特許第6378042号(P6378042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378042
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】時計同期システム及び防災機器
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/26 20130101AFI20180813BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20180813BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20180813BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G04R20/26
   G04G5/00 J
   G08B17/00 C
   G08B25/00 520D
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-221273(P2014-221273)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-90261(P2016-90261A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉夫
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−188181(JP,A)
【文献】 特開2003−219487(JP,A)
【文献】 特開2001−318172(JP,A)
【文献】 特開2007−040881(JP,A)
【文献】 米国特許第4204398(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/26
G04G 5/00
G08B 17/00,23/00−31/00
G08C 13/00−25/04
G04C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災機器の時刻情報を、時計同期装置により遠隔的に同期させる時計同期システムに於いて、
前記時計同期装置は、
基準時刻情報を生成する基準時計部と、
操作部による時計同期操作の受付けを検出した場合に前記基準時計部で生成した基準時刻情報を含む電文を送信する時計同期制御部と
を備え、
前記防災機器は、
前記時計同期装置の受信電波から電源を生成して動作し、前記受信電波から復調した電文に含まれる基準時刻情報を記憶する無線タグと、
前記無線タグに有線インタフェースを介して接続し、前記無線タグから前記基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正する機器制御部と、
を備え
前記無線タグは、前記時計同期装置から受信した基準時刻情報を記憶した場合に時計同期フラグを設定し
前記機器制御部は、前記無線タグにアクセスして前記時計同期フラグを検出した場合に、前記無線タグに記憶している基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正することを特徴とする時計同期システム。
【請求項2】
請求項記載の時計同期システムに於いて、
前記時計同期装置の基準時計部は、標準電波の送信局から送信される時刻情報を受信して前記基準時刻情報を生成する電波時計部としたことを特徴とする時計同期システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の時計同期システムに於いて、
前記時計同期装置の時計同期制御部は、前記操作部による時刻確認操作の受付けを検出した場合に前記防災機器に時刻情報の読出要求を含む電文を送信し、時刻情報の読出応答電文を受信して表示部に前記防災機器の時刻情報を表示させ、
前記防災機器は、前記時計同期装置から前記時刻情報の読出要求を含む電文を受信した場合、自己の時刻情報を含む読出応答電文を生成して送信することを特徴とする時計同期システム。
【請求項4】
時刻情報を利用して所定の処理を行う防災機器に於いて、
外部の時計同期装置の受信電波から電源を生成して動作し、前記受信電波から復調した電文に含まれる基準時刻情報を記憶する無線タグと、
前記無線タグに有線インタフェースを介して接続し、前記無線タグから前記基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正する機器制御部と、
を備え
前記無線タグは、前記時計同期装置から受信した基準時刻情報を記憶した場合に時計同期フラグを設定し、
前記機器制御部は、前記無線タグにアクセスして前記時計同期フラグを検出した場合に、前記無線タグに記憶している基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正することを特徴とする防災機器。
【請求項5】
請求項4記載の防災機器に於いて、
前記無線タグは、前記時計同期装置から前記時刻情報の読出要求を含む電文を受信した場合に、自己の時刻情報を含む読出応答電文を生成して送信することを特徴とする防災機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器等の防災機器で使用している時刻情報を、外部の時計同期装置の操作により遠隔的に同期させる時計同期システム及び防災機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機から引き出された感知器回線に接続した火災感知器にあっては、火災による煙濃度又は温度を検出し、一定の感度となる閾値を超えた場合に火災と判断して火災発報信号を受信機に送信して火災警報を出力させるようにしている。
【0003】
また、住宅における火災を検出して警報する住宅用火災警報器として知られた住警器にあっても、火災による煙濃度又は温度を検出し、一定の感度となる閾値を超えた場合に火災と判断して火災警報を出力するようにしている。
【0004】
