特許第6378346号(P6378346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378346大型ダイ半導体パッケージのための導電性ダイアタッチフィルムおよびその調製に有用な組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378346
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】大型ダイ半導体パッケージのための導電性ダイアタッチフィルムおよびその調製に有用な組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20180813BHJP
   C08L 35/00 20060101ALI20180813BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20180813BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20180813BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20180813BHJP
   C08L 75/00 20060101ALI20180813BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20180813BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20180813BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20180813BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20180813BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   C08L63/00 C
   C08L35/00
   C08K3/00
   C08K5/00
   C08L33/04
   C08L75/00
   C08L83/04
   C08L15/00
   C08J5/18CER
   H01B1/20 A
   H01B13/00 Z
   H01B13/00 503Z
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-545261(P2016-545261)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公表番号】特表2016-533422(P2016-533422A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】US2014058000
(87)【国際公開番号】WO2015048621
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】61/884,844
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ、 プクン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、 ジーナ ヴィ.
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、 シャシ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ライブ、 アンドリュー
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534651(JP,A)
【文献】 特開2008−172242(JP,A)
【文献】 特開2011−080024(JP,A)
【文献】 特開昭57−205413(JP,A)
【文献】 特開2008−144087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08J
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドであって、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドが、芳香族骨格を有し、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの骨格のイミド部位の置換度が、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの芳香族骨格の繰り返し単位当たり少なくとも0.5イミド部位である第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドであって、第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドが、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有し、第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの骨格が、直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビルセグメントを含み、各ヒドロカルビルセグメントが、少なくとも20個の炭素原子を有する第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
第1のエポキシ樹脂であって、第1のエポキシ樹脂が、ゴムまたはエラストマー変性である第1のエポキシ樹脂、
第2のエポキシ樹脂であって、第2のエポキシ樹脂が、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有し、第2のエポキシ樹脂の骨格が、直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビルセグメントを含み、各ヒドロカルビルセグメントが、少なくとも20個の炭素原子を有する第2のエポキシ樹脂、
導電性充填剤、
硬化剤、および
任意に非反応性有機希釈剤を含有する組成物であって、
該組成物が、硬化時に260℃で動的機械分析(DMA)によって試験したとき1GPa未満の弾性率を有する、組成物。
【請求項2】
さらに、任意に1種以上の流動添加剤、接着促進剤、導電性添加剤、レオロジー調整剤、またはこれらの任意の2種以上の混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドが以下の構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【化1】
(式中、mは1〜15であり、pは、0〜15であり、各Rは、独立して水素または低級アルキルから選ばれ、Jは芳香族骨格を有する一価または多価の基である。)
