特許第6378431号(P6378431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッドの特許一覧
特許6378431計時器用セッティングステムの位置を判断する位置センサー及び方法
<>
  • 特許6378431-計時器用セッティングステムの位置を判断する位置センサー及び方法 図000002
  • 特許6378431-計時器用セッティングステムの位置を判断する位置センサー及び方法 図000003
  • 特許6378431-計時器用セッティングステムの位置を判断する位置センサー及び方法 図000004
  • 特許6378431-計時器用セッティングステムの位置を判断する位置センサー及び方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378431
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】計時器用セッティングステムの位置を判断する位置センサー及び方法
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/00 20100101AFI20180813BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   G04G21/00 304L
   G04G21/00 304G
   G01B7/30 H
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-518195(P2017-518195)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2017-531800(P2017-531800A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】EP2015071683
(87)【国際公開番号】WO2016062479
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2017年4月4日
(31)【優先権主張番号】14189482.4
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フェッリ,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】フーヴァー,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ボルン,ジャン−ジャック
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−300262(JP,A)
【文献】 特開2010−287325(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0309756(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0112275(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0181059(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 21/00
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器の回転可能要素(3)の軸方向及び/又は角度的な位置を判断する位置センサーであって、
永久磁石(2)、磁場センサー(5)及び評価手段を有し、
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)の回転軸(4)のまわりを前記回転可能要素(3)とともに回転するように構成しており、
前記磁場センサー(5)は、前記計時器に対して固定されており、少なくとも第1の軸及びこの第1の軸と平行でない第2の軸に沿って入射する磁場(7)の大きさ及び方向を測定、かつ、前記回転可能要素(3)の回転にともなった前記永久磁石(2)の回転による当該永久磁石(2)の磁場(7)の回転に起因する前記磁場(7)の大きさ及び方向の変化を検出するように構成しており、
前記評価手段は、測定された前記磁場の大きさ及び方向から角度方向を評価する手段であり、さらに、
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)が軸方向に運動しているときに、前記回転可能要素(3)とともに軸方向に運動するように構成し、かつ、
前記磁場センサー(5)は、前記磁場センサー(5)が前記回転可能要素(3)の軸方向の運動を検出するように構成している第1の検知モードと、及び前記磁場センサー(5)が前記回転可能要素(3)の回転を検出するように構成している第2の検知モードとで動作す
ことを特徴とする位置センサー。
【請求項2】
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)の軸方向の遠位の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置センサー。
【請求項3】
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)の周領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の位置センサー。
