(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメント、及び側鎖としてカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料であって、
該オルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、オルガノポリシロキサンセグメントの含有量が35質量%以上59質量%以下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上17質量%以下であり、かつホモポリマーを形成した場合にガラス転移点が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量が14質量%以下であり、該オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000以上20万以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
前記オルガノポリシロキサンセグメント中の隣接する不飽和単量体由来の共重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)が500以上3万以下である、請求項1に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
前記不飽和単量体由来の共重合体セグメントが、更に(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリレート類から選ばれる1種以上の不飽和単量体由来の繰返し単位を含有する、請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[オルガノポリシロキサングラフトポリマー]
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマー(以下「本発明のグラフトポリマー」ともいう)は、主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメント、及び側鎖としてカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む、不飽和単量体由来の共重合体セグメントを有し、該オルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、オルガノポリシロキサンセグメントの含有量が35質量%以上59質量%以下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上17質量%以下であり、かつホモポリマーを形成した場合にガラス転移点が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量が14質量%以下であり、該オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000以上20万以下である。
【0009】
本発明のグラフトポリマーにおいては、2つ以上の側鎖が、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが更に好ましい。
【0010】
<オルガノポリシロキサンセグメント>
本発明のグラフトポリマーは、主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有する。
オルガノポリシロキサンセグメントの化学構造は特に限定されないが、好ましい具体例としては、下記一般式(1)又は(2)で表される変性オルガノポリシロキサンセグメントである。
【0012】
前記一般式(1)及び(2)中、R
1は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
2は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。式中、p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよいし、ランダム状につながっていてもよい。
【0013】
前記一般式(1)及び(2)中、R
1で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐状、又は環状のアルキル基が挙げられ、R
1で表されるアルキル基の炭素数は、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは1以上10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは3以下である。R
1で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。なお、グラフトポリマーの水分散性とは、水を主成分とする組成物中でグラフトポリマーが安定に分散しうる性質のことであり、本性質が良好であると、溶媒が水を主成分とする毛髪化粧料に配合可能であり、洗髪性も良好となるため好ましい。
R
1で表されるアリール基の炭素数は、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から好ましくは6以上12以下、より好ましくは9以下である。R
1で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
これらの中でも、R
1としては、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及び毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力の観点から炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐状のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0014】
前記一般式(1)及び(2)中、pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。
pは、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは80以上、より更に好ましくは100以上の数であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは1500以下、より好ましくは1300以下、より好ましくは900以下、更に好ましくは500以下、より更に好ましくは200以下の数である。
qは、グラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは3以上の数であり、本発明の毛髪化粧料のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から好ましくは150以下、より好ましくは110以下、より好ましくは70以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下の数である。
【0015】
前記一般式(1)及び(2)中、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
2)の一部又は全部は、主鎖及び不飽和単量体由来の共重合体セグメントと結合し、主鎖と側鎖である不飽和単量体由来の共重合体セグメントの連結基として機能する。不飽和単量体由来の共重合体セグメントと結合していないヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が存在する場合は、該ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、主鎖及び水素原子と結合している。
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の炭素数は、本発明のグラフトポリマー製造時の原料の入手性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
【0016】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
3CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されていてもよい。すなわち、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、「−(アルキレン基部分1)−(上記の原子又は官能基)−(アルキレン基部分2)−」という構造であってもよく、この場合、アルキレン基の炭素数とは、アルキレン基部分1の炭素数及びアルキレン基部分2の炭素数の和をいう。ここでR
3は、炭素数1以上3以下のアルキル基である。ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が上記原子又は官能基によって分断されている場合は、本発明のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から、−NHCO−によって分断されていることが好ましい。
【0017】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2〜4の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基、及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよい。この場合、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の炭素数とは、前記置換基の炭素数を含まない。本発明のグラフトポリマー製造時の原料入手性の容易さの観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、及びアミノ基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していることが好ましい。
【0018】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−O−、−S−、−NH−、−NR
14−、及び−COO−から選ばれる、2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換していてもよい。ここでR
14はジメチルアミノ基が置換していてもよいアルキル基(炭素数1以上3以下)である。該ヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が不飽和単量体由来の重合体セグメントとの連結基として働く場合には、不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合している。その他の場合は水素原子と結合している。
本発明のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−S−が置換していることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
2)は、該ヘテロ原子、好ましくは窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子、より好ましくは硫黄原子を介して不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合していることが好ましい。
したがって、R
2で表される「ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基」は、(i)無置換のアルキレン基、(ii)酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
3CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されたアルキレン基、(iii)水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2〜4の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換しているアルキレン基、(iv)−O−、−S−、−NH−、−NR
14−及び−COO−から選ばれる2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換したアルキレン基の他、上記(ii)、(iii)、(iv)の組合せからなるアルキレン基が該当する。
【0019】
本発明における、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の具体例としては、下記式(i)〜(xii)が例示される。中でも本発明のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から下記式(xi)及び(xii)が好ましい。
【0021】
式(i)〜(xii)中、*は、前記一般式(1)又は(2)におけるケイ素原子に結合する部位を表し、**は、不飽和単量体由来の共重合体セグメントに結合する部位を表す。
式(xii)中、X
1は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる一種以上であり、本発明のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から−CONH−又は−NHCO−が好ましく、−NHCO−がより好ましい。
【0022】
また、式(xii)中、R
4は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2〜4の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよいアルキレン基である。置換基としては、製造時の原料入手性の観点から、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、及びアミノ基であることが好ましい。R
4で表されるアルキレン基の炭素数は、本発明のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。
【0023】
R
4の具体例としては、下記式(xiii)〜(xiv)が挙げられる。
【化4】
【0024】
本発明のグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量は、本発明の毛髪化粧料でセットした後の毛髪の感触の観点から、35質量%以上であり、好ましくは38質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及び毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力、高湿度下におけるセット保持性の観点から、59質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
本発明のグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」と、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」から求めることができる。
【0025】
<不飽和単量体由来の共重合体セグメント>
本発明のグラフトポリマーは、側鎖としてカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントを有する。本発明において、不飽和単量体由来の繰返し単位とは、該不飽和単量体を重合した場合に形成される繰返し単位をいう。
【0026】
本発明のグラフトポリマー中における不飽和単量体由来の共重合体セグメントの含有量は、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及び毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力、高湿度下におけるセット保持性の観点から、41質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、また、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした後の毛髪の感触の観点から、65質量%以下、好ましくは62質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
【0027】
本発明のグラフトポリマー中におけるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量は、グラフトポリマーの水分散性の観点及びセットした後の毛髪の感触の観点から、4質量%以上であり、好ましくは4.5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。また、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、17質量%以下であり、好ましくは14質量%以下、より好ましくは11質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である。
【0028】
また、不飽和単量体由来の共重合体セグメント中におけるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量は、グラフトポリマーの水分散性の観点及びセットした後の毛髪の感触の観点から、6質量%以上であり、好ましくは10質量%以上、より好ましくは17質量%以上である。また、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、41質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは18質量%以下である。
【0029】
本発明のグラフトポリマー中、あるいは不飽和単量体由来の共重合体セグメント中におけるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」及び「製造時に投入されるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の総質量」から求めることができる。
【0030】
カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸単量体等が挙げられる。このうち、入手性の観点から(メタ)アクリル酸、マレイン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
これらカルボン酸を有する不飽和単量体由来の繰返し単位は、酸のままであってもよいし、一部又は全部が中和されたものであってよい。中和に使用する塩基化合物の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;アンモニア;モノ−、ジ−、もしくはトリエタノールアミン、トリエチルアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノエチルプロパンジオール等のアミン化合物等がある。このうち、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、一部又は全部が中和されていることが好ましい。
【0031】
本発明において、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントは、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体以外に、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体(以下「共重合単量体」ともいう)由来の繰返し単位を含有する。
共重合単量体としては、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な単量体であって、且つカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体以外であれば特に限定は無いが、イオン性の基を持たない不飽和単量体であることが好ましく、例えばオレフィン、ハロゲン化オレフィン、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0032】
オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンが挙げられる。ハロゲン化オレフィンの具体例としては、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオライドが挙げられる。ビニルエステルの具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルが挙げられる。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
これら共重合単量体由来の繰返し単位は、本発明のグラフトポリマー中、ただ1種存在していてもよいし、複数種存在していてもよい。
【0034】
これらの中でも、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点からは、共重合単量体としては上記(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体が好ましく、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(9)モノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(2)モノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(4)モノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(23)モノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(90)モノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(2)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(4.5)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(8)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(10)、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチルから選ばれる1種以上の単量体がより好ましく、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(9)モノメチルエーテルから選ばれる1種以上の単量体が更に好ましく、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(9)モノメチルエーテルから選ばれる1種以上の単量体がより更に好ましく、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(9)モノメチルエーテルを併用することがより更に好ましい。
【0035】
カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む、不飽和単量体由来の共重合体セグメントは、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
共重合単量体由来の繰返し単位の含有量は、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、本発明のグラフトポリマー中、好ましくは24質量%以上、より好ましくは28質量%以上であり、また、セットした後の毛髪の感触の観点及びグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは61質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。
【0036】
また、共重合単量体由来の繰返し単位は、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、不飽和単量体由来の共重合体セグメント中、好ましくは59質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは82質量%以上であり、また、セットした後の毛髪の感触の観点及びグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは94質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは83質量%以下である。
本発明のグラフトポリマー中、あるいは不飽和単量体由来の共重合体セグメント中における共重合単量体由来の繰返し単位の含有量は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」及び「製造時に投入される共重合単量体の総質量」から求めることができる。
【0037】
前述したように、共重合単量体としては、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な単量体であって、且つカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体以外であれば特に限定は無いが、髪温度50℃以上における毛髪の形付けしやすさの観点から、本発明のグラフトポリマー中、ホモポリマーを形成した場合にはガラス転移点(Tg)が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量は14質量%以下であり、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。本発明において、不飽和単量体がホモポリマーを形成した場合のTg(以下「不飽和単量体のTg」ともいう)とは、Wiley−Interscience社出版の「polymer handbook」第4版 第1巻VI/193−VI/277に記載されているTgをいう。
【0038】
不飽和単量体のTgが150℃以上の不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)の具体例としては、例えば、アクリル酸アダマンチル、クロトン酸アダマンチル、クロトン酸3,5−ジメチルアダマンチル、アクリル酸フェロセニルエチル、アクリル酸フェロセニルメチル、アクリル酸ペンタブロモベンジル、アクリルアミド、N−メチル,N−フェニルアクリルアミド、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸シアノフェニル、メタクリル酸3,5−ジメチルアダマンチル、メタクリル酸フェロセニルメチル、メタクリル酸イソボニル、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−カルボキシフェニルメタクリルアミド、3−(4−ビフェニリル)スチレン、4−(4−ビフェニリル)スチレン、2−カルボキシスチレン、2,5−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、パーフルオロスチレン、2−フェニルアミノカルボキシスチレン、4−フェニルスチレン、メトキシエチレン、4−ビニルフェノール、N−カルバゾイルエチレン、フェロセニルエチレン、フタルイミドエチレン、4−ピリジルエチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
本発明のグラフトポリマーにおいて、ホモポリマーを形成した場合にはガラス転移点(Tg)が150℃以上となる不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」及び「製造時に投入されるTgが150℃以上の不飽和単量体の総質量」から求めることができる。
【0039】
また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点、及び本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットする際のセット力、高湿度下におけるセット保持性及びセットした後の毛髪の感触の観点から、オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の共重合体セグメント(b)との質量比(a/b)は、好ましくは35/65以上、より好ましくは38/62以上、更に好ましくは40/60以上、より更に好ましくは45/55以上であり、また、好ましくは59/41以下、より好ましくは55/45以下、更に好ましくは50/50以下である。
なお、本明細書において、前記質量比(a/b)は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」と、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」との比(c/d)と同一であるとみなす(下式(I))。
a/b = c/d (I)
なお、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、オルガノポリシロキサングラフトポリマーとオルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の共重合体との混合物になる場合があるが、本発明においては、この混合物をオルガノポリシロキサングラフトポリマーとする。
【0040】
また、隣接する不飽和単量体由来の共重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)(以下、「グラフト点間分子量」ということがある)は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力と高湿度下におけるセット保持性の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは1000以上であり、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは3万以下、より好ましくは2万以下、更に好ましくは4000以下である。
ここで、「隣接する不飽和単量体由来の共重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式に示すように、不飽和単量体由来の共重合体セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接する不飽和単量体由来の共重合体セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR
1SiO単位と、1つのR
2と、y+1個のR
12SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
【0042】
式中、R
1はそれぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を示し、R
2はヘテロ原子が含まれていてもよいアルキレン基を示し、−W−R
5は不飽和単量体由来の共重合体セグメントを示し、R
5は重合開始剤の残基又は水素原子を示し、yは正の数を示す。
【0043】
グラフト点間分子量は、実施例に記載の方法で求めることができる。
グラフト点間分子量は、上記式において破線で囲まれた部分の分子量の平均値であって、不飽和単量体由来の共重合体セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。グラフト点間分子量は、本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合であって、かつすべてのラジカル反応性官能基と不飽和単量体由来の共重合体とが結合している場合には、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性官能基モル数(mol/g)の逆数の値と一致する。
【0044】
また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNx)は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力、高湿度下におけるセット保持性及びセットした後の毛髪の感触の観点から、8000以上であり、好ましくは10000以上、より好ましくは11000以上、更に好ましくは12000以上である。MNxは、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及びセットした後の毛髪の感触の観点から、20万以下であり、好ましくは10万以下、より好ましくは5万以下、更に好ましくは3万以下である。
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーが、後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、オルガノポリシロキサンセグメントはラジカル反応性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MNxはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量と略同一であり、本発明においては同一と見なす。なお、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0045】
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーにおける各不飽和単量体由来の共重合体セグメントの数平均分子量(MNy)は、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力、高湿度下におけるセット保持性及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは1500以上であり、また、本発明の製造の容易性の観点及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは6000以下である。なお、MNyは、実施例に記載の方法で求める。
【0046】
本発明のグラフトポリマーの数平均分子量(MNt)は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力、高湿度下におけるセット保持性及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは300,000以下、より好ましくは250,000以下、更に好ましくは100,000以下、より更に好ましくは50,000以下である。
本発明のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、MNtは、原料化合物であるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量と、前述の質量比(a/b)とから求める。
【0047】
本発明のグラフトポリマーは、本発明の毛髪化粧料でセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくはグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が45質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上9質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が32質量%以上51質量%以下であり、より好ましくはオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が50質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が5質量%以上7質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が34質量%以上45質量%以下である。
【0048】
本発明のグラフトポリマーは、グラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくはグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が45質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が8質量%以上17質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が24質量%以上47質量%以下であり、より好ましくはオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が50質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が10質量%以上15質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が26質量%以上40質量%以下である。
【0049】
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法>
次に、本発明のグラフトポリマーの製造方法について説明する。本発明のグラフトポリマーの製造方法としては特に制限はないが、例えば(i)反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、該反応性官能基と反応しうる官能基を末端に有するカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントを反応させるgraft−onto法(高分子反応法)、(ii)後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含有する不飽和単量体をラジカル重合させるgraft−from法等があげられる。これらの中では製造時の負荷低減の観点から、(ii)ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含有する不飽和単量体をラジカル重合させるgraft−from法が好ましい。
以下graft−from法による本発明のグラフトポリマーの製造方法に関して説明する。
【0050】
(ラジカル反応性オルガノポリシロキサン)
本発明のグラフトポリマーは、下記一般式(4)又は(5)で示されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体をラジカル重合することにより製造することができる。
【0052】
式中、R
11は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
12は、ラジカル反応性官能基を有するアルキル基(以下「ラジカル反応性基含有アルキル基」ともいう)を表す。
前記一般式(4)及び(5)中、R
11の好ましい様態は、前記一般式(1)及び(2)中、R
1の好ましい様態と同様である。
前記一般式(4)及び(5)中のp及びqは、それぞれ一般式(1)及び(2)のp及びqと同義であり、好ましい様態は、それぞれ前記一般式(1)及び(2)中のp及びqの好ましい様態と同様である。
【0053】
本発明においてラジカル反応性官能基とは、ラジカルが発生し得る官能基のことをいい、例えば、エチレン性不飽和基、クロロ基やブロモ基等のハロゲノ基、スルファニル基(メルカプト基)等が挙げられる。これらの中では不飽和単量体との反応性、分子量制御の観点からスルファニル基が好ましい。
【0054】
一般式(4)及び(5)において、R
12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよい。これら置換基の内、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造時の原料入手の容易性の観点から、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、又はアミノ基が好ましい。
【0055】
一般式(4)及び(5)において、R
12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの入手の容易性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
なお、本発明において、ラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数には、ラジカル反応性官能基が炭素を有する場合であってもラジカル反応性官能基の炭素数は含まれず、またラジカル反応性基含有アルキル基が前述の1価の基が置換したものであった場合も、該1価の基の炭素数は含まれない。
【0056】
一般式(4)及び(5)において、R
12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
13CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されていてもよい。ここでR
13は、炭素数1以上3以下のアルキル基である。ラジカル反応性基含有アルキル基が上記原子又は官能基によって分断されている場合は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの入手性又は製造の容易性の観点から、−NHCO−によって分断されていることが好ましい。
【0057】
本発明におけるラジカル反応性基含有アルキル基の具体例としては、下記式(xvii)〜(xx)が挙げられ、中でもラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造上、又は入手の容易性の観点から下記式(xix)又は(xx)が好ましい。式(xx)中のX
11及びR
14及びその好ましい様態は、前記式(xii)中のX
1及びR
4及びその好ましい様態と同様である。
【化7】
【0058】
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、本発明においてはMNxと同一とみなされ、よって、その好ましい様態も前記MNxの好ましい様態と同様である。
なお、本発明においてラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量は、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0059】
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性官能基のモル数は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力、及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、好ましくは1/500mol/g以下、より好ましくは1/700mol/g以下、更に好ましくは1/1000mol/g以下、より更に好ましくは1/1500mol/g以下であり、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは1/3万mol/g以上、より好ましくは1/2万mol/g以上、更に好ましくは1/1万mol/g以上、より更に好ましくは1/4000mol/g以上である。
【0060】
(反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン)
またラジカル反応性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(6)又は(7)で示される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、ラジカル反応性付与剤とを反応させて得ることもできる。一般式(6)及び(7)で示される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンは、種々の構造のものが市販されており、入手が容易である。
【化8】
【0061】
式中、R
21は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
22は反応性官能基を有するアルキル基(以下「反応性基含有アルキル基」ともいう)を表す。p及びqは、それぞれ一般式(4)及び(5)のp及びqと同義であり、好ましい様態は、それぞれ前記一般式(4)及び(5)中のp及びqの好ましい様態と同様である。
一般式(6)及び(7)中の、R
21の好ましい様態は、一般式(4)及び(5)におけるR
11の好ましい様態と同様である。
【0062】
本発明において反応性官能基とは、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、又はエポキシ基を言う。
反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンは、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基から選ばれる1種以上の置換基を有している。
反応性官能基としては、入手性の観点から、水酸基、アミノ基、又はエポキシ基が好ましく、反応性及び取扱い性の観点から、アミノ基が好ましい。
【0063】
一般式(6)及び(7)において、R
22で示される反応性基含有アルキル基の炭素数は、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの入手の容易性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
【0064】
本発明における反応性基含有アルキル基の具体例としては、下記式(xxi)〜(xxviii)が挙げられ、入手性の観点から下記式(xxi)〜(xxiv)から選ばれる一種以上が好ましく、反応性の観点から下記式(xxiv)がより好ましい。
【化9】
【0065】
反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの数平均分子量(MNxm)は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力、高湿度下におけるセット保持性及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上、更に好ましくは11000以上、より更に好ましくは12000以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点、及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下、より更に好ましくは3万以下である。
なお、本発明においてMNxmは、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0066】
反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在する反応性官能基のモル数は、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした場合のセット力と高湿度下におけるセット保持性の観点から、好ましくは1/500mol/g以下、より好ましくは1/700mol/g以下、更に好ましくは1/1000mol/g以下、より更に好ましくは1/1500mol/g以下であり、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは1/3万mol/g以上、より好ましくは1/2万mol/g以上、更に好ましくは1/1万mol/g以上、より更に好ましくは1/4000mol/g以上である。
【0067】
(ラジカル反応性付与剤)
本発明においてラジカル反応性付与剤とは、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基と反応して、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性官能基を付加する剤をいう。
【0068】
ラジカル反応性付与剤としては、分子内にラジカル反応性官能基と、前記反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基と反応可能なカルボキシ基、エステル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、及びラクトン類から選ばれる一種以上の官能基とを有する化合物を用いることができ、前記反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基が、水酸基、アミノ基、又はエポキシ基である場合には、置換基を有していてもよいチオラクトン類を用いることができる。
ラジカル反応性付与剤のラジカル反応性官能基及びその好ましい様態は、前記ラジカル反応性オルガノポリシロキサンのラジカル反応性官能基及びその好ましい様態と同様である。中でも、重合時の反応性の観点から、ラジカル反応性付与剤はラジカル反応性官能基として、スルファニル基(メルカプト基)を有しているものが好ましく、例えば、3−メルカプトプロピオン酸等のスルファニル基とカルボキシ基を分子内に有する化合物、γ−ブチロラクトンチオール等のスルファニル基を有するラクトン類等が挙げられる。また、置換基を有していてもよいチオラクトンとしては、γ−チオブチロラクトン、N−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトン、DL−ホモシステインチオラクトン塩酸塩等が挙げられる。これらの内、ラジカル反応性付与剤としては、反応性オルガノポリシロキサンとの反応性、重合時の反応性の観点からN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンがより好ましい。
【0069】
ラジカル反応性付与剤の使用量は、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基の総量に対し、反応性の観点から、好ましくは0.8当量以上、より好ましくは0.9当量以上であり、また、反応後の未反応のラジカル反応性付与剤を低減させる観点から、好ましくは1.2当量以下、より好ましくは1.1当量以下である。
【0070】
(ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造)
ラジカル反応性付与剤と反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとの反応では、溶媒を用いてもよい。
溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
環境負荷低減の観点から、溶媒は用いないことが好ましい。
【0071】
反応温度は、反応性の観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上であり、また、得られるラジカル反応性ポリシロキサンの化学的安定性の観点から、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
反応時間は、反応を十分に進行させる観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、また、生産性の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。
反応は、得られるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの反応性の観点から、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基とラジカル反応性付与剤の少なくとも一方の転化率が、80%以上となるまで行うことが好ましく、90%以上となるまで行うことがより好ましい。
転化率の測定法は、反応に用いる反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基、及びラジカル反応性付与剤によって異なるが、いずれも公知の方法によって測定できる。例えば反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基がアミノ基であり、ラジカル反応性付与剤がチオラクトン類である場合には、アミノ基の転化率は「石油製品全塩基価試験方法(過塩素酸法)」(JIS K 2501)によって求められ、またチオラクトン類の転化率は、ガスクロマトグラフ法を用いて求めることができる。
【0072】
(オルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造)
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、不飽和単量体を重合させる方法は特に限定されず、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、特に溶液重合法が好ましい。
【0073】
原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの使用量は、本発明の毛髪化粧料でセットした後の毛髪の感触の観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは35質量%以上、より好ましくは38質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及び毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力、高湿度下におけるセット保持性の観点から、好ましくは59質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
【0074】
原料となる不飽和単量体の使用量は、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及び毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力、高湿度下におけるセット保持性の観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは41質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料で毛髪をセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは65質量%以下、より好ましくは62質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは55質量%以下である。
【0075】
原料となる不飽和単量体は、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含有する。カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の使用量は、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点及びセットした後の毛髪の感触の観点から、好ましくは4.0質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、本発明の毛髪化粧料で毛髪をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、好ましくは17質量%以下、より好ましくは14質量%以下、更に好ましくは11質量%以下、より更に好ましくは9質量%以下である。
【0076】
原料となる不飽和単量体は、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体以外に、共重合単量体を含有する。原料の不飽和単量体中に含まれる共重合単量体の具体例、及びその好ましい範囲は、前記<不飽和単量体由来の共重合体セグメント>の項で示した共重合単量体の具体例、及びその好ましい範囲と同様である。共重合単量体は、ただ1種であってもよいし、複数種存在していてもよい。
【0077】
共重合単量体の使用量は、本発明の毛髪化粧料で髪形をセットした後のセット力及び高湿度下におけるセット保持性の観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは24質量%以上、より好ましくは28質量%以上であり、また、本発明の毛髪化粧料で髪形をセットした後の毛髪の感触の観点及びグラフトポリマーの水分散性の観点から、61質量%以下、好ましくは質量55%以下である。
【0078】
原料となる不飽和単量体が、Tgが150℃以上の不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)を含む場合、その量は、髪温度50℃以上における毛髪の形付けしやすさの観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して14質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。下限は0質量%である。不飽和単量体のTgが150℃以上の不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)の具体例は、前記<不飽和単量体由来の共重合体セグメント>の項で示した不飽和単量体のTgが150℃以上の不飽和単量体の具体例と同様である。
【0079】
本発明のグラフトポリマーは、本発明の毛髪化粧料でセットした後の毛髪の感触の観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは45質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、4質量%以上9質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び32質量%以上51質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものであり、より好ましくは50質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、5質量%以上7質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び34質量%以上45質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものである。
【0080】
本発明のグラフトポリマーは、グラフトポリマーの水分散性の観点から、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは45質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、8質量%以上17質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び24質量%以上47質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものであり、より好ましくは50質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、10質量%以上15質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び26質量%以上40質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものである。
【0081】
不飽和単量体の重合を、溶液重合法で行う場合、用いる溶媒としては、原料であるラジカル反応性オルガノポリシロキサン、不飽和単量体、及び得られる本発明のグラフトポリマーのいずれもが溶解又は均一に分散すれば特に制限はない。
溶媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してよい。
これらの中で、より均一な側鎖分子量分布を有する本発明のグラフトポリマー得る観点から、水、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1以上8以下のアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等の炭素数2以上8以下のエステル、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等の炭素数2以上8以下のエーテルから選ばれる1種以上の溶媒を用いることが好ましく、本発明のグラフトポリマーを毛髪化粧料用途等に用いる場合、化粧料製品へのグラフトポリマー製造時の溶媒の持ち込みの観点から水、エタノール等の炭素数1以上3以下のアルコールから選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
【0082】
溶媒の使用量は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサン、不飽和単量体及び得られるオルガノポリシロキサングラフトポリマーのいずれもが溶解又は均一に分散すれば特に制限はないが、製造時の操作の容易性、及び生産性の観点から、製造時に投入するラジカル反応性オルガノポリシロキサン及び不飽和単量体の総量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは100質量%以上であり、また、反応性の観点から、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは900質量%以下、更に好ましくは400質量%以下、より更に好ましくは300質量%以下である。
