特許第6378466号(P6378466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6378466
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】ゴム混合物および車両タイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20180813BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20180813BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20180813BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08L91/06
   C08K3/04
   B60C1/00 B
   B60C1/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-504869(P2018-504869)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】EP2016068624
(87)【国際公開番号】WO2017025421
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年2月14日
(31)【優先権主張番号】102015215152.2
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンティネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツェンダール・コリンナ
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−214002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 9/00
B60C 1/00
C08K 3/04
C08L 91/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の構成成分:
− 少なくとも1種のゴムと、
− 少なくとも1種の強化充填材と、
− 0.5〜10phrの少なくとも1種の炭化水素ワックス組成物と
を含むゴム混合物であって、
前記ワックス組成物中の炭化水素が15〜110個の炭素原子を有し、
a)前記炭化水素の25%〜40%が、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;
b)前記炭化水素の5%〜18%が、31〜38個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;
c)前記炭化水素の25%〜40%が、39〜60個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;
d)前記炭化水素の5%〜15%が、21〜31個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり;
e)前記炭化水素の5%未満が、32〜39個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり;
f)前記炭化水素の5%〜15%が、40〜61個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり;
それぞれの場合の前記百分率が、15〜110個の炭素原子を有する炭化水素の総数を基準とする、ゴム混合物。
【請求項2】
合成ポリイソプレンおよび天然ポリイソプレン(NR)ならびにスチレン−ブタジエンゴム(SBR)およびポリブタジエン(BR)からなる群から選択される少なくとも1種のジエンゴムを含むことを特徴とする、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項3】
強化充填材として少なくとも1種のカーボンブラックを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のゴム混合物。
【請求項4】
25〜55phrの少なくとも1種のカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項3に記載のゴム混合物。
【請求項5】
60〜85phrの少なくとも1種のカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項3に記載のゴム混合物。
【請求項6】
前記炭化水素の26%〜37%が、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項7】
前記炭化水素の26%〜37%が、39〜60個の炭素原子を有する線状炭化水素であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項8】
前記炭化水素ワックス組成物中の前記炭化水素の10%〜30%が分岐炭化水素であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の少なくとも1種のゴム混合物の少なくとも1種の加硫物を少なくとも1つの外側構成要素に含むことを特徴とする、自動車タイヤ。
【請求項10】
前記構成要素が少なくとも側壁および/またはフランジプロフィールであることを特徴とする、請求項9に記載の自動車タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混合物におよび自動車タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車タイヤは、存在するゴムおよび他の構成成分の老化および酸化を明らかに遅くし、したがってタイヤの比較的長い寿命にわたって耐久性にプラスの影響を及ぼす構成成分を含むことが知られている。
【0003】
しかし、さらに、自動車タイヤの外側構成要素中に存在する老化安定剤とオゾン劣化防止ワックスとが表面に移行し、そこに目に見えるフィルムを形成し得ることも知られている。これは滲出と呼ばれ、自動車タイヤの外観に悪影響を及ぼす。
【0004】
欧州特許出願公開第0867472 A1号明細書は、45個以上の炭素原子を有する成分を3重量%〜10重量%の量で含むワックスを含む、自動車タイヤの側壁用のゴム混合物を開示している。
【0005】
欧州特許第1876037 B1号明細書はまた、自動車タイヤの側壁用のパラフィンワックスを含むゴム混合物を開示している。
