(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品を吸着するために用いられる吸着ノズルの清掃状態を検査する吸着ノズル検査装置であって、前記吸着ノズルを清掃する清掃装置と、前記吸着ノズルには識別情報が付され、該識別情報を読み取る読取装置と、前記識別情報による前記吸着ノズルに対応する適正流量を選択する選択部と、 前記吸着ノズルを垂直状態で保持する複数のノズル保持部が等間隔をおいて設けられたノズル保持パレットと、前記ノズル保持パレット上にある所定の前記吸着ノズルの基端に開口するノズル穴に接続・分離し、エアが供給又は吸引されるノズル接続部を上下方向に移動可能に設ける上下動装置と、前記上下動装置に設けられ、接続・分離するよう前記ノズル接続部を移動させる移動部と、前記ノズル接続部を介して前記ノズル穴に供給されたエアの流量又は前記ノズル接続部を介して前記ノズル穴から吸引されたエアの流量を検出する流量検出部と、前記流量検出部で検出されたエアの流量と前記適正流量との比較により前記吸着ノズルの清掃状態を前記清掃装置により清掃した後に判定する清掃状態判定部とを有する吸着ノズル検査装置。
請求項1に記載の吸着ノズル検査装置であって、前記吸着ノズルの先端部を撮像する吸着ノズル撮像装置を有し、前記清掃状態判定部は、前記吸着ノズル撮像装置によって部品を吸着していない状態で撮像された前記吸着ノズルの先端部の画像に基づいて、前記吸着ノズルの清掃状態を前記清掃装置により清掃した後に判定する吸着ノズル判定装置。
部品を吸着するために用いられる吸着ノズルの清掃状態を検査する吸着ノズル検査方法であって、前記吸着ノズルを清掃し、前記吸着ノズルに付された識別情報を識別し、前記識別情報により前記吸着ノズルに対応する適正流量を選択し、ノズル保持パレット上にある等間隔をおいて垂直状態で保持された前記吸着ノズルの基端に開口するノズル穴にノズル接続部を接続してエアを供給又は吸引し、前記ノズル穴から供給又は吸引されたエアの流量を検出し、検出されたエアの流量と前記適正流量との比較により前記吸着ノズルの清掃状態を清掃後に判定する吸着ノズル検査方法。
請求項3に記載の吸着ノズル検査方法であって、前記吸着ノズルの先端部を、部品を吸着していない状態で撮像し、前記吸着ノズルの先端部の画像に基づいて、前記吸着ノズルの清掃状態を清掃後に判定する吸着ノズル検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(吸着ノズル検査装置の概略) 以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の吸着ノズル検査装置100は、
図1〜
図3に示すように、主に、基台11、ガイドレール12、移動台13、スライド部材14、回転装置20、回転テーブル30、ノズル保持パレット40、流量検査部50、突上装置60、識別部撮像装置70、吸着ノズル撮像装置80、制御部90とから構成されている。
【0011】
基台11上には、複数のガイドレール12が並設されている。各ガイドレール12には、それぞれスライド部材14がスライド可能に取り付けられている。スライド部材14に板状の移動台13が取り付けられている。移動台13は、エアシリンダ等のアクチュエータ15によって、基台11上のセット位置Aと検査位置B間を移動する。
【0012】
(回転装置) 次に、
図3を用いて、回転装置20について説明する。回転装置20は、ノズル保持パレット40のノズル保持部40fを各検査位置(1)〜(3)(
図1示)に順次割り出すものであり、主に、揺動部材21、回転部材22、アクチュエータ23、第1ストッパ部材24、第2ストッパ部材25、回転テーブル30とから構成されている。揺動部材21は、円板状の本体部21aと、当該本体部21aの外縁から外周側に突出した板状の突出部21bとから構成されていて、本体部21aの中心を揺動中心として、移動台13上に揺動可能に取り付けられている。
【0013】
回転部材22は、外周部に所定角度をおいて複数のラッチ22aが形成された円板状であり、揺動部材21上において、移動台13に回転可能に取り付けられている。本実施形態では、ラッチ22aは、15°間隔をおいて、回転部材22の外周部に形成されている。なお、回転部材22は、揺動部材21に対して回転可能となっている。
【0014】
第1ストッパ部材24は、移動台13に揺動可能に取り付けられ、図示しない付勢部材によって、回転部材22のラッチ22a側に付勢されていて、ラッチ22aと係合している。このような構造によって、回転部材22は、一方向(本実施形態では、時計回り)のみに回転可能となっている。
