(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ロボットアームと水平方向に延在する第1軸線を中心軸として有する軸受部材を介して前記ロボットアームの基端部を回動自在に支持するアーム支持部とを含むロボットに設けられ、第1角度位置と鉛直方向に対する傾斜が前記第1角度位置よりも大きい第2角度位置との間において前記ロボットアームに作用する重力によって発生する前記第1軸線を中心とするトルクとは反対方向の前記第1軸線を中心とするトルク(以下、バランストルクという)を前記ロボットアームに発生させるガススプリング機構を含むバランサ装置であって、
一方の端部が、前記ロボットアームから独立した第1固定部に水平方向に延在する第2軸線周りに回動自在に連結され、
他方の端部が、前記ロボットアームに設けられている第2固定部に水平方向に延在する第3軸線周りに回動自在に連結され、
前記一方の端部及び他方の端部が、前記第1軸線の延在方向において前記軸受部材が位置している範囲に位置するように配置され、
前記ロボットアームが前記第1角度位置に位置する状態における前記第2軸線と前記第3軸線との間隔よりも前記ロボットアームが第2角度位置に位置する状態における前記第2軸線と前記第3軸線との間隔が広くなるように構成され、
前記ガススプリング機構は、短縮させることによって作動流体が圧縮されるように構成され、
前記ロボットアームが前記第1角度位置から前記第2角度位置に向かって回動することによって前記ガススプリング機構を短縮させる変換機構を有し、
前記作動流体が圧縮されることによって発生する反力によって前記バランストルクを発生させるバランサ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のバランサ装置は、第1アームとバランサのロッド端とは、第1アームと基台との間に介在する軸受部材の軸線方向において軸受部材の外側位置で接続されているため、軸受に大きな曲げモーメントが作用し、許容曲げモーメントが大きな軸受部材を用いる必要があった。その結果、ロボットアームの重量が増加し、出力の大きなモータを用いる必要があり、消費電力の増大を招くという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係るバランサ装置は、ロボットアームと水平方向に延在する第1軸線を中心軸として有する軸受部材を介して前記ロボットアームの基端部を回動自在に支持するアーム支持部とを含むロボットに設けられ、第1角度位置と鉛直方向に対する傾斜が前記第1角度位置よりも大きい第2角度位置との間において前記ロボットアームに作用する重力によって発生する前記第1軸線を中心とするトルクとは反対方向の前記第1軸線を中心とするトルク(以下、バランストルクという)を弾性的伸長又は弾性的収縮によって前記ロボットアームに発生させる弾性構造体を含むバランサ装置であって、一方の端部が、前記ロボットアームから独立した第1固定部に水平方向に延在する第2軸線周りに回動自在に連結され、他方の端部が、前記ロボットアームに設けられている第2固定部に水平方向に延在する第3軸線周りに回動自在に連結され、前記一方の端部及び他方の端部が、前記第1軸線の延在方向において前記軸受部材が位置している範囲に位置するように配置されている。
【0007】
この構成によれば、軸受部材に作用する曲げモーメントを小さくすることができ、許容曲げモーメントが小さな軸受部材を用いることができる。したがって、ロボットの重量を軽くすることができ、ロボットの駆動部の出力を小さくすることができる。よって、ロボットの消費電力を減少させることができる。
【0008】
前記弾性構造体は、ガススプリング機構であってもよい。
【0009】
この構成によれば、小型で大きなバネ力を発生させることができる。
【0010】
前記ロボットアームが第1角度位置に位置する状態における前記第2軸線と前記第3軸線との間隔よりも前記第ロボットアームが第2角度位置に位置する状態における前記第2軸線と前記第3軸線との間隔が広くなるように構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、バランサ装置を伸長させることによってバランストルクを発生させることができる。
【0012】
前記ガススプリング機構は、伸長させることによって作動流体を膨張させるように構成され、前記作動流体が膨張させられることによって発生する反力によって前記バランストルクを発生させてもよい。
【0013】
この構成によれば、膨張型のガススプリング機構を用いて、バランストルクを発生させることができる。
【0014】
前記ガススプリング機構は、伸長させることによって作動流体が圧縮されるように構成され、前記作動流体が圧縮されることによって発生する反力によって前記バランストルクを発生させてもよい。
【0015】
この構成によれば、圧縮型のガススプリング機構を用いて、大きなバランストルクを発生させることができる。
【0016】