【0006】
欧州特許第0490533 B1号明細書は、天然ゴムと、ポリプロピレンと、パラフィンワックス混合物とを含むゴム混合物であって、31〜44個の炭素原子を有する炭化水素の含有量がそれぞれの場合に2重量パーセント以上である、ゴム混合物を開示している。
【0007】
引用された文献の共通因子は、ゴム混合物の組成物が外観および/または耐クラック性を改善すると考えられていることである。
【0008】
特開昭63−145346号公報は、C24〜C29およびC32〜C38において分布の2つの極大値を有するオゾン劣化防止ワックスを含むゴム混合物を開示している。これは、オゾンストレス下でより良好な耐クラック性を達成すると言われている。外観についての言及はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術を背景として、したがって、本発明の目的は、滲出特性に関してさらなる改善を示し、かつオゾン安定性および老化安定性、ならびにまた引張強度、および/または硬度、および/または摩擦特性、および/または反発弾性などの他の物理的特性の低下がないかまたはさらにそれらが改善される、自動車タイヤの外側構成要素用のゴム混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、ゴム混合物が以下の構成成分:
− 少なくとも1種のゴムと、
− 少なくとも1種の強化充填材と、
− 0.5〜10phrの少なくとも1種の炭化水素ワックス組成物と
を含み、ワックス組成物中の炭化水素が15〜110個の炭素原子を有し、
a)炭化水素の25%〜40%が、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;
b)炭化水素の5%〜18%が、31〜38個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;
c)炭化水素の25%〜40%が、39〜60個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;
d)炭化水素の5%〜15%が、21〜31個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり;
e)炭化水素の5%未満が、32〜39個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり;
f)炭化水素の5%〜15%が、40〜61個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり;
それぞれの場合の百分率が、15〜110個の炭素原子を有する炭化水素の総数を基準とする、本発明に従って達成される。
【0011】
意外にも、本ゴム混合物は、先行技術よりも改善された滲出特性を示し、それは、適切な期間後のゴム混合物の外観の改善で明示される。同時に、オゾン安定性は良好なレベルのままである。
【0012】
炭化水素ワックス組成物は、ここで、オゾン劣化防止ワックスとして役立ち、下に詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いられる単位「phr」(百重量部のゴム当たりの重量部)は、ゴム業界におけるブレンドレシピ用の量の標準単位である。ここで、個々の物質の重量部の用量は、常に、混合物中に存在する全ゴムの総質量の100重量部に基づいている。
【0014】
本発明のゴム混合物は、少なくとも1種のゴムを含む。
【0015】
それは、2種以上のゴムの混合物であってもよい。
【0016】
少なくとも1種のゴムは、好ましくは、天然ポリイソプレン、および/または合成ポリイソプレン、および/またはブタジエンゴム、および/または溶液重合スチレン−ブタジエンゴム、および/または乳化重合スチレン−ブタジエンゴム、および/または20,000g/モル超の分子量Mwを有する液体ゴム、および/またはハロブチルゴム、および/またはポリノルボルネン、および/またはイソプレン−イソブチレンコポリマー、および/またはエチレン−プロピレン−ジエンゴム、および/またはニトリルゴム、および/またはクロロプレンゴム、および/またはアクリレートゴム、および/またはフルオロゴム、および/またはシリコーンゴム、および/またはポリスルフィドゴム、および/またはエピクロロヒドリンゴム、および/またはスチレン−イソプレン−ブタジエンターポリマー、および/または水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、および/またはイソプレン−ブタジエンコポリマー、および/または水素化スチレン−ブタジエンゴムからなる群から選択される。
【0017】
特にニトリルゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエゴムは、コード、ベルトおよびホースなどの工業ゴム物品の製造に使用されている。
【0018】
少なくとも1種のゴムは、好ましくは、合成ポリイソプレン(IR)および天然ポリイソプレン(NR)ならびにスチレン−ブタジエンゴム(SBR)およびポリブタジエン(BR)からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種のジエンゴムである。
【0019】
本発明のゴム混合物は、好ましい実施形態では、15〜65phrの少なくとも1種の天然ポリイソプレンおよび/または15〜65phrの少なくとも1種の合成ポリイソプレンを含有する。
【0020】
好ましくは、天然および/または合成ポリイソプレンのこの実施形態での量は、20〜60phr、より好ましくは31〜52phrである。
【0021】
これは、天然および合成ポリイソプレンの組み合わせも考えられることを意味する。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態では、ゴム混合物は、40〜52phrの少なくとも1種の天然および/または合成ポリイソプレンを含有する。これは、天然および合成ポリイソプレンの組み合わせも考えられることを意味する。しかし、この実施形態は、好ましくは、天然イソプレンを含む。この種のゴム混合物は、とりわけ自動車タイヤの側壁において、とりわけ老化後に特に良好な滲出特性ならびに比較的良好な摩擦および摩耗特性を示す。
【0023】
本発明のゴム混合物は、好ましい実施形態では、15〜85phr、好ましくは15〜60phrの少なくとも1種のポリブタジエンを含有する。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態では、ゴム混合物は、15〜50phr、最も好ましくは15〜30phrの少なくとも1種のポリブタジエンを含有する。この種のゴム混合物は、とりわけ自動車タイヤの側壁において、とりわけ老化後に特に良好な滲出特性ならびに比較的良好な摩擦および摩耗特性を示す。
