特許第6378259号(P6378259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378259モールのエンドキャップ取付構造及びそれを用いた自動車用モール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378259
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】モールのエンドキャップ取付構造及びそれを用いた自動車用モール
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
   B60R13/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-140986(P2016-140986)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2018-12352(P2018-12352A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000240949
【氏名又は名称】片山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】竹好 収
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−034356(JP,U)
【文献】 特開2007−001431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モール本体と当該モール本体の端末に取り付けたエンドキャップとの取付構造であって、
前記モール本体は表面部と当該表面部の両側からそれぞれ立設した側壁部と、当該側壁部の先端側をそれぞれ内側に折り返した裏縁部からなり、前記エンドキャップを前記モール本体の端末から挿入する前記側壁部に沿ったガイド部と、前記裏縁部に形成した被係止部とを有し、
前記エンドキャップは前記モール本体の端部から挿入されるエンドキャップ本体と、前記モール本体の端末を塞ぐ意匠部とを有し、
前記エンドキャップ本体はモール表面部側に向けた付勢力を有する弾性部と当該弾性部に設けた係止部を有し、
前記エンドキャップを前記モール本体に挿入すると、前記エンドキャップの弾性部に形成した係止部が前記モール本体の裏縁部に沿ってスライドし、前記裏縁部に形成した被係止部に係止させてあることを特徴とするモールのエンドキャップの取付構造。
【請求項2】
前記被係止部は前記モール本体の裏縁部の一部を切り欠いて形成した切欠部に設けてあることを特徴とする請求項1記載のモールのエンドキャップの取付構造。
【請求項3】
前記エンドキャップの係止部は前記モール本体の切欠部に向けて突設した爪部であり、前記爪部が前記モール本体の切欠部に設けた被係止部に係止する際にエンドキャップを引き込む方向の付勢力が生じるものであることを特徴とする請求項2記載のモールのエンドキャップの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールのエンドキャップ取付構造及びそれを用いた自動車用モールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の外装には各種モール類が装着されている。
例えば、自動車のルーフ部に装着されるルーフモール,ドアの窓開口部に装着されるベルトラインモール,車体の側部に装着されるプロテクトモール等がある。
これらのモール類は、長尺のモール素材を切断加工して製造される場合が多く、モールの端部が開口断面になるためにモール本体の端末にエンドキャップが取り付けられている。
このエンドキャップは、モールの端末プロテクターとしての機能と、意匠性が要求されている。
この種のエンドキャップ取付構造としては、例えば特許文献1〜3に開示されている。
本発明は、さらに組付性を改善したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−36742号公報
【特許文献2】特開2008−105504号公報
【特許文献3】特開2010−143556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、組付性及び取付安定性に優れたモールのエンドキャップ取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、モール本体と当該モール本体の端末に取り付けたエンドキャップとの取付構造であって、前記モール本体は表面部と当該表面部の両側からそれぞれ立設した側壁部と、当該側壁部の先端側をそれぞれ内側に折り返した裏縁部からなり、前記エンドキャップを前記モール本体の端末から挿入する前記側壁部に沿ったガイド部と、前記裏縁部に形成した被係止部とを有し、前記エンドキャップは前記モール本体の端部から挿入されるエンドキャップ本体と、前記モール本体の端末を塞ぐ意匠部とを有し、前記エンドキャップ本体はモール表面部側に向けた付勢力を有する弾性部と当該弾性部に設けた係止部を有し、前記エンドキャップを前記モール本体に挿入すると、前記エンドキャップの弾性部に形成した係止部が前記モール本体の裏縁部に沿ってスライドし、前記裏縁部に形成した被係止部に係止させてあることを特徴とする。
【0006】
ここでモール本体は、ロールフォーミング等にてチャンネル形状に成形したものであり、自動車に装着した際に外側に位置する表面をモール表面部と表現した。
また、モール本体の裏面に形成されたチャンネル形状の頂部を裏縁部と表現した。
本発明において、エンドキャップ本体は、モール表面部側に向けた付勢力を有する弾性部を有し、この弾性部に係止部を設けてある。
これにより、エンドキャップ本体をモールのチャンネル断面形状に沿ってこのモールの端部から挿入する際に、弾性部に設けた係止部をモール本体の裏縁部に位置させると、この弾性部の付勢力により、係止部がモール本体の裏縁部に押し付けられた状態にある。