【0083】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系開始剤等が挙げられる。また光照射等によりラジカルを発生させることにより重合を開始してもよい。重合開始剤としては、反応性の観点から、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。重合開始剤の使用量は特に制限がないが、投入する不飽和単量体の総質量に対して、所望の分子量のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを得る観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下であり、また、反応性の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上である。
【0084】
重合反応時の温度は、用いる重合開始剤、溶媒の種類等により適宜選択できるが、重合反応速度の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上である。また、重合反応に用いる設備負荷低減のため常圧で反応させることが好ましく、溶媒の沸点以下で反応させる観点から、重合反応時の温度は、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
【0085】
重合反応は、不飽和単量体の転化率が80%以上になるまで行うことが好ましく、90%以上まで行うことがより好ましい。
不飽和単量体の転化率は、核磁気共鳴(
1H−NMR)分析により求めることができる。具体的な操作については、実施例に記載する。
重合反応時間は通常0.1時間以上60時間以下であり、操作性の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上、より更に好ましくは4時間以上であり、また、生産性の観点から、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは10時間以下である。重合反応を、原料を滴下して行う場合、重合反応時間は、滴下時間を含む。重合反応の時間は、重合反応温度を変えることにより制御することができる。
【0086】
原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサン及び不飽和単量体、溶媒、重合開始剤等は一括添加して重合反応を行ってもよいが、組成をコントロールするために、分割添加又は滴下して重合反応を行ってもよい。例えば、(1)ラジカル反応性オルガノポリシロキサン、不飽和単量体、溶媒を混合して加熱し、そこに重合開始剤を溶解させた溶液を一括あるいは滴下で添加する方法;(2)溶媒を加熱したところに、ラジカル反応性オルガノポリシロキサン、不飽和単量体、開始剤をそれぞれ別々に又は混合させて溶媒に溶解させた溶液を滴下する方法;(3)ラジカル反応性オルガノポリシロキサン、不飽和単量体の一部及び溶媒を混合して加熱し、そこに開始剤及び不飽和単量体の残部を溶解させた溶液を一括あるいは滴下で添加する方法等がある。
また重合反応終了後に必要に応じて公知の方法によって精製や、未反応の不飽和単量体の低減等を行ってもよい。例えば、重合開始剤を添加して加熱することや膜精製、水蒸気蒸留、吸着剤処理等による未反応の不飽和単量体やその他不純物の低減を行ってもよい。
【0087】
前述の方法により本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを製造することができるが、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーは本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法によって製造することもできる。
すなわち、主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメント、及び側鎖としてカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法であって、下記一般式(4)又は(5)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含む不飽和単量体を重合させ、得られるオルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、オルガノポリシロキサンセグメントの含有量が35質量%以上59質量%以下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上17質量%以下であり、かつホモポリマーを形成した場合にガラス転移点が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量が14質量%以下であり、オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000以上20万以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法によって製造することができる。
【0088】
【化10】
(式中、R
11は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
12は、ラジカル反応性官能基を有するアルキル基を表し、pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよく、ランダム状につながっていてもよい。)
【0089】
本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法において、用いられる化合物、使用量、使用割合、及び条件等は、前述の好適範囲と同様である。例えば、前記ラジカル反応性オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(6)又は(7)で表される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性付与剤を反応させて得られるものが好ましい。
【0091】
(式中、R
21は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
22は反応性官能基を有するアルキル基を表し、pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよく、ランダム状につながっていてもよい。)
【0092】
[毛髪化粧料]
(本発明のグラフトポリマー(成分(A)))
本発明の毛髪化粧料は、本発明のグラフトポリマー(以下「成分(A)」ともいう)を含有する。これにより、柔軟な感触と、手指を髪に通してもヘアスタイルが崩れないセット特性と、より自然な仕上がりが得られる。
【0093】
成分(A)の含有量は、本発明の毛髪化粧料の毛髪のセット力、高湿度下におけるセット保持性、毛髪の感触及び本発明のグラフトポリマーの水分散性の観点から、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。また、かかる含有量とすることで、特に後述する有機溶剤と、有機酸又はその塩を併用した場合に、有機酸及び有機溶剤による毛髪改質効果(まとまり向上等)を妨げることなく、セット力及び高湿度下におけるセット保持性の両性能をより一層向上させることができる。
【0094】
(溶媒)
その他、本発明の毛髪化粧料においては、毛髪のセット力、使用感の良さ、毛髪化粧料を調製する際の操作性の観点から、溶媒として水、炭素数1以上3以下の直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和アルコールから選ばれる1種以上を含有させることができる。中でも、溶媒としては、水、エタノール、及びイソプロパノールから選ばれる1種以上が好ましく、水、エタノールから選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0095】
(有機溶剤(成分(B)))
また、本発明の毛髪化粧料は、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果、改質効果の促進(弾性の向上、耐湿性の向上等)のほか、成分(A)と相溶させることで毛髪のセット力を向上させる観点から、更に、次の(b1)〜(b5)から選ばれる有機溶剤(以下、「成分(B)」という)を好ましい成分として含有することができる。
【0096】
(b1)一般式(8)で表される化合物
【化12】
〔式中、R
6は水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は基R
7−Ph−R
8−(R
7;水素原子、メチル基又はメトキシ基,R
8;結合手又は炭素数1以上3以下の飽和若しくは不飽和の二価の炭化水素基,Ph;パラフェニレン基)を示し、Aは結合手又は炭素数1以上4以下の二価の飽和炭化水素基を示し、Y
2及びZはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示し、r及びsはそれぞれ独立に0以上5以下の整数を示す。ただし、r=s=0であるときは、Zは水酸基であり、またR
6は水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基及び基R
7−Ph−のいずれでもない。〕
(b2)窒素原子に炭素数1以上18以下のアルキル基又はアルケニル基が結合したN−アルキルピロリドン又はN−アルケニルピロリドン
(b3)炭素数2以上4以下のアルキレンカーボネート
(b4)数平均分子量200以上1,000以下のポリプロピレングリコール
(b5)一般式(9)、(10)又は(11)で表されるラクトン又は環状ケトン
【化13】
〔式中、X
2はメチレン基又は酸素原子を示し、R
9及びR
10は相異なる置換基を示し、a及びbはそれぞれ独立に0又は1を示す。〕
【0097】
成分(B)である有機溶剤のうち、(b1)としては、ブタノール、イソブタノール等の炭素数4以上6以下の直鎖又は分岐の脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p−アニシルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0098】
(b2)としては、N−メチルピロリドン、N−オクチルピロリドン、N−ラウリルピロリドン等が挙げられる。
【0099】
(b3)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0100】
(b4)の数平均分子量200以上1,000以下のポリプロピレングリコールとしては、数平均分子量300以上500以下のものが好ましい。ここで、数平均分子量とは、GPCにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0101】
(b5)において、一般式(9)〜(11)中のR
9及びR
10としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基、フェニル基、スルホアルキル基、リン酸アルキル基、カルボキシアルキル基等が好ましく、中でも炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましい。これらの基は、γ−ラクトンの場合にはγ位、δ−ラクトンの場合にはδ位(すなわちヘテロ酸素原子の隣接メチレン)に置換していることが好ましい。また、一般式(9)〜(11)で表される化合物の水溶性を増大させたい場合には、R
9又はR
10としてスルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基等の酸性基や該酸性基が置換したアルキル基を有するのが好ましい。
(b5)のうち、ラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、δ−ヘプタノラクトン等が挙げられるが、ラクトンの安定性の点から、γ−ラクトン、特にγ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトンが好ましい。
(b5)のうち、環状ケトンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4−メチルシクロヘプタノン等が挙げられる。
【0102】
また、本発明で用いる成分(B)は、成分(B)の浸透促進の観点から25℃で液体であることが好ましい。
また成分(B)の浸透促進の観点から、成分(B)のClogPが、好ましくは−2以上、より好ましくは−1以上であり、また、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。ここで、ClogPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配を表す尺度である、下記式(II)で定義されるオクタノール−水−分配係数(logP)の計算値をいい、ケミカルレビューズ,71巻,6号(1971)にその例が記載されている。
logP=log([物質]Octanol/[物質]Water) (II)
〔式中、[物質]Octanolは1−オクタノール相中の物質のモル濃度を、[物質]Waterは水相中の物質のモル濃度を示す。〕
【0103】
主な成分(B)のClogPを具体的に示すと、ジプロピレングリコール(−0.67)、1,3−ブタンジオール(−0.29)、ベンジルアルコール(1.1)、2−ベンジルオキシエタノール(1.2)、2−フェニルエタノール(1.2)、1−フェノキシ−2−プロパノール(1.1)、ポリプロピレングリコール400(0.9)、プロピレンカーボネート(−0.41)、γ−ブチロラクトン(−0.64)である。これら成分(B)のうち、ベンジルアルコール、2−ベンジルオキシエタノールが好ましい。
【0104】
成分(B)は、2種以上を併用してもよく、またその合計含有量は、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果、改質効果の促進(弾性の向上、耐湿性の向上等)のほか、成分(A)と相溶することで毛髪のセット力を向上させる観点から、毛髪化粧料中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0105】
(有機カルボン酸又はその塩(成分(C)))
また、本発明で使用する毛髪化粧料には、成分(B)とともに、毛髪の内部改質(空洞補修など)効果、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果のほか、成分(A)と相溶させることで毛髪のセット力を向上させる観点から、ヒドロキシ基を有していてもよい有機カルボン酸又はその塩(以下、「成分(C)」という)を含有させることができる。この場合、成分(C)の浸透促進の観点から、好ましい成分(B)としては、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート及びポリプロピレングリコール(数平均分子量が好ましくは300以上500以下、より好ましくは400)が挙げられる。
【0106】
成分(C)の有機カルボン酸としては、成分(C)の浸透促進の観点から炭素数2以上8以下の有機カルボン酸が好ましい。
成分(C)の有機カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。中でも、成分(C)の浸透促進の観点から炭素数2以上6以下のヒドロキシカルボン酸が好ましく、とりわけ乳酸、リンゴ酸が好ましい。
これら有機カルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。
【0107】
これら成分(C)は2種以上を併用してもよく、その合計含有量は、毛髪の内部改質(空洞補修など)効果、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果のほか、成分(A)と相溶することで毛髪のセット力を向上させる観点から、毛髪化粧料中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0108】
成分(C)の有機カルボン酸又はその塩と、成分(B)の有機溶剤との質量比((C):(B))は、毛髪の内部改質(空洞補修など)効果、毛髪のハリ及びコシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果などを効果的に発現させるために、好ましくは10:1〜1:7の範囲、より好ましくは4:1〜1:3の範囲である。
【0109】
(セットポリマー(成分(D)))
また、本発明の毛髪化粧料にセットポリマーである成分(A)に加え、更にセットポリマー(以下、「成分(D)」という)を必要に応じて、配合することもできる。
成分(D)のセットポリマーとしては、下記1)〜8)に示すものが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0110】
1)ビニルピロリドン系ポリマー
ポリビニルピロリドン
市販品として、「ルビスコールK12」、「ルビスコールK30」(以上、BASF社製)、「PVP K15」、「PVP K30」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
【0111】
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体
市販品として、「ルビスコールVA28」、「ルビスコールVA73」(以上、BASF社製)、「PVP/VA E−735」、「PVP/VA S−630」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
【0112】
ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体
市販品として、「ルビスコールVAP343」(BASF社製)等が挙げられる。
【0113】
ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体
市販品として、「ルビフレックス」(BASF社製)、「コポリマー845」、「コポリマー937」、「コポリマー958」(Ashland社製)等が挙げられる。
【0114】
ビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体
市販品として、「ルビフレックスVBM35」(BASF社製)等が挙げられる。
【0115】
ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体
市販品として、「コポリマーVC−713」(Ashland社製)等が挙げられる。
【0116】
2)酸性ビニルエーテル系ポリマー
メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体
市販品として、「ガントレッツES−225」、「ガントレッツES−425」、「ガントレッツSP−215」(以上、Ashland社製)等が挙げられる。
【0117】
3)酸性ポリ酢酸ビニル系ポリマー
酢酸ビニル/クロトン酸共重合体
市販品として、「レジン28−1310」(アクゾノーベル社製)、「ルビセットCA66」(BASF社製)等が挙げられる。
【0118】
酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体
市販品として、「レジン28−2930」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
【0119】
酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体
市販品として、「ルビセットCAP」(BASF社製)等が挙げられる。
【0120】
4)酸性アクリル系ポリマー
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
市販品として、「プラスサイズL53P」(互応化学工業(株)製)、「ダイヤホールド」((株)三菱ケミカルホールディングス製)等が挙げられる。
【0121】
アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体
市販品として、「ウルトラホールド8」(BASF社製)、「アンフォーマーV−42」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
【0122】
5)両性アクリル系ポリマー
(メタ)アクリルエチルベタイン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
