて当該カム部材と共に前記回転軸を中心に回転し得る第2ギア部材と、
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のステアリングロック装置。
【請求項4】
前記第1ギア部材は、前記駆動源の出力軸と同軸のウォームギアから成るとともに、前記ロックバーを介して前記ウォームギアに負荷が付与された際、当該ウォームギア又は駆動源の出力軸のずれを防止する変位防止手段を具備したことを特徴とする請求項3記載のステアリングロック装置。
【請求項5】
前記ロックバーと共に移動する第1磁石と、
前記ハウジングに取り付けられた基板に形成され、前記第1磁石を検知することにより、前記ロックバーが離間位置にあることを検知し得る第1検知手段と、
前記基板を保持するケースと、
を具備したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のステアリングロック装置。
【請求項6】
前記第1磁石は、付勢手段により前記ケースに向かって付勢されつつ保持部材に保持されるとともに、前記ロックバーの移動時、当該保持部材が前記ケースに対して摺動可能とされたことを特徴とする請求項5記載のステアリングロック装置。
【請求項7】
前記カム部材と共に回転する第2磁石と、
前記基板に形成され、前記第2磁石を検知することにより、前記カム部材が非作動位置及び作動位置にあることを検知し得る第2検知手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のステアリングロック装置。
【請求項8】
前記第2磁石は、前記カム部材の回転方向に沿って所定寸法延びて形成されたことを特徴とする請求項7記載のステアリングロック装置。
【請求項9】
前記ケースは、一方の面に形成されて前記基板を位置決め可能な第1突起と、他方の面に形成されて前記ハウジングを位置決め可能な第2突起とを具備するとともに、当該第1突起及び第2突起とが同軸に形成されたことを特徴とする請求項5〜8の何れか1つに記載のステアリングロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリングをロックするためのステアリングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車等の車両においては、通常、キー孔に挿通させたイグニッションキーを所定方向に回動操作することにより、ステアリング(ハンドルバーの回動軸等)にロックバーを係止させてロックするステアリングロックが配設されているが、例えばイグニッションキーによる操作を不要としたスマートエントリーシステムを具備したものにおいては、適用が困難であった。そこで、ステアリングロック装置におけるロックバーのステアリングに対する係止動作を電動にて行わせることが要求され始めている。これは、既に四輪車などに採用されているキーレスエントリーシステム等を二輪車に展開した場合が想定され、例えば特許文献1で開示された如きシステムのように、ロックバーの電動動作が必須となる。
【0003】
かかる特許文献1で開示された従来の技術は、赤外線信号を用いたリモコンロック操作システムによりキーシリンダへの操作無しでステアリングをロック又はアンロック可能とするためのもので、例えばステアリングロック装置に対して所定の赤外線信号を送信可能な送信器、該送信器からの信号を受信可能な受信器、該受信器にて受信した信号に基づいてロックバーを移動させるべく駆動する電動のアクチュエータなどが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−11865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、ステアリングロック状態(ロックバーがステアリングに係止した状態)でロックバーに衝撃等が付与されると、当該ロックバーが意図せずアンロック側に移動してしまう虞があることから、防犯効果が低下してしまうという問題があった。特に、ロックバーをカム部材の回転で移動させる場合、ステアリングロック状態のロックバーに衝撃等が付与されると、その衝撃等がカム部材に伝達されて意図せず回転させてしまい、ステアリングロック状態が維持できなくなる虞があった。また、ロックバーに付与された衝撃等がハウジング内の他の部品に伝わってしまい、当該部品が破損してしまう虞もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ロックバーに衝撃等が付与されてもステアリングロック状態を確実に維持することができるとともに、付与された衝撃等によりハウジング内の部品が破損してしまうのを防止することができるステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両のステアリングをロックするためのステアリングロック装置であって、車両のステアリングから離間した離間位置と当該ステアリングと係止してステアリングロックするロック位置との間を移動可能なロックバーと、回転軸を