ところで、火災感知器や住警器が設置される警戒区域の環境条件は時間帯、曜日あるいは季節によって変化し、一定の感度を設定していた場合には、火災検出に時間遅れを生じたり、非火災報や失報を生じる場合がある。
【0005】
そこで火災感知器や住警器に時計機能を設け、火災判断の閾値を例えば夜と昼の時間帯に分けて変更し、火災の早期発見と非火災報の防止を両立可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−073781号公報
【特許文献2】特開2008−083923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような時計機能を設けた従来の火災感知器や住警器にあっては、高精度の時計機能を設けることはコスト的に無理があることから、日常生活で使用している一般的な時計程度の精度をもつ時計機能を設けることになるが、使用期間が長くなるほど時間ずれが大きくなり、時間帯による感度変更等を適切にできなくなる問題がある。
【0008】
この問題を解決するためには、火災感知器や住警器に時刻修正のための操作部を設ければよいが、時刻修正のためには時刻表示部も必要となり、時刻修正のための構成が複雑化してコストアップとなる。また、火災感知器にあっては、設置している天井面から取り外して時刻修正する必要があり、時刻修正に手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
本発明は、火災感知器等の防災機器で使用している時刻情報を、遠隔操作により簡単且つ容易に修正可能として時刻情報に基づく正確な制御処理を可能とする時間同期システム及び防災機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(無線タグ利用による時計同期システム)
本発明は、防災機器の時刻情報を、時計同期装置により遠隔的に同期させる時計同期システムに於いて、
時計同期装置は、
基準時刻情報を生成する基準時計部と、
操作部による時計同期操作の受付けを検出した場合基準時計部で生成した基準時刻情報を含む電文を送信する時計同期制御部と
を備え、
防災機器は、
時計同期装置の受信電波から電源を生成して動作し、受信電波から復調した電文に含まれる基準時刻情報を記憶する無線タグと、
無線タグに有線インタフェースを介して接続し、無線タグから基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正する機器制御部と、
を備え
無線タグは、時計同期装置から受信した基準時刻情報を記憶した場合に時計同期フラグを設定し
機器制御部は無線タグにアクセスして時計同期フラグを検出した場合に無線タグに記憶している基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正することを特徴とする
【0014】
(電波時計機能)
時計同期装置の基準時計部は、標準電波の送信局から送信される時刻情報を受信して基準時刻情報を生成する。
【0015】
(時計同期装置による防災機器時刻情報の確認)
時計同期装置の時計同期制御部は、操作部による時刻確認操作の受付けを検出した場合に防災機器の無線タグに時刻情報の読出要求を含む電文を送信し、無線タグから時刻情報の読出応答電文を受信して表示部に防災機器の時刻情報を表示させ、
防災機器の無線タグは、時計同期装置から時刻情報の読出要求を含む電文を受信した場合、自己の時刻情報を含む読出応答電文を生成して送信する。
【0016】
(防災機器)
本発明は、時刻情報を利用して所定の処理を行う防災機器に於いて、
外部の時計同期装置の受信電波から電源を生成して動作し、受信電波から復調した電文に含まれる基準時刻情報を記憶する無線タグと、
無線タグに有線インタフェースを介して接続し、無線タグから基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正する機器制御部と、
を備え
無線タグは、時計同期装置から受信した基準時刻情報を記憶した場合に時計同期フラグを設定し、
機器制御部は、無線タグにアクセスして時計同期フラグを検出した場合に、無線タグに記憶している基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正することを特徴とする。
【0017】
(時計同期装置による防災機器時刻情報の確認)
無線タグは、時計同期装置から時刻情報の読出要求を含む電文を受信した場合に、自己の時刻情報を含む読出応答電文を生成して送信する。
【発明の効果】
【0018】
(基本的な効果)
本発明は、防災機器の時刻情報を、時計同期装置により遠隔的に同期させる時計同期システムに於いて、防災機器は、時計同期装置からの基準時刻情報を受信する受信部と、受信部により受信した基準時刻情報により自己の時刻情報を修正する機器制御部とを備えるようにしたため、防災機器、例えば火災感知器の定期点検等の際に、時計同期装置で時計同期のための操作することで、火災感知器の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができ、例えば昼と夜の時間帯で感度を変更して行う火災判断を長期間に亘って安定且つ確実に動作可能とする。
【0019】
(無線タグ利用による時計同期システムの効果)
また、時計同期装置は、基準時刻情報を生成する基準時計部と、操作部による時計同期操作の受付けを検出した場合に前記基準時計部で生成した基準時刻情報を含む電文を送信する時計同期制御部とを備え、防災機器は、時計同期装置の受信電波から電源を生成して動作し、受信電波から復調した電文に含まれる基準時刻情報を記憶する無線タグと、無線タグに有線インタフェースを介して接続し、無線タグから基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正する機器制御部とを備え、無線タグにより時計同期装置から受信した基準時刻情報を記憶した場合に時計同期フラグを設定し、機器制御部は、無線タグにアクセスして時計同期フラグを検出した場合に、無線タグに記憶している基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正するようにしたため、防災機器、例えば火災感知器の定期点検等の際に、時計同期装置を使用して火災感知器の無線タグに基準時刻情報を書き込むだけ、天井面から火災感知器を取り外すことなく、火災感知器の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができる。