【請求項4】
第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドが以下の構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【化2】
(式中、mは1〜15であり、pは0〜15であり、各Rは、独立して水素または低級アルキルから選ばれ、Jは、少なくとも20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビルセグメントを含む柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有する一価または多価の基である。)
【請求項5】
第1のエポキシ樹脂が、エポキシ化カルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)オリゴマーまたはポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
第2のエポキシ樹脂が、エポキシ化ポリブタジエンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記導電性充填剤が、銀、ニッケル、コバルト、銅、金、パラジウム、白金、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、アルミニウム、インジウムスズ酸化物、銀被覆銅、銀被覆アルミニウム、銀被覆グラファイト、ニッケル被覆グラファイト、ビスマス、スズ、ビスマス−スズ合金、金属被覆ガラス球体、銀被覆繊維、銀被覆球体、アンチモンドープ酸化スズ、カーボンナノチューブ、導電性ナノフィラー、これらの金属の合金、およびこれらの任意の2種以上の混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
硬化剤が、尿素、脂肪族および芳香族アミン、アミン硬化剤、ポリアミド、イミダゾール、ジシアンジアミド、ヒドラジド、尿素−アミンハイブリッド硬化系、フリーラジカル開始剤、有機塩基、遷移金属触媒、フェノール、酸無水物、ルイス酸、および/またはルイス塩基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、アクリルポリマー、ポリウレタンまたはポリシロキサンから選択される追加のポリマー部位を4重量%まで含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1重量%の第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
少なくとも1重量%の第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
少なくとも2重量%の第1のエポキシ、
少なくとも0.5重量%の第2のエポキシ、
少なくとも70重量%の導電性充填剤、
少なくとも0.3重量%の硬化剤、
任意に、4重量%までのアクリル系ポリマー、ポリウレタンまたはポリシロキサンから選択される追加のポリマー部位、および
任意に、25重量%までの非反応性有機希釈剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を製造する方法であって、かかる方法が、実質的に均一な混合物を得るのに十分な時間、成分の組み合わせに高せん断混合を施すことを含む方法。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物から実質的に溶媒/希釈剤の全てを除去して得られる反応生成物を含む導電性ダイアタッチフィルム。
【請求項13】
導電性ダイアタッチフィルムを調製するための方法であって、かかる方法が、適する基材へ適用後に請求項1に記載の組成物をbステージ化することを含む方法。
【請求項14】
それに適する基板に接着した、請求項12に記載の導電性ダイアタッチフィルムを含む物品。
【請求項15】
導電性ネットワークを調製する方法であって、方法が、
適する基材に、請求項1に記載の組成物を所定のパターンで適用する工程、
任意に溶媒/希釈剤をそれから除去する工程、およびその後
かかる組成物を硬化する工程を含む方法。
【請求項16】
導電性ネットワークを調製する方法であって、
適する基材に、請求項1に記載の組成物を所定のパターンで適用する工程、
溶媒/希釈剤をそれから除去する工程、およびその後
かかる組成物を硬化する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ダイアタッチフィルムおよびそのようなフィルムの調製に有用な配合物に関する。一態様では、本発明は、そのような配合物を製造するための方法に関する。別の態様では、本発明は、本発明による組成物から調製された導電性ネットワーク、およびその製造方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、それに適する基板に接着する本発明の導電性ダイアタッチフィルムを含む物品およびその製造方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明によれば、大型ダイ半導体パッケージで使用するための有利な特性を有する導電性ダイアタッチフィルムを提供する。また、このようなフィルムの調製に有用な配合物およびこのような配合物を製造するための方法を提供する。
【0003】
本発明の別の態様によれば、本発明による組成物から調製される導電性ネットワークを提供する。一態様では、本発明は、それに適する基材に接着するこのような導電性ダイアタッチフィルムを含む物品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明によれば、
第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドであって、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドが、芳香族骨格を有し、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの骨格のイミド部位の置換度が、かかる骨格の繰り返し単位当たり少なくとも0.5イミド部位である第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドであって、第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドが、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有し、第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの骨格が、直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビルセグメントを含み、各ヒドロカルビルセグメントが、少なくとも20個の炭素原子を有する第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
