(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378228
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】車高調整システム
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20180813BHJP
B60G 17/052 20060101ALI20180813BHJP
B60G 17/056 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
B60G17/015 C
B60G17/052
B60G17/056
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-49196(P2016-49196)
(22)【出願日】2016年3月14日
(65)【公開番号】特開2017-165113(P2017-165113A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 克幸
(72)【発明者】
【氏名】徳満 淳
(72)【発明者】
【氏名】神田 亮
(72)【発明者】
【氏名】田中 渉悟
(72)【発明者】
【氏名】大石 正明
(72)【発明者】
【氏名】小久江 健
【審査官】
三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−203974(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0035562(US,A1)
【文献】
特開平04−159114(JP,A)
【文献】
独国特許発明第10160972(DE,C1)
【文献】
特開平3−70615(JP,A)
【文献】
特開2008−189279(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0040344(US,A1)
【文献】
特開2017−165113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、圧力媒体を収容するタンクと、前記タンクに圧力媒体を供給可能な供給装置とを含み、
当該車高調整システムが、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、前記車輪についての車高と、当該車高調整システムの内部の温度である内部温度との少なくとも一方に基づいて制御するタンク圧制御装置を含み、
前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧が供給開始しきい値より低い場合に、前記供給装置を制御することにより、前記圧力媒体を前記タンクに供給する供給制御部を含み、
前記供給制御部が、前記内部温度が高い場合の前記供給開始しきい値を前記内部温度が低い場合の前記供給開始しきい値より大きい値とする第1内部温度依拠変更部を含む車高調整システム。
【請求項2】
車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、圧力媒体を収容するタンクと、前記タンクに圧力媒体を供給可能な供給装置とを含み、
当該車高調整システムが、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、前記車輪についての車高と、当該車高調整システムの内部の温度である内部温度との少なくとも一方に基づいて制御するタンク圧制御装置を含み、
前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧が供給開始しきい値より低い場合に、前記供給装置を制御することにより、前記圧力媒体を前記タンクに供給する供給制御部を含み、
前記供給制御部が、前記内部温度から外気の温度である外気温度を引いた値である温度差が大きい場合の前記供給開始しきい値を前記温度差が小さい場合の前記供給開始しきい値より大きい値とする第1温度差依拠変更部を含む車高調整システム。
【請求項3】
車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、圧力媒体を収容するタンクと、前記タンクから圧力媒体を排出可能な排出装置とを含み、
当該車高調整システムが、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、前記車輪についての車高と、当該車高調整システムの内部の温度である内部温度との少なくとも一方に基づいて制御するタンク圧制御装置を含み、
前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧が排出開始しきい値より高い場合に、前記排出装置を制御することにより、前記タンクから圧力媒体を排出させる排出制御部を含み、
前記排出制御部が、前記内部温度が高い場合の前記排出開始しきい値を前記内部温度が低い場合の前記排出開始しきい値より大きい値とする第2内部温度依拠変更部を含む車高調整システム。
【請求項4】
車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、圧力媒体を収容するタンクと、前記タンクから圧力媒体を排出可能な排出装置とを含み、
当該車高調整システムが、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、前記車輪についての車高と、当該車高調整システムの内部の温度である内部温度との少なくとも一方に基づいて制御するタンク圧制御装置を含み、
前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧が排出開始しきい値より高い場合に、前記排出装置を制御することにより、前記タンクから圧力媒体を排出させる排出制御部を含み、
前記排出制御部が、前記内部温度から外気の温度である外気温度を引いた値である温度差が大きい場合の前記排出開始しきい値を前記温度差が小さい場合の前記排出開始しきい値より大きい値とする第2温度差依拠変更部を含む車高調整システム。
【請求項5】
前記供給制御部が、前記車輪についての車高が高い場合の前記供給開始しきい値を前記車輪についての車高が低い場合の前記供給開始しきい値より小さい値とする第1車高依拠変更部を含む請求項1または2に記載の車高調整システム。
【請求項6】
前記排出制御部が、前記車輪についての車高が高い場合の前記排出開始しきい値を前記車輪についての車高が低い場合の前記排出開始しきい値より小さい値とする第2車高依拠変更部を含む請求項3または4に記載の車高調整システム。
【請求項7】
前記タンク圧制御装置が、前記内部温度を取得する内部温度取得装置を含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車高調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力媒体を収容するタンクを備えた車高調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エアを収容するタンクを備えた車高調整システムが記載されている。この車高調整システムにおいては、タンクに収容されたエアの圧力が設定範囲の下限値より低くなるとコンプレッサが始動させられ、上限値に達すると停止させられる。