【0020】
(時刻情報受信部による時計同期システムの効果)
また、時計同期装置は、基準時刻情報を生成する基準時計部と、操作部による時計同期操作の受付けを検出した場合に基準時計部で生成した基準時刻情報を含む電文を無線送信する時計同期制御部とを備え、防災機器は、基準時刻情報を含む無線電文を受信する時刻情報受信部と、時刻情報受信部で前記基準時刻情報を受信した場合に、受信した基準時刻情報に基づき自己の時刻情報を修正する前記機器制御部とを備えるようにしたため、時計同期装置を防災機器、例えば火災感知器に近づけて時計同期のための操作することで、天井面から火災感知器を取り外すことなく、火災感知器の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができる。
【0021】
(有線伝送部による時計同期システムの効果)
また、時計同期装置を、防災機器を監視制御する防災制御盤内(受信機内)に設け、時計同期装置は、基準時刻情報を生成する基準時計部と、操作部による時計同期操作の受付けを検出した場合に基準時計部で生成した基準時刻情報を含む電文を防災機器と接続される有線に送信する時計同期制御部とを備え、防災機器は、防災制御盤との間で制御可能な電文の送受信を行う伝送部と、伝送部で基準時刻情報を受信した場合に、受信した基準時刻情報に基づき自己の時刻情報を修正する前記機器制御部とを備えるようにしたため、防災制御盤で時計同期のための操作することで、火災感知器に出向いて取り外すことなく、遠隔的に火災感知器の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができる。
【0022】
(電波時計機能による効果)
また、時計同期装置の基準時計部は、標準電波の送信局から送信される時刻情報を受信して基準時刻情報を生成するようにしたため、所謂電波時計としての機能を利用して常に正しい時刻情報を生成して火災感知器等の防災機器の時刻情報の修正を可能とする。
【0023】
(時計同期装置による防災機器時刻情報の確認の効果)
また、時計同期装置の時計同期制御部は、操作部による時刻確認操作の受付けを検出した場合に防災機器の無線タグに時刻情報の読出要求を含む電文を送信し、無線タグから時刻情報の読出応答電文を受信して表示部に防災機器の時刻情報を表示させ、防災機器の無線タグは、時計同期装置から時刻情報の読出要求を含む電文を受信した場合、自己の時刻情報を含む読出応答電文を生成して送信するようにしたため、時計同期装置の操作により防災機器における現在の時刻情報を遠隔的な確認操作で簡単に分かり、時刻情報のずれ具合や時計同期を行った後の時刻情報の確認等が適切にできる。
【0024】
(防災機器による効果)
本発明は、時刻情報を利用して所定の処理を行う防災機器に於いて、外部の時計同期装置の受信電波から電源を生成して動作し、受信電波から復調した電文に含まれる基準時刻情報を記憶する無線タグと、無線タグに有線インタフェースを介して接続し、無線タグから基準時刻情報を読み出して自己の時刻情報を修正する機器制御部とを設けるようにしたため、前述した時計同期システムにおける防災機器による効果と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の時計同期システムを適用する火災報知システムの概要を示した説明図
図2図1のP型火災感知器の機能構成を示したブロック図
図3】P型火災感知器に設けた時計回路部を示したブロック図
図4】時計同期装置の機能構成を示したブロック図
図5】本発明の時計同期システムの防災機器となるR型火災感知器の機能構成を示したブロック図
図6】本発明の時計同期システムの防災機器となる住警器の機能構成を示したブロック図
図7】本発明の時計同期システムをR型火災報知システムに適用した他の実施形態を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0026】
[時計同期システムの概要]
図1は本発明の時計同期システムが適用される防災システムの概要を示した説明図である。図1において、監視対象となる建物の1F〜3Fの各階には防災機器としてP型火災感知器10を天井面に設けた感知器ベースに取り付けて配置し、1Fの管理人室等に設置したP型火災受信機1から階別に引き出した感知器回線2に接続している。
【0027】
P型火災感知器10は例えば昼間と夜の時間帯に分けて感度を変更する機能を備え、そのため1日24時間の時刻情報を繰り返し生成する時計機能を備えている。
【0028】
本実施形態の時計同期システムは、P型火災感知器10と点検時に係員が携帯する時計同期装置60で構成し、P型火災感知器10には時計同期制御に使用する無線タグ30を内蔵している。無線タグ30は例えばパッシブタグ(受動タグ)であり、係員が携帯している時計同期装置60からの受信電波を整流して電源を生成して動作する。
【0029】
時計同期装置60は時計同期操作を行うと、基準時刻情報を含む電文をP型火災感知器10に設けた無線タグ30に送信して記憶する。
【0030】
P型火災感知器10に実装しているCPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えた感知器制御部(プロセッサ)と無線タグ30は有線インタフェースにより接続しており、感知器制御部が無線タグ30にアクセスしてメモリに記憶した基準時計情報を読出し、P型火災感知器10の時計機能により生成している時刻情報を修正して時刻同期する。
【0031】
ここで、無線タグ30及び時計同期装置60による通信は、例えば900MHzのUHF帯のチャンネル周波数を使用している。
【0032】
[P型火災感知器]
図2は本発明の時計同期システムの防災機器となるP型火災感知器の機能構成を示したブロック図である。
