特許第6378104号(P6378104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フオトクラフト社の特許一覧

特許6378104映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法
<>
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000002
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000003
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000004
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000005
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000006
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000007
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000008
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000009
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000010
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000011
  • 特許6378104-映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378104
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/40 20060101AFI20180813BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20180813BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20180813BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20180813BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G09F9/40 301
   G09F9/33
   G09F9/00 350Z
   F16B5/02 H
   H04N5/64 501B
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-17587(P2015-17587)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-142861(P2016-142861A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591243893
【氏名又は名称】株式会社フォトクラフト社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】松本 巖
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−002541(JP,A)
【文献】 米国特許第07926213(US,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2008−0058910(KR,A)
【文献】 中国実用新案第203799606(CN,U)
【文献】 特開平03−202888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00−9/46
F16B5/00−5/12
H04N5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光表示素子が配列された表示面を有する表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置して、複数の前記表示面が連続する大形表示面が形成されている映像表示装置であって、
前記表示ユニットの隣接するもの同士を接合した状態で固定連結する固定連結手段と、
隣接する前記表示ユニットの相対前後位置を調整する前後位置調整手段が装備され、
前記前後位置調整手段が、前記固定連結手段に兼用構成され、
前記前後位置調整手段には、隣接する前記両表示ユニットの後面側に亘って配設される連結プレートと、この連結プレートの一端側部位と一方の前記表示ユニットの後面側とを固定する固定具と、前記連結プレートの他端側部位と他方の前記表示ユニットの後面側とを連結し、且つ、連結状態での調整操作によって他方の前記表示ユニットに前後方向の移動力を付与する調整連結具とが備えられ、
上下方向で隣接する前記表示ユニットを固定連結するのに、
前記連結プレートの下側部位が前記固定具で下段側の前記表示ユニットに固定され、前記連結プレートの上側部位が前記調整連結具で上段側の前記表示ユニットに連結され、