中心に非作動位置と作動位置との間で回転して前記ロックバーを移動させ得るとともに、前記非作動位置にあるとき前記ロックバーを前記離間位置とし、前記作動位置にあるとき前記ロックバーを前記ロック位置とするカム部材と、通電により駆動して前記カム部材を前記非作動位置と作動位置との間で回転させ得る駆動源と、前記カム部材の回転軸を固定するとともに、当該ロックバー、カム部材及び駆動源を収容したハウジングとを具備するとともに、前記ロックバーのロック位置から離間位置に向かう方向の延長線上に前記カム部材の回転軸が配設され、当該ロックバーに対して付与された前記ロック位置から離間位置に向かう負荷を前記回転軸で受け得る構成とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のステアリングロック装置において、前記カム部材の回転軸は、前記ハウジングに固定された金属製の軸状部材から成ることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のステアリングロック装置において、前記ロックバーとカム部材との間に介在して配設され、当該カム部材の回転に応じて移動して前記ロックバーを前記離間位置とロック位置との間で移動させ得るスライダと、前記駆動源の駆動力により回転し得る第1ギア部材と、前記カム部材と一体化されるとともに、前記第1ギア部材の回転力を受けて当該カム部材と共に前記回転軸を中心に回転し得る第2ギア部材とを具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のステアリングロック装置において、前記第1ギア部材は、前記駆動源の出力軸と同軸のウォームギアから成るとともに、前記ロックバーを介して前記ウォームギアに負荷が付与された際、当該ウォームギア又は駆動源の出力軸のずれを防止する変位防止手段を具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載のステアリングロック装置において、前記ロックバーと共に移動する第1磁石と、前記ハウジングに取り付けられた基板に形成され、前記第1磁石を検知することにより、前記ロックバーが離間位置にあることを検知し得る第1検知手段と、前記基板を保持するケースとを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のステアリングロック装置において、前記第1磁石は、付勢手段により前記ケースに向かって付勢されつつ保持部材に保持されるとともに、前記ロックバーの移動時、当該保持部材が前記ケースに対して摺動可能とされたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載のステアリングロック装置において、前記カム部材と共に回転する第2磁石と、前記基板に形成され、前記第2磁石を検知することにより、前記カム部材が非作動位置及び作動位置にあることを検知し得る第2検知手段とを具備したことを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のステアリングロック装置において、前記第2磁石は、前記カム部材の回転方向に沿って所定寸法延びて形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項5〜8の何れか1つに記載のステアリングロック装置において、前記ケースは、一方の面に形成されて前記基板を位置決め可能な第1突起と、他方の面に形成されて前記ハウジングを位置決め可能な第2突起とを具備するとともに、当該第1突起及び第2突起とが同軸に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ロックバーのロック位置から離間位置に向かう方向の延長線上にカム部材の回転軸が配設され、当該ロックバーに対して付与されたロック位置から離間位置に向かう負荷を回転軸で受け得る構成とされたので、ロックバーに衝撃等が付与された場合、カム部材の回転軸にて当該衝撃等を確実に受けさせることができる。したがって、ロックバーに衝撃等が付与されてもステアリングロック状態を確実に維持することができるとともに、付与された衝撃等によりハウジング内の部品が破損してしまうのを防止することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、カム部材の回転軸は、ハウジングに固定された金属製の軸状部材から成るので、ロックバーに付与された衝撃等を確実にカム部材の回転軸にて受けさせることができ、ステアリングロック状態をより確実に維持することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、ロックバーとカム部材との間に介在して配設され、当該カム部材の回転に応じて移動してロックバーを離間位置とロック位置との間で移動させ得るスライダと、駆動源の駆動力により回転し得る第1ギア部材と、カム部材と一体化されるとともに、第1ギア部材の回転力を受けて当該カム部材と共に回転軸を中心に回転