【請求項4】
前記磁場センサー(5)は、少なくとも3つの互いに平行ではない測定軸を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位置センサー。
【請求項5】
第1の基準系(9、10)から第2の基準系(9'、10')へのマッピング変換を行う変換ユニットを有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位置センサー。
【請求項6】
前記第2の基準系(9'、10')は、二次元の環状の痕跡パス(9')を表す
ことを特徴とする請求項5に記載の位置センサー。
【請求項7】
前記第1の基準系は、三次元の楕円状の痕跡パス(9)を表す
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の位置センサー。
【請求項8】
前記回転可能要素(3)には、少なくとも第1及び第2の所定の軸方向の位置(8)があり、
前記第1の所定の軸方向の位置にある前記回転可能要素(3)の回転は、第1の計時器機能に関連づけられており、
前記第2の所定の軸方向の位置にある前記回転可能要素(3)の回転は、第2の計時器機能に関連づけられているか又は計時器機能に関連づけられていない
ことを特徴とする請求項に記載の位置センサー。
【請求項9】
前記磁場センサー(5)は、当該位置センサーが第1の検知モードであるときには第1の分解能及び/又は第1のサンプリングレートで検知を行い、当該位置センサーが第2の検知モードであるときには第2の分解能及び/又は第2のサンプリングレートで検知を行うように構成しており、
前記第1の分解能は前記第2の分解能よりも低く、かつ/又は、前記第1のサンプリングレートは前記第2のサンプリングレートよりも低い
ことを特徴とする請求項に記載の位置センサー。
【請求項10】
前記永久磁石(2)の磁場(7)から計時器の部品を遮蔽するために、当該位置センサーの外側部分に配置されるシールド(11)を有する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の位置センサー。
【請求項11】
計時器の回転可能要素(3)の位置を判断する方法であって、
前記回転可能要素(3)の回転軸(4)のまわりを前記回転可能要素(3)とともに回転させるように永久磁石(2)を配置するステップと、
少なくとも第1の軸及びこの第1の軸と平行でない第2の軸に沿って入射する磁場(7)の大きさ及び方向を測定、かつ、前記回転可能要素(3)の回転にともなった前記永久磁石(2)の回転による当該永久磁石(2)の磁場(7)の回転に起因する前記磁場(7)の大きさ及び方向の変化を検出するように磁場センサー(5)を用いるステップと
測定された前記磁場の大きさ及び方向から角度方向を評価するステップと
を有し、さらに、
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)が軸方向に運動しているときに、前記回転可能要素(3)とともに軸方向に運動するように構成し、かつ、
前記磁場センサー(5)は、前記磁場センサー(5)が前記回転可能要素(3)の軸方向の運動を検出するように構成している第1の検知モードと、及び前記磁場センサー(5)が前記回転可能要素(3)の回転を検出するように構成している第2の検知モードとで動作することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)の軸方向の遠位の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記永久磁石(2)は、前記回転可能要素(3)の周領域に配置されている
ことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記磁場センサー(5)は、少なくとも3つの互いに平行ではない測定軸を有する
ことを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第1の基準系(9、10)から第2の基準系(9'、10')へのマッピング変換を行うステップを有する
ことを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第2の基準系(9'、10')は、二次元の環状の痕跡パス(9')を表す
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の基準系は、三次元の楕円状の痕跡パス(9)を表す
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記回転可能要素(3)には、少なくとも第1及び第2の所定の軸方向の位置(8)があり、
前記第1の所定の軸方向の位置にある前記回転可能要素(3)の回転は、第1の計時器機能に関連づけられており、
前記第2の所定の軸方向の位置にある前記回転可能要素(3)の回転は、第2の計時器機能に関連づけられているか又は計時器機能に関連づけられていない
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記磁場センサー(5)は、当該位置センサーが第1の検知モードであるときには第1の分解能及び/又は第1のサンプリングレートで検知を行い、当該位置センサーが第2の検知モードであるときには第2の分解能及び/又は第2のサンプリングレートで検知を行うように構成しており、
