(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1(実施例2)に開示されている光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とを配置して構成し、第1レンズ群と第3レンズ群とを結像面に対して固定したまま、第2レンズ群を移動させてフォーカシングを行うようにして、全長の短いインナーフォーカス式レンズを実現している。加えて、第1レンズ群中に像ぶれの補正を行うための手段を備えることで、動画撮影にも対応可能になっている。
【0008】
像ぶれは、光学系の振動を起因として像位置が変動することによって発生する。像ぶれの補正は、光学系中の一部のレンズを光軸に対して略垂直な方法へ移動させることによって行う。以下では、像ぶれの補正を「防振補正」、防振補正を行うレンズを「防振群」ということにする。
【0009】
特許文献1に開示されているインナーフォーカス式レンズは、防振群のパワーが弱いため、防振補正時に防振群を大きく光軸に垂直な方向へ移動させなければならない。このため、光学系の径方向に大きなスペースが必要となり、光学系の径方向が肥大化してしまうという問題がある。この問題は、カメラボディの小型化が促進され、光学系のより小径化が要求される昨今では重大である。
【0010】
また、防振補正時に防振群を大きく移動させることは、防振群の駆動時間も長くなるため、防振群を駆動させる防振駆動アクチュエータの消費電力が増大する。防振補正時に防振群を大きく移動させることが必要な場合、防振補正の高速化も困難になる。
【0011】
さらに、防振駆動アクチュエータにかかる負荷を軽減し、高速で、良好な防振補正を行うためには、防振群の小型、軽量化が望まれる。
【0012】
また、小型のカメラに適した撮影レンズを実現するためには、光学系全長を短縮することも必要である。光学系全長を短縮するためには、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑制することが必要になる。フォーカス群のフォーカスストローク量が抑制されれば、フォーカシング時の収差変動が抑制され、結像性能を向上させることも可能になる。
【0013】
また、動画撮影を行う場合、被写体の急速な動きに対応した高速なオートフォーカス処理が望まれる。オートフォーカスは、まず、一部のレンズ群(フォーカス群)を光軸方向へ高速で振動させて(ウォブリング)、非合焦状態→合焦状態→非合焦状態を作り出す。そして、撮像素子の出力信号から一部画像領域の特定の周波数帯の信号成分を検出して、合焦状態となるフォーカス群の最適位置を求め、その最適位置にフォーカス群を移動させる。特に、動画撮影では、これら一連のフォーカシング動作を高速で連続して繰り返すことが要求される。
【0014】
一連のフォーカシング動作を高速で行うためには、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑制するとともに、フォーカス群の口径を小さく、そして軽くすることも求められる。フォーカス群が軽くなれば、フォーカス群を駆動するフォーカスアクチュエータの負荷が軽減され、フォーカスアクチュエータの消費電力を抑えることもできる。
【0015】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制し、小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することを目的とする。さらに、防振群の小型、軽量化を図り、高速で、良好な防振補正を行うことができるインナーフォーカス式レンズを提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制して、全長が短く、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することを目的とする。加えて、フォーカス群の小型、軽量化を図り、高速で、良好なフォーカシングを行うことができるインナーフォーカス式レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなり、前記第1レンズ群は、所定の口径を規定する開口絞りと、光軸に対して略垂直な方向へ移動させることによって光学系の振動時に生じる像ぶれの補正(防振補正)を行う防振群と、を含んで構成され、前記第1レンズ群および前記第3レンズ群を結像面に対して固定したまま、前記第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態までのフォーカシングを行い、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1) 0.25≦fv/f≦1.00
ただし、fvは前記防振群の焦点距離、fは無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離を示す。
【0018】
本発明によれば、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制し、小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができる。
【0019】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(2) 0.25≦fv/f1≦1.50
ただし、f1は前記第1レンズ群の焦点距離を示す。
【0020】
本発明によれば、光学系の小径化と光学系全長の短縮化を図ることができる。
【0021】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記発明において、前記防振群が、単体のレンズ素子で構成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、防振駆動アクチュエータにかかる負荷を軽減し、良好な防振補正をより高速で行うことができる。
【0023】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(3) 0.20≦|fv/f2|≦1.00
ただし、f2は前記第2レンズ群の焦点距離を示す。
【0024】
本発明によれば、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制して、全長が短く、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができる。