し得る第2ギア部材とを具備したので、スライダを介在させることによりロックバーに対して駆動源の駆動力をより円滑に伝達させることができるとともに、カム部材と第2ギア部材とが別部材で構成されることによりそれぞれに適した材質を選択することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、第1ギア部材は、駆動源の出力軸と同軸のウォームギアから成るとともに、ロックバーを介してウォームギアに負荷が付与された際、当該ウォームギア又は駆動源の出力軸のずれを防止する変位防止手段を具備したので、ロックバーによるステアリングに対するロックを確実に行わせることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、ロックバーと共に移動する第1磁石と、ハウジングに取り付けられた基板に形成され、第1磁石を検知することにより、ロックバーが離間位置にあることを検知し得る第1検知手段と、基板を保持するケースとを具備したので、ロックバーの位置(ロック位置又は離間位置)及び状態(駆動源によってロックバーを離間位置に移動させたにも関わらず当該ロックバーがロック位置にある状態等)を確実に検出することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、第1磁石は、付勢手段によりケースに向かって付勢されつつ保持部材に保持されるとともに、ロックバーの移動時、当該保持部材がケースに対して摺動可能とされたので、付勢手段の付勢力で第1磁石をケース側、即ち第1検知手段側に押圧して第1磁石(すなわち、ロックバー)の位置をより精度よく検知させることができるとともに、保持部材がケースに対して摺動することにより第1磁石がケースに対して摺動して摩耗してしまうのを防止できる。
【0022】
請求項7の発明によれば、カム部材と共に回転する第2磁石と、基板に形成され、第2磁石を検知することにより、カム部材が非作動位置及び作動位置にあることを検知し得る第2検知手段とを具備したので、第2磁石(すなわち、カム部材)の位置を精度よく検知することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、第2磁石は、カム部材の回転方向に沿って所定寸法延びて形成されたので、第2検知手段による検知範囲を広く設定することができ、例えばカム部材の回転時の誤差等により第2磁石が規定位置で停止しない場合であっても、第2磁石(すなわち、カム部材)の位置をより確実に検知することができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、ケースは、一方の面に形成されて基板を位置決め可能な第1突起と、他方の面に形成されてハウジングを位置決め可能な第2突起とを具備するとともに、当該第1突起及び第2突起とが同軸に形成されたので、基板に形成された第1検知手段とハウジングに配設されるロックバーとの間の組み付け誤差を抑制することができ、ロックバーの位置を検知する際の誤差をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るステアリングロック装置を示す平面図
図2】同ステアリングロック装置であってカバーを取り外した状態を示す平面図
図3】同ステアリングロック装置であってカバー及びケースを取り外した状態を示す平面図
図4】同ステアリングロック装置であってカバー及びケースを取り外し、且つ、カム部材(非作動位置)から第2ギア部材を取り外した状態を示す平面図
図5】同ステアリングロック装置の内部構成を示すための分解斜視図
図6】同ステアリングロック装置の内部構成を示すための縦断面図
図7】同ステアリングロック装置の内部構成を示すための横断面図
図8】同ステアリングロック装置におけるカム部材を示す平面図
図9】同ステアリングロック装置における第2ギア部材を示す3面図
図10】同ステアリングロック装置におけるスライダを示す3面図
図11】同ステアリングロック装置におけるカム部材(非作動位置)とロックバー(離間位置)との関係を示す模式図
図12】同ステアリングロック装置におけるカム部材(非作動位置と作動位置との間)とロックバー(離間位置とロック位置との間)との関係を示す模式図
図13】同ステアリングロック装置におけるカム部材(作動位置)とロックバー(ロック位置)との関係を示す模式図
図14】同ステアリングロック装置におけるロックバーとカム部材の回転軸との位置関係を示す模式図
図15】同ステアリングロック装置における制御手段の電気的接続関係を示すブロック図
図16】同ステアリングロック装置における制御手段による制御内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るステアリングロック装置1は、車両のステアリングをロックして盗難防止を図るためのもので、図1〜5に示すように、ロックバー3と、カム部材4と、駆動源としてのモータMと、ハウジング2と、スライダ5と、第1ギア部材G1と、第2ギア部材G2と、基板7を収容するケースCと、基板7に取り付けられた制御手段10とを有して構成されている。