(火災感知器の機能構成)
図2に示すように、防災機器として機能するP型火災感知器10は、天井面に設置した感知器ベース11に対し嵌合端子により着脱自在に装着され、感知器ベース11を介してP型火災受信機からの感知器回線2となるL線とC線間に接続している。
【0033】
P型火災感知器10は、機器制御部として機能する感知器制御部12、センサ部14、時計回路部16、発報回路部18、無極性化回路部20、定電圧回路部22、I/F回路部(インタフェース回路部)24及び無線タグ30を備える。
【0034】
感知器制御部12はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータIC等とする。センサ部14は火災による煙または温度を検出してアナログ検出信号を出力する。センサ部14で煙を検出する場合は散乱光式検煙機構を設け、温度を検出する場合はサーミスタなどの温度検知素子を設ける。
【0035】
発報回路部18はスイッチング素子を備え、感知器制御部12で火災を判断した場合の火災検出信号によりスイッチングしてP型火災受信機からの感知器回線2に発報電流を流すことで、火災発報信号をP型火災受信機に送信し、回線単位の地区表示を伴う火災警報を出力させる。
【0036】
無極性化回路部20はダイオードブリッジを備え、感知器回線2のL線とC線に対し感知器側の接続極性を無極性化すると共にノイズ吸収を行う。定電圧回路部22はP型受信機から供給されている所定の直流電圧を感知器制御部12側で必要な所定の直流電圧に安定化して出力する。
【0037】
時計回路部16はクロックパルスの計数動作に基づき例えば時分秒(HHMMSS)の時刻情報を生成して感知器制御部12に出力する。
【0038】
感知器制御部12は、プログラムの実行により実現される機能であり、センサ部14からの検知信号をAD変換により検知データとして読み込んで所定感度に基づく閾値と比較し、閾値以上となった場合に火災を判断して火災検出信号を発報回路部18に出力する制御を行う。
【0039】
また、感知器制御部12は例えば1日24時間における昼間の時間帯と夜の時間帯とに分けて、昼間の感度に対し夜の感度を高くするように異なる2つの閾値を設定しており、時計回路部16で生成した時刻情報から所定の昼間の時間帯と夜の時間帯を判別して閾値を切り替えて火災を判断する制御を行う。
【0040】
(無線タグの構成)
P型火災感知器10に設けた無線タグ30は、タグ制御部32、アンテナ36を接続したタグ通信部34、アンテナ36を接続した整流部42、メモリ38及びI/F回路部(インターフェース回路部)40を備える。
【0041】
タグ制御部32はCPU、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータIC等とする。タグ通信部34は、例えば900MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠して電文を送受信する。メモリ38は不揮発メモリを使用する。アンテナ36は感知器回路を実装した回路基板自体をアンテナとしている。
【0042】
整流部42は、アンテナ36で受信した外部の時計同期装置からの電波による受信信号を整流してタグ制御部32、タグ通信部34及びメモリ38に電源を供給して動作させる。
【0043】
タグ制御部32は、外部の時計同期装置から時計同期操作に基づく電文を受信した場合、この電文に含まれている基準時刻情報をメモリ38の所定アドレスに書き込む制御を行う。
【0044】
また、タグ制御部32は、メモリ38に受信電文に基づく基準時刻情報を書き込んだ場合、所定のアドレスに時刻同期フラグを書き込んで設定する制御を行う。
【0045】
また、タグ制御部32は、外部の時計同期装置の時刻確認操作に基づく時刻情報読出要求を含む電文を受信した場合、そのとき感知器制御部12によりメモリ38に記憶している感知器側の時刻情報を読出して読出応答電文を生成し、タグ通信部34に指示して送信させる制御を行う。
【0046】
(有線インタフェース)
無線タグ30と感知器制御部12との間で情報を双方向に伝送する有線インタフェースは、感知器制御部12側に設けたI/F回路部24、無線タグ30に設けたI/F回路部40、感知器制御部12にインストールしたインタフェース制御用のソフトウェアで構成する。I/F回路部24,40は定電圧回路部22からの電源供給を常時受けて動作している。
【0047】
このための有線インタフェースは、例えばI2C(アイ・スクエアー・シー)として知られたフィリップス社で開発されたシリアルバス・インタフェースが使用できる。
【0048】
I2Cによる有線インタフェースは、シリアルデータ用とクロック用の2本の信号線でI/F回路24,40の間を接続しており、2本の信号線電源ラインに対し抵抗を介してプルアップしている。I/F回路部24,40には、データ用とクロック用に分けて送信用のドライバと受信用のレシーバを設けている。インタフェース制御用のソフトウェアをインストールした感知器制御部12がマスタとなり、I/F回路部24,40を介して無線タグ30のメモリ38にアクセスして情報の読み書きを行う。
【0049】
なお、無線タグ30と感知器制御部12との間で情報を双方向に伝送する有線インタフェースとしては、I2C以外に、適宜のシリアル伝送を行う適宜の有線インタフェースを使用しても良い。
【0050】
(感知器制御部の時間同期制御)
感知器制御部12は、無線タグ30のメモリ38に対するアクセスで時計同期フラグを検出した場合、そのときメモリ38に書き込まれている基準時刻情報を読出し、時計回路部16の時刻情報を基準時刻情報に修正して時計同期をとる制御を行う。
【0051】
また、感知器制御部12は、無線タグ30のメモリ38にアクセスして時刻情報の読出要求を検出した場合、そのとき時計回路部16が生成している時刻情報を無線タグ30のメモリ38側に書き込む制御を行う。この感知器制御部12による自己の時刻情報の無線タグ30側に対する書込みは、無線タグ30側の読出要求によらず、所定の周期で感知器制御部12が無線タグ30側に時計回路部16が生成している時刻情報を書き込む制御としても良い。
【0052】