前記ガススプリング機構は、短縮させることによって作動流体が圧縮されるように構成され、前記ロボットアームが前記第1角度位置から前記第2角度位置に向かって回動することによって前記ガススプリング機構を短縮させる変換機構を有し、前記作動流体が圧縮されることによって発生する反力によって前記バランストルクを発生させてもよい。
【0017】
この構成によれば、圧縮型のガススプリング機構を用いて、大きなバランストルクを発生させることができる。また、ガススプリング機構の耐久性を向上させることができる。
【0018】
前記ガススプリング機構は、前記弾性構造体の一方の端部から他方の端部に向かう方向に延在し、一端に開口を有し、他端が閉塞されているシリンダと、前記シリンダの内壁面に対して相対的に摺動するピストンと、前記シリンダと前記ピストンとの間の空間に封入された作動流体と、一端が前記ピストンに連結され、当該ピストンに連結された空間位置から前記シリンダの開口を通って前記シリンダの外部まで延在するピストンロッドと、を有し、前記変換機構は、前記シリンダと前記第1固定部及び前記第2固定部のうちの当該シリンダの他端から一端に向かう方向に位置する一方とを連結する第1連結部材と、前記ピストンロッドの他方の端部と前記第1固定部及び前記第2固定部のうちの他方とを、前記シリンダ及び前記第1連結部材と干渉しないようにして連結する第2連結部材と、を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、圧縮型のガススプリング機構を好適にロボットアームに取り付けることができる。
【0020】
前記ガススプリング機構は、前記シリンダと前記ピストンとの間の空間に封入されたシールオイルを更に有し、前記ガススプリング機構は、前記シリンダの他端から一端に向かう方向に前記第1固定部が位置するように配置されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、ガススプリング機構の耐久性を更に向上させることができる。
【0022】
前記第3軸線は、前記シリンダを通るように構成されていてもよい。
【0023】
この構成によれば、ロボットアームの動作範囲を拡げることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、ロボットの消費電力を減少させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係るバランサ(バランサ装置)1を備えるロボット100の構成例を示す一部破断背面図である。
図2は、ロボット100の後述する第1関節部5の構成例を示す一部破断背面図である。
図3は、ロボット100のバランサ1の構成例を示す一部破断背面図である。
【0028】
図1及び
図2に示すように、ロボット100は、多関節型ロボットであり、バランサ1の他、基台2と、旋回部3と、第1アーム(ロボットアーム)4と、第1関節部5と、を含む。なお、ロボット100は多関節型ロボットに限定されない。
【0029】
[ロボット全体]
図1及び
図2に示すように、基台2は、例えば、載置面に対して固定され、基台2の上部構造を支える。
【0030】
旋回部3は、基台2に対し、鉛直方向に延在する図示しない旋回軸線周りに回動自在に連結されている。そして、旋回部3は、基台2と平行に延びる旋回板31と、旋回板31の上方に設けられ、旋回板31に固定されているアーム支持部32と、バランサ連結部33とを含む。
【0031】
旋回板31は、基台2に対して旋回軸線周りに回動自在に連結され、図示しない駆動部によって、旋回軸線周りに回動駆動されるように構成されている。
【0032】
アーム支持部32は、水平方向に延在する円筒状に形成された円筒部34を有している。円筒部34の一端は開口しており、開口部34aを構成している。また、円筒部34の他端は閉塞され、底壁34bを構成している。底壁34bの中央部、すなわち円筒部34の軸線が通る部分には、貫通孔34cが形成されている。貫通孔34cは、後述する第1アーム駆動部51の出力軸51aが挿通される孔である。円筒部34の軸線が第1軸線L1を構成する。
【0033】
バランサ連結部33は、アーム支持部32の上部から上方に突出するように形成されている。これによって、バランサ1とアーム支持部32との干渉を防いでいる。そして、バランサ連結部33は、第1軸線L1と平行に延在する軸(第1固定部)35を有する。軸35の軸線が第2軸線L2を構成する。そして、第1軸線L1の延在方向において軸35が配設されている位置は、後述する位置範囲Rを含むように構成されている。
【0034】
第1アーム4は、腕状に形成され、基端部に水平方向に延びる回動軸41と、回動軸41から先端部に向かって延びる本体部42と、バランサ連結部43と、を含む。
【0035】
回動軸41は、有底の大略円筒状に形成され、その軸線をアーム支持部32の円筒部34の軸線、すなわち第1軸線L1と一致させて、円筒部34の内部に位置している。
【0036】
本体部42は、回動軸41から第1アーム4の先端部に向かうに従って第1軸線L1と直交する方向に延びるように湾曲して延びている。