【0027】
ハウジング2は、本実施形態に係るステアリングロック装置1の筐体を成すもので、カム部材4の回転軸Lを固定するとともに、当該ロックバー3、カム部材4及びモータM(駆動源)を収容して構成されている。また、本実施形態に係るハウジング2の内部には、第1ギア部材G1及び第2ギア部材G2が回転自在に取り付けられているとともに、基板7を収容したケースCが固定され、カバーKにて覆われている。
【0028】
ロックバー3は、車両のステアリングSから離間した離間位置(図11参照)と当該ステアリングSと係止してステアリングロックするロック位置(図13参照)との間を移動可能なもので、例えば棒状の金属製部材から成る。より具体的には、ロックバー3は、スライダ5に取り付けられ、ハウジング2内において当該スライダ5と共に離間位置とロック位置との間を略直線状に摺動し得るよう構成されており、その突端が離間位置にてハウジング2内に収まった状態とされるとともに、ロック位置にてハウジング2から突出してステアリングSの係止孔Saに係止可能とされている。
【0029】
なお、係止孔Saは、ステアリングSの軸等に形成された孔から成り、当該ステアリングSをステアリングロック位置まで回動することにより、ロックバー3が突出する位置と合致し得るように設定されている。しかして、ステアリングロック位置までステアリングSを回動させた後、ロックバー3を離間位置からロック位置まで移動させることにより、ステアリングSをロックして回動を規制し得るとともに、当該ロックバー3をロック位置から離間位置まで移動させることによりステアリングSのロックを解除して回動を許容し得るよう構成されている。
【0030】
カム部材4は、回転軸Lを中心に非作動位置(図4、11参照)と作動位置(図13、14参照)との間で回転してロックバー3を移動(摺動)させ得るとともに、非作動位置にあるときロックバー3を離間位置とし、作動位置にあるときロックバー3をロック位置とし得る金属製板材から成るもので、図8に示すように、回転軸Lを挿通するための挿通孔4aと、第2ギア部材G2と一体化するための組付け孔4b及び一対の組付け凸部4c(後で詳述する)とを有して構成されている。
【0031】
本実施形態に係るカム部材4の回転軸Lは、ハウジング2に固定された金属製の軸状部材から成るもので、図6に示すように、その一端がハウジング2に形成された圧入穴2bに圧入されるとともに、他端がケースCに形成された挿通穴C1に挿通されて組み付けられている。特に、本実施形態においては、図14に示すように、ロックバー3のロック位置から離間位置に向かう方向の延長線E上にカム部材4の回転軸Lが配設されている。
【0032】
第2ギア部材G2は、カム部材4と一体化されるとともに、第1ギア部材G1の回転力を受けて当該カム部材4と共に回転軸Lを中心に回転し得るもので、図9に示すように、外周面に歯形状が形成された円板状部材から成るとともに、回転軸Lを挿通するための挿通孔G2aと、カム部材4の組付け孔4bに挿通可能な凸部G2bと、カム部材4の一対の組付け凸部4cとそれぞれ対応した位置の組付け孔部G2cとを有して構成されている。また、第2ギア部材G2の一方の面には、略円弧状の第2磁石m2が取り付けられている。
【0033】
そして、挿通孔4a及び挿通孔G2aを合致させつつ組付け孔4bに凸部G2bを挿通させ、組付け凸部4cを組付け孔部G2cに挿通させてカム部材4と第2ギア部材G2とを重ね合わせた状態で固定させることにより、カム部材4と第2ギア部材G2とが一体化されるようになっている。このように一体化されたカム部材4及び第2ギア部材G2の挿通孔4a、G2aのそれぞれに回転軸Lを挿通させることにより、これらカム部材4及び第2ギア部材G2が共に回転軸Lを中心に回転可能とされているのである。
【0034】
モータM(駆動源)は、ハウジング2の所定位置に取り付けられるとともに、通電により駆動してカム部材4を非作動位置と作動位置との間で回転させ得るもので、図7に示すように、その出力軸Maにウォームギアから成る第1ギア部材G1が取り付けられている。なお、モータMは、車両(二輪車)に搭載されたバッテリ(不図示)と電気的に接続されており、当該バッテリを電源として電力供給可能とされているが、専らモータMに電力供給し得るステアリングロック装置1に専用の電源を具備するようにしてもよい。
【0035】
第1ギア部材G1は、出力軸Maに取り付けられてモータMの駆動力により回転し得るもので、第2ギア部材G2の歯形状と噛み合って組み付けられている。しかして、モータMを駆動させると、出力軸Maと共に第1ギア部材G1が回転するとともに、その回転力が第2ギア部材G2に伝達されて当該第2ギア部材G2及びカム部材4が一体的に回転するよう構成されている。なお、モータMは、正転駆動及び逆転駆動可能とされており、正転駆動することにより、第2ギア部材G2及びカム部材4を一方向に回転させるとともに、逆転駆動することにより、第2ギア部材G2及びカム部材4を他方向に回転させ得るようになっている。
