特許第6378218号(P6378218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378218通信制御装置、通信制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378218
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/06 20060101AFI20180813BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20180813BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20180813BHJP
【FI】
   H04L13/00 305C
   H04M3/42 A
   H04W88/02
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-2830(P2016-2830)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2017-123612(P2017-123612A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】横井 達也
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−077294(JP,A)
【文献】 特開2000−134216(JP,A)
【文献】 特開2013−247431(JP,A)
【文献】 特開平11−331394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/06
H04M 3/42
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信制御装置に通信可能な状態に接続する全ての同一通信環境内の通信端末の通信状況を常時監視する監視部と、
前記監視部より全ての前記通信端末の前記通信状況の情報を受信し、全ての前記通信端末のうちいずれかが前回の通信状況の情報と一致しない場合、かつ変更前の通信方式の通信性能よりも低い通信性能の通信方式への変更を検知した場合、他の前記通信端末の前記通信状況を確認し、前記通信方式が変更前の前記通信方式と一致する前記他の通信端末が前記全ての通信端末に対して所定の数以上存在する場合、前記通信方式を変更した前記通信端末を変更前の前記通信方式に戻すよう制御する制御部と、
を含む通信制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記監視部より全ての前記通信端末の前記通信状況の情報を受信し、1つの前記通信端末において、変更前の通信方式より通信性能の低い通信方式への変更を検知した場合、他の前記通信端末の前記通信状況を確認し、前記通信方式が変更前の前記通信方式と一致する前記他の通信端末が前記全ての通信端末に対して所定の割合以上存在する場合、前記通信方式を変更した前記通信端末を変更前の前記通信方式に戻すよう制御する請求項1記載の通信制御装置。
【請求項3】
通信制御装置に通信可能な状態に接続する全ての同一通信環境内の通信端末の通信状況を常時監視し、
全ての前記通信端末のうちいずれかが前回の通信状況の情報と一致しない場合、かつ変更前の通信方式の通信性能よりも低い通信性能の通信方式への変更を検知した場合、他の前記通信端末の前記通信状況を確認し、
前記通信方式が変更前の前記通信方式と一致する前記他の通信端末が前記全ての通信端末に対して所定の数以上存在する場合、前記通信方式を変更した前記通信端末を変更前の前記通信方式に戻すよう制御する
通信制御方法。
【請求項4】
前記通信方式が変更前の前記通信方式と一致する前記他の通信端末が前記全ての通信端末に対して所定の割合以上存在する場合、前記通信方式を変更した前記通信端末を変更前の前記通信方式に戻すよう制御する請求項3記載の通信制御方法。
【請求項5】
通信制御装置に通信可能な状態に接続する全ての同一通信環境内の通信端末の通信状況を常時監視し、
全ての前記通信端末のうちいずれかが前回の通信状況の情報と一致しない場合、かつ変更前の通信方式の通信性能よりも低い通信性能の通信方式への変更を検知した場合、他の前記通信端末の前記通信状況を確認し、
前記通信方式が変更前の前記通信方式と一致する前記他の通信端末が前記全ての通信端末に対して所定の数以上存在する場合、前記通信方式を変更した前記通信端末を変更前の前記通信方式に戻すよう制御する処理
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項6】
前記通信方式が変更前の前記通信方式と一致する前記他の通信端末が前記全ての通信端末に対して所定の割合以上存在する場合、前記通信方式を変更した前記通信端末を変更前の前記通信方式に戻すよう制御する処理をコンピュータに実行させる請求項5記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末の通信を制御する通信制御装置、通信制御方法、及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信制御装置において、通信状況に基づいて通信端末の通信を制御する装置が知られている。