【0025】
ゴム、とりわけ述べられたジエンゴムは、当業者に公知のタイプのいずれかであってもよい。
【0026】
天然および/または合成ポリイソプレンは、シス−1,4−ポリイソプレンまたは3,4−ポリイソプレンのいずれかであってもよい。しかし、90重量%超のシス−1,4含有量のシス−1,4−ポリイソプレンの使用が好ましい。第一に、そのようなポリイソプレンをツーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)触媒によるか、または細分されたリチウムアルキルを使用する溶液での立体特異的重合によって得ることが可能である。第二に、天然ゴム(NR)は、1種のそのようなシス−1,4−ポリイソプレンであり;天然ゴムにおけるシス−1,4含有量は99重量%超である。
【0027】
その上、1種または複数種の天然ポリイソプレンと1種または複数種の合成ポリイソプレンとの混合物も考えられる。
【0028】
スチレン−ブタジエンコポリマーは、溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SSBR)または乳化重合スチレン−ブタジエンゴム(ESBR)のいずれかであってもよく、かつ少なくとも1種のSSBRと少なくとも1種のESBRとの混合物を使用することも可能である。用語「スチレン−ブタジエンゴム」および「スチレン−ブタジエンコポリマー」は、本発明に関連して同じ意味で用いられる。それぞれの場合に、100,000〜600,000g/モル(1分子当たり10万〜60万グラム)の平均分子量を有するスチレン−ブタジエンコポリマーが好ましい。
【0029】
ポリブタジエン(BR、ブタジエンゴム)は、当業者に公知のタイプのいずれであってもよい。これらには、いわゆる高シスおよび低シスタイプが含まれ、90重量%以上のシス含有量を有するブタジエンゴムは高シスタイプと言われ、90重量%未満のシス含有量を有するブタジエンゴムは低シスタイプと言われる。低シスポリブタジエンの例は、20重量%〜50重量%のシス含有量を有するLi−BR(リチウム−触媒ブタジエンゴム)である。高シスポリブタジエンの例は、Nd−BR(ネオジム−触媒ブタジエンゴム)である。Nd−BRにより、ゴム混合物の特に良好な加硫物特性が達成される。
【0030】
使用されるスチレン−ブタジエンコポリマーおよび/またはブタジエンゴム(ポリブタジエン)は、変性および官能化で末端基変性されていてもよく、および/またはポリマー鎖に沿って官能化されていてもよい。変性は、ヒドロキシル基、および/またはエトキシ基、および/またはエポキシ基、および/またはシロキサン基、および/またはアミノ基、および/またはアミノシロキサン、および/またはカルボキシル基、および/またはフタロシアニン基、および/またはシラン−スルフィド基を有する変性であってもよい。しかし、官能化としても知られる、当業者に公知のさらなる変性も好適である。金属原子がそのような官能化の構成成分であってもよい。
【0031】
本発明のゴム混合物は、とりわけ自動車タイヤでの使用のために少なくとも1種の強化充填材を含む。強化充填材は、好ましくは、少なくとも1種のカーボンブラックおよび/または少なくとも1種のシリカである。
【0032】
それは、好ましくは、10〜300phr、好ましくは30〜300phr、より好ましくは30〜200phr、最も好ましくは30〜100phrの、カーボンブラックおよび/またはシリカから選択される少なくとも1種の強化充填材を含有する。
【0033】
本発明のゴム混合物は、好ましい実施形態では、25〜55phrまたは60〜85phr、好ましくは25〜49phrまたは70〜80phrの少なくとも1種のカーボンブラックを含有する。この種のゴム混合物は、とりわけ自動車タイヤの側壁および/またはフランジプロフィールにおいて、とりわけ老化後に特に良好な滲出特性および比較的良好な摩擦特性を示す。
【0034】
本発明の非常に特に好ましい実施形態では、ゴム混合物は、25〜43phr、より好ましくは27〜38phrの少なくとも1種のカーボンブラックを含有する。
【0035】
当業者に公知のすべてのタイプのカーボンブラックが考えられる。
【0036】
しかし、15〜100g/kg、好ましくは30〜100g/kg、より好ましくは40〜100g/kgのASTM D 1510に従ったヨウ素吸着数、および30〜150mL/100g、好ましくは50〜150mL/100g、より好ましくは100〜150mL/100gのASTM D 2414に従ったDBP数を有するカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0037】
このようにして、自動車タイヤでの使用の場合に特に良好な回転抵抗および/または摩擦特性が達成される。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、80〜100g/kgのASTM D 1510に従ったヨウ素吸着数および115〜127mL/100gのASTM D 2414に従ったDBP数を有するカーボンブラックが使用される。
【0039】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、40〜60g/kgのASTM D 1510に従ったヨウ素吸着数および115〜127mL/100gのASTM D 2414に従ったDBP数を有するカーボンブラックが使用される。
【0040】
本発明のゴム混合物は、カーボンブラックのみならず、さらなる公知の極性および/または非極性充填材を含んでもよい。
【0041】
好ましくは、カーボンブラックは、唯一の充填材として本発明のゴム混合物中に存在するか、または主な充填材として本発明のゴム混合物中に存在し、これは、カーボンブラックの量が存在する任意の他の充填材の量よりもはるかに多いことを意味する。カーボンブラックのみならず、さらなる充填材が存在する場合、それは好ましくはシリカである。したがってまた、本発明のゴム混合物は、カーボンブラックおよびシリカ、例えば、0,1〜10phrシリカと組み合わせて、25〜55phrのカーボンブラック、好ましくは25〜49phr、より好ましくは25〜43phr、最も好ましくは27〜38phrのカーボンブラックを含むと考えられる。さらなる好ましい実施形態では、前述の量のカーボンブラックを含むゴム混合物は、0〜3phrのシリカを含有する。