【0036】
一方、ロックバー3は、その基端において周方向に亘って形成された溝形状3aを有しており、図4に示すように、かかる溝形状3aをスライダ5の嵌合部5bに嵌め込むことにより当該スライダ5に組み付けられている。このスライダ5は、ロックバー3とカム部材4との間に介在して配設され、当該カム部材4の回転に応じてロックバー3と共に移動して当該ロックバー3を離間位置とロック位置との間で移動させ得るもので、図4、10に示すように、カム部材4と当接し得る当接部5aと、既述した嵌合部5bと、第1磁石m1が取り付けられる取付部5cとを有している。
【0037】
また、スライダ5には、コイルスプリングから成るリターンスプリング6が介装されており、当該リターンスプリング6の付勢力によってスライダ5及びロックバー3が常時初期位置(ロックバー3の離間位置)に向かって付勢されている。これにより、カム部材4が非作動位置から作動位置に回転して当接部5aが押圧されると、リターンスプリング6の付勢力に抗してロックバー3がスライダ5と共に離間位置からロック位置に移動し得るとともに、カム部材4が作動位置から非作動位置に回転すると、リターンスプリング6の付勢力によってロックバー3がスライダ5と共にロック位置から離間位置に移動し得るようになっている。
【0038】
ケースCは、基板7を収容した箱状の部材から成り、図6、7に示すように、ハウジング2内におけるカバーK側(同図中上部側)の所定位置に固定されている。基板7は、所定の電気的配線が印刷形成されているとともに、所定位置にマイコンから成る制御手段10が取り付けられている。制御手段10は、モータMの駆動を制御し得るもので、モータMを正転駆動させることにより、カム部材4を非作動位置から作動位置に回転させる(即ち、ロックバー3を離間位置からロック位置に移動させる)とともに、モータMを逆転駆動させることにより、カム部材4を作動位置から非作動位置に回転させる(即ち、ロックバー3をロック位置から離間位置に移動させる)ようになっている。
【0039】
さらに、本実施形態に係るケースCは、図6に示すように、一方の面に形成(同図中、上方に向かって突出形成)されて基板7の位置決め孔7aに挿通することにより当該基板7を位置決め可能な第1突起Caと、他方の面に形成(同図中、下方に向かって突出形成)されてハウジング2の位置決め孔2aに挿通することにより当該ハウジング2を位置決め可能な第2突起Cbとを具備するとともに、当該第1突起Ca及び第2突起Cbとが同軸に形成されている。
【0040】
このように、ケースCは、一方の面に形成されて基板7を位置決め可能な第1突起Caと、他方の面に形成されてハウジング2を位置決め可能な第2突起Cbとを具備するとともに、当該第1突起Ca及び第2突起Cbとが同軸に形成されたので、基板7に形成された第1検知手段n1とハウジング2に配設されるロックバー3との間の組み付け誤差(本実施形態においては、基板7に形成された第1検知手段n1とハウジング2に配設されるスライダ5との間の組み付け誤差)を抑制することができ、ロックバー3の位置を検知する際の誤差をより確実に抑制することができる。
【0041】
なお、上記効果に加え、基板7に形成された第2検知手段(n2、n3)とハウジング2に配設されるカム部材4との間の組み付け誤差(本実施形態においては、基板7に形成された第2検知手段(n2、n3)とハウジング2に配設される第2ギア部材G2)との間の組み付け誤差)を抑制することができ、カム部材4の位置を検知する際の誤差をより確実に抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るステアリングロック装置1は、ロックバー3を介して第1ギア部材G1(ウォームギア)に負荷が付与された際、当該ウォームギア又はモータMの出力軸Maのずれを防止する変位防止手段(第1変位防止手段8、第2変位防止手段9)を具備している。第1変位防止手段8は、樹脂成形品やゴム材等から成り、図7に示すように、モータMの出力軸Maの基端を所定のクリアランスを有して挿通させる凹部8aが形成されており、第1ギア部材G1に負荷が付与されて出力軸Maがその軸方向に移動する際、当該出力軸Maの基端と凹部8aとが当接して当該移動を規制し得るものである。
【0043】
第2変位防止手段9は、樹脂成形品やゴム材等から成り、図7に示すように、モータMの出力軸Maの先端を所定のクリアランスを有して挿通させる凹部9aが形成されており、第1ギア部材G1に負荷が付与されて出力軸Maがその方向に移動する際、当該出力軸Maの先端と凹部9aとが当接して当該移動を規制し得るものである。このように、第1ギア部材G1は、モータMの出力軸Maと同軸のウォームギアから成るとともに、ロックバー3を介してウォームギアに負荷が付与された際、当該ウォームギア又はモータMの出力軸Maのずれを防止する変位防止手段(8、9)を具備したので、ロックバー3によるステアリングSに対するロックを確実に行わせることができる。
【0044】
