特許第6378093号(P6378093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378093
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】シートを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 29/06 20060101AFI20180813BHJP
   D21H 27/32 20060101ALI20180813BHJP
   D21H 21/14 20060101ALI20180813BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20180813BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B32B29/06
   D21H27/32 A
   D21H21/14 A
   H01B5/14 B
   H01B13/00 503A
【請求項の数】28
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2014-551565(P2014-551565)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-511182(P2015-511182A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】EP2012076829
(87)【国際公開番号】WO2013104520
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年11月5日
(31)【優先権主張番号】1250366
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1256336
(32)【優先日】2012年7月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511087109
【氏名又は名称】アルジョ ウイグギンス フイネ パペルス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ガエル デプレス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン‐マリエ バウ
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−521023(JP,A)
【文献】 特表2011−520241(JP,A)
【文献】 特表2009−520251(JP,A)
【文献】 特表2010−512010(JP,A)
【文献】 特表2003−533554(JP,A)
【文献】 特表2006−516819(JP,A)
【文献】 特開2004−265827(JP,A)
【文献】 特開平02−205311(JP,A)
【文献】 特表2005−507452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 29/06
D21H 21/14
D21H 27/32
H01B 5/14
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの導電層を含むシートを製造する方法であって、このシートが、少なくとも1つの面が前述の導電層を含む層又は重なり合った複数の層で少なくとも部分的に覆われた、0.9 cm3/g以上の嵩を有する紙製の基材(24)を含み、該方法が:
a)少なくともプラスチックフィルム(14)、接着防止コーティング(16)、及び基層(18)を含むか、又はこれらによって構成されており、該プラスチックフィルムの面と該基層との間に該接着防止コーティングが挿入された多層構造(12)を調製又は提供する工程;
b)該基材の面及び/又は該プラスチックフィルムの反対側に位置する該多層構造の面に接着剤を適用し、該基材の前述の面を該多層構造の前述の面に当接させ、該多層構造と該基材とを直交積層させる工程;及び
c)該基層から該プラスチックフィルムと該接着防止コーティングとを剥がす工程を含み、
該基層は、この層を含まない該シートの他の部分に比べて平滑度の高い該シートの領域を形成し、
該基層の平滑度は、900sを超えるベック平滑度を有することによって規定され、かつ
該基層は、
d1)該基層上に導電性フィルムを設けること;又は
d2)該基層に電気的特性を有する少なくとも1つのインクで印刷を行い、該基層は、バインダーを含む印刷可能層であり、該バインダーの含有量は、この基層の全乾物重量を基準として乾燥重量で15%より多く、そして場合により該印刷済シートに熱焼き鈍し処理を行い、導電性インクの層を形成することからなる追加の工程により、導電層で覆われていることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記印刷可能な基層のバインダーが、主バインダーと、場合により副バインダーとを含み、該主バインダーはスチレンブタジエン共重合体(XSB)及び/又はスチレンアクリレート共重合体(SA)などの合成ラテックスであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記副バインダーが、エチレン-アクリル酸(EAA)共重合体をベースとする接着促進剤であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記印刷可能な基層が、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、又はオフセット印刷で印刷が行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記導電性インクが、金属のナノ粒子又はミクロ粒子、カーボンのナノ粒子又はミクロ粒子、及び/又は少なくとも1つの導電性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記印刷可能な基層が、例えば平均直径が約2μm以下である顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記印刷可能な基層が、同一の又は異なる組成を有する少なくとも2つの下層から形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記シートが、金属フィルム、及び/又はポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、酢酸ビニルエチレン共重合体(EVAC)、セルロースナノファイバ、又は金属を含むバリア層を有し、該バリア層が前記基材と前記基層との間に位置することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記基材(24)が透写紙であり、前記印刷可能な基層が、透明度、及び、該基層の全乾物重量を基準として乾燥重量で30%よりも多いバインダー含有量を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
工程d2)よりも前に、前記シートの熱前処理の工程を実行して該シートに含まれる水分を少なくとも一部除去することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記焼き鈍しは炉、ホットプレート、フォトニックキュアリングツール、又は赤外線乾燥器で行われることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
工程d2)が少なくとも一回繰り返され、工程d2)に続く各工程d2)は、前記シートの初期湿度レベルを実質的に回復させるように意図した、該シートを休ませる中間工程で、他方の工程と隔てられることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記基層のプラズマ処理を行うことからなる工程が、工程d2)よりも前に行われることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
工程b)において使用した前記接着剤(26)が、溶媒を含む又は含まない単一成分又は二成分ポリウレタン接着剤であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記基材が、前記シートの熱拡散率を増加させる、及び/又は該シートの湿潤強度を増加させる、及び/又は該シートを難燃性にするように意図された充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
(i)工程a)において調製された前記多層構造において、前記基層が前記プラスチックフィルムの前述の面の表面積よりも小さい表面積に広がり;及び/又は
(ii)該多層構造と前記基材とが、工程b)において、前記シートの前述の面の表面積よりも小さい表面積で直交積層される;及び/又は
(iii)工程c)において剥がされた該プラスチックフィルムの長さ及び幅の少なくとも一方が、該シートの前述の面の対応する寸法よりも小さい;及び/又は
(iv)工程c)で得られた該シートが裁断され、そして、シートの少なくとも1つの面が、該面の他の部分よりも平滑度の高い領域を少なくとも1つ含み、この領域が、平滑な外層であって、該基層により形成され、かつ、該シートの基材に、該面の表面積よりも小さい表面積で広がる、前記平滑な外層を含むように、該シートから少なくとも1つの切片が別のシートの基材に接着されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
工程a)と工程b)との間に、前記多層構造(12)を裁断する工程を含むことを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
工程b)において、前記多層構造(12)の少なくとも1つの切片(104)が前記基材に接着され、そして、工程c)において、前記プラスチックフィルム(14)と前記接着防止コーティング(16)とが前記接着された切片から剥がされ、該切片が例えば数メートルの長さを有するストリップ(104)の形状であることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
工程b)において、前記多層構造(12)の前記基材(24)上への設置が、前述の領域に圧力を加えるように意図されたスタンププレスにより、又は工程b)において使用する感熱タイプの接着剤を柔らかくすることのできるホットフォイルスタンププレスにより行われることを特徴とする、請求項16〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
工程a)において調製された前記多層構造(12)のプラスチックフィルム(14)の長さ及び幅の少なくとも一方が、前記シートの前述の面の対応する寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項16〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記シート(10)が、抄紙機、例えばこの抄紙機の最終乾燥工程部分において、オンラインで製造される、又は紙裁断機もしくは紙仕上げ機において、オフラインで製造されることを特徴とする、請求項16〜20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
工程c)に先駆けて、前記プラスチックフィルムの反対側に位置する前記多層構造の面に導電性インクで印刷を行う、又はこの面に導電性コーティングを塗工する工程を含むことを特徴とする、請求項16〜21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
工程a)の間、前記プラスチックフィルムに塗工された該接着防止コーティングが、導電性インクで印刷が行われる、又は導電性コーティングで覆われることを特徴とする、請求項16〜22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前述の(iv)の場合、裁断される前記シート又は前記切片は、前記別のシートの基材に接着される前に、導電性インクで印刷が行われる、又は導電性コーティングで覆われることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項25】
導電性製品を製造する方法であって、該方法が、特に基層における印刷を行う工程、及び/又はフォトリソグラフィー又はレーザーアブレーションを介して導電層の所定の領域を剥がす工程を実施することによって、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法で得た導電性シートで、抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、メンブレンキーボード、及びセンサーの少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせを製作することを含む、前記方法。
【請求項26】
導電性製品であって、該製品が請求項1〜24のいずれか1項記載の方法で得た導電性シートを含み、該導電性シートは、
0.9 cm3/g以上の嵩を有する紙製の基材、
平滑な基層、及び
少なくとも1つの導電層
を含み、
該基層はバインダーを含み、該バインダーの含有量は、この基層の全乾物重量を基準として乾燥重量で15%より多く、
該基層は、この層を含まない該シートの他の部分と比較して、該シートの、より高い平滑度の領域を構成し、該基層の平滑度は、900sを超えるベック平滑度を有することによって規定され、
該導電性シートが、抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、メンブレンキーボード、及びセンサーの少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせを有する製品に変換されることを特徴とする、前記導電性製品。
【請求項27】
基層における印刷を行う工程、及び/又はフォトリソグラフィー又はレーザーアブレーションを介して導電層の所定の領域を剥がす工程を実施することによって、前記導電性シートが、抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、メンブレンキーボード、及びセンサーの少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせを有する製品に変換されることを特徴とする、請求項26記載の導電性製品。
【請求項28】