例えば、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインと、(メタ)クリル酸アルキルエステルとの共重合体等が例示され、市販品としては「ユカフォーマーM−75」、「ユカフォーマーSM」(以上、(株)三菱ケミカルホールディングス製)等が挙げられる。
【0123】
アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチル
アミド共重合体
例えば、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー等が例示され、市販品として、「アンフォーマー28−4910」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
【0124】
6)塩基性アクリル系ポリマー
アクリルアミド・アクリルエステル系共重合体
例えば、特開平2−180911号公報、特開平8−291206号公報の実施例に記載されているもの等が挙げられる。
【0125】
7)セルロース誘導体
カチオン性セルロース誘導体
市販品として、「セルコートH−100」、「セルコートL−200」(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。
【0126】
8)キチン・キトサン誘導体
ヒドロキシプロピルキトサン
市販品として、「キトフィルマー」(一丸ファルコス(株)製)等が挙げられる。
【0127】
カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、キトサンとピロリドンカルボン酸、乳酸、グリコール酸等の一価酸又はアジピン酸、コハク酸等の二価酸との塩 市販品として、「カイトマーPC」(ピロリドンカルボン酸塩)、「カイトマーL」(乳酸塩)(以上、ダウケミカル社製)等が挙げられる。
【0128】
これらのセットポリマーの中で、アクリル系ポリマー及びビニルピロリドン系ポリマーから選ばれるセットポリマーが特に好ましい。セットポリマーの含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0129】
(コンディショニング成分)
本発明で使用する毛髪化粧料には、コンディショニング効果の更なる向上のため、油剤及びシリコーン類(但し、本発明の成分(A)を除く)から選ばれるコンディショニング成分を含有させることができる。
【0130】
油剤は、乾燥後の毛髪まとまり感向上のために使用される。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、流動バラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;コレステロール、ワセリン、コレステリルイソステアレート、スフィンゴ脂質等の固体脂;その他、ホホバ油、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらの中で、スクワレン、スクワラン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー等の分岐炭化水素類が特に好ましい。
【0131】
油剤の含有量は、まとまりの良さや、べたつき感のなさの点から、毛髪化粧料中、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0132】
シリコーン類(但し、本発明の成分(A)を除く)としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が例示される。中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
【0133】
ジメチルポリシロキサンは、毛髪に良好な潤滑性を付与することができ、ポリエーテル変性シリコーンは、毛髪に滑らかさを付与することができ、アミノ変性シリコーンは、毛髪にしっとり感を付与することができる。本発明においては、求める性能に応じて、各種のシリコーン類を単独で又は2種以上を使用することができる。
ジメチルポリシロキサンとしては、求める感触に応じて5mm
2/s程度の粘度のものから、エマルションとして供給される場合が多い1,000万mm
2/s程度の粘度のものまで使用できる。ジメチルポリシロキサンの粘度は、好ましくは5,000mm
2/s以上、より好ましくは5万mm
2/s以上であり、また、好ましくは1,000万mm
2/s以下、より好ましくは1,000万mm
2/sである。なお、上記粘度は25℃における粘度である。
【0134】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン類であればよく、ポリオキシアルキレン基を構成する基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を挙げることができる。市販品としては、例えば、「KF−6015」、「KF−945A」、「KF−6005」、「KF−6009」、「KF−6013」、「KF−6019」、「KF−6029」、「KF−6017」、「KF−6043」、「KF−353A」、「KF−354A」、「KF−355A」(以上、信越化学工業(株)製)、「FZ−2404」、「SS−2805」、「FZ−2411」、「FZ−2412」、「SH3771M」、「SH3772M」、「SH3773M」、「SH3775M」、「SH3749」、「SS−280Xシリーズ」、「BY22−008M」、「BY11−030」、「BY25−337」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0135】
アミノ変性シリコーンとしては、平均分子量が約3,000以上10万以下の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国、Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。市販品としては、「SM 8704C」(東レ・ダウコーニング(株)製)、「DC 929」(ダウ・コーニング社製)、「KT 1989」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、「8500 Conditioning Agent」、「DOW CORNING TORAY SS−3588」、「DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104」(東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0136】
シリコーン類(但し、本発明の成分(A)を除く)の含有量は、指通り性や、べたつき感のなさの点から、本発明の毛髪化粧料中、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0137】
(界面活性剤)
本発明の毛髪化粧料には、溶剤の可溶化、分散性等を含めた系の安定性、及び感触向上の点から、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びアニオン界面活性剤のいずれをも使用できる。
【0138】
カチオン界面活性剤としては、次の一般式(12)で表されるアンモニウム塩又は第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【化14】
〔式中、R
15及びR
16は各々独立して水素原子、炭素数1以上28以下のアルキル基又はベンジル基を示し、同時に水素原子、ベンジル基若しくは炭素数1以上3以下の低級アルキル基又はこれらの組み合わせとなる場合を除く。An-はアンモニウム又は4級アンモニウムの対イオンを示す。〕
【0139】
ここでR
15及びR
16は、その一方が炭素数16以上24以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数22のアルキル基であることがより好ましく、更に炭素数22の直鎖アルキル基であるのが好ましい。また他方は炭素数1以上3以下の低級アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。An-としては、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0140】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられ、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、又は塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0141】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルがより好ましい。
【0142】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。中でも、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8以上18以下のアシル基を有する者が好ましく、炭素数10以上16以下のアシル基を有するものがより好ましく、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが更に好ましい。
【0143】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1個以上3個以下有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
【0144】
これらのうち、本発明の毛髪化粧料を使用した際の感触の観点から、カチオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料を使用した際の感触の観点、及び溶剤や油剤を配合する場合の該溶剤や油剤の可溶化、乳化等を含めた系の安定性の点から、毛髪化粧料中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0145】
(多価アルコール)
更に、本発明で使用する毛髪化粧料には、成分(B)以外の多価アルコールを含有させることができる。多価アルコールは、成分(B)の可溶化、安定分散に寄与し、また、成分(B)と相乗的に働き、ツヤや毛髪の改質効果の向上を促進する。多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられ、グリセリンが好ましい。
多価アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
多価アルコールの含有量は、毛髪化粧料中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0146】
(その他の成分)
本発明で使用する毛髪化粧料には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的、用途、剤型等に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;ビタミン剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、粘土鉱物等の粘度調整剤;有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;植物エキス類;パール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【0147】
(毛髪化粧料の形態)
本発明で使用する毛髪化粧料は、常法に従い各種剤型に調製することができ、例えば、ミスト、ローション、トニック等の液状組成物だけなく、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ワックス状等の半固形状組成物とすることができる。
【0148】
また、本発明の毛髪化粧料は、噴射剤を含有させてエアゾール型毛髪化粧料としてもよい。噴射剤としては、通常エアゾール型化粧料に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、プロパン、ブタン又はそれらの混合物(液化石油ガスを含む)等の低級飽和炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等を使用することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
噴射剤の含有量は、本発明の毛髪化粧料(但し噴射剤を除く)に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0149】
さらに、本発明の毛髪化粧料は、成分(A)のオルガノポリシロキサンを含有する組成物を泡吐出容器に充填することにより、ノンエアゾール型毛髪化粧料とすることができる。泡吐出容器としては、組成物を空気と混合し、泡状態として吐出させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー、ポンプ機構を備えたキャップの頭を手指で押圧することにより使用されるポンプフォーマー、トリガータイプ等が挙げられる。
【0150】
スクイズフォーマーとしては、実公昭62−042785号公報、実公昭62−042786号公報、実公昭62−042787号公報に記載のもの、またそれに準ずるものが挙げられ、また、ポンプフォーマーとしては特開平7−315463号公報、特開平08−230961号公報等に記載のもの、またそれに準ずるものが挙げられる。これらの容器は、より泡質を向上させる目的で、吐出部に網体を装着させる場合が多く、その中でも100メッシュ以上300メッシュ以下の網体を1枚ないし2枚装着させたものが好ましい。
【0151】
このような毛髪化粧料は、ヘアスタイリング剤、ヘアコンディショニング剤等として用いるのが好ましく、その剤型としては、ポンプスプレー、エアゾールスプレー、ポンプフォーム、エアゾールフォーム、ジェル、ローション、ミスト、クリーム等が好ましい。中でも、ポンプスプレー、ポンプフォーム、エアゾールフォームがより好ましい。
【0152】
上述した実施の形態に関し、本発明はさらに以下のオルガノポリシロキサングラフトポリマー、それを含有する毛髪化粧料などを開示する。
【0153】
<1>主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメント、及び側鎖としてカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーであって、
該オルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、オルガノポリシロキサンセグメントの含有量が35質量%以上59質量%以下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上17質量%以下であり、かつホモポリマーを形成した場合にガラス転移点が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量が14質量%以下であり、該オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000以上20万以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0154】
<2>前記オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が、好ましくは10000以上、より好ましくは11000以上、更に好ましくは12000以上であり、また、好ましくは10万以下、より好ましくは5万以下、更に好ましくは3万以下である、前記<1>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<3>前記オルガノポリシロキサンセグメント中の隣接する不飽和単量体由来の共重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)が好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは1000以上であり、また、好ましくは3万以下、より好ましくは2万以下、更に好ましくは4000以下である、前記<1>又は<2>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0155】
<4>前記オルガノポリシロキサンセグメントが、下記一般式(1)又は(2)で表される変性オルガノポリシロキサンセグメントである、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【化15】
(一般式(1)及び(2)中、R
1は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
2は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基を表す。pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。式中、p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよいし、ランダム状につながっていてもよい。)
<5>前記一般式(1)及び(2)において、R
1が炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐状のアルキル基、好ましくは炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐状のアルキル基、より好ましくはメチル基である、前記<4>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<6>前記一般式(1)及び(2)において、pが好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは80以上、より更に好ましくは100以上の数であり、また、好ましくは1500以下、より好ましくは1300以下、より好ましくは900以下、更に好ましくは500以下、より更に好ましくは200以下の数である、前記<4>又は<5>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<7>前記一般式(1)及び(2)において、qが、好ましくは3以上の数であり、また、好ましくは150以下、より好ましくは110以下、より好ましくは70以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下の数である、前記<4>〜<6>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<8>前記一般式(1)及び(2)において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
2)の炭素数が好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である、前記<4>〜<7>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<9>前記一般式(1)及び(2)におけるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
2)のヘテロ原子、好ましくは窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子、より好ましくは硫黄原子を介して不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合している、前記<4>〜<8>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0156】
<10>前記一般式(1)及び(2)におけるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
2)が下記式(i)〜(xii)から選ばれる基、好ましくは下記式(xi)及び(xii)から選ばれる基である、前記<4>〜<9>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【化16】
(式(i)〜(xii)中、*は、前記一般式(1)又は(2)におけるケイ素原子に結合する部位を表し、**は、不飽和単量体由来の共重合体セグメントに結合する部位を表す。
式(xii)中、X
1は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる一種以上であり、式(xii)中、R
