特許第6378405号(P6378405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6378405-フィルム巻取装置 図000002
  • 特許6378405-フィルム巻取装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6378405
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】フィルム巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/06 20060101AFI20180813BHJP
   B65H 18/04 20060101ALI20180813BHJP
   B65H 19/30 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   B65H18/06
   B65H18/04
   B65H19/30
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-127168(P2017-127168)
(22)【出願日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 利明
(72)【発明者】
【氏名】森岡 稔明
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−199072(JP,A)
【文献】 実公平4−20851(JP,Y2)
【文献】 特開平5−147780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/06
B65H 18/04
B65H 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを直接巻き取るように構成されたフィルム巻取装置であって、
フィルムを挟んで対向するように配置された第1フレームおよび第2フレームと、
前記第1フレームに回転可能に設けられた第1円筒部材と、
前記第2フレームに回転可能に設けられた第2円筒部材と、
前記第1円筒部材の内部にスプライン嵌合された第1巻取軸と、
前記第2円筒部材の内部にスプライン嵌合された第2巻取軸と、
前記第1巻取軸が回転可能に連結され、前記第1巻取軸の軸方向にスライド移動する第1スライド部材と、
前記第2巻取軸が回転可能に連結され、前記第2巻取軸の軸方向にスライド移動する第2スライド部材と、
前記第1円筒部材に設けられ、フィルムの幅方向の一方端部側を支持するための第1枠体と、
前記第2円筒部材に設けられ、フィルムの幅方向の他方端部側を支持するための第2枠体とを備え、
前記第1巻取軸は、前記第1スライド部材とともにスライド移動し、前記第1円筒部材と一体的に回転する第1回転軸と、前記第1回転軸に径方向に移動可能に設けられ、フィルムを巻き取る外周面を構成する複数の第1可動部材と、前記第1可動部材を径方向の内側に付勢する第1付勢部材とを含み、
前記第2巻取軸は、前記第2スライド部材とともにスライド移動し、前記第2円筒部材と一体的に回転する第2回転軸と、前記第2回転軸に径方向に移動可能に設けられ、フィルムを巻き取る外周面を構成する複数の第2可動部材と、前記第2可動部材を径方向の内側に付勢する第2付勢部材とを含み、
フィルムの巻き取りが行われる場合には、前記第1巻取軸および前記第2巻取軸が軸方向の内側に移動され、前記第1可動部材および前記第2可動部材が突き当てられることにより、前記第1可動部材および前記第2可動部材が径方向の外側に配置された状態で、前記第1巻取軸および前記第2巻取軸が回転されてフィルムを巻き取るように構成され、
フィルムの巻き取りによって形成される巻取ロールが取り外される場合には、前記第1巻取軸および前記第2巻取軸が軸方向の外側に移動され、前記第1可動部材および前記第2可動部材の突き当たりが解消されることにより、前記第1可動部材および前記第2可動部材が径方向の内側に移動され、前記第1巻取軸および前記第2巻取軸が巻取ロールから抜き出されるように構成されていることを特徴とするフィルム巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム巻取装置において、