【0037】
図3に示すように、バランサ連結部43は、一対の軸(第2固定部)44と、支持部46と、を含む。一対の軸44は、軸線が第1軸線L1及び第2軸線L2と平行に延在する第3軸線L3上に位置するように位置しており、この第3軸線L3の延在方向に並ぶように位置している。一対の軸44のうち、一方の軸44は、本体部42の基端部と先端部の間の側面から突出するように設けられている。他方の軸44は、支持部46に支持されて、一方の軸44と離間して位置するように設けられている。支持部46は、基端部が第1アーム4の本体部42の側面に取り付けられ、先端部が他方の軸44を支持している。支持部46は、バランサ1と干渉しないようにバランサ1の後述する第2連結部材72の外側を回り込むように延びている。そして、第1軸線L1の延在方向において一対の軸44が配設されている範囲は、後述する位置範囲Rを含むように構成されている。
【0038】
図2に示すように、第1関節部5は、第1アーム駆動部51と、減速機構52と、軸受部材53を含む。
【0039】
第1アーム駆動部51は、例えば、サーボモータであり、駆動力を出力する出力軸51aを有する。第1アーム駆動部51の筐体は、出力軸51aの軸線が第1軸線L1と同軸になるように円筒部34の底壁34bに固定されている。そして、出力軸51aは、円筒部34の貫通孔34cに挿通されている。更に、出力軸51aは、回動軸41の開口部41aを通じて回動軸41の内部に位置している。
【0040】
減速機構52は、回動軸41の内部に位置している。そして、減速機構52は、第1アーム駆動部51の駆動力を第1アーム4に伝達する機構であり、例えば遊星歯車機構である。すなわち、減速機構52は、例えば、出力軸51aの先端部に固定された太陽歯車52aと、第1軸線L1周りに等間隔に配置された太陽歯車52aと歯合する複数の遊星歯車を有する遊星歯車ユニット52bと、アーム支持部32の円筒部34の内周面に形成され、遊星歯車ユニット52bと歯合する内歯車52cとを含む。減速機構52は、産業用ロボットの周知の減速機構によって構成されるので、これ以上の説明を省略する。
【0041】
軸受部材53は、中心軸が第1軸線L1と一致するように配設され、旋回部3の円筒部34の内周面と、第1アーム4の回動軸41の外周面との間に介在して設けられている。したがって、第1アーム4は、旋回部3のアーム支持部32に対して第1軸線L1周りに回動するように構成されている。すなわち、旋回部3のアーム支持部32は、第1アーム4の回動軸41を回動可能に支持している。本実施の形態において、軸受部材53は、2つ設けられ、これらは第1軸線L1の延在方向に並ぶように位置している。そして、第1軸線L1の延在方向において、一方の軸受部材53が位置している位置から他方の軸受部材53が位置している位置までが位置範囲Rを構成する。なお、位置範囲Rに位置する軸受部材53の個数はこれに限られるものではなく、一つであってもよく、また、3つ以上であってもよい。
【0042】
そして、第1アーム4は、
図5に示すように、例えば、第1角度位置P1と、
図3に示す鉛直方向に対する傾斜が第1角度位置P1よりも大きい第2角度位置P2との間の範囲を含む範囲において回動する。例えば第1角度位置P1は、第1アーム4が直立する角度位置である。そして、第1アーム4が直立した第1角度位置P1において、第1アーム4に作用する重力によって発生する第1軸線L1を中心とするトルク(以下、第1軸線L1を中心とする重力トルクという)は、実質的に0となる。そして、第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動し、第1アーム4の傾斜が大きくなるに従って第1軸線L1を中心とする重力トルクは増大する。
【0043】
そして、本実施の形態において、
図5に示すように、第1アーム4が第1角度位置P1に位置する状態における第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sよりも、第1アーム4が第2角度位置P2に位置する状態における第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが広くなるように、旋回部3の軸35、及び第1アーム4の一対の軸44が位置決めされている。すなわち、ロボット100は、第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動することによって、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが次第に広がるように構成されている。
【0044】
[バランサ]
図1及び
図3に示すように、バランサ1は、ガススプリング機構(弾性構造体)11と、変換機構12とを有する。バランサ1は、第2軸線L2と第3軸線L3とを接続し、第2軸線L2及び第3軸線L3と直交する方向に延びる第4軸線L4の延在方向に延びる。そして、バランサ1は、第4軸線L4が、位置範囲Rの範囲内に位置するように、すなわち、位置範囲R内にバランサ1の一方の端部である第1端部1a、及びバランサ1の他方の端部である第2端部1bが位置するようにロボット100に取り付けられている。