前記調整連結具には、前記連結プレートに設けた挿通孔を通して、前記表示ユニットの後面側における取付け部位に設けた雌ネジ部に螺合されるネジ部材と、前記挿通孔に挿通された前記ネジ部材と前記連結プレートとの相対前後位置を設定位置に保持するネジ保持手段とが備えられているとともに、前記連結プレートの挿通孔が上方に開口形成されている映像表示装置。
【請求項2】
前記調整連結具には、回転速度を調整する回転速度調整機構を介して前記ネジ部材を回転操作する調速操作部が備えられている請求項記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記連結プレートには、上下方向及び左右方向で隣接する四つの前記表示ユニットの後面側における角側部位に亘って配設される第1連結プレートと、上下方向又は左右方向で隣接する二つの前記表示ユニットの後面側における側辺側部位に亘って配設される第2連結プレートとが備えられている請求項1又は2記載の映像表示装置。
【請求項4】
複数の発光表示素子が配列された表示面を有する表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置して、複数の前記表示面が連続する大形表示面が形成され、
前記表示ユニットの隣接するもの同士を接合した状態で固定連結する固定連結手段と、
隣接する前記表示ユニットの相対前後位置を調整する前後位置調整手段が装備されている映像表示装置の組み立て調整方法であって、
隣接する前記表示ユニットの相対前後位置を前記前後位置調整手段で調整する第1調整工程と、
前記第1調整工程での調整後において、隣接する前記表示ユニットの表示面の接合境界部位での接合状態を拡大レンズで目視確認し、前記接合境界部位で前後方向での位置ずれがあるときには、前記前後位置調整手段で微調整する第2調整工程と、
前記第2調整工程での微調整後において、前記大形表示面を通電によって発光させ、隣接する前記表示ユニットの表示面の接合境界部位において、前後方向での位置ずれによって発生する接合境界線の有無を目視確認し、前記接合境界線が存在する場合には当該接合境界線が目視不能となるまで前記前後位置調整手段で微調整する第3調整工程と、
を実行する映像表示装置の組み立て調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子等の発光表示素子が配列された表示面を有する表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置して、複数の表示面が連続する大形表示面が形成されているLEDビジョン等の映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の映像表示装置は、複数個の表示ユニットの表示面を連続させることで所望の大きさの大形表示面を形成するものであり、その組み立て方法として、組み立て前の表示ユニットの複数個を設置現場に搬入し、この設置現場において表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置する方法が多く用いられている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、この種の映像表示装置では、隣接する表示ユニットの表示面どうしの接合境界部位に段差があると、両眼視差によって大形表示面で表示された映像中に明調子や暗調子の接合境界線が現れるため、大形表示面で美しい映像を表示するためには隣接する表示ユニットの表示面どうしの接合境界部位の段差を無くすことが重要になる。
【0004】
特に、近年、映像表示装置の高精細化(すなわち、発光表示素子の配列の高精細化)が大幅に進み、隣接する表示ユニットの表示面どうしの接合境界部位の段差が極僅かであっても接合境界線が大形表示面中に現れる状況となっている。そのため、隣接する表示ユニットの表示面どうしの前後位置の調整に非常に高い精度が求められてきている。
【0005】
この点、従来では、設置現場において、隣接する表示ユニットの固定連結によって表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置し、複数の表示面が連続する大形表示面を一旦形成し、その後、隣接する表示ユニットの接合境界部位に段差が発生している特定の表示ユニットの固定連結を緩め、当該表示ユニットの前後位置を施工者の手掌部での直接的な押し引き操作で調整し、調整後の表示ユニットを再度固定連結するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−348493号公報
【特許文献2】特開2013−190716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、個々の表示ユニットの重量が比較的重い上、複数の表示ユニットを組み立てた状態では上段側の表示ユニットの重量が下段側の表示ユニットに載荷されるため、施工者の手掌部での直接的な押し引き操作で表示ユニットの前後位置を微調整するには相当の手間と時間がかかる。
【0008】
特に、この種の映像表示装置をコンサートホール等の一時的な使用会場に設置する場合、設置工事に使用できる期間が短く(例えば、会場使用日の前日だけ等)、そのため、上述のように組み立て調整に手間と時間がかかることは、映像表示装置の採用の可否に関わる重大な問題となる。