前記第1スライド部材が連結され、前記第1スライド部材をスライド移動させるための第1エアシリンダと、
前記第2スライド部材が連結され、前記第2スライド部材をスライド移動させるための第2エアシリンダとを備えることを特徴とするフィルム巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを巻取軸に直接巻き取るコアレス型のフィルム巻取装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のフィルム巻取装置は、フィルムの幅方向に移動可能な一対の可動フレームを備え、その一対の可動フレームが伸縮機構により連結されている。一対の可動フレームの内側には、対向するように巻取軸が設けられている。巻取軸の外周部には複数のリーフが設けられ、各リーフは巻取軸の径方向に移動可能に構成されている。また、巻取軸の基端部には巻取枠が取り付けられている。
【0004】
このフィルム巻取装置は、フィルムの巻き取りが行われる場合に、伸縮機構により一対の可動フレームの間隔が狭くされ、対向する巻取軸が突き当てられることにより、リーフが径方向の外側に移動された状態で、巻取軸が回転されてフィルムを巻き取るように構成されている。そして、フィルムの巻き取りによって形成される巻取ロールが取り外される場合には、伸縮機構により一対の可動フレームの間隔が広くされ、巻取軸の突き当たりが解消されることにより、リーフが径方向の内側に移動され、巻取軸が巻取ロールから抜き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−107829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来のフィルム巻取装置では、巻取ロールが取り外される場合に、可動フレームの間隔が広くされると、一方の巻取軸については巻取ロールから抜き出されるが、巻取ロールが他方の巻取軸に支持された状態で他方の巻取軸とともに軸方向に移動される場合がある。この場合には、他方の巻取軸から巻取ロールを人手によって抜き出す作業が必要になるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、人手によらず巻取軸を巻取ロールから抜き出すことが可能なフィルム巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるフィルム巻取装置は、フィルムを直接巻き取るように構成されたフィルム巻取装置である。このフィルム巻取装置は、フィルムを挟んで対向するように配置された第1フレームおよび第2フレームと、第1フレームに回転可能に設けられた第1円筒部材と、第2フレームに回転可能に設けられた第2円筒部材と、第1円筒部材の内部にスプライン嵌合された第1巻取軸と、第2円筒部材の内部にスプライン嵌合された第2巻取軸と、第1巻取軸が回転可能に連結され、第1巻取軸の軸方向にスライド移動する第1スライド部材と、第2巻取軸が回転可能に連結され、第2巻取軸の軸方向にスライド移動する第2スライド部材と、第1円筒部材に設けられ、フィルムの幅方向の一方端部側を支持するための第1枠体と、第2円筒部材に設けられ、フィルムの幅方向の他方端部側を支持するための第2枠体とを備える。第1巻取軸は、第1スライド部材とともにスライド移動し、第1円筒部材と一体的に回転する第1回転軸と、第1回転軸に径方向に移動可能に設けられ、フィルムを巻き取る外周面を構成する複数の第1可動部材と、第1可動部材を径方向の内側に付勢する第1付勢部材とを含む。第2巻取軸は、第2スライド部材とともにスライド移動し、第2円筒部材と一体的に回転する第2回転軸と、第2回転軸に径方向に移動可能に設けられ、フィルムを巻き取る外周面を構成する複数の第2可動部材と、第2可動部材を径方向の内側に付勢する第2付勢部材とを含む。そして、フィルム巻取装置は、フィルムの巻き取りが行われる場合には、第1巻取軸および第2巻取軸が軸方向の内側に移動され、第1可動部材および第2可動部材が突き当てられることにより、第1可動部材および第2可動部材が径方向の外側に配置された状態で、第1巻取軸および第2巻取軸が回転されてフィルムを巻き取るように構成されている。また、フィルム巻取装置は、フィルムの巻き取りによって形成される巻取ロールが取り外される場合には、第1巻取軸および第2巻取軸が軸方向の外側に移動され、第1可動部材および第2可動部材の突き当たりが解消されることにより、第1可動部材および第2可動部材が径方向の内側に移動され、第1巻取軸および第2巻取軸が巻取ロールから抜き出されるように構成されている。