【0042】
代替的な実施形態では、例えば、60〜85phrのカーボンブラック、好ましくは70〜80phrのカーボンブラックが0.1〜10phrのシリカと組み合わせて使用される。さらなる好ましい実施形態では、前述の量のカーボンブラックを含むゴム混合物は、0phrのシリカを含む、すなわちシリカを含まない。
【0043】
シリカは、タイヤゴム混合物用の充填材として好適である当業者に公知のシリカであってもよい。しかし、35〜350m/g、好ましくは35〜260m/g、より好ましくは100〜260m/g、最も好ましくは130〜235m/gの窒素表面積(BET表面積)(DIN ISO 9277およびDIN 66132に従う)、ならびに30〜400m/g、好ましくは30〜250m/g、より好ましくは100〜250m/g、最も好ましくは125〜230m/gのCTAB表面積(ASTM D 3765に従う)を有する微粉の沈澱シリカを使用することが特に好ましい。この種のシリカは、加硫物の特に良好な物理的特性をもたらす。その上、同じ生成物特性を維持しつつ、混合時間の削減の結果として混合物の加工において利点が生じ得、それは、生産性の向上をもたらす。使用されるシリカは、したがって、例えば、Evonik製のUltrasil(登録商標)VN3タイプ(商品名)のもの、またはHDシリカとして知られる高分散性シリカ(例えば、Rhodia製のZeosil(登録商標)1165 MP)のいずれかであってもよい。
【0044】
加工性を向上させるために、かつシリカおよび存在する任意の他の極性充填材をジエンゴムに結合させるために、当業者に公知のシランカップリング剤をゴム混合物に使用することが可能である。
【0045】
1種または複数種の異なるシランカップリング剤は、ここで、互いに組み合わせて用いられてもよい。ゴム混合物は、したがって、異なるシランの混合物を含んでもよい。
【0046】
シランカップリング剤は、ゴムまたはゴム混合物の(その場での)混合中、またはさらにはゴムへの充填材の添加前の前処理(前変性)の方法でシリカの表面シラノール基または他の極性基と反応する。シランカップリング剤として、ゴム混合物での使用について当業者に公知であるすべてのシランカップリング剤を使用することが可能である。先行技術から公知のそのようなカップリング剤は、少なくとも1つのアルコキシ、シクロアルコキシまたはフェノキシ基をケイ素原子上に脱離基として有し、かつ他の官能性として、任意選択的に解離後にポリマーの二重結合との化学反応を受けることができる基を有する二官能性有機シランである。後者の基は、例えば、以下の化学基:
−SCN、−SH、−NHまたは−S−(ここで、x=2〜8である)
であってもよい。
【0047】
例えば、使用されるシランカップリング剤は、例えば、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン、もしくは2〜8個の硫黄原子を有する3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、例えば3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、対応するジスルフィド(TESPD)、または1〜8個の硫黄原子を有するスルフィドと、異なる含有量の様々なスルフィドとの混合物であってもよい。TESPTはまた、例えば、工業カーボンブラック(Evonik製の商品名:X50S(登録商標))との混合物として添加することができる。
【0048】
40重量%〜100重量%のジスルフィド、より好ましくは55重量%〜85重量%のジスルフィド、最も好ましくは60重量%〜80重量%のジスルフィドを含有するシラン混合物を使用することが好ましい。この種の混合物は、例えば、EvonikからSi 261(登録商標)の商品名で入手可能であり、それは、例えば、独国特許出願公開第102006004062 A1号明細書に記載されている。
【0049】
例えば、国際公開第99/09036号パンフレットから公知であるような、ブロックされたメルカプトシランもシランカップリング剤として使用することができる。国際公開第2008/083241 A1号パンフレット、国際公開第2008/083242 A1号パンフレット、国際公開第2008/083243 A1号パンフレットおよび国際公開第2008/083244 A1号パンフレットに記載されているようなシランを使用することも可能である。Momentive、USA製の多数の変形形態においてNXT名称で市場に出されているシラン(例えば、3−(オクタノイルチオ)−1−プロピルトリエトキシシラン)、またはEvonik Industriesによって名称VP Si 363(登録商標)で市場に出されているものを使用することが可能である。
【0050】
上述のメルカプトシランの1つ、とりわけ3−メルカプトプロピルトリエトキシシランは、加工助剤(下に列挙される)、とりわけPEGカルボキシレ−トと組み合わせて使用されることも考えられる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、ゴム混合物は、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとPEGカルボキシレ−トとの組み合わせを含み、その組み合わせは、とりわけ解決されるべき技術的問題に関して特に良好な特性、および他の特性に関して全体的に良好なレベルの特性をもたらす。
【0052】
その上、ゴム混合物は、充填材、特にカーボンブラックの結合のためのさらなる活性剤および/または試剤を含有してもよい。これは、例えば、欧州特許出願公開第2589619 A1号明細書に例えば開示されている化合物S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸および/またはその金属塩であってもよく、それにより、とりわけ充填材としての少なくとも1種のカーボンブラックと組み合わせてゴム混合物の非常に良好な物理的特性が達成される。
【0053】
列挙されたシランおよび活性剤は、ゴム混合物の製造において、好ましくは少なくとも1つの予備混合段階において添加される。
【0054】
本発明のゴム混合物は、カーボンブラックおよび任意選択的にシリカのみならず、アルミノシリケート、カオリン、チョーク、デンプン、酸化マグネシウム、二酸化チタンまたはゴムゲル、およびまた繊維(例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維)などのさらなる公知の極性および/または非極性充填材を含んでもよい。
【0055】
