特許第6378174号(P6378174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378174
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】非ピンチ・バルブによる流体流制御
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20180813BHJP
   A61M 39/28 20060101ALI20180813BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   A61M5/168 506
   A61M39/28
   A61M5/142 502
【請求項の数】35
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-517315(P2015-517315)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公表番号】特表2015-519180(P2015-519180A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013044595
(87)【国際公開番号】WO2013188216
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】13/525,205
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンソール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ゾリンジャー、クリス
(72)【発明者】
【氏名】イェー、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、クリストファー、ジェイ.
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−524804(JP,A)
【文献】 米国特許第5004013(US,A)
【文献】 特表2008−517653(JP,A)
【文献】 特開平11−267204(JP,A)
【文献】 実開平4−25751(JP,U)
【文献】 特開2007−61389(JP,A)
【文献】 特開2000−237308(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0087911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
A61M 5/142
A61M 39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポート及び第2のポートを含むハウジングと、
前記第1のポート及び前記第2のポートを通る流体の流れを制御するために構成される摺動可能なカバーと、
を備えるバルブであって、
前記摺動可能なカバーは、前記第1のポート及び前記第2のポート上に摺動可能に配置され、前記摺動可能なカバーは、
流体流チャネルが前記第1のポート及び前記第2のポート上に配置される場合、前記流体が前記第1及び前記第2のポートを通って流れることを可能にするように構成された前記流体流チャネルを含み、
前記流体流チャネルが前記ハウジングの前記第1のポート及び前記第2のポート上に配置される場合、前記流体は、前記ハウジングの外面上を流れるように前記バルブが配置され、前記摺動可能なカバーは、輸液ポンプのドアと機械的に係合するように更に構成される、
バルブ。
【請求項2】
前記摺動可能なカバーは、前記ハウジングに対して摺動するように構成される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記摺動可能なカバーは、前記第1のポート及び前記第2のポートに対して摺動するように構成される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項4】
前記摺動可能なカバーは、
前記摺動可能なカバーから突出するハンドル
を含む、請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記バルブを管に接続するための接続インタフェース
を更に備える、請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記流体の流量を制御することを支援するように構成された目盛りマーク
を更に備える、請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
前記摺動可能なカバーをロックするように構成されたロック機構
を更に備える、請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
前記摺動可能なカバーは、前記流体流チャネルが前記第1のポート及び前記第2のポート上に配置されない場合、前記流体が前記第1のポート及び前記第2のポートを通って流れることを可能にしないように更に構成される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項9】