【0015】
第2ストッパ部材25は、揺動部材21の突出部21bに揺動可能に取り付けられ、図示しない付勢部材によって、回転部材22のラッチ22a側に付勢されていて、ラッチ22aと係合している。
【0016】
アクチュエータ23は、本実施形態では、エアシリンダであり、本体23aと、当該本体23aから退出可能に摺動するロッド23bを有している。アクチュエータ23は、後述する制御部90と接続し、制御部90からの制御信号によって、ロッド23bを退出させる。本体23aは、移動台13上に揺動可能に取り付けられている。ロッド23bの先端は、ブラケット26を介して、揺動部材21の突出部21bに揺動可能に取り付けている。
【0017】
このような構造により、ロッド23bが本体23a内に退避している状態から、当該ロッド23bが突出すると、揺動部材21が所定角度揺動する。すると、第2ストッパ部材25は、回転部材22のラッチ22aと係合しているので、回転部材22が、所定角度だけ(ラッチ22a1ピッチ分だけ)時計回りに回動する。そして、ロッド23bが本体23a内に退避すると、第1ストッパ部材24がラッチ22aに係合しているので、回転部材22の反時計回りの回動が阻止される。このように、ロッド23bが突出し退避するアクチュエータ23の1作動によって、回転部材22がラッチ22a1ピッチ分だけ回動する。
【0018】
回転テーブル30は、略円柱形状であり、回転部材22と回転中心を同軸にして、回転部材22上に取り付けられている。このようにして、回転テーブル30が、移動台13上に回転可能に取り付けられている。回転テーブル30の上部には、他の部分と比べて外径が小さい円柱形状の係合部30aが形成されている。係合部30aの基部の周囲には、回転テーブル30の回転軸と垂直な平面である載置面30bが形成されている。載置面30b上には、位置決め突起30cが形成されている。回転テーブル30の係合部30a上には、所定角度をおいて複数の識別センサ30dが設けられている。識別センサ30dは、当該識別センサ30dに物体が近接すると検知信号を制御部90に出力する近接センサである。
【0019】
(ノズル保持パレット) 次に、
図4を用いて、ノズル保持パレット40について説明する。ノズル保持パレット40は、後述する複数の吸着ノズル500を垂直状態で保持するものである。ノズル保持パレット40は、その下部に形成された円柱形状の取付部40aと、取付部40aと同軸に、取付部40a上に形成された円板状の保持部40bとから構成されている。
【0020】
取付部40aの下面には、係合部30a(
図3示)の外径よりも僅かに大きい内径の円柱形状の空間である係合凹部40cが形成されている。取付部40aの下面の係合凹部40cの外周部には、位置決め突起30c(
図3示)の外径よりも僅かに大きい内径の円柱形状の空間である位置決め凹部40dが形成されている。係合凹部40cが係合部30aに係合するとともに、位置決め凹部40dが位置決め突起30cに係合して、ノズル保持パレット40が回転テーブル30上に同軸に位置決めされて取り付けられる(
図1、
図2示)。このように、ノズル保持パレット40は、回転テーブル30に着脱可能に取り付けられる。
【0021】
係合凹部40cの底面には、所定角度をおいて単一又は複数の識別突起40eが形成されている。識別突起40eは、ノズル保持パレット40を回転テーブル30に取り付けた際に、回転テーブル30の識別センサ30dに対応する位置配置されている。識別突起40eの数や位置は、ノズル保持パレット40によって異なる。例えば、ノズル保持部40fの数、つまり、隣接するノズル保持部40fの角度によって、識別突起40eの数や位置が異なる。ノズル保持パレット40を回転テーブル30に取り付けた際に、各識別センサ30dが識別突起40eを検知し又は検知しないことによって、制御部90において、回転テーブル30に取り付けられたノズル保持パレット40が識別される。
【0022】
保持部40bには、
図4の一点鎖線で示す円周上等間隔をおいて(等角度をおいて)、ノズル保持部40fが貫通形成されている。本実施形態では、ノズル保持部40fは、その上部の位置決部40gと、その下部の挿通部40hとから構成されていて、位置決部40gの内径は挿通部40hの内径よりも大きくなっている。位置決部40gと挿通部40hの間には、水平な面である載置面40iが形成されている。
【0023】