ゴム混合物が、中空炭素繊維(HCF)として知られる離散CNT、ならびにヒドロキル、カルボキシルおよびカルボニル基などの1つまたは複数の官能基を含有する変性CNTなどのカーボンナノチューブ(CNT)を含むことがさらに考えられる。黒鉛およびグラフェンならびにまた「炭素−シリカ二相充填材」も充填材と考えられる。
【0056】
用語「加硫された」および「架橋した」は、また本技術分野におけるように、本発明に関連して同じ意味で用いられる。
【0057】
酸化亜鉛は、本発明に関連して充填材として考えられない。
【0058】
ゴム混合物は、0.5〜10phrの少なくとも1種の炭化水素ワックス組成物であって、ワックス組成物中の炭化水素が15〜110個の炭素原子を有し、
a)炭化水素の25%〜40%が、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素であり、
b)炭化水素の5%〜18%が、31〜38個の炭素原子を有する線状炭化水素であり、
c)炭化水素の25%〜40%が、39〜60個の炭素原子を有する線状炭化水素であり、
d)炭化水素の5%〜15%が、21〜31個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり、
e)炭化水素の5%未満が、32〜39個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり、
f)炭化水素の5%〜15%が、40〜61個の炭素原子を有する分岐炭化水素であり、
それぞれの場合の百分率が、15〜110個の炭素原子を有する炭化水素の総数を基準とする、組成物を含有することが本発明にとって不可欠である。
【0059】
炭化水素は、炭素および水素からなる分子である。
【0060】
本発明に従って存在する少なくとも1種の炭化水素ワックス組成物は、15〜110個の炭素原子を有する炭化水素を含む。特徴a)〜f)を含む特徴によって包含されるすべての炭化水素は、専ら15〜110個の炭素原子を有する炭化水素である。
【0061】
炭化水素中の炭素原子のあらゆる数について、炭化水素の頻度が測定され、炭素原子の数に対してプロットされ、それは頻度分布を与える。
【0062】
少なくとも1種の炭化水素ワックス組成物の頻度分布は、本発明に関連して、ガスクロマトグラフィー(GC、試料濃度20mg/20mLの溶剤;キャリアガス:水素、71cm/秒;出発カラム温度75℃;100℃まで25℃/分、325℃まで8℃/分の加熱速度、325℃で15分間保持;カラム寸法25m、0.32μm内径、フィルム厚さ0.12μm;注入器タイプ:「クールオンカラム」;結果:ピーク面積%としての頻度分布:European Wax FederationからのEWF Method 001/03)を用いて測定される。この方法は、同様に、炭化水素分子が線状または分岐であるかどうかを測定する。
【0063】
1炭化水素分子当たり特定数の炭素原子を有する炭化水素分子の数および頻度は、1炭化水素分子当たりのこの数の炭素原子のGCクロマトグラムの絶対信号強度に比例し、それから求めることができる。
【0064】
「線状炭化水素」は、本発明に関連して、特に明記しない限り、線状脂肪族炭化水素を意味すると理解される。
【0065】
「分岐炭化水素」は、本発明に関連して、特に明記しない限り、分岐脂肪族炭化水素を意味すると理解される。
【0066】
線状および分岐炭化水素は非環式である。
【0067】
炭化水素ワックス組成物は、好ましい実施形態において本明細書で以下にさらに明らかにされ、それは、互いに独立してかつ上および下に明記される実施形態の任意の組み合わせで考えられる。
【0068】
特徴a)の好ましい実施形態では、炭化水素の26%〜37%は、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素である。
【0069】
これは、本発明のゴム混合物において特に良好な滲出特性を達成し、それは、適切な期間後のゴム混合物の外観の改善で明示される。同時に、オゾン安定性は良好なレベルのままである。
【0070】
特徴c)の好ましい実施形態では、炭化水素の26%〜37%は、39〜60個の炭素原子を有する線状炭化水素である。
【0071】
炭化水素ワックス組成物の頻度分布に関するこの実施形態、および本明細書で以下に明記されるさらなる好ましい実施形態は、本発明のゴム混合物において特に良好な滲出特性を達成し、それは、適切の期間後のゴム混合物の外観の改善で明示される。同時に、オゾン安定性は良好なレベルのままである。
【0072】
特徴d)の好ましい実施形態では、炭化水素の6%〜8%は、21〜31個の炭素原子を有する分岐炭化水素である。
【0073】
特徴f)の好ましい実施形態では、炭化水素の6%〜12%は、40〜61個の炭素原子を有する分岐炭化水素である。
【0074】
特徴b)の好ましい実施形態では、炭化水素の10%〜16%は、31〜38個の炭素原子を有する線状炭化水素である。
【0075】
特徴e)の好ましい実施形態では、炭化水素の0.1%〜3%は、32〜39個の炭素原子を有する分岐炭化水素である。
【0076】
本発明のゴム混合物中に存在する炭化水素ワックス組成物は、以下の定義:
− 特徴a)の線状炭化水素対特徴c)の線状炭化水素の数比は、0.5〜1.5、より好ましくは0.6〜1.2であること;および/または
− 特徴d)の分岐炭化水素対特徴f)の分岐炭化水素の数比は、0.5〜1.5、より好ましくは0.6〜1.2であること;および/または
− 特徴a)の線状炭化水素対特徴b)の線状炭化水素の数比は、1.5〜3.5、より好ましくは1.6〜3.2であること;および/または
− 特徴c)の線状炭化水素対特徴b)の線状炭化水素の数比は、2.0〜4.0、より好ましくは2.2〜3.2であること;および/または
− 特徴d)の分岐炭化水素対特徴e)の分岐炭化水素の数比は、2.5〜6.5、より好ましくは2.8〜6.0であること;および/または
− 特徴f)の分岐炭化水素対特徴e)の分岐炭化水素の数比は、4.0〜7.0、より好ましくは4.5〜6.5であること;および/または
− 特徴a)の線状炭化水素対特徴d)の分岐炭化水素の数比は、3.0〜6.0、より好ましくは3.5〜5.5であること;および/または
− 特徴c)の線状炭化水素対特徴f)の分岐炭化水素の数比は、3.0〜6.0、より好ましくは3.2〜5.0であること;および/または
− 特徴b)の線状炭化水素対特徴e)の分岐炭化水素の数比は、6.0〜12.0、より好ましくは6.4〜11.2であること
の1つまたは複数によって好ましくはさらに特徴付けられる。
【0077】