第1のエポキシ樹脂であって、第1のエポキシ樹脂が、ゴムまたはエラストマー変性である第1のエポキシ樹脂、
第2のエポキシ樹脂であって、第2のエポキシ樹脂が、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有し、第2のエポキシ樹脂の骨格が、直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビルセグメントを含み、各ヒドロカルビルセグメントは、少なくとも20個の炭素原子骨格を有する第2のエポキシ樹脂、
導電性充填剤、
硬化剤、および
任意に非反応性有機希釈剤を含有する組成物であって、
該組成物が、硬化時に260℃で動的機械分析(DMA)によって試験したとき約1GPa未満の弾性率を有する、組成物を提供する。
【0005】
一実施態様では、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの骨格のイミド部位の置換度が、かかる骨格の繰り返し単位当たり少なくとも0.8イミド部位であり、;一実施態様では、第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの骨格の置換度が、かかる骨格の繰り返し単位当たり少なくとも1イミド部位である。
【0006】
一実施態様では、本発明の実施の際に使用するために考慮される第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドは以下の構造を有する。
【0007】
【化1】
(式中、mは1〜15であり、pは、0〜15であり、各Rは、独立して水素または低級アルキルから選ばれ、Jは以下から選択される一価または多価の基である。:
−約6〜約300個の範囲の炭素原子を有する芳香族ヒドロカルビル種または置換された芳香族ヒドロカルビル種であり、芳香族ヒドロカルビル種が、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニル、またはアルキニルアリールから選択される、
−約6〜約300個の範囲の炭素原子を有する芳香族ヒドロカルビレン種または置換された芳香族ヒドロカルビレン種であり、芳香族ヒドロカルビル種が、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、アリールアルケニレン、アルケニルアリーレン、アリールアルキニレン、またはアルキニルアリーレンから選択される、
−約6〜約300個の範囲の炭素原子を有する複素環または置換複素環種
−ポリシロキサンまたは
−ポリシロキサン−ポリウレタンブロック共重合体および以下の結合基から選択される結合基を有する、1種以上の上記の組み合わせであり、結合基が、
共有結合、−O−、−S−、−NR−、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−O−、−NR−C(O)−NR−、−S−C(O)−、−S−C(O)−O−、−S−C(O)−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−NR−C(O)−、−O−NR−C(O)−O−、−O−NR−C(O)−NR−、−NR−O−C(O)−、−NR−O−C(O)−O−、−NR−O−C(O)−NR−、−O−NR−C(S)−、−O−NR−C(S)−O−、−O−NR−C(S)−NR−、−NR−O−C(S)−、−NR−O−C(S)−O−、−NR−O−C(S)−NR−、−O−C(S)−、−O−C(S)−O−、−O−C(S)−NR−、−NR−C(S)−、−NR−C(S)−O−、−NR−C(S)−NR−、−S−S(O)−、−S−S(O)−O−、−S−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)−、−NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)−、NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−P(O)R−、−S−P(O)R−、または−NR−P(O)R−である(ここで各Rは、独立して水素、アルキルまたは置換されたアルキルを表す))
【0008】
本発明のいくつかの実施形態では、上記マレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドのJが、ヘテロサイクリック、オキシヘテロサイクリック、チオヘテロサイクリック、アミノヘテロサイクリック、カルボキシヘテロサイクリック、オキシアリール、チオアリール、アミノアリール、カルボキシアリール、ヘテロアリール、オキシヘテロアリール、チオヘテロアリール、アミノヘテロアリール、カルボキシヘテロアリール、オキシアルキルアリール、チオアルキルアリール、アミノアルキルアリール、カルボキシアルキルアリール、オキシアリールアルキル、チオアリールアルキル、アミノアリールアルキル、カルボキシアリールアルキル、オキシアリールアルケニル、チオアリールアルケニル、アミノアリールアルケニル、カルボキシアリールアルケニル、オキシアルケニルアリール、チオアルケニルアリール、アミノアルケニルアリール、カルボキシアルケニルアリール、オキシアリールアルキニル、チオアリールアルキニル、アミノアリールアルキニル、カルボキシアリールアルキニル、オキシアルキニルアリール、チオアルキニルアリール、アミノアルキニルアリールまたはカルボキシアルキニルアリール、オキシアリーレン、チオアリーレン、アミノアリーレン、カルボキシアリーレン、オキシアルキルアリーレン、チオアルキルアリーレン、アミノアルキルアリーレン、カルボキシアルキルアリーレン、オキシアリールアルキレン、チオアリールアルキレン、アミノアリールアルキレン、カルボキシアリールアルキレン、オキシアリールアルケニレン、チオアリールアルケニレン、アミノアリールアルケニレン、カルボキシアリールアルケニレン、オキシアルケニルアリーレン、チオアルケニルアリーレン、アミノアルケニルアリーレン、カルボキシアルケニルアリーレン、オキシアリールアルキニレン、チオアリールアルキニレン、アミノアリールアルキニレン、カルボキシアリールアルキニレン、オキシアルキニルアリーレン、チオアルキニルアリーレン、アミノアルキニルアリーレン、カルボキシアルキニルアリーレン、ヘテロアリーレン、オキシへテロアリーレン、チオへテロアリーレン、アミノへテロアリーレン、カルボキシへテロアリーレン、へテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、オキシへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、チオへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、アミノへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、カルボキシへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造である。