前記第1の分解能は前記第2の分解能よりも低く、かつ/又は、前記第1のサンプリングレートは前記第2のサンプリングレートよりも低い
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記回転可能要素(3)は、計時器のセッティングステムに組み立てられ又は計時器のセッティングステムと一体化されるように組み立てられる
ことを特徴とする請求項11から19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器の回転可能なシャフトの位置及び/又は運動を検知する分野に関する。より詳細には、本発明は、計時器用セッティングステムの運動及び/又は位置を検知するために適した非接触のセンサー構成及び方法に関する。
【0002】
電気機械式の計時器のような機械的な可動部品と電子制御回路が組み合わさっているデバイスにおいて、回転する機械的部品の位置及び/又は運動を検知するために正確なセンサーの必要性がある。回転可能なセッティングステムを有する腕時計などにおいては、正確であり応答性が良いセンサーが必要とされている。これによって、例えば、セッティングステムの瞬間的な角度位置及び/又は回転を検出して、腕時計の着用者の好みを、腕時計の電子制御系によって用いることができる電子情報に、迅速に正確に変換することができるようにする。特に、着用可能な計時器の分野において、このようなセンサーの電力消費を最小限にしつつ、精度及び速度を最大限にすることは重要である。また、腕時計のセッティングステムのような部品が小さいということは、回転/運動センサーが、小さな物体の小さな運動、例えば、0.1mmの数倍の小さい直径を有するステムの回転、を検出することができなければならないことを意味している。これらのセンサー部品自身、小さくなければならない。空間が制限されているからである。このようなセンサーは、好ましくは、磨耗を減らすために接触しない方がよく、これによって、計時器の耐用年数を伸ばすことができる。センサー部品は、製造が容易である必要がある。
【背景技術】
【0003】
米国特許US6252825において、接触していないセンサーが提案されている。これは、計時器のセッティングステムの位置及び/又は運動を検出するセンサーを用いることについて記載している。このセッティングステムには、2つのステーター電極の間の容量を調整するような形を有するローター電極が設けられている。この米国特許US6252825に記載されている構成には、特別な形を有するステム及び容量性電極を精密に製造することが必要である。これらは貴重な空間を占め、付加的な製造ステップを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、計時器の回転可能要素の軸方向の位置及び/又は角位置を判断する位置センサー及び方法を提供することを目的とする。これにおいては、前記永久磁石は、前記回転可能要素の回転軸のまわりを回転可能要素とともに回転するように構成しており、前記計時器に対して固定されている磁場センサーは、前記回転可能要素が回転するにしたがって、前記永久磁石の磁力線の回転に起因する磁場強度の変化を少なくとも第1の軸及び前記第1の軸と平行ではない第2の軸に沿って検出するように構成している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記永久磁石は、前記回転可能要素の軸方向の遠位の領域に配置される。
【0006】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記永久磁石は、前記回転可能要素の周領域に配置される。
【0007】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記磁場センサーは、少なくとも3つの互いに平行ではない測定軸を有する。
【0008】
本発明の位置センサーの別の変形例によると、前記位置センサーは、第1の基準系から第2の基準系へのマッピング変換を行う変換ユニットを有する。
【0009】
本発明の方法の別の変形例によると、当該方法は、第1の基準系から第2の基準系へのマッピング変換を行うステップを有する。
【0010】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記第2の基準系は、二次元の環状の痕跡パスを表す。
【0011】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記第1の基準系は、三次元の楕円状の痕跡パスを表す。
【0012】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記永久磁石は、回転可能要素が軸方向に運動しているときに、回転可能要素とともに軸方向に運動するように構成している。
【0013】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記回転可能要素には、少なくとも第1及び第2の所定の軸方向の位置があり、第1の所定の軸方向の位置にある回転可能要素の回転は、第1の計時器機能に関連づけられており、第2の所定の軸方向の位置にある回転可能要素の回転は、第2の計時器機能に関連づけられているか又は計時器機能に関連づけられていない。