医療環境において流体を送り出すために構成されたポンプと、
前記流体の搬送のために構成された管と、
ポンプ・ハウジング内に配置され、前記管を挟むことを必要とせずに前記流体の流れを制御するように構成された非ピンチ・バルブと、
を備える、非ピンチ・バルブ・システムであって、
前記管は、前記非ピンチ・バルブに着脱可能に取り付けられ、前記非ピンチ・バルブは、
前記第1のポート及び前記第2のポートを含むハウジングと、
前記ハウジング内に移動可能に配置される移動可能なチャネルであって、流体が前記第1のポートと前記第2のポートとの間で流れることを可能にするように構成される、移動可能なチャネルとを含み、
前記第1のポート、前記第2のポート、及び前記移動可能なチャネルは、前記流体が前記第1のポートと前記第2のポートとの間を流れるように、前記非ピンチ・バルブが配置される場合、同軸的ではない、非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項10】
前記ポンプは、
輸液ポンプ
を含む、請求項に記載の非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項11】
前記ハウジングは、円柱状である、請求項に記載の非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項12】
前記非ピンチ・バルブは、
前記ポンプのドアと機械的に係合するように構成されたハンドル
を更に備える、請求項に記載の非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項13】
前記移動可能なチャネルは、前記第1のポート及び前記第2のポートに対して回転する、請求項に記載の非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項14】
医療環境において流体を送り出すために構成されたポンプと、
前記流体の搬送のために構成された管と、
ポンプ・ハウジングに配置され、前記管を挟むことを必要とせずに前記流体の流れを制御するように構成された非ピンチ・バルブと、
を備える、非ピンチ・バルブ・システムであって、前記管は、前記非ピンチ・バルブに着脱可能に取り付けられ、前記非ピンチ・バルブは、
第1のポート及び第2のポートを含むハウジングと、
前記第1のポート及び前記第2のポートを通る流体の流れを制御するために構成された摺動可能なカバーとを備え、前記摺動可能なカバーは、前記第1のポート及び前記第2のポート上に摺動可能に配置され、前記摺動可能なカバーは、
流体流チャネルが前記第1のポート及び前記第2のポート上に配置される場合、前記流体が前記第1及び前記第2のポートを通って流れることを可能にするように構成された前記流体流チャネル
を含み、
前記流体流チャネルが前記ハウジングの前記第1のポート及び前記第2のポート上に配置される場合、前記流体は、前記ハウジングの外面上を流れるように前記非ピンチ・バルブが配置される、
非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項15】
前記非ピンチ・バルブは、
前記ポンプのドアと機械的に係合するように構成されたハンドル
を更に備える、請求項14に記載の非ピンチ・バルブ・システム。
【請求項16】
第1の遠位端及び第2の遠位端を含むポンプ・セグメント・フレームであって、ポンプ・セグメントが伸長することを防止するために前記ポンプ・セグメントが前記第1の遠位端及び前記第2の遠位端に取り付けられる、ポンプ・セグメント・フレームと、
ポンプのハウジング内での前記ポンプ・セグメント・フレームの適切な設置を容易にするために構成された視覚設置インジケータと、
を備える、医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項17】
前記第1の遠位端に配置される止水栓
を更に備える、請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項18】
前記第1の遠位端に配置され、並びに、前記ハウジング内に配置され、及び管を挟むことを必要とせずに流体の流れを制御するように構成された非ピンチ・バルブを更に備え、前記管は、前記非ピンチ・バルブに着脱可能に取り付けられる、
請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項19】
前記ポンプ・セグメント・フレームの前記第1の遠位端と前記第2の遠位端との間に配置されるポンプ・プラテン
を更に備える、請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項20】
前記ポンプ・セグメント・フレームは、バルブ・ハウジングとバルブ・ハンドルとの間に配置される、請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項21】
前記ポンプ・セグメントの第1の遠位端を受けるように構成された第1のポンプ・セグメント・インタフェースと、
前記ポンプ・セグメントの第2の遠位端を受けるように構成された第2のポンプ・セグメント・インタフェースと、