【0009】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、表面精度の高い大形表示面を短期間で形成することのできる映像表示装置、及び、それの組み立て調整方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は、複数の発光表示素子が配列された表示面を有する表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置して、複数の前記表示面が連続する大形表示面が形成されている映像表示装置であって、
前記表示ユニットの隣接するもの同士を接合した状態で固定連結する固定連結手段と、
隣接する前記表示ユニットの相対前後位置を調整する前後位置調整手段が装備され、
前記前後位置調整手段が、前記固定連結手段に兼用構成され、
前記前後位置調整手段には、隣接する前記両表示ユニットの後面側に亘って配設される連結プレートと、この連結プレートの一端側部位と一方の前記表示ユニットの後面側とを固定する固定具と、前記連結プレートの他端側部位と他方の前記表示ユニットの後面側とを連結し、且つ、連結状態での調整操作によって他方の前記表示ユニットに前後方向の移動力を付与する調整連結具とが備えられ、
上下方向で隣接する前記表示ユニットを固定連結するのに、
前記連結プレートの下側部位が前記固定具で下段側の前記表示ユニットに固定され、前記連結プレートの上側部位が前記調整連結具で上段側の前記表示ユニットに連結され、
前記調整連結具には、前記連結プレートに設けた挿通孔を通して、前記表示ユニットの後面側における取付け部位に設けた雌ネジ部に螺合されるネジ部材と、前記挿通孔に挿通された前記ネジ部材と前記連結プレートとの相対前後位置を設定位置に保持するネジ保持手段とが備えられているとともに、前記連結プレートの挿通孔が上方に開口形成されている点にある。
【0011】
つまり、この構成によれば、前記前後位置調整手段で隣接する表示ユニットの相対前後位置を調整するとともに、前記固定連結手段で表示ユニットの隣接するもの同士を接合した状態で固定連結することで、表示面どうしを位置合わせした状態で隣接する表示ユニットを簡単に固定連結することができる。したがって、表面精度の高い大形表示面を短期間で形成することができる。
【0013】
上記構成によれば、前記前後位置調整手段と前記固定連結手段との部品を共通化したり、操作を共通化することが可能となり、構造の簡素化や組み立て調整作業の簡略化を図ることができる。
【0015】
上記構成によれば、連結プレートの一端側部位と一方の表示ユニットの後面側とを固定具で固定するとともに、連結プレートの他端側部位と他方の表示ユニットの後面側とを調整連結具で連結することで、隣接する表示ユニットを固定連結することができる。
【0016】
そして、調整連結具に対する調整操作によって他方の表示ユニットに前後方向の移動力を付与することで、隣接する表示ユニットの表示面どうしの位置合わせを簡単且つ高精度に行うことができる。したがって、固定連結手段を兼ねる前後位置調整手段を合理的に構成することができる。
【0018】
つまり、上下方向で隣接する表示ユニットのうち、下段側の表示ユニットには上段側の表示ユニットの重量の一部又は全部が積荷されるため、下段側の表示ユニットは上段側の表示ユニットに比べて移動させるのが難しい。
【0019】
これに対し、上記構成によれば、上下方向で隣接する表示ユニットを固定連結するにあたり、前記調整連結具で前記連結プレートと連結する対象を移動させ易い上段側の表示ユニットとし、この移動させ易い上段側の表示ユニットに調整連結具に対する調整操作で前後方向の移動力を付与することができるので、上下方向で隣接する表示ユニットの表示面どうしの位置合わせを効率的に行うことができる。
【0021】
上記構成によれば、前記調整連結具は、前記連結プレートに設けた挿通孔を通して、前記表示ユニットの後面側における取付け部位に設けた雌ネジ部に前記ネジ部材を螺合させることで、前記ネジ保持手段でネジ部材の位置が保持された状態で前記表示ユニットと連結プレートとを連結することができる。
【0022】
そして、前記固定具で一方の表示ユニットに連結プレートを固定し、且つ、上述の如く調整連結具で他方の表示ユニットに連結プレートを連結させた状態で、調整連結具のネジ部材の雌ネジ部に対するネジ込み量(螺合量)を調整操作することで、連結プレートを反力支点として他方側の表示ユニットに前後方向での移動力を付与することができる。
【0023】
したがって、前記ネジ部材を回転させる簡単な操作で、隣接する表示ユニットの固定連結と両表示ユニットの相対前後位置の調整とを行うことができる。
【0024】
更に、前記ネジ部材は、連結プレートの挿通孔に対し、それの孔軸心方向に交差する連結プレートの上方側から挿入配置することができるので、ネジ部材と連結プレートとの相対前後位置を保持するネジ保持手段の構造として、例えば、ネジ部材のネジ軸心方向の二箇所に移動規制用のフランジ等を一体形成するシンプルな構造を採用すること等も可能となり、調整連結具の設計自由度を高めることができる。
【0025】
しかも、上下方向で隣接する表示ユニットは、上段側の表示ユニットの自重によって接近側に重力付勢されているので、挿通孔に挿入配置されて上段側の表示ユニットに連結された調整連結具が挿通孔の上部開口から抜け出して上下方向で隣接する表示ユニットが分離する虞も実用上存在せず、両表示ユニットの固定連結に支障はない。