【0025】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(4) 1.00≦|L/f2|≦2.50
ただし、Lは光学系の全長、f2は前記第2レンズ群の焦点距離を示す。
【0026】
本発明によれば、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑え、全長が短いインナーフォーカス式レンズを提供することができる。
【0027】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、前記発明において、前記第2レンズ群が、単体のレンズ素子で構成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、フォーカス群の小型、軽量化を図り、高速で、良好なフォーカシングを行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制し、小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができるという効果を奏する。さらに、防振群の小型、軽量化を図り、高速で、良好な防振補正を行うことができるインナーフォーカス式レンズを提供することができるという効果を奏する。
【0030】
さらに、本発明は、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制して、全長が短く、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができるという効果を奏する。加えて、フォーカス群の小型、軽量化を図り、高速で、良好なフォーカシングを行うことができるインナーフォーカス式レンズを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
本発明にかかるインナーフォーカス式レンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、からなっている。加えて、動画撮影にも対応できるように、第1レンズ群が、所定の口径を規定する開口絞りと、光軸に対して略垂直な方向へ移動させることによって光学系の振動時に生じる像ぶれの補正(防振補正)を行う防振群と、を備えている。
【0034】
本発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、第1レンズ群および第3レンズ群を結像面に対して固定したまま、第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体合焦状態から最至近距離物体合焦状態までのフォーカシングを行う。このように、第2レンズ群を移動させてフォーカシングを行うことで、光学系全長の変化がなく、光学系全長を短くすることができる。
【0035】
本発明は、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制し、小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することを目的としている。そこで、かかる目的を達成するため、上記特徴に加え、以下に示すような各種条件を設定している。
【0036】
まず、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、防振群の焦点距離をfv、無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(1) 0.25≦fv/f≦1.00
【0037】
条件式(1)は、防振群の焦点距離と無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離との比を規定した式である。この条件式(1)を満足することにより、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制して、小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0038】
条件式(1)においてその下限を下回ると、防振群の屈折力が強くなりすぎて、防振補正時の収差変動が大きくなるとともに、非防振補正時の球面収差およびコマ収差の補正が困難になり、結像性能が劣化する。一方、条件式(1)においてその上限を超えると、防振群の屈折力が弱くなりすぎて、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量が増大する。この結果、光学系の径方向に大きなスペースが必要になるため、光学系が径方向に肥大化して、光学系の小径化を図ることが困難になる。
【0039】
なお、上記条件式(1)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(1a) 0.30≦fv/f≦0.95
この条件式(1a)で規定する範囲を満足することにより、より小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0040】
また、上記条件式(1a)は、次に示す範囲を満足すると、さらに小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
(1b) 0.35≦fv/f≦0.90
【0041】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、防振群の焦点距離をfv、第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(2) 0.25≦fv/f1≦1.50
【0042】
条件式(2)は、防振群の焦点距離と第1レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。この条件式(2)を満足することにより、光学系の小径化と光学系全長の短縮化を図ることができる。
【0043】
条件式(2)においてその下限を下回ると、防振群の屈折力が強くなりすぎて、防振補正時の収差変動が増大する。これに対処するためには、防振群を構成するレンズ枚数を増やさなくてはならないため、防振群の軽量化が困難になるとともに、光学系全長も伸びる。この結果、高速で良好な防振補正を行うことに支障をきたすおそれがあるとともに、光学系全長の短縮化が困難になる。一方、条件式(2)においてその上限を超えると、防振群の屈折力が弱くなりすぎて、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量が増大する。この結果、光学系の径方向に大きなスペースが必要になるため、光学系が径方向に肥大化して、光学系の小径化を図ることが困難になる。