【0003】
このような通信制御装置の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された通信制御装置は、通信方式Aと通信方式Bの通信品質に応じて通信方式を選択し、所望のアプリケーションデータの通信を行う。
【0004】
また、特許文献2に記載された通信制御装置は、通信装置との通信における通信状態を監視し、その通信での通信量が所定の値を超える場合、所定の順位で設定した通信種別の通信を制御する。
【0005】
また、特許文献3に記載された通信制御装置は、位置情報、及び電波状況に基づいて、利用できる通信方式を判定する。さらにその通信制御装置は、通信方式の切り替えの要否の判定を行い、判定結果に基づいて通信方式の切り替え処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/122414号
【特許文献2】特開2006−020028号公報
【特許文献3】特開2012−023506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1と特許文献3に記載された技術は、1つの通信制御装置における最適な通信方式を選択する技術であり、単独の通信制御装置しか監視しない。このため、もし監視する通信制御装置において通信性能の劣化が発生した場合、原因が恒常的な通信環境の変化による通信性能の劣化であるかハンドオーバーによる通信性能の劣化であるかを通信制御装置が即座に検知することができない。また、特許文献2に記載された技術は、通信量に基づき通信を制御する技術である。このため、通信性能の劣化が発生した場合の原因の特定と対処はできない。したがって、これらの特許文献は、複数の端末が通信する通信環境が一時的に悪化し、1つの通信端末においてハンドオーバーが発生し通信性能が劣化した場合に、劣化した通信性能を回復することが不可能であるという問題点がある。
【0008】
本発明の目的の一例は、上述した問題点を解決できる通信制御装置、通信制御方法およびプログラムを提供することにある。具体的には、本発明の目的の一例は、複数の端末が通信する通信環境が一時的に悪化し、1つの通信端末においてハンドオーバーが発生し通信性能が劣化した場合に、劣化した通信性能を回復することが可能である通信制御装置、通信制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態における通信制御装置は、通信制御装置に接続する全ての通信端末の通信状況を常時監視する監視部と、監視部より全ての通信端末の通信状況の情報を受信し、1つの通信端末において、変更前の通信方式より通信性能の低い通信方式への変更を検知した場合、他の通信端末の通信状況を確認し、通信方式が変更前の通信方式と一致する他の通信端末が全ての通信端末に対して所定の数以上存在する場合、通信方式を変更した通信端末を変更前の通信方式に戻すよう制御する制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一形態における通信制御方法は、通信制御装置に接続する全ての通信端末の通信状況を常時監視し、1つの通信端末において、変更前の通信方式より通信性能の低い通信方式への変更を検知した場合、他の通信端末の通信状況を確認し、通信方式が変更前の通信方式と一致する他の通信端末が全ての通信端末に対して所定の数以上存在する場合、通信方式を変更した通信端末を変更前の通信方式に戻すよう制御する。
【0011】
本発明の一形態におけるプログラムは、コンピュータに、通信制御装置に接続する全ての通信端末の通信状況を常時監視し、1つの通信端末において、変更前の通信方式より通信性能の低い通信方式への変更を検知した場合、他の通信端末の通信状況を確認し、通信方式が変更前の通信方式と一致する他の通信端末が全ての通信端末に対して所定の数以上存在する場合、通信方式を変更した通信端末を変更前の通信方式に戻すよう制御する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の端末が通信する通信環境が一時的に悪化し、1つの通信端末においてハンドオーバーが発生し通信性能が劣化した場合に、劣化した通信性能を回復することが可能であるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態における通信制御装置100の構成と通信端末200、300との接続を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る通信端末200および300の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態における通信制御装置100をコンピュータ装置で実現した場合のハードウェア構成例を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態における通信制御装置100での通信端末200と通信端末300の通信方式の監視の動作の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における通信制御装置100の構成と通信端末200、300との接続を示すブロック図である。図1を参照すると、通信制御装置100は、監視部110と、制御部120と、を備える。また、通信制御装置100は通信端末200および通信端末300と通信可能な状態に接続される。また、図1では通信制御装置100が接続される通信端末は2つだが、2つに限らず3つ以上であってもよい。また、通信制御装置100と通信端末200および通信端末300との接続手段は、バス接続、ケーブル接続、無線通信接続など通信可能な状態に接続できればどのような手段でもよい。
