(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリエステル共重合体5乃至90重量%、前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体1乃至80重量%を含む請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
芳香族ビニル−芳香族マレイミド−無水マレイン酸共重合体、芳香族ビニル−不飽和ニトリル−芳香族マレイミド共重合体、芳香族ビニル−α−メチル芳香族ビニル共重合体、および芳香族ビニル−不飽和ニトリル−α−メチル芳香族ビニル共重合体からなる群より選択される一つ以上をさらに含む請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記ポリエステル共重合体において、ジカルボン酸成分は、炭素数8乃至20の芳香族ジカルボン酸、および炭素数4乃至20の脂肪族ジカルボン酸からなる群より選択される1種以上をさらに含む請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記ポリエステル共重合体において、ジアンヒドロヘキシトールの含量は、全体ジオール成分の含量に対して5乃至60モル%である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、コア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)形態で、平均粒子径が0.01乃至5μmであり、グラフト率が5乃至90%であり、コア(Core)のガラス転移温度が−20℃以下であり、シェル(Shell)のガラス転移温度が20℃以上である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体において、不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、およびα−クロロアクリロニトリルからなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記グラフト共重合体において、芳香族ビニルは、スチレン、α−メチルスチレンビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ハロゲン置換スチレン、1,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、およびエチルスチレンからなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
前記アルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体は、メチルメタクリレート−シリコン/ブチルアクリレートグラフト共重合体である請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
酸化防止剤、滑剤、光安定剤、光吸収剤、トランスエステル化反応抑制剤、および耐加水分解剤からなる群より選択される1種以上の添加剤をさらに含む請求項1に記載の高分子樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有するところ、特定実施例を詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。本発明を説明することにおいて、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁すことがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0038】
本発明は、テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の残基と、ジアンヒドロヘキシトールを含むジオール成分の残基を含むポリエステル共重合体;および
不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体を含む高分子樹脂組成物を提供する。
【0039】
以下、発明の具体的な実施形態による高分子樹脂組成物についてより詳細に説明する。
【0040】
発明の一実施形態によれば、テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の残基と、ジアンヒドロヘキシトールを含むジオール成分の残基を含むポリエステル共重合体;および
不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体を含む高分子樹脂組成物を提供することができる。
【0041】
従来にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体(ABS)などをポリカーボネート樹脂とブレンドして耐衝撃度と耐熱性を向上させた技術が開発されてきたが、これは環境にやさしいバイオマス製品でないという限界を有していた。
【0042】
よって、本発明者らは環境にやさしく耐熱性または耐衝撃性に優れた樹脂組成物に関する研究を行い、特定ポリエステル共重合体;および不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体を含む高分子樹脂組成物が優れた耐熱性または耐衝撃性などの物性を示すことができるという点を実験を通じて確認して発明を完成した。
【0043】
前記高分子樹脂組成物を製造する過程では、高分子樹脂のブレンドまたは混合物を製造するのに使用される通常の方法および装置を特別な制限なく使用することができる。例えば、ポリエステル共重合体;および不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体を通常の混合機、ミキサーまたはタンブラーなどに入れて二軸混練押出機を通じて混合することによって前記高分子樹脂組成物を提供することができる。前記高分子樹脂組成物を製造する過程で、樹脂それぞれは十分に乾燥された状態で使用されるのが好ましい。
【0044】
前記高分子樹脂組成物は、ポリエステル共重合体5乃至90重量%、前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体1乃至80重量%を含むことができる。
【0045】
また、前記高分子樹脂組成物は、ポリカーボネート5乃至90重量%をさらに含むことができる。
【0046】
さらに、前記高分子樹脂組成物は、芳香族ビニル−芳香族マレイミド−無水マレイン酸共重合体、芳香族ビニル−不飽和ニトリル−芳香族マレイミド共重合体、芳香族ビニル−α−メチル芳香族ビニル共重合体、および芳香族ビニル−不飽和ニトリル−α−メチル芳香族ビニル共重合体からなる群より選択される一つ以上をさらに含むことができる。前記成分を1乃至80重量%含む場合、高分子樹脂組成物の耐熱度が向上することができる。
【0047】