を更に備える、請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項22】
前記ポンプの動作期間中に前記ポンプ・セグメントを見るために構成されたポンプ・セグメント・ビュー・ウィンドウ
を更に備える、請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項23】
前記視覚設置インジケータは、
前記ハウジング内の凹部に対応する突出部
を含む、請求項16に記載の医療用ポンプ・セグメント・フレーム・システム。
【請求項24】
医療環境において流体を送り出すために構成されたポンプであって、前記ポンプのハウジング内へのアクセスのためのドアを含むポンプと、
前記ポンプによって生成されるポンプ・セグメントの圧縮に基づいて前記流体を搬送するために構成された前記ポンプ・セグメントと、
ポンプ・セグメント・フレームであって、
第1の遠位端及び第2の遠位端、及び、
前記ハウジング内の前記ポンプ・セグメント・フレームの適切な設置を容易にするために構成された視覚設置インジケータ
を含み、前記ポンプ・セグメントが伸長することを防止するために前記ポンプ・セグメントが前記第1の遠位端及び前記第2の遠位端に取り付けられる、ポンプ・セグメント・フレームと、
前記ハウジング内に配置され、管を挟むことを必要とせずに前記流体の流れを制御するように構成された非ピンチ・バルブと、
を備える、ポンプ・システム。
【請求項25】
前記ポンプは、
輸液ポンプ
を含む、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項26】
前記非ピンチ・バルブは、前記ドアが閉鎖位置にある場合、開放位置へと作動される、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項27】
前記非ピンチ・バルブは、前記ドアが開放位置にある場合、閉鎖位置へと作動される、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項28】
前記非ピンチ・バルブは、
第1のポート及び前記第2のポートを含むハウジングと、
前記ハウジング内に移動可能に配置される移動可能なチャネルと、
を更に含み、前記移動可能なチャネルは、流体が前記第1のポートと前記第2のポートとの間で流れることを可能にするように構成される、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項29】
前記非ピンチ・バルブは、
第1のポート及び前記第2のポートを含むハウジングと、
前記第1のポート及び前記第2のポートを通る流体の流れを制御するために構成された摺動可能なカバーとを更に含み、前記摺動可能なカバーは、前記第1のポート及び前記第2のポート上に摺動可能に配置され、前記摺動可能なカバーは、
流体流チャネルが前記第1のポート及び前記第2のポート上に配置される場合、前記流体が前記第1及び前記第2のポートを通って流れることを可能にするように構成された前記流体流チャネルを含む、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項30】
前記摺動可能なカバーは、前記第1のポート及び前記第2のポートに対して回転するように更に構成される、請求項29に記載のポンプ・システム。
【請求項31】
前記摺動可能なカバーをロックするように構成されたロック機構
を更に備える、請求項29に記載のポンプ・システム。
【請求項32】
前記流体の流量を制御することを支援するように構成された目盛りマーク
を更に備える、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項33】
前記ポンプ・セグメント・フレームは、
前記ポンプ・セグメント・フレームの前記第1の遠位端と前記第2の遠位端との間に配置されるポンプ・プラテン
を更に含む、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項34】
前記ポンプ・セグメント・フレームは、
前記ポンプの動作期間中に前記ポンプ・セグメントを見るために構成されたポンプ・セグメント・ビュー・ウィンドウ
を更に含む、請求項24に記載のポンプ・システム。
【請求項35】
前記非ピンチ・バルブは、前記ポンプ・セグメント・フレームの前記第1の遠位端に配置される、請求項24に記載のポンプ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年6月15日に出願した米国出願第13/525,205号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
輸液ポンプなどの医療用ポンプ・システムの流体流を、静注器具(IV:intravenous)管をクランプすることによって制御することは、医療用ポンプ・システムの動作に有害な影響を及ぼすことがあり得る。ローラー・クランプ、スクリュー・クランプ、スライド・クランプなどのクランプ機構は、管を圧縮して流体流を制御する。例えば、スライド・クランプは、管が通過する徐々に大きくなる開口部を有する。管を開口部の狭い端部へ押し込むことにより、管が圧縮され、管を通る流体流の流量が低減される。対照的に、開口部の広い端部へ向かって摺動させることにより、管の圧縮力が減少され、従って、管を通る流量が増加される。また、管は、クランプ機構が管に継続的に圧力を加えた状態で出荷され、及び/又は長期間保管され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