【特許文献1】特開平3−70615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、車高調整システムにおいて、タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧の制御が適切に行われるようにすることである。
【0004】
本発明に係る車高調整システムにおいては、タンク圧が、当該車高調整システム(以下、単にシステムと略称する場合がある)の状態に基づいて制御される。
本発明に係る車高調整システムにおいては、タンク圧が、供給開始しきい値より低い場合にタンクに圧力媒体を供給する供給制御と、排出開始しきい値より高い場合にタンクから圧力媒体を排出させる排出制御との少なくとも一方が、システムの状態に基づいて行われる。システムの状態は、システムの内部の温度である内部温度、車高(車高調整アクチュエータに収容された圧力媒体の量にほぼ対応する)等で表すことができる。
タンクに収容された圧力媒体の量が一定である状態において、圧力媒体としてのエアの温度が変化するとタンク圧が変化する。また、車高調整システム全体における圧力媒体の量が一定であっても、車高が変化するとタンクに収容された圧力媒体の量が変化し、タンク圧が変化する。そのため、供給制御や排出制御が、本来不必要であるにもかかわらず行われることによりコンプレッサ等の作動回数が多くなったり、必要であるにもかかわらず行われなかったことにより、タンク圧が不足したり、過大になったりする場合等がある。
それに対して、システムの内部温度や車高等に基づけばタンク圧の制御を適切に行うことができる。
システムの内部温度とは、システムの内部の圧力媒体の温度であり、例えば、車高調整アクチュエータの内部の圧力媒体の温度としたり、車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体の給排を行わせる圧力媒体給排装置の内部(例えば、タンクの内部、通路の内部)の圧力媒体の温度としたりすること等ができる。また、システムの内部の圧力媒体の温度は、圧力媒体給排装置の通路やタンクの外部の雰囲気温度(大気温度)に基づいて推定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の実施例1に係る車高調整システムを示す回路図である。
【
図2】上記車高調整システムの車高調整ECUの周辺を示す概念図である。
【
図3】(a)上記車高調整システムのエアシリンダに、エアが供給される場合の状態を示す図である。(b)上記エアシリンダからエアが排気される場合の状態を示す図である。
【
図4】(a)上記車高調整システムのタンクにエアが供給される場合の状態を示す図である。(b)上記タンクからエアが排気される場合の状態を示す図である。
【
図6】車高とタンク圧との関係を示す図である。(a)車高が高い状態から標準車高に戻された場合のタンク圧の変化を示す図である。(b)車高が低い状態から標準車高に戻された場合のタンク圧の変化を示す図である。
【
図7】上記車高調整ECUの記憶部に記憶されたタンク圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【
図8】上記記憶部に記憶された補正しきい値決定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図9】上記記憶部に記憶された温度依拠補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図10】上記記憶部に記憶された温度差依拠補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図11】上記記憶部に記憶された車高依拠補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図12】本発明の別の実施例に係る車高調整システムの車高調整ECUの記憶部に記憶された別の温度依拠補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図13】上記記憶部に記憶された別の温度差依拠補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図14】上記記憶部に記憶された別の車高依拠補正値決定テーブルを表すマップである。
【
図15】本発明の実施例2に係る車高調整システムの車高調整ECUの記憶部に記憶された補正しきい値決定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図16】本発明の別の実施例に係る車高調整システムの車高調整ECUの記憶部に記憶された別の補正しきい値決定ルーチンを表すフローチャートである。
【
図17】本発明の実施例3に係る車高調整システムの車高調整ECUの記憶部に記憶された補正しきい値決定ルーチンを表すフローチャートである。
【0006】
以下、本発明の一実施形態である車高調整システムについて図面に基づいて詳細に説明する。本車高調整システムにおいては、圧力媒体としてのエアが利用される。
【実施例1】
【0007】
実施例1に係る車高調整システムにおいては、
図1に示すように、車両に設けられた左右前後の車輪の各々に対応して、図示しない車輪側部材と車体側部材との間に、車高調整アクチュエータとしてのエアシリンダ2FL,FR,RL,RRと、ショックアブソーバ4FL,FR,RL,RRとが、互いに並列に設けられる。
ショックアブソーバ4FL,FR,RL,RRは、それぞれ、車輪側部材に設けられたシリンダ本体と、車体側部材に設けられたピストンとを含む。
以下、本明細書において、エアシリンダ2等について、車輪の位置で区別する必要がある場合には、車輪の位置を表す符号FL,FR,RL,RRを付して区別するが、車輪の位置で区別する必要がない場合、総称を表す場合等には車輪の位置を表す符号FL,FR,RL,RR等を省略して記載する。
エアシリンダ2は、それぞれ、車体側部材に設けられたシリンダ本体としてのチャンバ10と、チャンバ10に固定されたダイヤフラム12と、ダイヤフラム12およびショックアブソーバ2のシリンダ本体に上下方向に相対移動不能に設けられたエアピストン14とを含み、これらの内部が圧力媒体室としてのエア室19とされる。
エア室19におけるエアの給排によりエアピストン14がチャンバ10に対して上下方向に相対移動させられ、それにより、ショックアブソーバ4においてシリンダ本体とピストンとが上下方向に相対移動させられるのであり、車輪側部材と車体側部材との間の距離である車高が変化させられる。
【0008】
エアシリンダ2のエア室19には、それぞれ、個別通路20および共通通路22を介して圧力媒体給排装置としてのエア給排装置24が接続される。個別通路20には、それぞれ、車高調整弁26が設けられる。車高調整弁26は常閉の電磁弁であり、開状態において、双方向のエアの流れを許容し、閉状態において、エア室19から共通通路22へのエアの流れを阻止するが、共通通路22の圧力がエア室19の圧力より設定圧以上高くなると共通通路22からエア室19へのエアの流れを許容するものである。
【0009】
エア給排装置24は、コンプレッサ装置30、排気弁32、タンク34、切換え装置36等を含む。