【0014】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記磁気センサーは、当該磁気センサーが回転可能要素の軸方向の運動を検出するように構成している第1の検知モードと、及び当該磁気センサーが回転可能要素の回転を検出するように構成している第2のモードとで動作する。
【0015】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記磁気センサーは、当該位置センサーが第1の検知モードであるときには第1の分解能及び/又は第1のサンプリングレートで検知を行い、当該位置センサーが第2の検知モードであるときには第2の分解能及び/又は第2のサンプリングレートで検知を行うように構成しており、前記第1の分解能は前記第2の分解能よりも低く、かつ/又は、前記第1のサンプリングレートは前記第2のサンプリングレートよりも低い。
【0016】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、当該位置センサーは、前記永久磁石の磁場から計時器の部品を遮蔽するシールドを有する。
【0017】
本発明の位置センサー又は方法の別の変形例によると、前記回転可能要素は、計時器のセッティングステムを有する。
【0018】
提案している新規な手法によって、磨耗を減らし、パワー消費を減らし、角位置をより精密により正確に測定することができ、計時器のセッティングを高分解能にし、ユーザーが行うセッティング変更に対する応答を速くし、製造を単純にし、小さな寸法の規模の小さな空間しか必要ではない。また、角度の検出に加えて、軸方向の位置検出を提供することを可能にする。これによって、この目的のために専用の他のセンサーの必要性ががなくなり、腕時計ケース内に搭載されるさらなる要素又はモジュールのために付加的な利用可能な空間を確保することができる。
【0019】
添付図面を参照しながら説明される例示的な実施形態(これに制限されない)についての以下の説明から、本発明の他の特徴及び利点が明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るセッティングステム及びセンサーの例の概略等角図を示している。
図2図1のセッティングステムの回転に起因する三次元の磁気回転痕跡パスの単純化された例を示している。
図3図2の磁気回転痕跡パスを二次元に変換したものである。
図4図1のセンサーのためのシールド構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。別の図に示されている同一又は対応する機能的及び構造的な要素には、同じ参照符号が割り当てられている。図面は、寸法を測るために用いるべきではなく、相対的又は絶対的な寸法を与えるように意図されたものではない。
【0022】
図1は、回転可能要素3の例を示している。これは、好ましくは、セッティングステムにマウントされる。このセッティングステムは、計時器内で用いられるものであることができる。回転可能要素3には回転軸4がある。以下に説明する好ましい実施形態において、本発明の位置センサーのアプリケーションの例として、回転可能要素がセッティングステムの一部のみによって構成しているような腕時計のセッティングステムを用いる。セッティングステムは、竜頭ステムとしても知られている。したがって、この例の回転可能要素3は、小さな部品であり、例えば、直径が0.5mmや1mmである。図1は、このようなセッティングステムの遠位端部分のみを示している。回転可能要素3には、その遠位端(すなわち、竜頭を端とするセッティングステムの場合には竜頭の反対側のセッティングステムの端)に取り付けられた磁石2が設けられている。磁石は、回転可能要素3と同じ直径の幅広の円筒として示されている。なぜなら、この構成が最小の付加的な空間しか占めないからである。しかし、実際上は、磁石はいずれの実際的な形を有することができる。図1において、磁石2の極性は、磁石2の磁力線70を表す破線によって示されている。磁石2は、好ましくは、永久磁石によって構成しており、これは、例えば、強磁性、フェリ磁性又は他の磁性物質によって構成しており、代わりに、磁化されている又は磁化することができる鉄金属のような磁化可能な材料によって構成することもできる。
【0023】
磁力線70は、磁場センサー5に作用する。この磁場センサー5は、例えば、入射する磁場7を2つ又は3つの測定軸に沿って測定する2軸又は3軸のセンサーである。磁気センサー5は、例えば、小型の表面実装部品(SMD)であり、これは、プリント回路ボード(PCB)に嵌められSMD接続6を介してPCBに接続される。磁力線7の大きさ及び方向は、一連の大きさ/方向のデータ点を有効に含む痕跡パスと呼ばれる完全な1回転の形を回転可能要素3が回転するにしたがって、磁気センサー5によって検出される。痕跡パス上のデータ点のそれぞれ(すなわち、測定された瞬間的な大きさ/方向のデータのそれぞれ)は、回転可能要素3の固有な角度方向に対応する。したがって、下で議論するように、センサーには、測定された磁場の大きさ及び方向から回転可能要素3の角度方向を評価する手段を設けることができる。この評価は、例えば、ルックアップテーブルを参照することによって、又は計算を行うことによって行われる。
【0024】