【0026】
本発明の第特徴構成は、前記調整連結具には、回転速度を調整する回転速度調整機構を介して前記ネジ部材を回転操作する調速操作部が備えられている点にある。
【0027】
つまり、この構成によれば、前記調整連結具の前記調速操作部に対する操作によって回転速度調整機構で調整された回転速度で前記ネジ部材を回転操作することができる。
【0028】
それ故に、この調速操作部に対する操作によって調整連結具のネジ部材の雌ネジ部に対するネジ込み量(螺合量)を調整して表示ユニットに前後方向での移動力を付与するにあたり、例えば、回転速度調整機構でネジ部材の回転速度を減じてトルクを高めることで、積載重量が大きくて移動させ難い表示ユニットの前後移動を容易に行うことができるとともに、表示ユニットの前後位置の微調整を一層精密に行うことができる。
【0029】
また、この調速操作部による操作で回転速度調整機構を介してネジ部材を回転操作する操作方法と、回転速度調整機構を介さずに直接的にネジ部材を回転操作する操作方法とを使い分けることで、表示ユニットの前後位置の調整を更に効率的に行うこともできる。
【0030】
更に、例えば、調速操作部で調整するネジ部材の回転速度を適宜に変更可能とすることで、表示ユニットの移動抵抗や移動量、前後位置の調整精度等に応じた回転速度でネジ部材を回転させる形態で表示ユニットの前後位置の調整を効率的に行うこともできる。
【0031】
本発明の第特徴構成は、前記連結プレートには、上下方向及び左右方向で隣接する四つの前記表示ユニットの後面側における角側部位に亘って配設される第1連結プレートと、上下方向又は左右方向で隣接する二つの前記表示ユニットの後面側における側辺側部位に亘って配設される第2連結プレートとが備えられている点にある。
【0032】
上記構成によれば、例えば、矩形状の多数の表示ユニットで矩形状の大形表示面を形成する場合、大形表示面の中央側部位で隣接する四つの表示ユニットは前記第1連結プレートで固定連結し、大形表示面の側辺側部位で隣接する二つの表示ユニットは前記第2連結プレートで固定連結することができる。つまり、大形表示面の中央側部位と側辺側部位とで夫々に適した連結プレートを使用して大形表示面を効率的に形成することができる。
【0033】
本発明の第特徴構成は、複数の発光表示素子が配列された表示面を有する表示ユニットの複数個を上下方向及び左右方向に接合配置して、複数の前記表示面が連続する大形表示面が形成され、
前記表示ユニットの隣接するもの同士を接合した状態で固定連結する固定連結手段と、
隣接する前記表示ユニットの相対前後位置を調整する前後位置調整手段が装備されている映像表示装置の組み立て調整方法であって、
隣接する前記表示ユニットの相対前後位置を前記前後位置調整手段で調整する第1調整工程と、
前記第1調整工程での調整後において、隣接する前記表示ユニットの表示面の接合境界部位での接合状態を拡大レンズで目視確認し、前記接合境界部位で前後方向での位置ずれがあるときには、前記前後位置調整手段で微調整する第2調整工程と、
前記第2調整工程での微調整後において、前記大形表示面を通電によって発光させ、隣接する前記表示ユニットの表示面の接合境界部位において、前後方向での位置ずれによって発生する接合境界線の有無を目視確認し、前記接合境界線が存在する場合には当該接合境界線が目視不能となるまで前記前後位置調整手段で微調整する第3調整工程と、
を実行する点にある。
【0034】
つまり、上記構成によれば、第1調整工程において、隣接する表示ユニットの相対前後位置を前後位置調整手段で調整(1次調整)した後、第2調整工程において、拡大レンズによって判別可能な高い精度で隣接する表示ユニットの相対前後位置を前後位置調整手段で微調整(2次調整)する。更に、その後、第3調整工程において、前記大形表示面を通電によって発光させた状態での両眼視差によって判別可能な一層高い精度で隣接する表示ユニットの相対前後位置を前後位置調整手段で微調整(3次調整)する。
【0035】
すなわち、この構成によれば、少なくとも3段階の確認・調整工程を精度が高くなる順に実行することで、表面精度の高い大形表示面を手戻りなく短期間で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】映像表示装置の前面側斜視図
図2】映像表示装置の後面側の要部の斜視図
図3】前後位置調整手段(固定連結手段)の分解図
図4】映像表示装置の後面側の要部の分解図
図5】上下方向で隣接する表示ユニットの前後位置調整方法を示す一部破断側面図
図6】左右方向で隣接する表示ユニットの前後位置調整方法を示す一部破断平面図
図7】映像表示装置の組み立て調整方法を示す説明図
図8】別実施形態の前後位置調整手段(固定連結手段)の分解図
図9】最下段の表示ユニットの固定連結部位を示す一部破断側面図
図10】最下段の表示ユニットの固定連結部位を示す一部破断平面図