【0016】
次に、第1の実施の形態における通信制御装置100の構成について説明する。
【0017】
監視部110は、接続する全ての通信端末、すなわち通信端末200および通信端末300の通信状況を常時監視し、通信状況の情報を制御部120に送信する。通信状況の情報とは、通信端末200および通信端末300がそれぞれ接続する通信網に対してどの通信方式を用いて通信したかの情報である。すなわち、通信端末200および通信端末300が、後述するそれぞれ第1の通信部210、310およびそれぞれ第2の通信部220、320のうちどちらで通信しているかを表す情報である。なお、後述の通り、通信端末200、300のそれぞれ第1の通信部210、310が通信する通信方式の通信性能は、それぞれ第2の通信部220、320が通信する通信方式の通信性能より高いとする。
【0018】
制御部120は、監視部110より通信制御装置100に接続する全ての通信端末、すなわち通信端末200および通信端末300の通信状況の情報を受信し、図1に図示しない記憶部に記憶する。図1に図示しない記憶部に記憶される前々回以前の通信端末200および通信端末300の通信状況の情報は、破棄しても構わない。
【0019】
また、制御部120は、今回の通信状況の情報と記憶された前回の通信状況の情報とを照合する。全ての通信端末のうちいずれかが前回の通信状況の情報と一致しない場合、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低いか否か確認する。今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低い場合(通信方式を劣化させるハンドオーバーが発生した場合)、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が当該通信端末の前回の通信状況の情報の通信方式と一致する当該通信端末以外の通信端末が所定の数以上存在するか否か確認する。所定の数は半数以上であってもよいし、当該通信端末以外全ての数でもよい。所定の数は使用者が任意に設定してよい。
【0020】
また、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が当該通信端末の前回の通信状況の情報の通信方式と一致する当該通信端末以外の通信端末が所定の数以上存在するか否かの変形例として、所定の割合以上存在するか否かを確認してもよい。この場合、所定の割合は使用者が任意に設定してよい。
【0021】
存在する場合、制御部120は、当該通信端末の通信方式を、前回の通信状況の情報の通信方式に戻す要求を当該通信端末に送信する。
【0022】
例として、通信端末200の今回の通信状況の情報が第1の通信部210での通信から第2の通信部220での通信に変更され、通信端末300は前回も今回も通信状況の情報が第1の通信部310だった場合を想定する。通信端末200の今回の通信状況の情報が第1の通信部210での通信から第2の通信部220での通信に変更されたと制御部120が検知した場合、制御部120は、通信端末200の第2の通信部220での通信の通信方式が第1の通信部210での通信の通信方式より通信性能が低いか否か確認する。第2の通信部220での通信の通信方式が第1の通信部210での通信の通信方式より通信性能が低いため、制御部120は、通信端末300の今回の通信状況の情報の通信方式が通信端末200の前回の通信状況の情報の通信方式と一致するか否か確認する。通信端末300は前回も今回も通信状況の情報が第1の通信部310であるため、制御部120は、通信端末200の通信方式を、前回の通信状況の情報の通信方式に戻す要求、すなわち、第2の通信部220での通信から第1の通信部210での通信に戻す要求を通信端末200に送信する。
【0023】
次に、第1の実施の形態における通信端末200および300の構成について説明する。
【0024】
図2(a)は、本実施の形態に係る通信端末200の構成の一例を示すブロック図である。図2(b)は、本実施の形態に係る通信端末300の構成の一例を示すブロック図である。通信端末200と通信端末300の構成は同一であるため、まとめて説明する。また、通信端末の表示画面や入力部等については、本実施形態の動作の説明の範囲外であるため省略する。
【0025】
第1の通信部210、310は、第1の通信方式を用いて、第1の通信方式によって接続される通信網に対して通信する。
【0026】