コンプレッサ装置30は、コンプレッサ40、コンプレッサ40を駆動する電動モータ42、コンプレッサ40の吸気側の部分である吸気側部41と大気との間に設けられた逆止弁である吸気弁44、コンプレッサ40の吐出側に設けられたリリーフ弁46等を含む。コンプレッサ40の吸気側部41の圧力が大気圧より低くなると、コンプレッサ40により大気からフィルタ43、吸気弁44を介してエアが吸い込まれる。また、コンプレッサ40の吐出圧が高くなると、リリーフ弁46を経て大気へ放出される。
タンク34は、エアを加圧した状態で収容するものであり、収容されるエアの量が多くなるとエアの圧力が高くなる。タンク34は、エアが収容される収容室34eと、圧力室34pと、これらを仕切る仕切り部材34s(例えば、ダイヤフラムとしたり、べローズとしたり、ピストンとしたりすること等ができる)とを含み、圧力室34pには弾性体(例えば、エアとしたり、スプリングとしたりすること等ができる)が設けられる。収容室34eに収容されるエアの量が多くなると収容室34eの体積が大きくなり、圧力室34pの体積が小さくなる。それにより、圧力室34pの圧力が高くなるのであり、収容室34eの圧力も高くなる。圧力室34pの圧力と収容室34eの圧力とは同じ高さになる。
【0010】
切換え装置36は、共通通路22、タンク34、コンプレッサ装置30の間に設けられ、これらの間のエアの流れる方向等を切り換えるものである。
図1に示すように、共通通路22とタンク34とが、互いに並列に設けられた第1通路50と第2通路52とによって接続され、第1通路50に、直列に2つの回路弁61,62が設けられ、第2通路52に、直列に2つの回路弁63,64が設けられる。また、第1通路50の2つの回路弁61,62の間に第3通路65が接続され、コンプレッサ40の吸気側に接続され、第2通路52の2つの回路弁63,64の間に、コンプレッサ40の吐出側に接続された第4通路66が接続される。
回路弁61〜64は常閉弁であり、開状態において双方向のエアの流れを許容し、閉状態において、一方の側から他方の側へのエアの流れを阻止するが、他方の側の圧力が一方の側の圧力より設定圧以上高くなると、他方の側から一方の側へのエアの流れを許容するものである。
回路弁61,63は、閉状態においてタンク34からのエアの流出を阻止するものであり、回路弁62は、閉状態において、共通通路22からのエアの流出を阻止するものであり、回路弁64は、閉状態において共通通路22へのエアの供給を阻止するものである。
【0011】
排気弁32は、第4通路66のコンプレッサ40の吐出側に設けられた常閉の電磁弁である。排気弁32の開状態において、第4通路66から大気へのエアの排出が許容され、閉状態において、第4通路66から大気へのエアの排出が阻止されるが、第4通路66の圧力が大気圧より設定圧以上低くなると大気から第4通路66へのエアの供給が許容される。
また、第4通路66の排気弁32より第2通路側の部分には、ドライヤ70と流れ抑制機構72とが直列に設けられる。流れ抑制機構72は、互いに並列に設けられた、差圧弁72vと絞り72sとを含む。差圧弁72vは、第2通路側からコンプレッサ側へのエアの流れを阻止し、コンプレッサ側の圧力が第2通路側の圧力より設定圧以上高くなると、コンプレッサ40から第2通路52へのエアの流れを許容する。
【0012】
本実施例において、車高調整システム(以下、単にシステムと略称する場合がある)は、コンピュータを主体とする車高調整ECU80によって制御される。車高調整ECU80はCAN(Controller Area Network)82を介して複数のECU等との間で通信可能とされている。車高調整ECU80は、
図2に示すように、実行部80c、記憶部80m、入出力部80i、タイマ80t等を含み、入出力部80iには、車高切換えスイッチ88、タンク圧センサ90、シリンダ圧センサ91、車高センサ93、内部温度取得装置としての第2温度センサ94、外気の温度を検出する第1温度センサ92、乗降関連動作検出装置95等が接続されるとともに、通信装置96、エンジン作動状態検出装置97、イグニッションスイッチ98、車輪速度センサ99等がCAN82を介して接続される。また、電動モータ42が駆動回路100を介して接続されるとともに、排気弁32、車高調整弁26、回路弁61〜64が接続される。
【0013】
車高切換えスイッチ88は、運転者によって操作されるものであり、車高のL(Low),N(Normal),H(High)のうちのいずれかへの変更を指示する場合に操作される。タンク圧センサ90は、タンク34に蓄えられたエアの圧力(以下、単にタンク圧と略称する場合がある)を検出するものであり、シリンダ圧センサ91は、共通通路22に設けられ、車高調整弁26の開において、その開にある車高調整弁26(車輪)に対応するエアシリンダ2のエア室19の圧力を検出する。また、すべての車高調整弁26の閉状態においては共通通路22の圧力を検出する。車高センサ93は、前後左右の各車輪に対応してそれぞれ設けられ、車輪側部材と車体側部材との間の標準距離(標準車高に対応)からの隔たりを検出して、車体側部材の車輪側部材からの距離である車高を検出する。第1温度センサ92は、車両の外部の大気の温度(雰囲気温度)である外気温度を検出するものであり、例えば、車体の、温度が、外気温度とほぼ同じであると推定し得る部分(例えば、フロントバンパの裏側、ドアミラー収容部)に取り付けられる。第2温度センサ94は、本実施例においては、タンク34の周辺(外部の近傍)の大気の温度(雰囲気温度)を検出するものである。乗降関連動作検出装置95は、乗降に関連する動作の有無を検出するものであり、車両に設けられた複数のドアの各々に対応して設けられ、そのドアの開閉を検出するドア開閉センサ(カーテシランプセンサ)102、複数のドアの各々のロック、アンロックを検出するドアロックセンサ103等を含むものとすることができる。ドアの開閉、ドアロック、アンロックの動作の有無等に基づいて乗車、降車、発進の意図等が推定される。通信装置96は、予め定められた通信可能領域内において、運転者等が所持する携帯機104との間で通信を行うものであり、通信により、ドアのロック、アンロックが行われる場合もある。エンジン作動状態検出装置97は、エンジンの回転数を検出する回転センサ97c、エンジンの出力トルクを検出するトルクセンサ97tを含む複数のセンサを含む。これらエンジンの回転数、出力トルク等に基づいて、エンジンの作動状態、発熱状態等が検出される。車輪速度センサ99は、前後左右の各車輪毎に設けられ、各々の車輪の回転速度を検出する。前後左右の4輪の回転速度に基づいて車両の走行速度等が取得される。
また、本実施例における車高調整システム等は、バッテリ110の電力により作動可能なものである。バッテリ110の電圧は電圧モニタ112によって検出されるが、電圧モニタ112は車高調整ECU80に接続される。
【0014】
<車高調整>
以上のように構成された車高調整システムにおいて、車両の走行中においては走行状態に基づいて前後左右の各輪の各々について目標車高が求められ、各々の車輪について、実際の車高が、それぞれ、目標車高に近づくようにエア給排装置24、車高調整弁26が制御される。それによって、車両の走行安定性が図られる。車両の停止中においては、車高切換えスイッチ88が操作された場合、人が乗降すると推定された場合等予め定められた条件が成立した場合等に車高調整が行われる。
【0015】
例えば、車高を高くする(以下、アップ制御と称する場合がある)場合には、