【0045】
ガススプリング機構11は、封入した高圧ガスの反力をバネ力として用いた機構であり、コイルばねと比較して、小型で大きなバネ力を発生させることができる。したがって、ガススプリング機構11を用いることによってロボット100を小型化することができ、これによってロボット100の駆動部の出力を小さくすることができ、更には電力消費を抑えることができる。
【0046】
ガススプリング機構11は、シリンダ61と、ピストン62と、作動流体63と、ピストンロッド64と、を有する。また、本実施の形態において、ガススプリング機構11は、シールオイル65を有する。
【0047】
シリンダ61は、第4軸線L4の延在方向に延びる有底の円筒体である。シリンダ61は、一端61aに開口が形成されている。また、シリンダ61の他端61bは閉塞され、底壁が形成されている。
【0048】
ピストン62は、円筒状のブロックである。そして、ピストン62は、シリンダ61の内壁面に対して相対的に摺動する。そして、ピストン62は、シリンダ61の内部空間を第4軸線L4の延在方向に第1空間68及び第2空間69に区分(compart)している。第1空間68は、ピストン62よりもシリンダ61の他端61b側(閉塞されている側)の空間であり、第2空間69は、ピストン62よりもシリンダ61の一端61a側(開口が形成されている側)の空間である。そして、詳細は後述するように、ガススプリング機構11は、第1空間68が第2空間69よりも上方に位置するようにロボット100に取り付けられている。
【0049】
作動流体63は、シリンダ61とピストン62との間の空間、即ち、第1空間68に封入された流体であり、例えば高圧の窒素である。そして、上述の通り、シリンダ61の他端61bは閉塞されているので、シリンダ61の他端61bから作動流体63が漏れ出ないようになっている。したがって、ガススプリング機構11の耐久性を向上させることができる。
【0050】
ピストンロッド64は、第4軸線L4の延在方向に延びる棒状体であり、一端64aがピストン62に連結されている。そして、ピストンロッド64は、ピストン62から第2空間69を通ってシリンダ61の一端61aに形成されている開口を通ってシリンダ61の外部まで延在し、他端64bは、シリンダ61の外部に位置している。
【0051】
そして、ガススプリング機構11は、ピストンロッド64を第4軸線L4の延在方向に動かして、ピストンロッド64をシリンダ61に押し込んでガススプリング機構11を短縮させることによって、作動流体63が圧縮され、反力を発生させるように構成されている。
【0052】
シールオイル65は、第1空間68からの作動流体63の漏れを防ぐためのオイルであり、シリンダ61の第1空間68に封入されている。上述の通り、ガススプリング機構11は、第1空間68が第2空間69よりも上方に位置するように配設されているので、シールオイル65は、ピストン62上に溜まり、シールオイル65よりも比重の小さいガスである作動流体63はシールオイル65の上方に位置する。従って、気体である作動流体63とシリンダ61及びピストン62が当接する部分との間にはシールオイル65が介在し、作動流体63が第1空間68から漏れ出ることを防止することができる。したがって、ガススプリング機構11の耐久性を向上させることができる。
【0053】
変換機構12は、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが広がるに従ってガススプリング機構11を短縮させる機構である。
【0054】
本実施の形態において、変換機構12は、第1連結部材71と、第2連結部材72とを備える。
【0055】
第1連結部材71は、シリンダ61の一端61aと旋回部3の軸35とを連結している。すなわち、第1連結部材71は、シリンダ61の他端61b(閉塞されている側の端部)から一端61a(開口が形成されている側の端部)に向かう方向に位置する旋回部3の軸35とシリンダ61とを連結している。なお、第1連結部材71はシリンダ61の一端61a以外の場所に取り付けられてもよい。
【0056】
そして、第1連結部材71は、互いに並行に延在する一対の板部73と、連結部74とを有する。板部73は、一方の端部73aがシリンダ61の一端61aに連結され、第4軸線L4の延在方向に延びている。一対の板部73のうち、一方の板部73は、第2軸線L2及び第3軸線L3が延在する方向における一方の側の一端61aに取り付けられ、他方の板部73は、同方向における他方の側の一端61aに取り付けられている。連結部74は、一対の板部73の他方の端部73bを互いに連結すると共に、これらを軸35に連結している。そして連結部74は、軸受部材を介して、第2軸線L2周りに回動自在に軸35に取り付けられている。この連結部74が軸35に取り付けられている部分がバランサ1の一方の端部である第1端部1aを構成する。そして、上述の通り、第1軸線L1の延在方向において軸35が配設されている位置は、位置範囲Rを含むように構成されているので、第1端部1aは、位置範囲R上に位置するように構成されている。
