【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る風力発電装置用の吊り荷昇降装置は、
前記吊り荷を昇降させるための昇降機構と、
前記昇降機構に吊り下げられた前記吊り荷に接続される複数のガイドワイヤと、を備え、
前記複数のガイドワイヤは、平面視にて、前記風力発電装置のタワーの中心と前記吊り荷の中心とを結ぶ直線に対して両側において、前記直線に対して斜めにそれぞれ延在する2本のガイドワイヤを含み、
前記2本のガイドワイヤは、それぞれ、前記タワーから離れる方向の張力を前記吊り荷に与えるように構成される。
【0008】
上記(1)の構成では、昇降機構に吊り下げられた吊り荷は、該吊り荷に接続され、平面視にてタワーの中心と吊り荷の中心とを結ぶ直線の両側において該直線に対して斜めに延在する2本のガイドワイヤによって、タワーから離れる方向の張力を付与される。これにより、吊り荷のタワーに向かう方向への動きが規制されるため、吊り荷の水平方向における揺動を抑制することができる。よって、上記(1)の構成によれば、2本のガイドワイヤを含む簡素な構成で吊り荷を昇降させる際の吊り荷の揺動を抑制することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記風力発電装置は、平面視における仮想三角形の頂点に位置する3本のコラムを含む浮体によって洋上に支持されており、
前記3本のコラムのうち一のコラムに前記風力発電装置の前記タワーが立設されており、
前記2本のガイドワイヤは、一端側において前記吊り荷への接続端に接続されており、他端側において、前記浮体の前記3本のコラムのうち前記一のコラム以外の2本のコラムにそれぞれ固定されている。
【0010】
上記(2)の構成によれば、洋上において風力発電装置が立設される浮体を構成するコラムを利用して、2本のガイドワイヤを設置することができる。これにより、浮体が揺動しやすい浮体式風力発電装置において、簡素な構成で吊り荷を昇降させる際の吊り荷の揺動を抑制することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記昇降機構は、
前記吊り荷を吊り下げるためのメインワイヤと、
前記メインワイヤを巻き取るためのウィンチと、
を含む。
【0012】
上記(3)の構成によれば、ウィンチによるメインワイヤの巻取り量を調節することにより、簡素な構成で吊り荷を昇降させることができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記吊り荷の前記タワーからの距離を所定値以内に規制するための少なくとも一本の規制ワイヤをさらに備える。
【0014】
上記(4)の構成によれば、吊り荷のタワーからの最大距離が規制ワイヤにより規制されるので、例えばガイドワイヤによる張力が過剰に大きくなってしまった場合であっても、吊り荷が所定の距離を超えてタワーから離れない。よって、吊り荷をタワーに沿わせて効率的に昇降させることができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記少なくとも一本の規制ワイヤは、
前記吊り荷に接続されるとともに、前記タワーを取り巻くように設けられる第1規制ワイヤを含む。
【0016】
上記(5)の構成によれば、吊り荷に接続されるとともにタワーを取り巻くように設けられた第1規制ワイヤを用いた簡素な構成で、前記吊り荷の前記タワーからの最大距離を規制し、吊り荷のタワーからの距離を所定値以内に規制することができる。これにより、吊り荷をタワーに沿わせて効率的に昇降させることができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)又は(5)の構成において、
前記少なくとも一本の規制ワイヤは、
前記タワーの下部に一端が固定され、前記2本のガイドワイヤとは逆に前記タワーに向かう方向の張力を前記吊り荷に与えるように構成された第2規制ワイヤを含む。
【0018】