なお、無線タグ30のメモリ38は、整流部42からの電源供給がない場合は、有線インタフェースを経由して定電圧回路部22側からの電源供給を受けて動作する。
【0053】
(時計回路部の構成)
図3図2のP型火災感知器10に設けた時計回路部の実施形態を示したブロック図である。図3に示すように、時計回路部16は、秒カウンタ44、分カウンタ46、時カウンタ48、時刻バッファ50、及び同期バッファ52を備える。
【0054】
秒カウンタ44は32.768kHzの周波数から生成した1秒周期の秒パルスを入力してカウントし、60カウントでフルカウントに達してオーバーフロー出力によりリセットし、これを繰り返し、このため1〜60秒で変化する秒情報を時刻バッファ50に書き込む。
【0055】
分カウンタ46は秒カウンタ44から1分周期の分パルスを入力してカウントし、60カウントでフルカウントに達してオーバーフロー出力によりリセットし、これを繰り返し、このため1〜60分で変化する分情報を時刻バッファ50に書き込む。
【0056】
時カウンタ48には分カウンタ46から1時間周期の時パルスを入力してカウントし、24カウントでフルカウントに達してオーバーフロー出力によりリセットし、これを繰り返し、このため1〜24時間で変化する時情報を時刻バッファ50に書き込む。これにより時刻バッファ50は時分秒となる時刻情報HHMMSSを1秒単位で更新しながら生成する。
【0057】
同期バッファ52には無線タグ30から読出した基準時刻情報が書き込まれ、秒カウンタ44、分カウンタ46及び時カウンタ48にプリセットを指示することで、基準時刻情報の秒情報、分情報及び時情報がロードされ、時刻情報を基準時刻情報に修正する時間同期を行う。
【0058】
なお、本実施形態における時刻情報の発生および基準時刻情報により修正する時間同期の制御は、感知器制御部12のプログラムの実行で実現するソフトウェア時計機能で実現しても良い。
【0059】
[時計同期装置]
(時計同期装置の機能構成)
図4は時計同期装置の実施形態を示した説明図であり、図4(A)に機能構成を示し、図4(B)に装置外観を示す。
【0060】
図4(A)に示すように、火災感知器の時間同期を遠隔的に制御する時計同期装置60は、時計同期制御部62、アンテナ66を接続したタグ通信部64、アンテナ70を接続した時刻情報受信部68、時刻表示部72、操作部74及び電池電源76を備える。
【0061】
時計同期制御部62はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。タグ通信部64は、例えば900MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠して電文を間欠的に送受信する。
【0062】
時刻情報受信部68は、基準時計部として機能し、例えば標準電波の送信局から送信される時刻情報のデジタル信号を受信し、基準時刻情報として時計同期制御部62に出力し、所謂電波時計として機能する。
【0063】
時刻表示部72は、図4(B)に示すように、液晶表示器を使用し、時刻情報「HH:MM:SS」として例えば「13:24:30」を表示している。
【0064】
操作部74は、図4(B)に示すように、時間同期制御を指示する時計同期スイッチ74a、時刻情報の読出しを指示する時刻確認スイッチ74b、電源スイッチ74cを備えている。
【0065】
時計同期制御部62は、コンピュータ回路によりプログラムの実行により実現される機能であり、次の制御を行う。
【0066】
時計同期制御部62は、時計同期スイッチ74aによる時計同期操作の受付けを検出した場合に、時刻情報受信部68で得られた基準時刻情報を含む電文を生成し、タグ通信部64に指示して送信させる制御を行う。
【0067】
また、時計同期制御部62は、時刻確認スイッチ74bによる時刻確認操作の受付けを検出した場合に時刻読出要求を含む電文を生成し、タグ通信部64に指示して送信させる制御を行う。この時刻読出要求を含む電文は火災感知器10の無線タグ30で受信され、そのときメモリ38に記憶している時刻情報を読出して時計同期装置60に読出応答電文を送信する。
【0068】
また、時計同期制御部62は、時刻確認スイッチ74bの操作に伴いP型火災感知器10の無線タグ30が送信した読出応答電文を受信した場合、この電文から時刻情報を検出して時刻表示部72に表示する制御を行う。これによりP型火災感知器10の現在の時刻情報を簡単且つ容易に知ることを可能とする。
【0069】
(時計同期の制御動作)
次に図1図4を参照して時計同期装置の遠隔操作による火災感知器の時計同期の制御動作を説明ずる。
【0070】
定期的に行われる火災報知システムの点検おいて、係員は時計同期装置60を携帯し、点検対象とするP型火災感知器10と通信接続可能な例えば1〜2メートル程度の距離に近づき、この状態で例えば時計同期装置60の時刻確認スイッチ74bを操作し、P型火災感知器10の無線タグ30に時刻読出要求を含む電文を送信する。
【0071】
P型火災感知器10の無線タグ30は、時計同期装置60からの電波をタグ通信部34で受信復調して電文をタグ制御部32に出力する。このとき時計同期装置60からの電波の受信信号は整流部42にも入力され、その整流出力により無線タグ30の各回路部に電源を供給して動作状態としている。
【0072】
タグ制御部32はタグ通信部34で受信した電文に含まれる時刻情報読出要求に基づきメモリ38にアクセスし、そのとき感知器制御部12によりメモリ38に書き込まれている時刻情報を読出し、この時刻情報を含む確認応答電文を生成し、タグ通信部34に指示して時計同期装置60に送信する。
【0073】
時計同期装置60はタグ通信部64によりP型火災感知器10の無線タグ30から送信した確認応答電文を受信復調して時計同期制御部62に出力し、時計同期制御部62は受信した時刻情報を取り出して時刻表示部72に表示する。
【0074】
このように時間同期装置60でP型火災感知器10の時刻情報の確認を行った場合、時計表示部72の表示は、時刻情報受信部68から得られた基準時刻の表示からP型火災感知器10から読み出した時刻情報の表示に切り替わり、P型火災感知器10の時刻がどの程度ずれているかを確認できる。
