(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金融商品の銘柄の情報を検索する際には、どのような検索手法を用いるかに関わらず、検索結果について、例えば、「配当利回り順」などの所定の条件で銘柄をソートした状態で表示できるようにするのが望ましい。ここで、検索エンジンとして、例えば、Google(登録商標)等を用いる場合、検索処理の効率化、高速化を考慮して、検索結果について上位の所定の件数(例えば、1000件)のみが出力の対象となるよう制限され、この出力結果に対してソートがなされる。
【0008】
その結果、ソートの条件によっては、本来上位に入るべき銘柄(例えば、「配当利回り」が高い銘柄)が、ソートの対象からそもそも除外されてしまうことがあり得る。ここで、当該検索結果に対してさらに検索条件を絞り込んだ場合(例えば、さらに「アナリストがBuyと言っている銘柄」に絞り込む)、これまでの検索結果はいったんリセットされ、再度全銘柄を対象に絞り込まれた条件で検索が行われた上で、改めて検索結果に対して「配当利回り順」でのソートがされる。
【0009】
このとき、絞り込み条件に合致する検索結果が上記の所定の件数より少ない件数であったとすると、この中には、絞り込み条件を追加する前には上位の所定の件数に含まれていなかった銘柄(例えば、「配当利回り」が高い銘柄)も新たに含まれ得ることになる。従って、ソートされた検索結果にも当該銘柄が含まれることになり、結果として、条件を絞り込む前には表示されていなかった銘柄が突然検索結果の上位に表示されるというような結果が生じ得る。
【0010】
一般的な検索においては、検索条件を追加して絞り込むことによって検索結果が順次絞り込まれていくのが常識的であるにも関わらず、この例では、検索条件を追加して絞り込むことによって、これまで検索結果として現れていなかった銘柄が、検索結果の上位に突然表示されるという不整合な結果が生じ得る。このような状況は、一般的な検索システムでは大きな問題とはなりにくいが、検索対象が金融商品であり、営業担当者がこの検索結果に基づいて金融商品の提案等の営業活動を行うのに用いられる場合には、誤認勧誘等の法令違反行為にもつながりかねず大きな問題となる。
【0011】
なお、このような状況は、最初の検索にキーワードの指定をするかしないかに関わらず生じ得る。しかしながら、キーワードを指定して検索している場合には、上位の所定の件数を抽出する際に、当該キーワードのマッチ率により抽出がされるのに対し、キーワードの指定がない場合は、当該Webページやデータの参照頻度の高さ等の別の指標(例えば、Google(登録商標)におけるページランク(登録商標)など)により抽出がされる。従って、仮に上記のような状況が生じたとしても、キーワードが指定されている場合は、各種条件のうち、指定されたキーワードとのマッチ率が優先されて結果がソートされていることを前提として営業担当者が説明することで、誤認勧誘とはならないように配慮することが可能である。
【0012】
そこで本発明の目的は、検索エンジンによる検索の際にキーワードが指定されていない場合においても、検索結果に対するソートの条件で上位の所定の件数に入り得るデータが漏れずに表示されるようにする金融情報検索システムを提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0015】
本発明の代表的な実施の形態による金融情報検索システムは、情報処理端末により、ネットワークを介して金融商品の銘柄に係る情報を検索エンジンにより検索する金融情報検索システムであって、前記検索エンジンは、データソース上に保持された、前記各銘柄について記載された文書データの集合を所定のタイミングでクローリングして全文検索用のインデックステーブルを作成するクローラと、前記情報処理端末から受け付けた検索要求に対して、前記インデックステーブルからマッチする前記文書データに係るレコードのうち、上位の所定の件数を全文検索の検索結果として応答する検索処理部と、を有するものである。
【0016】
また、前記情報処理端末から受け付けた検索要求においてキーワードの指定がされていない場合に、前記検索エンジンによる検索ではなく、前記データソース上の前記文書データの集合に対して、直接に検索処理を行うDB検索部を有する。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、検索エンジンによる銘柄の検索の際にキーワードが指定されていない場合においても、検索結果に対するソートの条件で上位の所定の件数に入り得る銘柄が漏れずに表示されるようにすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