本発明による高分子樹脂組成物は、最終用途によって、一般高耐衝撃用途の場合には衝撃強度に優れ耐熱度は85〜90℃、耐熱高衝撃用途の場合には耐熱度は90〜100℃、高耐熱高衝撃用途の場合には耐熱度は100℃以上に設計されてもよい。このような用途によって、100℃以上の高耐熱用途ではポリカーボネートを使用するが、一般高衝撃および耐熱高衝撃用途の場合にはポリカーボネートを使用せず、芳香族ビニル−芳香族マレイミド−無水マレイン酸共重合体、芳香族ビニル−不飽和ニトリル−芳香族マレイミド共重合体、芳香族ビニル−α−メチル芳香族ビニル共重合体、および芳香族ビニル−不飽和ニトリル−α−メチル芳香族ビニル共重合体からなる群より選択される一つ以上をさらに含むことができる。
【0048】
本明細書で、‘残基’は、特定の化合物が化学反応に参与した時、その化学反応の結果物に含まれ前記特定化合物に由来した一定の部分または単位を意味する。例えば、前記ジカルボン酸成分の‘残基’またはジオール成分の‘残基’それぞれは、エステル化反応または縮重合反応で形成されるポリエステルにおいてジカルボン酸成分に由来した部分またはジオール成分に由来した部分を意味する。
【0049】
前記‘ジカルボン酸成分’は、テレフタル酸などのジカルボン酸、そのアルキルエステル(モノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルまたはジブチルエステルなど炭素数1乃至4の低級アルキルエステル)および/またはこれらの酸無水物(acid anhydride)を含む意味で使用され、ジオール成分と反応して、テレフタロイル部分(terephthaloyl moiety)などのジカルボン酸部分(dicarboxylic acid moiety)を形成することができる。
【0050】
前記ポリエステルの合成に使用されるジカルボン酸成分がテレフタル酸を含むことによって、製造されるポリエステル樹脂の耐熱性、耐化学性または耐候性(例えば、UVによる分子量減少現象または黄変現象防止)などの物性が向上することができる。
【0051】
前記ジカルボン酸成分は、その他のジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分またはこれらの混合物をさらに含むことができる。この時‘その他のジカルボン酸成分’は、前記ジカルボン酸成分の中のテレフタル酸を除いた成分を意味する。
【0052】
一方、前記ポリエステル共重合体において、ジカルボン酸成分は、炭素数8乃至20の芳香族ジカルボン酸、および炭素数4乃至20の脂肪族ジカルボン酸からなる群より選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0053】
前記芳香族ジカルボン酸成分は、炭素数8乃至20、好ましくは炭素数8乃至14の芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物などであってもよい。前記芳香族ジカルボン酸の例として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’−スチルベンジカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸などがあるが、前記芳香族ジカルボン酸の具体的な例がこれに限定されるのではない。
【0054】
前記脂肪族ジカルボン酸成分は、炭素数4乃至20、好ましくは炭素数4乃至12の脂肪族ジカルボン酸成分またはこれらの混合物などであってもよい。前記脂肪族ジカルボン酸の例として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタン酸、アゼライン酸などの直鎖状、分枝状または環状の脂肪族ジカルボン酸成分などがあるが、前記脂肪族ジカルボン酸の具体的な例がこれに限定されるのではない。
【0055】
一方、前記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸50乃至100モル%、好ましくは70乃至100モル%;および芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸からなる群より選択された1種以上のジカルボン酸0乃至50モル%、好ましくは0乃至30モル%;を含むことができる。前記ジカルボン酸成分の中のテレフタル酸の含量が過度に小さいか過度に大きいと、ポリエステル樹脂の耐熱性、耐化学性または耐候性などの物性が低下することがある。
【0056】
一方、前記ポリエステルの合成に使用されるジオール成分(diol component)は、ジアンヒドロヘキシトール5乃至60モル%、シクロヘキサンジメタノール5乃至80モル%、および残量のその他ジオール化合物を含むことができる。
【0057】
前記ジオール成分が好ましくはジアンヒドロヘキシトールとしてイソソルビド(isosorbide、1,4:3,6−dianhydroglucitol)を含むことによって、製造されるポリエステル樹脂の耐熱性が向上するだけでなく、耐化学性、耐薬品性などの物性が向上する。そして、前記ジオール成分(diol component)でシクロヘキサンジメタノール(例えば、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノール)の含量が増加するほど、製造されるポリエステル樹脂の耐衝撃強度が大きく増加できる。
【0058】
また、前記ジオール成分は、前記イソソルビドおよびシクロヘキサンジメタノール以外に、その他のジオール成分をさらに含むことができる。前記‘その他のジオール成分’は前記イソソルビドおよびシクロヘキサンジメタノールを除いたジオール成分を意味し、例えば、脂肪族ジオール、芳香族ジオールまたはこれらの混合物であってもよい。
【0059】
前記ポリエステル共重合体において、ジオール成分は下記の化学式1、2、および3で表示される化合物からなる群より選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0061】
上記において、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1乃至5の置換もしくは非置換のアルキル基であり、n
1およびn
2は、それぞれ独立して、0乃至3の整数である。
【0063】
上記において、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1乃至5の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0065】
上記において、nは1乃至7の整数である。
【0066】
前述のように、前記ポリエステル樹脂のジオール成分は5乃至60モル%のジアンヒドロヘキシトールを含むことができる。前記ジオール成分の中のジアンヒドロヘキシトールの含量が5モル%未満であれば、製造されるポリエステル樹脂の耐熱性または耐化学性が不充分なことがあり、前述のポリエステル樹脂の溶融粘度特性が示されないことがある。また、前記ジアンヒドロヘキシトールの含量が60モル%を超過すれば、ポリエステル樹脂または製品の外観特性が低下するか黄変(yellowing)現象が発生することがある。