前記導電層の表面抵抗率が0.3Ω/sqよりも低く、好ましくは0.15Ω/sqよりも低く、例えば0.05Ω/sqに至るまでであることを特徴とする、請求項26又は27記載の導電性製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性シートを製造するための方法に関し、該シートは基材、特に紙製の基材、及び導電層を含む。さらに、本発明は、シートの一方の面に該面の残余の部分よりも平滑性の高い領域が含まれるシートを製造するための方法に関し、この領域は平滑な外層を有し、該外層は、前述の面の表面よりも小さい表面上に広がり、導電層である又は導電層によって覆われるように意図される。これらのシートは、排他的ではないが、例えばプリンテッドエレクトロニクスのようなエレクトロニクスの用途に特に適している。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム、印刷可能層、及び該プラスチックフィルムと該印刷可能層との間に挿入された接着防止層を有する多層構造を調製し、該多層構造と基材とを直交積層させ、該印刷可能層から該プラスチックフィルムを剥がし、その後、この印刷可能層に電気特性を有するインクで印刷を行うことからなる工程を含む方法を用いてプリンテッドエレクトロニクスのためのシートを製造することが、これまでに提案されている。
【0003】
しかし、このシートを製造した後も、導電性粒子を含むインクで印刷を行ったにも関わらず、これらの粒子が相互に接続しておらず連続した導電層が形成されないため、該シートは必ずしも導電性を有するとは限らない。
【0004】
プリンテッドエレクトロニクスは、例えばRFID型の電子チップのような電子部品を製造する目的のために、プラスチックフィルムなど、柔軟で可撓性を有する支持体の上に導電層を設けることにより形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プリンテッドエレクトロニクスにおいては、プラスチックフィルム(例えばPENやPETから作られたもの)の表面粗さが低いことが特に重要であるが、このようなプラスチックフィルムは熱的に特に安定しておらず、かつ比較的高価である(このようなフィルムの価格は4ユーロ/m2以上である)。
【0006】
本発明の目的は、特に前記問題点及び従来技術のニーズに対する簡単、効果的かつ経済的な解決方法を提供することであり、シート、特に紙ベースであり、導電層を含むシートを製造するための方法を提供することである。
【0007】
プラスチックフィルムとは異なり、紙及び紙ベースのシートは、より経済的であり、さらにはリサイクル可能であり、熱的にもより安定しているという利点がある。さらに、プリンテッドエレクトロニクスにシート又は紙を用いることにより、プラスチックフィルムでは得ることがより困難な非常に大きな印刷面を実現することができる。さらに、シート又は紙は、その製造の直後に、エレクトロニクスでの使用のための印刷を行うことが可能である。すなわち、連続的な処理のために、紙を製造する機械の直後に印刷機を設置することができる(ロールツーロール工程)。加えて、光沢及び白さの特性を合わせて有することはプラスチックフィルムでは困難であり、さらに、水媒体のコーティング組成物で覆うことは親水性を有する紙と比較して一層難しいため、白く光沢のあるプラスチックフィルムを得るよりも、白く光沢のある紙を得るほうが容易である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの導電層を有するシートを製造するための方法を提案する。このシートは、少なくとも1つの面が前述の導電層の層又は重なり合った複数の層で少なくとも部分的に覆われた基材、特に紙製の基材を含む。該方法は:
a)少なくともプラスチックフィルム、接着防止コーティング、及び基層を有し、又はこれらによって構成されており、該プラスチックフィルムの面と該基層との間に該接着防止コーティングが挿入された多層構造を調製又は提供し;
b)該基材の面及び/又は該プラスチックフィルムの反対側に位置する該多層構造の面を接着し、該基材の前述の面を該多層構造の前述の面に当接させ、該多層構造と該基材とを直交積層させ;及び、
c)該基層から該プラスチックフィルムと該接着防止コーティングとを剥がす工程を含み、該基層が導電性材料の層である、又は:
d1)該基層上に導電性フィルムを設けること;又は、
d2)該基層に電気的特性を有する少なくとも1つのインクで印刷を行い、該基層は、この基層の全乾物重量に対して乾燥重量での比が15%大きいバインダーを基にした材料を含む印刷可能層であり、そして可能であれば該印刷済シートに熱焼き鈍し処理を行い、導電性インクの層を形成すること、からなる追加の工程により、導電層で覆われていることを特徴とする。
【0009】
該基層は、例えば導波管を形成する光学層及び/又は光電子層であってもよい。
【0010】
本特許出願では、該シートを調製するためのシートと基層とは、薄い(厚さが1mmを超えず、例えば0.5mmである)要素であり、より好ましくは柔軟、及び/又は可撓性を有する要素を意味する。
【0011】
本発明の方法は、所望の特性を有するシートを調製するために、シートの基層の特徴に応じて少なくとも3つの異なる代替実施態様を定義する。
【0012】
該基層は導電性材料を含んでもよく、又は、導電性材料中に該基層を形成してもよく、そのため、該基層自体が導電層を規定してもよい。該基層は例えば金属層で形成されてもよい。
【0013】
また、該基層は導電層で覆われるように意図されてもよく、例えば導電フィルム又は導電インクの層の導電層で覆われてもよい。この後者の場合、該基層は、電気的特性を有するインクで印刷が行われ、その後場合により焼き鈍し工程が行われる印刷可能層であり、これにより連続する導電インクの層が該基層上に形成される。電気的特性を有するインクとはナノ粒子及び/又は分子などの導電素子を含むインクであり、これらの素子が該インクで印刷された(及び、場合により焼き鈍し工程が行われた)シートに導電性を与える。
【0014】
本発明者らは、この後者の実施態様が、高い導電性を有するシートの製造を可能にすることを見出した。本発明の特定の実施態様においては、本発明の方法により、導電層の表面抵抗率が0.3Ω/sq未満、より好ましくは0.15Ω/sq未満であり、例えば約0.05Ω/sqまでの抵抗率であるシート、すなわち、良好な導電性を有するシートを得ることができる。このパラメータは「4ティップデバイス」というデバイスによって決定することができる。このパラメータを決定する方法を以下にさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の前述の3つの実施態様は、特に、導電性シート、すなわち、例えばエレクトロニクスに用いるという目的に十分な導電性を有するシートを製造するという点において共通である。
【0016】
これらの実施態様において、特定のパターンにしたがって該シート上に電子回路等を実現するために、レーザーアブレーションの追加工程を該導電層に対して行ってもよい。
【0017】
本発明の方法により、平滑(又は粗さが少ない)で光沢のある基層を持つ導電層を有するシートを実現することが可能になる。これにより得られる平滑度は従来の方法で製造されたシート又は紙の平滑度よりも高く、該シートをエレクトロニクスの分野において使用するのに十分である。本発明の方法によって得られるシートの粗さ(AFM)は、例えば約10nmである。
【0018】
これに加え、この基層が印刷可能である場合、印刷後、インクの光学的密度が、経時的に比較的一定に留まることが認められる。シート上でのインクの光学的密度が増加/変化するほど、インクがシートにより深く染み込み、したがってシートの表面上に残るインクが減少し、これは、インクが表面に残る非多孔質の(又は「閉じている」)シート表面とは異なり、シートの印刷面が比較的多孔質である(又は「開いている」)ことを意味する。
【0019】
プリンテッドエレクトロニクスなど、電気的特性を有するインクで基層に印刷を行うことが意図される場合、シートの間隙に染み込む一部のインクは伝導に寄与しないため、基層が可能な限り非多孔質である(すなわち可能な限り「閉じている」)ことが重要である。このため、本発明の範囲内において、印刷可能な基層は、この層の全乾物重量に対して乾燥重量で15%大きいバインダー比を有する。該バインダー比は、この層の全乾物重量に対して乾燥重量で20%大きくてもよい。例えば、この層の全乾物重量に対して乾燥重量で15%〜100%、より好ましくは20%〜100%であってもよい。この層の全乾物重量に対して乾燥重量で15%〜50%(又は20%〜50%)、より好ましくは15%〜40%(又は20%〜40%)、最も好ましくは15%〜30%(又は20%〜30%)であってもよい。基層がこの層の全乾物重量に対して乾燥重量で100%である場合、この層は顔料を含んでいない。
【0020】
プリンテッドエレクトロニクスの用途は複数存在し、このうち6つが特に主流である:
- 導電トラック、抵抗、キャパシタ、及びトランジスタを有する印刷回路;
- 太陽電池;
- スクリーン(エレクトロクロニックスクリーン又はLCD);
- メンブレンキーボード;ここで、シートを難燃性にするために、該シートに部品を含ませてもよく、又は特殊な処理を行ってもよく、該シートは、例えば、Alcan Chemicals社のBACO FRF40(登録商標)などの水酸化アルミニウムタイプの難燃剤を含んでもよい(シートの質量の30%の値のBACO FRF40(登録商標)で防火等級M1又はM2が得ることができる);澱粉に対して50%の比を有するリン/アンモニウム塩タイプのサイズプレス製品を加えてもよい;例えば、ポリリン酸アンモニウム、三酸化アンチモン、スルファミン酸アンモニウム等をベースとする他の製品を用いることもできる;
- OLED(有機発光ダイオード)は、発光材料が有機材料である発光ダイオードである;この材料中を電流が通過することで、該材料が光源になる;
- メンブレン「スイッチ」は接触による瞬間的な接続を可能にする;導電性インクは、ポリエステル又はポリカーボネートタイプの、可撓性を有する支持体上に塗工される;ドームが形成され、ボタンの能動素子が構成される;圧力によりドームが変形し、回路を閉じる;この技術は携帯電話、カメラ、制御パネル、玩具等で用いられる;及び
- スマートラベル又はチップとも称されるRFID(電波方式認識)ラベル、タグ、又はトランスポンダラベルは、無線信号を受信し、情報を含む別の無線信号を応答として送り返す機器である。
【0021】
プリンテッドエレクトロニクスを専門とする当業者は、前述のタイプの電子部品を実現するのに必要なシート又は前述の多層構造の異なる層を決定するのと同時に、本発明の方法により得られたシートにおけるこれらの層のそれぞれの配置を決定することができる。従来の技術において同様の層をプリンテッドエレクトロニクス用のプラスチックフィルム上に設けるために用いられた技術と同一の技術により、これらの異なる層を本発明のシート上に設けることができる。
【0022】
以下の情報は、概ね本発明の方法の工程a)から工程c)に関する。
【0023】
該シートの多層構造は、印刷可能シートの製造方法の実施に先立って、調製してもよい。この場合、シートの製造方法を実施するために多層構造が加えられる。
【0024】
本発明によれば、基層は「送り手」と称されるプラスチックフィルム上に調製され、この段階においてこの基層は多層構造に含まれ、その後「受け手」と称される基材上に移される。この技術によりプラスチックフィルムの平滑度を基層に移すことが可能になるため、平滑度は、使用する基材の平滑度に依存しない。したがって、本発明により、プラスチックフィルムの表面仕上げを任意の基材に移すことが可能になる。換言すれば、本発明は、任意の基材、有利には粗製紙、及び/又は比較的大きな嵩、例えば、0.9cm3/g以上、或いは1.10cm3/gまでの嵩を有する紙などを用いて比較的平滑なシートの製造を可能にし、かつこのように製造されるシートにプラスチックフィルムを含まない。該基材は透写紙、従来の紙、軽量紙、コート紙、カード用紙、プレコーティング紙、プラスチックのシート又はフィルム、ガラススライド又はシート、金属薄板のような金属シート、木製のスラット、布等でもよい。
【0025】
本特許出願においては、該シートの調製のためのシート及び基材は、薄い(厚みが500μmを超えない)要素であり、より好ましくは柔軟、及び/又は可撓性を有する要素を意味する。
【0026】
本発明に記載の方法の範囲において調製又は加えられた本発明の多層構造は、特に、下部プラスチックフィルム、接着防止中間コーティング、及び上部基層を含む、又はこれらから構成されている。該接着防止コーティングは該プラスチックフィルムの上面の少なくとも一部を覆い、該基層は該接着防止コーティングの上面の少なくとも一部を覆う。
【0027】
該プラスチックフィルムは、該基層を製造するための支持体として用いられる。このフィルムは、最終的な製品、すなわちシートには残らないため、該シートは再利用が可能である。該基層によって定められたシートの平滑面の表面品質は、該プラスチックフィルムの上面の表面品質に呼応するので、(該基層側に位置する)該フィルムの上面は、有利には、可能な限り平滑となる。換言すれば、該多層構造のプラスチックフィルムが平滑であるほど、得られるシートもより平滑となる。
【0028】
該プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)をベースとするポリマー、及びセルロースをベースとする任意のポリマーのフィルムなどから選択される。一例として、該フィルムは、約12μmの厚さを有する。
【0029】
基層面側に位置する該フィルムの表面は、より好ましくは平滑であり、10,000sBekkを超えるベック平滑度を有してもよい。
【0030】
該プラスチックフィルムの厚さ、硬さ、及びガラス転移温度は、該基層の性質に対してほんの僅かな影響しか与えず、或いはその影響は皆無である。該プラスチックフィルムの平滑度又はこれに対して粗度だけが、該基層の平滑度又は粗度に対して影響を及ぼす。該プラスチックフィルムが平滑になればなるほど、該基層は平滑になる。しかし、当業者は、該プラスチックフィルムのどの性質が該基層の表面仕上げに影響を与えるものであるのかを決定できておらず、この基層に求められる最終的な平滑度に応じてこれらの性質を最適化することもできない。
【0031】
該多層構造の接着防止コーティングは、例えばグラビア印刷などの任意の技術で該プラスチックフィルム上に塗工される。該接着防止コーティングの作用は、該基層の該プラスチックフィルムに対する接着を制限することと、上記に定義された方法の工程c)における該基層からの該プラスチックフィルムの分離と剥離を促すことである。該接着防止コーティングは、この層が設けられる該プラスチックフィルムの面の平滑度と表面品質を僅かしか変更させない、或いは全く変更させない。
【0032】
該接着防止コーティングは、該コーティングを該基層から剥がす際に、該コーティングの全量が該プラスチックフィルムに接着したまま残るように、該基層よりも該プラスチックフィルムに接着することがより好ましい。
【0033】