【0009】
このように構成することによって、第1巻取軸がスプライン嵌合される第1円筒部材に第1枠体を設けるとともに、第2巻取軸がスプライン嵌合される第2円筒部材に第2枠体を設けることにより、第1枠体および第2枠体が軸方向に移動しないので、その第1枠体および第2枠体により巻取ロールの軸方向への移動を規制することができる。これにより、巻取ロールが取り外される場合に、第1巻取軸および第2巻取軸が軸方向の外側に移動される際に、その第1巻取軸および第2巻取軸に連れて巻取ロールが移動しないようにすることができるので、第1巻取軸および第2巻取軸を巻取ロールから抜き出すことができる。
【0010】
上記フィルム巻取装置において、好ましくは、第1スライド部材が連結され、第1スライド部材をスライド移動させるための第1エアシリンダと、第2スライド部材が連結され、第2スライド部材をスライド移動させるための第2エアシリンダとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフィルム巻取装置によれば、人手によらず巻取軸を巻取ロールから抜き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるフィルム巻取装置の概略構成を示した模式図である。
図2図1のフィルム巻取装置において巻取ロールが取り外される状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
−構成−
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態によるフィルム巻取装置100の構成について説明する。
【0015】
フィルム巻取装置100は、フィルム150を巻取軸3aおよび3bに直接巻き取るコアレス型のフィルム巻取装置である。なお、フィルム150は、たとえば、帯状に形成された樹脂製薄膜であり、分割前のフィルム(図示省略)がスリッター(図示省略)で分割された場合に幅方向の両端に発生する残余フィルム(耳部)である。
【0016】
このフィルム巻取装置100は、図1に示すように、フレーム1aおよび1bと、円筒部材2aおよび2bと、巻取軸3aおよび3bと、スライド部材4aおよび4bと、エアシリンダ5aおよび5bと、枠体6aおよび6bと、モータ7とを備えている。
【0017】
フレーム1aおよび1bは、フィルム150を挟んで対向するように配置されており、フレーム1aがフィルム150の幅方向の一方側(X1方向側)に配置され、フレーム1bがフィルム150の幅方向の他方側(X2方向側)に配置されている。このフレーム1aおよび1bは、移動しないように固定されている。なお、フレーム1aおよび1bは、それぞれ、本発明の「第1フレーム」および「第2フレーム」の一例である。
【0018】
円筒部材2aおよび2bは、円筒状に形成され、軸方向(X1およびX2方向)において対応する位置に配置されている。円筒部材2aは、フレーム1aに回転可能に設けられ、円筒部材2bは、フレーム1bに回転可能に設けられている。円筒部材2aの内周面には内歯21aが形成され、円筒部材2bの内周面には内歯21bが形成されている。また、円筒部材2aの外周部にはプーリ22aが組み付けられている。なお、円筒部材2aおよび2bは、それぞれ、本発明の「第1円筒部材」および「第2円筒部材」の一例である。
【0019】
巻取軸3aおよび3bは、同軸上に配置され、フィルム150を直接巻き取るように構成されている。巻取軸3aは、円筒部材2aの内部にスプライン嵌合され、巻取軸3bは、円筒部材2bの内部にスプライン嵌合されている。また、巻取軸3aおよび3bは、フィルム150を巻き取る外周面OPaおよびOPbの直径を拡縮可能に構成されている。なお、巻取軸3aおよび3bは、それぞれ、本発明の「第1巻取軸」および「第2巻取軸」の一例である。
【0020】