2は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2〜4の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよいアルキレン基である。)
【0157】
<11>前記式(xii)において、X
1が−CONH−又は−NHCO−、好ましくは−NHCO−である、前記<10>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<12>前記式(xii)において、R
2がアセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキレン基である、前記<10>又は<11>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<13>前記式(xii)において、R
2が下記式(xiii)〜(xiv)から選ばれる基である、前記<10>〜<12>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【化17】
【0158】
<14>前記カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位が、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸からなる群より選ばれる1種以上の不飽和単量体由来の繰り返し単位、好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸からなる群より選ばれる1種以上の不飽和単量体由来の繰り返し単位、より好ましくは(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位である、前記<1>〜<13>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<15>オルガノポリシロキサングラフトポリマー中のオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が、好ましくは38質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である、前記<1>〜<14>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<16>オルガノポリシロキサングラフトポリマー中の不飽和単量体由来の共重合体セグメントの含有量が、41質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、また、65質量%以下、好ましくは62質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である、前記<1>〜<15>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<17>オルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が、好ましくは4.5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは14質量%以下、より好ましくは11質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である、前記<1>〜<16>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<18>不飽和単量体由来の共重合体セグメント中におけるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量は、好ましくは6質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは17質量%以上であり、また、好ましくは41質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは18質量%以下である、前記<1>〜<17>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<19>オルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、ホモポリマーを形成した場合にガラス転移点が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量が好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<18>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<20>前記カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントが、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体以外に、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体由来の繰返し単位を含有する、前記<1>〜<19>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<21>前記カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体由来の繰返し単位が、イオン性の基を持たない不飽和単量体由来の繰返し単位、好ましくはオレフィン、ハロゲン化オレフィン、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類からなる群より選ばれる1種以上の不飽和単量体由来の繰返し単位、より好ましくは(メタ)アクリルアミド類及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種以上の不飽和単量体由来の繰返し単位である、前記<20>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<22>前記オルガノポリシロキサングラフトポリマー中における、前記カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が、好ましくは24質量%以上、より好ましくは28質量%以上であり、また、好ましくは61質量%以下、より好ましくは55質量%以下である、前記<20>又は<21>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<23>不飽和単量体由来の共重合体セグメント中における、前記カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が、好ましくは59質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは82質量%以上であり、また、好ましくは94質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは83質量%以下である、前記<20>〜<22>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<24>前記オルガノポリシロキサンセグメント(a)と前記不飽和単量体由来の共重合体セグメント(b)との質量比(a/b)が、好ましくは35/65以上、より好ましくは38/62以上、更に好ましくは40/60以上、より更に好ましくは45/55以上であり、また、好ましくは59/41以下、より好ましくは55/45以下、更に好ましくは50/50以下である、前記<1>〜<23>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<25>数平均分子量(MNt)が好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、また、好ましくは300,000以下、より好ましくは250,000以下、更に好ましくは100,000以下、より更に好ましくは50,000以下である、前記<1>〜<24>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<26>不飽和単量体由来の共重合体セグメントの数平均分子量(MNy)は、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは1500以上であり、また、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは6000以下である、前記<1>〜<25>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0159】
<27>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含有する不飽和単量体をラジカル重合して得られる、前記<1>〜<26>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<28>前記ラジカル反応性オルガノポリシロキサンが、下記一般式(4)又は(5)で示されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンである、前記<27>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【化18】
(一般式(4)及び(5)中、R
11は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
12は、ラジカル反応性官能基を有するアルキル基を表す。pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。式中、p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよいし、ランダム状につながっていてもよい。)
<29>ラジカル反応性官能基が、エチレン性不飽和基、ハロゲノ基、及びスルファニル基から選ばれる基、好ましくはスルファニル基である、前記<28>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<30>前記一般式(4)及び(5)において、R
11が炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐状のアルキル基、好ましくは炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐状のアルキル基、より好ましくはメチル基である、前記<28>又は<29>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<31>前記一般式(4)及び(5)において、pが好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは80以上、より更に好ましくは100以上の数であり、また、好ましくは1500以下、より好ましくは1300以下、より好ましくは900以下、更に好ましくは500以下、より更に好ましくは200以下の数である、前記<28>〜<30>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<32>前記一般式(4)及び(5)において、qが好ましくは3以上の数であり、また、好ましくは150以下、より好ましくは110以下、より好ましくは70以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下の数である、前記<28>〜<31>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<33>前記一般式(4)及び(5)において、R
12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である、前記<28>〜<32>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<34>前記一般式(4)及び(5)において、R
12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基が、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
13CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されている、前記<28>〜<33>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<35>前記一般式(4)及び(5)において、R
12で示されるラジカル反応性基含有アルキル基が、下記式(xvii)〜(xx)で表される基から選ばれる基、好ましくは下記式(xix)又は(xx)で表される基である、前記<28>〜<34>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【化19】
(式(xx)中、X
11は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる一種以上であり、式(xx)中、R
14は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2〜4の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよいアルキレン基、好ましくはアセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキレン基である。)
<36>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性官能基のモル数が、好ましくは1/500mol/g以下、より好ましくは1/700mol/g以下、更に好ましくは1/1000mol/g以下、より更に好ましくは1/1500mol/g以下であり、また、好ましくは1/3万mol/g以上、より好ましくは1/2万mol/g以上、更に好ましくは1/1万mol/g以上、より更に好ましくは1/4000mol/g以上である、前記<27>〜<35>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<37>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量が、8000以上、好ましくは10000以上、好ましくは11000以上、更に好ましくは12000以上であり、また、20万以下、好ましくは10万以下、より好ましくは5万以下、更に好ましくは3万以下である、前記<27>〜<36>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0160】
<38>前記ラジカル反応性オルガノポリシロキサンが、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性付与剤を反応させて得られた物である、前記<27>〜<37>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<39>前記ラジカル反応性オルガノポリシロキサンが、下記一般式(6)又は(7)で示される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、ラジカル反応性付与剤とを反応させて得られた物である、前記<27>〜<38>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【化20】
(一般式(6)及び(7)中、R
21は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
22は反応性官能基を有するアルキル基を表す。pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。式中、p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよいし、ランダム状につながっていてもよい。)
【0161】
<40>反応性官能基が、水酸基、アミノ基、カルボキシ基及びエポキシ基から選ばれる基、好ましくは水酸基、アミノ基、又はエポキシ基、より好ましくはアミノ基である、前記<38>又は<39>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<41>前記一般式(6)及び(7)において、R
21が炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐状のアルキル基、好ましくは炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐状のアルキル基、より好ましくはメチル基である、前記<39>又は<40>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<42>前記一般式(6)及び(7)において、pが好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは80以上、より更に好ましくは100以上の数であり、また、好ましくは1500以下、より好ましくは1300以下、より好ましくは900以下、更に好ましくは500以下、より更に好ましくは200以下の数である、前記<39>〜<41>ずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<43>前記一般式(6)及び(7)において、qが好ましくは3以上の数であり、また、好ましくは150以下、より好ましくは110以下、より好ましくは70以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下の数である、前記<39>〜<42>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<44>前記一般式(6)及び(7)において、R
22で示される反応性基含有アルキル基の炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは15以下、り好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である、前記<39>〜<43>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<45>前記一般式(6)及び(7)において、R
22で示される反応性基含有アルキル基が、前記式(xxi)〜(xxviii)から選ばれる基、好ましくは前記式(xxi)〜(xxiv)から選ばれる基、より好ましくは前記式(xxiv)である、前記<39>〜<44>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<46>反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの数平均分子量が、好ましくは8000以上、より好ましくは10000以上、更に好ましくは11000以上、より更に好ましくは12000以下であり、また、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下、より更に好ましくは3万以下である、前記<38>〜<45>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<47>反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在する反応性官能基のモル数が、好ましくは1/500mol/g以下、より好ましくは1/700mol/g以下、更に好ましくは1/1000mol/g以下、より更に好ましくは1/1500mol/g以下であり、また、好ましくは1/3万mol/g以上、より好ましくは1/2万mol/g以上、更に好ましくは1/1万mol/g以上、より更に好ましくは1/4000mol/g以上である、前記<38>〜<46>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0162】