【0057】
第2連結部材72は、ピストンロッド64の他端64bと第1アーム4の軸44とを連結している。すなわち、第2連結部材72は、シリンダ61の一端61a(開口が形成されている側の端部)から他端61b(閉塞されている側の端部)に向かう方向に位置する軸44とピストンロッド64とを連結している。したがって、ガススプリング機構11は、変換機構12によって、第1空間68が第2空間69よりも上方に位置するようにロボット100に取り付けられている。
【0058】
そして、第2連結部材72は、筒状部75と、連結部76とを有する。
【0059】
筒状部75は、第4軸線L4の延在方向に延びる筒状体であり、ガススプリング機構11及び第1連結部材71の周囲を取り囲むように配置されている。そして、第2連結部材72は、筒状部75の一方の端部75aが位置範囲Rにおいて軸受部材を介して一対の軸44に取り付けられている。これによって、筒状部75は、軸44に対し、第3軸線L3周りに回動自在に連結されている。この筒状部75が軸44に取り付けられている部分がバランサ1の他方の端部である第2端部1bを構成する。そして、上述の通り、第1軸線L1の延在方向において一対の軸44が配設されている範囲は、位置範囲Rを含むように構成されているので、第2端部1bは、位置範囲R上に位置するように構成されている。
【0060】
なお、一対の軸44は、第3軸線L3がシリンダ61を通るように位置決めされている。したがって、シリンダ61は、第4軸線L4の延在方向に第2連結部材72と第1アーム4とが連結されている部分から突出するように構成されているので、ガススプリング機構11のストロークを長くすることができる。これによって、第1アーム4の動作範囲を拡げることができる。
【0061】
連結部76は、ピストンロッド64の他端64bに取り付けられ、第1連結部材71の一対の板部73の間に位置している。そして連結部76は、筒状部75の他方の端部75bの端縁に架け渡されるように設けられ、両端部が筒状部75の他方の端部側の端縁に連結されている。連結部76は、第4軸線L4の延在方向に延在する一対の板部73の間に位置しているので、ピストンロッド64を第4軸線L4の延在方向に動かしたときに連結部76と一対の板部73とが干渉しないようになっている。
【0062】
このように構成された変換機構12は、第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動することによって、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが広がると、第1連結部材71の一対の板部73の一方の端部73aと第2連結部材72の筒状部75の他方の端部75bとが互いに接近するようになっている。これによって、第1連結部材71の一対の板部73の一方の端部73aに取り付けられたシリンダ61の一端61aとピストンロッド64の他端64bとが互いに近づくように移動し、ピストンロッド64及びピストン62が押し込まれる。よって、シリンダ61とピストン62との間の空間に封入された作動流体63が圧縮され、反力を発生させる。
【0063】
[動作例]
次に、バランサ1を備えるロボット100の動作例を説明する。
【0064】
第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動し、第1アーム4の傾斜が大きくなるに従って第1軸線L1を中心とする重力トルクは増大する。そして、第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動することによって、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが広がると、変換機構12はガススプリング機構11を短縮させる。これによって、作動流体63は圧縮され、ガススプリング機構11は、第4軸線L4の延在方向において、ピストン62を押し戻す方向、すなわちガススプリング機構11を伸長させる方向の反力を発生させる。ガススプリング機構11を伸長させる方向の反力は、変換機構12によって、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sを短縮させる方向の力として働き、その結果、第1軸線L1を中心とする重力トルクとは反対方向の第1軸線L1を中心とするトルク(バランストルク)を発生させる。このバランストルクは、重力トルクの一部又は全部を相殺する。これによって、第1アーム駆動部51の負荷を低下させることができ、ロボット100の電力消費の増大を防止することができる。
【0065】