該接着防止コーティングの厚さは5μm以下、より好ましくは1μmである。この厚さが0.1μm又は0.2μmよりも大きければ、より好ましい。該接着防止コーティングは、一種以上のシリコーン、一種以上のシロキサン、一種以上のポリシロキサン、又はこれらの誘導体、ウェルナー錯体、例えば、ステアリン酸クロムクロリド、又は、ポリエチレンワックス、プロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリルポリマーなどから構成することができる。有利には、該接着防止コーティングは、PVDFを含まない。
【0034】
上に示したように、本発明の実施態様によれば、基層は導電性又は非導電性でもよく、印刷可能又は印刷可能でなくてもよい。
【0035】
好ましくは、該基層はブロッキング防止剤、及び/又は、例えばシリコーン又は類似の材料、PVDF、PP、テフロン、シリカ、窒化ホウ素など、該層の表面エネルギーを低下させることのできる製品を含まない。この種のブロッキング防止剤又は製品は、熱転写による印刷を層に対して行う際、特に基材がプリンタのリボンに接着することを防止するために必要な場合がある。したがって、本発明の基層は、熱転写による印刷が可能ではない。
【0036】
該基層は、30μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下の厚さを有することができる。その坪量は、有利には、30g/m2以下、より好ましくは15g/m2以下、そして最も好ましくは10g/m2以下である。一例として、該基層は、以下の数値の組み合わせ以下である厚さと坪量を有することができる:10μm及び10g/m2、3μm及び10g/m2、2μm及び10g/m2、5μm及び5g/m2、3μm及び5g/m2、2μm及び5g/m2、5μm及び2g/m2、3μm及び2g/m2、又は2μm及び2g/m2
【0037】
該基層は、例えばグラビア印刷等の任意の技術により、該接着防止コーティング上に設けてもよい。
【0038】
該基層は、液体状態又は半液体状態で該接着防止コーティング上に設けてもよく、次いで、乾燥、加熱、又は電子照射或いは紫外線照射によって固化される。固化及び/又は乾燥を終えた後、該接着防止コーティングを介して該プラスチックフィルムの平滑面に当接している該基層は、該プラスチックフィルム側に位置する平滑な面を有する。
【0039】
該基層は、従って、基材上に移される前に、特に、該プラスチックフィルムによって付与されたこの層の表面仕上げの改変を回避するために、乾燥及び/又は固化される。換言すれば、該多層構造は、該基層が該基材上に移される前に調製され、該基層は、該基材上に移される間、すなわち、本発明の方法の工程b)及び工程c)を行う間、固体及び/又は乾燥状態にある。したがって、該基層の表面仕上げは、該多層構造を調製している間に行われる。
【0040】
したがって、本発明の方法では、該基層は、基材とは独立して製造される。このことは、特に、本願発明の方法を、標準的な工業用ツールで実現可能にし、これによって最適な生産速度が実現される。
【0041】
シートの基層は、約900s又は1000sを超えるベック平滑度、より好ましくは2000sを超えるベック平滑度、そして最も好ましくは5000sを超えるベック平滑度を有することができる。
【0042】
この基層は、70%を超える光沢度、より好ましくは80%を超える光沢度を有することができ、該光沢度は、例えば75で、TAPPI(登録商標)T480 om-92法を用いて測定される。この光沢度は、プラスチックフィルムを含む樹脂塗工印画紙の光沢度と同等であるか、又はこれを超えてもよい。
【0043】
該多層構造は、該プラスチックフィルムとは反対側で該基層に設けられた少なくとも1つの増設層を含むことができ、この増設層、又は該プラスチックフィルムから最も離間した増設層の自由面は、工程b)において該基材の前述の面に接着及び当接されるよう意図される。
【0044】
1つ又は複数の該増設層は、機能性又は非機能性であってもよい。一例として、該増設層を、絶縁体(誘電体)とすることができ、或いは該増設層は、(気体、例えば、酸素、液体、例えば、水、油脂などに対する)バリアを形成することもできる。
【0045】
該シートは、金属フィルム、及び/又はポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、酢酸ビニルエチレン共重合体(EVAC)、セルロースナノファイバ、又は金属をベースとするバリア層を含んでもよく、該バリア層が該基材と該基層との間に位置する。PVAをベースとする層は特に気体に対するバリアを形成するのに適し、PUをベースとする層は特に水蒸気に対するバリアを形成するのに適している。
【0046】
導電層はバリア層として機能することができ、この導電層は該シートの外層を形成するか、又は、それとは逆に、該シートの2層間に挟まれる。該導電層は、真空蒸着させた金属層、又は金属フィルム(例えば、アルミニウム等)であり、直交積層により追加及び固定することができる。
【0047】
該増設層又は各増設層はそれぞれN型ドープ、P型ドープ又はドープされていない半導体材料(P3HT-ポリ(3-ヘキシルチオフェン)等)の層、絶縁体材料(PVP等)の層、金属層(金、銀、アルミニウム等)、導電性ポリマー(PEDOT:PSS-ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリ(スチレンスルホン酸塩)等)の層であってもよい。
【0048】
該多層構造が単一の増設層を有する場合、後者は基層の上面、すなわち該多層構造のプラスチックフィルムの反対側に位置する基層の面、又は該基層の下に、設けてもよい。
【0049】
この増設層はどのような性質のものでもよい。該多層構造が2以上の増設層を有する場合、これらの増設層は相互に重ね合わされ、前述の基層の上面に設けられる。 1つ又は複数の増設層を基層上に設けるのに用いる技術は、前述のタイプであってもよく、又は他のいずれのタイプであってもよい。
【0050】
したがって、該多層構造は、前述の3要素(プラスチックフィルム、接着防止コーティング、及び基層)に加えて、1つ又は複数の増設層を該基層上に含むことができる。該多層構造は、さらに、該プラスチックフィルムから最も離間した層(すなわち、該基層、又は該増設層、若しくは増設層)を覆う接着剤の層又はフィルムを含むことができる。
【0051】
本発明の方法の工程b)は、該基層を受けることを意図した該基材の面、又はプラスチックフィルムの反対側に位置する該多層構造の面を接着して、これらの面を互いに当接させて固定することからなる。
【0052】
該基材は、紙、透写紙、カード用紙、コート紙又はプレコーティング紙、プラスチックのシート又はフィルム、ガラススライド又はシート、金属シートなどの金属性のシート、薄い木製のスラット、布等から選択することができる。該紙は、0.9cm3/g以上、さらに1.1cm3/g以上の嵩、より好ましくは、1.2cm3/g以上の嵩、最も好ましくは、1.3cm3/g以上の嵩、より具体的には1.4cm3/g以上の嵩、さらには1.5cm3/g以上の嵩という比較的大きな嵩を有することができる。
【0053】
本発明の方法は、従来技術では不可能であった大きな嵩と平滑度の両方を有するシートの実現を可能にする。特に、従来技術では、大きな嵩と良好な表面品質を兼ね備えたシートを作ることは不可能であった。嵩の大きな基材は、安価な材料から作ることができる。紙の場合、使用する木材パルプは、セルロースファイバー、バインダー、及び澱粉などの少量の充填剤及び/又は添加物を含むことができる。
【0054】
本発明の特定の実施態様において、本発明の方法は、該基紙の嵩の、約2%〜5%程度の若干の減少をもたらす。
【0055】
本発明の方法の工程b)では、コーティングされる基材の面、又は該多層構造の基層若しくは増設層の自由面が適切な接着剤で接着される。
【0056】
別の態様では、該基材及び該多層構造の前述の2つの面は同時に接着される、或いは順番に接着される。有利には、該多層構造の基層又は増設層の自由面のみが接着される。
【0057】
接着は、前述の1つ又は複数の面に接着剤の層を塗工することからなり、例えばグラビア印刷などの任意の技術を用いる。該接着剤として、感熱式、非感熱式、UV架橋型、又は化学反応型のものがあり得る。該接着剤は、液状又は非液状の形態で、前述の面又は前述の面の各々に塗工することができる(例えば、熱接着フィルムの場合)。例えば、該接着剤は、以下のポリマー:アクリル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、スチレンブタジエン、酢酸ビニル、ポリアミド、ニトロセルロース又はその他のセルロース、ポリビニルアルコール、又は澱粉から選択される。塗工された接着剤の層又はこの各層はそれぞれ10μm以下、より好ましくは3μm以下の厚さを有してもよい。接着剤は、有利には、溶媒を含む又は溶媒を含まない、単一成分又は二成分ポリウレタン接着剤である。
【0058】
本発明の特定の実施態様において、該接着剤は、多層構造が調製されている間に、前述の該多層構造の面に塗工される。次いで、該接着剤は、該多層構造の一部を一体的に形成する。該接着剤は、該多層構造が(受け手の)基材に対して当接している間に、加熱することによって活性化される層である感熱式活性化接着剤層によって形成することができる。
【0059】
該接着剤の性質及び(該フィルム上、及び/又は該基材/紙上での)接着プロセスは、該シートの最終的な表面仕上げに大きな影響を与えることがある。例えば、該接着剤を均質に塗工して、基材と基層との間に間隙が形成されることを防止することが重要である。
【0060】
塗工する接着剤の均質性に関して、局所的に接着剤の過不足が生じると、最終シートに表面粗さが出現してしまうため、これを防止するため、接着剤は均質に塗工することが好ましい。有利には、該接着剤が、適切な表面張力と流動性とを有し、該支持体(フィルム又は基材)の全面に拡散する。
【0061】
該接着剤のコーティング方法も重要である。不均質性が最小限である塗膜を製造するコーティング方法には、例えばグラビア印刷(リバースロール又は接触コーティング)が好ましい。該コーティング方法は、より好ましくは、基材の間隙又は表面の凹凸を可能な限り埋めるものが選択される。例えば、紙が、約20μmの平均表面粗さ(例えば、Sa)を有している場合には、間隙を埋めるために、少なくとも10μmの厚さの接着剤を塗工することが好ましい。後者の粗さが大きい場合には、好ましくは、接着剤の塗工は、該基材に対して行われる。紙への塗工が十分でない場合、該紙の表面と基層との間に間隙が形成されてしまう。印刷の際に、これらの間隙は、圧力が加われば陥没してしまい、或いは牽引力が加われば剥離してしまい、該紙の弱点となってしまう。
【0062】
有利には、該基材及び/又は該基層に塗工された該接着剤の厚さは、該基材の平均表面粗さ(例えば、Ra又はSa)の少なくとも半分と同等である。本発明の実施態様において、該接着剤は、工程b)において、該基材の少なくとも一方の面に塗工され、塗工された該接着剤の層の厚みは、該基材の面の平均粗さの少なくとも半分と同等であり、より好ましくは該平均粗さと同等である。
【0063】
該接着剤は、水性基剤又は溶媒基剤、或いは溶媒を含まず、二成分又は単一成分でもよい。
【0064】
該接着剤は、該基層(又は増設層)を該基材上に固定することを可能にし、及び、該当する場合は、該基材表面の凸凹の埋め合わせも可能にする。該接着剤は、特にコーティングされる該基材の面の窪みを埋め、これによりこの面を平坦にすることができるが、該基材の性質、例えば、嵩などには影響を及ぼさない。
【0065】
該シートの基材は、以下にさらに詳細に説明するように、該シートの熱拡散率を増加させる、及び/又は該シートの湿潤強度を増加させる、及び/又は該シートを難燃性にするように意図された充填剤を含んでもよい。
【0066】
そして、本発明の方法の工程b)は、該基材の前述の面を、該多層構造の前述の面に当接させ、両者を積層又は直交積層させることからなる。そして、該基層の一方の側が該基材と該接着剤(及び該当する場合は、1つ又は複数の増設層)との間に挟まれ、他方の側が該プラスチックフィルムと該接着防止コーティングとの間に挟まれる。
【0067】
該基材を該多層構造上に接着させるのに用いる接着剤が熱接着剤タイプである場合、該多層構造への該基材の当接は、例えば50℃〜200℃程度の所定の温度の熱い状態で行われる。又は、多層構造への基材の当接及び接着は、常温で行われる。
【0068】
該基層を該基材上に良好に接着させるためには、接着剤を介した状態で、圧力を加えることが必要である。
【0069】
しかしながら、当接及び接着の際に用いる温度及び/又は圧力は、該基層の特性、特にプラスチックフィルム側に位置する面の表面仕上げを変質させてはならない。例えば、基層は、高温に曝されても軟化してはならず、これは、そのような軟化が該プラスチックフィルム側に位置する面の表面品質の変化及び/又は劣化を招く可能性があるためである。
【0070】
次に、本発明の方法の工程c)は、該基層(及び、該当する場合は、該多層構造の前述した1つ又は複数の増設層)が該基材に残るように該基層及び該基材から該プラスチックフィルムを剥がすことからなる。このようにして、該基層、及び、該当する場合は、1つ又は複数の該増設層は、「送り手」と称される該多層構造のプラスチックフィルムから「受け手」と称される基材へと移される。
【0071】
該方法は、フィルムを剥がす前に、該接着剤を直交積層又は成熟させる工程をさらに含んでもよい。
【0072】
上に説明した通り、該接着防止コーティングの全量が好ましくは該プラスチックフィルム上に残り、その後、該プラスチックフィルムを剥がす際に、該基層から剥がされる。したがって、該多層構造においてプラスチックフィルム側に位置する該基層の面が露出する。
【0073】
該基材及び該多層構造が連続ストリップの形状を有する場合、下記の手順にしたがって、該多層構造の基層が、本発明の方法の工程b)及び工程c)において、該基材へと移すことができる。
【0074】
該多層構造及び該基材の積層又は直交積層は、これら2つの要素を、反対方向に回転する、2つの隣接かつ平行した機械的ローラーの間に通すことで行うことができる。得られる製造物の厚みは、特に該ローラー間の距離に対応する。一旦該接着剤が乾燥又は固化すると、該シートが別の機械的ローラーによって動かされている間に、該シートから該プラスチックフィルムが剥がされる。
【0075】
或いは、該多層構造又は該基材のいずれかを接着し、該接着材を乾燥させ、その後所定の温度及び圧力を与えてこれら2つの要素を互いに当接させてもよい。
【0076】
該方法はさらに、工程b)に先駆けて、基材の前述の面を、1種以上の熱可塑性ポリマー(少なくとも1つのポリスチレン、ポリウレタン、アクリルなど)、又は顔料(カオリン、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタンなど、及びこれらの混合物など)と少なくとも1つのバインダー(アクリルベース、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、スチレンブタジエン、酢酸ビニル、ポリアミド、ニトロセルロース又はその他のセルロース、澱粉、又はPVAなど)との混合物を含む、少なくとも1つの平滑層でプレコーティングすることを含んでもよい。