【0067】
また、前記ポリエステル共重合体は、重量平均分子量が10,000乃至100,000であり、ガラス転移温度が0乃至200℃であってもよい。
【0068】
一方、前記ポリエステル樹脂は、ジアンヒドロヘキシトールとしてイソソルビド5乃至60モル%、シクロヘキサンジメタノール5乃至80モル%および残量のその他ジオール化合物を含むジオール成分とテレフタル酸を含むジカルボン酸成分をエステル化反応させる段階;前記エステル化反応が80%以上行われた時点にリン系安定剤を添加する段階;および前記エステル化反応生成物を重縮合反応させる段階を含むポリエステル樹脂の製造方法によって提供することができる。
【0069】
このようなポリエステル樹脂の製造方法によって、亜鉛系化合物を含むエステル化反応触媒を使用し、前記エステル化反応の末期に、例えば、反応が80%以上行われた時点で反応液にリン系安定剤を添加し、前記エステル化反応の結果物を重縮合させると、高い耐熱性、難燃特性および耐衝撃性などの物性を示し、優れた外観特性、高透明度および優れた成形特性を有するポリエステル樹脂を提供することができる。
【0070】
前記テレフタル酸を含むジカルボン酸成分、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビドおよびその他ジオール化合物に関する具体的な内容は前述のとおりである。
【0071】
前記エステル化反応段階は、ジカルボン酸成分およびジオール成分を0乃至10.0kg/cm
2の圧力および150乃至300℃の温度で反応させることによって行うことができる。前記エステル化反応条件は、製造されるポリエステルの具体的な特性、ジカルボン酸成分とグリコールのモル比、または工程条件などによって適切に調節することができる。具体的に、前記エステル化反応条件の好ましい例として、0乃至5.0kg/cm
2、より好ましくは0.1乃至3.0kg/cm
2の圧力;200乃至270℃、より好ましくは240乃至260℃の温度が挙げられる。
【0072】
そして、前記エステル化反応は、バッチ(batch)式または連続式で行うことができ、それぞれの原料は別途に投入することができるが、ジオール成分にジカルボン酸成分を混合したスラリー形態で投入するのが好ましい。そして、常温で固形分であるジアンヒドロヘキシトールなどのジオール成分は、水またはエチレングリコールに溶解させた後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分に混合してスラリーにすることができる。あるいは、60℃以上でジアンヒドロヘキシトールが溶融された後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分とその他のジオール成分を混合してスラリーにすることもできる。また、ジカルボン酸成分、ジアンヒドロヘキシトールおよびエチレングリコールなどの共重合ジオール成分が混合されたスラリーに水を追加的に投入してスラリーの流動性増大を助けることもできる。
【0073】
前記エステル化反応に参与するジカルボン酸成分とジオール成分のモル比は1:1.05乃至1:3.0であってもよい。前記ジカルボン酸成分:ジオール成分のモル比が1.05未満であれば、重合反応時に未反応ジカルボン酸成分が残留し樹脂の透明性が低下することがあり、前記モル比が3.0を超過する場合、重合反応速度が低くなったり樹脂の生産性が低下することがある。
【0074】
前記エステル化反応生成物を重縮合(poly−condensation)反応させる段階は、前記ジカルボン酸成分およびジオール成分のエステル化反応生成物を150乃至300℃温度および600乃至0.01mmHgの減圧条件で1乃至24時間反応させる段階を含むことができる。
【0075】
このような重縮合反応は、150乃至300℃、好ましくは200乃至290℃、より好ましくは260乃至280℃の反応温度;および600乃至0.01mmHg、好ましくは200乃至0.05mmHg、より好ましくは100乃至0.1mmHgの減圧条件で行うことができる。前記重縮合反応の減圧条件を適用することによって重縮合反応の副産物であるグリコールを系外に除去することができ、これにより、前記重縮合反応が400乃至0.01mmHg減圧条件範囲を逸脱する場合、副産物の除去が不充分なことがある。
【0076】
また、前記重縮合反応が150乃至300℃温度範囲外で起こる場合、縮重合反応が150℃以下で行われると、重縮合反応の副産物であるグリコールを効果的に系外に除去せず最終反応生成物の固有粘度が低くて、製造されるポリエステル樹脂の物性が低下することがあり、300℃以上で反応が行われる場合、製造されるポリエステル樹脂の外観が黄変(yellow)する可能性が高まる。そして、前記重縮合反応は、最終反応生成物の固有粘度が適切な水準に達するまで必要な時間、例えば、平均滞留時間1乃至24時間行われる。
【0077】
一方、前記ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、重縮合触媒を追加的に添加する段階をさらに含むことができる。このような重縮合触媒は、前記重縮合反応の開始前にエステル化反応またはエステル交換反応の生成物に添加されてもよく、前記エステル化反応前にジオール成分およびジカルボン酸成分を含む混合スラリー上に添加することができ、前記エステル化反応段階途中に添加することもできる。
【0078】
前記重縮合触媒としては、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を使用することができる。前記チタン系化合物およびゲルマニウム系化合物の例は前述のとおりである。
【0079】
一方、本発明による高分子樹脂組成物は、不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体を含む。
【0080】
前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、コア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)形態で、平均粒子径が0.01乃至5μmであり、グラフト率が5乃至90%であり、コア(Core)のガラス転移温度が−20℃以下であり、シェル(Shell)のガラス転移温度が20℃以上であってもよい。
【0081】
前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、乳化重合またはバルク重合工程によって製造されたコア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)であって、平均粒子径が0.01〜5μm、グラフト率が5〜90%、コア(Core)のガラス転移温度が−20℃以下、シェル(Shell)のガラス転移温度が20℃以上であり、選択的にシェル(Shell)にグリシジルメタクリレートまたは無水マレイン酸などの官能基を含むかまたは含まなくてもよい。