管の圧縮の結果として、管は、損傷され、及び/又は変形され得る。例えば、管は、恒久的に変形され、従って、流体流を制限する。
【0004】
更に、臨床医は、ポンプ・ハウジングから部品を不適切に取り外し/挿入し得る。例えば、臨床医にとって、ある部品(例えば、クランプ装置、ポンプ・セグメント等)がポンプ・ハウジング内のどこに設置されるべきかを視覚的に決定することは困難なことがある。結果として、臨床医は、ポンプ動作に悪影響を与える誤った位置に部品を設置し得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】ポンプ・システムの実施例を例示する図である。
図1B】ポンプ・システムの実施例を例示する図である。
図2A】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図2B】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図2C】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図2D】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図2E】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図3A】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図3B】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図4A】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図4B】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図4C】非ピンチ・バルブの実施例を例示する図である。
図5】ポンプ・セグメント・フレーム・システムの実施例を例示する図である。
図6】ポンプ・セグメント・フレーム・システムの実施例を例示する図である。
図7】流体流を制御するための方法の実施例を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において参照される図面は、特に断りのある場合を除いて、縮尺に合わせて描かれていないものと理解されるべきである。
【0007】
ここで、本技術の実施例への参照が詳細になされることとなり、その実例は、添付の図面に例示される。本技術は、様々な実施例と共に説明されることとなるが、当該実施例は、本技術をこれらの実施例に限定することを意図されないことが理解されるであろう。それどころか、本技術は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような様々な実施例の範囲内に含まれ得る代替例、変形例及び均等物に及ぶことが意図される。
【0008】
更に、実施例の下記の説明において、本技術の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が述べられる。しかしながら、本技術は、これらの具体的な詳細なしに実施され得る。他の場合において、周知の方法、手続き、部品、及び回路は、本実施例の態様を不必要に曖昧にしないように、詳細には説明されていない。
【0009】
図1Aは、ポンプ・システム100の実施例を図示する。ポンプ・システム100は、ポンプ110と、管120及び121とを含む。一般に、ポンプ・システム100の動作期間中に、流体は、流体流125によって示されるように、管120及び121を通って送り出される。一実施例において、流体流125は、反対方向へ送り出されてもよい。
【0010】
ポンプ110は、ハウジング115と、ドア119と、ユーザインタフェース117とを含む。一実施例において、ポンプ110は、輸液ポンプである。例えば、静脈(IV)バッグ(図示せず)からの流体は、流体流125によって示されるように、患者(図示せず)へ送り出される。
【0011】
ユーザインタフェース117は、ポンプ・システム100の制御を容易にすべく臨床医が使用するためのディスプレイ、ボタン、コントロール等を含むことができる。
【0012】
ハウジング115は、以下に詳細に説明されるように、ポンプ110の部品を収容するように構成される。
【0013】
ドア119は、ハウジング115に対して、取り外し可能であるか、又は蝶番で取り付けられる。例えば、ドア119は、ポンプ110の正面全体であり、ハウジング115内へのアクセスを提供するためにハウジング115から取り外し可能である。ドア119(又は蓋)は、ハウジング115内からの部品の適切な除去及び/又は配置のためのアクセスを可能にする任意の寸法、形状、配向であり得ることが理解されるべきである。
【0014】