【0077】
このプレコーティングされた基材の面は、その平滑度を増加させるために、工程b)に先駆けて、さらにカレンダー仕上げをしてもよい。
【0078】
導電性フィルムを設ける工程d1)に関して、このフィルムは金属、導電性ポリマー又は他の導電性材料で形成可能である。このフィルムはシートから独立して製造が可能であり、その後、例えば接着により、該シートの基層上に追加する又は固定することができる。又は、このフィルムは、該シートの基層上の元の場所に形成される。
【0079】
以下の情報は工程d2)に関するものであり、これに従って基層の印刷が可能である。
【0080】
印刷可能層とは、任意の印刷技術により印刷が可能な層であり、特にオフセット、インクジェット、レーザー、ヘリオグラフィ、フレキソ、スクリーン印刷、乾式トナー、液状トナー、電子写真術、リソグラフィー等による印刷が可能な層である。印刷可能層はバインダーを含み、さらに顔料を含んでもよい。
【0081】
本発明の特徴によれば、基層に印刷を施しても、後者の構造的変化を招くことはなく、特に後者の状態又は様相に変化(例えば、固体状態から液体状態へ移行し、また固体状態に戻るなど)が生じることはない。
【0082】
多層構造の基層が印刷可能層である場合は、印刷可能なワニス、紙コーティングなどから選択することができる。
【0083】
本特許出願において、印刷可能なワニスとは、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、スチレンブタジエン、酢酸ビニル、ポリアミド、ニトロセルロース又はその他のセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉などをベースとする物質を指す。一般的に、この物質は、液体の形態で塗工され、乾燥/加熱、又は紫外線(UV)照射、又は電子照射によって固化される。
【0084】
紙コーティング又はコーティング組成物は、バインダー及び可能であれば顔料を含む組成物を意味する。印刷可能な基層のバインダーは、主バインダーと、可能であれば副バインダーとを含んでもよい。
【0085】
本特許出願において、主バインダーとは、該層において他のバインダーに対して多数を占めるバインダーを意味し、特に副バインダーに対して多数を占めるバインダーを意味する。
【0086】
該主バインダーは有利にはスチレンブタジエン共重合体(XSB)及び/又はスチレンアクリレート共重合体(SA)などの合成ラテックスである。該バインダーは、XSBの割合を55%から80%の間とし、SAの割合を20%から45%の間としたXSB及びSAなどの2つのラテックスの組み合わせを含んでもよく(該割合は、これらのバインダーの全乾燥重量に対する乾燥重量での割合)、XSBを60%から70%とし、SAを30%から40%の間としてもよい(該割合は、これらのバインダーの全乾燥重量に対する乾燥重量での割合)。該基層は、アクリルをベースとするバインダー、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、スチレンブタジエン、酢酸ビニル、ポリアミド、ニトロセルロース又はその他のセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、又は後者の混合物を含んでもよい。
【0087】
該副バインダーはエチレン共重合体-アクリル酸(EAA)をベースとする接着促進剤であればより好ましい。この副バインダーは、該基層の光沢を増加させることを可能にし、HPインジゴタイプの液状トナーインクなど特定のインクの該基層上での粘着状態を向上させる。
【0088】
該顔料は、紙コーティングにおけるバインダーに対して大部分を占めてもよい。該顔料は、例えば、2μm environ以下、さらには1μm以下で、例えば約0.5μmの平均サイズ又は平均直径を有する。該顔料は、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、タルク、シリカ、マイカ、真珠光沢粒子、プラスチック顔料(ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、スチレン-アクリル等を含む顔料で、例えば、Rohm&Haas社のRopaque Ultra-E顔料)、金属性顔料(銀、銅等を含む顔料で、例えば、Rondot S.A.社のBrookprint Sparkle Silver顔料)、及びこれらの混合物から選択することができる。有利にはこれらは炭酸カルシウムである。
【0089】
該基層で(バインダー及び/又は顔料として)用いられるプラスチック材料は、砕けやすく、再利用時に木製パルプを汚染しない。これに対し、該プラスチックフィルムは、該木製パルプの懸濁液に戻してもなお凝集性を維持し、フィルターを目詰まりさせてしまう。この点に関して、水溶性バインダー(澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)など)は再利用の際に水中で分散するため、特に有利である。
【0090】
さらに、該紙コーティングは、分散剤、及び/又は、流動性改質剤、及び/又は、染料、及び/又は、展着剤又は表面剤、及び/又は、導電性添加剤を含んでもよい。この該導電性添加剤は、該シートの表面抵抗率を小さくするために用いることができる。
【0091】
印刷可能層は、互いに重なり合った2つ以上の下層から作ることができ、各下層は印刷可能であり、前述のタイプのもの(印刷可能なワニス、紙コーティングなど)から選択される。
【0092】
有利には、シートの基材を形成する紙が透写紙である場合、該方法によって得られるシートが一定の透明度を有するように、印刷可能な基層が、透明度、及び該層の全乾物重量に対して乾燥重量で30%よりも大きいバインダー比を有する。透写紙の使用は、シートを介した照射エネルギーの通過及び回収を可能にするのに特に有利であり、したがって光電池又は太陽電池の実現に特に適している。透写紙の透明度はその坪量に特に依存し、例えば、62g/m2の透写紙の場合に約60%〜70%であり、175g/m2の透写紙の場合に40%〜50%である。
【0093】
インクは、例えば、ナノ粒子又は金属ミクロ粒子(銀、銅等)を含み、カーボンのナノ粒子又はミクロ粒子、及び/又は少なくとも1つの導電性ポリマー(PEDOT/PSS等)を含んでもよい。
【0094】
該金属粒子は粉末状でもよい。したがって、該粒子が基層上に塗工された際に、該粒子間に隙間が生じる。焼き鈍しの工程により、ナノ粒子を一体的に融合又は焼結させることができるため、これにより電流が該粒子間を通過することが可能になる。設置された該導電層は、例えば1μm以下の厚さを有し、これは300nm以下としてもよく、例えば約30nmである。この比較的薄い厚さにより、シートに良好な伝導性を持たせることができる。特に、基層が高い平滑度を有することで、薄いインクの層が表面上に連続して残るため、該基層上に厚い導電層を設ける必要はない。金の層を、厚さ20nm〜100nmで、例えば30nm〜40nm environの厚さで設けても良い。
【0095】
焼き鈍しは、炉(例えば、150℃〜200℃の温度で、約5分〜10分)、ホットプレート、光子炉又は赤外線乾燥器内で行うことができる。該光子炉(例えば、NovaCentrix社のPulseForge(登録商標)3300デバイス)は、インクの導電性粒子の、より好ましくはスクリーン印刷により基層に塗工されたインクの導電性粒子の効果的な焼結を可能にする。該導電性粒子は銀、銅、又は種々の合金などの粒子である。これは、例えば100℃以上の温度で行われ、好ましくは120℃以上、最も好ましくは150℃以上の温度で行われ、これにより、インクの導電性材料又は粒子が良好な凝集性を有し、層がより良好な導電性を有するため、該シートが150℃〜170℃で良好な熱安定性を有し、非常に有利である。従来技術によるプラスチックフィルム(PET、PEN等)は通常120℃〜140℃で分解が始まるため、そのような焼き鈍し温度を適用することができない。焼き鈍し時間は5分以下であり、例えば2分〜3分である。焼き鈍しを行う間、シートの寸法の変化が制限されるように、牽引力で(例えば軸又は2つの直交軸に沿って)該シートを保持して、焼き鈍しを行ってもよい。通常、焼き鈍し又はそのような処理の間、シートは良好な熱及び寸法安定性を示す。
【0096】
本発明の方法はさらに以下の工程のうち1つ又は複数の工程を含んでもよい。
- 工程d2)よりも前に、シートの熱前処理を実行して、該シートに含まれる水分を少なくとも一部除去する;紙は水重量の約5%を含むことができる;該熱前処理は、シートからの水分の除去を可能にし、印刷及び焼き鈍しが行われた該シートは実質的に水分を含まない;これにより、焼き鈍しの際に、このシートの紙に含まれる水分の蒸発によるリップリング及びシートの変形のリスクを抑えることができる;
- フォトリソグラフィー又はレーザーアブレーションを介して、シートの導電層の所定の領域を剥がす工程;
- 工程d2)を少なくとも一度繰り返し、各回の工程d2)と、この工程に続いて行われる工程d2)とは、その間に該シートの初期湿度を実質的に回復させるように意図した、該シートを休ませる中間工程で隔てられる工程;及び
- 工程d2)に先立って、該基層のプラズマ処理を行うことからなる工程を行う;この処理により、該基層の表面仕上げを改変してその疎水性を高めることができ、これによりインクが拡散して基層を過度に濡らしてしまうことを防止する(これは層上のパターン印刷の精度及び解像度を向上することにもなる);有利には、該基層のフッ素プラズマ処理(SF6)を行う。
【0097】
該方法はさらに、シートと共に、少なくとも1つの抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、アンテナ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、センサー、メンブレンキーボード、又はこれらの部品の任意の組み合わせを実現することからなる工程を含む。
【0098】
該方法はさらに以下の特徴を有する:
(i)工程a)で調製された多層構造において、該基層が前述のプラスチックフィルムの面の表面よりも小さい表面上で延伸し、及び/又は
(ii)該多層構造と該基材とが、工程b)において、前述のシートの表面よりも小さい表面に直交積層され、及び/又は
(iii)工程c)において剥がされたプラスチックフィルムが、その長さ及び幅の少なくとも一方の寸法が該シートの前述の面の対応する寸法よりも小さく、及び/又は
(iv)工程c)で得られたシートが裁断され、そして、該シートの少なくとも1つの面が、該面の残余の部分よりも平滑度の高い領域を少なくとも1つ含み、この領域が、該基層により形成され、該シートの基材上で該面の表面よりも小さい表面上で延伸する平滑な外層を含むように、このシートから少なくとも1つの切片が別のシートの基材に接着される。
【0099】
該方法は、工程a)と工程b)との間に、多層構造を裁断する工程を含んでもよい。
【0100】
好ましくは、工程b)において、該多層構造の少なくとも1つの切片が該基材に直交積層され、そして、工程c)において、該プラスチックフィルムと該接着防止コーティングとが前記接着された切片から剥がされ、該切片が例えば数メートルの長さを有するストリップの形状である。
【0101】
好ましくは、工程b)において、該多層構造の該基材上への設置が、前述の領域に圧力を加えるように意図されたスタンププレス方法により、又は工程b)において使用する感熱タイプの接着剤を柔らかくすることのできるホットフォイルスタンププレス方法により行われる。
【0102】
好ましくは、工程a)において調製された該多層構造のプラスチックフィルムの長さ及び幅の少なくとも一方の寸法が該シートの前述の面の対応する寸法よりも小さい。
【0103】
好ましくは、該シートが、抄紙機、例えばこの抄紙機の最終乾燥工程部分において、オンラインで実現される、又は紙裁断機もしくは紙仕上げ機において、オフラインで実現される。
【0104】
該方法は、工程c)に先駆けて、該プラスチックフィルムの反対側に位置する該多層構造の面に導電性インクで印刷を行う、又はこの面に導電性コーティングを塗工する工程を含んでもよい。
【0105】
好ましくは、工程a)の間、該プラスチックフィルムに塗工された該接着防止コーティングが、導電性インクで印刷が行われる、又は導電性コーティングで覆われる。
【0106】
有利には、前述の(iv)の場合、裁断される該シート又該切片は、別のシートの基材に接着される前に、導電性インクで印刷が行われる、又は導電性コーティングで覆われる。
【0107】
本発明は、さらに、導電性製品を製造する方法に関し、該方法が、特に基層の印刷を行う工程、及び/又はフォトリソグラフィー又はレーザーアブレーションを介して導電層の所定の領域を剥がす工程を実施することによって、シートによって、より好ましくは上に説明した方法で得たシートによって、少なくとも1つの抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、アンテナ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、センサー、メンブレンキーボード、又はこれらの部品の任意の組み合わせを実現する。
【0108】
本発明は、さらに導電性製品に関し、該製品がシート、より好ましくは上に説明した方法で得たシートを含み、特に基層の印刷を行う工程、及び/又はフォトリソグラフィー又はレーザーアブレーションを介して導電層の所定の領域を剥がす工程を実施することによって、該シートが、少なくとも1つの抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、アンテナ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、センサー、メンブレンキーボード、又はこれらの部品の任意の組み合わせを有する製品に変換される。
【0109】
前述の場合、各シートの処理面の全体が、該プラスチックフィルムを剥がすように意図された該多層構造で覆われる。これにより、多量のプラスチックフィルム、多量の接着防止コーティング及び多量の接着剤を用いることができるため、最終製品のコストが増加する。
【0110】
このコストの増加に起因して、該方法を特定の用途にのみ限定して、他の用途に用いないということも可能である。さらに、紙を積層する工程は、特に該多層構造の寸法のために、抄紙機で製造された後の紙を処理するように意図された特別な機械、すなわちオフラインを必要とする。
【0111】
本発明の他の態様は、特にこの問題に対する簡単、効果的かつ経済的な解決策を提供することを目的とする。
【0112】