保持部40bには、各ノズル保持部40fに対応する位置に、表示部40jが設けられている。本実施形態では、表示部40jは、各ノズル保持部40fの外周側に設けられている。表示部40jは、円柱形状の表示筒40kと、保持部40bに貫通形成され、表示筒40kを上下方向摺動可能に収容する収容部40mと、表示筒40kの外周面を押圧する押圧部材40nとから構成されている。表示筒40kには、上から下方向に異なる位置にそれぞれ、全周に渡って上側位置決め溝40pと下側位置決め溝40qが形成されている。押圧部材40nは、本実施形態では、位置決め溝40p、40qと係合するボール40rを有するボールプランジャーである。このような構造により表示筒40kは、ボール40rが上側位置決め溝40pと係合し、表示筒40kが完全に収容部40m内に収容されている位置と、ボール40rが下側位置決め溝40qと係合し、表示筒40kが保持部40bの上面から突出した位置の2つの位置に位置決めされる。
【0024】
(吸着ノズル)次に
図5を用いて、本実施形態の吸着ノズル検査装置100で検査される吸着ノズル500について説明する。部品装着装置の吸着ノズル500は、順次供給位置に供給された電子部品等の部品を吸着して基板等の被装着物の装着位置まで搬送して、当該部品を被装着物に装着するためのものである。
図5の(B)に示すように、吸着ノズル500は、固定部501、可動部502、コイルスプリング503とから構成されている。
【0025】
固定部501は
、部品装着装置のノズルホルダに着脱可能に取り付けられ、円筒状の筒部501aと、この筒部501aの途中部分から外周側に形成された円板状のフランジ部501bとから構成されている。フランジ部501bよりも上部の筒部501aには、外周側に突出する取付レバー501cが形成されている。筒部501aの上部がノズルホルダに嵌合し、取付レバー501cがノズルホルダに係合して、吸着ノズル500がノズルホルダに取り付けられる。
【0026】
図5の(A)に示すように、フランジ部501bの上面には、識別部501dが設けられている。識別部501dには、各吸着ノズル500に固有の「識別情報」が2次元又は3次元のパターン501e(二次元コード又は三次元コード)で記載されている。吸着ノズル500がノズルホルダに装着されると、識別部501dはノズルホルダに設けられた撮像装置で読み取られ、部品装着装置は、読み取られた識別部501dのパターン501eに基づいて吸着ノズル500の仕様を認識する。
【0027】
可動部502は、基部側ノズル502aと、吸着部502bと、スプリング受部502cとから構成されている。基部側ノズル502aは、円筒形状であり、その上部が筒部501a内に摺動可能に挿通している。吸着部502bは、基部側ノズル502aの下端に取り付けられ、下端の外径が他の部分の外径に比べて小さくなっている。基部側ノズル502a及び吸着部502bの流路は、ノズル穴502fとなっていて、当該ノズル穴502fからエアを吸引することにより、部品を吸着部502bで吸着する。
【0028】
スプリング受部502cは、基部側ノズル502aの途中部分又は下部から外周側に形成された円板形状の受部502dと、この受部502dの外縁に上方に形成された円筒形状のスプリング保持部502eとから構成されている。
【0029】
コイルスプリング503は、筒部501aの下部の外周側とスプリング保持部502eの内周側の間に配設され、その上部がフランジ部501bの下面と当接するとともに、その下端が受部502dと当接し、可動部502を固定部501に対して下方に付勢している。このような構造により、可動部502が固定部501に対して上下方向摺動可能に取り付けられている。
【0030】
可動部502がノズル保持部40fに挿通し、フランジ部501bが載置面40i上に載置されて、複数の吸着ノズル500がノズル保持パレット40のノズル保持部40fで、垂直状態で保持される(
図1示)。なお、位置決部40g(
図4示)の内径は、フランジ部501b(
図5示)の外径よりも僅かに大きい寸法となっている。このため、吸着ノズル500がノズル保持パレット40の水平方向に関して位置決めされる。
【0031】
(流量検査部)次に、
図1及び
図2を用いて、流量検査部50について説明する。なお、
図2において、後述の上下動装置52は表示していない。流量検査部50は、
図1に示すように、ノズル接続部51、上下動装置52、エア流路54、ポンプ55、蓄圧部56、電磁弁57、流量検出センサ58、圧力センサ59とから構成されている。
