【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような有機EL表示装置では、有機EL表示装置の製造時に、接着部の硬化収縮によってガラス基板に亀裂が生じたり接着面が剥がれたりする問題がある。そこで、特許文献1,2では、このような問題を解決するために、接着部にダミー配線を設けることが提案されている。特許文献1に記載された技術は、接着領域における引出配線が設けられていない全領域にダミー配線を設けるものである。特許文献2に記載された技術は、接着領域における引出配線が設けられていない領域に、引出配線とダミー配線とを直交方向に配置するものである。
【0005】
しかしながら、本発明者が、有機EL表示装置の高温高湿下における経時変化を観察したところ、引出配線が設けられていない領域と引出配線が設けられている領域との境界付近において、接着部が剥離する現象が現れた。この現象は、有機EL表示装置の製造時に現れなかったことから、接着部の硬化収縮に起因するものではない。
【0006】
そこで、この現象について更に検討を深めたところ、以下のような知見を得た。すなわち、有機EL表示装置は、経時変化に伴い、湿度や温度の影響を受けて伸縮しやすくなる。そして、引出配線が設けられていない接着領域では、引出配線が設けられていないため、引出配線が設けられている接着領域に比べて接着部が厚くなる。また、引出配線が設けられている接着領域は、引出配線の伸縮の影響を直接的に受けるのに対して、引出配線が設けられていない接着領域は、引出配線の伸縮の影響を直接的に受けない。このため、有機EL表示装置の経時変化に伴う両領域における伸縮差に起因して、接着部が剥離したものと考えられる。
【0007】
なお、特許文献1に記載された技術では、金属等からなるダミー配線上に接着部が設けられることになるため、予定した十分な接着力が得られず、接着不良を起こす可能性がある。また、特許文献2に記載された技術では、引出配線とダミー配線とが直交方向に配置されるため、引出配線が設けられている接着領域とダミー配線が設けられている接着領域とで伸縮の方向が異なる。このため、特許文献1,2に記載された技術では、経時に伴う接着部の剥離を抑制することは難しい。
【0008】
そこで、本発明は、経時に伴う接着部の剥離を抑制することができる有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る有機EL表示装置は、矩形状の第一基板と、第一基板上に設けられる有機EL素子部と、有機EL素子部上に設けられる矩形状の第二基板と、第一基板と第二基板とを接着して有機EL素子部を囲む枠状の接着部と、有機EL素子部から引き出された複数の引出配線からなる引出配線群と、第一基板の接着部が接着される接着領域に設けられて、互いに離間した複数のダミー配線からなるダミー配線群と、を備え、引出配線及びダミー配線は、接着部を同じ方向に横切る。
【0010】
本発明に係る有機EL表示装置では、ダミー配線群を構成する複数のダミー配線が互いに離間しているため、第一基板及び第二基板に対する接着部の接着力を確保することができる。例えば、接着部として光硬化型の接着剤を用い、かつ第一基板側からしか光を照射できない場合は、ダミー配線間の開口から十分な光が透過するため、第一基板及び第二基板に対する接着部の接着力を確保することができる。そして、引出配線及びダミー配線が第一接着辺部を同じ方向に横切るため、引出配線群が設けられている接着領域とダミー配線群が設けられている接着領域とで、伸縮の方向を合わせることができる。このため、経時に伴う接着部の剥離を抑制することができる。
【0011】
この場合、接着部は、第二基板の第一側辺に沿って延びる第一接着辺部を有し、引出配線及びダミー配線は、第一側辺に対して垂直な方向に第一接着辺部を横切ってもよい。ダミー配線群の先端が接着領域において第一接着辺部を横切るように揃うと、この先端列に沿って接着部が剥離する可能性がある。これに対し、この有機EL表示装置では、引出配線及びダミー配線が第一側辺に対して垂直な方向に第一接着辺部を横切るため、ダミー配線群の先端列が起点となって接着部が剥離するのを抑制することができる。
【0012】
また、ダミー配線の第一接着辺部に対する第一側辺側の先端は、第一接着辺部よりも第一側辺側に位置してもよい。ダミー配線群の先端が接着領域において揃うと、この先端列に沿って接着部が剥離する可能性がある。これに対し、この有機EL表示装置では、ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺側の先端が接着領域の外側に位置するため、接着領域においてダミー配線群の先端が揃うことに起因する接着部の剥離を抑制することができる。
【0013】
また、引出配線群は、平面視において第一側辺の中央部に引き出される第一引出配線群と、平面視において第一引出配線群と第二基板の第一側辺と隣り合う第二側辺との間に引き出される第二引出配線群と、を有し、ダミー配線群は、平面視において第一引出配線群と第二引出配線群との間に配置される第一ダミー配線群と、平面視において第二引出配線群と第二側辺との間に配置される第二ダミー配線群と、を有してもよい。この有機EL表示装置では、引出配線及びダミー配線を第一接着辺部の全域にわたって設けることができるため、第一接着辺部において接着部の剥離の原因となる領域をなくすことができる。
【0014】