特徴a)〜f)への言及は、これらの炭化水素中の炭素原子のそれぞれの数を意味する。「特徴a)の線状炭化水素」は、例えば、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素を意味する。
【0078】
その上、炭化水素ワックス組成物中の炭化水素の好ましくは10%〜30%、より好ましくは15%〜25%は分岐炭化水素である。
【0079】
百分率は、組成物Bの15〜110個の炭素原子を有する炭化水素の総数を基準とするその数によって求められる分岐炭化水素の割合である。
【0080】
これは、本発明のゴム混合物において特に良好な滲出特性を達成し、それは、適切な期間後のゴム混合物の外観の改善で明示される。同時に、オゾン安定性は良好なレベルのままである。
【0081】
本発明のゴム混合物中に存在する炭化水素ワックス組成物は、さらにまたは代替的に以下の通り記載することができる:
炭化水素ワックス組成物は、(1炭化水素分子当たりの)炭素原子数当たりの炭化水素分子の数によって表現される、頻度分布を有する線状および分岐炭化水素を含み、頻度分布は、15〜110個の炭素原子に少なくとも2つの極大値を有し、およびそれぞれの極大値は、±2個の炭素原子の範囲内の炭化水素分子の最大数を表し、
− 線状炭化水素の少なくとも1つの極大値は23〜33個の炭素原子にあり、線状炭化水素の少なくとも1つの極大値は37〜48個の炭素原子にあり;
− 分岐炭化水素の少なくとも1つの極大値は約23〜33個の炭素原子にあり、分岐炭化水素の少なくとも1つの極大値は37〜48個の炭素原子にあり;
− 少なくとも12個の炭素原子だけ互いに異なる線状および分岐炭化水素について最大数の炭素原子を有する極大値は、23〜33個の炭素原子の範囲にあり、最小数の炭素原子を有する極大値は、37〜48個の炭素原子の範囲にあり、
− 頻度分布は、線状炭化水素についてまたは分岐炭化水素についてのいずれかで少なくとも12個の炭素原子の前記範囲に極大値を有さず;
− 頻度分布は、少なくとも1つの極大値を、線状および分岐炭化水素の両方について、それぞれの場合に30〜36個の炭素原子に有し、ここで、それぞれの場合の極小値は、±2個の炭素原子の範囲内の炭化水素分子の最小数を表す。
【0082】
好ましくは、この追加のまたは代替的な定義の頻度分布は、少なくとも1つの極大値を、線状炭化水素について23〜30個の炭素原子、より好ましくは24〜29個の炭素原子に有する。
【0083】
好ましくは、この追加のまたは代替的な定義の頻度分布は、少なくとも1つの極大値を、線状炭化水素について39〜48個の炭素原子、より好ましくは40〜43個の炭素原子に有する。
【0084】
好ましくは、追加のまたは代替的な定義の範囲内で分岐炭化水素の割合(炭化水素の総数を基準とする数)は15%〜25%である。
【0085】
記載された炭化水素ワックス組成物は、0.5〜10phr、好ましくは1〜5phr、より好ましくは1〜3phrの量で本発明のゴム混合物中に存在する。
【0086】
上に既に述べられたように、記載された炭化水素ワックス組成物を含む本発明のゴム混合物は、意外にも、先行技術よりも改善された滲出特性を示し、それは、適切な期間後のゴム混合物の外観の改善で明示される。同時に、オゾン安定性は良好なレベルのままである。
【0087】
炭化水素ワックス組成物は、ここで、オゾン劣化防止ワックスとして役立つ。
【0088】
述べられた炭化水素ワックス組成物に加えて、先行技術で知られるさらなるオゾン劣化防止ワックスが0〜3phrの量でゴム混合物に存在することも考えられる。
【0089】
本発明のゴム混合物中に本発明に従って存在する炭化水素ワックス組成物は、好ましくは少なくとも1つのベース混合段階において、記載された炭化水素ワックス組成物からなるワックスペレットまたはワックス粉末の形態で添加される。
【0090】
存在する炭化水素ワックス組成物は、様々な炭化水素ワックス成分の選択的混合によって得ることができる。
【0091】
例えば、20〜30個の炭素原子を有する60%超の線状炭化水素を有する15〜110個の炭素原子を含む第1炭化水素ワックス成分は、39〜60個の炭素原子を有する45%超、好ましくは60%超の線状炭化水素を有する15〜110個の炭素原子を含む第2炭化水素ワックス成分と融解状態で混合され得る。
【0092】
これに、例えば噴霧冷却またはペレット化または錠剤化による固化が続いてもよい。
【0093】
さらに、本発明のゴム混合物は、慣用される重量割合で標準的添加剤を含んでもよい。これらの添加剤には、
a)老化防止剤、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジトリル−p−フェニレンジアミン(DTPD)、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)など、
b)活性剤、例えば、酸化亜鉛および脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、
c)樹脂、例えば、可塑剤樹脂ではないフェノール樹脂および/または脂肪族樹脂、
d)咬合助剤、例えば、2,2’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(DBD)、
e)下に記載されるような可塑剤、および
f)加工助剤、例えば、脂肪酸塩、例えば亜鉛石鹸、ならびに脂肪酸エステルおよびその誘導体
が含まれる。
【0094】
さらなる添加剤の総量の割合は、3〜150phr、好ましくは3〜100phr、より好ましくは5〜80phrである。
【0095】
さらなる添加剤の総画分にはまた、0.1〜4phr、好ましくは0.1〜3.8phr、特に好ましくは2〜3.8phrの酸化亜鉛(ZnO)が含まれる。
【0096】
これは、当業者に公知の任意のタイプの酸化亜鉛、例えばZnO顆粒または粉末であってもよい。通常使用される酸化亜鉛は、一般に、10m/g未満のBET表面積を有する。しかし、10〜100m/gのBET表面積を有する酸化亜鉛、例えばいわゆる「ナノ−酸化亜鉛」を使用することも可能である。
【0097】
酸化亜鉛を活性剤として、通常脂肪酸(例えば、ステアリン酸)と組み合わせて、加硫促進剤とともに硫黄架橋のためにゴム混合物に添加することは慣用されている。硫黄は、したがって、錯体形成によって加硫のために活性化される。
【0098】