第2の通信部220、320は、第2の通信方式を用いて、第2の通信方式によって接続される通信網に対して通信する。ここで、前述の通り、第1の通信部210、310が通信する通信方式の通信性能は、第2の通信部220、320が通信する通信方式の通信性能より高いとする。第1の通信部210、310および第2の通信部220、320が接続するそれぞれの通信網は、通信方式によって異なっていてもよい。たとえば、第1の通信方式が無線LAN(Local Area Network)、第2の通信方式が携帯電話通信である場合、第1の通信部210、310は、無線LAN通信網に対して通信し、第2の通信部220、320は、携帯電話通信網に対して通信する。第1の通信方式がLTE(Long Term Evolution)方式、第2の通信方式がW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式である場合、第1の通信部210、310は、LTE通信網に対して通信し、第2の通信部220、320は、W−CDMA通信網に対して通信する。また、通信性能とは、データ通信速度のことである。
【0027】
制御部230、330は、第1の通信部210、310もしくは第2の通信部220、320のどちらかを当該の通信網と通信するよう制御する。また、通信制御装置100より第1の通信方式への通信方式変更の要求を受信した場合、制御部230、330は、第1の通信部210、310を第1の通信方式によって接続される通信網と通信するよう制御する。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態における通信制御装置100をコンピュータ装置で実現した場合のハードウェア構成例を示す図である。図3に示されるように、通信制御装置100は、それぞれ通信インタフェース10、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置14、および二次記憶装置15を含む。
【0029】
通信インタフェース10は、処理装置および周辺端末との通信のための入出力インタフェースを構成する。また通信インタフェース10は、通信制御装置100に接続する図示しないネットワークとの接続制御のためのインタフェースも含む。
【0030】
CPU11は、オペレーティングシステムを動作させて本発明の第1の実施の形態に係る通信制御装置100の全体を制御する。また、CPU11は、例えば二次記憶装置15から主記憶装置14にプログラムまたはデータを読み出す。具体的には、通信制御装置100のCPU11は、第1の実施の形態における監視部110と、制御部120として動作し、それぞれプログラム制御に基づいて各種の処理を実行する。また、通信制御装置100のCPU11は、1つに限らず2つ以上備えていてもよい。
【0031】
主記憶装置14は、CPU11の制御に基づく作業用メモリである。
【0032】
二次記憶装置15は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等であって、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する。二次記憶装置15は、通信制御装置100が実行するためのコンピュータプログラムを一時的に記憶するまたは非一時的に記憶する。したがって、CPU11は、二次記憶装置15に記録されているコンピュータプログラムを読み込み、そのプログラムにしたがって、監視部110と、制御部120として動作してもよい。
【0033】
また、コンピュータプログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。
【0034】
なお、第1の実施の形態の説明において利用されるブロック図(図1)には、機能単位のブロックが示されている。これらの機能ブロックは、図3に示すコンピュータ装置に限らず、各部がハードウェア回路によって実現されてもよい。ただし、通信制御装置100が備える各部の実現手段は特に限定されない。すなわち、通信制御装置100は、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0035】
以上のように構成された通信制御装置100の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
図4は、第1の実施の形態における通信制御装置100での通信端末200と通信端末300の通信方式の監視の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したCPU11によるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
【0037】
図4に示すように、まず、制御部120は、通信端末200および通信端末300の通信状況の情報を監視部110から受信し、図1に図示しない記憶部(たとえば図3の主記憶装置14)に記憶する(ステップS101)。
【0038】
次に、制御部120は、通信端末200と通信端末300が通信する通信方式が記憶された前回の通信状況の情報と全て一致するか確認する(ステップS102)。もし全て一致する場合(ステップS102でYES)、本動作は終了する。
【0039】
通信端末200または通信端末300のいずれかの今回の通信状況の情報と前回の通信状況の情報とが一致しない場合(ステップS102でYES)、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低いか否か確認する(ステップS103)。もし通信端末200と通信端末300の今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低くない場合(ステップS103でNO)、本動作は終了する。