巻取軸3aは、回転軸31aと、リーフ32aと、圧縮コイルばね33aとを含んでいる。回転軸31aは、円筒部材2aに対して軸方向に移動可能であり、円筒部材2aと一体的に回転するように構成されている。リーフ32aは、回転軸31aの回転方向に間隔を隔てて複数設けられており、その複数のリーフ32aにより外周面OPaが構成されている。この外周面OPaは、先端側(X2方向側)の直径が基端側(X1方向側)の直径に比べて若干小さくなるようにテーパー状に形成されている。各リーフ32aは、円弧状の表面を有し、軸方向に延びるように形成されている。各リーフ32aの表面には、円筒部材2aの内歯21aとの干渉を回避するための溝部(図示省略)が形成されている。また、各リーフ32aは、アーム34aを介して回転軸31aに設けられ、回転軸31aに対して揺動可能に構成されている。このため、リーフ32aが回転軸31aに対して内側(X2方向側)に揺動された場合に外周面OPaの直径が小さくなり、リーフ32aが回転軸31aに対して外側(X1方向側)に揺動された場合に外周面OPaの直径が大きくなる。圧縮コイルばね33aは、リーフ32aを内側(X2方向側)に付勢するように構成されている。すなわち、圧縮コイルばね33aは、外周面OPaの直径が小さくなるように、リーフ32aを径方向の内側に付勢するように構成されている。また、回転軸31aのリーフ32aの外側(X1方向側)の外周面には、円筒部材2aの内歯21aとスプライン嵌合する外歯35aが形成されている。なお、回転軸31aは、本発明の「第1回転軸」の一例であり、リーフ32aは、本発明の「第1可動部材」の一例であり、圧縮コイルばね33aは、本発明の「第1付勢部材」の一例である。
【0021】
巻取軸3bは、回転軸31bと、リーフ32bと、圧縮コイルばね33bとを含んでいる。回転軸31bは、円筒部材2bに対して軸方向に移動可能であり、円筒部材2bと一体的に回転するように構成されている。リーフ32bは、回転軸31bの回転方向に間隔を隔てて複数設けられており、その複数のリーフ32bにより外周面OPbが構成されている。この外周面OPbは、先端側(X1方向側)の直径が基端側(X2方向側)の直径に比べて若干小さくなるようにテーパー状に形成されている。各リーフ32bは、円弧状の表面を有し、軸方向に延びるように形成されている。各リーフ32bの表面には、円筒部材2bの内歯21bとの干渉を回避するための溝部(図示省略)が形成されている。また、各リーフ32bは、アーム34bを介して回転軸31bに設けられ、回転軸31bに対して揺動可能に構成されている。このため、リーフ32bが回転軸31bに対して内側(X1方向側)に揺動された場合に外周面OPbの直径が小さくなり、リーフ32bが回転軸31bに対して外側(X2方向側)に揺動された場合に外周面OPbの直径が大きくなる。圧縮コイルばね33bは、リーフ32bを内側(X1方向側)に付勢するように構成されている。すなわち、圧縮コイルばね33bは、外周面OPbの直径が小さくなるように、リーフ32bを径方向の内側に付勢するように構成されている。また、回転軸31bのリーフ32bの外側(X2方向側)の外周面には、円筒部材2bの内歯21bとスプライン嵌合する外歯35bが形成されている。なお、回転軸31bは、本発明の「第2回転軸」の一例であり、リーフ32bは、本発明の「第2可動部材」の一例であり、圧縮コイルばね33bは、本発明の「第2付勢部材」の一例である。
【0022】
スライド部材4aおよびエアシリンダ5aは、巻取軸3aを軸方向に移動させるために設けられている。スライド部材4aは、フレーム1aの外側(X1方向側)に配置され、パイプ8に設けられたレール8aに沿って移動するように構成されている。レール8aは、巻取軸3aの軸方向に延びるように形成されている。スライド部材4aにはピン41aが設けられ、そのピン41aに巻取軸3aが回転可能に連結されている。エアシリンダ5aは、シリンダ本体51aと、そのシリンダ本体51aに対して進退可能なピストン52aとを含んでいる。シリンダ本体51aは固定され、ピストン52aにはスライド部材4aが連結されている。このため、ピストン52aが退避される場合(図1参照)には、スライド部材4aおよび巻取軸3aが内側(X2方向側)に移動され、ピストン52aが突出される場合(図2参照)には、スライド部材4aおよび巻取軸3aが外側(X1方向側)に移動される。なお、スライド部材4aは、本発明の「第1スライド部材」の一例であり、エアシリンダ5aは、本発明の「第1エアシリンダ」の一例である。