【0009】
本明細書での使用に考慮される第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの例は以下である。:
【0010】
【化2】
【0011】
一実施態様では、本明細書での使用に考慮される第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドは、直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビルセグメントを含み、各ヒドロカルビルセグメントは、少なくとも30個の炭素原子を有し、それによってその柔軟性が促進される。
【0012】
一実施態様では、本明細書での使用に考慮される第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドは、以下の構造を有する。:
【0013】
【化3】
(式中、mは1〜15であり、pは0〜15であり、各Rは、独立して水素または低級アルキルから選ばれ、Jは以下から選択される一価または多価の基である。
−約20〜約500個の範囲の炭素原子を有する非芳香族ヒドロカルビル種または置換された非芳香族ヒドロカルビル種であり、非芳香族ヒドロカルビル種が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニルから選択される;
−約20〜約500個の範囲の炭素原子を有する非芳香族ヒドロカルビレン種または置換された非芳香族ヒドロカルビレン種であり、非芳香族ヒドロカルビレン種が、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレンから選択される、
−約20〜約500個の範囲の炭素原子を有する複素環または置換複素環種
−ポリシロキサンまたは
−ポリシロキサン−ポリウレタンブロック共重合体および以下の結合基から選択される結合基を有する、1種以上の上記の組合わせであり、結合基が、
共有結合、−O−、−S−、−NR−、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−O−、−NR−C(O)−NR−、−S−C(O)−、−S−C(O)−O−、−S−C(O)−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−NR−C(O)−、−O−NR−C(O)−O−、−O−NR−C(O)−NR−、−NR−O−C(O)−、−NR−O−C(O)−O−、−NR−O−C(O)−NR−、−O−NR−C(S)−、−O−NR−C(S)−O−、−O−NR−C(S)−NR−、−NR−O−C(S)−、−NR−O−C(S)−O−、−NR−O−C(S)−NR−、−O−C(S)−、−O−C(S)−O−、−O−C(S)−NR−、−NR−C(S)−、−NR−C(S)−O−、−NR−C(S)−NR−、−S−S(O)−、−S−S(O)−O−、−S−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)−、−NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)−、NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−P(O)R−、−S−P(O)R−、または−NR−P(O)R−である(ここで各Rは、独立して水素、アルキル基または置換されたアルキル基を表す))
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、上記マレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドのJが、オキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、オキシアルケニル、チオアルケニル、アミノアルケニル、カルボキシアルケニル、オキシアルキニル、チオアルキニル、アミノアルキニル、カルボキシアルキニル、オキシシクロアルキル、チオシクロアルキル、アミノシクロアルキル、カルボキシシクロアルキル、オキシシクロアルケニル、チオシクロアルケニル、アミノシクロアルケニル、カルボキシシクロアルケニル、ヘテロサイクリック、オキシヘテロサイクリック、チオヘテロサイクリック、アミノヘテロサイクリック、カルボキシヘテロサイクリック、オキシアルキレン、チオアルキレン、アミノアルキレン、カルボキシアルキレン、オキシアルケニレン、チオアルケニレン、アミノアルケニレン、カルボキシアルケニレン、オキシアルキニレン、チオアルキニレン、アミノアルキニレン、カルボキシアルキニレン、オキシシクロアルキレン、チオシクロアルキレン、アミノシクロアルキレン、カルボキシシクロアルキレン、オキシシクロアルケニレン、チオシクロアルケニレン、アミノシクロアルケニレン、カルボキシシクロアルケニレン、へテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、オキシへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、チオへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、アミノへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造、またはカルボキシへテロ原子含有2価または多価の環状部分構造である。
【0015】
本明細書での使用に考慮される第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミドの例は以下である。:
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
一実施態様では、本明細書での使用に考慮される第1のエポキシ樹脂は、エポキシ化カルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)オリゴマーまたはポリマーである。
【0020】
一実施態様では、エポキシ化CTBNオリゴマーまたはポリマーが、以下の構造を有するオリゴマーまたはポリマー前駆体のエポキシ含有誘導体である。
【0021】
【化7】
(式中、各Buはブチレン部位(例えば、1,2−ブタジエニル、1,4−ブタジエニル)であり、各ACNは、アクリロニトリルの部位であり、Bu単位およびACN単位は、ランダムまたはブロックに配置することができ、xおよびyの各々がゼロよりも大きく、ただし、全x+y=1、x:yの比は、約10:1〜1:10の範囲であり、mは、約20〜約100の範囲である。)
【0022】