<48>ラジカル反応性付与剤が、分子内にラジカル反応性官能基と、カルボキシ基、エステル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、ラクトン類から選ばれる一種以上の官能基とを有する化合物、又は置換基を有していてもよいチオラクトン類である、前記<38>〜<47>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<49>ラジカル反応性付与剤のラジカル反応性官能基が、エチレン性不飽和基、ハロゲノ基、及びスルファニル基から選ばれる基、好ましくはスルファニル基である、前記<48>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<50>ラジカル反応性付与剤が、3−メルカプトプロピオン酸、γ−ブチロラクトンチオール、γ−チオブチロラクトン、N−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトン、及びDL−ホモシステインチオラクトン塩酸塩から選ばれる1種以上の化合物、好ましくはN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンである、前記<38>〜<49>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<51>ラジカル反応性付与剤の使用量が、好ましくは0.8当量以上、より好ましくは0.9当量以上であり、また、好ましくは1.2当量以下、より好ましくは1.1当量以下である、前記<38>〜<50>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0163】
<52>オルガノポリシロキサングラフトポリマーが、好ましくはグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が45質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上9質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が32質量%以上51質量%以下であり、より好ましくはオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が50質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が5質量%以上7質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が34質量%以上45質量%以下である、前記<1>〜<51>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<53>オルガノポリシロキサングラフトポリマーが、好ましくはグラフトポリマー中におけるオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が45質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が8質量%以上17質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が24質量%以上47質量%以下であり、より好ましくはオルガノポリシロキサンセグメントの含有量が50質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が10質量%以上15質量%以下、かつ共重合体単量体由来の繰返し単位の含有量が24質量%以上40質量%以下である、前記<1>〜<51>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<54>オルガノポリシロキサングラフトポリマーが、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと不飽和単量体の総量に対して、好ましくは45質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、4質量%以上9質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び32質量%以上51質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものであり、より好ましくは50質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、5質量%以上7質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び34質量%以上45質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものである、前記<1>〜<51>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
<55>オルガノポリシロキサングラフトポリマーが、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと不飽和単量体の総量に対して、好ましくは45質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、8質量%以上17質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び24質量%以上47質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものであり、より好ましくは50質量%以上59質量%以下のラジカル反応性オルガノポリシロキサン、10質量%以上15質量%以下であるカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体及び26質量%以上40質量%以下である共重合単量体を反応させて得られるものである、前記<1>〜<51>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー。
【0164】
<56>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含有する不飽和単量体をラジカル重合する、前記<1>〜<55>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<57>重合が、溶媒の存在下に行われる溶液重合である、前記<56>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<58>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの使用量が、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは35質量%以上、より好ましくは38質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは59質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である、前記<56>又は<57>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<59>不飽和単量体の使用量が、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは41質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは65質量%以下、より好ましくは62質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは55質量%以下である、前記<56>〜<58>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<60>カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の使用量は、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは4.0質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは17質量%以下、より好ましくは14質量%以下、更に好ましくは11質量%以下、より更に好ましくは9質量%以下である、前記<56>〜<59>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<61>共重合単量体の使用量は、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは24質量%以上、より好ましくは28質量%以上であり、また、61質量%以下、好ましくは質量55%以下である、前記<56>〜<60>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<62>Tgが150℃以上の不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)の使用量が、原料となるラジカル反応性オルガノポリシロキサンと原料となる不飽和単量体の総量に対して、好ましくは14質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下であり、下限が0質量%である、前記<56>〜<61>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<63>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと不飽和単量体の総量に対して、好ましくはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの使用量が45質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の使用量が4質量%以上9質量%以下、かつ共重合単量体の使用量が32質量%以上51質量%以下であり、より好ましくはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの使用量が50質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の使用量が5質量%以上7質量%以下、かつ共重合単量体の使用量が34質量%以上45質量%以下である、前記<56>〜<62>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<64>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと不飽和単量体の総量に対して、好ましくはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの使用量が45質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の使用量が8質量%以上17質量%以下、かつ共重合単量体の使用量が24質量%以上47質量%以下であり、より好ましくはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの使用量が50質量%以上59質量%以下、かつカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体の使用量が10質量%以上15質量%以下、かつ共重合単量体の使用量が26質量%以上40質量%以下である、前記<56>〜<63>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<65>溶媒が、水、炭素数1以上8以下のアルコール、炭素数2以上8以下のエステル、及び炭素数2以上8以下のエーテルから選ばれる1種以上の溶媒、好ましくは水、炭素数1以上3以下のアルコールから選ばれる1種以上である、前記<56>〜<64>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<66>溶媒の使用量が、ラジカル反応性オルガノポリシロキサン及び不飽和単量体の総量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは100質量%以上であり、また、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは900質量%以下、更に好ましくは400質量%以下、より更に好ましくは300質量%以下である、前記<56>〜<65>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
【0165】
<67>重合を重合開始剤、好ましくはアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、及び過硫酸系開始剤から選ばれる重合開始剤、より好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、及び過硫酸アンモニウムから選ばれる重合開始剤、更に好ましくは2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の存在下に行う、前記<56>〜<66>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<68>重合開始剤の使用量が、投入する不飽和単量体の総質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下であり、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上である、前記<56>〜<67>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<69>重合反応を、不飽和単量体の転化率が80%以上、好ましくは90%以上になるまで行う、前記<56>〜<68>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<70>重合反応時間が、0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上、より更に好ましくは4時間以上であり、また、60時間以下、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは10時間以下である、前記<56>〜<69>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<71>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンが、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性付与剤を反応させて得られる、前記<56>〜<70>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<72>反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとラジカル反応性付与剤との反応時間が、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、また、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である、前記<71>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<73>反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとラジカル反応性付与剤との反応温度が、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下である、前記<71>又は<72>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<74>反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとラジカル反応性付与剤との反応を、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの反応性官能基とラジカル反応性付与剤の少なくとも一方の転化率が、80%以上、好ましくは90%以上となるまで行う、前記<71>〜<73>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
<75>主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメント、及び側鎖としてカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位を含む不飽和単量体由来の共重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法であって、
下記一般式(4)又は(5)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの存在下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を含む不飽和単量体を重合させ、
得られるオルガノポリシロキサングラフトポリマー中の、オルガノポリシロキサンセグメントの含有量が35質量%以上59質量%以下、カルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体由来の繰返し単位の含有量が4質量%以上17質量%以下であり、かつホモポリマーを形成した場合にガラス転移点が150℃以上となる不飽和単量体(但しカルボン酸又はその塩を有する不飽和単量体を除く)由来の繰返し単位の含有量が14質量%以下であり、オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000以上20万以下である、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
【化21】
(式中、R
11は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
12は、ラジカル反応性官能基を有するアルキル基を表し、pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよく、ランダム状につながっていてもよい。)
<76>ラジカル反応性オルガノポリシロキサンが、下記一般式(6)又は(7)で表される反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンにラジカル反応性付与剤を反応させて得られるものである、<75>に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造方法。
【化22】
(式中、R
21は、それぞれ独立に炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基を表し、R
22は反応性官能基を有するアルキル基を表し、pは、2以上4000以下の数を表し、qは、2以上250以下の数を表す。p個の繰返し単位とq個の繰返し単位の結合様式は、それぞれの繰返し単位がブロック状につながっていてもよく、ランダム状につながっていてもよい。)
<77>前記<1>〜<55>のいずれかに記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する毛髪化粧料。
【実施例】
【0166】
以下の実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
<反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン、及びラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量のGPC測定条件>
カラム:「K−804L」(東ソー(株)製)2つを直列につないで使用
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル濃度及びサンプル量:5mg/mL、500μL
上記条件を用い、ポリスチレン換算で、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンの数平均分子量(MNxm)、又はラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量(MNx)を測定した。
【0167】
<側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン)の単位質量当たりのアミノ基のモル数の算出>