【0082】
そして、前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体において、不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、およびα−クロロアクリロニトリルからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0083】
また、前記グラフト共重合体において、ジエン系ゴムは、ブタジエン系ゴムまたはイソプレン系ゴムであってもよい。
【0084】
さらに、前記グラフト共重合体において、芳香族ビニルは、スチレン、α−メチルスチレンビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ハロゲン置換スチレン、1,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、およびエチルスチレンからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0085】
一方、前記コア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)は、選択的に平均粒子径が0.01乃至5μmである単一粒子分布(Monomodal distribution)形態のモフォロジー(Morphology)または平均粒子径が0.01乃至5μmである多重粒子分布(Multimodal distribution)形態のモフォロジー(Morphology)を有してもよい。
【0086】
また、前記アルキルメタクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、およびブチルメタクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0087】
好ましく、前記不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体であってもよく、前記アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体は、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体であってもよい。さらに、前記アルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体は、メチルメタクリレート−シリコン/ブチルアクリレートグラフト共重合体であってもよい。
【0088】
一方、前記ポリカーボネートは、ガラス転移温度が50乃至200℃であり、重量平均分子量が10,000乃至200,000であってもよい。
【0089】
そして、前記高分子樹脂組成物は、不飽和ニトリル−芳香族ビニル共重合体、不飽和ニトリル−芳香族ビニル−グリシジルメタクリレート系相溶化剤、不飽和ニトリル−芳香族ビニル−無水マレイン酸系相溶化剤、飽和エチレン−アルキルアクリレート−グリシジルメタクリレート系相溶化剤、およびカルボジイミド系耐加水分解剤からなる群より選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0090】
前記で、不飽和ニトリル−芳香族ビニル共重合体は80重量%以下、不飽和ニトリル−芳香族ビニル−グリシジルメタクリレート系相溶化剤は50重量%以下、不飽和ニトリル−芳香族ビニル−無水マレイン酸系相溶化剤は50重量%以下、飽和エチレン−アルキルアクリレート−グリシジルメタクリレート系相溶化剤は50重量%以下、およびカルボジイミド系耐加水分解剤は30重量%以下で含まれてもよい。
【0091】
前記アルキルアクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0092】
また、前記不飽和ニトリル−芳香族ビニル共重合体は、ガラス転移温度が50乃至200℃であり、重量平均分子量が10,000乃至5,000,000であってもよい。
【0093】
一方、前記不飽和ニトリル−芳香族ビニル−グリシジルメタクリレート系相溶化剤は、ガラス転移温度が20乃至200℃であり、重量平均分子量が200乃至300,000であり、選択的に芳香族ビニル−グリシジルメタクリレートが代わりをすることができる。
【0094】
前記で、不飽和ニトリル−芳香族ビニル−無水マレイン酸系相溶化剤は、ガラス転移温度が20乃至200℃であり、重量平均分子量は200乃至300,000であってもよく、前記飽和エチレン−アルキルアクリレート−グリシジルメタクリレート系相溶化剤は、ガラス転移温度が−150乃至200℃であり、重量平均分子量が200乃至300,000であってもよい。
【0095】
また、前記カルボジイミド系耐加水分解剤は、重量平均分子量が50乃至300,000であり、下記の化学式4または化学式5で表示することができる。
【0097】
上記の式において、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基または炭素数6乃至36のアリール基である。
【0099】
上記の式において、Rは炭素数1乃至20のアルキル基または炭素数6乃至36のアリール基であり、nは2乃至30,000の整数であって、平均重合度を示す。
【0100】
一方、前記高分子樹脂組成物は、酸化防止剤、滑剤、光安定剤、光吸収剤、トランスエステル化反応抑制剤、および耐加水分解剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を、テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の残基と、ジアンヒドロヘキシトールを含むジオール成分の残基を含むポリエステル共重合体;および
不飽和ニトリル−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、アルキルメタクリレート−ジエン系ゴム−芳香族ビニルグラフト共重合体、およびアルキルメタクリレート−シリコン/アルキルアクリレートグラフト共重合体からなる群より選択される1種以上の共重合体で構成される基本樹脂全体対比10重量%以下で含むことができる。
【0101】
また、前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、重量平均分子量が50乃至300,000であってもよい。
【0102】
そして、前記ホスファイト系酸化防止剤は、下記の化学式6、化学式7、および化学式8からなる群より選択されてもよい。
【0104】
上記の式において、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、炭素数1乃至40の置換もしくは非置換のアルキル基または炭素数6乃至40の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0106】