【0044】
なお、上記条件式(2)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(2a) 0.40≦fv/f1≦1.25
この条件式(2a)で規定する範囲を満足することにより、より小型のインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0045】
また、上記条件式(2a)は、次に示す範囲を満足すると、インナーフォーカス式レンズのさらなる小型化を実現することができる。
(2b) 0.50≦fv/f1≦1.00
【0046】
さらに、本発明は、防振群の小型、軽量化を図ることで、高速で、良好な防振補正を行うことができるインナーフォーカス式レンズを提供することを目的としている。そこで、かかる目的を達成するため、上記特徴に加え、以下に示す特徴を備えている。
【0047】
良好な防振補正を行う場合、防振群の停止精度を高めることが重要な要素になる。防振群の停止精度を高めるためには、防振群の軽量化が求められる。そこで、本発明では、防振群を単体のレンズ要素で構成する。防振群を単体のレンズ要素で構成すれば、防振群の小型、軽量化が促され、防振群を高速に駆動するとともにその停止制度を向上させることが容易になる。また、防振群の駆動をつかさどる防振アクチュエータの負荷を減少させることができ、省電力化に資することになる。加えて、光学系全系の小型、軽量化を促進することもできる。
【0048】
なお、単体のレンズ要素とは、単一の研磨レンズや、非球面レンズ、複合非球面レンズ、接合レンズを含み、空気層をもち互いに接着されていない、たとえば正負の2枚レンズなどは含まない。
【0049】
さらに、本発明は、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制して、全長が短く、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することを目的としている。そこで、かかる目的を達成するため、上記特徴に加え、以下に示すような条件を設定している。
【0050】
本発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、防振群の焦点距離をfv、第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(3) 0.20≦|fv/f2|≦1.00
【0051】
条件式(3)は、防振群の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。この条件式(3)を満足することにより、フォーカス群である第2レンズ群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制して、全長が短く、高い光学性能を備えたインナーフォーカス式レンズを実現することができる。
【0052】
条件式(3)においてその下限を下回ると、フォーカス群である第2レンズ群の屈折力が弱くなりすぎて、フォーカスストローク量が増大することで、光学系全長が延び、光学系の小型化が困難になる。また、フォーカスストローク量が増大すると、高速なフォーカシングも困難になる。一方、条件式(3)においてその上限を超えると、第2レンズ群の屈折力が強くなりすぎて、フォーカシング時の収差変動が増大し、結像性能の劣化を招くので、好ましくない。
【0053】
なお、上記条件式(3)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(3a) 0.30≦|fv/f2|≦0.90
この条件式(3a)で規定する範囲を満足することにより、高速なフォーカシングや光学系の小型化により有利になるとともに、結像性能を向上させることができる。
【0054】
また、上記条件式(3a)は、次に示す範囲を満足すると、高速なフォーカシングや光学系の小型化にさらに有利になるとともに、結像性能をより向上させることができる。
(3b) 0.40≦|fv/f2|≦0.80
【0055】
さらに、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズでは、光学系の全長をL、第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(4) 1.00≦|L/f2|≦2.50
【0056】
条件式(4)は、光学系全長と第2レンズ群の焦点距離との比を規定した式である。この条件式(4)を満足することにより、フォーカス群である第2レンズ群のフォーカスストローク量を抑えることで、光学系全長の短縮化を図ることができる。
【0057】
条件式(4)においてその下限を下回ると、フォーカス群である第2レンズ群の屈折力が弱くなりすぎて、フォーカスストローク量が増大することで、光学系全長が延び、光学系の小型化が困難になる。また、フォーカスストローク量が増大すると、高速なフォーカシングも困難になる。また、条件式(4)においてその上限を超えても、光学系全長が延び、光学系の小型化が困難になるため、好ましくない。
【0058】
なお、上記条件式(4)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(4a) 1.25≦|L/f2|≦2.25
この条件式(4a)で規定する範囲を満足することにより、高速なフォーカシングや光学系の小型化により有利になる。
【0059】
また、上記条件式(4a)は、次に示す範囲を満足すると、高速なフォーカシングや光学系の小型化にさらに有利になる。
(4b) 1.50≦|L/f2|≦2.00
【0060】
さらに、本発明は、フォーカス群の小型、軽量化を図り、高速で、良好なフォーカシングを行うことができるインナーフォーカス式レンズを提供することを目的としている。そこで、かかる目的を達成するため、上記特徴に加え、以下に示す特徴を備えている。
【0061】