図1Bは、ポンプ・システム100の実施例を図示する。特に、図1Bは、図1Aと同じ図を図示するが、ドア119が図示されていない。従って、ハウジング115内の、ポンプ110の部品が図示される。
【0015】
ポンプ110は、ポンプ・セグメント130と、ポンプ・フィンガ131と、非ピンチ・バルブ140と、結合器150も含む。
【0016】
ポンプ・セグメント130は、フィンガ131によって簡単に圧縮されるように構成される。例えば、ポンプ・セグメント130は、シリコンゴム管である。
【0017】
一実施例において、管120及び121は、同じ材料から成り、ポンプ・セグメントは、シリコンなどの、より柔軟な材料から成る。ポンプ・セグメント130は、フィンガ131によって圧縮されることを促す任意の材料とすることができることが理解されるべきである。
【0018】
ポンプ・セグメント130は、非ピンチ・バルブ140を介して管120に流体接続され、結合器150を介して管121に流体接続される。例えば、一実施例において、管121の外径は、インタフェース152の内径と一致する。同様に、セグメント130の外径は、インタフェース151の内径と一致する。別の実施例において、ポンプ・セグメント130の内径は、インタフェース144の外径と一致する。同様に、管120の内径は、インタフェース143の外径と一致する。ポンプ・セグメント130は、任意の結合手段によって管120及び121に流体接続されることができることが理解されるべきである。
【0019】
一実施例において、結合器150は、2つの異なる管(例えば、管121及び別の管(図示せず))に適合する「Y」結合器である。例えば、管121は、第1のタイプの流体(例えば、第1のタイプの薬剤)を搬送し、他方の管は、第2のタイプの流体(例えば、第2のタイプの薬剤)を搬送する。従って、異なるタイプの流体が結合器150において混合してもよく、流体の混合物が、ポンプ・システム100によって送り出される。
【0020】
ポンプ・フィンガ131は、ポンプ・セグメント130を圧縮して流体を送り出すように構成される。例えば、フィンガ131は、順番にポンプ・セグメント130を圧迫する。特に、フィンガ131は、ポンプ・セグメント130をプラテン(図示せず)に対して圧縮する。結果として、流体流125が生成される。
【0021】
非ピンチ・バルブ140は、管(例えば、120)を挟むことを必要とせずに、ポンプ・システム100における流体流125を制御するように構成される。換言すれば、非ピンチ・バルブ140は、管の外面に圧力を加えることなく、流体流125を制御し、その結果、当該管を圧縮しない。一実施例において、非ピンチ・バルブ140は、止水栓である。非ピンチ・バルブ140は、管を圧縮せずに流体流125を制御する任意のバルブ・システムとすることができる。非ピンチ・バルブ140及び接続される管(例えば、管120)は、管を損傷せずに閉鎖位置又は開放位置において出荷され、及び/又は保管されることができることが認識されるべきである。
【0022】
図2Aは、非ピンチ・バルブ240Aの実施例を図示する。非ピンチ・バルブ240Aは、ハウジング210と、ハウジング210のポート241及び242と、シャフト220と、チャネル250と、ハンドル230とを含む。ポート241及び242は、ハウジング210に対する、流体のための穴部又はアクセス・ポイントである。
【0023】
一般に、チャネル250がポート241及び242と一直線になる場合、流体流125は、チャネル250を通って流れ、続いて非ピンチ・バルブ240Aを通って流れる。対照的に、チャネル250がポート241及び242と一直線にならない場合、流体流125は、チャネル250を通って流れず、従って、非ピンチ・バルブ240Aを通って流れない。
【0024】
一実施例において、ハウジング210及びシャフト220は、円柱状である。例えば、流体流125は、チャネル250がポート241及び242と一直線にならない場合、停止される。そのような例において、臨床医は、チャネル250がポート241及び242と一直線にならないようにハンドル230を(例えば、図示される位置から90度)回転させる。従って、シャフト220は、流体流が停止され、チャネル250を通って流れないように、ポート242及び241を密封する。
【0025】
チャネル250は、流体流125の方向に対して垂直に回転することが理解されるべきである。更に、インタフェース143及び144とチャネル250とは、互いに同軸的又は共線的である。従って、流体流125は、シャフト220の2つの別個の位置において発生することができる。第1の位置は、図示の通りである。第2の位置は、(図示される位置から)180度回転されたシャフト220である。
【0026】
一実施例において、ポート241及び242並びにチャネル250の断面形状(例えば、円形)及び直径は、同じである。別の実施例において、チャネル280の断面形状は、流体流125の手動調整を容易にするために、ポート241及び242の断面形状とは異なる(例えば、楕円形、ティア・ドロップ形等)。
【0027】
様々な実施例において、ハウジング210及びシャフト220は、剛性又は半剛性の材料から成る。
【0028】