さらに、本実施形態に係る基板7には、第1磁石m1の磁気を検知し得る第1検知手段n1が取り付けられている。第1磁石m1は、既述したようにスライダ5の取付部5cに取り付けられることによりロックバー3と共に移動するもので、第1検知手段n1は、例えばホールIC等の磁気を検知し得るセンサから成り、第1磁石m1の磁気を検知することにより、ロックバー3が離間位置にあることを検知し得るものである。
【0045】
すなわち、第1検知手段n1は、図11〜13に示すように、ロックバー3が離間位置にあるときの第1磁石m1と対向する位置に配設されており、当該ロックバー3が離間位置にあるとき、第1磁石m1の磁気を検知してオンするとともに、当該ロックバー3が離間位置とロック位置との間にあるとき、或いはロック位置にあるとき第1磁石m1の磁気を検知せずオフするようになっている。これにより、ロックバー3が離間位置にあることを検知し得るのである。
【0046】
このように、本実施形態によれば、ロックバー3と共に移動する第1磁石m1と、ハウジング2に取り付けられた基板7に形成され、第1磁石m1を検知することにより、ロックバー3が離間位置にあることを検知し得る第1検知手段n1と、基板7を保持するケースCとを具備したので、ロックバー3の位置(ロック位置又は離間位置)及び状態(モータMによってロックバー3を離間位置に移動させたにも関わらず当該ロックバー3がロック位置にある状態等)を確実に検出することができる。なお、本実施形態においては、第1磁石m1がスライダ5に取り付けられているが、ロックバー3に直接取り付けて第1検知手段n1にて離間位置を検知し得るようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る第1磁石m1は、図5に示すように、コイルスプリングから成る付勢手段s1によりケースCに向かって付勢されつつ保持部材aに保持されるとともに、保持部材aと共にスライダ5の取付部5cに取り付けられており、ロックバー3の移動時、当該保持部材aがケースCに対して摺動可能とされている。かかる保持部材aは、樹脂等の円筒状部材から成り、第1磁石m1を内部に保持しつつ端部がケースCに当接して組み付けられており、スライダ5及びロックバー3の移動に伴って当該ケースCの外周面上を摺動し得るようになっている。
【0048】
このように、第1磁石m1は、付勢手段s1によりケースCに向かって付勢されつつ保持部材aに保持されるとともに、ロックバー3の移動時、当該保持部材aがケースCに対して摺動可能とされたので、付勢手段s1の付勢力で第1磁石m1をケースC側、即ち第1検知手段n1側に押圧して第1磁石m1(すなわち、ロックバー3)の位置をより精度よく検知させることができるとともに、保持部材aがケースCに対して摺動することにより第1磁石m1がケースCに対して摺動して摩耗してしまうのを防止できる。
【0049】
加えて、本実施形態に係る基板7には、第2磁石m2の磁気を検知し得る一対の第2検知手段(n2、n3)が取り付けられている。第2磁石m2は、既述したように第2ギア部材G2に取り付けられることによりカム部材4と共に回転するもので、第2検知手段(n2、n3)は、例えばホールIC等の磁気を検知し得るセンサから成り、第2磁石m2の磁気を検知することにより、カム部材4が非作動位置及び作動位置にあることを検知し得るものである。
【0050】
すなわち、第2検知手段(n2、n3)は、図11〜13に示すように、カム部材4が非作動位置にあるときの第2磁石m2と対向する位置(第2検知手段n2)と、カム部材が作動位置にあるときの第2磁石m2と対向する位置(第2検知手段n3)とにそれぞれ配設されており、当該カム部材4が非作動位置にあるとき、図11に示すように、第2磁石m2の磁気を第2検知手段n2が検知してオンするとともに、当該カム部材4が作動位置にあるとき、図13に示すように、第2磁石m2の磁気を第2検知手段n3が検知してオンするようになっている。
【0051】
このように、本実施形態によれば、カム部材4と共に回転する第2磁石m2と、基板7に形成され、第2磁石m2を検知することにより、カム部材4が非作動位置及び作動位置にあることを検知し得る第2検知手段(n2、n3)とを具備したので、第2磁石m2(すなわち、カム部材4)の位置を精度よく検知することができる。なお、本実施形態においては、第2磁石m2が第2ギア部材G2に取り付けられているが、カム部材4に直接取り付けて第2検知手段(n2、n3)にて非作動位置及び作動位置を検知し得るようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態に係る第2磁石m2は、図9図11〜13に示すように、カム部材4の回転方向に沿って所定寸法延びて形成(即ち、カム部材4の回転軌跡に沿った円弧状に形成)されている。このように、第2磁石m2は、カム部材4の回転方向に沿って所定寸法延びて形成されたので、第2検知手段(n2、n3)による検知範囲を広く設定することができ、例えばカム部材4の回転時の誤差等により第2磁石m2が規定位置で停止しない場合であっても、第2磁石m2(すなわち、カム部材4)の位置をより確実に検知することができる。