この目的のため、本発明はシートを製造するための方法を提案する。このシートの少なくとも1つの面は、該面の残余の部分よりも平滑度の高い領域を少なくとも1つ含む。この領域は、該面の表面よりも小さい表面上で、該シートの基材上で延伸する平滑な外層を含む。該方法は:
a)少なくともプラスチックフィルム、接着防止コーティング、及び基層を有し、又はこれらによって構成されており、該プラスチックフィルムの面と該基層との間に該接着防止コーティングが挿入された多層構造を調製又は提供する工程;
b)該基材の面及び/又は該プラスチックフィルムの反対側に位置する該多層構造の面を接着し、該基材の前述の面を該多層構造の前述の面に当接させ、該多層構造と該基材とを直交積層させる工程;及び
c)該平滑な外層を定義する該基層から該プラスチックフィルムと該接着防止コーティングとを剥がす工程を含み、
(i)工程a)において調製された該多層構造において、該基層が該プラスチックフィルムの前述の面の表面よりも小さい表面上で延伸し;
(ii)該多層構造と該基材とが、工程b)において、該シートの前述の表面よりも小さい表面上に直交積層され;
(iii)工程c)において剥がされた該プラスチックフィルムの長さ及び幅の少なくとも一方の寸法が該シートの前述の面の対応する寸法よりも小さく;及び/又は
(iv)工程c)で得られた該シートが裁断され、そして、該シートの少なくとも1つの切片が、別のシートの基材に接着されることを特徴とする。
【0113】
本特許出願において、シートの(面の)領域とは、該シートの(面の)一部のみを意味する。該領域は例えばその長さ及び幅のうち少なくとも一方の寸法が、該シートにおいて対応する寸法よりも小さい。該領域は例えばストリップの形状を有し、該シートの縦エッジの1つに沿って延伸してもよい。該領域は、該シートの(面の)表面の50%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満に相当する表面を占めてもよい。
【0114】
本発明によると、シートの基材の面の一部のみが、前述の平滑な外層で覆われている。これにより、従来技術において用いられるよりも少量でのプラスチックフィルム、接着防止コーティング及び/又は接着剤の使用が可能になり、したがって、該シートの製造コストを抑え、経済的な理由から従来技術においては検討が不可能であった複数の用途を検討することができるため、特に有利である。
【0115】
紙を製造するという特定の場合において、この紙の製造方法の適用に伴う追加のコストは比較的低く、これによりこの紙の複数の異なる用途での使用を検討することが可能になる。
【0116】
前述の外層は、領域に比較的高い平滑度を与え、この平滑度はシートの残余の部分、すなわちこの層を含まないシートの他の部分の平滑度よりも高い。この平滑度は、該多層構造のプラスチックフィルムの平滑度によって生じ、使用する基材の平滑度に依存しない。例として、前述の領域又はこの各領域はそれぞれ900sよりも大きい(より好ましくは1000sよりも大きく、最も好ましくは2000sよりも大きい)ベック平滑度を有し、シートの残余の部分は、900sよりも小さい(より好ましくは500sよりも小さく、最も好ましくは200sよりも小さい)ベック平滑度を有する。
【0117】
さらに、該基層は、磁気特性(特に、自己インダクタンス、コイル及びアンテナを実現する場合の強磁性)又は、他の特性、特にバリア特性(基層をアルミニウムフィルムに関連付けることができる、又は基層がアルミニウムフィルムに近い特性を有することができる)、その外観を変化させる特性(基層が色彩、反射性などを有することができる)、光電子又は光学的特性(基層が導波管を形成することができる)、及び/又はセキュリティ機能(基層がマイクロ印刷、ホログラム、虹色等を含むことができる)を有することができる。
【0118】
さらに、該シートの平滑な基層で覆われていない部分は従来リサイクル可能であるため、本発明のシートはリサイクルの観点から明確な利点を有する。該シートの平滑な部分は、該シートの残余の部分から独立してリサイクルして、該シートに含まれる導電性材料を回収できるように、剥離させる又は裁断することができる。
【0119】
該多層構造は、1つ以上の層、すなわち、接着防止コーティングと基層との間に挿入された1つ又は複数の他の層を含むことができる。多層構造の場合、最初の層の平滑度が後続の層に伝わるという利点がある。これは、紙の熱安定性が、広い表面に亘って実現されるシステムの光学的及び電気的品質を与える安定したスタックを可能にするという点において一層興味深い(一連の焼き鈍し温度が高いがために、伝導性に優れるので、長距離に亘る充填剤のロスが少ない)。
【0120】
透明導電層の場合(PEDOT:例えばPSSタイプ)、熱焼き鈍しは、伝導性を得るための唯一の方法ではあるが(透明度のため、フラッシュ焼結は使用できない)、多層システムの場合、通常この層は基材に設けられるものの最後の1つである。したがって、本発明の超平滑な紙は、塗工する透明導電性ポリマーの量を抑えることを可能にする。
【0121】
本発明の方法の前述の第1の場合(i)において、工程a)において調製された多層構造で、基層が前述のプラスチックフィルムの面の表面よりも小さい表面上で延伸する。したがって、該基層は該プラスチックフィルムの一部のみを覆う。 該基層と該プラスチックフィルムとの間に挟まれた該接着防止コーティングは、該プラスチックフィルムの全量又は該フィルムの一部のみを覆う。有利には、該基層は、該プラスチックフィルムの一部のみを覆う該接着防止コーティングの全量を実質的に覆う。該基層は、シート上に形成された平滑度の大きい領域の形状及び寸法に類似した形状及び寸法を有してもよい。
【0122】
該方法の前述の第2の場合(ii)において、該多層構造及びシートの基材は工程b)において該シートの表面よりも小さい表面上に直交積層される。接着剤は、該多層構造の一部にのみ、及び/又は該シートの基材の一部にのみ塗工してもよい。接着された部分は、該シート上に形成された平滑度の大きい領域の形状及び寸法に類似した形状及び寸法を有してもよい。
【0123】
(i)及び(ii)の場合を組み合わせてもよい。この場合、該基層は、工程a)において調製された該多層構造のプラスチックフィルムにおける表面よりも小さい表面上で延伸し、該多層構造及び該シートの基材は、工程b)において、該シートの表面よりも小さい表面上で直交積層される。
【0124】
該方法の前述の(iii)の場合、工程c)において剥がした該プラスチックフィルムは、その長さ及び幅のうち少なくとも一方の寸法が該シートの前述の面の対応する寸法よりも小さい。
【0125】
(i)及び(iii)の場合を組み合わせてもよい。該基層は工程a)において調製された該多層構造のプラスチックフィルムの表面よりも小さい表面上で延伸し、工程c)において剥がされたプラスチックフィルムはシートよりも小さい。
【0126】
(ii)及び(iii)の場合を組み合わせてもよい。該多層構造及び該シートの基材が、工程b)において、該シートの表面よりも小さい表面上で直交積層され、工程c)において剥がされたプラスチックフィルムは該シートよりも小さい。
【0127】
最後に、(i)、(ii)及び(iii)の場合を組み合わせてもよい。この場合、該基層は工程a)において調製された該多層構造のプラスチックフィルムの表面よりも小さい表面上で延伸し、該多層構造及び該シートの基材が、工程b)において、該シートの表面よりも小さい表面上で直交積層され、工程c)において剥がされたプラスチックフィルムは該シートよりも小さい。
【0128】
該方法の前述の(iv)の場合、工程c)で得られたシートは裁断され、そしてこのシートから少なくとも1つの切片が別のシートの基材上に接着される。この特定の場合と前述の場合とを組み合わせてもよい。
【0129】
シートが紙製の基材を含む場合、本発明は、一方でこの紙の所定の位置に平滑度の大きい領域を設けることを可能にし、他方で、例えば情報の表示のため、特に、該紙が印刷可能であれば情報を印刷するため、該シートの残余の部分を残すことができ、特に有利である。
【0130】
本発明はさらに任意の種類の基材において用いることができる。本発明は、グラフィックアート、レターヘッド、封筒、ポストイット(登録商標)、セキュア紙等に用いることができる。
【0131】
これに加え、本発明のシートは、抄紙機、例えばこの抄紙機の最終乾燥工程部分において、オンラインで実現することができる、又は紙裁断機もしくは紙仕上げ機において、オフラインで実現することができるという利点を有する。
【0132】
該方法は、工程a)と工程b)との間に多層構造を裁断する工程を含んでもよい。工程b)において該多層構造の1つ又は複数の切片を該基材に接着し、工程c)においてプラスチックフィルムと接着防止コーティングとを接着した切片又は各切片から剥がしてもよい。
【0133】
該切片又は各切片は、例えば、数メートルの長さを有するストリップの形状を有してもよい。この細長い形状の切片を、(毎秒数百メートル位以内のスピードで)ローラーに巻きつけ、該ローラーから取り外すことも可能であり、これは製紙業において特に有利である。該多層構造が、特にプラスチックフィルムが存在しているために、十分な耐性を有し、このような巻きつけと取り外しとが可能である。
【0134】
基材への多層構造の設置は、前述の領域又は各領域に圧力を加えるように意図されたスタンププレス方法により、又は工程b)において使用する感熱タイプの接着剤を柔らかくするように意図されたホットフォイルスタンププレス方法により行われる。
【0135】
工程a)において調製された該多層構造のプラスチックフィルムは、より好ましくはその長さ及び幅のうち少なくとも一方の寸法が該シートの前述の面の対応する寸法よりも小さい。
【0136】
該方法は、工程c)に先駆けて、該プラスチックフィルムの反対側に位置する前記多層構造の面に導電性インクで印刷を行う、又はこの面に導電性コーティングを塗工する工程を含む。このように、該基層が該シートの基材上に移される前に、多層構造が導電性を得る。該層又は該導電性コーティングは該プラスチックフィルムの反対側に位置する多層構造の面に位置するため、該基層の面に位置することができる。工程c)において、この面は該シートの基材に接着される。この場合、該導電層(コーティング又はインク)は、この導電層の上部で延伸する基層により保護される。前述の印刷又は塗工は、上述した多層構造の裁断よりも前に行ってよい。
【0137】
工程a)の間、前記プラスチックフィルムに塗工された該接着防止コーティングが、導電性インクで印刷が行われる、又は導電性コーティングで覆われる。その後、工程a)において、該基層はインク又はコーティング上に直接設けられる。
【0138】
前述の(iv)の場合、該基層は、より好ましくは、基材又は薄いシート上に移される。裁断される前記シート又前記切片は、前記別のシートの基材に接着される前に、導電性インクで印刷されてもよい、又は導電性コーティングで覆われてもよい。
【0139】
シート又は該シートの基材を接着防止コーティングで覆って、又はプラスチックフィルムから形成して、基層を転移させる前に裁断してもよい。
【0140】
本発明の方法はさらに湿気に対する抵抗力を増す目的のためにシートに処理を施す工程を含んでもよい。該シートに対し、例えば、湿潤状態における該シートの劣化を防ぐ湿潤強度剤によるWS(Wet Strength:湿潤強度)処理を行ってもよい。ポリアミドアミン-エピクロロヒドリンがシートに湿潤強度特性を与えることは知られている。例えば、該シート中の1%のKymene(登録商標)617(Hercules社)が、乾燥状態に対して、湿潤状態における15%の牽引力に対する抵抗力を有することを可能にする。
【0141】
また、本発明は上に説明した方法により得られるシートに関する。このシートの少なくとも1面が、該面の残余の部分よりも平滑度の高い領域を少なくとも1つ含む。この領域は、該面の表面よりも小さい表面上で延伸する平滑な外層を含む。該平滑な外層は導電性である又は導電層で覆われている。該導電層は、抵抗体、キャパシタ、トランジスタ、RFIDチップ、アンテナ、論理回路、メンブレンスイッチ(SWITCH)、光電池、バッテリー、エネルギーを回収するための手段、バックライトシステム、有機又は無機発光ダイオード(OLED)などの固体照明又は表示のための手段、メンブレンキーボード、及びセンサーのうち少なくとも1つの要素を定義する、又はこれらの部品の少なくとも1つと接続されている。該シートの両面はこのタイプの領域を少なくとも1つ含む。
【0142】
該シートは、少なくとも2つの前述のタイプの領域を含んでもよく、これらの領域の導電層は、例えばシート中に含まれる導体により、互いに電気的に接続可能である。
【0143】
これらの導電層は異なる電子的機能及び/又は特性を有してもよい。
【0144】
該領域又は各領域はそれぞれ該シートの前述の面の表面の50%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満に相当する表面を占めてもよい。
【0145】
該シートは例えば紙製の基材を含む。
【0146】
該導電層又は各導電層はそれぞれ国際公開公報第2012/031096号に記載されたようなマイクロメートルサイズのダイオードを複数含んでもよい(又はこのダイオードでコーティングされてもよい)。
【0147】
本発明はさらに、上に説明した方法により得ることのできるシートに関する。このシートの少なくとも1面が、該面の残余の部分よりも平滑度の高い領域を少なくとも1つ含む。この領域は、該面の表面よりも小さい表面上で延伸する平滑な外層を含む。該平滑な外層は、例えば導波管を形成する光学及び/又は光電子層で覆われている。
【0148】
さらに、該領域は少なくとも1つの導電層を含み、該導電層はより好ましくは電流により電力の供給を受けた際に光学層に対して光ビームを放射するよう意図されたマイクロダイオードで覆われている。
【0149】
本発明はさらに導波管などの光学層を有するシートを製造する方法に関し、該方法は以下の工程を含む:
a)少なくともプラスチックフィルム、接着防止コーティング、及び基層を有し、又はこれらによって構成されており、該プラスチックフィルムの面と該基層との間に該接着防止コーティングが挿入された多層構造を調製又は提供する工程;
b)該基材の面及び/又は該プラスチックフィルムの反対側に位置する該多層構造の面を接着し、該基材の前述の面を該多層構造の前述の面に当接させ、該多層構造と該基材とを直交積層させる工程;及び
c)該基層から該プラスチックフィルムと該接着防止コーティングとを剥がす工程、ここで光学層が該基層に設けられることを特徴をする。
【0150】
該光学層は、例えばコーティングなど任意の適切な技術により該基層に設けることができる。該光学層は例えば1つ又は複数のポリマーを含む。
【0151】
本発明は特に導波管などの光学層を有するシートを製造するのに有利である。例えば電磁波又は光波などの導波を行うように意図されたポリマーの層の支持体として、該基層を用いることができる。この層中を伝達する波は、該基層と該ポリマー層との間の極めて平滑かつ平坦なインタフェースに反射して、これによりポリマー層内での伝達が可能になる。