図2Bは、非ピンチ・バルブ240Bの実施例を図示する。非ピンチ・バルブ240Bは、上述したような非ピンチ・バルブ240Aと類似している。しかしながら、ポート241及び242が、同軸的ではなく、チャネル250が、シャフト220内で斜めに配置されている。
【0029】
従って、一実施例において、チャネル250は、1つの位置においてポート241及び242と一直線にされる。例えば、シャフト220が(図示される位置以外の)任意の他の位置に回転される場合、流体は、チャネル250を通って流れない。
【0030】
図2Cは、非ピンチ・バルブ240Cの実施例を図示する。非ピンチ・バルブ240Cは、上述したような非ピンチ・バルブ240Aと類似している。しかしながら、ハウジング210が、流体流125に対して斜めに配置されている。
【0031】
従って、一実施例において、チャネル250は、単一の位置においてポート241及び242と一直線にされる。例えば、シャフト220が(図示される位置以外の)任意の他の位置に回転される場合、流体は、チャネル250を通って流れない。
【0032】
図2Dは、非ピンチ・バルブ240Dの実施例を図示する。非ピンチ・バルブ240Dは、上述したような非ピンチ・バルブ240Aと類似している。しかしながら、ポート241及び242が、互いに同軸的ではない。
【0033】
図2Eは、非ピンチ・バルブ240Eの実施例を図示する。非ピンチ・バルブ240Eは、上述したような非ピンチ・バルブ240Aと類似している。しかしながら、流体流125が、ハウジング210(又はシャフト220)の軸を通って流れない。
【0034】
図3Aから図3Bは、非ピンチ・バルブ340の実施例を図示する。非ピンチ・バルブ340は、ハウジング310と、ポート341及び342と、摺動可能なカバー330とを含む。様々な実施例において、ハウジング310及び摺動可能なカバー330は、剛性又は半剛性の材料から成る。
【0035】
摺動可能なカバー330は、流体流125を制御するために、ハウジング310に対して摺動するように構成される。摺動可能なカバー330は、チャネル335を含む。
【0036】
図3Aは、閉鎖位置における非ピンチ・バルブ340を図示する。例えば、摺動可能なカバー330は、流体流125が非ピンチ・バルブ340を通って流れることができないように、ポート341及び342を密封する。
【0037】
図3Bは、開放位置における非ピンチ・バルブ340を図示する。例えば、摺動可能なチャネル335は、ポート341及び342と一直線にされる。従って、流体流125は、チャネル335を介して非ピンチ・バルブ340を通って流れる。チャネル335は、ポート341とポート342との間で水を搬送することが可能である、摺動可能なカバー330上の任意の場所又は配向における任意の形体(例えば、空隙、隙間、溝等)とすることができることが認識されるべきである。
【0038】
特に、流体流125は、ハウジング310と摺動可能なカバー330との間でチャネル335を介して発生する。そのため、流体流125は、ハウジング310の外面又は周辺に沿って流れる。
【0039】
一実施例において、ハウジング310及び摺動可能なカバー330は、円柱状である。
【0040】
別の実施例において、チャネル360及び361は、ハウジング310の重心軸に沿って配置される。従って、摺動可能なカバー330は、ハウジング310並びにチャネル360及び361に対して軸方向に摺動する。また、摺動可能なカバー330は、流体流125の一部に対して軸方向に摺動する。
【0041】
図4Aから図4Cは、それぞれ非ピンチ・バルブ440Aから440Cの実施例を図示する。非ピンチ・バルブ440Aから440Cは、上述したような非ピンチ・バルブ340と類似している。しかしながら、とりわけ、非ピンチ・バルブ440Aから440Cの各々は、ロック機構を含む。
【0042】
ここで、図4Aを参照すると、非ピンチ・バルブ440Aは、摺動可能なカバー430と、インタフェース443及び444と、ハンドル450及び452と、視覚インジケータ480と、ロック機構460Aとを含む。
【0043】
インタフェース443及び444は、管を非ピンチ・バルブ440Aに結合するように構成される。
【0044】
ハンドル450は、摺動可能なカバー430を非ピンチ・バルブ440Aの軸に沿って回転することを容易にする。
【0045】
ハンドル452は、臨床医が非ピンチ・バルブ440Aをハウジング115内へ設置し、又は据え付けることを容易にする。例えば、臨床医は、非ピンチ・バルブ440Aをハウジング115内へ設置する間に、又は非ピンチ・バルブ440Aをハウジング115から除去する間に、ハンドル452を握る。
【0046】
視覚インジケータ480は、臨床医が非ピンチ・バルブ440Aをハウジング115内に適切に設置することを容易にするように構成されており、これは、以下に詳細に説明されるであろう。
【0047】
ロック機構460Aは、非ピンチ・バルブ440Aが開放位置又は閉鎖位置のどちらか(又は、二分の一の流量など、任意の他の指定された位置)にロックされるように、スロット461Aに据え付けられるタブである。非ピンチ・バルブ440Aを解除するために、ロック機構460Aは、スロット462Aに沿って動くことが可能であるように、スロット461から押し出される。
【0048】