当業者によって容易に認識されるように、エポキシ化CTBNオリゴマーまたはポリマーは、種々の方法、たとえば、(1)カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、(2)エポキシ樹脂および(3)ビスフェノールAから作製することができる。:
【0023】
【化8】
CTBNのカルボン酸基およびエポキシ間の反応(鎖延長反応を介して)などによる。
【0024】
上述のように、第1のエポキシ樹脂(すなわち、ゴムまたはエラストマー変性エポキシ)の例には、(1)カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、(2)エポキシ樹脂および(3)ビスフェノールAから製造されたエポキシ化CTBNオリゴマーまたはポリマーが含まれる;Hypro(商標)エポキシ官能性ブタジエンアクリロニトリルポリマー(旧Hycar(登録商標)ETBN)などが挙げられる。
【0025】
ゴムまたはエラストマー変性エポキシには、以下のエポキシ化誘導体が挙げられる。:
(a)米国特許第4,020,036号に記載の30,000〜400,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する共役ジエンのホモポリマーまたはコポリマー(全体の内容が参照により本明細書に組み込まれている)であって、共役ジエンは、分子当たり4〜11個の炭素原子を含有する(例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン等)。
(b)米国特許第4,101,604(全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、エピハロヒドリンのモノマー(単数または複数)と約800〜約50,000まで変化する数平均分子量(Mn)を有する酸化物モノマー(単数または複数)との共重合体。
(c)エチレン/プロピレン共重合体およびエチレン/プロピレンおよび少なくとも1つの非共役ジエンとの共重合体、たとえば、米国特許第4,161,471に記載されているエチレン/プロピレン/ヘキサジエン/ノルボルナジエン、
(d)共役ジエンブチルエラストマー、たとえば、4〜14個の炭素原子を有する約0.5〜約15重量%の共役マルチオレフィンと結合する85〜99.5重量%のC4〜C5オレフィンからなる共重合体、イソブチレンとイソプレン共重合体であって、それに結合するイソプレン単位の大部分は、共役ジエン不飽和を有する(例えば、米国特許第4,160,759を参照し、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0026】
一態様では、第2のエポキシ樹脂が、エポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーである。
【0027】
一態様では、本明細書での使用に考慮されるエポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーは、以下の構造を有する。
【0028】
【化9】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり、Rは、H、飽和または不飽和のヒドロカルビル、またはエポキシであり、少なくとも1つの上記エポキシ含有繰り返し単位および少なくとも1つの上記オレフィン繰り返し単位は、各オリゴマーに存在し、存在するならば、各繰り返し単位の1〜10の範囲で存在し、nは、2〜150の範囲である。)
【0029】
一態様では、本発明の実施での使用に考慮されるエポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーまたはポリマーは、以下の構造を有する:
【0030】
【化10】
(式中、Rは、H、OH、低級アルキル、エポキシ、オキシラン置換低級アルキル、アリールまたはアルカリルなどである。)
【0031】
本明細書での使用に考慮される第2のエポキシ樹脂(すなわち、柔軟な骨格を有するエポキシ)の例である。:
【0032】
【化11】
【0033】
ある態様では、本発明の配合物は、追加のエポキシ材料を含んでもよい。本発明の配合物に含まれる場合、多種多様なエポキシ官能性樹脂が本明細書での使用に考慮される。たとえば、ビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂(例えば、Epon Resin 834)、ビスフェノールFに基づくエポキシ樹脂(例えば、RSL−1739)、フェノールノボラック樹脂に基づく多官能性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、エピクロンHP−7200L)、ナフタレン型エポキシ樹脂など、および任意のそれらの2つ以上の混合物などである。
【0034】
本明細書での使用に考慮されるエポキシ官能性樹脂の例は、脂環式アルコールのジエポキシド、水素化ビスフェノールA(5000 Epalloyとして市販)、無水ヘキサヒドロフタル酸無水物の二官能脂環式グリシジルエステル(Epalloy 5200として市販されている)、Epiclon EXA−835LV、 Epiclon HP−7200Lなどおよびそれらの任意の2つ以上の混合物を含む。
【0035】
本発明の配合物の任意の追加の成分としての使用に適する従来のエポキシ材料のさらなる例は、以下が挙げられる。:
【0036】
【化12】
【0037】
本発明の実施での使用に考慮される導電性充填剤には、銀、ニッケル、コバルト、銅、金、パラジウム、白金、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、アルミニウム、インジウムスズ酸化物、銀被覆銅、銀被覆アルミニウム、銀被覆グラファイト、ニッケル被覆グラファイト、ビスマス、スズ、ビスマス−スズ合金、金属被覆ガラス球状銀被覆繊維、銀被覆球体、アンチモンドープ酸化スズ、カーボンナノチューブ、導電性ナノフィラー、そのような金属の合金など、およびこれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。
【0038】
本発明の実施での使用に考慮される硬化剤には、尿素、脂肪族および芳香族アミン、ポリアミド、イミダゾール、ジシアンジアミド、ヒドラジド、尿素−アミンハイブリッド硬化系、フリーラジカル開始剤、有機塩基、遷移金属触媒、フェノール、酸無水物、ルイス酸、ルイス塩基などが挙げられる。たとえば、米国特許第5,397,618,を参照し、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
フリーラジカル開始剤の例は、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ヒドロペルオキシド、アルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、アゾ化合物などが挙げられます。
【0040】