従来技術によれば、例えば、顧客との会話から得られたキーワードと関連の深い銘柄を投資対象としてダイレクトに提示することが可能である。しかしながら、従来技術では、予めキーワードを抽出しておく対象は、株式公開企業のWebサーバであり、一般的なインターネット上での検索エンジンを用いた検索と情報源に相違はなく、アナリストレポート等の社内システムでのみ参照できる文書等を対象とすることはできない。また、アナリストレポート等を情報源とした場合でも、上述したように、指定されたキーワードを含むレポートではなく、当該キーワードに関連する個別の企業(銘柄)に関する情報をダイレクトに取得することは困難である。
【0022】
そこで、本発明の一実施の形態である金融情報検索システムは、検索エンジンとして、検索対象の多数のWebページやデータについて一定期間毎にクローリングして予めインデックスを作成しておくことで高速な検索を実現し、かつ、Webページのみに限らず、Webページ上の文書の中まで全文検索の対象とすることができる検索エンジンを用い、指定されたキーワードに対して、これを含むWebページや文書の所在の情報ではなく、これらの記載内容に関連する銘柄の情報を検索結果として出力することを可能とするシステムである。
【0023】
すなわち、検索エンジンが、検索対象となる社内システム上に保有するアナリストレポート等の文書群に対して予めインデックスを作成する際に、それぞれの文書のパス(URL(Uniform Resource Locator))の情報に加えて、当該文書に対応する銘柄の情報を関連付けてインデックスを作成する。これにより、指定されたキーワードに対して、アナリストレポート等の文書の中も含めて全文検索し、当該キーワードに言及している文書に対応する銘柄の情報を検索結果として出力する。
【0024】
これにより、例えば、営業担当者が外出先において、顧客との会話の中から得られたキーワードに基づいて、営業端末を利用して、関連する銘柄の情報をその場で顧客に提示してタイムリーな営業活動を行う、というような利用が可能となる。
【0025】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である金融情報検索システム1の構成例について概要を示した図である。金融情報検索システム1は、PC(Personal Computer)や、タブレット端末等の携帯型端末からなる営業端末300から、インターネットVPN(Virtual Private Network)等を用いたイントラネット等のネットワーク400を介して、検索エンジン200等を用いて、金融機関が保有するデータソース100上に保持された金融情報を含む情報を検索することを可能とするシステムである。ここで、データソース100上の文書データベース(DB)120に蓄積されたアナリストレポート等の文書や、その他資料の130に対してキーワードによる全文検索をする場合には、上述したように、当該キーワードに言及している文書や資料に対応する銘柄の情報を検索結果として出力する。
【0026】
本実施の形態では、検索エンジン200として、クローリングにより予めインデックスを作成し、かつ、Webページ上の文書の中まで全文検索の対象とすることができるという要件を満たすものとして、Google(登録商標)社が提供するGoogle検索アプライアンス(GSA:Google Search Appliance)という仕組みを用いる。GSAを用いることにより、各企業の社内システム等のデータに対してGoogle(登録商標)社が提供する高度な検索の機能を利用して検索することが可能である。
【0027】
このデータソース100には、例えば、株式や投資信託などの商品種別毎に各銘柄についての属性情報や数値情報などのデータを保持するデータベースである株式銘柄データ111や投信銘柄データ112が含まれる。さらに、アナリストレポートや会社四季報(登録商標)、その他銘柄コードと関連付けて投稿された各種ドキュメント等の文書ファイルや文書データを蓄積した文書DB120や、Webサイトなども含む関連するその他資料130なども含まれる。
【0028】
検索エンジン200上に構築される検索エンジンは、データソース100上のデータを一定期間毎(例えば、4時間毎など)にクローリングして予めインデックスを作成するクローラ240、クローラ240により作成された各種インデックステーブル、およびインデックスもしくはデータソース100を対象に検索処理を行う検索処理部250などの各部を有する。
【0029】
クローラ240は、検索の際に検索結果を金融商品などの単位で取得したり、フィルタリングし易くするために、データソース100のデータの種別に応じてクローラ240を複数分けて設け、作成するインデックステーブルもこれに応じて複数に分けるようにする。例えば、