また、接着部は、第二側辺に沿って延びる第二接着辺部を有し、第二ダミー配線群は、第二接着辺部に沿って延び、第二ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端は、第一接着辺部よりも第一側辺とは反対側に位置してもよい。基板は、コーナー部が最も吸湿しやすい特性を有する。これに対し、この有機EL表示装置では、ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端が第一接着辺部を越える位置まで延びるため、第二ダミー配線群の先端が吸湿しやすいコーナー部に配置されることによる接着部の剥離を抑制することができる。
【0015】
また、接着部は、第二基板の第一側辺と対向する第四側辺に沿って延びる第四接着辺部を有し、第二ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端は、第一側辺から第四側辺側に向けて第一接着辺部の幅の2倍の位置と、第四側辺から第一側辺側に向けて第四接着辺部の幅の2倍の位置と、の間に位置してもよい。この有機EL表示装置では、第一側辺から第一接着辺部の幅の2倍の位置と第四側辺から第四接着辺部の幅の2倍の位置との間に位置するため、第二ダミー配線群の先端が吸湿しやすいコーナー部に配置されることによる接着部の剥離を更に抑制することができる。
【0016】
また、第二ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端列は、第二側辺と直交する方向に配列されなくてもよい。基板の側辺と直交する方向にダミー配線群の先端が揃うと、この先端列に沿って接着部が剥離する可能性がある。これに対し、この有機EL表示装置では、第二ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端列が第二側辺と直交する方向に配列されないため、第二側辺と直交する方向に第二ダミー配線群の先端が揃うことに起因する接着部の剥離を抑制することができる。
【0017】
また、第二ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端列は、第二側辺と直交する方向に対して45°以上に傾斜する方向に配列されてもよい。この有機EL表示装置では、第二ダミー配線群の第一接着辺部に対する第一側辺とは反対側の先端列が第二側辺と直交する方向に対して45°以上に傾斜する方向に配列されるため、第二側辺と直交する方向に第二ダミー配線群の先端が揃うことに起因する接着部の剥離を抑制することができる。
【0018】
また、接着領域において、引出配線及びダミー配線は等間隔に配置されていてもよい。この有機EL表示装置では、接着領域において引出配線及びダミー配線が等間隔に配置されているため、引出配線及びダミー配線が設けられている接着領域において基板の伸縮を均一化させることができる。これにより、接着部の剥離を更に抑制することができる。
【0019】
また、接着領域において、引出配線の間隔に対するダミー配線の間隔の誤差は、引出配線の設計値、配線形成精度等を考慮し、50%以下であってもよい。この有機EL表示装置では、引出配線の間隔に対するダミー配線の間隔の誤差を50%以下とすることで、引出配線群及びダミー配線群が設けられている接着領域において基板の伸縮を均一化させることができる。
【0020】
また、隣り合う引出配線とダミー配線との太さの差は、当該引出配線の太さに対する50%以下であってもよく、10%以下であってもよい。この有機EL表示装置では、隣り合う引出配線とダミー配線との太さの差が、当該引出配線の太さに対する50%以下であるため、引出配線群及びダミー配線群が設けられている接着領域において基板の伸縮を均一化させることができる。
【0021】
また、接着領域のダミー配線が設けられている領域において、ダミー配線間に形成される開口の開口率は40%以上60%以下であってもよい。この有機EL表示装置では、ダミー配線の開口率が40%以上60%以下であるため、第一基板及び第二基板に対する接着部の接着力を十分に確保することができる。例えば、接着部として光硬化型の接着剤を用いる場合は、ダミー配線間の開口から十分な光が透過するため、第一基板及び第二基板に対する接着部の接着力を十分に確保することができる。
【0022】
また、第一基板及び第二基板のヤング率は、1GPa以上100GPa以下であってもよい。この有機EL表示装置では、第一基板及び第二基板のヤング率が1GPa以上100GPa以下であるため、有機EL表示装置に適度な可撓性を与えることができる。
【0023】
また、第一基板及び第二基板の少なくとも一方は、100μm以下10μm以上の厚さのガラス基板であってもよい。この有機EL表示装置では、第一基板及び第二基板の少なくとも一方としてガラス基板を用いる場合に、ガラス基板の厚さを上記範囲とすることで、ガラス基板の強度を確保しつつ、ガラス基板の取扱い作業性を向上することができる。
【0024】
また、第一基板及び第二基板の少なくとも一方は、300μm以下10μm以上の厚さの樹脂基板であってもよい。この有機EL表示装置では、第一基板及び第二基板の少なくとも一方として樹脂基板を用いる場合に、樹脂基板の厚さを上記範囲とすることで、樹脂基板の強度を確保しつつ、樹脂基板の取扱い作業性を向上することができる。
【0025】
また、第一基板と第二基板との間に充填される乾燥剤を更に備えてもよい。この有機EL表示装置では、第一基板と第二基板との間に乾燥剤が充填されるため、有機EL素子部が湿気により劣化するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、経時に伴う接着部の剥離を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で示す方向は、特に指示する場合を除き、有機EL表示装置の平面視における方向をいう。また、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の有機EL表示装置の概略平面図である。