0〜70phr、好ましくは0.1〜60phr、好ましくは3〜30phrの少なくとも1種の可塑剤がゴム混合物中に存在することも可能であり、これらは、添加剤の1つとして考慮される。本発明に関連して使用される可塑剤には、芳香族、ナフテン系またはパラフィン系鉱油可塑剤、例えばMES(中度抽出溶媒和物)もしくはRAE(残留芳香族抽出物)もしくはTDAE(処理留出物芳香族抽出物)、および/または合成可塑剤、および/または脂肪酸、および/または脂肪酸誘導体、および/または可塑剤樹脂、および/またはファクチス、および/またはグリセリド、および/またはテルペン類、および/または方法IP 346に従って3重量%未満の多環式芳香族化合物の含有量を好ましくは有するバイオマスツーリキッド油(BTL)、および/またはゴムツーリキッド油(RTL油)、および/または500〜20,000g/モルの平均分子量(BS ISO 11344:2004に従う、GPC=ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定)を有する液体ポリマーなど、当業者に公知である可塑剤がすべて含まれる。追加の液体ポリマーが本発明のゴム混合物に可塑剤として使用される場合、これらは、ポリマーマトリックスの組成の計算においてゴムとして考慮されない。
【0099】
可塑剤は、好ましくは、上述の可塑剤からなる群から選択される。
【0100】
鉱油が可塑剤として特に好ましい。鉱油か使用される場合、それは、好ましくは、DAE(蒸留芳香族抽出物)、および/またはRAE(残留芳香族抽出物)、および/またはTDAE(処理蒸留物芳香族抽出物)、および/またはMES(中度抽出溶媒和物)、および/またはナフテン系油からなる群から選択される。
【0101】
ゴム混合物の加硫は、好ましくは、加硫促進剤を用いて硫黄または硫黄供与体の存在下で行われ、いくつかの加硫促進剤が同時に硫黄供与体としての役割を果たすことが可能である。
【0102】
好ましくは、本発明のゴム混合物は、したがって、硫黄架橋可能なゴム混合物である。
【0103】
硫黄または硫黄供与体および1種または複数種の硬化促進剤は、最後の混合工程においてゴム混合物に記載量で添加される。硬化促進剤は、チアゾール硬化促進剤、および/またはメルカプト硬化促進剤、および/またはスルフェンアミド硬化促進剤、および/またはチオカルバメート硬化促進剤、および/またはチウラム硬化促進剤、および/またはチオホスフェート硬化促進剤、および/またはチオ尿素硬化促進剤、および/またはキサントゲナート硬化促進剤、および/またはグアニジン硬化促進剤からなる群から選択される。
【0104】
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、および/またはN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DCBS)、および/またはベンゾチアジル−2−スルフェノモルホリンリド(MBS)、および/またはN−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)からなる群から選択されるスルフェンアミド硬化促進剤を使用することが好ましい。
【0105】
使用される硫黄供与物質は、当業者に公知の任意の硫黄供与物質であってもよい。ゴム混合物が硫黄供与物質を含有する場合、それは、好ましくは、例えば、チウラムジスルフィド、例えばテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)および/もしくはテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)チウラムジスルフィド、ならびに/またはチウラムテトラスルフィド、例えばジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、ならびに/またはジチオホスフェート、例えばDipDis(ビス(ジイソプロピル)チオホスホリルジスルフド)、および/もしくはビス(O,O−2−エチルヘキシルチオホスホリル)ポリスルフィド(例えば、Rhenocure SDT 50(登録商標)、Rheinchemie GmbH)、および/もしくは亜鉛ジクロリルジチオホスフェート(例えば、Rhenocure ZDT/S(登録商標)、Rheinchemie GmbH)、および/もしくは亜鉛アルキルジチオホスフェート、ならびに/または1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、および/もしくはジアリールポリスルフィド、および/もしくはジアルキルポリスルフィドを含有する群から選択される。
【0106】
例えば、Vulkuren(登録商標)、Duralink(登録商標)またはPerkalink(登録商標)の商品名で入手できるようなさらなる網状構造形成システムまたは国際公開第2010/049216 A2号パンフレットに記載されているような網状構造形成システムもゴム混合物に使用することができる。このシステムは、4を超える官能性で架橋する加硫剤と、少なくとも1種の加硫促進剤とを含有する。4を超える官能性で架橋する加硫剤は、例えば、一般式A):
A)G[C2a−CH−SY]
(式中、Gは、多価の環式炭化水素基、および/または多価のヘテロ炭化水素基、および/または1〜100個の原子を含有する多価のシロキサン基であり;各Yは、独立して、硫黄含有官能性を含有するゴム活性基から選択され;a、bおよびcは、独立して、a=0〜6;b=0〜8;およびc=3〜5である整数である)
を有する。
【0107】
ゴム活性基は、好ましくは、チオスルホネート基、ジチオカルバメート基、チオカルボニル基、メルカプト基、炭化水素基およびチオスルホン酸ナトリウム基(ブンテ(Bunte)塩基)から選択される。
【0108】
本発明によるゴム混合物の非常に良好な摩耗および引張特性は、このようにして達成される。
【0109】
本発明に関連して、硫黄およびTESPTなどの硫黄供与性シランなどの硫黄供与体、ならびに上に記載されたような加硫促進剤および国際公開第2010/049216 A2号パンフレットに記載されているような、4を超える官能性で架橋する加硫剤、例えば式A)の架橋剤、ならびにまた上述のVulkuren(登録商標)、Duralink(登録商標)およびPerkalink(登録商標)システムが用語「加硫剤」に包含される。
【0110】
本発明のゴム混合物は、好ましくは、硫黄、および/または硫黄供与体、および/または加硫促進剤、および/または4を超える官能性で架橋する加硫剤からなる群から選択される少なくとも1種の加硫剤を含む。このようにして、本発明のゴム混合物から、とりわけ車両タイヤでの使用のための加硫物を製造することが可能である。
【0111】
本発明のさらなる発展形態では、2種以上の硬化促進剤がゴム混合物中に存在する。
【0112】
硬化促進剤TBBS、および/またはCBS、および/またはジフェニルグアニジン(DPG)の使用が特に好ましい。