【0053】
さらに、本実施形態に係る制御手段10は、ロックバー3が離間位置からロック位置に移動する過程においてモータMに供給される電圧又は電流を検知し得るとともに、当該モータMに供給される電圧又は電流に基づいて通電時のモータMの過負荷を検知可能とされている。すなわち、モータMが通電されて駆動し、ロックバー3を離間位置からロック位置に移動させる際、当該ロックバー3がステアリングSの係止孔Saと合致していないとロック位置まで移動できず、長時間に亘って電力供給が行われてモータMに過負荷が生じてしまうので、本実施形態によれば、当該過負荷を検知して不具合を回避することができるのである。
【0054】
具体的には、制御手段10は、図15に示すように、Hブリッジh1を介してモータMと電気的に接続されるとともに、抵抗h2とも電気的に接続されている。なお、Hブリッジh1は、電源(本実施形態においては車両に搭載されたバッテリ)とモータMとを電気的に接続する配線の途中に形成されて当該モータMを正転駆動又は逆転駆動させ得る回路から成るとともに、抵抗h2は、Hブリッジh1に接続され、モータMに供給される電圧又は電流の変化に伴って抵抗値が変化するよう構成されている。
【0055】
かかる構成により、モータMに電力供給して正転駆動することによりロックバー3を離間位置からロック位置に向けて移動させる際、供給される電力の電圧又は電流に応じて抵抗h2の抵抗値が変化するので、制御手段10がその抵抗値の変化を検知することによりモータMに供給される電圧又は電流を検知することができ、その検知した電圧又は電流が所定の閾値を超えた場合(即ち、何らかの原因でロックバー3がロック位置に至らない場合)、モータMに過負荷が生じていると判断するよう構成されているのである。
【0056】
そして、本実施形態に係る制御手段10は、通電時のモータMの過負荷が検知された際、電源(本実施形態においては車両に搭載されたバッテリ)からの電力供給を遮断してモータMを停止させた後、ロックバー3を離間位置まで移動するようモータMを逆転駆動させるようになっている。すなわち、制御手段10は、通電時のモータMの過負荷が検知された際、モータMを逆転駆動して第1ギア部材G1及び第2ギア部材G2を逆方向に回転させることにより、ロックバーを離間位置まで移動させるのである。
【0057】
また、本実施形態に係る制御手段10は、モータMの逆転駆動後、第1検知手段n1がロックバー3の離間位置を検知したことを条件としてモータMを停止させるよう構成されている。これにより、制御手段10が通電時のモータMの過負荷を検知した際、ロックバー3が初期位置である離間位置に戻ったことを第1検知手段n1にて検知することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る制御手段10は、モータMの逆転駆動後、第1検知手段n1がロックバー3の離間位置を検知し、且つ、第2検知手段n2がカム部材4の非作動位置を検知したことを条件としてモータMを停止させるよう構成されている。これにより、制御手段10が通電時のモータMの過負荷を検知した際、ロックバー3が初期位置である離間位置に戻り、且つ、カム部材4が初期位置である非作動位置に戻ったことを第1検知手段n1及び第2検知手段n2にて検知することができる。
【0059】
次に、本実施形態に係る制御手段10による制御について、図16のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、運転者によって所定の操作(例えば、携帯可能な操作手段の操作等)が行われたことを条件として、モータMに対する通電がなされる(S1)。そして、かかる通電によりモータMが正転駆動することとなるので、ロックバー3が離間位置からロック位置に移動する過程においてモータMに供給される電圧又は電流を検知し得るとともに、当該モータMに供給される電圧又は電流に基づいてモータMの過負荷が検知されたか否か判断する(S2)。
【0060】
S2にてモータMの過負荷が検知されない場合、S3に進み、ロックバー3がロック位置まで移動したか否かが判断される。このとき、第2検知手段n3が第2磁石m2を検知したことによって、ロックバー3がロック位置に移動したと判断するよう構成されている。そして、S3にてロックバー3がロック位置まで移動したと判断されると、モータMに対する電力供給を遮断してモータMの駆動を停止させる(S4)。なお、S3にてロックバー3がロック位置まで移動したと判断されない場合、S1に戻ってモータMに対する通電が継続して行われるとともに、S2にて過負荷の検知の有無が判断されることとなる。
【0061】
一方、S2にてモータMの過負荷が検知された場合、S5に進み、モータMに対する電力供給を直ちに遮断してモータMの駆動を停止させる。そして、S6にてモータMを逆転駆動させた後、S7にてロックバー3が離間位置にあるか否かが判断される。このとき、第1検知手段n1が第1磁石m1を検知し、且つ、第2検知手段n2が第2磁石m2を検知したことによって、ロックバー3が離間位置にあると判断するよう構成されている。S7にてロックバー3が離間位置にあると判断されると、S8にてモータMを停止して一連の制御が終了することとなる。なお、S7にてロックバー3が離間位置にあると判断されない場合、S6に戻ってモータMの逆転駆動が継続して行われることとなる。