高速で、良好なフォーカシングを行うためには、フォーカス群の小型、軽量化を図ることが重要な要素である。そこで、本発明では、フォーカス群である第2レンズ群を単体のレンズ要素で構成する。第2レンズ群を単体のレンズ要素で構成すれば、フォーカス群である第2レンズ群の小型、軽量化が促され、第2レンズ群を高速に駆動させて良好なフォーカシングを行うことが容易になる。また、第2レンズ群が小型、軽量化されれば、第2レンズ群の駆動をつかさどるフォーカスアクチュエータの負荷も減少し、省電力化に資することになる。加えて、光学系全系の小型、軽量化を促進することもできる。なお、単体のレンズ要素の意味は前述のとおりである。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制することで、小径で、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができる。特に、条件式(1),(2)を満足することによって、その効果が顕著になる。さらに、防振群の小型、軽量化を図ることで、高速で、良好な防振補正を行うことができる。
【0063】
さらに、本発明は、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制して、全長が短く、高い結像性能を備えたインナーフォーカス式レンズを提供することができる。特に、条件式(3),(4)を満足することによって、その効果が顕著になる。加えて、フォーカス群の小型、軽量化を図り、高速で、良好なフォーカシングを行うことができる。
【0064】
以下、本発明にかかるインナーフォーカス式レンズの実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0065】
図1は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図1は、無限遠物体合焦状態を示している。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
11と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
12と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
13と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
13と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0066】
第1レンズ群G
11は、物体側から順に、正レンズL
111と、負レンズL
112と、負レンズL
113と、正レンズL
114と、所定の口径を規定する開口絞りSTPと、正レンズL
115と、が配置されて構成される。負レンズL
113と正レンズL
114とは、接合されていて、全体で負の屈折力を有している。正レンズL
115の結像面IMG側の面には、非球面が形成されている。
【0067】
第2レンズ群G
12は、負レンズL
121により構成されている。負レンズL
121の両面には、非球面が形成されている。
【0068】
第3レンズ群G
13は、物体側から順に、負レンズL
131と、正レンズL
132と、が配置されて構成される。負レンズL
131の両面には、非球面が形成されている。また、正レンズL
132の物体側面にも、非球面が形成されている。
【0069】
このインナーフォーカス式レンズでは、第2レンズ群G
12を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
11中の正レンズL
115に防振群VC
1として
の機能を担わせ、防振群VC
1を光軸に対して略垂直な方向へ移動させることによって、
防振補正を行う。
【0070】
以下、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0071】
(レンズデータ)
r
1=26.415
d
1=3.341 nd
1=1.9108 νd
1=35.25
r
2=37.977
d
2=0.200
r
3=37.743
d
3=0.700 nd
2=1.5168 νd
2=64.20
r
4=14.160
d
4=7.458
r
5=-21.011
d
5=0.700 nd
3=1.6990 νd
3=30.05
r
6=23.449
d
6=4.834 nd
4=1.8810 νd
4=40.14
r
7=-37.111
d
7=1.000
r
8=∞(開口絞り)
d
8=1.000
r
9=30.629
d
9=5.000 nd
5=1.7725 νd
5=49.50
r
10=-50.145(非球面)
d
10=D(10)(可変)
r
11=62.271(非球面)
d
11=0.700 nd
6=1.4971 νd
6=81.56
r
12=16.048(非球面)
d
12=D(12)(可変)
r
13=-32.917(非球面)
d
13=0.700 nd
7=1.8211 νd
7=24.06
r
14=-4687.307(非球面)
d
14=0.221
r
15=446.663(非球面)
d
15=5.527 nd
8=1.7292 νd
8=54.67
r
16=-17.858
d
16=28.689
r
17=∞
d
17=2.500 nd
9=1.5168 νd
9=64.20
r
18=∞
d
18=1.000
r
19=∞(結像面)
【0072】
円錐係数(k)および非球面係数(A
4,A
6,A
8,A
10)
(第10面)
k=0,
A
4=-1.9186×10
-6,A
6=8.5575×10
-8,
A
8=-5.1073×10
-10,A
10=2.5068×10
-12
(第11面)
k=0,
A
4=1.7238×10
-5,A
6=3.1108×10
-8,
A
8=-2.5124×10
-10,A
10=1.9203×10
-12
(第12面)
k=0,
A
4=-5.5209×10
-5,A
6=1.3563×10
-7,
A
8=2.8531×10
-10,A
10=-1.6009×10
-12
(第13面)
k=0,
A
4=-5.7007×10
-5,A
6=7.4803×10
-8,
A
8=2.5049×10
-11,A
10=1.8881×10
-12
(第14面)
k=0,
A
4=-5.0651×10
-5,A
6=-2.0826×10
-8,
A
8=-7.7284×10
-10,A
10=3.8132×10
-12
(第15面)
k=0,
A
4=-3.3266×10
-5,A
6=5.2296×10
-8,
A
8=8.1441×10
-11,A
10=4.4426×10
-13