【0113】
その上、加硫遅延剤がゴム混合物中に存在してもよい。
【0114】
好ましくは、本発明のゴム混合物は、0.5〜3phr、好ましくは1〜3phr、より好ましくは1〜2.7phr、最も好ましくは1.3〜2.4phrの量で元素状硫黄を含有する。
【0115】
本発明の特に好ましい実施形態では、ゴム混合物は、2.0〜2.4phrの硫黄を含有する。
【0116】
この種のゴム混合物は、とりわけ自動車タイヤの側壁において、とりわけ老化後に特に良好な滲出特性ならびに比較的良好な摩擦および摩耗特性を示す。
【0117】
好ましくは、本発明のゴム混合物は、0.1〜4phr、より好ましくは0.1〜3phr、最も好ましくは0.5〜3phrの量で少なくとも1種のスルフェンアミド硬化促進剤を含有する。
【0118】
本発明の特に好ましい実施形態では、ゴム混合物は、0.9〜1.3phrの少なくとも1種のスルフェンアミド硬化促進剤を含有する。
【0119】
この種のゴム混合物は、とりわけ自動車タイヤの側壁において、とりわけ老化後に特に良好な滲出特性ならびに比較的良好な摩擦および摩耗特性を示す。
【0120】
本発明のゴム混合物は、ゴム業界で慣用される方法によって製造され、その方法では、加硫システム(硫黄および加硫に影響を及ぼす物質)を除き、すべての構成成分を含むベース混合物が最初に1つまたは複数の混合段階で製造される。最終混合物は、加硫システムを最終混合段階で添加することによって製造される。完成混合物は、例えば、押出操作によってさらに加工され、適切な形状に変換される。
【0121】
耐オゾン性および老化安定性、ならびにまたハンドリング特性、および/または湿潤時ブレーキング、および/または引裂特性、および/または転がり抵抗などの他のタイヤ特性の低下がなく、かつ/またはさらにそれらが改善される、滲出特性に関して改善された外観を特徴とする自動車タイヤを提供することが本発明のさらなる目的である。この目的は、自動車タイヤが、上に記載されたような少なくとも1種のゴム混合物の少なくとも1種の加硫物を少なくとも1つの構成要素に含むことで達成される。この場合、構成成分およびその特徴に関して上に示された詳細はすべて適用できる。
【0122】
好ましくは、自動車タイヤは空気圧自動車タイヤである。
【0123】
好ましくは、構成要素は、外側構成要素、より好ましくは少なくとも1つの側壁および/または少なくとも1つのフランジプロフィールである。
【0124】
最も好ましくは、それは側壁である。
【実施例】
【0125】
以下では、表1にまとめられている比較例および実施例に関して本発明を詳細に例示する。
【0126】
比較混合物はCで、本発明の混合物はIで表示する。
【0127】
表2は、使用される炭化水素ワックス組成物(オゾン劣化防止ワックス)の頻度分布の本質的特性を比較する。これに関連して、Cで特定されるワックスは、比較混合物に使用される先行技術からのワックスを表す。Iで特定される炭化水素ワックスは、本発明のゴム混合物I1中に存在する。
【0128】
混合物は、実験室タンジェンシャルミキサーにより、2段階において標準条件下で製造した。試験試料をすべての混合物から加硫によって製造し、これらの試験試料を使用してゴム業界に典型的な材料特性を測定した。試験検体に関する上記の試験のために、以下の試験方法を用いた:
・DIN 53 505に従った室温(RT)でのショアA硬度(単位:ショアA、ShAと略記される)
・DIN 53 512に従った室温(RT)での反発弾性(略して反発)
・DIN 53 504に従った室温での引張強度
・滲出特性:加硫物を3カ月間貯蔵し、水分および日射から保護し、次に目視評価する。クラス1:満足できる外観、クラス2:十分な外観、クラス3:不十分な外観
・DIN 53 509/DIN ISO 1431−1類似条件に従った室温でのオゾン安定性:オゾン濃度200pphm、±30pphm、温度25℃±3℃、60%±5%空気湿度、およびDIN 53 509/DIN ISO 1431−1に従った評価で10〜60%の静的膨張、評価:プラス(クラッキングなし)またはマイナス(クラッキング)。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
表2は、上に記載された方法によってGCを用いて測定されるような%単位での炭化水素ワックス組成物A、BおよびC中の様々な炭化水素の頻度を示す。
【0132】
その上、本発明実施例で使用されるワックス組成物B中の炭化水素の21%は分岐炭化水素である。百分率は、組成物Bの15〜110個の炭素原子を有する炭化水素の総数を基準とするその数によって求められる分岐炭化水素の割合である。
【0133】
ワックス組成物は、例えば、以下のワックス成分:
− 20〜30個の炭素原子を有する81.3%線状炭化水素を含む、52〜54℃のASTM D 938に従った凝固点を有する45重量%の精製パラフィンワックス(Sasolwax 5203)と;
− 39〜60個の炭素原子を有する48.5%線状炭化水素を含む、83℃のASTM D 938に従った凝固点を有する、フィッシャー−トロプシュ(Fischer−Tropsch)により得られた45重量%のパラフィンワックス(Sasolwax C80)と;
− 74.5%分岐炭化水素を含む、78℃のASTM D 938に従った凝固点を有する10重量%の水素処理微結晶性ワックス(Sasolwax 3279)と
を混合することによって得ることができる。
【0134】
表1から明らかなように、本発明のゴム混合物I1は、比較混合物C1およびC2と比べてより良好な滲出特性を示し、それは、本発明の混合物が満足できるレベルにあることを意味する。同時に、他の特性、とりわけ耐オゾン性ならびに引張強度、硬度および反発弾性などの特性の有意の低下はない。
【要約】
本発明は、以下の成分:少なくとも1種のゴムと、少なくとも1種の強化充填材と、0.5〜10phrの少なくとも1種の炭化水素ワックス組成物とを含有するゴム混合物であって、ワックス組成物の炭化水素が15〜110個の炭素原子を有し、およびa)炭化水素の25〜40%が、20〜30個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;かつとりわけ、b)炭化水素の5〜18%が、31〜38個の炭素原子を有する線状炭化水素であり;かつとりわけ、c)炭化水素の25〜40%が、39〜60個の炭素原子を有する線状炭化水素である、ゴム混合物に関する。それぞれの場合に、百分率は、15〜110個の炭素原子を有する炭化水素の総数を基準として明記される。ゴム混合物は、少なくとも車両タイヤの外側パーツに含有される。