非反応性希釈剤は、存在する場合、芳香族炭化水素(たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、飽和炭化水素(たとえば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、テトラデカンなど)、塩素化炭化水素(たとえば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど)、エーテル類(たとえば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールエーテル、エチレングリコールのモノアルキルまたはジアルキルエーテルなど)、エステル類(たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテートなど);二塩基酸エステル類、α−テルピネオール、β−テルピネオール、ケロシン、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、高沸点アルコールおよびそのエステル、グリコールエーテル類、ポリオール類(たとえば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、ケトン類(たとえば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、アミド類(たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、複素環式芳香族化合物(たとえば、N−メチルピロリドンなど)が挙げられる。
【0041】
本発明に従って使用するために考慮される非反応性希釈剤の量は、本発明の組成物の成分を溶解及び/又は分散させるために十分な量用いるのであれば、大きく変えることができる。存在する場合、非反応性希釈剤の量は、典型的には、組成物の約2〜約25重量%の範囲である。一態様では、非反応性希釈剤の量は、全組成物の約5〜20重量%の範囲である。いくらかの態様では、非反応性希釈剤の量は、全組成物の約10〜約18重量%の範囲である。
【0042】
当業者によって容易に認識されるように、一態様では、本発明の組成物は、その中に実質的に希釈剤を含まない。希釈剤が、一度存在しても、それは、典型的には、本発明の組成物の操作(例えば、適する基板上にフィルムとして塗布することによる)が終了した後に除去される。
【0043】
一態様では、本発明による組成物は、さらに約4重量%までのアクリル系ポリマーを含む。 本発明の実施での使用に考慮されるアクリレートは、当技術分野において周知である。たとえば、米国特許第5,717,034を参照し、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
例示的アクリル系ポリマーは、約100,000〜約1,000,000の範囲の分子量および約−40℃〜約20℃の範囲のTgを有する。一態様では、本明細書で任意に用いるために考慮されるアクリル系ポリマーは、約200,000〜約900,000の範囲の分子量および約−40℃〜約20℃の範囲のTgを有する。
【0045】
一態様では、本発明による組成物は、さらに、約4重量%までのポリウレタン、ポリシロキサンなどを含む。
【0046】
本明細書で使用される「ポリウレタン」は、カルバメート(また、「ウレタン」としても知られる)結合基によって結合する有機単位の鎖からなるポリマーを意味する。ポリウレタンポリマーは、イソシアネートをポリオールと反応させることによって形成することができる。ポリウレタンを製造するために使用されるイソシアネートとポリオールの両方は、典型的には、1分子あたり平均2個以上の官能基を含有する。
【0047】
本明細書で使用される「ポリシロキサン」は、シリコーン樹脂、オリゴマーおよびポリマー、シリコーン架橋ポリマー類、および化学式[RSiO]n(式中、Rは、メチル、エチル、フェニルなどの有機基)で表される混合無機−有機ポリマーを意味する。これらの材料は、四配位のケイ素原子に結合した有機側基(R)を有する無機ケイ素−酸素骨格(・・・−Si−O−Si−O−Si−Ο−・・・)から成る。
【0048】
一態様では、本発明による組成物は、さらに、任意に、1種以上の流動添加剤、接着促進剤、導電性添加剤、レオロジー調整剤等、並びにこれらの任意の2種以上の混合物を含む。
【0049】
本明細書で使用される「流動添加剤」は、シリコンポリマー、エチルアクリレート/ 2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー、ケトオキシムのリン酸エステルのアルキロールアンモニウム塩など、並びにこれらの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0050】
本発明の組成物の各成分の量は大きく変えることができる。
【0051】
例示的組成物は、
少なくとも1重量%の第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
少なくとも1重量%の第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
少なくとも2重量%の第1のエポキシ樹脂(すなわち、ゴムまたはエラストマー変性エポキシ)、
少なくとも0.5重量%の第2のエポキシ樹脂(すなわち、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有するエポキシ樹脂)
少なくとも70重量%の導電性充填剤、
少なくとも0.3重量%の硬化剤、
任意に、4重量%までのアクリル系ポリマー、および
任意に、25重量%までの非反応性有機希釈剤を含む。
【0052】
一態様では、本発明の組成物の各成分の量は、およそ以下の範囲で含む。
1〜6重量%の第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
1〜8重量%の第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
2〜15重量%の第1のエポキシ樹脂(すなわち、ゴムまたはエラストマー変性エポキシ)、
0.5〜8重量%の第2のエポキシ樹脂(すなわち、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有するエポキシ樹脂)、
70〜95重量%の導電性充填剤、
0.3〜4重量%の硬化剤、
任意に、4重量%までのアクリル系ポリマー、および
任意に、25重量%までの非反応性有機希釈剤。
【0053】
一態様では、本発明の組成物の各成分の量は、およそ以下の範囲で含む。
2〜4重量%の第1のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
3〜6重量%の第2のマレイミド、ナジイミドまたはイタコンイミド、
6〜12重量%の第1のエポキシ樹脂(すなわち、ゴムまたはエラストマー変性エポキシ)、
1〜5重量%の第2のエポキシ樹脂(すなわち、柔軟な脂肪族または脂肪族/芳香族骨格を有するエポキシ樹脂)、