図1の例では、データソース100の株式銘柄データ111、投信銘柄データ112、文書DB120、およびその他資料130に対して、それぞれ個別にクローラa〜d(240a〜d)を有するものとし、これらにより作成されるインデックステーブルとして、株式銘柄インデックス211および投信銘柄インデックス212(これらを総称して「データ系インデックス」と記載する場合がある)、文書インデックス220およびその他資料インデックス230(これらを総称して「全文検索系インデックス」と記載する場合がある)をそれぞれ有する。
【0030】
検索処理部250は、検索結果のリストを営業端末300に対して応答する機能の他に、例えば、営業端末300において営業担当者が検索キーワードを入力する際に、入力状況に応じて動的にキーワードの候補をサジェストする機能や、検索結果に対して絞り込み条件が指定された際の検索結果のサマリを応答する機能、キーワードの辞書機能など、ユーザに対する各種の支援機能や補助機能などを有する。
【0031】
また、金融情報検索システム1は、後述するように、キーワード指定がなく、タブやその他の絞り込み条件のみに基づいて検索を行う場合に、検索エンジン200によるインデックステーブルを利用した検索ではなく、データソース100のデータを直接DB検索するためのDB検索部201を有する。
【0032】
営業端末300では、後述する
図4の例に示すような検索画面を表示する図示しない検索アプリケーションの一部として、検索エンジン200から応答されたXML(eXtensible Markup Language)データなどの検索結果の情報を処理する検索結果処理部310を有する。
【0033】
<インデックス作成>
以下では、本実施の形態においてクローラ240が作成するインデックステーブルの内容について説明する。インデックステーブルにどういう項目を設けてどのように作成するかについては、例えば、管理者等が、検索エンジン200に対して各項目をメタタグ等を使用して設定するなどの操作により指示することができる。
【0034】
図2は、データ系インデックスの例として、株式銘柄インデックス211のデータ構成の例について概要を示した図である。データ系インデックスは、検索結果の処理の容易さ等を考慮して、上述したように、株式や投信などの商品毎等に分けて作成する。従って、これに対応して、データソース100のデータも商品毎に分けて作成しておき、クローラ240も個別に用意するのが望ましい。
【0035】
株式銘柄インデックス211は、株式の銘柄コードや銘柄名を指定した検索により、該当する銘柄の情報を取得するためのインデックステーブルであり、クローラa(240a)が一定期間毎に株式銘柄データ111をクローリングすることによって作成され、例えば、銘柄コード、銘柄名、時価、PER(Price Earnings Ratio)、PBR(Price Book-value Ratio)、ROE(Return On Equity)、および時価総額などの各項目を有する。銘柄コードおよび銘柄名の項目は、対象の銘柄に設定されている銘柄コードおよび銘柄名をそれぞれ保持する。時価、PER、PBR、ROEおよび時価総額の項目は、それぞれ、対象の銘柄のクローリング時点での各指標の値を保持する。
【0036】
これらの各項目は、銘柄の検索結果として表示させたい項目、および検索結果の絞り込み機能(いわゆるファセット検索)で用いる項目として検索エンジン200に対して設定されたものである。なお、検索結果においては、当該テーブルの1レコードが1明細(銘柄)の単位となる。また、投信銘柄インデックス212や、他の商品のインデックステーブルについても、項目は商品毎に異なるものの、基本的な構成はほぼ同様である。
【0037】
図3は、全文検索系インデックスである文書インデックス220のデータ構成の例について概要を示した図である。文書インデックス220は、クローラc(240c)が一定期間毎に文書DB120をクローリングすることによって作成され、キーワードを指定した全文検索に対して検索結果を応答するためのインデックステーブルであり、通常の検索処理で用いるインデックスとして、当該キーワードを含む文書の情報を検索結果として応答するための文書情報インデックス220aを含む。本実施の形態では、さらに、当該キーワードを含む文書の情報ではなく、当該文書に対応する銘柄の情報を検索結果として応答するための文書銘柄インデックス220bを含む。
【0038】
図3(a)は、文書情報インデックス220aのデータ構成の例について概要を示した図である。文書情報インデックス220aは、例えば、文書毎に、URL、タイトル、アナリスト名、および登録日などの各項目を有する。URLの項目は、対象の文書のパスの情報を示すURLの情報を保持する。タイトルおよびアナリスト名の項目は、それぞれ、対象の文書のタイトルおよび作成したアナリストの氏名等の情報を保持する。登録日の項目は、対象の文書が登録・公開された日付の情報を保持する。
【0039】