図2は、
図1において配線を簡略化した有機EL表示装置の概略平面図である。
図3は、
図1に示すA−A線における模式断面図である。
図4は、
図1に示すB−B線における模式断面図である。
図5は、
図1に示すC−C線における模式断面図である。
図6は、
図1に示す有機EL表示装置の一部拡大図である。
図1〜
図6に示すように、本実施形態の有機EL表示装置1は、第一基板2と、有機EL素子部3と、第二基板4と、接着部5と、引出配線群6と、ダミー配線群7と、を備える。なお、
図2において、斜線で示した領域は、引出配線群6又はダミー配線群7を示している。
【0030】
第一基板2は、表面に有機EL素子部3が設けられる基板である。第一基板2は、平面視において矩形状である。第一基板2は、平面視において、第一側辺2a、第二側辺2b、第三側辺2c及び第四側辺2dの四つの辺を有する。
【0031】
第一側辺2aは、第一基板2の一つの短辺である。第二側辺2bは、第一側辺2aの一方の頂点から
図1における左方向に延在する長辺である。第三側辺2cは、第一側辺2aの他方の頂点から
図1における左方向に延在する長辺である。第三側辺2cは、第二側辺2bと対向する側辺であり、第二側辺2bと平行に延在している。第四側辺2dは、第二側辺2bの第一側辺2aとは反対側の頂点と第三側辺2cの第一側辺2aとは反対側の頂点とを結ぶ短辺である。第四側辺2dは、第一側辺2aと対向する側辺であり、第一側辺2aと平行に延在している。なお、以下の説明において、短辺方向である第一側辺2a及び第四側辺2dと平行な方向をY方向ともいい、長辺方向である第二側辺2b及び第三側辺2cと平行な方向をX方向ともいう。
【0032】
そして、第一基板2のやや第四側辺2dによった中央部に、有機EL素子部3が設けられ、第一基板2の第一側辺2a側の端部である一方側辺部21に、IC(不図示)及びフレキシブルプリント回路基板(不図示)を実装する実装部22が設けられる。
【0033】
有機EL素子部3は、第一基板2の表面に設けられて、複数の発光部(不図示)を有する。発光部は、基板表面上に第一電極(不図示)、有機EL層(不図示)、及び第二電極(不図示)がこの順に積層されてなる。そして、発光部では、第一電極及び第二電極に電流が流れることで有機EL層が発光する。有機EL素子部3は、平面視においてX方向に長い矩形状である。また、有機EL素子部3は、平行に配列された複数の第一電極と平行に配列された複数の第二電極とが互いに直交する方向に延びることで、複数の発光部が格子状に配列されている。そして、第一電極は、有機EL素子部3の第一側辺2a側の端面から引き出され、第二電極は、有機EL素子部3の第二側辺2b側の端面及び第三側辺2c側の端面から引き出される。なお、有機EL素子部3としては、一般的な構成のものを用いることができる。
【0034】
第二基板4は、有機EL素子部3上に設けられて、有機EL素子部3を封止する基板である。第二基板4は、平面視においてX方向に長い矩形状である。第二基板4は、平面視において、第一側辺4a、第二側辺4b、第三側辺4c及び第四側辺4dの四つの辺を有する。
【0035】
第一側辺4aは、第二基板4の一つの短辺である。第二側辺4bは、第一側辺4aの一方の頂点から
図1における左方向に延在する長辺である。第三側辺4cは、第一側辺2aの他方の頂点から
図1における左方向に延在する長辺である。第三側辺4cは、第二側辺4bと対向する側辺であり、第二側辺4bと平行に延在している。第四側辺4dは、第二側辺4bの第一側辺4aとは反対側の頂点と第三側辺4cの第一側辺4aとは反対側の頂点とを結ぶ短辺である。第四側辺4dは、第一側辺4aと対向する側辺であり、第一側辺4aと平行に延在している。
【0036】
第二基板4の短辺である第一側辺4a及び第四側辺4dは、第一基板2の短辺である第一側辺2a及び第四側辺2dと同じ長さである。一方、第二基板4の長辺である第二側辺4b及び第三側辺4cは、第一基板2の長辺である第二側辺2b及び第三側辺2cよりも短くなっている。そして、平面視において、第一基板2の実装部22が第二基板4から露出するように、第一基板2と第二基板4とが重ね合わされている。
【0037】
第一基板2及び第二基板4の少なくとも一方は、透明性を有している。第一基板2及び第二基板4は、可撓性を有しなくてもよいが、可撓性を有することが好ましい。この場合、第一基板2及び第二基板4は、ヤング率が1GPa以上100GPa以下の素材で形成されることが好ましい。具体的には、第一基板2及び第二基板4としては、ガラス基板又は種々の樹脂基板等が用いられる。第一基板2及び第二基板4の少なくとも一方をガラス基板とする場合、用いるガラス基板の厚さは、100μm以下10μm以上とすることが好ましい。一方、第一基板2及び第二基板4の少なくとも一方を樹脂基板とする場合、用いる樹脂基板の厚さは、300μm以下10μm以上とすることが好ましい。第一基板2及び第二基板4として樹脂基板を用いる場合、その樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドから選ばれた1種または複数種からなるプラスチック基板等が用いられる。また、第一基板2及び第二基板4は、ヤング率が1GPa以上100GPa以下の素材で形成されることが好ましい。
【0038】