図1に示すように、ノズル接続部51は、ブロック状であり、検査位置(3)に割り出されるノズル保持パレット40のノズル保持部40fの直上に配設されている。
図2に示すように、ノズル接続部51には、その下端に開口するエア通路51aが形成されている。また、エア通路51aの開口部には、ゴムや樹脂等の柔軟な材料で構成されたリング状のパッキン51bが取り付けられている。
【0032】
上下動装置52は、ノズル接続部51を支持するとともに上下方向に移動させる装置であり、基台11に取り付けられている。上下動装置52は、ノズル接続部51を上下方向移動可能に取り付けるリニアガイド等のガイド部(不図示)と、ノズル接続部51を上下方向に移動させる、ボールネジ、ボールナット、ボールネジを回転させるモータ等から構成された移動部52aを備えている。移動部52aは、制御部90と通信可能に接続され、制御部90から出力される制御信号によって、移動部52aが稼働して、ノズル接続部51が上下方向に移動する。
【0033】
ポンプ55は、ノズル接続部51のエア通路51aにエア流路54によって接続し、エア通路51aにエアを供給するものである。
図1に示すように、エア流路54の途中には、ポンプ55側から順に、蓄圧部56、電磁弁57、流量検出センサ58が設けられている。
【0034】
蓄圧部56は、ポンプ55によって生成された圧縮空気を溜めるタンクである。蓄圧部56には、蓄圧部56の圧力を検出し、検出信号を制御部90に出力する圧力センサ59が設けられている。
【0035】
電磁弁57は、常時は、エア流路54を閉塞していて、制御部90と通信可能に接続している。制御部90からの制御信号により、電磁弁57は、エア流路54を開放又は閉塞する。
【0036】
流量検出センサ58は、エア流路54を流通するエアの流量を検出するセンサであり、制御部90に検出信号を出力する。
【0037】
(突上装置)次に、
図2を用いて突上装置60について説明する。突上装置60は、ノズル保持パレット40の表示筒40kを上方に突き上げるものであり、移動台13上に設けられている。突上装置60は、本体61と、本体61の上端面から突出し、本体61に対して上下方向移動可能に取り付けられた突上ピン62とから構成されている。突上ピン62は、検査位置(3)に割り出されるノズル保持パレット40の表示筒40kの直下に配設されている。本体61は、突上ピン62を上下方向に移動させ、制御部90に通信可能に接続されたアクチュエータ(不図示)を有している。制御部90からの制御信号によって、アクチュエータは、突上ピン62を上方に移動させ、又は、下方に退避させる。突上ピン62が上方に移動すると、突上ピン62がその直上にある表示筒40kを突き上げる。
【0038】
(識別部撮像)次に、
図1、
図2を用いて、識別部撮像装置70について説明する。識別部撮像装置70は、吸着ノズル500の識別部501dのパターン501e(
図5(A)示)を読み取る装置である。識別部撮像装置70は、撮像装置71とブラケット72とから構成されている。撮像装置71は、検査位置(1)に割り出されるノズル保持パレット40のノズル保持部40fの直上に配設されている。撮像装置71は、CCDやCMOS等の撮像素子と、この撮像素子に被写像を結像するレンズを有していて、識別部501dを撮像し、撮像データを制御部90に出力する。ブラケット72は、基台11上に取り付けられ、撮像装置71を検査位置(1)に割り出されるノズル保持部40fの直上で保持している。
【0039】
(吸着ノズル撮像装置)次に、
図1、
図2、
図6を用いて、吸着ノズル撮像装置80について説明する。吸着ノズル撮像装置80は、ノズル保持パレット40のノズル保持部40fで保持されている吸着ノズル500の吸着部502bを撮像するものである。吸着ノズル撮像装置80は、撮像装置81、光反射部82、ブラケット83とから構成されている。吸着ノズル撮像装置80は、ノズル保持パレット40(回転テーブル30)の側方位置に、ブラケット83を介して基台11に取り付けられている。撮像装置81は、下方が開口した有底筒状の筐体81aと、CCDやCMOS等の撮像素子81bと、この撮像素子81bに被写像を結像する単数又は複数のレンズ81cを有している。
【0040】
光反射部82は、撮像装置81及びノズル保持パレット40の下方位置に、ブラケット83を介して基台11に取り付けられている。光反射部82は、上方が開口した箱形の筐体82a、筐体82a内に収納されて取り付けられたプリズム等の反射部材82b、82cとから構成されている。反射部材82bは、撮像装置81の直下に配設されている。反射部材82cは、検査位置(2)に割り出されるノズル保持パレット40のノズル保持部40fの直下に配設されている。