これらの各項目のうち、URLの項目については、対象の文書の所在を特定するための情報であり、他の各項目は、文書DB120の検索結果として表示させたい項目、および絞り込み機能(ファセット検索)で用いる項目として検索エンジン200に対して設定されたものである。
【0040】
図3(b)は、文書銘柄インデックス220bのデータ構成の例について概要を示した図である。文書銘柄インデックス220bは、例えば、文書毎に、URL、タイトル、アナリスト名、登録日、銘柄コード、銘柄名、時価、PER、PBR、およびROEなどの各項目を有する。これらの各項目は、上記の株式銘柄インデックス211および文書情報インデックス220aの内容と同様であるため再度の説明は省略する。
【0041】
当該インデックスでは、キーワード検索において、文書DB120上の文書の内容がマッチする場合に、当該文書の文書情報に加えて、当該文書に対応する銘柄の情報を検索結果として表示し、もしくは絞り込み機能(ファセット検索)で用いることができるようにするため、対象の銘柄の属性情報等のデータについても項目を設定する。このとき、文書情報において銘柄を特定する銘柄コードについてもインデックスとして抽出するようにする。これにより、銘柄コードを共通のキーとして、銘柄の属性情報等のデータも関連付けることが可能である。
【0042】
このような文書銘柄インデックス220bを作成するよう、検索エンジン200に対して設定することにより、キーワード検索により全文検索が行われた場合に、当該インデックスを用いることで、指定されたキーワードに言及している文書に対応する銘柄の情報を検索結果として返答することが可能である。
【0043】
<画面構成>
図4は、営業端末300での銘柄情報の検索画面の例について示した図である。銘柄情報検索画面320は、例えば、大きく分けて、検索条件入力領域321、タブ領域322、検索結果表示領域323、および絞り込み条件指示領域324の各領域を有する。
【0044】
検索条件入力領域321では、営業担当者が、銘柄を特定もしくは絞り込むための条件を入力フィールドに入力して指定することができる。ここでは、例えば、検索したい銘柄が決まっている場合には、銘柄コードや銘柄名を直接指定する。また、銘柄が決まっていない場合には、希望のテーマに関連するキーワード(例えば「太陽光」など)を指定する。
【0045】
このとき、例えば、「野村総合研究所」という銘柄の詳細情報を直接探したい場合に、「野村総合研究所」という文字列を入力して検索した場合、通常の検索では、銘柄としての「野村総合研究所」の詳細情報に加えて、「野村総合研究所」に言及している文書DB120上の文書なども全てヒットしてしまう。同様に、「野村総合研究所」の銘柄コードである「4307」という文字列を入力して検索した場合、銘柄コードが「4307」である「野村総合研究所」の情報に加えて、例えば、株価が「4307」円の銘柄に係る情報や、電話番号に「4307」が含まれる文書なども全てヒットしてしまう。
【0046】
そこで、本実施の形態では、
図4の例の検索結果表示領域323に示すように、入力される文字列が銘柄コードや銘柄名を示す文字列であるのか、検索条件としてのキーワードを示す文字列であるのかを、営業担当者が指定することで識別可能としている。
図4の例ではラジオボタンにより指定するものとしているが、これに限られず適当な方法を用いることができる。
【0047】
指定された文字列が銘柄コードもしくは銘柄名である場合には、検索エンジン200の検索処理部250がインデックスを検索する際に、株式銘柄インデックス211や投信銘柄インデックス212などのデータ系インデックスのみを対象とすることで効率的に検索処理を行い、検索結果として銘柄の詳細情報のみを高速に出力することができる。同様に、指定された文字列がキーワードである場合には、文書インデックス220などの全文検索系インデックスのみを対象として効率的に検索処理を行い、検索結果としてマッチした情報のリストを高速に出力することができる。
【0048】
このように、本実施の形態では、インデックステーブルを、検索対象毎に分けて作成しておくことで、検索処理を効率的に行えるようにしている。上記のように、銘柄の詳細情報(データ)の検索か、全文検索かによって分けるのに加えて、本実施の形態では、株式や投信などの商品種別毎にインデックスを株式銘柄インデックス211や投信銘柄インデックス212などに分けて作成している。これにより、例えば、
図4の例のタブ領域322に示すように、「株式」や「投信」などの商品種別ごとにタブを設けることで、選択されたタブに応じて、予め、検索対象のインデックスを限定することも可能である。なお、このようなインデックスの使い分けは、検索エンジン200がGSAである場合には「コレクション」の機能により実現することができる。
【0049】
本実施の形態では、上述したように、キーワードを用いて全文検索をした場合であっても、検索結果として、当該キーワードに言及している文書に対応する銘柄の情報を出力する。検索結果は、例えば、