接着部5は、第一基板2と第二基板4とを接着する。なお、第一基板2の第二基板4側の表面のうち、接着部5が接着される領域を接着領域WAという。接着部5は、平面視において有機EL素子部3を囲む枠状である。接着部5は、第一接着辺部5a、第二接着辺部5b、第三接着辺部5c及び第四接着辺部5dの四つの辺部を有する。
【0039】
第一接着辺部5aは、第一側辺4a(第一側辺2a)に沿って直線状に延びる。第二接着辺部5bは、第二側辺4b(第二側辺2b)に沿って直線状に延びる。第三接着辺部5cは、第三側辺4c(第三側辺2c)に沿って直線状に延びる。第四接着辺部5dは、第四側辺4d(第四側辺2d)に沿って直線状に延びる。なお、第一接着辺部5aと第二接着辺部5bとに接続されるコーナー部(角部)、第一接着辺部5aと第三接着辺部5cとに接続されるコーナー部、第二接着辺部5bと第四接着辺部5dとに接続されるコーナー部、第三接着辺部5cと第四接着辺部5dとに接続されるコーナー部、の各形状は、特に限定されるものではない。例えば、各コーナー部の形状を、曲線状に屈曲した形状(湾曲形状)、直角に屈曲した形状、多角に屈曲した形状とすることができる。
【0040】
接着部5としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、オレフィン系接着剤が用いられる。
【0041】
なお、第一基板2と第二基板4との間には、有機EL素子部3が封止される空間に乾燥剤(不図示)が充填されてもよい。有機EL素子部3が封止される空間は、第一基板2、第二基板4及び接着部5で囲まれる空間になる。乾燥剤としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、カーボン、カーボンナノチューブ等の物理的乾燥剤、アルカリ金属酸化物、金属ハロゲン化物、過酸化塩素等の化学的乾燥剤、有機金属錯体をトルエン、キシレン、脂肪族有機溶剤等の石油系溶媒に溶解した乾燥剤、透明性を有するポリエチレン、ポリイソプレン、ポリビニルシンナエート等のバインダーに乾燥剤粒子を分散させた乾燥剤を用いることができる。
【0042】
引出配線群6は、有機EL素子部3から引き出された複数の引出配線6aからなる。引出配線6aは、第一基板2の表面に形成される。引出配線群6は、平面視において第一側辺4aの中央部に引き出される第一引出配線群61と、平面視において第一引出配線群61と第二側辺4b又は第三側辺4cとの間に引き出される一対の第二引出配線群62と、を有する。第一引出配線群61と第二側辺4bとの間は、第二側辺4b側といい、第一引出配線群61と第三側辺4cとの間は、第三側辺4c側という。一対の第二引出配線群62は、第二側辺4b側に位置する一方の第二引出配線群62と、第三側辺4c側に位置する他方の第二引出配線群62と、で構成される。
【0043】
第一引出配線群61は、有機EL素子部3の第一電極から引き出された複数の引出配線6aからなる。第一引出配線群61を構成する各引出配線6aは、有機EL素子部3の第一側辺4a側の端面から引き出されて、互いの間隔を狭めながら第一側辺4a側に向けて延びる。そして、第一引出配線群61を構成する各引出配線6aは、互いに平行に配列されて、Y方向における中央部において、第一側辺4aに対して垂直な方向(X方向)に第一接着辺部5aを横切る。更に、第一引出配線群61を構成する各引出配線6aは、互いの間隔を保持した状態で、実装部22まで引き延ばされている。
【0044】
第二引出配線群62は、有機EL素子部3の第二電極から引き出された複数の引出配線6aからなる。有機EL素子部3の第二側辺2b側の端面から引き出される引出配線6aは、有機EL素子部3の第二側辺2b側の長辺と第四側辺2d側の短辺と頂点から、互いの間隔を狭めながら第一側辺4a側に向けて延びる。そして、この各引出配線6aは、互いに平行に配列されて、第一引出配線群61と第二側辺4bとの間において第一側辺4aに対して垂直な方向(X方向)に第一接着辺部5aを横切り、実装部22まで延びる。有機EL素子部3の第三側辺2c側の端面から引き出される引出配線6aは、有機EL素子部3の第三側辺2c側の長辺と第四側辺2d側の短辺との頂点から、互いの間隔を狭めながら第一側辺4a側に向けて延びる。そして、この各引出配線6aは、互いに平行に配列されて、第一引出配線群61と第三側辺4cとの間において第一側辺4aに対して垂直な方向(X方向)に第一接着辺部5aを横切り、実装部22まで延びる。
【0045】
ダミー配線群7は、第一基板2の接着領域WAに設けられて、互いに離間した複数のダミー配線7aからなる。ダミー配線7aは、第一基板2の表面に形成される。また、ダミー配線7aは、有機EL素子部3、実装部22及び引出配線6aの何れにも接続されない。そして、ダミー配線群7の先端が接着領域WAにおいて第一接着辺部5aを横切るように揃うと、この先端列に沿って接着部5が剥離する可能性がある。そこで、ダミー配線群7を構成する各ダミー配線7aは、第一側辺4aに対して垂直な方向(X方向)に第一接着辺部5aを横切るように配置される。
【0046】
詳しく説明すると、Y方向における第一接着辺部5aの全域にわたって引出配線6a及びダミー配線7aが設けられるように、ダミー配線群7は、第一引出配線群61と一対の第二引出配線群62との間に配置される一対の第一ダミー配線群71と、第二引出配線群62と第二側辺4b又は第三側辺4cとの間に配置される一対の第二ダミー配線群72と、を有する。一対の第一ダミー配線群71は、第二側辺4b側に位置する一方の第一ダミー配線群71と、第三側辺4c側に位置する他方の第一ダミー配線群71と、で構成される。一対の第二ダミー配線群72は、第二側辺4b側に位置する一方の第二ダミー配線群72と、第三側辺4c側に位置する他方の第二ダミー配線群72と、で構成される。