以上に説明したように、バランサ1のガススプリング機構11は、第4軸線L4が、第1軸線L1の延在方向において軸受部材53が位置している位置範囲Rを含むように、すなわち、位置範囲Rにバランサ1の一方の端部である第1端部1a、及びバランサ1の他方の端部である第2端部1bが位置するようにロボット100に取り付けられている。これによって、軸受部材53に作用する曲げモーメントを小さくすることができ、許容曲げモーメントが小さな軸受部材53を用いることができる。したがって、ロボット100の重量を軽くすることができ、ロボット100の駆動部の出力、特に旋回部3を旋回させる駆動部に出力の小さなモータを用いることができる。よって、ロボット100の消費電力を減少させることができる。
【0066】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態に係るバランサ201を備えるロボット200の構成例を示す側面図である。
【0067】
上述の実施の形態1では、バランサ1は、短縮させることによって作動流体63が圧縮され、伸長させる方向の反力を発生させるガススプリング機構11と、ガススプリング機構11を伸長させる方向の反力を第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sを短縮させる方向の力に変換する変換機構12を備えている。これに対し本実施の形態では、バランサ201は、
図6に示すように、伸長させることによって作動流体263を膨張させ、短縮させる方向の反力を発生させるガススプリング機構211と、ガススプリング機構211とロボット200を連結する連結部材271、272を備えている。
【0068】
ガススプリング機構211は、作動流体263が封入されている第1空間268が第2空間269よりも下方に位置するようにロボット200に取り付けられている。また、作動流体263は、例えば常圧のガスである。そして、ピストンロッド264を第4軸線L4の延在方向に動かして、ピストンロッド264をシリンダ261から引き出してガススプリング機構11を伸長させることによって、作動流体263を膨張させ、ガススプリング機構11を短縮させる方向の反力を発生させるように構成されている。
【0069】
そして、連結部材271は、シリンダ261の他端261bと旋回部3の軸35とを連結している。連結部材271は、軸受部材を介して、第2軸線L2周りに回動自在に軸35に連結されている。
【0070】
また、連結部材272は、ピストンロッド264の他端264bと第1アーム4の軸44とを連結している。連結部材272は、軸受部材を介して第3軸線L3周りに回動自在に軸44に連結されている。なお、実施の形態1において、軸44は、第3軸線L3がシリンダ61を通るように位置決めされているが、本実施の形態において軸44は、第3軸線L3が第1アーム4の先端部を通るように位置決めされている。
これ以外は、実施の形態1と同様である。
【0071】
[動作例]
次に、バランサ201を備えるロボット200の動作例を説明する。
【0072】
第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動し、第1アーム4の傾斜が大きくなるに従って第1軸線L1を中心とする重力トルクは増大する。そして、第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動することによって、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが広がると、ガススプリング機構211は伸長する。これによって、作動流体263が膨張し、ガススプリング機構211は、第4軸線L4の延在方向において、ピストン62を引き戻す方向、すなわちガススプリング機構211を短縮させる方向の反力を発生させる。ガススプリング機構211を短縮させる方向の反力は、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔を短縮させる方向の力として働き、その結果、第1軸線L1を中心とする重力トルクとは反対方向の第1軸線L1を中心とするトルク(バランストルク)を発生させる。このバランストルクは、重力トルクの一部又は全部を相殺する。
【0073】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態に係るバランサ301を備えるロボット300の構成例を示す側面図である。
【0074】
上述の実施の形態1では、バランサ1は、短縮させることによって作動流体63が圧縮され、伸長させる方向の反力を発生させるガススプリング機構11と、ガススプリング機構11を伸長させる方向の反力を第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sを短縮させる方向の力に変換する変換機構12を備えている。これに対し本実施の形態では、バランサ301は、
図7に示すように、伸長させることによって作動流体63を圧縮し、短縮させる方向の反力を発生させるガススプリング機構311と、ガススプリング機構311とロボット300を連結する連結部材371、372を備えている。
【0075】