【0075】
なお、時計表示部72の表示として、基準時刻情報と感知器側の時刻情報の両方を表示して比較可能としても良い。また、P型火災感知器の時刻情報の確認は任意であり、必ずしも確認する必要はない。
【0076】
P型火災感知器10の時刻同期は、時計同期装置60の時計同期スイッチ74aを操作して行う。係員はP型火災感知器10と通信接続可能な例えば1〜2メートル程度の距離に近づいた状態で、時計同期装置60の時計同期スイッチ74aを操作すると、時計同期制御部62がそのとき時刻情報受信部68から得られている基準時刻情報を含む電文を生成し、タグ通信部64に指示してP型火災感知器10の無線タグ30に電文を送信する。
【0077】
P型火災感知器10の無線タグ30は、時計同期装置60から電波をタグ通信部34で受信復調して電文をタグ制御部32に出力し、タグ制御部32は受信電文に含まれる基準時刻情報をメモリ38の所定アドレスに書込むと共に、所定アドレスに時計同期フラグを書き込んで設定する。
【0078】
感知器制御部12はI/F回路部24,40による有線インタフェースを介して定期的にメモリ38の時計同期フラグの書込みアドレスにアクセスして時計同期フラグの有無を判別しており、時計同期フラグを判別するとメモリ38に書き込まれている基準時刻情報を読出し、時計回路部16の時刻情報を基準時刻情報により修正して時間同期させる。これによりP型火災感知器10を天井側から取り外すことなく、時計同期装置60の遠隔操作により簡単且つ容易に正しい時刻に同期させることができる。
【0079】
[R型火災感知器]
図5は本発明の時計同期システムの防災機器となるR型火災感知器の機能構成を示したブロック図である。
【0080】
図5に示すように、防災機器として機能するR型火災感知器80は、天井面に設置した感知器ベース11に対し嵌合端子により着脱自在に装着され、感知器ベース11を介してR型火災受信機からの伝送回線SL,SC間に接続している。またR型火災感知器80には伝送回線単位に最大128アドレス又は256アドレスの範囲で所定のアドレスを設定している。
【0081】
R型火災感知器80は、機器制御部として機能する感知器制御部82、センサ部84、時計回路部86、伝送部88、無極性化回路部90、定電圧回路部92、I/F回路部(インタフェース回路部)24及び無線タグ30を備える。
【0082】
ここで、センサ部84、時計回路部86、無極性化回路部90、定電圧回路部92、I/F回路部24及び無線タグ30は、図1のP型火災感知器10に示したセンサ部14、時計回路部16、無極性化回路部20、定電圧回路部22、I/F回路部24及び無線タグ30と同じになる。
【0083】
感知器制御部82はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータIC等とする。伝送部88は、伝送回線SL,SCを介してR型火災受信機との間でコマンド及びデータを含む電文をシリアル伝送により送受信する。
【0084】
感知器制御部82は、プログラムの実行により実現される機能であり、R型火災受信機から例えば1分周期で送信される一括A/D変換コマンドを伝送部88で受信してセンサ部84からの例えば煙濃度検出信号をA/D変換して保持し、続いてR型火災受信機から順次送信されてくる最大アドレス分のポーリングコマンドの内の自己アドレスに一致するポーリングコマンドを判別して煙濃度データをR型火災受信機に応答送信する制御を行う。
【0085】
また、感知器制御部82は、センサ部84からA/D変換で読み込んだ煙濃度データが所定の閾値以上となった場合に火災を判断し、R型火災受信機に火災割込み信号を伝送部88から送信する制御を行う。
【0086】
R型火災感知器80からの火災割込み信号を検出したR型火災受信機は、火災割込みを行ったR型火災感知器を特定するためグルーブ検索コマンドを送信し、火災割込みを行ったR型火災感知器を含むグループを特定し、更に、グループ内検索コマンドにより火災割込みを行ったR型火災感知器を特定して集中的に火災検出データを収集する制御を行う。
【0087】
また、感知器制御部82は例えば1日24時間における昼間の時間帯と夜の時間帯とに分けて昼間の感度に対し夜の感度を高くするように異なる2つの閾値を設定しており、時計回路部80で生成した時刻情報から所定の昼間の時間帯と夜の時間帯を判別して閾値を切り替えて火災を判断して火災割込み信号を伝送部88から送信する制御を行う。
【0088】
このようなR型火災感知器80についても、例えば定期的に行われるR型火災災感知器80の定期点検等の際に、図3に示した時計同期装置60をR型火災感知器80に近づけて時計同期のための操作することで、前述したP型火災感知器10の場合と同様に、天井面からR型火災感知器80を取り外すことなく、R型火災感知器80の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができ、例えば昼と夜の時間帯で感度を変更して行う火災判断を長期間に亘って安定且つ確実に動作可能とする。
【0089】
[住警器]
図6は本発明の時計同期システムの防災機器となる無線連動型の住警器の機能構成を示したブロック図である。
【0090】
図6に示すように、住宅用の防災機器として機能する住警器100は、例えば天井面に近い壁面等に設置されており、複数の住警器を住宅内の必要な場所に設置することで、無線連動型の警報システムを構築している。また住警器100には連動関係を特定するグループアドレスを予め設定している。
【0091】
住警器100には、機器制御部として機能する感知器制御部102、センサ部104、時計回路部106、アンテナ107を接続した通信部108、操作部110、報知部112、電池電源114、I/F回路部(インタフェース回路部)24及びアンテナ36を接続した無線タグ30を備える。
【0092】
ここで、センサ部104、時計回路部106、I/F回路部24及び無線タグ30は、図1のP型火災感知器10に示したセンサ部14、時計回路部16、I/F回路部24及び無線タグ30と同じになる。
【0093】