図3(a)に示すように、回路弁61〜64を開とするとともに、制御対象輪(
図3においては前後左右の4輪が制御対象輪である場合について記載した)に対応する車高調整弁26を開とする。タンク34に蓄えられたエアは、制御対象輪のエアシリンダ2のエア室19に供給される。それにより、制御対象輪についての車高が高くなる。
車高を低くする(以下、ダウン制御と称する場合がある)場合には、
図3(b)に示すように、電動モータ42の駆動によりコンプレッサ40を作動させ、回路弁61、64を閉、回路弁62,63を開とするとともに、制御対象輪に対応する車高調整弁26を開とする。エアシリンダ2のエア室19のエアは、コンプレッサ40により吸い込まれて、タンク34に供給される。
【0016】
<タンク圧制御>
上述のように、車高調整はタンク34を利用して行われるが、タンク圧についてはタンク34にエアを供給する供給制御としての吸気制御と、タンク34からエアを排出させる排出制御としての排気制御とが行われる。
吸気制御は、タンク圧センサ90によって検出されたタンク圧PTが供給開始しきい値としての吸気開始しきい値Pi1より低くなった場合に行われる。
図4(a)に示すように、回路弁61,62,64が閉、回路弁63が開とされ、電動モータ42が始動させられてコンプレッサ40が作動させられるのであり、吸気開始処理が行われる。コンプレッサ40によりエアが大気から供給弁としての吸気弁44を介して吸引されてタンク34に収容される。また、吸気開始しきい値Pi1より大きい供給終了しきい値としての吸気終了しきい値Pi2より高くなると吸気制御が終了させられる。電動モータ42が停止させられ、回路弁63が閉とされるのであり、吸気終了処理が行われる。
排気制御は、タンク圧PTが排出開始しきい値としての排気開始しきい値Pd1より高くなった場合に行われる。
図4(b)に示すように、排出弁としての排気弁32が開に切り換えられ、回路弁61,62,64が閉、回路弁63が開とされるのであり排気開始処理が行われる。タンク34のエアはフィルタ70、排気弁32を経て大気へ排出させられる。タンク圧が排出終了しきい値としての排気終了しきい値Pd2より低くなると排気弁32が閉に切り換えられ、回路弁63が閉とされるのであり、排気終了処理が行われる。
【0017】
(温度の影響)
しかし、タンク圧は、タンク34の収容室34eに収容されたエアの量が一定であっても、収容室34eに収容されたエアの温度(以下、タンク温度と略称する場合がある)Tの変化に伴って変化する。
タンク34を1つの閉空間として、収容室34eに収容されたエアの量が一定である場合(n:一定)において、タンク温度がTであり、タンク圧がPTであり、収容室34eの容積がVである場合に、下式
PT・V=n・R・T
が成立する。上式から、タンク温度Tが高い場合はタンク圧PTも高くなるが、タンク温度Tが下がるとタンク圧PTも低くなることが明らかである。
【0018】
本実施例において、タンク温度Tは、第2温度センサ94によって検出されたタンク34の周辺の大気温度とほぼ同じであると推定し、第2温度センサ94の検出値をタンク温度Tとする。また、タンク温度Tを、システムの内部の圧力媒体としてのエアの温度である内部温度Tiとする(Ti←T)。
内部温度Tiは、外気温度Toの変化に伴って変化したり、エンジンの作動に起因して高くなったりする。内部温度Tiは、例えば、エンジンの非作動状態(例えば、イグニッションスイッチ98がOFFの状態)において車両が長時間(設定時間以上)停止している場合には、外気温度Toとほぼ同じになるが、エンジンの作動状態において、または、エンジンが停止してから設定時間が経過するまでの間は、外気温度Toより高くなると考えられる。
また、上述のように、内部温度Tiがエンジンの作動に起因して外気温度Toより高い状態は、一時的であり、エンジンの出力が低下した後、または、エンジンが停止させられた(イグニッションスイッチ98がOFFになった)後に低くなる。
【0019】
例えば、内部温度Tiが高い場合において、タンク圧PTが排気開始しきい値Pd1より高くなって排気制御が行われた場合に、その後、内部温度Tiが下がった場合に、タンク圧PTが吸気開始しきい値Pi1より低くなり、吸気制御が行われる等、不必要にコンプレッサ40が作動させられる場合がある。また、タンク圧PTは吸気開始しきい値Pi1より低くなるまで吸気制御が開始されないが、内部温度Tiが下がると、タンク圧PTは低くなる。そのため、エア不足が生じて、アップ制御に要する時間が長くなったり、アップ制御後に行われる吸気制御に長時間を要したりする場合がある。
そこで、本実施例においては、
図5に示すように、内部温度Tiが高い場合は低い場合より、吸気開始しきい値Pi1,排気開始しきい値Pd1等が大きくされる。
【0020】
また、エンジン等によりシステムが加熱されて内部温度Tiが外気温度Toに対して高くなった状態において、タンク圧PTが排気開始しきい値Pd1より高いからといって、排気制御を行うことは望ましくない。内部温度Tiは、一時的に高いのであり、エンジンが停止させられた後等に下がるからである。
一方、内部温度Tiから外気温度Toを引いた値である温度差ΔT(=Ti−To)が小さい場合{例えば、温度差ΔTが設定値ΔTth以下である場合:ΔT≦ΔTth}には、内部温度Tiが外気温度Toまで下がっても、タンク圧の低下は小さい。また、内部温度Tiは外気温度Toの変化に伴って変化した可能性があり、一時的な変化ではない可能性が高い。そのため、タンク圧制御において温度差ΔTを考慮する必要性は低いと考えられる。それに対して、温度差ΔTが設定値ΔTthより大きい場合(ΔT>ΔTth)には、内部温度Tiが外気温度Toまで下がった場合にタンク圧PTの低下が大きい。また、内部温度Tiは一時的に外気温度Toに対して高くなった状態である可能性が高い。そのため、タンク圧制御に、温度差ΔTを考慮する必要性が高いと考えられる。
そこで、本実施例においては、排気開始しきい値Pd1、吸気開始しきい値Pi1等が、温度差ΔTが設定値ΔTthより大きい場合は小さい場合より大きい値とされる。
【0021】
なお、上述のように、エンジンの作動状態に基づけば内部温度Tiや、温度差ΔTを推定することができる。例えば、車両の走行中においてエンジンの出力(回転数、トルク等で決まる)が大きい場合、車両の停止中においてアイドリング時間が設定時間より長い場合には、内部温度Tiが高いと推定することができる。また、例えば、{エンジン回転数Nが設定回転数Nthより大きく、かつ、トルクTRが設定トルクTRthより大きい場合(N>Nth,TR>TRth)}、{車両の停止中においてアイドリング継続時間Zが設定時間Zthより長い場合(Z>Zth)}には、温度差ΔTが設定値ΔTth以上であると推定することができる。例えば、設定回転数Nth,設定トルクTRthは、通常の走行状態では出力されない大きい値として、それに対応する温度差に基づいて設定値ΔTthを決定することができる。
【0022】
(車高の影響)
システム全体のエアの量が一定であっても、車高(エアシリンダ2のエア室19内のエアの量に対応する)の変化に伴ってタンク34に収容されるエアの量が変化し、タンク圧PTが変化する。
システムを1つの閉空間とし、内部温度Tiが一定である場合を想定する。エアシリンダ2とタンク34とは、車高調整弁26、回路弁61〜64等の開閉により、遮断されたり、連通させられたりする。