【0047】
一方の第一ダミー配線群71を構成する各ダミー配線7aは、第一引出配線群61と第二側辺4b側の第二引出配線群62との間において、互いに平行となるようにX方向に直線状に延びる。そして、この各ダミー配線7aは、第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切る。
【0048】
他方の第一ダミー配線群71を構成する各ダミー配線7aは、第一引出配線群61と第三側辺4c側の第二引出配線群62との間において、互いに平行となるようにX方向に直線状に延びる。そして、この各ダミー配線7aは、第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切る。
【0049】
第一ダミー配線群71の第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端(
図6において右側の先端)は、第一接着辺部5aよりも第一側辺2a側に位置している。第一ダミー配線群71の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端(
図6において左側の先端)は、第一接着辺部5a内に位置している。そして、第一ダミー配線群71に属する各ダミー配線7aの先端を結ぶ仮想線を先端列とすると、第一ダミー配線群71の両側の先端列は、第二側辺4bと直交する方向に配列されている。
【0050】
一方の第二ダミー配線群72を構成する各ダミー配線7aは、第二側辺2b側の第二引出配線群62の第一引出配線群61とは反対側において、互いに平行となるようにX方向に直線状に延びる。そして、この各ダミー配線7aは、第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切る。
【0051】
他方の第二ダミー配線群72を構成する各ダミー配線7aは、第三側辺2c側の第二引出配線群62の第一引出配線群61とは反対側において、互いに平行となるようにX方向に直線状に延びる。そして、この各ダミー配線7aは、第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切る。
【0052】
第二ダミー配線群72の第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端(
図6において右側の先端)は、第一接着辺部5aよりも第一側辺2a側に位置している。第二ダミー配線群72の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端(
図6において左側の先端)は、第一接着辺部5a内に位置している。そして、第二ダミー配線群72に属する各ダミー配線7aの先端を結ぶ仮想線を先端列とすると、第二ダミー配線群72の第一側辺4a側及び第一側辺4aの反対側の先端列は、第二側辺4bと直交する方向に配列されている。
【0053】
引出配線6a及びダミー配線7aは、接着領域WAにおいて等間隔に配置されている。ここで、等間隔とは、全くの等間隔だけでなく、実質的に同一と見なせる誤差範囲を含む意味である。実質的に同一と見なせる誤差範囲とは、接着領域WAにおいて、引出配線6aの間隔に対するダミー配線7aの間隔の誤差が、50%以下の範囲である。
【0054】
引出配線6aの太さ(幅)とダミー配線7aの太さ(幅)とは、同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。引出配線6aの太さとダミー配線7aの太さとが異なる場合、複数の引出配線6a及び複数のダミー配線7aのうち少なくとも隣り合う引出配線6aとダミー配線7aとの太さの差は、当該引出配線6aの太さに対する50%以下とすることが好ましく、10%以下とすることが更に好ましい。
【0055】
ここで、接着領域WAのうち、引出配線群6が設けられる領域を引出配線領域WA1とし、ダミー配線群7が設けられる領域をダミー配線領域WA2とする。上述したように、ダミー配線7aは、互いに離間しているため、ダミー配線7aには所定幅の開口(隙間)が形成される。そこで、ダミー配線領域WA2において、ダミー配線7a間に形成される開口の開口率を40%以上60%以下とし、好ましくは、50%とする。開口率は、ダミー配線領域WA2の面積に対する、ダミー配線領域WA2においてダミー配線7a間に形成される開口の面積の、百分率である。
【0056】
引出配線6aの材料とダミー配線7aの材料とは、異なってもよいが、同じであることが好ましい。また、第一基板2に引出配線6aを形成するタイミングとダミー配線7aを形成するタイミングとは、異なってもよいが、同じであることが好ましい。これにより、引出配線群6及びダミー配線群7の形成工程を一つにまとめることができるため、有機EL表示装置1の製造コストを小さくすることができる。
【0057】
このように、本実施形態に係る有機EL表示装置1では、ダミー配線群7を構成する複数のダミー配線7aが互いに離間しているため、第一基板2及び第二基板4に対する接着部5の接着力を確保することができる。例えば、接着部5として光硬化型の接着剤を用い、かつ第一基板2側からしか光を照射できない場合は、ダミー配線7a間の開口から十分な光が透過するため、第一基板2及び第二基板4に対する接着部5の接着力を確保することができる。そして、引出配線6a及びダミー配線7aが第一接着辺部5aを同じ方向に横切るため、引出配線群6が設けられている引出配線領域WA1とダミー配線群7が設けられているダミー配線領域WA2とで、伸縮の方向を合わせることができる。このため、経時に伴う接着部5の剥離を抑制することができる。