【0040】
今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低い場合(ステップS103でYES)、次に、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が当該通信端末の前回の通信状況の情報の通信方式と一致する当該通信端末以外の通信端末が所定の数、もしくは所定の割合以上存在するか否か確認する(ステップS104)。もし存在しない場合(ステップS104でNO)、本動作は終了する。
【0041】
存在する場合(ステップS104でYES)、次に、制御部120は、当該通信端末の通信方式を、前回の通信状況の情報の通信方式に戻す要求を当該通信端末に送信する(ステップS105)。
【0042】
以上で、通信制御装置100は、通信端末200と通信端末300の通信方式の監視の動作を終了する。通信制御装置100は、この動作を所定の周期で定期的に実行する。所定の周期は使用者が適宜決定してよい。また、この動作の後、前回の通信状況の情報の通信方式に戻す要求を受信した通信端末200または通信端末300は、第1の通信部210、310を第1の通信方式によって接続される通信網と通信するよう制御する。
【0043】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。
【0044】
上述した本実施形態における通信制御装置100は、複数の端末が通信する通信環境が一時的に悪化し、1つの通信端末においてハンドオーバーが発生し通信性能が劣化した場合に、劣化した通信性能を回復することが可能である。
【0045】
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、第1に制御部120は、全ての通信端末のうちいずれかが前回の通信状況の情報と一致しない場合、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低いか否か確認する。これにより、1つの通信端末においてハンドオーバーが発生し通信性能が劣化したことを確認できる。第2に、今回の通信状況の情報の通信方式が前回の通信状況の情報の通信方式より通信性能が低い場合、制御部120は、今回の通信状況の情報の通信方式が当該通信端末の前回の通信状況の情報の通信方式と一致する当該通信端末以外の通信端末が所定の数、もしくは所定の割合以上存在するか否か確認する。第3に、所定の数、もしくは所定の割合以上存在する場合、制御部120は、当該通信端末の通信方式を、前回の通信状況の情報の通信方式に戻す要求を当該通信端末に送信する。継続して通信環境が悪化する場合は、他の通信端末も通信性能が低い通信方式に変更するため、今回の通信状況の情報の通信方式が当該通信端末の前回の通信状況の情報の通信方式と一致する端末が所定の数、もしくは所定の割合以上存在しない。これにより、通信制御装置100は、通信環境が一時的に悪化し、1つの通信端末においてハンドオーバーが発生した場合を検知でき、しかも劣化した通信性能を回復することが可能であるという効果が得られる。
【0046】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0047】
たとえば、以上の各実施形態で説明した各構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はない。例えば、各構成要素は、複数の構成要素が1個のモジュールとして実現されたり、一つの構成要素が複数のモジュールで実現されたりしてもよい。また、各構成要素は、ある構成要素が他の構成要素の一部であったり、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していたり、といったような構成であってもよい。
【0048】
また、以上説明した各実施形態では、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0049】
さらに、以上説明した各実施形態では、複数の動作は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。例えば、ある動作の実行中に他の動作が発生したり、ある動作と他の動作との実行タイミングが部分的に乃至全部において重複していたりしていてもよい。
【0050】
さらに、以上説明した各実施形態では、ある動作が他の動作の契機になるように記載しているが、その記載はある動作と他の動作の全ての関係を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の関係は内容的に支障のない範囲で変更することができる。また各構成要素の各動作の具体的な記載は、各構成要素の各動作を限定するものではない。このため、各構成要素の具体的な各動作は、各実施形態を実施する上で機能的、性能的、その他の特性に対して支障をきたさない範囲内で変更されて良い。
【符号の説明】
【0051】
10 通信インタフェース
11 CPU
14 主記憶装置
15 二次記憶装置
100 通信制御装置
110 監視部
120、230、330 制御部
200、300 通信端末
210、220、310、320 通信部
図1
図2
図3
図4