【0023】
スライド部材4bおよびエアシリンダ5bは、巻取軸3bを軸方向に移動させるために設けられている。スライド部材4bは、フレーム1bの外側(X2方向側)に配置され、パイプ8に設けられたレール8bに沿って移動するように構成されている。レール8bは、巻取軸3bの軸方向に延びるように形成されている。スライド部材4bにはピン41bが設けられ、そのピン41bに巻取軸3bが回転可能に連結されている。エアシリンダ5bは、シリンダ本体51bと、そのシリンダ本体51bに対して進退可能なピストン52bとを含んでいる。シリンダ本体51bは固定され、ピストン52bにはスライド部材4bが連結されている。このため、ピストン52bが退避される場合(図1参照)には、スライド部材4bおよび巻取軸3bが内側(X1方向側)に移動され、ピストン52bが突出される場合(図2参照)には、スライド部材4bおよび巻取軸3bが外側(X2方向側)に移動される。なお、スライド部材4bは、本発明の「第2スライド部材」の一例であり、エアシリンダ5bは、本発明の「第2エアシリンダ」の一例である。
【0024】
枠体6aおよび6bは、円板状に形成され、フィルム150の幅方向の端部を支持するために設けられている。この枠体6aおよび6bは、フィルム150を挟んで対向するように配置されている。枠体6aは、フレーム1aの近傍に配置され、フレーム1aに対して内側(X2方向側)に配置されている。枠体6aは、円筒部材2aの内側(X2方向側)の端部に設けられ、円筒部材2aと一体的に回転するように構成されている。枠体6bは、フレーム1bの近傍に配置され、フレーム1bに対して内側(X1方向側)に配置されている。枠体6bは、円筒部材2bの内側(X1方向側)の端部に設けられ、円筒部材2bと一体的に回転するように構成されている。なお、枠体6aおよび6bは、それぞれ、本発明の「第1枠体」および「第2枠体」の一例である。
【0025】
モータ7は、フィルム150を巻き取る巻取軸3aおよび3bを回転させるために設けられている。このモータ7は、フレーム1aに設けられ、出力軸にプーリ71が組み付けられている。モータ7のプーリ71および円筒部材2aのプーリ22aにはベルト(図示省略)が巻き掛けられており、モータ7の出力が円筒部材2aに伝達されるようになっている。
【0026】
このようなフィルム巻取装置100では、フィルム150の巻き取りが行われる場合に、エアシリンダ5aによりスライド部材4aが内側(X2方向側)に移動されるとともに、エアシリンダ5bによりスライド部材4bが内側(X1方向側)に移動されるように構成されている。このため、巻取軸3aおよび3bが内側(互いに近づく側)に移動されており、リーフ32aおよび32bが突き当てられている。これにより、リーフ32aおよび32bが外側に揺動して径方向の外側に配置され、外周面OPaおよびOPbの直径が最も大きい状態になる。
【0027】
このとき、アーム34aとリーフ32aとの連結部は、アーム34aと回転軸31aとの連結部に比べて若干内側(X2方向側)に配置されている。すなわち、アーム34aは、軸方向と直交する方向(径方向)に対して先端が内側(X2方向側)に若干傾斜されている。また、アーム34bとリーフ32bとの連結部は、アーム34bと回転軸31bとの連結部に比べて若干内側(X1方向側)に配置されている。すなわち、アーム34bは、軸方向と直交する方向(径方向)に対して先端が内側(X1方向側)に若干傾斜されている。これにより、巻取軸3aおよび3bでのフィルム150の巻き取りに起因して、そのフィルム150によって巻取軸3aおよび3bが締め付けられる締付力が発生する場合に、その締付力の一部が回転軸31aおよび31bを外側に移動させる成分として作用するようになっている。
【0028】