腕時計のような計時器のセッティングステムは、通常、複数の軸方向の位置の間で運動することができる。これらの位置には、例えば、ステムの設定機能が無効になっているホーム位置と、計時器によってディスプレーされる時刻をセットするためにステムの回転を用いる時刻設定位置と、及び計時器によってディスプレーされる日付を設定するためにステムの回転を用いる日付設定位置とが含まれる。図1において、これらの軸方向の位置を参照符号8によって模式的に示してある。また、回転可能要素3も、このような手法で、離散的な軸方向の位置の間を軸方向に運動することができる場合、上で言及した痕跡パスは、回転可能要素3の角度方向を評価するためだけではなく、軸方向の位置8を評価するためにも用いられることができる。これは、特に、磁場7がある離散的な軸方向の位置から別の軸方向の位置まで通過するときに磁場7の大きさが変化するおかげである。各軸方向の位置の間の空間が大きく設けられるほど、大きさの値の間の飛びを良好に検出することができる。
【0025】
電力消費を減らすために、位置センサーは、回転可能要素3が軸方向のホーム位置(すなわち、設定機能が無効となっている位置)にある場合に磁気センサー5の出力が、希に及び/又は粗い分解能で、サンプリングされるように構成することができる。なぜなら、この状態において唯一必要なことは、回転可能要素3が軸方向のホーム位置ではない軸方向の位置8に運動したことを検出することであるからである。このような希なサンプリングは、例えば、1秒当たり1回行われる。そして、粗い及び/又は希なサンプリングによって、回転可能要素3が他の軸方向の位置8又は他の軸方向の位置8のうちの1つにあることを検出すると、磁気センサー出力のサンプリングが、設定機能が有効になっている間に、より高いレート及び/又はより高い解像度で行われる。このようにして、位置センサーは、サンプリングレート及び/又はセンサー分解能が比較的低いような軸方向の検出モード、又はサンプリングレート及び/又はセンサー分解能がより高いような回転検出モードで動作することができる。
【0026】
例えば、図4に示すように、磁石2及び/又は磁気センサー5を、磁気シールド11によって完全に又は部分的に囲むことができる。このようなシールド11は、外部磁気源又は計時器の他の要素からの漂遊磁場から磁気センサー5を保護することによって、位置センサーの精度を改善させることに貢献しうる。このようなシールド11は、さらに、磁石2の近くにあることに起因して磁化されることから計時器の他の部品を保護するためにも貢献しうる。
【0027】
位置センサーは、磁気センサー2によって検出された磁場パラメーターと回転可能要素3の回転及び/又は軸方向の位置の間のマッピング又は変換の操作を行う変換ユニット(図1に示さず)を有することができる。代わりに、マッピング/変換の機能を、計時器の中央処理装置(CPU)のような別のデバイスによって行うことができる。図2は、磁石2及び回転可能要素3の回転に対応する三次元の痕跡パス(例、3軸磁気センサー2からのデータ点のセット)の単純化されたグラフ表現を示している。図3は、図2の3D痕跡パスが、二次元の痕跡パス上へマッピングされたときにどのようになるかを示している。この場合、マッピング/変換は、発生する2D痕跡パスが環状であるように行われる。このことには、さらなる計算を行わずに、回転可能要素の角位置を2Dデータから直接評価することができるという利点がある。例えば、3D痕跡パス9上の点10が、2D痕跡パス9'上の点10'にマッピングされる場合、角位置を、単に、X軸と点10'が形成する角θによって得ることができる。
【0028】
変換ユニットは、磁気センサー出力データ(例、3D痕跡パス10)を(好ましくは、環状の)2D痕跡パスにマッピングするために、数学的な変換操作(例、行列変換)を行うことができる。図2及び3に示した好ましい実施形態によると、このマッピングは、回転軸4に垂直な平面上への図2の3D座標の射影に対応する。代わりに、マッピング関数をルックアップテーブルのような対応テーブルにて定めることができる。前者の手法の方が変換が正確であり、後者がより高速でありパワーを必要としないということでありうる。これらは単に例であって、他のマッピング又は変換法も可能である。
【0029】
特定の例示的な実施形態を参照しながら本発明について説明したが、他の多くの構成要素の構成も可能であることがわかるであろう。例えば、図1に示す磁石2は、回転可能要素3の端に位置しているが、代わりに、回転可能要素3の周部面の内部又はその上に位置することもできる。この場合、磁力線は、異なるタイプの痕跡パスを発生させ、元の痕跡パス9を変換された(好ましくは、環状の)痕跡パス9'上にマッピングさせるために、異なるタイプの変換操作を必要とする。同様に、磁気センサー5を、回転可能要素2に対して、複数の異なる位置のうちの1つにマウントすることができる。また、複数の磁気センサー5及び/又は複数の磁石2を用いることもできる。また、図示した好ましい実施形態によると、永久磁石2が、好ましくは、回転可能要素3に関連づけられ、したがって、磁場センサー5が、好ましくは、計時器に対して固定されるように構成しているにもかかわらず、永久磁石2と磁気センサー5の間の相対的な回転及び/又は軸方向の運動が、磁場7の強度の変化を検出するように行われることのみが必要であることがわかる。したがって、代替実施形態によると、磁石2とセンサー5を入れ換えて、計時器の固定要素上と回転可能要素3上にそれぞれ配置することができる。
【0030】
また、本発明が絶対的な角位置のセンサー及び位置検出方法を提供するために、位置変化のインクリメンタルな検出も行うことができることがわかる。これは、単に、例えば、検出される連続する角度及び/又は軸方向の位置の間の差を計算することによって行う。
図1
図2
図3
図4