【0058】
また、この有機EL表示装置1では、引出配線6a及びダミー配線7aが第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切るため、ダミー配線群7の先端列が起点となって接着部5が剥離するのを抑制することができる。
【0059】
また、この有機EL表示装置1では、ダミー配線7aの第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端が接着領域WAの外側に位置するため、接着領域WAにおいてダミー配線群7の先端が揃うことに起因する接着部5の剥離を抑制することができる。
【0060】
また、この有機EL表示装置1では、引出配線6a及びダミー配線7aを第一接着辺部5aの全域にわたって設けることができるため、第一接着辺部5aにおいて接着部5の剥離の原因となる領域をなくすことができる。
【0061】
また、この有機EL表示装置1では、接着領域WAにおいて引出配線6a及びダミー配線7aが等間隔に配置されているため、引出配線領域WA1及びダミー配線領域WA2において第一基板2及び第二基板4の伸縮を均一化させることができる。これにより、接着部5の剥離を更に抑制することができる。
【0062】
また、この有機EL表示装置1では、引出配線6aの間隔に対するダミー配線7aの間隔の誤差を50%以下とすることで、引出配線領域WA1及びダミー配線領域WA2において第一基板2及び第二基板4の伸縮を均一化させることができる。
【0063】
また、この有機EL表示装置1では、引出配線6aとダミー配線7aとの太さの差が、引出配線6aの太さに対する50%以下であるため、引出配線領域WA1及びダミー配線領域WA2において第一基板2及び第二基板4の伸縮を均一化させることができる。これにより、接着部5の剥離を更に抑制することができる。
【0064】
また、この有機EL表示装置1では、ダミー配線7aの開口率が40%以上60%以下であるため、第一基板2及び第二基板4に対する接着部5の接着力を十分に確保することができる。例えば、接着部5として光硬化型の接着剤を用いる場合は、ダミー配線7a間の開口から十分な光が透過するため、第一基板2及び第二基板4に対する接着部5の接着力を十分に確保することができる。
【0065】
また、この有機EL表示装置1では、第一基板2及び第二基板4のヤング率が1GPa以上100GPa以下であるため、有機EL表示装置1に適度な可撓性を与えることができる。
【0066】
また、この有機EL表示装置1では、第一基板2及び第二基板4の少なくとも一方としてガラス基板を用いる場合に、ガラス基板の厚さを上記範囲とすることで、ガラス基板の強度を確保しつつ、ガラス基板の取扱い作業性を向上することができる。一方、この有機EL表示装置1では、第一基板2及び第二基板4の少なくとも一方として樹脂基板を用いる場合に、樹脂基板の厚さを上記範囲とすることで、樹脂基板の強度を確保しつつ、樹脂基板の取扱い作業性を向上することができる。
【0067】
また、この有機EL表示装置1では、第一基板2と第二基板4との間に乾燥剤を充填することで、有機EL素子部3が湿気により劣化するのを抑制することができる。
【0068】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態の有機EL表示装置について説明する。第二実施形態の有機EL表示装置は、基本的に第一実施形態の有機EL表示装置と同様であるが、ダミー配線の配置のみ第一実施形態の有機EL表示装置と相違する。このため、以下では、第一実施形態の有機EL表示装置と異なる部分のみを説明し、第一実施形態の有機EL表示装置と同様の部分の説明を省略する。
【0069】
図7は、第二実施形態の有機EL表示装置の概略平面図である。
図8は、
図7において配線を簡略化した有機EL表示装置の概略平面図である。
図9は、
図7に示す有機EL表示装置の一部拡大図である。
図7〜
図9に示すように、本実施形態の有機EL表示装置11は、第一基板2と、有機EL素子部3と、第二基板4と、接着部5と、引出配線群6と、ダミー配線群17と、を備える。なお、
図8において、斜線で示した領域は、引出配線群6又はダミー配線群17を示している。
【0070】
ダミー配線群17は、第一引出配線群61と一対の第二引出配線群62との間に配置される一対の第一ダミー配線群171と、第二引出配線群62と第二側辺4b又は第三側辺4cに配置されて第二接着辺部5b又は第三接着辺部5cに沿って延びる一対の第二ダミー配線群172と、を有する。第一ダミー配線群171及び第二ダミー配線群172は、それぞれ第一実施形態の第一ダミー配線群71及び第二ダミー配線群72に対応する。そして、第一ダミー配線群171及び第二ダミー配線群172は、X方向における先端の位置のみ、第一実施形態の第一ダミー配線群71及び第二ダミー配線群72と相違する。
【0071】
第一ダミー配線群171を構成する各ダミー配線17aは、互いに平行となるようにX方向に直線状に延びる。そして、この各ダミー配線17aは、第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切る。
【0072】
第一ダミー配線群171の第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端(
図9における右側の先端)は、第一接着辺部5aよりも第一側辺2a側に位置している。第一ダミー配線群171の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端(