図11】(a)別実施形態の調整連結具を示す側面図、(b)XIb−XIb線断面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、コンサート会場や展示ブース、展示室等の各種の被設置箇所に設置して用いられる映像表示装置1を示し、この映像表示装置1は、前面(正面)の全域に亘って表示面2Aを有する複数の表示ユニット2と、これらの表示ユニット2を支持する支持体3とから構成され、複数の表示ユニット2を所定の相対姿勢で上下方向及び左右方向に接合配置することで、各表示ユニット2の表示面2Aが連続する大形表示面1Aが前面に形成されている。
【0038】
前記支持体3は、各表示ユニット2を後面側(背面側)及び下方側から支持するように構成され、例えば、縦方向や横方向に延びる多数のフレーム等をベースの上方に組み付けて構成されている。なお、当該支持体3としては、コンクリート製等の壁体等の各種の構造を採用することができる。
【0039】
前記表示ユニット2は、横長矩形薄箱状のユニット本体2B(図2参照)の前面に前記表示面2Aを配設して構成されている。このユニット本体2Bの表示面2Aには、LED素子等の発光表示素子(図示省略)の多数個が上下方向及び左右方向に密に配列されている。
【0040】
そして、当該ユニット本体2Bには、多数の発光表示素子を駆動制御する駆動制御装置(図示省略)が内蔵され、ケーブル(図示省略)を介して別の表示ユニット2の駆動制御装置と連携して映像表示装置1の大形表示面1Aに単一の大形映像を映し出せるように構成されている。
【0041】
図2は、映像表示装置1の後面側の要部の斜視図であり、同図に示すように、ユニット本体2Bの後面側の四隅には、隣接する表示ユニット2どうしの固定連結や表示ユニット2どうしの相対前後位置の調整、当該表示ユニット2の支持体3への取り付け等に用いられる角柱状の取り付け台2D(取り付け部位の一例)が突設されている。なお、図2において支持体3は省略している。
【0042】
そして、この映像表示装置1には、表示ユニット2の隣接するもの同士を接合した状態で固定連結する固定連結手段Aと、隣接する表示ユニット2の相対前後位置を調整する前後位置調整手段Bとが装備されている。
【0043】
当該固定連結手段Aと前後位置調整手段Bとは、部品及び操作を共通にするものとして兼用構成され、具体的には、図3図4に示すように、隣接する表示ユニット2の後面側に亘って配設される金属製等の連結プレート4と、この連結プレート4の下端側部位(一端側部位の一例)4bと一方の表示ユニット2の後面側とを固定する固定具5と、連結プレート4の上端側部位(他端側部位の一例)4aと他方の表示ユニット2の後面側とを連結し、且つ、連結状態での調整操作によって他方の表示ユニット2に前後方向の移動力を付与する調整連結具6とから構成されている。
【0044】
なお、前記連結プレート4は、例えば、ボルト・ナット等の取り付け手段で支持体3に接続可能に構成されていたり、支持体3を構成するフレーム等に一体形成することで支持体接続手段に兼用構成されていてもよい。
【0045】
前記連結プレート4には、図3(a)及び図4(a)に示すように、上下方向及び左右方向で隣接する四つの表示ユニット2の後面側における角側部位に亘って配設される第1連結プレート4Aと、図3(b)及び図4(b)に示すように、上下方向又は左右方向で隣接する二つのユニット本体2Bの後面側における側辺側部位に亘って配設される第2連結プレート4Bとが備えられている。
【0046】
第1連結プレート4Aは、上下方向及び左右方向で隣接する四つの表示ユニット2の後面側における角側部位に集合配置される四つの取り付け台2Dの端面形状に対応して、前後面視で略正方形状に構成されている。
【0047】
第1連結プレート4Aの上端側部位4aの前面(表示ユニット2側に位置する面)には、後述するネジ保持手段Dの収容部と調整連結具6による調整代として用いられる空間を構成するための凹部4dが窪み形成されている。当該凹部4dは、第1連結プレート4Aの上端側部位4aの厚み寸法を下端側部位4bの厚み寸法よりも設定寸法分だけ小にすることで構成されている。
【0048】
この第1連結プレート4Aの上端側部位4aの左右の二箇所には、隣接する二つの表示ユニット2に連結させる二つの調整連結具6の各々を挿入配置可能な調整連結具用挿通孔4eが形成されている。当該調整連結具用挿通孔4eは、調整連結具6を上方側から挿入配置可能なように、第1連結プレート4Aの上側辺部(側辺部の一例)において上方に開口する半長円形状に構成されている。
【0049】
他方、第1連結プレート4Aの下端側部位4bの左右の二箇所には、隣接する二つの表示ユニット2に連結させる二つの固定具5の各々を挿入配置可能な円形状の固定具用挿通孔4fが形成されている。
【0050】
第2連結プレート4Bは、上下方向又は左右方向で隣接する二つの表示ユニット2の後面側における側辺側部位に集合配置される二つの取り付け台2Dの端面形状に対応して前後面視で略長方形状に構成されているとともに、調整連結具用挿通孔4eと固定具用挿通孔4fとが左右中央位置に各一つ形成されている。なお、第2連結プレート4Bのその他の構成は、上述した第1連結プレート4Aと同一であるので、同一の構成箇所には同一の番号を付して説明は省略する。
【0051】
前記固定具5は、図3図4に示すように、連結プレート4の固定具用挿通孔4fを通して、表示ユニット2の取り付け台2Dの端面に形成されたネジ孔(雌ネジ部)2aに螺合可能なネジ軸部5A(雄ネジ部)を備えたネジ部材として構成されている。
【0052】