80〜85重量%の導電性充填剤、
0.5〜3重量%の硬化剤、
任意に、4重量%までのアクリル系ポリマー、および
任意に、25重量%までの非反応性有機希釈剤。
【0054】
本発明の組成物は、多数の有用な性能特性を有する。たとえば、適する10x10mm銅基板パッド上に0.2mmの厚さで塗布し、200℃で60分間硬化した場合、本発明の組成物は、58ミクロン未満の反りである。
【0055】
本発明の一態様では、本明細書に記載の組成物を製造する方法を提供する。本発明の方法は、実質的に均一な混合物を得るのに十分な時間、考慮された成分の組み合わせに高せん断混合を施すことを含む。
【0056】
本発明の一態様では、本明細書に記載の組成物は、適する基板(例えば、剥離ライナー)に適用され、次いで、実質的に溶媒の全てを除去するために、高温でbステージ化される。
【0057】
本発明の一態様では、上記bステージ化組成物から実質的に溶媒/希釈剤の全てを除去する際に得られる反応生成物を含む導電性ダイアタッチフィルムを提供する。
【0058】
本明細書で考慮される例示的導電性ダイアタッチフィルムには、組成物を約30分〜2時間の範囲の時間、約160〜230℃の範囲の温度で硬化させて得られるフィルムが含まれる。一態様では、導電性ダイアタッチフィルムは、本発明の組成物を約1時間、約175〜200℃の範囲の温度で硬化させて得られるフィルムを含む。
【0059】
本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、典型的には、硬化後、動的水蒸気吸脱着分析器(Dynamic Vapor Sorption Analyzer)に85%の相対湿度で、85℃に曝したとき、約1.2重量%未満の水分を吸収する。一態様では、本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、硬化時、動的水蒸気吸脱着分析器に85%の相対湿度で、85℃に曝したとき、約0.7重量%未満の水分を吸収する。
【0060】
本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、典型的には、硬化時、約40℃未満のTg(熱機械分析;TMAによって決定される)を有し、;一態様では、TMAによって決定されるTgが約20℃未満である。
【0061】
熱機械分析(TMA)は、温度と共に変化する材料の特性を検討するために使用される技術である。本明細書の例1におけるそのための例示的なプロトコルを参照。
【0062】
また、本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、典型的には、硬化後、約100℃未満のタンデルタTg(動的機械分析;DMAによって決定される)を有し;一態様では、タンデルタTgは、約80℃未満である。動的機械分析は、ポリマーの粘弾性を決定するために使用される技術である。本明細書の例1におけるそのための例示的なプロトコルを参照
【0063】
本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、また硬化時の引張弾性率に関し特徴付けることができ、;一態様では、本発明のフィルムの(260℃での)引張弾性率は、lGPa未満であり、;一態様では、(260℃での)引張弾性率は、500MPa未満である。
【0064】
本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、また硬化時のホットダイシェアに関し、特徴付けることができ、;一態様では、硬化フィルムのホットダイシェアは、260℃で少なくとも0.5kg/mmであり、;一態様では、フィルムのホットダイシェアは、少なくとも0.8kg/mmである。
【0065】
本発明の導電性ダイアタッチフィルムは、また硬化時の、約3日間、85%の相対湿度で85℃に曝した後の260℃でのホットウェットダイシェアに関し、特徴付けることができ、;一態様では、そのような条件に曝した後のフィルムのホットウェットダイシェアが、少なくとも0.5kg/mmであり、;一態様では、そのような条件に曝した後のフィルムのホットウェットダイシェアが、少なくとも0.65kg/mmである。
【0066】
本発明の別の態様によれば、導電性ダイアタッチフィルムを調製するための方法を提供し、方法は、適する基材への適用後に、上記組成物から実質的にすべての溶媒/希釈剤を除去すること含む。
【0067】
本発明のさらに別の態様によれば、導電性ダイアタッチフィルムを調製するための方法を提供し、方法は、適する基材へ適用後、それの任意のbステージ化後に上記組成物を硬化することを含む。ある態様では、bステージ化は、上記組成物の硬化前に行うことが好ましい。
【0068】
本明細書での使用に考慮される適切な基板は、リードフレーム(単数または複数)、半導体パッケージのために設計された積層基板(単数または複数)(例えば、BT基板、FR4基板など)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ガラスなどである。
【0069】
本明細書で使用される「リードフレーム(単数または複数)」は、銅又は銅合金からなるベースプレートと、ベースプレートの上(または両方)の面に形成された保護コーティングを含む。保護コーティングは、金、金合金、銀、銀合金、パラジウムまたはパラジウム合金からなる群から選択される少なくとも一つの金属で構成され、約10〜500オングストロームの厚さを有する。保護コーティングは、適切な手段、例えば、蒸着法により形成される。蒸着又は湿式メッキによって、ベースプレートの表面と保護コーティングとの間にニッケルまたはニッケル合金の中間コーティングを形成することができる。中間コーティングに適する厚さは、約50〜20,000オングストロームの範囲内である。たとえば、米国特許第5,510,197を参照し、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
本発明のさらに別の態様によれば、それに適する基板に接着した本明細書に記載の導電性ダイアタッチフィルムを含む物品を提供する。
【0071】
本発明に係る物品は、硬化した導電性ダイアタッチフィルムの基板への接着に関し特徴付けることができ、:典型的には、接着は260℃で少なくとも約0.5kg/mmであり;一態様では、接着は260℃で少なくとも約0.8kg/mmである。
【0072】
本発明に係る物品は、硬化した導電性ダイアタッチフィルムのTgに関し特徴付けることができ、典型的には、約40℃未満のTg(熱機械分析;TMAによって決定される)を有し、;一態様では、Tgは、約20℃未満である。
【0073】
また、本発明の物品は、硬化した導電性ダイアタッチフィルムのタンデルタTgに関し特徴付けることができ、;典型的には、本発明の物品の導電性ダイアタッチフィルムは、約100℃未満のタンデルタTg(動的機械分析;DMAによって決定される)を有し;一態様では、Tgは、約80℃未満である。