図9における左側の先端)は、第一接着辺部5aよりも第一側辺2aの反対側に位置している。つまり、第二実施形態では、第一ダミー配線群171を構成する各ダミー配線17aの両端が、第一接着辺部5aの外側に位置している。
【0073】
そして、第一ダミー配線群171に属する各ダミー配線17aの先端を結ぶ仮想線を先端列とすると、第一ダミー配線群171の第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端列は、第二側辺4bと直交する方向に配列されている。一方、第一ダミー配線群171の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端列は、第一引出配線群61との距離が一定となるように、第二側辺4bと直交する方向に対して傾斜する方向に配列されている。
【0074】
第二ダミー配線群172を構成する各ダミー配線17aは、互いに平行となるようにX方向に直線状に延びる。そして、この各ダミー配線17aは、第一側辺4aに対して垂直な方向に第一接着辺部5aを横切る。
【0075】
第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端(
図9における右側の先端)は、第一接着辺部5aよりも第一側辺2a側に位置している。第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端(
図9における左側の先端)は、第一接着辺部5aよりも第一側辺2aとは反対側に位置している。
【0076】
ところで、第一基板2及び第二基板4は、コーナー部が最も吸湿しやすい特性を有するため、第二ダミー配線群172の先端は、吸湿しやすいコーナー部に配置されないようにすることが好ましい。そこで、第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端は、第二接着辺部5b又は第三接着辺部5c内となるが、第一接着辺部5aよりも第一側辺2aとは反対側の位置とする。この場合、当該先端は、更に、第一接着辺部5aと第二接着辺部5b又は第三接着辺部5cとのコーナー部よりも第一側辺4aとは反対側の位置とすることが好ましい。更に、当該先端は、第一側辺4aから第四側辺4d側に向けて第一接着辺部5aの幅の2倍の位置P1と、第四側辺4dから第一側辺4a側に向けて第四接着辺部5dの幅の2倍の位置P2と、の間に位置することが好ましい。
【0077】
そして、第二ダミー配線群172に属する各ダミー配線17aの先端を結ぶ仮想線を先端列とすると、第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4a側の先端列は、第二側辺4bと直交する方向に配列されている。一方、第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端列は、第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に配列されない。当該先端列の配列形態としては、直線状、曲線状等とすることができる。当該先端列を直線所とする場合は、例えば、第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に対して45°以上に傾斜する方向に配列することが好ましい。なお、図面では、当該先端列が、第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に対して45°に傾斜している場合を示している。
【0078】
このように、本実施形態に係る有機EL表示装置11では、ダミー配線群17の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端が第一接着辺部5aを越える位置まで延びるため、第二ダミー配線群172の先端が吸湿しやすいコーナー部に配置されることによる接着部5の剥離を抑制することができる。
【0079】
また、この有機EL表示装置11では、第一側辺4aから第四側辺4d側に向けて第一接着辺部5aの幅の2倍の位置P1と、第四側辺4dから第一側辺4a側に向けて第四接着辺部5dの幅の2倍の位置P2と、の間に位置するため、第二ダミー配線群172の先端が吸湿しやすいコーナー部に配置されることによる接着部5の剥離を更に抑制することができる。
【0080】
また、この有機EL表示装置11では、第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端列が第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に配列されないため、第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に第二ダミー配線群172の先端が揃うことに起因する接着部5の剥離を抑制することができる。
【0081】
また、この有機EL表示装置11では、第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端列が第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に対して45°以上に傾斜する方向に配列されるため、第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に第二ダミー配線群172の先端が揃うことに起因する接着部5の剥離を抑制することができる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。
【0083】