また、フィルム巻取装置100では、フィルム150の巻き取りによって形成される巻取ロール151が取り外される場合に、図2に示すように、エアシリンダ5aによりスライド部材4aが外側(X1方向側)に移動されるとともに、エアシリンダ5bによりスライド部材4bが外側(X2方向側)に移動されるように構成されている。このため、巻取軸3aおよび3bが外側(互いに離れる側)に移動され、リーフ32aおよび32bの突き当たりが解消される。これにより、リーフ32aおよび32bが内側に揺動して径方向の内側に移動され、外周面OPaおよびOPbの直径が最も小さくなり、巻取軸3aおよび3bに対する巻取ロール151の巻き付きが解消され、巻取軸3aおよび3bが巻取ロール151から抜き出される。
【0029】
−動作−
次に、図1および図2を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の動作について説明する。
【0030】
まず、フィルム150の巻き取りが開始されるときには、図1に示すように、エアシリンダ5aのピストン52aが内側(X2方向側)に移動されるとともに、エアシリンダ5bのピストン52bが内側(X1方向側)に移動されている。このため、スライド部材4aおよび巻取軸3aが内側(X2方向側)に配置されるとともに、スライド部材4bおよび巻取軸3bが内側(X1方向側)に配置されており、巻取軸3aおよび3bの先端同士が突き合わされている。すなわち、リーフ32aの内側(X2方向側)の端部と、リーフ32bの内側(X1方向側)の端部とが突き当てられている。これにより、圧縮コイルばね33aの付勢力に抗してリーフ32aが回転軸31aに対して外側(X1方向側)に揺動され、リーフ32aが径方向の外側に配置されるとともに、圧縮コイルばね33bの付勢力に抗してリーフ32bが回転軸31bに対して外側(X2方向側)に揺動され、リーフ32bが径方向の外側に配置されている。したがって、外周面OPaおよびOPbの直径が最も大きい状態になる。
【0031】
そして、フィルム150の巻き取りが開始されると、巻取軸3aおよび3bにフィルム150が供給される。巻取軸3aおよび3bはモータ7によって回転され、その回転する巻取軸3aおよび3bにフィルム150が巻き取られる。具体的には、モータ7の出力は円筒部材2aのプーリ22aに伝達され、円筒部材2aとともに巻取軸3aおよび枠体6aが一体的に回転される。そして、巻取軸3aの回転が巻取軸3bに伝達され、巻取軸3bとともに円筒部材2bおよび枠体6bが一体的に回転される。
【0032】
この巻取軸3aおよび3bに巻き取られるフィルム150は、枠体6aおよび6bの間に配置されている。このため、巻取ロール151の一方端部(X1方向側の端部)が枠体6aにより支持され、巻取ロール151の他方端部(X2方向側の端部)が枠体6bにより支持されることから、巻取ロール151が幅方向にずれるのを抑制することが可能である。
【0033】
ここで、巻取軸3aおよび3bでのフィルム150の巻き取りに起因して締付力が発生し、その締付力による回転軸31aを外側(X1方向側)に移動させようとする力が、エアシリンダ5aによるスライド部材4aを内側(X2方向側)に移動させようとする力を上回ると、回転軸31aが外側(X1方向側)に移動し、回転軸31aに対してリーフ32aが内側(X2方向側)に揺動されるため、巻取軸3aの外周面OPaの直径が小さくなる。また、締付力による回転軸31bを外側(X2方向側)に移動させようとする力が、エアシリンダ5bによるスライド部材4bを内側(X1方向側)に移動させようとする力を上回ると、回転軸31bが外側(X2方向側)に移動し、回転軸31bに対してリーフ32bが内側(X1方向側)に揺動されるため、巻取軸3bの外周面OPbの直径が小さくなる。これにより、締付力を逃がすことが可能である。そして、巻取軸3aおよび3bの周囲のフィルム150が硬くなると、締付力が巻取軸3aおよび3bに作用しなくなる。
【0034】
その後、巻取軸3aおよび3bによるフィルム150の巻き取りが完了され、巻取ロール151が取り外される場合には、まず、巻取軸3aおよび3bの回転が停止される。そして、図2に示すように、エアシリンダ5aのピストン52aが外側(X1方向側)に移動されるとともに、エアシリンダ5bのピストン52bが外側(X2方向側)に移動される。このため、スライド部材4aおよび巻取軸3aが外側(X1方向側)に移動されるとともに、スライド部材4bおよび巻取軸3bが外側(X2方向側)に移動され、リーフ32aおよび32bの突き当たりが解消される。これにより、圧縮コイルばね33aの付勢力によりリーフ32aが回転軸31aに対して内側(X2方向側)に揺動され、リーフ32aが径方向の内側に移動されるとともに、圧縮コイルばね33bの付勢力によりリーフ32bが回転軸31bに対して内側(X1方向側)に揺動され、リーフ32bが径方向の内側に移動される。したがって、外周面OPaおよびOPbの直径が最も小さい状態になり、巻取軸3aおよび3bに対する巻取ロール151の巻き付きが解消され、巻取軸3aおよび3bが巻取ロール151から抜き出される。そして、巻取軸3aが枠体6aの外側(X1方向側)に配置され、巻取軸3bが枠体6bの外側(X2方向側)に配置される。