側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基量は、ASTM D 2073に準拠した方法で行った。具体的には、フラスコに試料(側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン)を約10gはかりとり、エタノールを50mL加えて撹拌し、電位差滴定装置を用いて0.2mol/Lのエタノール性塩酸溶液で滴定し、同時にブランク試験を行って補正して測定した。
【0168】
<側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン)から合成したスルファニル基変性オルガノポリシロキサン(ラジカル反応性オルガノポリシロキサン)の単位質量当たりのスルファニル基のモル数の算出>
側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンとラジカル反応性付与剤との反応により得られたスルファニル基変性オルガノポリシロキサン(ラジカル反応性オルガノポリシロキサン)を含む混合物のアミノ基量及び前記側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基量から、反応により消費されたアミノ基量を測定した。スルファニル基変性オルガノポリシロキサンを含む混合物のアミノ基量の測定は、試料としてスルファニル基変性オルガノポリシロキサンを含む混合物を用いた他は、前記側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基量の測定と同様に行った。
【0169】
アミノ基量の測定結果から、まずアミノ基の転化率;α(%)を下記式(IV)により求めた。
α(%)=[1−{a1×(f+g)/(a0×f)}]×100 (IV)
上式中、a0、a1は、それぞれ側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基のモル数、及びラジカル反応性付与剤との反応後の反応混合物中の単位質量当たりのアミノ基のモル数を表し、fは側鎖一級アミノプロピルオルガノポリシロキサンの仕込み総質量、gはラジカル反応性付与剤の仕込み総質量を示す。
【0170】
反応後のラジカル反応性オルガノポリシロキサン上には、反応により消費されたアミノ基と同数のスルファニル基が生成したと見なして、下記計算式(V)から、スルファニル基変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数(S)を算出した。
S(mol/g)=(a0×f×α/100)/[f+(a0×f×α/100)×h]
(V)
上式中、a0、fは、それぞれ上記式(IV)中のa0、fと同じ意味を示し、hはラジカル反応性付与剤の分子量を表す。
【0171】
<スルファニル基(メルカプト基)の残存率の測定方法>
5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(和光純薬工業(株)製)0.05mMエタノール溶液を調製し、溶液Aとした。実施例で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーの4〜10質量%エタノール溶液を調製し、溶液Bとした。10mLスクリュー管にほう酸塩pH標準液(pH9.18)(和光純薬工業(株)製)100μL、溶液A 5mL、溶液B 1mLを加え、ふたをして5秒振り混ぜた。この溶液の412nmの吸光度から測定される残存スルファニル基量(S1)から、スルファニル基の残存率を算出し、更にスルファニル基の転化率を算出した。
UV測定装置:UV可視分光光度計((株)島津製作所製)
セルの光路長:1cm
残存スルファニル基量S1(mol/g)=(2350×I+0.0058)/1000
スルファニル基の残存率(%)=S1/S×(c+d)/c×100 (VI)
スルファニル基の転化率(%)=100−スルファニル基の残存率(%) (VII)
上式中、IはUV可視分光光度計により測定される412nmの吸光度を表し、Sはスルファニル基変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数を表し、c、dはそれぞれ製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量及び製造時に投入される不飽和単量体の総質量を表す。
【0172】
<不飽和単量体の転化率測定方法>
重合反応時の不飽和単量体の転化率は核磁気共鳴(
1H−NMR)分析を用い、以下の条件で未反応の不飽和単量体を測定し、転化率を算出した。
オルガノポリシロキサングラフトポリマーを重クロロホルム中に2質量%溶解させ、核磁気共鳴(
1H−NMR)装置「Mercury 400」(Varian社製)を用いて測定した。測定条件は、測定モードをProton 1D、測定温度を室温、積算回数を32回とした。MAA、tBuAA、PEGMAの転化率は、それぞれのアルケニル基(5.5〜6.3ppm)と、不飽和単量体由来の重合体セグメント中のアルキル基もしくはアルコキシ基(MAAのメチル基:0.8〜1.5ppm付近、tBuAAのtert−ブチル基:1.0〜1.4ppm、PEGMAのメトキシ基:3.0〜3.4ppm付近)の積分比より求めた。
【0173】
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーのグラフト点間分子量(MNg)>
原料に用いたラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数及び前記<スルファニル基の残存率の測定方法>で得られたスルファニル基の残存率から、不飽和単量体と反応した単位質量当たりのスルファニル基のモル数を求め、その逆数からグラフト点間分子量を算出する。
【0174】
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーの数平均分子量(MNt)>
ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量と、オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の共重合体セグメント(b)との質量比(a/b)とから以下のように求める。
オルガノポリシロキサングラフトポリマーの数平均分子量 = ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの数平均分子量 × (1 + b/a)
【0175】
<不飽和単量体由来の共重合体セグメントの数平均分子量(MNy)>
グラフト点間分子量とオルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の共重合体セグメント(b)との質量比(a/b)とから以下のように求める。
不飽和単量体由来の共重合体セグメントの数平均分子量 = グラフト点間分子量 × b/a
【0176】
合成例1
(ラジカル反応性オルガノポリシロキサンαの合成)
還流冷却管、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(東レ・ダウコーニング(株)製、単位質量当たりのアミノ基のモル数;1/1970mol/g、数平均分子量14000)を200g、N−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンを16g仕込んだ。窒素雰囲気下で、100℃に昇温し、3時間撹拌し、スルファニル基を有するラジカル反応性オルガノポリシロキサンαを合成した。電位差滴定測定によりアミノ基の残存量を測定したところ、原料とした側鎖一級アミノイソプロピル変性オルガノポリシロキサンのアミノ基の99%がN−アセチル−DL−ホモシステインチオラクトンと反応していた(アミノ基転化率99%)。したがって、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンαの単位質量当たりのスルファニル基のモル数は、1/2100mol/gとなる。GPC測定により求めたラジカル反応性オルガノポリシロキサンαの数平均分子量は、14000であった。
【0177】
合成例2〜4
合成例1において、側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのアミノ基のモル数及び数平均分子量を表1に示す条件に変えた側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサンを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンβ〜δを得た。
【0178】
【表1】
【0179】
実施例1
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーAの合成>
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール17gを仕込んだ。窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)及び溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に3時間かけて滴下した。その後、エタノールを還流させながら1時間撹拌したのち、下記溶液(c)を1時間かけて滴下した。
溶液(a):メタクリル酸(和光純薬工業(株)製、以下「MAA」という)4.6g、N−tert−ブチルアクリルアミド(和光純薬工業(株)製、以下「tBuAA」という)27g、メタクリル酸ポリエチレングリコール(9)モノメチルエーテル(日本乳化剤(株)製、以下「PEGMA」という)14g、エタノール110gを混合した溶液。
溶液(b):上記合成例1にて合成したラジカル反応性オルガノポリシロキサンα 30g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)「V−65B」(和光純薬工業(株)製、アゾ系重合開始剤)0.4g、エタノール30gを混合した溶液。
溶液(c):2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)「V−65B」(和光純薬工業(株)製、アゾ系重合開始剤)0.4g、エタノール20gを混合した溶液。
【0180】
滴下終了後、エタノールを還流させながら1時間撹拌したのち、MAA、tBuAA、PEGMAの転化率を測定したところ、それぞれ99%、95%、99%であった。反応溶液を室温まで放冷し、中和剤としてアミノメチルプロパノール(和光純薬工業(株)製)4.7gを加えた。反応時間は計6時間である。反応混合物から室温(25℃)、減圧下(20kPa)で4時間かけてエタノールを除去し、オルガノポリシロキサングラフトポリマーAを含む混合物を白色固体として得た。上記方法でスルファニル基の残存率を測定したところ、1%であった。
得られた混合物中のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの不飽和単量体由来の共重合体セグメントの数平均分子量(MNy)について前記の方法に従って測定したところ、2500であった。また、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの数平均分子量MNtを算出したところ、3.1万であった。
【0181】
実施例2〜9、比較例1〜4、7、8
<オルガノポリシロキサングラフトポリマーB〜I及びJ〜M、P、Qの合成>
実施例1において、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの種類、仕込み量、不飽和単量体の種類、仕込み量を表2に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、オルガノポリシロキサングラフトポリマーB〜I及びJ〜M、P、Qを含む混合物を得た。ここで、表中の数字は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサン及び不飽和単量体の仕込み総質量を100質量部とした場合の各成分の仕込み質量部を示す。
なお、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンεとしては、市販のラジカル反応性オルガノポリシロキサン「KF−2001」(信越化学工業(株)製、単位質量当たりのスルファニル基のモル数1/2000mol/g、数平均分子量6700)を使用した。
【0182】
比較例5
特表平10−512233号公報の実施例49に記載の方法に従って、オルガノポリシロキサングラフトポリマーNを得た。
【0183】
比較例6
特開2009−161598号公報の実施例5に記載の方法に従って、オルガノポリシロキサングラフトポリマーOを得た。
【0184】
比較例9
国際公開第2011/062210号の合成例1に記載の方法に従って、オルガノポリシロキサングラフトポリマーRを得た。
【0185】
得られた実施例1〜9、比較例1〜9のオルガノポリシロキサングラフトポリマーの物性を表3に示す。
【0186】
【表2-1】
【0187】
【表2-2】
【0188】
【表3-1】
【0189】
【表3-2】
【0190】
[評価]
<弾性率>
実施例1〜9及び比較例1〜4、7、8で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーを試料として用い、弾性率を下記の方法に従って測定した。なお、比較例5及び6で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーについては、後述の毛髪セット性評価で劣る結果となったため弾性率測定を行わなかった。
【0191】
オルガノポリシロキサングラフトポリマーのエタノール又は酢酸エチル溶液(50質量%)を適量ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレにキャストし、室温にて窒素フロー下、3〜5日間乾燥させた。その後、80℃にて3〜8時間減圧乾燥を行い、厚さ約1mmの淡黄色透明皮膜を得た。得られた皮膜をカットして弾性率測定の試料として用いた。
測定装置:動的粘弾性測定装置「DVA−225」(アイティー計測制御(株)製)
測定モード:せん断モード
歪み:0.01〜0.1%
周波数:1Hz
試料サイズ:(0.6〜1.5)×(7〜10)×(5〜6)mm
測定温度:−50〜200℃
室温(20℃)の弾性率及び高温(140℃)の弾性率を測定した。結果を表4に示す。
【0192】
<軟化点>
軟化点は、上記弾性率の測定結果において、20℃の弾性率が45%以上減少したときの温度と定義した。
【0193】
<毛髪セット性>
実施例1〜9及び比較例1〜4、7,8で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーを試料として用い、オルガノポリシロキサングラフトポリマー混合物の5質量%エタノール溶液を調製し、下記の方法に従って毛髪セット性評価を行った。
【0194】
(評価条件)
長さ30cm、重さ6gのコーカシアンカーリーの未化学処理毛の毛束(根元の毛束幅3cm)、を評価に用いた。この毛束を水で十分に濡らした後タオルドライし、各オルガノポリシロキサングラフトポリマーの5質量%エタノール溶液を1.2g塗布し、表側及び裏側から交互に5回くし通しを行った。次いで毛束をドライヤーで完全に乾燥させた後、150〜160℃のフラットアイロン「CREATE ION」((株)クレイツ製)で毛束の根本をはさみ、そのまま毛先に向かってアイロンを滑らすようにして毛束を伸ばす行為を3回繰り返し、その後、同様の処理をさらにくしを添えて2回繰り返した。この一連の処理が完了し、室温まで冷却させ、評価用毛束を得た。評価用毛束を用いて、以下の測定方法により毛髪セット性の評価を行った。
【0195】
図1に示すように、形付けた後の評価用毛束の根元15cm下(図のA部、以下「A部」ともいう)、毛先10cm上(図のB部、以下「B部」ともいう)、毛先5cm上(図のC部以下「C部」ともいう)の位置の毛束の幅(最左部の毛髪と最右部の毛髪との直線距離)を測定した。セット性が良好であるとは即ち、A部の毛束の幅が3.0〜4.5cm、かつB部の毛束の幅が3.0〜4.0cm、かつC部の毛束の幅が2.5〜3.8cmの範囲にあることを意味する。
【0196】
<感触>
実施例1〜9及び比較例7で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーを試料として用い、感触の評価を行った。なお、比較例1〜4、8で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーについては、毛髪セット性評価で劣る結果となったため感触評価を行わなかった。
毛髪セット性評価と同様に行って評価用毛束を得た。評価用毛束の形付けした部分を手で握ったときの感触(ごわつきやべとつきのなさ)について、実施例9を基準とした下記の判定基準により官能評価を行った。評価は3名の専門パネラーによる評価の平均値を示した。
(評価基準)
5 とても良い
4 良い
3 ふつう(実施例9)
2 悪い
1 とても悪い
【0197】
<水分散性>
実施例1、3、4、9得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーを試料として用いて、水分散性の評価を行った。
(評価条件)
撹拌子を入れた20mlスクリュー管に各ポリマー0.45g、エタノール0.55gを加え、均一溶液とした。その後、イオン交換水9gを一滴ずつ滴下し、ポリマーのイオン交換水-エタノール分散液とした。得られた液体の透過率(%)を下記条件で測定した。
値が大きいほど、水分散性に優れる。
装置:UV可視光分光光度計UV−3300(株式会社日立製作所製)
測定モード:透過率
測定波長:660nm
試料:4.5重量%イオン交換水-エタノール分散液
光路長:1cm
【0198】
これらの評価結果を表4〜6に示す。
【0199】
【表4】
【0200】
【表5】
【0201】
【表6-1】
【0202】
【表6-2】
【0203】
表4及び表5は、オルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量の異なるオルガノポリシロキサングラフトポリマーの評価結果を比較したものである。
表4及び表5から明らかなように、実施例1、2及び6のオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000以上のオルガノポリシロキサングラフトポリマーは、比較例7及び8のオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量が8000未満のオルガノポリシロキサングラフトポリマーに比べ、毛髪セット性及び感触に優れる。
【0204】
また、表6に示すように、実施例のオルガノポリシロキサングラフトポリマーA〜Iで形付けた毛束はA部,B部,C部の毛束の幅が全て上記の範囲内であり、オルガノポリシロキサングラフトポリマーA〜Iは良好な毛髪セット性を有した。一方、比較例1,3及び4のオルガノポリシロキサングラフトポリマーJ、L、及びMで形付けたそれぞれの毛束は、A部,B部,C部の毛束の幅が上記の規定範囲を超えており、オルガノポリシロキサングラフトポリマーJ,L及びMの毛髪セット性は不十分であった。比較例2においても、毛束の毛髪本数が最も多く、毛束のセットが最も困難なA部が上記の範囲を超えており、オルガノポリシロキサングラフトポリマーKの毛髪セット性は不十分であるということがいえる。オルガノポリシロキサングラフトポリマーA及びJを用いて形付けた毛束を
図1に示す。
なお、比較例5及び6で得られたオルガノポリシロキサングラフトポリマーN及びOそれぞれの5質量%エタノール溶液を用いて上記と同様の方法でセット力を評価した。オルガノポリシロキサングラフトポリマーN又はOで処理した毛束の外観を
図2に示す。
図2に示すように、オルガノポリシロキサングラフトポリマーN及びOは、いずれもセット力が不十分であった。
【0205】
<高湿度下におけるセット保持性>
次に、セット力を有する実施例1〜9のオルガノポリシロキサングラフトポリマーA〜Iのうち、代表的なポリマーとして実施例3〜6のオルガノポリシロキサングラフトポリマーC、D、E及びFについて、高湿度下におけるセット保持性を評価した。
温度25℃、相対湿度90%の環境下で、上記<毛髪セット性評価>に記載の方法と同様の形付けを行った毛束を、毛先を下にして吊るして放置した。1時間放置したとき、放置の前後での変化の度合いを高湿度下におけるセット保持性として評価した。結果を
図3に示す。
また、比較例9のオルガノポリシロキサングラフトポリマーRについて、上記と同様にして高湿度下におけるセット保持性を評価した。結果を
図3に示す。
図3に示すように、ポリマーRと比較して、本発明のオルガノポリシロキサングラフトポリマーC〜Fはいずれも高湿度下におけるセット保持性に優れる。