【0073】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠 0.025倍 最至近距離(0.125倍)
D(10) 1.499 2.198 5.053
D(12) 9.930 9.232 6.377
光学系全系の焦点距離 34.87 38.84 34.52
FNO(Fナンバー) 1.85 1.88 1.97
2ω(画角) 64.52 63.72 60.78
【0074】
(条件式(1)に関する数値)
fv(防振群VC
1(正レンズL
115)の焦点距離)=26.19
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=34.87
fv/f=0.75
【0075】
(条件式(2)に関する数値)
f1(第1レンズ群G
11の焦点距離)=28.85
fv/f1=0.91
【0076】
(条件式(3)に関する数値)
f2(第2レンズ群G
12の焦点距離)=-43.58
|fv/f2|=0.60
【0077】
(条件式(4)に関する数値)
L(光学系の全長)=75.00
|L/f2|=1.72
【0078】
図2は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0079】
図3は、実施例1にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振群VC
1を光軸に対して略垂直な方向に0.122mm移動させた防振補
正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振群VC
1が光軸と略垂直な方向に0.122mmだけ平行移動すると
きの像偏心量に等しい。
【0080】
図3(a)、
図3(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【0081】
各横収差図から明らかなように、軸上像点における横収差の対称性は良好であることがわかる。また、+70%像点における横収差と−70%像点における横収差とを基本状態で比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しいことから、偏心コマ収差、偏心非点収差が小さいことがわかる。このことは、防振補正状態であっても充分な結像性能が得られていることを意味している。
【実施例2】
【0082】
図4は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図4は、無限遠物体合焦状態を示している。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
21と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
22と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
23と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
23と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0083】
第1レンズ群G
21は、物体側から順に、正レンズL
211と、負レンズL
212と、正レンズL
213と、正レンズL
214と、所定の口径を規定する開口絞りSTPと、が配置されて構成される。負レンズL
212と正レンズL
213とは、接合されていて、全体で負の屈折力を有している。正レンズL
214の両面には、非球面が形成されている。
【0084】
第2レンズ群G
22は、負レンズL
221により構成されている。負レンズL
221の両面には、非球面が形成されている。
【0085】
第3レンズ群G
23は、物体側から順に、負レンズL
231と、正レンズL
232と、が配置されて構成される。負レンズL
231の両面には、非球面が形成されている。
【0086】
このインナーフォーカス式レンズでは、第2レンズ群G
22を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
21中の正レンズL
214に防振群VC
2として
の機能を担わせ、防振群VC
2を光軸に対して略垂直な方向へ移動させることによって、
防振補正を行う。
【0087】
以下、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0088】
(レンズデータ)
r
1=316.241
d
1=1.672 nd
1=2.0027 νd
1=19.32
r
2=-121.917
d
2=4.522
r
3=-39.549
d
3=0.700 nd
2=1.7847 νd
2=25.72
r
4=22.224
d
4=2.581 nd
3=2.0010 νd
3=29.13
r
5=52.722
d
5=1.407
r
6=29.884(非球面)
d
6=4.436 nd
4=1.7290 νd
4=54.04
r
7=-37.879(非球面)
d
7=1.500
r
8=∞(開口絞り)
d
8=D(8)(可変)
r
9=162.187(非球面)
d
9=0.700 nd
5=1.4971 νd
5=81.56
r
10=22.932(非球面)
d
10=D(10)(可変)
r
11=-35.703(非球面)
d
11=0.700 nd
6=1.6889 νd
6=31.16
r
12=52.061(非球面)
d
12=1.527
r
13=106.967
d
13=2.994 nd
7=1.8830 νd
7=40.81
r
14=-28.609
d
14=47.890
r
15=∞
d
15=2.500 nd
8=1.5168 νd
8=64.20
r
16=∞
d
16=1.000
r
17=∞(結像面)
【0089】
円錐係数(k)および非球面係数(A
4,A
6,A
8,A
10)
(第6面)
k=0,
A
4=-9.9385×10
-6,A
6=-7.4234×10
-9,
A
8=-2.9553×10
-11,A
10=3.0592×10
-13
(第7面)
k=0,
A
4=1.0695×10
-5,A
6=-3.1798×10
-8,
A
8=1.5063×10
-10,A
10=-1.9592×10
-13
(第9面)
k=0,
A
4=-1.1917×10
-5,A
6=2.6770×10
-8,
A
8=1.1193×10
-10,A
10=-1.6821×10
-12
(第10面)
k=0,
A