この固定具5におけるネジ軸部5Aの後端側には、ネジ軸部5Aを固定具用挿通孔4fに挿通させた状態で固定具用挿通孔4fの開口周縁部に当て付け可能なネジ頭部5Bが一体形成されている。当該ネジ頭部5Bには、六角レンチ等の操作具で回転操作するための操作部が形成されている。
【0053】
そして、図3図5に示すように、連結プレート4の固定具用挿通孔4fを通して固定具5のネジ軸部5Aを表示ユニット2における取り付け台2Dのネジ孔2aにねじ込むことで、連結プレート4の下端側部位4bの前面が一方側(図中下側)の表示ユニット2の取り付け台2Dの端面に当接する状態で、連結プレート4の下端側部位4bが一方側(図中の下段側)の表示ユニット2に締め付け固定されている。
【0054】
前記調整連結具6は、図3図4に示すように、連結プレート4の調整連結具用挿通孔4eを通して表示ユニット2の取り付け台2Dの端面に形成されたネジ孔(雌ネジ部)2aに螺合可能なネジ軸部6A(雄ネジ部)を備えたネジ部材として構成されている。
【0055】
この調整連結具6におけるネジ軸部6Aの後端側には、ネジ軸部6Aを調整連結具用挿通孔4eに挿通させた状態で調整連結具用挿通孔4eの開口周縁部に当て付けられるネジ頭部6Bが一体形成されているとともに、ネジ軸部6Aの前後中間部位には、径方向外方に突出する環状のフランジ部6Dが溶接や接着剤等で一体形成されている。なお、前記ネジ頭部6Bは、把持操作のし易い大型の円柱状のグリップ部として構成されているとともに、その外周面は滑り難い粗面に形成されている。
【0056】
前記ネジ頭部6Bとフランジ部6Dとの対向面間の離れ寸法は、連結プレート4の上端側部位4aの厚みよりも若干大に設定され、ネジ軸部6Aにおけるネジ頭部6Bとフランジ部6Dとの間の部位を調整連結具用挿通孔4eに挿入配置した状態で、ネジ頭部5Bとフランジ部6Dとが連結プレート4の前面側と後面側とに分かれて位置することで、連結プレート4に対する調整連結具6の前後方向での移動をネジ頭部5Bとフランジ部6Dとで所定範囲に接当規制するように構成されている。
【0057】
つまり、調整連結具6のネジ頭部6Bとフランジ部6Dは、連結プレート4と調整連結具6との相対前後位置を保持するネジ保持手段Dを構成する。
【0058】
そして、図3図5に示すように、連結プレート4の上方側から調整連結具6を調整連結具用挿通孔4eに挿入配置してネジ保持手段Dによって位置保持させた状態で、調整連結具6のネジ軸部6Aを表示ユニット2における取り付け台2Dのネジ孔2aにねじ込むことで、連結プレート4の上端側部位4aの前面と他方側(図中の上段側)の表示ユニット2の取り付け台2Dの端面との間に凹部4dの深さに対応する空間を形成する状態で、連結プレート4の上端側部位4aが他方側の表示ユニット2に連結されている。
【0059】
この連結状態において、調整連結具6のネジ軸部6Aのネジ孔2aに対するねじ込み量を変更操作することによって、連結プレート4の上端側部位4aを支点として、他方側の表示ユニット2(具体的には、表示ユニット2の側片部の一例である隅部)に前後方向での移動力を付与し、隣接する表示ユニット2の相対前後位置を調整することができ、以下、第1連結プレート4Aの配設箇所を例に挙げて隣接する表示ユニット2の位置調整方法について説明する。
【0060】
<上下方向で隣接する表示ユニットの位置調整>
図5は、第1連結プレート4Aの配設箇所の側面図であり、下段側の表示ユニット2に対して第1連結プレート4Aの下端側部位4bを固定具5で固定し、上段側の表示ユニット2に対して第1連結プレート4Aの上端側部位4aを調整連結具6で連結した状態を示している。
【0061】
この状態において、上段側の表示ユニット2の表示面2Aが下段側の表示ユニット2の表示面2Aよりも前方側に位置している場合には、図5(a)に示すように、ネジ保持手段Dで調整連結具6が第1連結プレート4Aに位置保持された状態で、調整連結具6のネジ頭部6Bをネジ込み側(例えば、右回り)に回転操作することで、上段側の表示ユニット2側のネジ孔2aに調整連結具6のネジ軸部6Aへのネジ込み量を増大させる形態で上段側の表示ユニット2を後方側に引張移動させて、上段側の表示ユニット2の表示面2Aと下段側の表示面2Aとの前後位置が揃う状態(図中の二点鎖線表示を参照)に調整することができる。
【0062】
逆に、上段側の表示ユニット2の表示面2Aが下段側の表示ユニット2よりも後方側に位置している場合には、図5(b)に示すように、調整連結具6のネジ頭部6Bを緩み側(例えば、左回り)に回転操作することで、上段側の表示ユニット2側のネジ孔2aに調整連結具6のネジ軸部6Aへのネジ込み量を減少させる形態で上段側の表示ユニット2を前方側に押圧移動させて、上段側の表示ユニット2の表示面2Aと下段側の表示面2Aとの前後位置が揃う状態(図中の二点鎖線表示を参照)に調整することができる。
【0063】
<左右方向で隣接する表示ユニットの位置調整>
図6は、第1連結プレート4Aの配設箇所の平面図であり、上段側で左右に隣接する表示ユニット2の各々を調整連結具6で連結した状態を示している。
【0064】
この状態において、左側(左右の一方側)の表示ユニット2の表示面2Aが右側(左右の他方側)の表示ユニット2の表示面2Aよりも前方側に位置している場合には、例えば、図6(a)に示すように、ネジ保持手段Dで調整連結具6が第1連結プレート4Aに位置保持された状態で、調整連結具6のネジ頭部6Bを螺進側に回転操作することで、左側の表示ユニット2側のネジ孔2aに対する調整連結具6のネジ軸部6Aへのネジ込み量を増大させる形態で左側の表示ユニット2を後方側に引張移動させて、左側の表示ユニット2の表示面2Aと右側の表示面2Aとの前後位置が揃う状態(図中の二点鎖線表示を参照)に調整することができる。