図6の二点鎖線で示すように、吸着ノズル500の吸着部502bの周囲から出光した光は、反射部材82c及び反射部材82bで反射して、撮像装置81の入光し、撮像装置81で撮像される。
【0041】
(制御部)次に制御部90について説明する。制御部90は、吸着ノズル検査装置100を統括制御するものであり、マイクロコンピュータ(不図示)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリー等の記憶部90aを備えている。CPUは、
図8に示すフローチャートに対応したプログラムを実行する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMや記憶部90aは前記プログラムを記憶している。
【0042】
制御部90は、流量検出センサ58からの検出信号が入力され、エア流路54を流通するエアの流量、つまり、ノズル接続部51を介して吸着ノズル500に供給されるエアの流量を算出する。また、制御部90には、圧力センサ59からの検出信号が入力され、ポンプ55に制御信号を出力する。制御部90は、圧力センサ59で検出された蓄圧部56の圧力が所定以下に低下したと判断した場合には、ポンプ55を稼働させる。また、制御部90は、アクチュエータ15に制御信号を出力することにより、移動台13を基台11上のセット位置Aと検査位置B間(
図1示)に移動させる。また、制御部90は、電磁弁57に制御信号を出力して、電磁弁57を開放又は閉塞する。また、制御部90は、アクチュエータ23に制御信号を出力して、アクチュエータ23のロッド23b(
図3示)を退出させる。また、制御部90は、撮像装置71、81に制御信号を出力し、撮像装置71、81での撮像を実行させる。そして、制御部90には、撮像装置71、81からの撮像画像が入力される。
【0043】
制御部90には、操作部91が通信可能に接続されている。操作部91は、吸着ノズル検査装置100を操作するためのものである。作業者が操作部91を操作すると、当該操作に対応した信号が、制御部90に入力される。
【0044】
制御部90は、ホストコンピュータ200と通信可能に接続されていて、ホストコンピュータ200に、各吸着ノズル500の「識別情報」と対応付けされた各吸着ノズル500の検査結果である「吸着ノズル検査情報」(
図9示)を送信する。ホストコンピュータ200は、例えば所謂パーソナルコンピュータであり、「吸着ノズル検査情報」が順次記憶されて蓄積される。
【0045】
(吸着ノズルの洗浄・検査工程) 次に、
図7に示すフローチャートを用いて、吸着ノズルの洗浄・検査工程について説明する。部品装着装置において使用後の吸着ノズル500は、ノズル保持パレット40の各ノズル保持部40fで保持された状態で、ストックされる(P1)。次に、各吸着ノズル500がノズル保持パレット40で保持された状態で、清掃装置によって、吸着ノズル500の吸着部502bや、ノズル穴502f、識別部501dが清掃され(P2)、ブロー装置によってノズル穴502f内に圧縮空気が送給され、ノズル穴502f内の洗浄液や異物が除去される(P3)。次に、後述の「吸着ノズル検査処理」において、各吸着ノズル500がノズル保持パレット40で保持された状態で、各吸着ノズル500が検査される(P4)。検査後の各吸着ノズル500は、ノズル保持パレット40で保持された状態で、ストックされる(P5)。
【0046】
(吸着ノズル検査処理) 次に、
図8に示すフローチャートを用い、制御部90で実行される「吸着ノズル検査処理」について説明する。「吸着ノズル検査処理」において、
図9に示す「吸着ノズル検査情報」が順次生成される。「吸着ノズル検査情報」は、「識別情報」と、後述のS15「吸着部検査」及びS16「流量検査」の検査結果を対応付けした情報であり、記憶部90aに記憶されたうえで、ホストコンピュータ200に送信される。
【0047】
ブロー(
図7のP3)後において、吸着ノズル500を保持したノズル保持パレット40
は、セット位置A(
図1示)にある回転テーブル30に装着され、「吸着ノズル検査処理」が開始し、S11に進む。
【0048】
S11において、制御部90は、アクチュエータ15に制御信号を出力し、移動台13を検査位置Bに移動させ、プログラムをS12に進める。
【0049】
S12において、制御部90は、複数の識別センサ30dから出力された検知信号に基づいて、ノズル保持パレット40を識別し、隣接するノズル保持部40fの角度を認識しプログラムをS13に進める。