4=-8.8690×10
-6,A
6=4.0382×10
-8,
A
8=7.5824×10
-11,A
10=-2.4987×10
-12
(第11面)
k=0,
A
4=-3.2171×10
-6,A
6=-5.7555×10
-8,
A
8=8.8922×10
-10,A
10=-3.9737×10
-12
(第12面)
k=0,
A
4=-9.3553×10
-6,A
6=-2.4291×10
-8,
A
8=5.6944×10
-10,A
10=-2.6001×10
-12
【0090】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠 0.025倍 最至近距離(0.200倍)
D(8) 1.006 1.715 6.916
D(10) 9.865 9.156 3.955
光学系全系の焦点距離 61.79 61.21 56.74
FNO(Fナンバー) 2.88 2.92 3.16
2ω(画角) 38.58 38.03 34.57
【0091】
(条件式(1)に関する数値)
fv(防振群VC
2(正レンズL
214)の焦点距離)=23.46
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=61.79
fv/f=0.38
【0092】
(条件式(2)に関する数値)
f1(第1レンズ群G
21の焦点距離)=38.70
fv/f1=0.61
【0093】
(条件式(3)に関する数値)
f2(第2レンズ群G
22の焦点距離)=-53.66
|fv/f2|=0.44
【0094】
(条件式(4)に関する数値)
L(光学系の全長)=85.00
|L/f2|=1.58
【0095】
図5は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0096】
図6は、実施例2にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振群VC
2を光軸に対して略垂直な方向に0.124mm移動させた防振補
正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振群VC
2が光軸と略垂直な方向に0.124mmだけ平行移動すると
きの像偏心量に等しい。
【0097】
図6(a)、
図6(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【0098】
各横収差図から明らかなように、軸上像点における横収差の対称性は良好であることがわかる。また、+70%像点における横収差と−70%像点における横収差とを基本状態で比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しいことから、偏心コマ収差、偏心非点収差が小さいことがわかる。このことは、防振補正状態であっても充分な結像性能が得られていることを意味している。
【実施例3】
【0099】
図7は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図7は、無限遠物体合焦状態を示している。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
31と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
32と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
33と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
33と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0100】
第1レンズ群G
31は、物体側から順に、正レンズL
311と、負レンズL
312と、負レンズL
313と、正レンズL
314と、所定の口径を規定する開口絞りSTPと、正レンズL
315と、が配置されて構成される。負レンズL
313と正レンズL
314とは、接合されていて、全体で正の屈折力を有している。正レンズL
315の両面には、非球面が形成されている。
【0101】
第2レンズ群G
32は、負レンズL
321により構成されている。負レンズL
321の両面には、非球面が形成されている。
【0102】
第3レンズ群G
33は、物体側から順に、負レンズL
331と、正レンズL
332と、が配置されて構成される。負レンズL
331の両面には、非球面が形成されている。
【0103】
このインナーフォーカス式レンズでは、第2レンズ群G
32を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
31中の正レンズL
315に防振群VC
3として
の機能を担わせ、防振群VC
3を光軸に対して略垂直な方向へ移動させることによって、
防振補正を行う。
【0104】
以下、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0105】
(レンズデータ)
r
1=93.895
d
1=2.325 nd
1=1.5168 νd
1=64.20
r
2=-249.853
d
2=0.200
r
3=169.864
d
3=0.700 nd
2=1.4970 νd
2=81.61
r
4=14.000
d
4=9.500
r
5=-15.454
d
5=1.000 nd
3=1.5927 νd
3=35.45
r
6=24.560
d
6=3.979 nd
4=1.8830 νd
4=40.81
r
7=-30.796
d
7=3.459
r
8=∞(開口絞り)
d
8=1.000
r
9=35.686(非球面)
d
9=5.000 nd
5=1.6188 νd
5=63.86
r
10=-20.381(非球面)
d
10=D(10)(可変)
r
11=92.102(非球面)
d
11=0.700 nd
6=1.4875 νd
6=70.44
r
12=15.781(非球面)
d
12=D(12)(可変)
r
13=-8150.183(非球面)
d
13=0.700 nd
7=1.8211 νd
7=24.06
r
14=32.878(非球面)
d
14=0.700
r
15=78.101
d
15=6.127 nd
8=1.5935 νd
8=67.00
r
16=-16.577
d
16=26.828
r
17=∞
d
17=2.500 nd
9=1.5168 νd