上記の式において、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、炭素数1乃至40の置換もしくは非置換のアルキル基または炭素数6乃至40の置換もしくは非置換のアリール基であり、nは1以上の整数であって、置換された繰り返し単位を示す。
【0108】
上記の式において、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、炭素数1乃至40の置換もしくは非置換のアルキル基または炭素数6乃至40の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0109】
一方、前記チオエステル系酸化防止剤は、下記の化学式9または化学式10で表示される化合物であってもよい。
【0112】
上記の式において、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、炭素数1乃至40の置換もしくは非置換のアルキル基または炭素数6乃至40の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0113】
前記滑剤は、金属ステアレート系滑剤、アミド系滑剤、パラフィン系滑剤、およびエステル系滑剤からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0114】
前記光安定剤および光吸収剤は、ハルス(HALS;Hindered Amine Light Stabilizer)系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光吸収剤またはベンゾフェノン系光吸収剤であってもよい。
【0115】
一方、前記トランスエステル化反応抑制剤は、最小限のヒドロキシル官能基およびアルキルエステル官能基を含むリン化合物または下記の化学式11に表示される単位を含むヒドラジン化合物であってもよい。
【0117】
さらに、本発明による高分子樹脂組成物は、追加的にグリシジルメタクリレート単位を含む鎖延長剤またはカップリング剤、無機物添加剤、充填剤、染料、顔料、および着色剤からなる群より選択される添加剤をさらに含むことができる。
【0118】
以下、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。但し、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されると解釈されないというべきである。
【実施例】
【0119】
実施例1
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:140℃、重量平均分子量:4万)70重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体5重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート3重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0120】
前記で、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステルは韓国のエスケーケミカル社の高耐衝撃性の環境に優しい樹脂であるエコゼン(ECOZEN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体は錦湖石油化学社のコア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)形態のグラフトABS製品であるHR−181、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体は日本のKANEKA社のコア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)形態のグラフトMBS製品であるM−511、ポリカーボネートは三養社の3020PJ、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレートは中国のSUNNY FC社のSAG−001、フェノール系1次酸化安定剤は日本のADEKA社のAO−60、ホスファイト系2次酸化安定剤は米国のDOVER社のS−9228製品を使用した。
【0121】
実施例2
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:130℃、重量平均分子量:4万)70重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体5重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート3重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0122】
実施例3
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:120℃、重量平均分子量:5万)70重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体5重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート3重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0123】
実施例4
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:130℃、重量平均分子量:4万)70重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体15重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート2重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0124】
実施例5
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:130℃、重量平均分子量:4万)70重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体15重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸3重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0125】
前記で、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸は、中国のSUNNY FC社のSAM−002を使用した。
【0126】
実施例6