【0065】
逆に、左側の表示ユニット2の表示面2Aが右側の表示ユニット2よりも後方側に位置している場合には、図6(b)に示すように、調整連結具6のネジ頭部6Bを螺進側とは反対側に回転操作することで、左側の表示ユニット2側のネジ孔2aに調整連結具6のネジ軸部6Aへのネジ込み量を減少させる形態で左側の表示ユニット2を前方側に押圧移動させて、左側の表示ユニット2の表示面2Aと右側の表示面2Aとの前後位置が揃う状態(図中の二点鎖線表示を参照)に調整することができる。
【0066】
なお、左右方向で隣接する表示ユニット2の位置調整は、上述の如く左側の表示ユニット2を移動させるのに限らず、右側の表示ユニット2を移動させたり、左右両側の表示ユニット2を移動させたりしてもよい。
【0067】
図2中の2Eは、前記ユニット本体2Bの後面側の左右の側辺側部位に突設された引き寄せ具取り付け片であり、左右方向で隣接する表示ユニット2の引き寄せ具取り付け片4Eをレバー式等の引き寄せ固定具8で引き寄せることで、例えば、左右方向で隣接する表示ユニット2を位置調整後等の最終段階で一層強固に固定する場合等に用いられる。
【0068】
次に、このように構成された映像表示装置1の組み付け調整方法について説明する。この組み付け調整方法には、第1〜第3の段階的な調整工程が備えられている。
【0069】
<第1調整工程>
まず、隣接する表示ユニット2の相対前後位置を前後位置調整手段Bで調整しながら、下段側から上段側に向かって隣接する表示ユニット2を固定連結手段Aで順次に固定連結するとともに、各表示ユニット2を支持体3に適宜の取り付け手段で接続する。つまり、この第1調整工程では、隣接する表示ユニット2の相対前後位置を粗調整しながら、映像表示装置1を組み付ける。
【0070】
<第2調整工程>
第1調整工程での調整後、施工者Mは、図7(a)に示すように、映像表示装置1の大形表示面1Aの各部位について、隣接する表示ユニット2の表示面2Aどうしの接合境界部位での接合状態を拡大レンズ7で目視確認する。
【0071】
そして、隣接する表示ユニット2の表示面2Aどうしの接合境界部位で前後方向での位置ずれが確認された場合には、施工者Mは、当該位置ずれ部位に対応する両表示ユニット2の相対前後位置を前後位置調整手段Bで微調整する。
【0072】
<第3調整工程>
第2調整工程での微調整後、施工者Mは、図7(b)に示すように、大形表示面1Aを通電によって発光させ、隣接する前記表示ユニット2の表示面2Aの接合境界部位において、前後方向での位置ずれによって発生する接合境界線Sの有無を確認する。この接合境界線Sの確認は、両眼視差が明確に現れる設定距離(例えば、1m程度)だけ大形表示面1Aから離れた箇所から目視で確認する。このように大形表示面1Aを発光させた状態で確認することで、拡大レンズでは判別が困難な極々微小な位置ずれを発見することができる。
【0073】
そして、施工者Mは、接合境界線Sが存在する場合には、大形表示面1Aを発光させた状態を維持しながら、当該接合境界線Sが消えるまで(つまり、接合境界線Sが見えなくなるまで)、当該位置ずれ部位に対応する両表示ユニット2の相対前後位置を前後位置調整手段Bで微調整し、映像表示装置1の組み立て調整を完了する。
【0074】
以上、要するに、この映像表示装置1の組み付け調整方法では、精度の異なる上述した第1〜第3の調整工程を精度の高いもの順に実行することで、表面精度の高い大形表示面1Aを手戻りなく短期間で形成することができる。
【0075】
〔別実施形態〕
(1)前述の実施形態では、一方側の表示ユニット2と連結プレート4の一方側部位とを固定具5で固定し、且つ、他方側の表示ユニット2と連結プレート4の他方側部位とを調整連結具6で前後位置調整自在に連結する場合を例に示したが、一方側の表示ユニットと連結プレートの一方側部位、及び、他方側の表示ユニット2と連結プレート4の他方側部位の両方を、調整連結具6で前後位置調整自在に連結してもよい。
【0076】
この場合、例えば、図8に示すように、連結プレート4の一例である第2連結プレート4Bが、前後面視で長方形状に構成されているとともに、第2連結プレート4Bの全体が同厚で前記凹部4dの存在しない形状に構成され、更に、第2連結プレート4Bの長手方向の一端側部位と他端側部位の各々に調整連結具用挿通孔4eが形成されている。
【0077】
また、当該第2連結プレート4Bは、支持体3に接合された金属製のアーム部材3a(フレームの一例)の先端に一体的に形成されている。つまり、この第2連結プレート4Bは支持体接続手段にも兼用構成されている。
【0078】
そして、図9図10に示すように、第2連結プレート4Bが、例えば、最下段において左右方向で隣接する表示ユニット2の後面側の取り付け台2Dの端面との間にネジ保持手段Dの収容部と調整連結具6による調整代として用いられる空間を形成するように、取り付け台2Dの端面から後退した位置に配置されている。
【0079】