このままエンドキャップ本体を挿入すると、係止部がモール本体の裏縁部に沿ってスライドし、モール本体に形成した被係止部に位置すると、その付勢力によりそのままエンドキャップの係止部がモール本体の被係止部に係止することになる。
【0007】
本発明において、被係止部は前記モール本体の裏縁部の一部を切り欠いて形成した切欠部に設けてあってもよい。
また、エンドキャップの係止部は前記モール本体の切欠部に向けて突設した爪部であり、前記爪部が前記モール本体の切欠部に設けた被係止部に係止する際にエンドキャップを引き込む方向の付勢力が生じるものであるのが好ましい。
これにより、ルーフモール等の各種自動車用モールが得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るモールのエンドキャップ取付構造にあっては、エンドキャップのエンドキャップ本体をモール本体の断面に沿って挿入するだけで、弾性部にて付勢された係止部がモール本体の被係止部に係止されるので、組付性に優れる。
また、エンドキャップの係止部がモール本体の被係止部に係止する際に、この係止部にエンドキャップを引き込む方向の付勢力を付与してあると、エンドキャップの意匠部と、モール本体の端部に隙間が生じるのを防ぐ作用があり、エンドキャップの抜け止めと、ガタ防止とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るエンドキャップのモール本体への組付けの流れを(a)〜(d)に示す。
図2図1に示した組付けの流れを側面視と断面図で(a)〜(f)に示す。
図3】(a)は表面側から見たエンドキャップとモール本体を示し、(b)は組付け後の状態を示す。
図4】エンドキャップにクリップ止め部を形成した例を示す。
図5】エンドキャップの係止部の拡大図を示し、(a)は係止始め、(b)は係止後を示す。
図6】エンドキャップ及びモール本体の裏面図を示し、(a)は組付前、(b)は組付後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るモールのエンドキャップ取付構造例を以下、ルーフモールに適用した例にて説明する。
図1に示すように自動車用のルーフモールは、モール本体10の端末にエンドキャップ20を取り付けてある。
モール本体10は、金属製の芯材と樹脂材とを複合成形した例になっていて、断面チャンネル形状になっている。
具体的には、自動車に装着した際に外装面となる表面部11の両側から側壁部12,12を折り曲げ立設し、さらにその先端側を断面U字状に表面部側に折り返した折返し部14となっている。
この折返し部14の裏面側の頂部が裏縁部13となり、この一部を切り欠いて切欠部16を形成することで、切欠部16の端末側が被係止部16aとなる。
この切欠部16は、チャンネル形状のモール本体の両側に形成されている。
また、表面部11,側壁部12,折返し部14にて、断面Cチャンネル状のガイド部15aがモール本体の両側に形成されている。
【0011】
エンドキャップ20は、樹脂材で成形されていて、モール本体10の裏面部15に沿って挿入されるエンドキャップ本体21と、モール本体10の端末の開口部を塞ぐ意匠部22を有する。
エンドキャップ本体21は、モール本体のガイド部15aに沿って挿入されるガイド片25と、モール本体側に延在する弾性部23を有し、この弾性部23の先端側に図3に示すように爪部24aを突設した係止部24を有する。
弾性部23は、モール本体の表面部11側に向けて付勢力が生ずるようになっていて、必要に応じて図2(a)に示すように、弾性変形の支点となる薄肉部23aを形成してもよい。
【0012】
次にエンドキャップ10をモール本体20の端末に組付ける流れを説明する。
図1,2の(a),(b)に示すように、係止部24の爪部24aをモール本体の裏縁部13に沿うようにして、エンドキャップ本体1の両側に形成したガイド片25をモール本体のガイド部15aに挿入する。
すると、図1(b),図2(c)に示すように弾性部23の係止部24は、裏縁部13を押圧しながらスライドすることになる。
次に、係止部に設けた爪部24aがモール本体の切欠部16に位置すると、弾性部23の表面側方向への付勢力により、爪部24aが切欠部16の内側に入り込むように復帰する。
この爪部の拡大図を図5に示す。
爪部24aは、図5(a)に示すように、切欠部16に入り込むように弾性復帰する際に、爪部24aの先端部から根元側に向けて広がる傾斜部24bになっているので、この傾斜部24bが切欠部16のモール長手方向の端部に形成される被係止部16aに沿って弾性復帰する際に、意匠部22を引き込み力fにて引き込む作用が生じる。
これにより、意匠部22とモール本体10の端部との隙間dが無くなり、エンドキャップの抜け防止とガタ付きを防ぐことが同時にできる。
なお、この係止状態を表面側から見た状態を図3に示す。
また、本実施例では、図6に示すように弾性部23の幅寸法dがモール本体10の開口幅寸法Dと概ね等しく、もしくは僅かに小さく設定し、係止部24の幅寸法dが両側の切欠部16の幅寸法Dと概ね等しく、もしくは僅かに小さく設定してある。
これにより、図6(b)に示すようにエンドキャップ20がモール本体10に対して、幅方向にも安定して取り付けられる。
【0013】
図4には、エンドキャップ本体21にクリップの被係止部26を形成した例を示す。
このようにすると、モールの端末をエンドキャップを用いて車体に取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0014】
10 モール本体
11 表面部
12 側壁部
13 裏縁部
14 折返し部
15 裏面部
15a ガイド部
16 切欠部
16a 被係止部
20 エンドキャップ
21 エンドキャップ本体
22 意匠部
23 弾性部
24 係止部
25 ガイド片
図1
図2
図3
図4
図5
図6