【0050】
S13において、制御部90は、撮像装置71に撮像指令を出力し、撮像装置71で検査位置(1)(
図1示)に割り出された吸着ノズル500の識別部501dを撮像して読み取る。この際に、制御部90が、識別部501dのパターン501eが認識できない場合には、識別部501dの洗浄が不十分であり汚損しているとして、識別部501dの読み取り異常を「吸着ノズル検査情報」の「識別情報」の欄に記憶させる。一方で、制御部90が、識別部501dのパターン501eを認識した場合には、パターン501eに対応する吸着ノズル500の「識別情報」を、「吸着ノズル検査情報」の「識別情報」の欄に記憶させる。S13が終了すると、プログラムは、S14に進む。
【0051】
S14において、制御部90は、アクチュエータ23に制御信号を出力して、アクチュエータ23にロッド23bを突出させるとともに退避させる動作を1回又は複数回行わせ、S12において認識した隣接するノズル保持部40fの角度分だけ回転テーブル30を回動させる。S14が終了すると、プログラムは、S15に進む。
【0052】
S15において、制御部90は、撮像装置81に撮像指令を出力し、撮像装置81で検査位置(2)(
図1示)に割り出された吸着ノズル500の吸着部502bを撮像させる。制御部90は、撮像された吸着部502bの撮像画像を画像処理することにより、吸着部502bの外周部や吸着部502bに開口するノズル穴502f内への異物の付着、或いは、吸着部502bの破損等の異常があるか否かを判断し、異常が有る場合には、吸着部502bの異常を、上述の「識別情報」と関連付けて、「吸着ノズル検査情報」の「流量検査」の欄に記憶させる。S15が終了すると、プログラムは、S16に進む。
【0053】
S16において、制御部90は、上下動装置52に制御信号を出力して、ノズル接続部51を降下させて、エア通路51aを検査位置(3)(
図1示)に割り出された吸着ノズル500のノズル穴502fの開口部と接続させて連通させる。次に、制御部90は、電磁弁57に制御信号を出力して、電磁弁57を開放させて、蓄圧部56から、エアを吸着ノズル500のノズル穴502fに供給する。この際に、制御部90は、流量検出センサ58で検知されたエアの流量を、上述した「識別情報」と関連付けて、「吸着ノズル検査情報」と関連付けて記憶する。そして、制御部90は、流量検出センサ58で検知されたエアの流量に基づいて、吸着ノズル500の流路であるノズル穴502fに異常があるか否かを判断し、異常が有る場合には、ノズル穴502fの異常を、上述した「識別情報」と関連付けて、「吸着ノズル検査情報」の「流量検査」の欄に記憶させる。
【0054】
具体的には、制御部90は、流量検出センサ58で検知されたエアの流量が適正流量の範囲内で無いと判断した場合には、ノズル穴502fに異常が有ると判断する。つまり、ノズル穴502fの清掃が不十分であり、当該ノズル穴502fに異物が残存している場合には、流量検出センサ58で検知されたエアの流量が適正流量の下限よりも下回ることから、吸着ノズル500の流路の異常と判断する。一方で、ノズル穴502fが破損していると判断した場合には、流量検出センサ58で検知されたエアの流量が適正流量の上限よりも上回ることから、ノズル穴502fの異常と判断する。なお、上述した適正流量の範囲は、吸着ノズル500の仕様によって異なるため、制御部90は、上述の「識別情報」に基づいて、検査する吸着ノズル500に対応する適正流量(記憶部90aに記憶されている)を選択して、ノズル穴502fの異常の有無を判断する。S16が終了すると、プログラムは、S17に進む。
【0055】
S17において、制御部90は、S13、S15、及びS16の少なくともいずれかで異常と判断された吸着ノズル500を保持しているノズル保持部40fに対応する表示筒40kが突上装置60上に位置していると判断した場合には、突上装置60に制御信号を出力し、突上装置60で前記表示筒40kを突上させ、吸着ノズル500の異常を表示筒40kに反映させる。S17の処理が終了すると、プログラムは、S18に進む。
【0056】
S18において、制御部90は、ノズル保持パレット40で保持されている全ての吸着ノズル500の検査が完了したと判断した場合には(S18:YES)、プログラムをS19に進め、ノズル保持パレット40で保持されている全ての吸着ノズル500の検査が完了していないと判断した場合には(S18:NO)、プログラムをS13に戻す。