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:130℃、重量平均分子量:4万)70重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体15重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸3重量%、カルボジイミド系耐加水分解剤0.5重量%、フェノール系1次酸化安定剤およびホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0127】
前記で、カルボジイミド系耐加水分解剤は、ドイツのRaschig社の9000を使用した。
【0128】
実施例7
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:130℃、重量平均分子量:4万)65重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体15重量%、およびポリカーボネート20重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸3重量%、カルボジイミド系耐加水分解剤0.5重量%、フェノール系1次酸化安定剤およびホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0129】
実施例8
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:140℃、重量平均分子量:4万)70重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体20重量%、およびアクリロニトリル−スチレン共重合体10重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート2重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤2種類をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0130】
前記で、アクリロニトリル−スチレン共重合体は錦湖石油化学のBulk SAN製品であるSAN−326、ホスファイト系2次酸化安定剤はスイスのClariant社のIgarfos 168およびP−EPQ製品を使用した。
【0131】
実施例9
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:120℃、重量平均分子量:5万)70重量%、メチルメタクリレート−シリコン/ブチルアクリレートグラフト共重合体15重量%、およびポリカーボネート15重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート3重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0132】
前記で、メチルメタクリレート−シリコン/ブチルアクリレートグラフト共重合体は、コア−シェルゴム(Core−Shell Rubber)形態のグラフトMBS製品である日本の三菱レイヨン社のS−2001製品を使用した。
【0133】
実施例10
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:120℃、重量平均分子量:5万)70重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体5重量%、一般ポリカーボネート10重量%、および高分子ポリカーボネート5重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート3重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0134】
前記で、一般ポリカーボネートは三養社の3020PJ、高分子ポリカーボネートは三養社の3030PJ製品を使用した。
【0135】
実施例11
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:120℃、重量平均分子量:5万)60重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、ポリカーボネート23重量%、およびスチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸7重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸2重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0136】
前記で、ポリカーボネートは三養社の3030PJ、スチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸は日本の電気化学のMS−NI、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸は相溶化剤として中国のSUNNY FCのSAM−002製品を使用した。
【0137】
実施例12
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:120℃、重量平均分子量:5万)60重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、ポリカーボネート23重量%、およびスチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸7重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸2重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0138】
前記で、ポリカーボネートは三養社の3030PJ、スチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸は日本の電気化学(DENKI KAGAKU)のMS−NI、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸は相溶化剤であって中国のSUNNY FCのSAM−002製品を使用した。
【0139】
実施例13
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:120℃、重量平均分子量:5万)60重量%、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体10重量%、ポリカーボネート23重量%、およびスチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド7重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸2重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0140】