図6(a)に示すように、車高が高い場合に、エアシリンダ2のエア室19に収容されたエアの量が多くなり、タンク34のエアの量は少なくなってタンク圧PTは低くなる。しかし、その後、ダウン制御が行われて、車高が基準車高(例えば、標準車高としたり、運転者の望む車高としたりすること等ができる)に戻されると、エアシリンダ2からタンク34にエアが戻されるため、タンク圧PTは高くなる。また、
図6(b)に示すように、車高が低い場合は、エアシリンダ2のエア室19のエアの量が少なくなるため、タンク34のエアの量が多くなり、タンク圧PTが高くなる。しかし、その後、アップ制御が行われて、車高が基準車高に戻されると、タンク34からエアシリンダ2にエアが供給されるため、タンク圧PTは低くなる。
【0023】
例えば、車高が高い場合にタンク圧PTが吸気開始しきい値より低いことにより吸気制御が行われ、その後、ダウン制御が行われて、タンク圧PTが高くなると、ダウン制御に要する時間が長くなったり、ダウン制御において、または、ダウン制御の後に排気制御が行われたりする。車高が高いことに起因して、本来不要な吸気制御が行われるのである。
車高が低い場合にタンク圧が排気開始しきい値より高いことにより排気制御が行われ、その後、アップ制御が行われてタンク圧が低くなると、エア不足が生じ、アップ制御に要する時間が長くなる。また、アップ制御の後に吸気制御が行われる等、コンプレッサ40を作動させる必要があり、さらに、吸気制御に要する時間が長くなる。車高が低いことに起因して、本来不要な排気制御が行われ、コンプレッサ40の作動回数が多くなるのである。
そこで、本実施例においては、車高が高い場合は低い場合より、吸気開始しきい値Pi1、排気開始しきい値Pd1等が小さくされる。
【0024】
{補正しきい値の決定}
本実施例においては、内部温度Ti、外気温度To、標準温度Ts、実車高H、標準車高H0等に基づいて補正値ΔPが取得され、吸気開始しきい値Pi1,吸気終了しきい値Pi2,排気開始しきい値Pd1,排気終了しきい値Pd2(以下、これらを、基準しきい値Pi,Pdと総称する場合がある)に補正値ΔPを加えて補正吸気開始しきい値PAi1,補正吸気終了しきい値PAi2,補正排気開始しきい値PAd1,補正排気終了しきい値PAd2(以下、これらを単に、補正しきい値PAi,PAdと総称する場合がある)が取得される。これら補正しきい値PAi,PAdとタンク圧センサ90によって検出されたタンク圧PTとの比較により、排気制御、吸気制御が行われる。
基準しきい値Pi,Pdは、例えば、タンク内のエアの温度が基準温度としての標準温度Tsであり、車高が基準車高としての標準車高H0である場合を想定して設定された値である。
補正値ΔPは、内部温度Tiが高い場合は低い場合より大きく、温度差ΔTが大きい場合は小さい場合より大きく、車高が高い場合は低い場合より小さくなる値に決定することができる。
【0025】
補正値ΔPは、内部温度Tiに基づいて決まる補正値(以下、温度依拠補正値と称する場合がある)ΔPi、温度差ΔTに基づいて決まる補正値(以下、温度差依拠補正値と称する場合がある)ΔPt、車高に基づいて決まる補正値(以下、車高依拠補正値と称する)ΔPhをそれぞれ取得し、それら温度依拠補正値ΔPi、温度差依拠補正値ΔPt、車高依拠補正値ΔPhに基づいて決めることができる。具体的には、それらの和に基づいて決まる値
ΔP=k・(ΔPi+ΔPt+ΔPh)
としたり、それらと比率とに基づいて決まる値
ΔP=αΔPi+βΔPt+γΔPh
α+β+γ=1
としたりすること等ができる。また、補正値ΔPと、実車高HFL,FR,RL,RR、標準車高H0、内部温度Ti,外気温度To、標準温度Tsとの関係を予めテーブル化して記憶させ、そのテーブルに基づいて補正値ΔPを決めることもできる。
【0026】
図9に示すように、温度依拠補正値ΔPiは、内部温度Tiが高い場合は低い場合より大きい値とされる。また、温度依拠補正値ΔPiは、内部温度Tiが標準温度Tsと同じである場合に0とされる。さらに、温度依拠補正値ΔPiには、上限値、下限値が設けられ、温度依拠補正値ΔPiの絶対値が過大になって、基準しきい値Pi,Pdと補正しきい値PAi,PAdとの差が過大になることが回避される。
図10に示すように、温度差依拠補正値ΔPtは、温度差ΔTが大きい場合は小さい場合より大きい値とされるが、温度差ΔTが設定値ΔTth以下である場合には補正値ΔPtが0とされ、設定値ΔTthより大きい場合には補正値ΔPtは一定の値(固定値)とされる。内部温度Tiと外気温度Toとの差の絶対値が小さい場合は基準しきい値Pi,Pdを補正する必要性が低いからである。
また、
図11に示すように、車高依拠補正値ΔPhは、車高Hが大きい場合は小さい場合より小さい値とされるが、実車高Hが標準車高H0である場合にはΔPhは0とされる。なお、車高依拠補正値ΔPhには、上限値、下限値が設けられる。
【0027】
補正しきい値は、
図8のフローチャートで表されるルーチンの実行により決定される。
ステップ31(以下、S31と称する。他のステップについても同様とする)において、車高センサ93により各輪についての実際の車高である実車高HFL,FR,RL,RRが検出され、第2温度センサ94、外気温度センサ92によりそれぞれ、内部温度Ti、外気温度Toが検出される。S32において、実車高HFL,FR,RL,RR、標準車高H0、内部温度Ti,外気温度To、標準温度Tsを関数fに代入して補正値ΔPが取得される。
ΔP=f(HFL,FR,RL,RR、H、Ti、To、Ts}
補正値ΔPは、正の値である場合と、負の値である場合とがある。補正値ΔPは、エア通路50,52,65,66,20,22等の車高調整システムの構成要素の耐久性、車高調整に対する要求等を考慮して設定される。
そして、S33において予め決定された基準しきい値Pi,Pdが読み込まれ、S34において、基準しきい値Pi,Pdに補正値ΔPを加えることにより補正しきい値PAi、PAdが決定される。
PAi1=Pi1+ΔP
PAi2=Pi2+ΔP
PAd1=Pd1+ΔP
PAd2=Pd2+ΔP
【0028】
{タンク圧制御}
タンク圧は、
図7のフローチャートが表すタンク圧制御プログラムの実行により制御される。タンク圧制御プログラムは、タンク圧制御コマンドが出力された場合に実行される。タンク圧制御コマンドは、ECUが起動した場合に出力されるようにしたり、車両が停止した場合に出力されるようにしたり、エンジンの作動中またはイグニッションスイッチ98がONにある間で、かつ、予め定められた設定時間毎に出力されるようにしたりすること等ができる。
S1において、車高調整中であるか否かが判定される。車高調整中においてはタンク圧制御は行われず、車高調整中でない場合にタンク圧制御が行われる。S2において、タンク圧センサ90によりタンク圧PTが検出され、S3において、上述のように補正しきい値PAi,PAdが決定される。
S4において、排気制御中であるか否かが判定され、排気制御中でない場合には、S5において、タンク圧PTが補正排気開始しきい値PAd1より高いか否かが判定される。次に、S6において、吸気制御中であるか否かが判定され、吸気制御中でない場合には、S7において、タンク圧PTが補正吸気開始しきい値PAi1より低いか否かが判定される。タンク圧PTが補正排気開始しきい値PAd1より低く、補正吸気開始しきい値PAi1より高い場合には、吸気制御も排気制御も行われることなく、本プログラムは終了させられる。