【0057】
S19において、制御部90は、アクチュエータ15に制御信号を出力することにより、移動台13をセット位置Aに移動させ、プログラムをS20に進める。 S20において、制御部90は、記憶部90aに記憶されている、各吸着ノズル500の「識別情報」と対応付けされた各吸着ノズル500の異常情報である「吸着ノズル検査情報」を、ホストコンピュータ200に送信し、「吸着ノズル検査処理」が終了する。
【0058】
作業者は、各ノズル保持部40fに対応する表示筒40kが突き上げられているか否かを確認することにより、吸着ノズル500の異常を容易に認識することができる。また、作業者は、ホストコンピュータ200の表示画面で、
図9に示す「吸着ノズル検査情報」を確認することにより、吸着ノズル500の異常の種類を認識することができる。
【0059】
(本実施形態の効果) 上述した説明から明らかなように、
図8のS16において、ポンプ55がノズル接続部51を介して吸着ノズル500のノズル穴502fにエアを流通させ、制御部90(清掃状態判定部)が流量検査センサ58(流量検出部で)検出されたノズル穴502fを流通するエアの流量に基づいて吸着ノズル500の清掃状態を判定する。つまり、制御部90がノズル穴502fを流通するエアの流量が所定の適正値の下限よりも下回ると判断した場合には、ノズル穴502f内に異物が残存し、吸着ノズル500の清掃状態が不十分であると判定する。このように、実際にノズル穴502fにエアを流通させることにより、ノズル穴502f内に異物が残存しているか否かを判断して吸着ノズル500の清掃状態を判定することにしているので、吸着ノズル500の吸引力の低下を確実に検出することができる。
【0060】
また、ノズル保持パレット40は、回転テーブル30に着脱可能に取り付けられる。これにより、使用後の吸着ノズル500を、ノズル保持パレット40で保持した状態で、清掃装置で吸着ノズル500を清掃することができることから、吸着ノズル500の清掃状態の検査のために、洗浄後の吸着ノズル500をノズル保持パレット40に移し替える必要が無く、作業性が良好となる。
【0061】
また、
図8のS15において、制御部90は、撮像装置81(吸着ノズル撮像装置)によって撮像された吸着ノズル500の先端部である吸着部502bの画像に基づいて、吸着ノズル500の清掃状態を判定する。つまり、制御部90が、撮像された吸着部502bの画像に基づいて、吸着部502bに開口するノズル穴502fに異物が残存していると判断した場合には、吸着ノズル500の清掃状態が不十分であると判定する。これにより、ノズル穴502fにエアを流通させることによる検査に加えて、ノズル穴502fの開口部の異物の残存の有無も検査するので、吸着ノズル500の吸引力の低下の兆候を検出することができる。また、ノズル穴502fの開口部からの異物の落下を防止することができる。また、制御部90が、撮像された吸着部502bの画像に基づいて、吸着部502bの外周部に異物が付着していると判断した場合に、吸着ノズル500の清掃状態が不十分であると判定する。このため、吸着ノズル500での部品の吸引時における、吸着部502bの外周部に付着した異物の落下を防止することができる。更に、制御部90が、撮像された吸着ノズル500の先端部の画像に基づいて、吸着部502bの破損も検出することができる。
【0062】
また、
図8のS13において、撮像装置71(識別情報読取部)が吸着ノズル500の「識別情報」を読み取り、制御部90(対応付け部)が、吸着ノズル500の清掃状態と「識別情報」とを対応付けし、記憶部90aに「識別情報」と対応付けされた吸着ノズル500の清掃状態が記憶される。これにより、記憶部90aを参照することにより、各吸着ノズル500の清掃状態を確認することができる。また、記憶部90aに対応付けされた吸着ノズル500の清掃状態と「識別情報」が順次記憶されるので、吸着ノズル500の清掃状態の履歴管理を行うことができる。つまり、
図8のS16に示す「流量検査」において、ある特定の吸着ノズル500の流量が徐々に低下しつつある場合には、当該吸着ノズル500のノズル穴502f内に異物が徐々に蓄積しつつあると認識することができる。また、ある特定の吸着ノズル500の流量の変化に基づいて、吸着ノズル500を清掃するスパンを変更することもできる。
【0063】
また、
図5の(A)に示すように、吸着ノズル500の表面には、当該吸着ノズル500を識別するためのパターン501eが記載された識別部501dが設けられている。そして、