【0074】
本発明の物品は、また260℃での硬化した導電性ダイアタッチフィルムの引張弾性率に関し特徴付けることができ;典型的には、引張弾性率は、lGPa未満であり、;一態様では、約500Mpa未満である。
【0075】
当業者によって容易に認識されるように、本発明の物品の寸法は、広い範囲にわたって変えることができる。本発明の配合物の特に有利な点は、大型ダイの調製に適合することである。例示的な物品は、典型的には少なくとも6mmの表面積を有し、2.5×2.5mm、または3×3mm、または4×4mm、または5×5mm、または6×6mm、または7×7mm、または8×8mm、または9×9mm、または10×10mmなどである。
【0076】
本発明のさらに別の態様によれば、導電性ネットワークを調製する方法を提供し、方法が、:
適する基材に、本明細書に記載の組成物を所定のパターンで適用する工程、
およびその後
かかる組成物を硬化する工程を含む。
【0077】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載のように調製した導電性ネットワークを提供する。
【0078】
本発明の種々の態様は、以下の非限定的な例によって例示される。例は、例示の目的のためであり、本発明のいずれの実施を限定するものではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および変形がなされ得ることが理解される。当業者は、容易に合成または商業的に、本明細書に記載の試薬および成分を得る方法を知る。
【実施例】
【0079】
例1
サンプル調製
【0080】
比較配合物および本発明の配合物を以下の表1に示す成分を混合することによって調製した。
<スラリー調製>
【0081】
以下のように固体樹脂を、適する溶媒に予め溶解させた。有機成分の必要量を、容器に秤量し、約5分間手で混合し、次に容器の5〜25%を満たすのに十分な溶媒を添加した。予備混合は、高速ミキサーを用いて約5〜10分間続けた。充填剤の必要量を、その後、容器に添加し、その内容物に約1時間の高速混合(約1000〜3000rpm)を施した。得られたスラリーを約1〜10分間、減圧にすることにより脱気した。
<フィルム調製>
【0082】
導電性フィルムは、塗工機を用いて清潔に用意された表面上にスラリーを注入することによって調製した。スラリーは、その後、基板(剥離ライナー)に良好に結合する安定コーティングフィルムを製造するためにレトルトオーブン中で加熱した。その表面を保護するためにカバーライナーをフィルム上に適用する。いくつかの状況では、実質的に均一なフィルムコーティングの形成を促進するために、熱及び圧力下で膜を積層することが望ましい場合がある。
【0083】
【表1】
【0084】
各配合物A、BおよびCのいくらかの分析を行った。
<TMA>
たとえば、約1〜2mm厚の5×5mmのサンプルを、室温〜200℃まで30−45分で上昇させ、200℃で1時間保持し、20mNの力を加える拡張器具付きパーキンエルマーインストゥルメントを用いて熱機械分析(TMA)した。加熱/冷却/保持のパラメータは以下のとおりである。:
1.20℃/分で5℃〜200℃まで加熱
2.50℃/分で200℃〜−85℃まで冷却
3.−85℃で5分保持
4.10℃/分で−85℃〜250℃まで加熱
【0085】
データ収集は、第2の加熱時に行った。収集されたデータは、ガラス転移温度(Tg)、熱膨張率1(CTE1)および熱膨張率2(CTE2)の決定のために用いた。
【0086】
<DMA>
引張弾性率のDMA分析は、TA−Q800上のフラットエッジテンションフィルム固定具を有するTAインスツルメンツ、TA−Q800を用いてフィルムサンプルについて行った。サンプルの寸法は、約(24×8×0.2mm)であった。サンプルを室温〜200℃に30〜45分で上昇させ、200℃で約1時間浸すことによって硬化した。
【0087】
DMAは、−70℃で始まり、300℃までの5.0℃/分のランプ速度で行った。周波数は10ヘルツであり、5ミクロンをひずみ振幅に適用した。結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
表2に示す結果は、優れた性能特性(例えば、低水分吸収、良好な接着性、低反り、低Tg、低弾性率)が、本発明の配合物に基づく試験フィルムを用いて得られることを示す。
【0090】
例2
反り試験方法
【0091】
試験媒体(9.9mm×9.9mmパッド上の8mm×8mm×300μm厚のダイを有するQFN12×12PPFリードフレーム)を30分ランプ+200℃硬化での60分保持を施し、生じた反りを測定した。結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
表3に示す結果は、本発明の配合物は、本明細書中での使用に考慮された成分の1種以上を有さない配合物よりもはるかに少ない反りの傾向が示された。
例3
MSLテスト
【0094】
MSL(感湿レベル)を以下の条件でJEDEC標準J−STD−20に従って決定した:
MSL1:85℃および85%相対湿度で168時間;
MSL2:85℃および65%相対湿度で168時間;および
MSL3:30℃および60%相対湿度で192時間。
結果を以下にまとめる。
【0095】
【表4】
【0096】
上記結果報告は、本発明の配合物のみ(例えば、配合物C)が、MSL1標準で必要とされるより厳格な条件を満足することが可能であることが明らかになった。
例4
熱サイクル試験
【0097】
その上に8×8×0.3mmダイを有する12×12mmパッケージに、室温〜200℃間を30分で上昇する2000サイクルのボードレベル温度サイクルをかけ、200℃で60分間保持した。結果を以下にまとめる。
【0098】
【表5】
【0099】
上記結果報告は、複数の温度サイクルに曝された時、本発明の配合物(例えば、配合物C)は、本発明の配合物に必要な成分の1種以上を有さない比較配合物よりもはるかに良好な接着が得られ、非常に良好に機能することを示している。
【0100】
本明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明の多くの改変は、上述の当業者には明らかである。そのような改変もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内であることを意味する。
【0101】
本明細書で言及した特許および刊行物は、本発明が関連する当業者のレベルを示す。これらの特許および刊行物が、それぞれ個々の出願または刊行物が明確にかつ個々に本明細書で参照により組み込まれるのと同程度に本明細書では、参照により組み込まれる。
【0102】
前述の記載は、本発明の特定の態様の例示であるが、本発明の実施の際に限定する
ことを意味しない。そのすべての均等を含む、以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を 定義することを意図する。