上記(6)の構成によれば、タワーの下部に一端が固定された第2規制ワイヤを用いた構成により、2本のガイドワイヤとは逆にタワーに向かう方向の張力を吊り荷に与えることができる。これにより、吊り荷のタワーからの距離を所定値以内に規制することができ(すなわち、吊り荷のタワーからの最大距離を規制することができ)、吊り荷をタワーに沿わせて効率的に昇降させることができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記吊り荷と前記タワーとの間に位置する少なくとも一つの弾性部材をさらに備える。
【0020】
上記(7)の構成によれば、
弾性部材の変形に基づく弾性力により、風等に起因する吊り荷の揺れを吸収したり、吊り荷とタワーとが衝突する際の衝撃を緩衝したりすることができる。また、上記(7)の構成によれば、吊り荷とタワーとの間に弾性部材が位置するので、吊り荷は、タワーからある程度離れて位置することとなる。よって、例えば昇降機構がメインワイヤ及びウィンチを含む構成の場合、メインワイヤの鉛直方向に対する傾き角度に応じた張力の水平方向成分が得られやすくなり、これにより、吊り荷に対して該吊り荷をタワーに押し付ける力を作用させることができる。よって、吊り荷の揺動を効果的に抑制することができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記少なくとも一つの弾性部材は、
前記吊り荷が搭載される台車に設けられ、前記タワーの外周面上を走行するための1以上のタイヤを含む。
【0022】
上記(8)の構成によれば、タイヤを用いた簡素な構成により、風等に起因する吊り荷の揺れを吸収したり、吊り荷とタワーとが衝突する際の衝撃を緩衝したりすることができる。また、例えば昇降機構がメインワイヤ及びウィンチを含む構成の場合、メインワイヤの鉛直方向に対する傾き角度に応じた張力の水平方向成分が得られやすくなるため吊り荷に対して該吊り荷をタワーに押し付ける力を作用させることができる。よって、吊り荷の揺動を効果的に抑制することができる。
【0023】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)又は(8)の構成において、
前記少なくとも一つの弾性部材は、
平面視において前記直線を挟んで両側にそれぞれ設けられる一対の第1弾性部材
を含む。
【0024】
上記(9)の構成によれば、タワーの中心と前記吊り荷の中心とを結ぶ直線を挟んで両側に一対の第1弾性部材が設けられるので、より安定的に、風等に起因する吊り荷の揺れを吸収したり、吊り荷とタワーとが衝突する際の衝撃を緩衝したりすることができる。また、例えば昇降機構がメインワイヤ及びウィンチを含む構成の場合、メインワイヤの鉛直方向に対する傾き角度に応じた張力の水平方向成分がより安定的に得られるため吊り荷に対して該吊り荷をタワーに押し付ける力をより安定的に作用させることができる。よって、吊り荷の揺動を効果的に抑制することができる。
【0025】
(10)幾つかの実施形態では、上記(7)乃至(9)の何れかの構成において、
各々の前記弾性部材は、前記吊り荷から前記タワーの前記中心に向かう方向の圧縮力を受けるように配置される。
【0026】
上記(10)の構成によれば、各々の弾性部材は、吊り荷からタワーの中心に向かう方向の圧縮力を受けるので、効率的に、風等に起因する吊り荷の揺れを吸収したり、吊り荷とタワーとが衝突する際の衝撃を緩衝したりすることができる。また、例えば昇降機構がメインワイヤ及びウィンチを含む構成の場合、メインワイヤの鉛直方向に対する傾き角度に応じた張力の水平方向成分が効率的に得られるため吊り荷に対して該吊り荷をタワーに押し付ける力を効率的に作用させることができる。よって、吊り荷の揺動を効果的に抑制することができる。
【0027】
(11)幾つかの実施形態では、上記(7)乃至(10)の何れかの構成において、
前記少なくとも一つの弾性部材は、
前記吊り荷の上下方向中央位置を挟んで両側にそれぞれ設けられる一対の第2弾性部材を含む。
【0028】
上記(11)の構成によれば、吊り荷の上下方向中央位置を挟んで両側に一対の第2弾性部材が設けられるので、より安定的に、風等に起因する吊り荷の揺れを吸収したり、吊り荷とタワーとが衝突する際の衝撃を緩衝したりすることができる。また、例えば昇降機構がメインワイヤ及びウィンチを含む構成の場合、メインワイヤの鉛直方向に対する傾き角度に応じた張力の水平方向成分がより安定的に得られるため吊り荷に対して該吊り荷をタワーに押し付ける力をより安定的に作用させることができる。よって、吊り荷の揺動を効果的に抑制することができる。