例えば、上記実施形態では、引出配線群及びダミー配線群の具体的な配置及び数等について特定して説明したが、引出配線群及びダミー配線群の配置は適宜変更することができる。例えば、引出配線群及びダミー配線群を一つの側辺に引き出すのではなく、二つ以上の側辺に引き出してもよい。また、引出配線群及びダミー配線群はそれぞれ一つであってもよく、複数あってもよい。
【0084】
また、第一実施形態では、第一ダミー配線群71の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端は、第一接着辺部5a内に位置しているものとして説明したが、第二実施形態のように、第一接着辺部5aよりも第一側辺4aとは反対側に位置しているものとしてもよい。この場合、第一ダミー配線群71の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端列は、第二実施形態のように、第一引出配線群61との距離が一定となるように、第二側辺4bと直交する方向に対して傾斜する方向に配列されているものとすることができる。
【0085】
また、第二実施形態では、第二ダミー配線群172の第一接着辺部5aに対する第一側辺4aとは反対側の先端列を、第二側辺4b又は第三側辺4cと直交する方向に配列されないものとして説明したが、
図10に示す有機EL表示装置31のように、第二接着辺部5b又は第三接着辺部5cにおいて、ダミー配線群27の第二ダミー配線群272を構成する各ダミー配線27aを、第二側辺4b又は第三側辺4cに対して傾斜させるものとしてもよい。この場合、第二ダミー配線群272は、第二引出配線群62と同じ方向に傾斜させることが好ましい。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0087】
(比較例1)
図11は、比較例1の有機EL表示装置の一部拡大図である。
図12は、
図11に示すD−D線における模式断面図である。
図11及び
図12に示すように、比較例1の有機EL表示装置101は、比較例1の有機EL表示装置101は、基本的に第一実施形態に係る有機EL表示装置1と同様であるが、ダミー配線が設けられない点のみ、第一実施形態に係る有機EL表示装置1と相違する。
【0088】
第一基板2として、厚みが100μm、長辺が45mm、短辺が10mmの矩形状の基板を作製した。第二基板4として、厚みが100μm、長辺が40mm、短辺が10mmの矩形状の基板を作製した。そして、第一基板2に有機EL素子部3及び引出配線群6を形成し、接着部5により第一基板2と第二基板4とを接着した。接着部5として、エポキシ系接着剤を用いた。引出配線群6として、Mo(モリブデン)合金/Al(アルミニウム)合金/Mo合金の積層膜からなるMAM配線を用いた。第一接着辺部5aにおける引出配線6aの間隔は、10μmとした。引出配線6aの太さは、10μmとした。
【0089】
そして、比較例1の有機EL表示装置101を、温度60°、湿度95%の環境において400時間放置し、接着部5の剥離状況を観察した。
【0090】
(実施例1)
実施例1では、第一実施形態に係る有機EL表示装置1を用いた。実施例1の有機EL表示装置1は、第一基板2に有機EL素子部3及び引出配線群6を形成する際に第一基板2にダミー配線群7を形成した他は、比較例1の有機EL表示装置101と同様に作製した。ダミー配線群7として、MAM配線を用いた。第一接着辺部5aにおけるダミー配線群7の間隔は、10μmとした。ダミー配線群7の太さは、10μmとした。
【0091】
そして、実施例1の有機EL表示装置1を、温度60°、湿度95%の環境において400時間放置し、接着部5の剥離状況を観察した。
【0092】
(実施例2)
実施例2では、第二実施形態に係る有機EL表示装置11を用いた。実施例2の有機EL表示装置11は、実施例1の有機EL表示装置1と同じ方法で作製した。
【0093】
そして、実施例2の有機EL表示装置11を、温度60°、湿度95%の環境において400時間放置し、接着部5の剥離状況を観察した。
【0094】
(評価)
図13は、比較例1の観察結果を示す図である。
図14は、実施例1の観察結果を示す図である。
図15は、実施例2の観察結果を示す図である。
図13〜
図15において、引出配線群6、ダミー配線群7及びダミー配線群17の各領域を斜線で示しており、接着部5が剥離した領域を砂地で示している。
【0095】
図13に示すように、比較例1では、240時間経過した頃から、引出配線群6が形成されていない個所、及び引出配線群6の端部から、接着部5の剥離現象が生じた。
【0096】
図14に示すように、実施例1では、比較例1で剥離現象が生じた箇所においても、剥離現象は生じなかった。このような結果から、ダミー配線群7を設けることで、経時変化に伴う接着部の剥離を小さくすることができることが分かった。
【0097】
ところで、実施例1では、第二基板4のコーナー部において、第二引出配線群62及び第二ダミー配線群72において、接着部5の剥離現象が生じた。これは、吸湿しやすい第二基板4のコーナー部に、第二引出配線群62及び第二ダミー配線群72の端部が形成されているため、第二基板4のコーナー部における吸湿に起因して、第二引出配線群62及び第二ダミー配線群72の端部に剥離現象が生じたものと考えられる。
【0098】
図15に示すように、実施例2では、実施例1で剥離現象が生じた箇所においても、剥離現象は生じなかった。このような結果から、第二ダミー配線群172の先端を第二基板4のコーナー部に設けないことで、経時変化に伴う接着部の剥離を更に抑制することができることが分かった。