ここで、図4Bを参照すると、ロック機構460Bは、非ピンチ・バルブ440Bが開放位置又は閉鎖位置のどちらかにロックされるようにスロット463Bに据え付けられるタブ462Bを含む。非ピンチ・バルブ440Bを解除するために、押下具461Bは、タブ462Bがスロット463Bから引き離されるように押下げられる。
【0049】
非ピンチ・バルブ440Bは、目盛りマーク470も含む。各目盛りマークは、特定の流量を示す。従って、目盛りマークは、非ピンチ・バルブ440Bを通る流量を制御することを容易にする。更なる実施例において、目盛りマーク470は、触覚表示及び/又は可聴表示と結合される。例えば、非ピンチ・バルブが目盛りマークに従って作動される場合、臨床医は、触覚応答、及び/又はカチッという音などの可聴応答を感じ得る。
【0050】
ここで、図4Cを参照すると、ロック機構460Cは、非ピンチ・バルブ440Cが開放位置又は閉鎖位置のどちらかにロックされるようにスロット463Cに据え付けられるタブ462Cを備える。非ピンチ・バルブ440Bを解除するために、押下具461Cは、タブ462Cがスロット463Cから引き離されるように押下げられる。
【0051】
様々な実施例において、非ピンチ・バルブ(例えば、非ピンチ・バルブ240A)は、ドア119の閉鎖に応じて開放位置に作動される。特に、ドア119は、ハンドル(例えば、ハンドル230)と機械的に係合する係合機構(図示せず)を含む。例えば、係合機構は、ドア119が所定位置に押し込まれる場合、非ピンチ・バルブが閉鎖位置から開放位置に作動されるように、ハンドルと係合し、ハンドルを作動させる特定のべベル機構を有する。
【0052】
別の実施例において、非ピンチ・バルブ(例えば、非ピンチ・バルブ240A)は、ドア119の開放に応じて閉鎖位置に作動される。特に、ドア119は、ハンドル(例えば、ハンドル230)と機械的に係合する係合機構(図示せず)を含む。例えば、係合機構は、ドア119が開放され、又はハウジング115から除去される場合、非ピンチ・バルブが開放位置から閉鎖位置に作動されるように、ハンドルと機械的に係合する。
【0053】
非ピンチ・バルブはポンプを使用せずに利用されることができることが認識されるべきである。例えば、重力送り式の流体流システムにおいて、非ピンチ・バルブは、患者への流体の流れを制御するために利用されることができる。
【0054】
図5は、ポンプ・セグメント・フレーム・システム500の実施例を図示する。システム500は、非ピンチ・バルブ140と、結合器150と、ポンプ・セグメント130とを含む。
【0055】
フレーム510は、ポンプ・セグメント130が伸長することを防止するように構成される。
【0056】
特に、ポンプ・セグメント130の遠位端は、剛性又は半剛性の材料から成るフレーム510の対応する遠位端に取り付けられる。従って、ポンプ・セグメント130は、伸長することを防止される。
【0057】
対照的に、従来のシステムにおいて、例えば、臨床医がポンプ・セグメントをハウジング内に設置するときに、ポンプ・セグメントが伸長される場合、ポンプ・セグメントは、ハウジング内に不適切に設置される可能性がある。結果として、ポンプ・システムの動作は、悪影響を受ける。
【0058】
一実施例において、非ピンチ・バルブ140は、フレーム510の遠位端に配置される。そのため、ポンプ・セグメント130の遠位端は、非ピンチ・バルブ140に取り付けられる。
【0059】
別の実施例において、結合器150は、フレーム510の遠位端に取り付けられる。そのため、ポンプ・セグメント130の遠位端は、結合器150に取り付けられる。
【0060】
システム500は、視覚インジケータ580及び581も含む。一般に、視覚インジケータ580及び581は、ハウジング115内へのシステム500の適切な設置を容易にする。例えば、ハウジング115は、視覚インジケータ580及び581に対応する視覚インジケータを含む。ハウジング115内の対応する視覚インジケータは、視覚インジケータ580及び581に対応する外形、凹部等とすることができる。結果として、システム500は、ポンプ・システム100が正確に動作するように、ハウジング115内に適切に設置される。
【0061】
様々な実施例において、ハウジング115内の対応する視覚インジケータは、部品の色又は外形(例えば、非ピンチ・バルブ140、フレーム510、結合器150等の外形)とすることができる。
【0062】
図6は、ポンプ・セグメント・フレーム・システム600の実施例の分解等角図を図示する。システム600は、非ピンチ・バルブ140と、結合器650と、ポンプ・セグメント130とを含む。
【0063】
フレーム610は、上述したように、ポンプ・セグメント130が伸長することを防止するように構成される。例えば、ポンプ・セグメント130の遠位端は、剛性又は半剛性の材料から成るフレーム610の対応する遠位端に取り付けられる。従って、ポンプ・セグメント130は、伸長することを防止される。
【0064】
フレーム610は、プラテンとなるように更に構成される。例えば、フィンガ131は、ハウジング115内で延伸し、ポンプ・セグメント130をフレーム610に対して圧縮する。更に、フレーム610に対するポンプ・セグメント130の設置は、送出及び圧力感知を容易にするために(例えば、ポンプ・セグメント130とフレーム610との間に)一定の間隙を提供する。