感知器制御部102はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータIC等とする。
【0094】
通信部108は、他の住警器との間で火災、警報停止、火災復旧等の各種の連動信号を送受信する。また、通信部108による無線通信は、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を行っており、無線タグ30による900MHzのUHF帯のチャンネル周波数との混信は起きない。
【0095】
操作部110は警報停止スイッチを備える。警報停止スイッチは通常状態では点検スイッチとして機能する。報知部112はスピーカとLEDを備え、スピーカから音声メッセージを含む火災警報音を出力すると共にLEDの駆動により火災警報表示を行う。
【0096】
報知部112は、自己で火災を検知した場合の連動元を示す火災警報と、他の住警器からの火災連動信号を受信した場合の連動先を示す火災警報とを分けて出力する。
【0097】
感知器制御部102は、プログラムの実行により実現される機能であり、センサ部104からA/D変換で読み込んだ例えば煙濃度データが所定の閾値以上となった場合に火災を判断し、報知部112に指示して連動元を示す火災警報を出力すると共に、通信部108に指示して火災連動信号を送信する制御を行う。
【0098】
また、感知器制御部102は、通信部108を介して他の住警器からの火災連動信号を受信した場合、報知部112に指示して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0099】
また、感知器制御部102は警報出力中に、操作部110による警報停止操作の受付けを検出した場合又はセンサ部104による火災復旧を検出した場合、報知部112に指示して警報停止すると共に通信部108に指示して警報停止連動信号又は火災復旧連動信号を送信する制御を行う。
【0100】
また、感知器制御部102は、通信部108を介して他の住警器からの警報停止連動信号又は火災復旧連動信号を受信した場合、報知部112に指示して火災警報を停止させる制御を行う。
【0101】
また、感知器制御部102は例えば1日24時間における昼間の時間帯と夜の時間帯とに分けて昼間の感度に対し夜の感度を高くするように異なる2つの閾値を設定しており、時計回路部106で生成した時刻情報から所定の昼間の時間帯と夜の時間帯を判別して閾値を切り替えて火災を判断して警報する制御を行う。
【0102】
このような住警器100についても、必要に応じて、図3に示した時計同期装置60を住警器100に近づけて時計同期のための操作することで、前述したP型火災感知器10の場合と同様に、壁面から住警器100を取り外すことなく、住警器100の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができ、例えば昼と夜の時間帯で感度を変更して行う火災判断を長期間に亘って安定且つ確実に動作可能とする。
【0103】
[有線伝送部による時計同期システム]
図7は本発明の時計同期システムをR型火災報知システムに適用した他の実施形態を示したブロック図である。
【0104】
(R型火災感知器)
図7に示すように、R型火災感知器120は、図5のR型感知器80に設けている無線タグ30及びI/F回路部24を除いと同じ構成であり、機器制御部として機能する感知器制御部82、センサ部84、時計回路部86、伝送部88、無極性化回路部90及び定電圧回路部92を備える。
【0105】
ここで、センサ部84、時計回路部86、無極性化回路部90、定電圧回路部92は、図2のP型火災感知器10に示したセンサ部14、時計回路部16、無極性化回路部20、定電圧回路部22と同じになる。
【0106】
感知器制御部82はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータIC等とする。伝送部88は、伝送回線SL,SCを介してR型火災受信機との間でコマンド及びデータを含む電文をシリアル伝送により送受信する。
【0107】
感知器制御部82は、R型火災受信機130から一括A/D変換コマンドを伝送部88を介して受信した場合、センサ部84からの例えば煙濃度検出信号をA/D変換して保持し、続いてR型火災受信機130から順次送信されてくる自己アドレスに一致するポーリングコマンドを判別して煙濃度データをR型火災受信機130に応答送信する制御を行う。
【0108】
また、感知器制御部82は、センサ部84からA/D変換で読み込んだ煙濃度データが所定の閾値以上となった場合に火災を判断して発報し、R型火災受信機に火災割込み信号を伝送部88から送信する制御を行う。
【0109】
また、感知器制御部82は例えば1日24時間における昼間の時間帯と夜の時間帯とに分けて昼間の感度に対し夜の感度を高くするように異なる2つの閾値を設定しており、時計回路部86で生成した時刻情報から所定の昼間の時間帯と夜の時間帯を判別して閾値を切り替えて火災を判断して火災割込み信号を伝送部88から送信する制御を行う。
【0110】
また、感知器制御部82は、伝送部88を介して基準時刻情報を含む時刻同期制御電文を受信した場合、受信した基準時刻情報により時計回路部86の時刻情報を基準時刻情報に修正して時計同期をとる制御を行う。
【0111】
また、感知器制御部82は、伝送部88を介して時刻読出要求電文を受信した場合、時計回路部86の時刻情報を含む読出応答電文を生成して伝送部88に指示して送信する制御を行う。
【0112】
(R型受信機)
R型受信機130は防災制御盤として機能し、R型受信機130から引き出した伝送回線SL,SCに固有のアドレスを設定したR型火災感知器120を接続している。
【0113】
R型受信機130は、受信制御部132、伝送部134、アンテナ138を接続した時刻情報受信部136、表示部140、操作部142、警報部144及び移報部146を備える。
【0114】
受信制御部132は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータIC回路であり、CPUによるプログラムの実行により火災受信制御を行うと共に、時計同期制御部150としての機能を実現している。