【0029】
それに対して、タンク圧PTが補正吸気開始しきい値PAi1より低い場合には、S7の判定がYESとなり、S8において、吸気開始処理が行われるのであり、回路弁63が開とされ、コンプレッサ40が作動させられる。次に、S1に戻されるが、吸気制御が開始されたため、S6の判定がYESとなり、S9において、タンク圧PTが補正吸気終了しきい値PAi2より高くなったか否かが判定される。補正吸気終了しきい値PAi2以下である場合には、判定がNOとなる。以下、S1〜6,9が繰り返し実行され、タンク圧PTが補正吸気終了しきい値PAi2より高くなると、S10において、吸気終了処理が行われる。コンプレッサ40が停止させられ、回路弁63が閉とされるのであり、吸気制御が終了させられ、本プログラムが終了させられる。
【0030】
また、タンク圧PTが補正排気開始しきい値PAd1より高くなると、S5の判定がYESとなり、S11において、排気開始処理が行われるのであり、回路弁63が開とされ、排気弁32が開とされる。そして、排気制御中にはS4の判定がYESとなるため、S12において、補正排気終了しきい値PAd2より低くなったか否かが判定される。補正排気終了しきい値PAd2以上である場合には、S12の判定がNOとなり、S1〜4、12が繰り返し実行され、補正排気終了しきい値PAd2より低くなると、S13において、排気終了処理が行われる。排気弁32、回路弁63が閉とされ、本プログラムが終了させられる。
一方、車高調整中である場合には、S1の判定がYESとなり、タンク圧制御は行われない。タンク圧制御の途中にS1の判定がYESとなる場合には、タンク圧制御は終了させられ、車高調整弁26、回路弁61〜64、電動モータ42等が図示しない車高制御プログラムに従って制御される。車高調整が優先されるのである。
【0031】
このように、本実施例においては、基準しきい値Pi,Pdが、実車高H,標準車高H0、内部温度Ti、標準温度Ts等に基づいて補正され、補正しきい値PAi,PAdとタンク圧PTとの比較により、吸気制御、排気制御が行われる。換言すれば、実際のタンク圧PTを、内部温度Tiが基準温度(標準温度Ts)であり、車高が基準車高(標準車高H0)である場合のタンク圧に換算して、その換算されたタンク圧と基準しきい値Pi,Pdとの比較により、吸気制御、排気制御が行われるのとほぼ同様の制御が行われる。その結果、タンク圧の外乱による変化(システムの状態に起因する変化)に起因して、タンク圧が不足したり、過大になったりして、車高調整に要する時間が長くなり難くすることができる。また、本来不必要な排気制御、吸気制御が行われ難くすることができ、電動モータ42や排気弁32、回路弁63等の無駄な作動が行われ難くすることができる。それにより、バッテリ110の電力消費量を抑制し、寿命を長くしたり、車高調整システムの構成要素の寿命を長くしたりすること等ができる。
また、ダウン制御が行われる場合に、内部温度Tiが高い場合は低い場合より、目標車高が高めに制御されるようにすれば、エアシリンダ2からタンク34へ供給されるエアの量を少なくすることができ、タンク圧の増加量を抑制することができる。そのことと、車高が高い場合に排気開始しきい値Pd1に車高依拠補正値ΔPhが加えられることとに基づけば、より一層、不必要な排気制御が行われ難くすることができる。
さらに、タンク圧PTと比較するしきい値が補正されるため、タンク圧PTを標準温度、標準車高の場合の値に換算する場合に比較して、演算を容易にすることができる。
【0032】
また、本実施例においては、補正値ΔPが内部温度Tiと温度差ΔTとの両方に基づいて決定される。例えば、内部温度Tiが外気温度Toの変化に伴って変化する場合には、内部温度Tiは高くても、温度差ΔTは小さい場合がある。また、外気温度Toが非常に低い場合には、温度差ΔTが大きくても、内部温度Tiはそれほど高くない場合もある。したがって、これらの場合等にも、良好に、不必要な排気制御が行われ難くすることができる。
さらに、温度依拠補正値ΔPiは、内部温度Tiが高い場合は低い場合よりタンク圧が高くなることに基づいて決まる補正値であり、一般的に、内部温度Tiが高い場合は低い場合より補正値ΔPを大きい値にする必要性が高いという技術的思想に基づく値である。温度差依拠補正値ΔPtは、内部温度が外気温度まで低下した場合の温度低下に基づいて決まる補正値であり、内部温度Tiと外気温度Toとの温度差ΔTが大きい場合は補正値ΔPを大きくする必要性が高いという技術的思想に基づく値である。そのため、内部温度Tiと温度差ΔTとの両方に基づいて補正値ΔPを決定することは妥当である。
【0033】
以上、本実施例において、コンプレッサ装置30、吸気弁44、回路弁63等により供給装置が構成され、排気弁32、回路弁63等により排出装置が構成される。また、車高調整ECU80の
図7のフローチャートで表されるタンク圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分、
図8のフローチャートで表される補正値決定ルーチンを記憶する部分、実行する部分、
図9,10のテーブルを記憶する部分、タンク圧センサ90、第2温度センサ94、第1温度センサ92等によりタンク圧制御装置が構成される。タンク圧制御装置のうちの、S1〜5,11〜13を記憶する部分、実行する部分等により排気制御部が構成され、S1〜3,6〜10を記憶する部分、実行する部分等により吸気制御部が構成される。さらに、
図9のテーブルを記憶する部分、S3(S31〜33)を記憶する部分、実行する部分等により、第1内部温度依拠変更部、第2内部温度依拠変更部が構成され、
図10のテーブルを記憶する部分、S3(S31〜33)を記憶する部分、実行する部分等により、第1温度差依拠変更部、第2温度差依拠変更部変更部が構成され、
図11のテーブルを記憶する部分、S3(S31〜33)を記憶する部分、実行する部分等により、第1車高依拠変更部、第2車高依拠変更部が構成される。
【0034】
なお、補正値ΔPを、内部温度Ti,温度差ΔT、車高差ΔHに基づいて決めることは不可欠ではなく、内部温度Ti,温度差ΔT、車高差ΔHのうちの1つ以上に基づいて決めることもできる。
また、温度依拠補正値ΔPiは
図12に示すように段階的に変化する値とすることができる。また、温度差依拠補正値ΔPtは、
図13の実線が示すように、段階的に変化する値としたり、破線が示すように、温度差ΔTが設定値ΔTthより大きい場合において連続的に変化する値としたりすること等ができる。車高依拠補正値ΔPhは、
図14の実線が示すように、車高Hの変化に伴って段階的に変化する値としたり、破線が示すように、実車高と標準車高との差の絶対値が小さい間であっても、連続的に変化する値としたりすること等ができる。
【0035】
さらに、実車高Hを取得することは不可欠ではなく、目標車高Hrefを実車高として採用することもできる。車高調整が行われていない場合には、実車高は目標車高に制御されているのが普通であるからである。
また、基準車高としては運転者の意図する車高(車高切換えスイッチ88の指示に応じた値)を採用することもできる。
さらに、第1温度センサ92を設けることは不可欠ではなく、外気温度Toとして標準温度等の予め定められた温度を用いることができる。また、通信により受信された外気温度情報を取得して採用することもできる。