9=64.20
r
18=∞
d
18=1.000
r
19=∞(結像面)
【0106】
円錐係数(k)および非球面係数(A
4,A
6,A
8,A
10)
(第9面)
k=0,
A
4=-8.3533×10
-5,A
6=-1.1377×10
-6,
A
8=7.8572×10
-9,A
10=-3.1835×10
-10
(第10面)
k=0,
A
4=-2.2905×10
-5,A
6=-8.7169×10
-7,
A
8=-7.3743×10
-10,A
10=-1.1041×10
-10
(第11面)
k=0,
A
4=-1.7163×10
-5,A
6=-2.4800×10
-7,
A
8=-6.3822×10
-9,A
10=8.6817×10
-11
(第12面)
k=0,
A
4=5.9627×10
-6,A
6=-7.0875×10
-7,
A
8=3.0429×10
-9,A
10=4.4673×10
-12
(第13面)
k=0,
A
4=-1.1178×10
-4,A
6=2.1436×10
-7,
A
8=-1.0170×10
-9,A
10=1.1491×10
-11
(第14面)
k=0,
A
4=-1.1149×10
-4,A
6=3.5399×10
-7,
A
8=-1.0646×10
-10,A
10=2.8411×10
-13
【0107】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠 0.025倍 最至近距離(0.200倍)
D(10) 1.519 1.937 4.994
D(12) 7.763 7.345 4.288
光学系全系の焦点距離 24.72 24.68 24.19
FNO(Fナンバー) 2.88 2.91 3.07
2ω(画角) 85.42 84.81 80.71
【0108】
(条件式(1)に関する数値)
fv(防振群VC
3(正レンズL
315)の焦点距離)=21.62
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=24.72
fv/f=0.87
【0109】
(条件式(2)に関する数値)
f1(第1レンズ群G
31の焦点距離)=19.15
fv/f1=1.13
【0110】
(条件式(3)に関する数値)
f2(第2レンズ群G
32の焦点距離)=-39.05
|fv/f2|=0.55
【0111】
(条件式(4)に関する数値)
L(光学系の全長)=75.00
|L/f2|=1.92
【0112】
図8は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0113】
図9は、実施例3にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振群VC
3を光軸に対して略垂直な方向に0.076mm移動させた防振補
正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振群VC
3が光軸と略垂直な方向に0.076mmだけ平行移動すると
きの像偏心量に等しい。
【0114】
図9(a)、
図9(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【0115】
各横収差図から明らかなように、軸上像点における横収差の対称性は良好であることがわかる。また、+70%像点における横収差と−70%像点における横収差とを基本状態で比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しいことから、偏心コマ収差、偏心非点収差が小さいことがわかる。このことは、防振補正状態であっても充分な結像性能が得られていることを意味している。
【実施例4】
【0116】
図10は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図10は、無限遠物体合焦状態を示している。このインナーフォーカス式レンズは、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G
41と、負の屈折力を有する第2レンズ群G
42と、正の屈折力を有する第3レンズ群G
43と、が配置されて構成される。第3レンズ群G
43と結像面IMGとの間には、カバーガラスCGが配置されている。
【0117】
第1レンズ群G
41は、物体側から順に、負レンズL
411と、正レンズL
412と、所定の口径を規定する開口絞りSTPと、負レンズL
413と、正レンズL
414と、正レンズL
415と、が配置されて構成される。負レンズL
411と正レンズL
412とは、接合されている。正レンズL
414の両面には、非球面が形成されている。
【0118】
第2レンズ群G
42は、負レンズL
421により構成されている。負レンズL
421の両面には、非球面が形成されている。
【0119】
第3レンズ群G
43は、物体側から順に、負レンズL
431と、正レンズL
432と、が配置されて構成される。負レンズL
431の両面には、非球面が形成されている。
【0120】
このインナーフォーカス式レンズでは、第2レンズ群G
42を光軸に沿って物体側から結像面IMG側へ移動させることにより、無限遠合焦状態から最至近距離合焦状態までのフォーカシングを行う。また、第1レンズ群G
41中の正レンズL
414に防振群VC
4として
の機能を担わせ、防振群VC
4を光軸に対して略垂直な方向へ移動させることによって、
防振補正を行う。
【0121】
以下、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズに関する各種数値データを示す。
【0122】
(レンズデータ)
r
1=-100.000
d
1=0.700 nd
1=1.5673 νd
1=42.84
r
2=25.492
d
2=3.858 nd
2=1.8830 νd
2=40.81
r
3=-139.412
d
3=4.760
r
4=∞(開口絞り)
d
4=2.917
r
5=-31.369
d
5=0.700 nd
3=1.6727 νd
3=32.17
r
6=43.808
d
6=1.500
r
7=33.002(非球面)
d
7=4.603 nd
4=1.6968 νd
4=55.46
r
8=-39.090(非球面)
d
8=1.500
r
9=-166.625
d
9=1.822 nd
5=1.7292 νd
5=54.67
r
10=-51.109
d
10=D(10)(可変)
r