図4の例の検索結果表示領域323に示すように、所定の順にソートした状態で各銘柄のサマリ情報をリスト表示する。ソート順としては、
図4の例のドロップダウンリストに示す「キーワードマッチ順」の他に、例えば、「配当利回り順」や「予想PER順」、「時価総額順」などの各種条件を営業担当者が適宜指示することができる。
【0050】
上述したように、例えば、文書DB120に対するキーワードを指定した全文検索において、銘柄の属性情報等も含む文書銘柄インデックス220bを検索対象とすることで、当該キーワードに関連する銘柄の情報を検索結果として出力することができる。しかしながら、当該キーワードに言及し、かつ、対象の銘柄について記載されている文書が文書DB120上に複数存在する場合は、検索結果として同じ銘柄のレコードが複数応答されることになる。これをそのまま検索結果表示領域323に表示すると、同じ銘柄のエントリが並ぶ結果となる。
【0051】
そこで、本実施の形態では、営業端末300の検索結果処理部310において、検索結果に含まれる同一の銘柄のエントリにつき、例えば、最初の1つのみを採用して他を破棄する等により1つにまとめる処理を行う。
【0052】
なお、GSAなどの検索エンジン200では、多量の検索結果を営業端末300などのクライアント端末に送信するのを回避するため、検索結果を20件毎などの所定の数毎に分割して、最初の応答時には分割した最初の検索結果のみ応答し、その後はクライアント端末からの指示に基づいて1つずつ順次に分割した検索結果を応答するという仕組みを有する。この場合は、営業端末300の検索結果処理部310では、最初に応答された検索結果について銘柄を1つにまとめて表示し、その後、営業担当者からの指示により次の検索結果が応答される毎に、これまでにまとめた検索結果に対して、新たに取得した検索結果をマージした上で、銘柄を1つにまとめるという処理を順次繰り返す。
【0053】
GSAなどの検索エンジン200では、さらに、検索結果について、これを各種の観点から所定のカテゴリ(ファセット)に分類し、ファセットを選択することでリストの絞り込みをナビゲーションできる機能(ファセット検索)を有している。
図4の例における絞り込み条件指示領域324は、ファセットの階層構造と、各ファセットに分類される銘柄データの数の情報を表示する。営業担当者はここから所望のファセットを選択することで、当該ファセットに属する銘柄のみを検索結果表示領域323に表示することができる。なお、ファセットとして使用する項目は、
図2や
図3のインデックステーブルの例において示したように、各インデックステーブルにおいて設定された、検索結果として表示する項目がそれぞれ対象となる。
【0054】
なお、本実施の形態では、上述したように、検索条件入力領域321において、全文検索のキーワードを指定して検索を行った場合に、例えば、
図3(b)に示した文書銘柄インデックス220bを検索することで、当該キーワードに言及する文書を検索し、ヒットした文書に対応する銘柄を、当該キーワードに関連する銘柄として検索結果表示領域323に表示する。一方で、例えば、タブ領域322において「レポート」タブを選択するなどの指示により、キーワードに関連する銘柄を出力するのではなく、通常通り、キーワードに言及している文書のリストを検索結果として出力することも可能である。この場合は、検索処理部250において、インデックスとして、
図3(a)に示した文書情報インデックスを検索すればよい。
【0055】
<検索対象切り替え>
GSAなどの検索エンジン200を用いた検索処理では、上述したように、銘柄の検索結果については、例えば「配当利回り順」などの条件でソートした上で表示する。
図5は、絞り込みによる検索結果をソートして出力する場合の例について概要を示した図である。ここでは、
図4の銘柄情報検索画面320の検索条件入力領域321においてキーワードを指定せずに、タブ領域322のタブ指定や、絞り込み条件指示領域324でのファセットの指定等により絞り込んでいく場合を例とする。
【0056】
一般的に、検索エンジン200では、検索処理の効率を考慮して、ソートして出力するのは、絞り込み等により得られた検索結果の内、上位の所定の件数(例えば、GSAでは1000件)のみが対象となる。キーワードを指定しない検索の場合には、キーワードのマッチ率ではなく、例えば、参照頻度が高い銘柄である等の条件(例えば、GSAではページランク(登録商標))に基づく上位の1000件のみが出力対象となる。
【0057】
図5の例では、上段の図において、検索結果のうち、「銘柄AAA」、「銘柄BBB」、「銘柄CCC」については参照頻度が高い上位1000件に含まれているが、「銘柄ZZZ」は含まれておらず、従って、「配当利回り順」でのソートの対象から除外されることを示している。すなわち、「銘柄ZZZ」の配当利回りが5%であり、他の「銘柄AAA」等よりも高い場合であっても、「配当利回り順」によるソート結果には含まれない結果となる。