また、第2温度センサ94は、エア通路22,50〜56の近傍に設けることもできる。その場合には、内部温度Tiを正確に検出することができる。
さらに、エア通路50の回路弁61,62の間の部分、エア通路52の回路弁63,64の間の部分等狭い閉空間に、エアの圧力を検出する圧力センサを設け、その圧力センサの圧力値の変化に基づいてエアの温度変化(内部温度の変化)を検出し、内部温度を検出することができる。例えば、内部温度Tiが外気温度Toと同じであると推定し得る時点の、その外気温度Toを内部温度T1とする。そして、その時点における圧力P1と現時点における圧力P2との圧力比と、内部温度T1とに基づけば、現時点の内部温度Ti=T2を取得することができる。
P2/P1=T2/T1
Ti=T2=T1・P2/P1
【0036】
また、吸気制御に用いられるしきい値(吸気開始しきい値、吸気終了しきい値)と排気制御に用いられるしきい値(排気開始しきい値、排気終了しきい値)との両方を補正することは不可欠ではなく、吸気制御において用いられるしきい値と排気制御において用いられるしきい値とのいずれか一方を補正することもできる。
さらに、開始しきい値(吸気開始しきい値、排気開始しきい値)と終了しきい値(吸気終了しきい値、排気終了しきい値)とについての補正値ΔPは同じであっても異なっていてもよい。
また、実施例1においては、基準しきい値Pi,Pdに補正値を加えることにより補正しきい値Pi,Pdを取得し、それにより、基準しきい値Pi,Pdが変更される場合について説明したが、基準しきい値Pi,Pdに補正比率を掛ける等により変更すること等もできる。
さらに、タンク圧制御が行われる場合に、タンク圧センサ90による検出値を標準温度、標準車高である場合のタンク圧に換算した値と、しきい値との比較により、吸気制御、排気制御が行われるようにすることもできる。
【実施例2】
【0037】
本実施例においては、補正しきい値PAi,PAdが、
図15のフローチャートが表すルーチンに従って決定される。また、実施例1においては、基準しきい値Pi,Pdが基準温度として標準温度、標準車高の場合を基準として設定された値とされたが、本実施例においては、基準温度として外気温度To、標準車高の場合を基準にして設定された値とされる。このように、基準しきい値は外気温度Toに基づいて決定される可変値となる。さらに、補正値ΔPが温度差ΔTに基づいて決定されるのであり、温度差依拠補正値ΔPtとされる(ΔP←ΔPt)。
S41において、同時期に外気温度To、内部温度Tiが検出され、S42において、温度差依拠補正値ΔPtが決定される。例えば、
図10または
図13に示すテーブルに従って決定することができる。S43において、S41において検出された外気温度Toに基づいて基準しきい値Pi,Pdが決定される。例えば、基準温度である外気温度Toと基準しきい値Pi,Pdとの関係は予めテーブル化して記憶されておくことが望ましい。例えば、内部温度Tiが高い場合は低い場合よりタンク圧PTが高くなるため、基準しきい値Pi,Pdも大きい値とすることができる。そして、S44において、基準しきい値Pi,Pdに補正値ΔPを加えることにより補正しきい値PAi,PAdが決定される。
【0038】
また、内部温度Tiと外気温度Toとの温度差ΔTが設定値ΔTth以上であるか否か、換言すれば、エンジンの発熱が大きい状態であるか否かは、エンジンの作動状態等に基づいて推定することもできる。例えば、
図16のフローチャートのS51において、トルクセンサ97t、回転数センサ97cに基づいてエンジンのトルク、回転数等が検出され、車輪速度センサ99の検出値に基づいて車速が取得される。また、車速に基づき停止中であると判定された場合には、エンジンのアイドリング時間が取得される。走行中においては、検出されたトルク、回転数等の統計的な値(例えば、設定時間内の平均値等)が取得される。そして、S52において、これらに基づいて内部温度Tiと外気温度Toとの温度差ΔTが設定値ΔTth以上高い状態にあるか否かが判定される。例えば、走行中において、エンジンの出力が大きい場合、具体的に、エンジン回転数N(統計的な値)が設定回転数Nthより大きく、かつ、トルクTR(統計的な値)が設定トルクTRthより大きい場合、または、停止中において、アイドリング継続時間Zが設定時間Zthより長い場合等には、システムがエンジンにより加熱されて、内部温度Tiが外気温度Toより設定値ΔTth以上高い状態であると推定され、S53において、温度差依拠補正値ΔPtが予め定められた固定値ΔPt*(例えば、
図10のテーブルに従って決定される値)に決定される。それに対して、内部温度Tiは外気温度Toより設定値ΔTth以上高い状態にないと判定された場合には、S54において、温度差依拠補正値ΔPtが0とされる。
S55,56において、上述の場合と同様に、基準温度を外気温度Toとして、基準しきい値Pi,Pdが決定され、温度差依拠補正値ΔPtが加えられることにより補正しきい値PAi,PAdが決定される。
このように、第1温度センサ92、第2温度センサ94を設けなくても、エンジン作動状態等に基づいて、車両に搭載されたエンジン等によりシステムが加熱された状態、すなわち、内部温度Tiが外気温度にToより設定値ΔTth以上高い状態にあるか否かを推定することができる。
本実施例においては、エンジン作動状態検出装置97、車輪速度センサ99、車高調整ECU80の
図15のフローチャートのS51、52を記憶する部分、実行する部分により温度差推定部が構成される。
なお、走行中においては、車速が早い場合は遅い場合より風によってシステムが冷やされ易い。そのため、エンジンの作動状態が同じである場合には、車速が早い場合は遅い場合より、温度差ΔTが小さくなると推定することもできる。
また、エンジンの作動状態と温度差ΔTとの関係、エンジンの作動状態、車速と温度差ΔTとの関係を予めマップ化して記憶させることもできる。
【実施例3】
【0039】
本実施例においては、補正値ΔPである温度依拠補正値ΔPiは、
図17のフローチャートで表される温度依拠補正値決定ルーチンに従って決定される。
S61において、それ以前の走行中の車速の統計値等が読み込まれる。本実施例において、車両の走行中の車速は、別に検出されて記憶され、平均値、中間値、最も負荷が大きい状態における平均値等、統計的な処理が施された値(統計値)が取得されるのであり、その統計値が読み込まれるのである。
S62において、読み込まれた統計値等に基づいて、現時点における内部温度Tisが推定される。走行中においては、エンジン出力、排気ガス等によりタンク34に収容されたエアは温められる一方風で冷やされるため、そのことを考慮して、内部温度Tiが推定される。停止中においては、走行中の車速、停止時間等に基づいて内部温度Tiが推定される。例えば、停止後の設定時間内においては、輻射熱によりシステムの内部の温度が高くなるため、走行中の速度より高くなるのであり、走行中の速度が大きい場合は小さい場合より高い値であると推定される。停止後、設定時間が経過した後は、時間の経過に伴って内部温度Tiは外気温度Toに近くなる。S63において、推定された内部温度Tis、標準温度Tsに基づいて温度依拠補正値ΔPiが、例えば、
図9に示すテーブルに従って取得することができる。S64において、基準しきい値Pi,Pdが読み込まれ、S65において、補正しきい値PAi、PAが決定される。