【0152】
本特許出願において、光学層とは光学的特性を有する層を意味し、特に、該層が露出される光線の少なくとも一部を反射、吸収及び/又は拡散できる層を意味する。光学層は、例えば、導波管を形成することができ、また、1つ又は複数の材料から形成することができる。
【0153】
本実施態様は、前述の特徴、特に平滑度の大きい領域をシート上に1つのみ作成すること、及び該シート上に導電層を設けることに関する特徴の各々、又は全て若しくは一部と組み合わせることができる。
【0154】
特定の場合において、該シートは前述のタイプであり、光学層を含み、このシートの基層は導電層である、又は導電層で覆われている。光学層及び導電層が延伸する領域は独立していてもよいし、少なくとも部分的に重なり合う、又は互いに接続してもよい。
【0155】
本発明のシートはさらにその基材内部、基材上、又は複数の層のうちの1つの層(基層、導電層、光学層等)上に強磁性材料の粒子を含んでもよい。これらの粒子により該シートの透磁率を変化させることができ、該シートに適用される磁界を局所的又は全域的に変化させるという機能を該シートに持たせることができる。これにより、例えば、特定の波をフィルタリングする特性をシートに持たせることができる。シートにコイルが含まれる場合、後者はその透磁率を増加させるために、鉄製の芯/核、コバルト、又はニッケルを含んでもよく、これにより例えば該シートの他のコイルとの結合が向上する。
【0156】
本発明のシートはさらに、熱拡散率を増加させる手段を含む、又は熱拡散率を増加させる処理が行われ、後者は特にシートの、熱を伝導させるキャパシティ(熱伝導率)及び熱を蓄えるキャパシティに依存する(熱容量)。シートが電子機器に関連付けられるよう意図されたものである場合、該機器の動作中に生じる熱を発散させることができるように、該シートが良好な熱拡散率を有することが好ましい。
【0157】
熱の発散は表面又は全体から行ってもよい。該シートの表面上での良好な熱の発散を可能にするため、例えば該基層の下又は支持体を形成する紙の上で、アルミニウムフィルムを該シートと一体的に設けてもよい。アルミニウムフィルムは約15μmの厚さを有してもよい。全体で熱を発散させるため、紙の支持体の材料中にこの紙の熱伝導率を上げるように意図された特定の充填剤を含んでもよい。これらの充填剤は、ダイヤモンドのナノ粒子、ファイバー若しくはカーボンブラック、又は、例えばAl2O3、AlN、MgO2、ZnO、BN、SiN4、SiC及びSiO2などの酸化物、窒化物及び炭化物であってもよい。
【0158】
添付した図面を参照しつつ、以下の非限定的な、実施例による詳細を勘案することによって、本発明の理解を深めることができ、及び本発明のその他の詳細な内容、特徴及び利点についてもより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
図1】シートを製造するための本発明の方法の工程を極めて模式的に示す図である。
図2】本発明の方法の別の実施態様を極めて模式的に示す図である。
図3-4】走査型電子顕微鏡(SEEM)によって得られたシートの画像である。
図4】本発明の方法によって得られたシートに対応する図である。
図5】本発明の方法のさらに別の実施態様の工程を極めて模式的に示す図である。
図6】本発明の方法のさらに別の実施態様の工程を極めて模式的に示す図である。
図7】本発明の方法の複数の実施態様を極めて模式的に示す図である。
図8】本発明の方法の複数の実施態様を極めて模式的に示す図である。
図9】本発明の方法の複数の実施態様を極めて模式的に示す図である。
図10】本発明の方法の複数の実施態様を極めて模式的に示す図である。
図11】本発明の方法の複数の実施態様を極めて模式的に示す図である。
図12】本発明の方法を実施する間のプラスチックフィルム、多層構造、及び/又は基層の特定の幾何学的形状を示す図である。
図13】本発明の方法の別の実施態様工程を極めて模式的に示す図である。
図14】本発明の方法の別の実施態様工程を極めて模式的に示す図である。
図15】本発明の方法のさらに別の実施態様工程を極めて模式的に示す図である。
図16】本発明の方法のさらに別の実施態様工程を極めて模式的に示す図である。
図17】本発明の方法により調製したシートを示す図である。
図18】本発明の方法により調製したシートを示す図である。
図19】本発明の方法により調製した別のシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0160】
最初に、シートを製造するための本発明の方法の工程a)、b)及びc)を極めて模式図的に示す図1を参照する。
【0161】
該方法の工程a)は、下部フィルム14、接着防止中間コーティング16及び上部基層18を含む多層構造12を調製することよりなる。この構造12の調製は、1つの工程又は複数の連続する工程で行うことができる。
【0162】
該接着防止コーティング16及び該基層18は、例えばカーテンコーティング技術により、該プラスチックフィルム14上に同時に設けることができる。
【0163】
または、該接着防止コーティング16をラスチックフィルム14上に塗工し、次いで基層18を該接着防止コーティング上に設けてもよい。
【0164】
該プラスチックフィルム14の上面20の表面品質は(接着防止コーティング16を介して)該基層18の下面22に受け継がれる。このように、該基層の面22の表面特性は該プラスチックフィルム14の面20の表面特性によって定められる。
【0165】
該基層を乾燥及び/又は固化した後も、面22の表面特性は変わらず、本発明の他の工程が行われている間、特に、コーティングされる、例えば紙である基材24上に該基層18を移す間にも変化しないように意図されている。
【0166】
本発明の方法の工程b)は、該基層18の上面28上又はコーティングされる該基材24の下面30上に、又はこれら2つの面28及び30の双方に、接着剤26の層又はフィルムを設け、次いで、該多層構造12と該基材24とを積層又は直交積層させて積層体又は直交積層体32を形成するために、これらの面28及び30を互いに当接させることからなる。
【0167】
本発明の方法の工程c)は、該基層18から該プラスチックフィルム14及び該接着防止コーティング16を剥がし、この層18(及び接着剤26)のみを該基材24上に残すことからなる。
【0168】
工程b)及び工程c)は、同時に、或いは順々に行うことができる。後者の場合、該プラスチックフィルム14を剥がす際、該接着剤26は、有利には、乾燥状態及び/又は固化状態とする。
【0169】
工程c)の最後で、基層18の面22は露出され、この時の面は比較的平滑となっている。
【0170】
図2は、本発明の方法の別の態様を示し、特に多層構造12'が、該基層18の上面28に設けられた少なくとも1つの増設層34をさらに含む点において、図1を参照して上に説明した方法とは異なる。
【0171】
複数のさらに重ね合わせた増設層34は、該基層18の面28上に(同時に又は連続して)設けることができる。
【0172】
工程b)において、該基材24の下面30又は該増設層34の上部自由面36(構造12'が複数の増設層を含む場合には、該プラスチックフィルムから最も離間した層)は、接着剤26で覆われている。または、これら2つの面30及び36の双方が接着剤26で覆われている。
【0173】
工程c)において、多層構造12'及び基材24は積層又は直交積層され、積層体又は直交積層体32'を形成し、次いで、該プラスチックフィルム14と該接着防止コーティングとを剥がすことで、該シート10’の基層18の平滑面又は超平滑面22が露出する。
【0174】
該シートの基層18の性質は本発明の方法の実施態様に応じて可変であってもよい。
【0175】
該基層18は、例えば金属などの導電性材料で実現することができる。該基層18は、例えば、真空蒸着又は他の適切な技術を用いて該接着防止コーティング16上に設けられる薄い金の層で形成される。
【0176】
または、該基層18自体を導電性とすることはできないが、該方法の導電性フィルムでコーティングする(工程d1)、又は電気的特性を有するインクで印刷を行うことができる(工程d2))。
【0177】
該基層18を金属フィルムで覆う場合、後者は該基層上の本来の位置に形成することができ、又は、例えば接着により、該基層上に追加及び固定することができる。このフィルムは、例えば金のフィルムである。
【0178】
該基層18が印刷可能である場合、樹脂、又は印刷可能なワニス、又はバインダー及び可能であれば顔料を含む紙コーティングから形成してもよい。該層18は、インクが該シート10の平滑面22上に塗工されるように意図されているため、任意の適切な技術により印刷が可能である。
【0179】
該インクは金属粒子、カーボン及び/又は導電性ポリマーの粒子を含んでもよく、該粒子はマイクロメートル又はナノメートル級の粒子でもよい。工程d2)は、インクの層が連続した導電層を形成するように印刷済シートの焼き鈍し工程を行うサブ工程を含んでもよい。これは、例えば、焼き鈍し工程の際に融合するように意図された金属粒子が該インク中に含まれる場合である。
【0180】
全ての実施態様において、導電性シート、すなわち良好な導電性を有し、特に表面抵抗率が0.3Ω/sq未満、より好ましくは0.15Ω/sq未満であり、例えば約0.05Ω/sqまでの抵抗を有する層を少なくとも1つ含むシートを製造することが可能になる。
【0181】
本発明のシートの表面抵抗率は、4ポイントデバイス又は装置によって測定することができる。この方法は、該シートの表面上に散在して配置された接点を用いる。これらの接点は金属ティップにより実現される。2つのティップが電流の供給に用いられ、別の2つのティップが電圧の測定に用いられる。これら4つのティップは、該シートの表面の仮想四角形の4つの角に配置される、又は、該紙の表面の仮想線上に順々に並べられる。10nAから99Maまでの電流を与えるJandel RM3電流発生器に連結されたJandel 4ティップデバイス(ユニバーサルプローブ)を用いることもできる。計測された抵抗は表面抵抗率(ohm/□又はΩ/sq)で表わされ、R□と表記される。該デバイスはΔV/I比を測定し、これはシートの抵抗率に関連付けることができる。厚さe及び抵抗率ρを有する薄い層を用いる場合を説明する。該厚さは他の寸法に対して無視できる程度のものであり、以下で与えられる伝導の二次元モデルが実現できる: V/I = K.ρ/e = K.R□。Kは2Dジオメトリの特徴である無次元の係数である。ρ/e比は層を特徴付け、R□(ohm/□)と表記される。係数Kは、特に単純な場合に、分析的に計算することができる:K = log(2)/π。
【0182】
ここで、本発明を示す実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0183】
(実施例1)
本発明の方法の工程a)から工程c)による、多層構造及びシートの実現。
【0184】
複数の多層構造が、紙製の基材(Arjowiggins社のBristol board及びMaine gloss)を用いて本発明の方法の工程a)を再現することで実現された。
【0185】
該方法の工程b)を実行するのに最も適した接着剤を決定するために、試験を行った。使用する接着剤は、該多層構造に対して、該層上に紙を定着させ、工程c)においてプラスチックフィルムを剥がす際に該紙がこの層から剥離しないように十分に定着する必要があった。
【0186】
我々は次の3種類の接着剤の試験を行った:a)溶媒を含む二成分PU接着剤(Rexor社の参照番号AD1048)、b)溶媒を含む単一成分PU接着剤(COIM社の参照番号NC320)、及びc)溶媒を含まない単一成分PU接着剤(COIM社の参照番号SF2930)。
【0187】
試験は、該多層構造への紙の接着の度合いを決定するために接着テープを用いて行った。該接着剤a)をBristol boardの接着に用い、該接着剤b)をMaine gloss紙の接着に用いたが、最良の結果は、紙よりも、該多層構造に対してPU接着剤を塗布した場合に得られた。
【0188】
(実施例2)
該シートの基層上の本来の位置に形成される、薄い金のフィルムを含むシートの調製((工程d1)を含む方法)。
【0189】
本発明の方法によって得られたシートの該基層上への金フィルムの設置は、DEP280マシンによって真空で行われる。このマシンはチタン、銅、又は金など多くの金属の真空蒸着を可能にする。この場合、目の細かい金の層がシートの基層上に設けられる。これに先立ち、該シートはガス抜きのために炉に入れられる(100℃)。これにより、圧力が低下する。密封体中の圧力は9.5.10-7mbar(約14分間)及び8.10-7mbar(約25分間)である。まず最初に、プレ噴射が120秒間行われる。続いて、375秒間の噴射が行われる。シート上に塗工される金は最終的に30nmの厚さになる。該マシンにより、3シートまで同時に処理することができる。
【0190】
(実施例3)
実施例2で得られたような金属層でコーティングされたシートを用いたフォトリソグラフィー工程の実施。
【0191】
厚さ1.8μmのポジ型樹脂(約2mLの樹脂を表す)が、スピンコーティングにより、3000rpmの速度の回転で、実施例2で得られたような金属層でコーティングされたシートのサンプル(寸法11*11cm)上に設けられる。この操作は約15秒間続く。ポジ型樹脂とネガ型樹脂との差は、フォトリソグラフィーの光線(照明)を受ける領域が拡張する間に生じる。第1の場合、該拡張の間に該露出領域が消失し、第2の場合、露出しない領域が消失する。
【0192】
該樹脂の架橋のために、シートが炉内に置かれる。これは115℃の温度で、約5分間継続して行われる。照明の工程のために、クオーツマスクがシート上に配置され、このマスクはパターンを有し、光線がパターンの存在しない領域を通過するように意図される。
【0193】
照明は5mWの電力で行われ、10秒間続く。この時間は塗工する樹脂の厚さ及び光線の強度に依存する。この工程が完了した時点で、マスクはアセトンで洗浄される。そして、拡張のフェーズが行われる。照明の後、水酸化テトラメチルアンモニウム(MF-319)と称される製品が拡張に用いられる。この工程は1分間続く。これにより、肉眼で視認可能なパターンを該シート上に出現させることができる。これはポジ型樹脂を用いるため、デベロッパは露出する樹脂を除去する。そして、金属層に残って露出している樹脂を除去するために、該シートがエッチングバス内に置かれる。ヨウ素カリウム/カリウムヨウ化物(KI/I2)の混合物が用いられる。この工程は20秒間続く。水による洗浄を行った後、該金属層及び露出しない樹脂のみが残る。可能な限り水分を除去する目的のため、シートは115℃で数分間焼き鈍される。そして、ストリッピングにより、該金属層から該樹脂が除去される。このために、サンプルが15分間アセトンバスに浸され、超音波を用いて、残った樹脂が剥がされる。
【0194】