【0115】
時刻情報受信部136は、基準時計部として機能し、例えば標準電波の送信局から送信される時刻情報のデジタル信号を受信し、基準時刻情報として時計同期制御部150に出力し、所謂電波時計として機能する。
【0116】
表示部140は火災受信制御に必要な各種の表示灯に加え、液晶ディスプレイ等による時刻表示部を備え、時刻情報「HH:MM:SS」として例えば「13:24:30」を表示可能としている。
【0117】
操作部142は火災受信制御に必要な各種のスイッチに加え、時間同期制御を指示する時計同期スイッチ、時刻情報の読出しを指示する時刻確認スイッチを設けている。
【0118】
受信制御部132は、例えば1分周期で一括A/D変換コマンドを伝送部134に指示して送信し、R型火災感知器120に例えば煙濃度検出信号をA/D変換して保持させ、続いて感知器アドレスを順次指定したポーリングコマンドを送信して煙濃度データを含む応答電文を受信する制御を行う。
【0119】
また、受信制御部132は、R型火災感知器120の火災発報による災割込み信号を伝送部88から受信した場合、グルーブ検索コマンドを送信して火災割込みを行ったR型火災感知器を含むグループを特定し、更に、グループ内検索コマンドを送信して火災割込みを行ったR型火災感知器を特定して集中的に火災検出データを収集する制御を行う。
【0120】
時計同期制御部150は、操作部142に設けた時計同期スイッチによる時計同期操作の受付けを検出した場合に、時刻情報受信部136で得られた基準時刻情報を含む時刻同期制御電文を生成し、伝送部134に指示して送信させる制御を行う。
【0121】
また、時計同期制御部150は、操作部142に設けた時刻確認スイッチによる特定の感知器アドレスを指定した時刻確認操作の受付けを検出した場合に時刻読出要求を含む電文を生成し、伝送部134に指示して送信させ、R型火災感知器120から読出応答電文を受信した場合に、表示部140に時刻情報を表示する制御を行う。これによりR型火災感知器120の現在の時刻情報を簡単且つ容易に知ることを可能とする。
【0122】
(R型火災報知システムの時計同期の制御動作)
このようなR型火災報知システムについても、例えば定期点検等の際に、R型受信機130で時計同期のための操作することで、伝送回線を介してR型火災感知器120に基準時刻情報を含む時刻同期制御電文を送信し、R型火災感知器120の時刻情報を正しい時刻情報に修正する時刻同期を簡単且つ容易に行うことができ、例えば昼と夜の時間帯で感度を変更して行う火災判断を長期間に亘って安定且つ確実に動作可能とする。
【0123】
また、伝送回線に接続している最大アドレス数(例えば256アドレス)以内となる複数のR型火災感知器120の時刻同期は、1回の時刻同期制御電文の送信により一斉に時刻同期を行うことから短時間で済み、火災監視制御に影響を及ぼすことがなく、このためR型受信機130から例えば1日1回というように、定期的に時刻同期制御電文を送信して自動的に時刻同期を制御するようにしても良い。
【0124】
[本発明の他の実施形態]
上記の実施形態は、P型火災感知器、R型火災感知器、住警器の各々に無線タグを設けて時計同期装置から送信した標準時刻情報を受信しているが、無線タグに代えて、P型火災感知器、R型火災感知器、住警器の各々に時刻情報受信部を設けて時計同期装置からの基準時刻情報を受信し、感知器制御部で時刻情報受信部により受信した基準時刻情報により自己の時刻情報を修正するようにしても良い。
【0125】
また、この場合の時計同期装置として標準電波の送信局を利用し、P型火災感知器、R型火災感知器、住警器の各々に標準電波の送信局から送信される時刻情報を受信する標準電波受信部を設け、標準電波受信部で受信した標準電波から基準時刻情報を生成して自己の時刻情報を修正するようにしても良い。
【0126】
[本発明の変形例]
(防災機器)
上記の実施形態は、時間同期を行う防災機器として、P型火災感知器、R型火災感知器、無線連動型の住警器を例にとっているが、これ以外に時刻情報を利用する防災機器として、無線式火災感知器やスタンドアロー型の住警器についても、同様にして時間同期を行うように構成する。また、火災を検知する防災機器のみならず、時間情報を利用するガス漏れ警報器等の他の防災機器についても同様にして時間同期を行うように構成しても良い。
【0127】
(無線タグ)
上記の実施形態は、受信電波信号を整流して得た電源で動作するパッシブタブ(受動タグ)の無線タグを例にとっているが、火災感知器の電源により動作するアクティブタグ(能動タグ)を使用しても良い。
【0128】
(設定装置)
上記の実施形態は、専用の時間同期装置を使用して火災感知器等の防災機器に設けた無線タグにアクセスして遠隔的に時間同期を制御する場合を例にとっているが、無線タグとの通信機能を備えたタブレット端末等の適宜の携帯端末機器を利用するようにしても良い。
【0129】
(防災機器の時間制御)
上記の実施形態は、昼間と夜の時間帯に分けて火災を検出する感度を変更する場合を例にとっているが、感度以外の適宜の制御パラメータを時刻情報に応じて変更する場合を含む。
【0130】
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0131】
10:P型火災感知器
12,82,102:感知器制御部
14,84,104:センサ部
16,86,106:時計回路部
20,90:無極性化回路部
22,92:定電圧回路部
24,40:I/F回路部
30:無線タグ
32:タグ制御部
34,64:タグ通信部
38:メモリ
44:秒カウンタ
46:分カウンタ
48:時カウンタ
50:時刻バッファ
52:同期バッファ
60:時計同期装置
62,150:時計同期制御部
68,136:時刻情報受信部
72:時刻表示部
74,110,112:操作部
74a:時計同期スイッチ
74b:時刻確認スイッチ
74c:電源スイッチ
80,120:R型火災感知器
100:住警器
108:通信部
112:報知部
130:R型受信機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7