【0035】
−効果−
本実施形態では、上記のように、巻取軸3aがスプライン嵌合される円筒部材2aに枠体6aを設けるとともに、巻取軸3bがスプライン嵌合される円筒部材2bに枠体6bを設けることによって、枠体6aおよび6bが軸方向(X1およびX2方向)に移動しないので、その枠体6aおよび6bにより巻取ロール151の軸方向への移動を規制することができる。これにより、巻取ロール151が取り外される場合に、巻取軸3aおよび3bが軸方向の外側に移動される際に、その巻取軸3aおよび3bに連れて巻取ロール151が移動しないようにすることができるので、巻取軸3aおよび3bを巻取ロール151から抜き出すことができる。すなわち、枠体6aにより巻取ロール151のX1方向側への移動を規制しながら、巻取軸3aをX1方向側に移動させて巻取ロール151から抜き出すとともに、枠体6bにより巻取ロール151のX2方向側への移動を規制しながら、巻取軸3bをX2方向側に移動させて巻取ロール151から抜き出すことができる。その結果、人手によらず巻取軸3aおよび3bを巻取ロール151から抜き出すことができる。
【0036】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0037】
たとえば、本実施形態では、巻取軸3aの外周面OPaは、先端側(X2方向側)の直径が基端側(X1方向側)の直径に比べて若干小さくなるようにテーパー状に形成される例を示したが、これに限らず、巻取軸の外周面の直径が先端側と基端側とで同じであってもよい。なお、巻取軸3bについても同様である。
【0038】
また、本実施形態では、円筒部材2aの内歯21aとの干渉を回避するための溝部(図示省略)がリーフ32aの表面に形成される例を示したが、これに限らず、スプライン嵌合部の直径をリーフの直径よりも大きくすれば、内歯との干渉を回避するための溝部がリーフの表面に形成されていなくてもよい。なお、リーフ32bについても同様である。
【符号の説明】
【0039】
1a フレーム(第1フレーム)
1b フレーム(第2フレーム)
2a 円筒部材(第1円筒部材)
2b 円筒部材(第2円筒部材)
3a 巻取軸(第1巻取軸)
3b 巻取軸(第2巻取軸)
4a スライド部材(第1スライド部材)
4b スライド部材(第2スライド部材)
5a エアシリンダ(第1エアシリンダ)
5b エアシリンダ(第2エアシリンダ)
6a 枠体(第1枠体)
6b 枠体(第2枠体)
31a 回転軸(第1回転軸)
31b 回転軸(第2回転軸)
32a リーフ(第1可動部材)
32b リーフ(第2可動部材)
33a 圧縮コイルばね(第1付勢部材)
33b 圧縮コイルばね(第2付勢部材)
100 フィルム巻取装置
150 フィルム
151 巻取ロール
【要約】
【課題】人手によらず巻取軸を巻取ロールから抜き出すことが可能なフィルム巻取装置を提供する。
【解決手段】フィルム巻取装置100は、フレーム1a,1bと、フレーム1a,1bに回転可能に設けられた円筒部材2a,2bと、円筒部材2a,2bの内部にスプライン嵌合された巻取軸3a,3bと、巻取軸3a,3bが回転可能に連結されるスライド部材4a,4bと、円筒部材2a,2bに設けられた枠体6a,6bとを備える。巻取軸3a,3bは、回転軸31a,31bと、外周面OPa,OPbを構成する複数のリーフ32a,32bとを含む。フィルム巻取装置100は、巻取ロール151が取り外される場合に、巻取軸3a,3bが軸方向の外側に移動され、リーフ32a,32bの突き当たりが解消されることにより、リーフ32a,32bが径方向の内側に移動され、巻取軸3a,3bが巻取ロール151から抜き出される。
【選択図】図2
図1
図2