【0029】
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る風力発電装置用の吊り荷昇降方法は、
昇降機構に吊り荷を吊り下げる吊下げステップと、
前記昇降機構に吊り下げられた前記吊り荷に複数のガイドワイヤを接続するガイドワイヤ接続ステップと、
前記複数のガイドワイヤが接続された前記吊り荷を前記昇降機構によって昇降させる昇降ステップと、を備え、
前記複数のガイドワイヤは、平面視にて、前記風力発電装置のタワーの中心と前記吊り荷の中心とを結ぶ直線に対して両側において、前記直線に対して斜めにそれぞれ延在する2本のガイドワイヤを含み、
前記昇降ステップでは、前記2本のガイドワイヤによって、それぞれ、前記タワーから離れる方向の張力を前記吊り荷に与えながら、前記吊り荷を昇降させる。
【0030】
上記(12)の方法では、昇降機構に吊り下げられた吊り荷は、該吊り荷に接続され、平面視にてタワーの中心と吊り荷の中心とを結ぶ直線の両側において該直線に対して斜めに延在する2本のガイドワイヤによって、タワーから離れる方向の張力を付与される。これにより、吊り荷のタワーに向かう方向への動きが規制されるため、吊り荷の水平方向における揺動を抑制することができる。よって、上記(12)の方法によれば、2本のガイドワイヤを含む簡素な構成で吊り荷を昇降させる際の吊り荷の揺動を抑制することができる。
【0031】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の方法において、
前記風力発電装置は、平面視における仮想三角形の頂点に位置する3本のコラムを含む浮体によって洋上に支持されており、
前記3本のコラムのうち一のコラムに前記風力発電装置の前記タワーが立設されており、
前記2本のガイドワイヤは、一端側において前記吊り荷に接続されており、他端側において、前記浮体の前記3本のコラムのうち前記一のコラム以外の2本のコラムにそれぞれ固定されている。
【0032】
上記(13)の方法によれば、洋上において風力発電装置が立設される浮体を構成するコラムを利用して、2本のガイドワイヤを設置することができる。これにより、浮体が揺動しやすい浮体式風力発電装置において、簡素な構成で吊り荷を昇降させる際の吊り荷の揺動を抑制することができる。
【0033】
(14)幾つかの実施形態では、上記(12)又は(13)の方法は、
前記吊り荷に少なくとも一本の規制ワイヤを接続する規制ワイヤ接続ステップをさらに備え、
前記昇降ステップでは、前記少なくとも一本の規制ワイヤによって前記吊り荷の前記タワーからの距離を所定値以内に規制しながら、前記吊り荷を昇降させる。
【0034】
上記(14)の方法によれば、吊り荷のタワーからの最大距離が規制ワイヤにより規制されるので、例えばガイドワイヤによる張力が過剰に大きくなってしまった場合であっても、吊り荷が所定の距離を超えてタワーから離れない。よって、吊り荷をタワーに沿わせて効率的に昇降させることができる。
【0035】
(15)幾つかの実施形態では、上記(12)乃至(14)の何れかの方法において、
前記昇降ステップでは、少なくとも一つの弾性部材を介して前記吊り荷を前記タワーの外周面に押し付けた状態で、前記吊り荷を昇降させる。
【0036】
上記(15)の方法によれば、弾性部材の変形に基づく弾性力により、風等に起因する吊り荷の揺れを吸収したり、吊り荷とタワーとが衝突とする際の衝撃を緩衝したりすることができる。また、上記(15)の方法によれば、吊り荷とタワーとの間に弾性部材が位置するので、吊り荷は、タワーからある程度離れて位置することとなる。よって、例えば昇降機構がメインワイヤ及びウィンチを含む構成の場合、メインワイヤの鉛直方向に対する傾き角度に応じた張力の水平方向成分が得られやすくなり、これにより、吊り荷に対して該吊り荷をタワーに押し付ける力を作用させることができる。よって、吊り荷の揺動を効果的に抑制することができる。