【0065】
一実施例において、フレーム610は、ポンプ・システム100の使用期間中にポンプ・セグメント130を見ることができるように、窓を含む。
【0066】
一実施例において、非ピンチ・バルブ(例えば、非ピンチ・バルブ240A)は、フレーム610の遠位端に配置される。そのため、ポンプ・セグメント130の遠位端は、非ピンチ・バルブに取り付けられる。そのような実施例において、フレーム610は、ハウジング210とハンドル230との間に挿入される。
【0067】
別の実施例において、結合器650は、フレーム610の遠位端に取り付けられる。そのため、ポンプ・セグメント130の遠位端は、結合器671に取り付けられる。
【0068】
システム600は、ポンプ・セグメント130をハウジング210及び結合器650上で保持することを容易にする保持具670及び671も含む。特に、保持具670及び671は、インタフェース144及び結合器650上でポンプ・セグメント130の遠位端をクランプする。
【0069】
ポンプ・セグメント130は、別のポンプ・セグメントと置換されてもよいことが理解されるべきである。幾つかの場合において、新たなポンプ・セグメントの特性(例えば、直径、材料等)は、置換されるポンプ・セグメントとは異なり得る。ポンプ・セグメントの特性に適合するために、プラテン(例えば、フレーム610)又は圧力センサとポンプ・フィンガとの間の間隙は、調整されることを必要とし得る。従って、従来のポンプ・システムにおいて、ポンプ・システムのハードウェア/ソフトウェアは、新たなポンプ・セグメントの新たな特性に適合するためにアップグレードされることを必要とされ得る。
【0070】
しかしながら、様々な実施例において、フレーム610の厚さは、調整可能である。即ち、ある厚さのフレーム610は、新たなポンプ・セグメントの特性に適合するように、異なる厚さのフレームと交換されることができる。一実施例において、新たなフレームは、プラテン(例えば、フレーム610)又は圧力センサとポンプ・フィンガとの間の間隙における変化に適合するように、(元のフレームとは)異なる厚さを有する。それ故に、ポンプ・システムのハードウェア/ソフトウェアは、ポンプ・セグメント130を異なる特性を有する別のポンプ・セグメントと置換することに応じて更新されることを必要とされない。
【0071】
図7は、流体流を制御するための方法700の実施例を図示する。幾つかの実施例において、方法700は、少なくとも、図1Aに図示されるようなシステム100によって実行される。
【0072】
方法700の710において、摺動可能なカバーを非ピンチ・バルブのハウジング上で軸方向に回転させることによって、当該非ピンチ・バルブは、閉鎖位置に作動され、非ピンチ・バルブは、非ピンチ・バルブに取り付けられた管を挟むことを必要とせずに、流体の流れを制御する。例えば、非ピンチ・バルブ340は、流体がシステム100を通って流れるように、最初は手動で閉鎖位置に作動される。特に、摺動可能なカバー330は、非ピンチ・バルブ340のハウジング310上で手動で軸方向に回転される。従って、非ピンチ・バルブ340は、当該バルブに取り付けられる管(例えば、管120)を挟むことを必要とせずに、システム100を通る流れを制御することが可能である。
【0073】
720において、非ピンチ・バルブは、輸液ポンプのハウジング内に設置される。例えば、非ピンチ・バルブ240Aは、輸液ポンプのハウジング115内に設置される。
【0074】
730において、輸液ポンプのドアは、ハウジングへのアクセスを閉鎖するために、閉鎖される。例えば、ドア119は、ハウジング115へのアクセスを制限するために、ハウジング115上に設置される。
【0075】
740において、ドアの閉鎖に応じて、非ピンチ・バルブは、流体が非ピンチ・バルブを通って流れるように、ドアによって開放位置に作動される。例えば、ハンドル230は、流体流125が非ピンチ・バルブ240Aを通って流れるように、ドア119の機構によって作動される。
【0076】
一実施例では、750において、非ピンチ・バルブは、IVに流体接続される。例えば、非ピンチ・バルブ440Bは、IVバッグ内の流体が患者へ送り出されることが可能であるように、IVに流体接続される。
【0077】
一実施例では、760において、非ピンチ・バルブは、患者に流体接続される。例えば、非ピンチ・バルブ440Bは、IVバッグ内の流体がシステム100を介して患者へ送り出されることが可能であるように、患者(図示せず)に流体接続される。
【0078】
本開示の様々な実施例が、上述されている。本明細書において説明されるような実施例は、単独で又は互いに組み合わせて、利用され、又は実施されることができることが認識されるべきである。本開示は特定の実施例において説明されてきたが、特許請求の範囲に記載される如何なる発明も、そのような実施例によって限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に従って解釈されるべきであることが認識されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7