【0062】
上記実施形態によれば、ロックバー3のロック位置から離間位置に向かう方向の延長線E上にカム部材4の回転軸Lが配設されたので、ロックバー3に衝撃等が付与された場合、カム部材4の回転軸Lにて当該衝撃等を確実に受けさせることができる。したがって、ロックバー3に衝撃等が付与されてもステアリングロック状態を確実に維持することができるとともに、付与された衝撃等によりハウジング2内の部品が破損してしまうのを防止することができる。特に、本実施形態に係るカム部材4の回転軸Lは、ハウジング2に固定された金属製の軸状部材から成るので、ロックバー3に付与された衝撃等を確実にカム部材4の回転軸Lにて受けさせることができ、ステアリングロック状態をより確実に維持することができる。
【0063】
さらに、本実施形態によれば、ロックバー3とカム部材4との間に介在して配設され、当該カム部材4の回転に応じて移動してロックバー3を離間位置とロック位置との間で移動させ得るスライダ5と、モータMの駆動力により回転し得る第1ギア部材G1と、カム部材4と一体化されるとともに、第1ギア部材G1の回転力を受けて当該カム部材4と共に回転軸Lを中心に回転し得る第2ギア部材G2とを具備したので、スライダ5を介在させることによりロックバー3に対してモータMの駆動力をより円滑に伝達させることができるとともに、カム部材4と第2ギア部材G2とが別部材で構成されることによりそれぞれに適した材質(例えば、カム部材4を金属としつつ第2ギア部材G2を樹脂等とする)を選択することができる。
【0064】
加えて、本実施形態に係る制御手段10は、ロックバー3が離間位置からロック位置に移動する過程においてモータMに供給される電圧又は電流を検知し得るとともに、当該モータMに供給される電圧又は電流に基づいて通電時のモータMの過負荷を検知可能とされたので、製造コストを抑制しつつ通電時のモータMの過負荷を検知することができる。特に、本実施形態に係る制御手段10は、通電時のモータMの過負荷が検知された際、モータMを停止させた後、ロックバー3を離間位置まで移動するようモータMを逆転駆動させるので、通電時のモータMの過負荷を検知した際、ロックバー3を初期位置である離間位置まで戻してその後の制御手段10による制御を円滑に行わせることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、ロックバー3とカム部材4との間に介在して配設され、当該カム部材4の回転に応じて移動してロックバー3を離間位置とロック位置との間で移動させ得るスライダ5と、モータMの駆動力により回転し得る第1ギア部材G1と、カム部材4と一体化されるとともに、第1ギア部材G1の回転力を受けて当該カム部材4と共に回転軸Lを中心に回転し得る第2ギア部材G2とを具備し、制御手段10は、通電時のモータMの過負荷が検知された際、モータMを逆転駆動して第1ギア部材G1及び第2ギア部材G2を逆方向に回転させるので、通電時のモータMの過負荷を検知した際、ロックバー3を初期位置である離間位置まで確実且つ円滑に戻してその後の制御手段10による制御をより円滑に行わせることができる。
【0066】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば制御手段10は、駆動源としてのモータMの駆動を制御し得るものであれば足り、モータMに供給される電圧又は電流に基づいて通電時のモータMの過負荷を検知可能でないもの、モータの過負荷時、ロックバー3を離間位置まで移動するようモータMを逆転駆動させることができないもの等であってもよい。また、駆動源は、モータMに限定されず、通電により駆動してカム部材4を非作動位置と作動位置との間で回転させ得るものであれば、他の汎用的なものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
ロックバーのロック位置から離間位置に向かう方向の延長線上にカム部材の回転軸が配設され、当該ロックバーに対して付与されたロック位置から離間位置に向かう負荷を回転軸で受け得る構成とされたステアリングロック装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 ステアリングロック装置
2 ハウジング
3 ロックバー
4 カム部材
5 スライダ
6 リターンスプリング
7 基板
8 第1変位防止手段
9 第2変位防止手段
10 制御手段
L 回転軸
S ステアリング
G1 第1ギア部材
G2 第2ギア部材
C ケース
m1 第1磁石
m2 第2磁石
n1 第1検知手段
n2、n3 第2検知手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16