この第2連結プレート4Bの配置状態において、第2連結プレート4Bの両調整連結具用挿通孔4eに挿入配置された両調整連結具6のネジ軸部6Aを両表示ユニット2の取り付け台2Dの雌ネジ部2aに夫々ネジ込むことで、両表示ユニット2が第2連結プレート4B(具体的には、第2連結プレート4Bが接続された支持体3)を支点として前後位置調整自在な状態で連結されている。
なお、この連結構造は、上述した最下段の表示ユニット2に限らず、上下中段や最上段の表示ユニット2の連結に適宜に適用することができる。
【0080】
そして、この実施形態では、第2連結プレート4Bに備えさせた一方の調整連結具6と他方の調整連結具6とを別個に調整操作することで、左右方向で隣接する表示ユニット2の相対前後位置を調整したり、両表示ユニット2を前後方向に移動させる形態で映像表示装置1の前後位置を調整することができる。
その他の構成は、前述の実施形態で説明した構造と同一であるので、同一の構成箇所には同一の番号を付記して、その説明は省略する。
【0081】
(2)前述の実施形態では、第1連結プレート4Aと第2連結プレート4Bの二種類の連結プレート4を用意し、上下方向及び左右方向で隣接する四つの表示ユニット2の後面側における角側部位は一つの第1連結プレート4Aで固定連結し、上下方向又は左右方向で隣接する二つの表示ユニット2の後面側における側片側部位は一つの第2連結プレート4Bで固定連結する場合を例に示したが、例えば、連結プレート4を第2連結プレート4Bに統一し、上下方向及び左右方向で隣接する四つの表示ユニット2の後面側における角側部位を縦姿勢又は横姿勢で並べた二つの第2連結プレート4Bで固定連結するようにしてもよい。
【0082】
(3)前述の実施形態では、固定連結手段Aと前後位置調整手段Bが兼用構成されている場合を例に示したが、別々の部材から独立構成されていてもよい。
【0083】
(4)前述の実施形態では、前後位置調整手段Bが、調整操作によって表示ユニット2に対して前後両方向への移動力を付与可能に構成されている場合を例に示したが、例えば、調整操作によって調整連結具6を前方向に移動させることで表示ユニット2側の取り付け部位の被押圧面を調整連結具6側の押圧面で押圧するように構成するなど、調整操作によって表示ユニット2に対して前方向又は後方向の一方向のみへの移動力を付与可能に構成されていてもよい。
【0084】
(5)固定連結手段Aと前後位置調整手段Bを兼用構成する連結プレート4や固定具5、調整連結具6の具体的構成、及び、調整連結具用挿通孔4eや固定具用挿通孔4fの具体的構成は、種々の構成変更が可能である。
【0085】
例えば、調整連結具6には、回転速度を調整する回転速度調整機構を介して前記ネジ部材を回転操作する調速操作部が備えられていてもよい。
【0086】
この場合、例えば、図11(a)に示すように、調整連結具6のネジ頭部6Bの内部に回転速度を減じる減速機構11(上述の回転速度調整機構の一例)を内蔵するとともに、この減速機構11を介してネジ頭部6B及びこれに一体的に接合されたネジ軸部6Aを回転操作する摘み部10(上述の調速操作部の一例)をネジ頭部6Bの後端側等に配設して構成することができる。
【0087】
前記減速機構11としては、各種のものを用いることができるが、例えば、遊星歯車式の機構を使用する場合、図11(b)に示すように、摘み部10に連なる入力軸10aに設けた太陽歯車11aと、ネジ頭部6Bの内面に形成した内歯車11cと、これらの太陽歯車11aと内歯車11cの各々と噛み合う状態で太陽歯車11aと内歯車11cの間に配された複数の遊星歯車11bとから構成することができる。
【0088】
すなわち、この調整連結具6は、高いトルクが得られる摘み部10に対する回転操作で積載重量が大きくて移動させ難い表示ユニットも容易に行うことができる。また、速い回転速度が得られるネジ頭部6Bに対する回転操作で表示ユニット2の前後位置の粗調整を行い、遅い回転速度が得られる摘み部10で表示ユニット2の前後位置の微調整を行うことで、表示ユニット2の前後位置を精密且つ迅速に行うことができる。

【0089】
なお、回転速度調整機構としては、減速機構11に限らず、変速機構や増速機構等の回転速度を調整可能な種々のものを用いることができる。また、回転速度調整機構として変速機構を用いる場合には、ネジ頭部6Bと摘み部10との二つの操作部を、一つの調速操作部として共通化してもよい。
その他の構成は、前述の実施形態で説明した構造と同一であるので、同一の構成箇所には同一の番号を付記して、その説明は省略する。
【0090】
(6)表示ユニット2の表示面2Aは、前述の実施形態で説明したLED素子に限らず、有機ELや無機EL等の各種の発光表示素子で構成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 映像表示装置
1A 大形表示面
2 表示ユニット
2A 表示面
2D 取り付け台(取り付け部)
2a ネジ孔(雌ネジ部)
4 連結プレート
4A 第1連結プレート
4B 第2連結プレート
4a 上端側部位(一端側部位)
4b 下端側部位(他端側部位)
4e 調整連結具用挿通孔
4f 固定具用挿通孔
5 固定具
6 調整連結具
7 拡大レンズ
10 摘み部(調速操作部)
11 減速機構(回転速度調整機構)
A 固定連結手段
B 位置調整手段
D ネジ保持手段
S 接合境界線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11