シートは極めて良好な熱安定性を有し、連続的な熱処理により変質することもない。
【0195】
(実施例4)
実施例2で得られたようなシート上に設けられた金属層に対するレーザーアブレーション工程の実施。
【0196】
該レーザーアブレーションは、Tamarack Scientific社製のマシンにより実行が可能である。レーザーは、オペレータによって定義される領域を裁断する。レーザーによるストレスを受ける(金などの)該金属層が衝撃を吸収し始め、それから後者の熱が伝搬する。この現象により拡張における差が生じ、金属の最終のアブレーションが行われる。このアブレーションの技術はサブトラクティブ法であり、ダイレクトパターン式である。これは、どの製品も加えることなくパターンが実現されることを意味する。ここで、マスクを通過してその支持体から成分を抜き取るのは該レーザービームである。ビームの強度はサンプリングする材料及び該材料の量に調節される。材料のレーザーアブレーション後の最終的な結果は、該材料の性質、並びに熱及び機械的特性の影響度に依存する。
【0197】
試験により、レーザーアブレーションに対する該シートの良好な熱及び機械的強度が示され、レーザーを介して形成されるパターンの良好な定義が示された。
【0198】
(実施例5)
実施例3及び4で得られたシートを用いた電子部品の製造の実施例。
【0199】
実施例3及び4で得られたシートの金属層を誘電材料の層でコーティングし、そして、キャパシティを実現するため、これらの誘電層自体を薄い銀の層でコーティングした。
【0200】
実施例3及び4で得られたシートの他の金属層は、抵抗体を実現するために、カーボンインクで印刷された。
【0201】
(実施例6)
印刷可能な基層を各々含むシートを製造する実施例。
【0202】
本発明の方法は、特に電気的特性を有するインクで印刷が可能な基層を各々含むシートを製造するのに用いられる。
【0203】
3種類の異なる紙コーティングが用いられ、これらをそれぞれA、B及びCの文字で識別した。これらは、(Carbital 95というブランドの下で販売されている)粉末状の炭酸カルシウムベースとバインダーとを含む層である。各層の他の製品は、粘度の調節、バインダーの架橋、又は層の拡張の促進のために用いられる。
【0204】
A層、B層及びC層間の差は主にはこれらのバインダー比であり、各層の全乾燥重量(または全乾物重量)に対して、乾燥重量で、A層では16.2%、B層では8.8%、そしてC層では16.2%である(このうち8.1%がバインダーであり、8.1%が副バインダー又は接着促進剤である)。
【0205】
これらの層の組成の詳細を以下のテーブルに示す。
【表1】
【0206】
アルカリアンモニア20%は水溶液である。Dispex N40は溶液中で分散剤及び乳化剤として用いられるアニオン性ポリアクリレートである。Calgon PTHは粉末状で分散剤として用いられるリン酸塩である。Empicol LZは粉末状の湿潤剤である。Agnique EHS 75Eは液体の湿潤剤である。Surfinol 420は消泡剤、分散剤及び湿潤剤として用いられる。Carbital 95 78%は液体媒体中の炭酸カルシウムの顔料である。Styronal D517及びAcronal S305はバインダーを形成するラテックスである。Styronal D517はスチレンブタジエンラテックスであり、Acronal S305はスチレン/ブチルアクリレート(スチレン-アクリル)である。AZC(炭酸ジルコニウムアンモニウム)は液体不溶化剤である。Sterocoll FDは流動性改質剤として用いられるアクリル酸である。消泡剤1512 Mは液体消泡剤であり、ダイヤモンドはエチレン共重合体-アクリル酸(EAA)をベースとする副バインダー又は接着促進剤である。
【0207】
Arjowiggins社から販売されている複数の紙が、本発明の方法によりシートを製造するのに用いられた。各シートは、印刷可能層(A、B、又はC)、又は重ね合わされた2つの印刷可能層(A+A、A+B、又はA+C)を含む。2つの印刷可能層を有するシートの場合、第1のA層は該接着剤上に設けられ、したがって最終製品では第2層又は外層(A、B、又はC)の下に位置する。
【0208】
該方法において送り手として用いられる2つのプラスチックPETフィルムの試験を行った。第1のフィルムは標準PETフィルムであり、第2のフィルムはより平滑なPETフィルム(参照番号42)である。
【0209】
以下のテーブルに、本発明の方法により実現される様々なシートの特徴をまとめる。
【0210】
富士フィルム製のDimatixマシン及びスクリーン印刷により、圧電効果インクジェットを介した印刷試験を行った。銀ナノ粒子をベースとする2種類のインクが用いられた(Sunjet U5603及びSICPA 9SP7214)。
【0211】
シートの基層は、インクの層で印刷を行って、そして、別のインクの層を再度印刷する前に焼き鈍し工程が行われ、その後別の焼き鈍し工程が行われてもよい。この場合、最初の焼き鈍し工程の後、シートを適切な位置に保管する及び/又は該シートに特定の処理を施すことができるため、再度の印刷を行う前に(焼き鈍し前に)該シートがその初期湿度を回復する。
【表2】
【0212】
該インク層の抵抗は、可能な限り低くする必要がある。紙への印刷の回数がその抵抗に影響を及ぼすことが認められている。より多くのインク層が紙に含まれるほど、抵抗は低下する。2層のインクでコーティングされた紙についての試験3、4及び7を比較すると、試験4及び試験7における非多孔性の層のほうが試験3の多孔層よりも低い抵抗を有することがわかる。非多孔性の外層(A又はC)を含むシートは抵抗の観点において良好な結果を示した。これに対し、多孔性又は開いた層であるB層を有する各シートはこの点について良好な結果を示さなかった(最初の2回の試験参照)。
【0213】
これは、多孔層が該シートへより多くのインクを吸収させるために、連続的なインクの層が表面上に形成されないということから説明が可能である。
【0214】
このような多孔性によるシート間の差は、Maine Gloss 2858で印刷が行われる表面(多孔性又は開いたシート-第1試験)及びMaine 2828で印刷が行われる表面(閉じた又は非多孔性シート-試験12から15)のSEM写真を示す図3及び図4に明らかに示される。
【0215】
層の多孔性は該層のバインダー比によって特徴づけることも可能であり、ポアサイズインクによる試験を行ってこれを測定することも可能である。
【0216】
ポアサイズインクによる試験は、(黒色着色剤を含む)特殊なインクをシート上に塗工してその挙動を経時的に観察することにより、このシートの吸収能力及びインクの浸透速度の測定を可能にする。この試験はさらに、印刷後のシートの光学的密度の変化を見積もることも可能にする。
【0217】
ここで使用するインクは参照番号3809で販売されているLorilleux社のポアサイズインクである。これは黒色着色剤が低い割合で溶解されたワニスである。
【0218】
該シートは接着テープを用いて清潔かつ平滑な作業面上に固定される。2.4mmの寸法及び328g相当の質量を有し、事前にインク付けされた(薄いフィルム)青銅金属スタンプが、試験を行う表面上にインクの滴を置く。クロノメーターで評価した接触時間(t = 0s、7s、15s、30s、60s、及び120s)が経過した後、余ったインクが布(より好ましくは柔らかく、リントフリーの布)で完全に拭き取られる。印刷面上に残留物を残さないために、この操作は、単一の動作で、一方向に向けて強く行うことが必須である。このような動きの後に、彗星の尾の形をした明瞭な印刷が生じる。
【0219】
該インクは、シート内に浸透することで、吸収されたインクの量に応じて、シートの表面に多少の色を付ける。該シート上の染色の光学的密度は反射濃度計を用いて測定される。光学的密度の変化はこのようにインクの浸透時間に応じて評価が可能であり、シートの吸収の速度及びキャパシティに対してグローバルな指標を有することができる。
【0220】
以下の表に、本発明の方法により得られた複数のシートの印刷可能な基層上に塗工されたインクの光学的密度の変化を示す。この光学的密度の変化は、これらの層へのインクの塗工後の時間(秒)の経過に従う。
【表3】
【0221】
閉じた層は、0sでのインクの低密度により特徴付けられ、この密度は経時的にも変化しない、或いは僅かにしか変化しない。これに対し、多孔層は最初から高い密度を有し、特に経時的にもこの密度が増加する。
【0222】
閉じた基層を有するシート(試験4から15、及び22)とは異なり、多孔性の基層を含む該シート(試験1から3及び17から21)が良好な結果を示さない(インクの光学的密度における、経時的な大きな変動)ことがわかる。
【0223】
したがって、印刷可能な基層を各々有するシートを用いることが重要である。印刷可能な基層の場合、この多孔性は、上に説明した通り、該基層のバインダー比によって制御され、このバインダー比は、本発明によれば、該層の乾燥重量に対して乾燥重量で15%よりも高い必要がある。送り手として使用するフィルムの種類による差は見られなかった。
【0224】
(実施例7)
本発明の方法によって得られたシートの表面の開口率を画像分析を介して測定することでの、該シートの表面多孔性の評価。
【0225】
実施例6で得られ、図3及び図4に示したようなSEM画像を、該シートの基層表面の孔の開口率を測定するために分析した。シートの多孔性の表面開口率は大幅に変化することがわかった。
【表4】
【0226】
我々はまず、開いた表面は全体的に比較的少ないことを観察した(<6%)。バインダー比は、該シートの開口率に対して重大な影響を及ぼす。特に、乾燥重量で16.2%以上のバインダー比を有するシートは開口率が1.55%以下であり、一方、乾燥重量で8.8%以下のバインダー比を有する紙は開口率が1.88%以上である。加えて、8.1%のバインダーと8.1%の副バインダー(ダイヤモンド)とを有するシート2931(試験番号22)を除外した場合、さらに顕著な結果が得られる。
【0227】
以下の表に、試験を行ったシートの特性に対するバインダー比の影響をまとめる。
【表5】
【0228】
8.8%(乾燥重量)のバインダー比の層を有するシートは多孔性の表面を有し、これらの面では開口率が高い(少なくとも1.88%)ため、ポアサイズインクなどの液体が強力に吸収される。このように、120sと0sとの間のインクの光学的密度における差は、多孔性コーティングを備えるこれらのシートでは0.1よりも大きく、一方で、16.2%(乾燥重量)のバインダー比の層を有するシートでは、開口率が低く、ポアサイズインクによる試験での120sと0sとの間における光学的密度の差が小さい(0.1未満)。
【0229】
これらのシートにインクジェットを介して銀のナノ粒子を含むインクで印刷を行い、そしてこれらのシートに対して約150℃の熱焼き鈍しを行う時、我々は、印刷トラックの抵抗は該シートのバインダー比にも関係することを見出す。
【0230】
高いバインダー比を有する層、すなわち閉じた層を含む該シートは、抵抗性がそれほど高くない印刷トラックを残す(試験4及び6〜7で、紙2934及び2947についてそれぞれ0.13Ω/sq及び0.07Ω/sq)。0.15Ω/sq以下という値は、印刷PENプラスチックフィルムでは良好とみなされる。
【0231】
同条件下で、低いバインダー比を有する層、すなわち比較的開いた層を含むシートは、より抵抗性の高い印刷トラックを残す(それぞれ0.59Ω/sq及び3.4Ω/sq)。これは、該導電性インクが該シートの表面の孔に浸透して該トラックにおいて障害を生じさせるため、抵抗率が増加してしまうことから説明ができる。
【0232】
したがって、このことから、該バインダー比が、これらの紙の、電気的特性を有するインクによる印刷に対する適性に対し重大な影響を及ぼすと結論付けることができる。
【0233】
(実施例8)
様々な顔料を用いた、印刷可能な基層を含むシートの実現。
【0234】
一方で顔料の種類及び印刷可能な基層におけるバインダー比の影響を決定するために、他方で方法の工程b)及び工程c)で実行する移動を決定するために、追加の試験を行った。
【0235】
該方法の工程a)に従って、各々印刷可能な基層を含む複数の多層構造を調製した。
【0236】
以下の表に、該シートの基層において用いられる様々な顔料、及びこれらの各層のバインダー比をまとめる。13の異なる多層構造(AからM)を調製した。
【表6】
【0237】
カオリンは、カオリンSC 90の名称でGolden Rock Kaolin社から販売されているものである。炭酸カルシウムはCarbital 95の名称でImerys社から販売されているものである。プラスチック充填剤はRopaque Ultra Eの名称でRhom & Haas社から販売されているものであり、二酸化チタンのナノ粒子は参照番号US Titan L181でKemira社から販売されているものである。
【0238】
該方法の工程b)及び工程c)において、15%未満のバインダー比を有する基層を含む各多層構造は基材紙上に正しく転移されないことがわかった。さらに、顔料がプラスチック充填剤ではなく鉱物充填剤である基層のほうがより良好な転移結果が得られた。最良の結果は、顔料が炭酸カルシウムである基層から得られた。これは、これらの層が非常に光沢があり(したがって平滑であり)、閉じている(光学的密度の値が比較的低く、経時的に一定である)ためである。いずれの充填剤も含まない基層には、さらに、強い光沢を有し、さらに閉じた面を定義するという利点がある。
【0239】
(実施例9)
例えばトランジスタを実現するためのエンボス導電性シートの実現。
【0240】
図5に本発明の方法により実現された多層構造40を示す。この多層構造40は、以下の層が重ね合わされた面上に、PETから作成されたプラスチックフィルム42を有する:接着防止コーティング44、ITO(インジウムすず酸化物)の導電層46、P型ドープ半導体材料の層48、N型ドープ半導体材料の層50、及びアルミニウムの層52。
この構造は、該方法の工程a)の後に得られる。
【0241】
この多層構造40が次に紙製の基材54上に接着され(工程b))、その後プラスチックフィルム42が剥がされてITOの導電層46が露出する(工程c))。例えばトランジスタなどの電子部品の製造に用いることのできる導電性シートがこのようにして得られる。
【0242】
該方法の追加の工程において、ITOの層46に対して(該シートの平面に垂直な方向に)圧縮力を加えることで、該シートは、特定の領域において、当業者に公知である適切な技術によって、エンボス加工が行われる。これにより、図6に示すような凹部56が生じ、この底面に層46から52の移動した部分が互いに重なり合った状態で残る。
【0243】
(実施例10)
導電性透明シートの実現。
【0244】
本発明の方法を、導電性透明シートを製造するのに用いた。このシートは、66%の透明度を有する65g/m2の透写紙を含む。炭酸カルシウムを含み、さらに該基層の全乾物重量に対して乾燥重量で50%であるバインダーを含む印刷可能な基層は、該方法により透写紙上に転移される。ここで得られる透写紙は68.5%の透明度と10,000sよりも大きいベック平滑度とを有する。該透明シートは、次に電気的特性を有するインクで印刷が行われる。