11=83.336(非球面)
d
11=0.700 nd
6=1.4971 νd
6=81.56
r
12=23.322(非球面)
d
12=D(12)(可変)
r
13=-33.688(非球面)
d
13=0.700 nd
7=1.6889 νd
7=31.16
r
14=71.509(非球面)
d
14=0.887
r
15=148.412
d
15=4.028 nd
8=1.8830 νd
8=40.81
r
16=-29.055
d
16=38.337
r
17=∞
d
17=2.500 nd
9=1.5168 νd
9=64.20
r
18=∞
d
18=1.000
r
19=∞(結像面)
【0123】
円錐係数(k)および非球面係数(A
4,A
6,A
8,A
10)
(第7面)
k=0,
A
4=-1.4480×10
-5,A
6=2.1565×10
-8,
A
8=-1.7118×10
-10,A
10=1.2452×10
-12
(第8面)
k=0,
A
4=3.7120×10
-6,A
6=1.0197×10
-8,
A
8=-2.0593×10
-10,A
10=1.4845×10
-12
(第11面)
k=0,
A
4=1.8410×10
-5,A
6=-4.3510×10
-7,
A
8=3.2620×10
-9,A
10=-1.0210×10
-11
(第12面)
k=0,
A
4=2.3591×10
-5,A
6=-4.5703×10
-7,
A
8=3.3962×10
-9,A
10=-1.1001×10
-11
(第13面)
k=0,
A
4=-6.7601×10
-6,A
6=1.5466×10
-8,
A
8=-5.4056×10
-11,A
10=2.7908×10
-14
(第14面)
k=0,
A
4=-1.0197×10
-5,A
6=2.7232×10
-8,
A
8=-7.8965×10
-11,A
10=1.2032×10
-13
【0124】
(各合焦状態の数値データ)
無限遠 0.025倍 最至近距離(0.200倍)
D(10) 1.505 2.403 9.238
D(12) 12.983 12.085 5.250
光学系全系の焦点距離 59.13 58.56 54.00
FNO(Fナンバー) 2.88 2.91 3.04
2ω(画角) 40.18 39.75 36.95
【0125】
(条件式(1)に関する数値)
fv(防振群VC
4(正レンズL
414)の焦点距離)=26.26
f(無限遠物体合焦状態における光学系全系の焦点距離)=59.13
fv/f=0.44
【0126】
(条件式(2)に関する数値)
f1(第1レンズ群G
41の焦点距離)=40.21
fv/f1=0.65
【0127】
(条件式(3)に関する数値)
f2(第2レンズ群G
42の焦点距離)=-65.21
|fv/f2|=0.40
【0128】
(条件式(4)に関する数値)
L(光学系の全長)=85.00
|L/f2|=1.30
【0129】
図11は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。なお、非点収差図において、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、d線(λ=587.56nm)に相当する波長の特性を示している。
【0130】
図12は、実施例4にかかるインナーフォーカス式レンズの無限遠物体合焦状態における横収差図である。これらの図において、(a)は防振補正を行っていない基本状態を示し、(b)は防振群VC
4を光軸に対して略垂直な方向に0.145mm移動させた防振
補正時の状態を示している。撮影距離が∞において、当該光学系が0.3°だけ傾いた場合の像偏心量は、防振群VC
4が光軸と略垂直な方向に0.145mmだけ平行移動する
ときの像偏心量に等しい。
【0131】
図12(a)、
図12(b)において、それぞれ、上段は最大像高の70%の像点における横収差、中段は軸上像点における横収差、下段は最大像高の−70%の像点における横収差を示している。なお、各横収差図において、横軸は瞳面上での主光線からの距離を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はc線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。
【0132】
各横収差図から明らかなように、軸上像点における横収差の対称性は良好であることがわかる。また、+70%像点における横収差と−70%像点における横収差とを基本状態で比較すると、いずれも湾曲度が小さく、収差曲線の傾斜がほぼ等しいことから、偏心コマ収差、偏心非点収差が小さいことがわかる。このことは、防振補正状態であっても充分な結像性能が得られていることを意味している。
【0133】
なお、上記各実施例中の数値データにおいて、r
1,r
2,・・・・は各レンズ、絞り面等の曲率半径、d
1,d
2,・・・・は各レンズ、絞り等の肉厚またはそれらの面間隔、nd
1,nd
2,・・・・は各レンズ等のd線(λ=587.56nm)に対する屈折率、νd
1,νd
2,・・・・は各レンズ等のd線(λ=587.56nm)に対するアッベ数を示している。そして、長さの単位はすべて「mm」、角度の単位はすべて「°」である。
【0134】
また、上記各非球面形状は、非球面の深さをZ、曲率をc(1/r)、光軸からの高さをh、円錐係数をk、4次,6次,8次,10次の非球面係数をそれぞれA
4,A
6,A
8,A
10とし、光の進行方向を正とするとき、以下に示す式により表される。
【0135】
【数1】
【0136】
以上説明したように、上記各実施例のインナーフォーカス式レンズは、防振補正時における防振群の光軸に対して略垂直方向への移動量を抑制することができるため、光学系口径の拡大を抑制することができる。また、結像性能を向上させることができる。さらに、防振群の小型、軽量化を図ることで、高速で、良好な防振補正を行うことができる。
【0137】
さらに、上記各実施例のインナーフォーカス式レンズは、フォーカス群のフォーカスストローク量を抑えるとともに、フォーカシング時の収差変動を抑制することで、全長を短くして、結像性能を向上させることができる。加えて、フォーカス群の小型、軽量化を図ることで、動画撮影に欠かせない高速なオートフォーカス処理を良好に行うことが可能になる。特に、上記各条件式を満足することで、動画撮影に好適な、小型で高い結像性能を備えたインナーフォーカス方式レンズを実現することができる。