前記で、ポリカーボネートは三養社の3030PJ、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミドは日本の日本触媒(NIPPON SHOKUBAI)のP−1460、アクリロニトリル−スチレン−無水マレイン酸は相溶化剤であって中国のSUNNY FCのSAM−002製品を使用した。
【0141】
実施例14
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:95℃、重量平均分子量:5万)50重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体20重量%、およびアクリロニトリル−α−メチルスチレン30重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート0.5重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0142】
前記で、アクリロニトリル−α−メチルスチレンはドイツのSTYROLUTIONのVLS、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレートは相溶化剤であって中国のSUNNY FCのSAG−005を使用した。
【0143】
実施例15
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、テレフタル酸−イソソルビド−1,4−シクロヘキサンジオール−エチレングリコール共重合体ポリエステル(Tg:110℃、重量平均分子量:5万)50重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体20重量%、およびアクリロニトリル−α−メチルスチレン30重量%からなる樹脂100重量%に対して、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレート0.5重量%、フェノール系1次酸化安定剤、ホスファイト系2次酸化安定剤をそれぞれ0.2重量%添加し、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0144】
前記で、アクリロニトリル−α−メチルスチレンはドイツのSTYROLUTIONのVLS、アクリロニトリル−スチレン−グリシジルメタクリレートは相溶化剤であって中国のSUNNY FCのSAG−005を使用した。
【0145】
比較例1乃至5
二軸混練押出機(Φ:40mm、L/D=40)を用いて、下記表4の組成で成分をそれぞれ添加した後、均一に混練押出を行ってペレットを製造した。
【0146】
<実験例:高分子樹脂組成物から製造された成形品の物性測定>
前記実施例1乃至15、および比較例1乃至5によって製造されたペレットを射出機を用いて射出温度250℃で同一に射出した後、射出された試験片を23±2℃、50±5%相対湿度条件下で状態調節を行い、下記のように機械的物性を測定した。測定結果を下記表1乃至4に示した。
【0147】
実験例1:衝撃強度測定
ASTM D 256に基づいて、測定用試片を製作し、アイゾッド衝撃試験機(Impact Tester、Toyoseiki)を用いて衝撃強度値を測定した。
【0148】
実験例2:引張特性測定
ASTM D 638に基づいて、測定用試片を製作し、万能材料試験機(Universal Testing Machine、Zwick Roell Z010)を用いて引張強度、伸び率を測定した。
【0149】
実験例3:屈曲特性測定
ASTM D 790に基づいて、測定用試片を製作し、万能材料試験機(Universal Testing Machine、Zwick Roell Z010)を用いて屈曲強度、屈曲弾性率を測定した。
【0150】
実験例4:耐熱性測定
ASTM D 648に基づいて、測定用試片を製作し、耐熱度試験機(HDT Tester、Toyoseiki)を用いて耐熱性を測定した。
【0151】
実験例5:溶融指数測定
ASTM D1238に基づいて、測定用試片を製作し、溶融指数試験機(Melt Flow Indexer、Davenport)を用いて溶融指数を測定した。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
*注)
−PLA:米国のNatureWorks LLC社のポリ乳酸樹脂3001D
−PLLA:米国のNatureWorks LLC社のL型ポリ乳酸樹脂Ingeo3251D
−PDLA:オランダのPurac社のポリ乳酸樹脂
−PP:湖南石油化学のポリプロピレンブロック共重合体
−PC:底粘度ポリカーボネート樹脂
−PEエラストマー:ポリオレフィン系エラストマー
−ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体
−SAN:スチレン−アクリロニトリル樹脂
−SMMA:メチルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン系共重合体
−PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂
−MA系相溶化剤:無水マレイン酸グラフトエチレン−オクテン共重合体
−PLA−g−MA:無水マレイン酸グラフトポリ乳酸樹脂
−PE−GMA:米国のAldrich社のポリエチレン−グリシジルメタクリレート樹脂
−PP−g−MA:湖南石油化学社のポリプロピレン−無水マレイン酸グラフト共重合体
−Nano−Clay:米国のSouthern Clay Products社の有機化クレイCloisite20A
−トリアリールイソシアネート:日本の東京化学産業社のトリアリールイソシアネート
−Talc:Koch社のKC−3000
−MMA−Talc:メチルメタクリレートでコーティングされたTalc
−HI−WAX:日本のMitsui Chemicals社の低分子量ポリエチレン200P
−I−245:松原産業社のヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox245。
【0157】
前記測定結果から分かるように、実施例の場合は比較例に比べて耐熱性または耐衝撃性が優れていることが分かった。これにより、本発明による高分子樹脂組成物はその成分が環境にやさしいだけでなく、向上した耐熱性または耐衝撃性などの物性を示すことができるという点が分かった。
【0158】
以上、本発明内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は単に好ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるのではない点は明白である。従って、本発明の実質的な範囲は添付された請求項とそれらの等価物によって定義される。