図8のS13において、制御部90(清掃状態判定部)は撮像装置71(識別部撮像装置)によって撮像されたパターン501eの汚損状態に基づいて、吸着ノズル500の清掃状態を判定する。これにより、部品装着装置が吸着ノズル500を識別するためのパターン501eの汚損状態が判定されるので、部品装着装置でのパターン501eの読み取りエラーを回避することができる。
【0064】
また、
図8のS17において、突上装置60(判定結果反映部)は、ノズル保持部40fに対応する位置に設けられた各表示部40jの表示筒40kを突き上げることにより、吸着ノズル500の清掃状態の良否の結果を反映させる。これにより、作業者は、どの吸着ノズル500に清掃不良等の異常が有るかを容易に認識することができる。
【0065】
また、
図1や
図2に示されるように、回転テーブル30が取り付けられた移動台13(取付台)は、基台11上のセット位置Aと検査位置B間を移動する。また、吸着ノズル検査装置100は、セット位置Aにおいて回転テーブル30にノズル保持パレット40がセットされ、検査位置Bにおいてノズル保持パレット40で保持されている各吸着ノズル500の清掃状態が判定される構造となっている。このため、作業者は、セット位置Aにおいて、回転テーブル30にノズル保持パレット40をセットすることができるので、セット時において、ノズル保持パレット40が、流量検査部50や、識別部撮像装置70、吸着ノズル撮像装置80に干渉すること無く、作業性が良好である。また、作業者は、回転テーブル30にノズル保持パレット40をセット後に、操作部91操作するだけで、吸着ノズル500の清掃状態の検査が開始して実行されるので、作業性が良好である。
【0066】
(別の実施形態) なお、以上説明した実施形態では、ポンプ55がノズル接続部51のエア通路51aにエアを供給し、流量検出センサ58がポンプ55によってノズル接続部51を介してノズル穴502fに供給されたエアの流量を検出し、制御部90が流量検出センサ58で検出されたエアの流量に基づいて、ノズル穴502fの清掃状態を判定している。しかし、ポンプ55がノズル接続部51のエア通路51aからエアを吸引し、流量検出センサ58がポンプ55によっ
てノズル接続部51を介してノズル穴502fから吸引されたエアの流量を検出し、制御部90が流量検出センサ58で検出されたエアの流量に基づいて、ノズル穴502fの清掃状態を判定する実施形態であっても差し支え無い。
【0067】
また、以上説明した実施形態では、ポンプ55がノズル接続部51のエア通路51aにエアを供給している。しかし、吸着ノズル検査装置100の外部に設けられたポンプ等のエア供給源から、ノズル接続部51のエア通路51aにエアを供給する実施形態であっても差し支え無い。同様に、吸着ノズル検査装置100の外部に設けられたポンプ等のエア吸引装置が、ノズル接続部51のエア通路51aからエアを吸引する実施形態であっても差し支え無い。
【0068】
また、以上説明した実施形態では、吸着ノズル500を識別するための識別部501dは、吸着ノズル500の表面に記載されたパターン501eであり、識別部501dの「識別情報」であるパターン501eを読み取る識別情報読取部は、撮像装置71である。しかし、吸着ノズル500を識別するための識別部は、吸着ノズル500の「識別情報」が記憶されたICタグや、ICチップ、磁気テープ等であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、識別部の「識別情報」を読み取る識別情報読取部は、ICタグに記憶されている「識別情報」を読み取るICタグリーダや、ICチップに記憶されている識別情報を読み取るICチップリーダ、磁気テープに記憶されている「識別情報」を読み取る磁気テープリーダ等である。
【0069】
また、以上説明した実施形態では、吸着ノズル500の清掃状態の良否の結果が表示される表示部40jは、ノズル保持パレット40に設けられている。しかし、吸着ノズル500の清掃状態の良否の結果が表示される表示部を、各ノズル保持部40fと対応する位置の回転テーブル30にそれぞれ設けることにしても差し支え無い。
【0070】
また、以上説明した実施形態では、吸着ノズル500のノズル穴502fの基端は、ノズル接続部51のエア通路51aと直接接続するようになっている。しかし、吸着ノズル500のノズル穴502fの基端が、ノズル穴502fの基端とノズル接続部51のエア通路51aを接続する部材を介して、エア通路51aと接続する実施形態であっても差し支え無い。