本実施例においては、車輪速度センサ99、車高調整ECU80の
図16のフローチャートのS61、62を記憶する部分、実行する部分等により内部温度推定部が構成される。
このように、車両が停止してからの経過時間が短い場合には、輻射熱により内部温度Tiのみならず、外気温度Toも高くなる場合がある。その場合には、輻射熱を考慮して外気温度Toを補正することもできる。
【0040】
なお、吸気制御と排気制御との両方を行う必要は必ずしもなく、吸気制御と排気制御とのいずれか一方が行われ、他方が行われないようにすることもできる。
また、吸気制御と排気制御とは別個に行われるようにすることもできる。例えば、吸気制御プログラムと排気制御プログラムとが、互いに別の時期に行われるようにすること等もできる。
【0041】
その他、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
2:エアシリンダ 4:ショックアブソーバ 24:エア給排装置 32:排気バルブ 34:タンク 40:コンプレッサ 42:電動モータ 80:車高調整ECU 95:乗降動作検出装置 96:通信装置 98:イグニッションスイッチ 97:エンジン作動状態検出装置 99:車輪速度センサ
【0043】
(1)車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、圧力媒体を収容するタンクを含み、
当該車高調整システムが、前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、当該車高調整システムの状態に基づいて制御するタンク圧制御装置を含むことを特徴とする車高調整システム。
タンク圧はタンク圧センサによって検出されても、車高調整システムの状態に基づいて推定されてもよい。
(2)前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧を、当該車高調整システムの状態を表す前記車輪についての車高と、当該車高調整システムの内部の温度である内部温度との少なくとも一方に基づいて制御する(1)項に記載の車高調整システム。
(3)前記圧力媒体給排装置が、前記タンクに圧力媒体を供給可能な供給装置を含み、
前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧が供給開始しきい値より低い場合に、前記供給装置を制御することにより、前記圧力媒体を前記タンクに供給する供給制御部を含む(1)または(2)項に記載の車高調整システム。
例えば、コンプレッサ装置、供給弁等が供給装置に対応する。
(4)前記供給制御部が、前記車輪についての車高が高い場合は低い場合より前記供給開始しきい値を小さい値とする第1車高依拠変更部を含む(3)項に記載の車高調整システム。
(5)前記供給制御部が、前記内部温度が高い場合は低い場合より前記供給開始しきい値を大きい値とする第1内部温度依拠変更部を含む(3)または(4)項に記載の車高調整システム。
(6)前記供給制御部が、前記内部温度が外気の温度に対して高い場合は低い場合より、前記供給開始しきい値を大きい値とする第1温度差依拠変更部を含む(3)ないし(5)項のいずれか1つに記載の車高調整システム。
外気の温度である外気温度の代わりに、標準温度とすることもできる。標準温度は、外気の温度の平均的な値とすることができる。
また、内部温度が外気温度より設定値以上高い場合に、供給開始しきい値を大きい値とすることができる。換言すれば、内部温度と外気温度との差が小さい場合には、供給開始しきい値を大きい値とする必要は必ずしもない。
(7)前記供給制御部が、前記内部温度が車両のエンジンによって一時的に高くなっている場合に、前記供給開始しきい値を大きい値とする一時的変更部を含む(3)ないし(6)項のいずれか1つに記載の車高調整システム。
「エンジンによってシステムの内部が加熱され、内部温度が高くなっている状態」は、「内部温度が外気温度に対して高くなっている状態」の一態様である。この場合には、車両負荷が大きいことが多い。
(8)前記圧力媒体給排装置が、前記タンクから圧力媒体を排出可能な排出装置を含み、
前記タンク圧制御装置が、前記タンク圧が排出開始しきい値より高い場合に、前記排出装置を制御することにより、前記タンクから圧力媒体を排出させる排出制御部を含む(1)ないし(7)項のいずれか1つに記載の車高調整システム。
排出装置は、排出弁等により構成されると考えること等ができる。
(9)前記排出制御部が、前記車輪についての車高が高い場合は低い場合より前記排出開始しきい値を小さい値に変更する第2車高依拠変更部を含む(8)項に記載の車高調整システム。
(10)前記排出制御部が、前記内部温度である内部温度が高い場合は低い場合より、前記排出開始しきい値を大きい値に変更する第2内部温度依拠変更部を含む(8)または(9)項に記載の車高調整システム。
(11)前記排出制御部が、前記内部温度が外気の温度に対して高い場合は低い場合より、前記排出開始しきい値を大きい値とする第2温度差依拠変更部を含む(8)ないし(10)項のいずれか1つに記載の車高調整システム。
(12)前記排出制御部が、当該車高調整システムが搭載された車両の状態に基づいて、(i) 前記内部温度を推定する内部温度推定部と、(ii)前記内部温度が外気の温度に対して高い状態にあるか否かを推定する温度差推定部との少なくとも一方を含む(1)ないし(11)項のいずれか1つに記載の車高調整システム。
内部温度、温度差は、車両に搭載されたエンジンの作動状態、走行速度等に基づいて推定することができる。また、推定された内部温度と、外気温度とに基づけば、温度差を取得することができる。
(13)当該車高調整システムが、前記内部温度を取得する内部温度取得装置を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の車高調整システム。
内部温度取得装置は、内部温度を直接検出する温度センサであっても、システムの内部の圧力を検出する圧力センサを含み、圧力変化に基づいて温度変化を取得して、内部温度を取得するものであってもよい。
【0044】
(14)車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、
圧力媒体を収容するタンクと、
そのタンクに圧力媒体を供給する供給装置と、
前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、当該車高調整システムの状態に基づいて制御するタンク圧制御装置と
を含むことを特徴とする車高調整システム。
本項に記載の車高調整システムには、(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(15)車輪に対応して設けられた車高調整アクチュエータと、その車高調整アクチュエータにおいて圧力媒体を供給したり、排出させたりする圧力媒体給排装置とを含む車高調整システムであって、
前記圧力媒体給排装置が、
圧力媒体を収容するタンクと、
そのタンクから圧力媒体を排出させる排出装置と、
前記タンクに収容された圧力媒体の圧力であるタンク圧を、当該車高調整システムの状態に基づいて制御するタンク圧制御装置と
を含むことを特徴とする車高調整システム。
本項に記載の車高調整システムには、(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。