ガススプリング機構311のシリンダ361は、両端が閉塞され、一端361aにピストンロッド364が挿通されている挿通孔361cが形成されている。また、シリンダ361の他端361bには、貫通口361dが形成されている。よって、シリンダ361の第2空間369の気圧は大気圧と等圧になっている。また、ピストンロッド364は、ピストン62から第1空間368及びシリンダ361の挿通孔361cを通ってシリンダ361の外部まで延在し、他端364bは、シリンダ361の外部に位置している。そして、ピストンロッド364を第4軸線L4の延在方向に動かして、ピストンロッド364をシリンダ361から引き出してガススプリング機構311を伸長させることによって、作動流体63を圧縮し、ガススプリング機構311を短縮させる方向の反力を発生させるように構成されている。
【0076】
そして、連結部材371は、シリンダ361の他端361bと旋回部3の軸35とを連結している。連結部材371は、軸受部材を介して、第2軸線L2周りに回動自在に軸35に連結されている。
【0077】
また、連結部材372は、ピストンロッド364の他端364bと第1アーム4の軸44とを連結している。連結部材372は、軸受部材を介して第3軸線L3周りに回動自在に軸44に連結されている。
【0078】
したがって、ガススプリング機構311は、作動流体63が封入されている第1空間368が第2空間369よりも上方に位置するようにロボット300に取り付けられている。
【0079】
なお、実施の形態1において、軸44は第3軸線L3がシリンダ61を通るように位置決めされているが、本実施の形態において軸44は第3軸線L3が第1アーム4の先端部を通るように位置決めされている。
これ以外は、実施の形態1と同様である。
【0080】
[動作例]
次に、バランサ301を備えるロボット300の動作例を説明する。
【0081】
第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動し、第1アーム4の傾斜が大きくなるに従って第1軸線L1を中心とする重力トルクは増大する。そして、第1アーム4が第1角度位置P1から第2角度位置P2に向かって回動することによって、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔Sが広がると、ガススプリング機構311は伸長する。これによって、作動流体63が圧縮され、ガススプリング機構311は、第4軸線L4の延在方向において、ピストン62を押し戻す方向、すなわちガススプリング機構311を短縮させる方向の反力を発生させる。ガススプリング機構311を短縮させる方向の反力は、第2軸線L2と第3軸線L3との間隔を短縮させる方向の力として働き、その結果、第1軸線L1を中心とする重力トルクとは反対方向の第1軸線L1を中心とするトルク(バランストルク)を発生させる。このバランストルクは、重力トルクの一部又は全部を相殺する。
【0082】
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4に係るバランサ401を備えるロボット400の構成例を示す側面図である。
【0083】
上述の実施の形態1において、第1連結部材71は、シリンダ61の一端61aと旋回部3の軸35とを連結し、第2連結部材72は、ピストンロッド64の他端64bと第1アーム4の軸44とを連結しているものを例示した。これに対し、
図8に示すように、本実施の形態において、ガススプリング機構11は、第1空間68が第2空間69よりも下方に位置するようにロボット100に取り付けられている。そして、第1連結部材471は、シリンダ61の他端61b(閉塞されている側の端部)から一端61a(開口が形成されている側の端部)に向かう方向に位置する第1アーム4の軸44とシリンダ61とを連結している。また、第2連結部472は、シリンダ61の一端61a(開口が形成されている側の端部)から他端61b(閉塞されている側の端部)に向かう方向に位置する軸35とピストンロッド64とを連結している。
【0084】
なお、実施の形態1において、軸44は第3軸線L3がシリンダ61を通るように位置決めされているが、本実施の形態において軸44は第3軸線L3が第1アーム4の先端部を通るように位置決めされている。これ以外は、実施の形態1と同様である。
【0085】
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5に係るバランサ501を備えるロボット500の構成例を示す側面図である。
【0086】
実施の形態1において、軸44は第3軸線L3がシリンダ61を通るように位置決めされているが、本実施の形態において軸44は第3軸線L3が第1アーム4の先端部を通るように位置決めされている。これ以外は、実施の形態1と同様である。
【0087】
<変形例>
上記実施の形態においては、ガススプリング機構を用いたがこれに限られるものではない。これに代えて、コイルばねを用いてもよい。
【0088】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。