【0245】
(実施例11)
本発明の方法により調製したシート上に印刷されたインクの光沢及び光学的密度の測定。
【0246】
本発明の方法により複数のシートを調製した。これらのシートは、(炭酸カルシウムを基とする)印刷可能な基層のバインダー比で互いに識別され、該比は9.1%から23.1%の間で異なる。
【0247】
以下のテーブルに、6種類のシートについて行った光沢測定及びポアサイズインクによる試験の結果をまとめる。
【表7】
【0248】
基層が乾燥重量で15%超のバインダーを含む場合、シートは80より高い光沢、及び0.15sから120s以下の光学的密度を有することがわかる。これは、該層の吸収性が低く、このことが良好な結果を構成することを意味する。
【0249】
ここで、シートを製造するための本発明の方法の複数の実施態様を示す図7から図11を参照する。該シートの少なくとも1つの面は、該面の残余の部分よりも平滑度の高い領域を含み、この領域は該面の表面よりも小さい表面上で延伸する。
【0250】
図7の場合、比較的大きい寸法を有するプラスチックフィルム100(幅l及び長さL)が用いられ、これらの寸法は、例えば、多層構造を受けるように意図された該シート又は紙102の寸法に類似している。プラスチックフィルムは例えばPETから作られ、幅が1.5m、長さが数十メートル、厚さが約5μmから20μmである。
【0251】
上に示したように、この大寸法のプラスチックフィルム100を用いて多層構造を調製する(工程a))。この多層構造は、接着防止コーティング、導電性の基層、接着剤の層、及びバリア層を含んでもよい。その後、該多層構造は、長さが該プラスチックフィルム100の初期の長さと等しく、幅が例えば数ミリメートル又数センチメートルであるストリップ104に裁断される。
【0252】
1つ又は複数のこのようなストリップ104が、工程b)に従って紙102に接着される。図7の場合、紙102は、実質的に平行であり互いに離間した3つのストリップ104を受ける。これらのストリップ104のプラスチックフィルムの部分はその後工程c)に従って剥がされて、平滑な領域を定義し、各々導電層を形成する又は各々導電層で覆われるように意図された独立した基層が露出する。
【0253】
このように調製された紙102は大寸法を有し、例えばA4フォーマット紙を製造するように裁断されるよう意図することができる。発明を実施する特定の場合において、紙102は、ストリップ104が裁断紙の縦エッジに沿って延伸するように裁断される。
【0254】
図7に示す実施態様は本発明の方法の前述の(iii)の場合に類似している。
【0255】
図8の場合、プラスチックフィルム200は最初に長い形状、すなわちストリップの形状を有する。このストリップの長さLは該多層構造を受けるように意図された紙202の長さに類似してもよく、幅は例えば数ミリメートル又は数センチメートルで、明らかにこの紙の幅よりも小さい。
【0256】
このプラスチックフィルム200を用いて該多層構造を調製し(工程a))、その後紙202上に接着する(工程b))。
【0257】
図8の第1の場合(右上端)において、紙202が縦エッジの1つに沿って延伸するストリップを受ける。この特定の場合は本発明の方法の前述の(iii)の場合に類似する。
【0258】
図8の第2の場合(右下端)、紙202’は紙の縦エッジの1つに沿って延伸するストリップの連続した複数の部分を受ける。この紙202’は2通りの方法で得ることができる。この紙202’は、該多層構造又は紙上の、ストリップの一部を接着する必要のある領域のみに接着剤を置くことで得ることができる(本発明の方法の(ii)及び(iii)の場合)。代替的又は追加的な特徴として、ストリップの対応する部分を紙上に接着する必要のある領域のみにおいて、該ストリップに接着圧力を加えることができる。これは、例えば、紙を製造する際に該紙に対して(特に該紙のマーキングとして)局部的圧力を加えることを可能にするエンボスプレス、スタンププレス又はホットフォイルスタンププレスによって実行が可能である。図8の第2の場合では、該紙はストリップの3つの別個の、互いに離間した部分を受け、これらは各々実質的に正方形又は長方形の形状を有している。
【0259】
該プラスチックフィルム又は該プラスチックフィルムの一部は、平滑度の大きい領域を定義する独立した基層が露出するように、その後工程c)に従って剥がしてもよい。
【0260】
図9の場合、プラスチックフィルム300は正方形又は長方形の形状を有し、この寸法(幅l及び長さL)は多層構造を受けるように意図された紙302の寸法よりも小さい。
【0261】
このプラスチックフィルム300を用いて多層構造を調製して(工程a))、その後紙302上に、図9の例では中央に接着する(工程b))。該プラスチックフィルムはその後剥がされて、基層が露出する(工程c))。
【0262】
図9に示す実施態様の例は本発明の方法の前述の(ii)及び(iii)の場合に類似している。
【0263】
図10の場合、プラスチックフィルム400は図8のものと類似したストリップ形状を有する。このストリップを用いて、接着防止コーティング及び基層をこのストリップの一部408にのみ重ね合わせることで、多層構造406を調製する(工程a))。そして、多層構造406は紙402に接着され(工程b))、図10に示すように、紙402上で独立した基層を露出させるために、プラスチックフィルム400が剥がされる。
【0264】
図10に示す実施態様の例は、本発明の方法の前述の(i)及び(iii)の場合に類似している。
【0265】
図11の場合、プラスチックフィルム500は図7のプラスチックフィルムと類似した形状を有する。このフィルムを用いて、接着防止コーティング及び基層をこのフィルムのストリップ408にのみ重ね合わせることによって、多層構造506を調製する(工程a))。次に、多層構造506は紙502に接着され(工程b))、図11の右上端に示す第1の実施態様の場合のように、紙502上で長い形状の基層が露出するように、プラスチックフィルム500が剥がされる。この実施態様の例は、本発明の方法の前述の(i)の場合に類似している。
【0266】
図11の右下端に示す代替例では、紙502’は、ストリップの連続した複数の部分を受ける。この紙502’は、図8を参照して上で説明した通りに得ることができる。該プラスチックフィルムはその後工程c)に従って剥がされる。この実施態様の例は、本発明の方法の前述の(i)及び(ii)の場合に類似している。
【0267】
図12に模式的に示すように、本発明の方法により調製した該シートの基層及び/又は導電層は、幾何学的形状(円、三角形等)や文字の形状(図示の例では「F」)など、任意の形状を有することができる。この形状は、(多層構造の調製中に)使用するプラスチックフィルム、(可能であれば裁断後に)使用する多層構造、多層構造の領域、又は接着剤を塗工する基材、及び/又は該多層構造及び該基材を直交積層させるのに用いるプレスの支持領域の形状により、取り入れることができる。
【0268】
図13及び図14は本発明の方法の別の代替例を示し、ここで多層構造612の基層618の自由面が導電性インク650で印刷されている又は導電性コーティングで覆われている。そして、この印刷面又は被覆面は、シート610の基材の面上に接着及び当接される。多層構造612は、積層工程よりも前に裁断してもよい。
【0269】
図15及び図16に本発明の方法の別の代替例を示す。ここで、該多層構造のプラスチックフィルム614上に塗工する接着防止コーティング616は、基層618が設けられるよりも前に、導電性インク650で印刷される又は導電性コーティングで覆われる。該基層及びこの導電層は(インク又はコーティング)は、その後シート610の基材上に転移される。
【0270】
図17に本発明の方法の前述の(iv)の場合、すなわち該基層を第1のシートの基材上に移す場合に従って調製したシートを示す。この第1のシートは、より好ましくは、平滑で、裁断(図示の例では、ストリップ700に裁断)され、別のシート710の基材上に接着されるように意図されるシートである。
【0271】
図18に本発明の方法により調製した、ストリップ形状の別のシートを示す。このシートの基材は接着防止コーティング又はプラスチックフィルムで覆われた紙で形成されている。ここで、プラスチックフィルム又は接着防止コーティングは、平滑度がより高い4つの離間した領域、すなわち、導電性である、又は導電層に関連付けられるもしくは関連付けられるように意図される平滑な基層を含む4つの領域によって覆われている。このシートは電子ラベルの製造に特に適している。
【0272】
図19に本発明の方法により調製した別のシートを示す。このシート810は上述の方法で調製した、平滑度がより高い領域812を含む。この領域812の一部は導電層814で覆われ、その上に国際公開公報第2012/031096号に記載されたようなマイクロダイオードが設けられ、そして該領域812のそれぞれ別の部分が、ポリマーの着色層816(それぞれ黄色(Y)、青(B)、及び赤(R))で覆われ、これらの層は各々が、検討中の層と同一のポリマー材料の少なくとも1つのストリップにより層814に当接又は接続して導波管を形成している。導電層814が電流により電力の供給を受ける場合、該マイクロダイオードは光ビームを放射し、これが、それ自体が着色光を拡散するポリマーの層816に伝わる。
【0273】
(実施例12)
シートの熱拡散率の評価。
【0274】
シートの表面(XY方向)、深部、又は全体(Z方向)における熱拡散率を決定するために、シートの試験を行った。
【0275】
第1の試験は、以下のシートに対して行った:
・3382: Arjowiggins社から販売され、本発明の方法の工程により得た(導電層なし)Powercoat(商標登録)シート(厚さ230μm)
・3384: 12μmのアルミニウムフィルムが紙と基層との間に挿入されたPowercoat(商標登録)シート(厚さ240μm)
・GD 28.09.12/1: 52°SRに精製されたCenibra/pacifico混合物を含む管理サンプル(厚さ193μm)
・GD 28.09.12/2: 52°SRに精製されたCenibra/pacifico混合物を含み、30%のBNがドープされたサンプル(厚さ193μm)
・GD 31.08.12/1: 40°SRに精製されたCenibra/pacifico混合物を含む管理サンプル(厚さ229μm)
・GD 31.08.12/4: 40°SRに精製されたCenibra/pacifico混合物を含み、20%のカーボンファイバーがドープされたサンプル(厚さ355μm)
・GD 31.08.12/5: 40°SRに精製されたCenibra/pacifico混合物を含み、60%のカーボンブラックがドープされたサンプル(厚さ294μm)
【0276】
第1試験において、トータルで約1mmの厚さを得るのに十分な数のシートがスタックに積み重ねられる。該シートはその後拡散率の結果に応じて分類される。
【表8】
【0277】
第2の試験において、スタックは都度7枚のシートを含む(したがって、同数の空気層を含む)。したがって、紙のパッケージの厚さが異なる。
【表9】
【0278】
第3かつ最終の試験においては、スタックは都度7枚のシートを含み(したがって同数の空気層を含み)、したがって、パッケージは厚さが異なる。該紙のパッケージは、デバイス中に配置される前に指の間で圧縮された。
【表10】
【0279】
GD310812-4, GD310812-5及びGD280912-2のシートは最良の結果を有し、3382及びGD280912-1のシートは良好な結果を示さない。
【0280】
(実施例13)
赤外線サーモグラフィーによる紙のシートの熱特性(熱拡散率)の特徴付け。
【0281】
この試験の目的は、シートの熱特性の差、特にこれらのシートの表面(XY方向)、深部、及び全体(Z方向)での熱拡散率を評価することである。赤外線サーモグラフィーとは、部品の熱挙動を表面温度、並びにその時間的及び空間的変化を測定することで観察する研究である。
【0282】
第1の試験(試験1)は時間的分析からなる。サンプルがグラファイト板に置かれ、締め金を用いて固定される。カメラはグラファイト板から400mmの位置に配置される。ランプとグラファイト板との間の距離は80mmである。2つのIR 650Wランプの間は45mmの間隔が空いている。該ランプの出力の振幅が0%から50%、又は0%から100%になるように、全体に周期的に熱を加える(T = 4s、6s、又は20s)。
【0283】
様々な紙をそれぞれのパフォーマンスに応じて分類するという方式が適用された(応答時間が短い = 最良パフォーマンス)。紙の厚さがそれぞれ異なるため、紙の厚さを考慮に入れる別の分類も行われた:面積当たりの厚さを応答時間で割り、これにより熱拡散率に応じた大きさ(応答時間 = 面積当たりの特徴的な長さ/熱拡散率)の情報が得られる。
【0284】
第2の試験(試験2)は安定化状態における分析よりなる。条件は時間的分析の場合と同一である。グラファイト板の設定は50℃に設定される。
【0285】
最終試験(試験3)はXYにおける試験よりなる。有孔絶縁体板は(グラファイト棒を介して)赤外線ランプ(650W)上に置かれる。穴は該ランプの2つのフィラメントの一方の上部に位置している。十分な寸法(75*75mm)のサンプル紙が2つのグラファイト棒上に置かれる。該ランプは最大出力の10%に設定される。この処理は、60℃のピーク温度に達した際の縦方向の外形を抽出することからなる。
該外形は常に同一の位置にあるため、各サンプルに同一の処理が行われる。
【表11】
【表12】
【0286】
GD280912-1紙は試験において最悪なものの1つであると見られ、GD310812-4紙は試験における最良なものの1つであると見られた(第1/第2)。
【0287】
第2シリーズのシートが調製され、透写紙とプラスチックPETフィルム(cfu = カーボンファイバー)とに対して比較された。
【表13】
【0288】
PT125紙は、該試験において最悪なものの1つであると見られ、VT_24.10.12.9紙は試験における最良なものの1つであると見られた。様々な試験において、アルミニウムフィルムが該シートの表面(x/y)の熱拡散率を大幅に改善できることが示された。深部(z)での熱拡散率については、カーボンのドーピング(ファイバー又は充填剤)及び空気量を減少させるための紙のカレンダー仕上げの2つのパラメータが非常にプラスの影響を有することが確認された。
【0289】
したがって、最良の結果は、紙(例えば厚さ200μm)にカーボンをドープし、カレンダー仕上げをして、それからアルミニウムフィルム(例えば厚さ12μm)をシートの該基層(例えば厚さ12μm)と該紙との間に挿入することである。
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