【0058】
ここで、例えばさらに、「アナリストがBuyと言っている銘柄」等の絞り込み条件を追加した場合、
図5の下段の図に示すように、これまでの検索結果はいったんリセットされ、再度全銘柄を対象に絞り込まれた条件で検索が行われた上で、改めて検索結果に対して「配当利回り順」でのソートがされる。
【0059】
このとき、例えば、絞り込み条件に合致する検索結果が1000件より少ない500件等であったとすると、この中には、絞り込み条件を追加する前には上位1000件に含まれていなかった「銘柄ZZZ」等の配当利回りの高い銘柄も新たに含まれ得ることになる。従って、ソートされた検索結果にも「銘柄ZZZ」が含まれることになり、その配当利回りが他よりも高い場合には、結果として、これまで表示されていなかった「銘柄ZZZ」が突然検索結果の上位に表示されるというような結果が生じ得る。
【0060】
一般的な検索においては、検索条件を追加して絞り込むことによって検索結果が順次絞り込まれていくのが常識的であるにも関わらず、上記の例では、検索条件を追加して絞り込むことによって、これまで検索結果として現れていなかった銘柄が、高い配当利回りを有するものとして突然表示されるという不整合な結果が生じ得る。このような状況は、一般的な検索システムでは大きな問題とはなりにくいが、本実施の形態の金融情報検索システム1ように、検索対象が金融商品であり、営業担当者がこの検索結果に基づいて金融商品の提案等の営業活動を行うのに用いられる場合には、誤認勧誘等の法令違反行為にもつながりかねず大きな問題となる。
【0061】
なお、上記の例は、キーワードの指定を行わずに絞り込みによって検索を行う場合を例として挙げたが、キーワードを指定した検索を行う場合にも、検索結果に対してさらに絞り込み条件指示領域324でのファセットの指定等により絞り込んでいくことで同様の状況は生じ得る。しかしながら、キーワードを指定している場合には、上位1000件を抽出する際に、参照頻度の高さやページランク(登録商標)などではなく、当該キーワードのマッチ率により抽出される。従って、仮に上記のような状況が生じたとしても、各種条件のうち、指定されたキーワードとのマッチ率が優先されて結果がソートされていることを前提として営業担当者が説明することで、誤認勧誘とはならないように配慮することが可能である。
【0062】
そこで、本実施の形態では、銘柄の検索の際にキーワードが指定されていない場合には、検索エンジン200の機能を用いずに、DB検索部201により、文書DB120などを直接検索するものとする。これにより、上述のように、キーワードを指定しない状況での銘柄の絞り込み検索において、ソートの条件で上位1000件以内に入り得る銘柄が、ソート前の検索結果において上位1000件以内に入らないことから、ソート後の検索結果から漏れてしまうという、検索エンジン200の制約から生じる事態を回避することができる。
【0063】
具体的には、営業端末300の検索アプリケーション側において、検索が指示された際に、
図4の銘柄情報検索画面320の検索条件入力領域321の入力フィールドに値が入力されておらず、かつ、タブ領域322でのタブによる絞り込みの指定や、絞り込み条件指示領域324でのファセットの指定がされており、また、「配当利回り順」等のソートの条件が指定されている場合や、キーワード指定による検索が行われた後に入力フィールドの内容がクリアされて再度検索された場合に、DB検索部201に対するDB検索をリクエストする。このとき、検索結果の表示については、ユーザにとってシームレスとなるよう、検索エンジン200による検索結果と同等の表示方式となるように、営業端末300の検索結果処理部310において検索結果を適宜加工・修正して表示するのが望ましい。
【0064】
このように、検索条件の指定内容に応じて、検索エンジン200において使用するインデックステーブルを適宜切り替えて効率的な検索を行うようにするだけではなく、検索エンジン200によるインデックステーブルの検索と直接のDB検索との間でも適宜切り替えることで、キーワードを指定しない銘柄の検索結果をソート表示する際に、本来表示されるべき銘柄が表示されないという誤認勧誘につながり得る事態を回避することができる。
【0065】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である金融情報検索システム1によれば、検索エンジン200において、例えば、文書DB120に対して予め文書インデックス220を作成する際に、それぞれの文書のURLの情報に加えて、当該文書が対象とする銘柄の情報を関連付けたインデックスを作成する。これにより、指定されたキーワードに対して、各文書の中も含めて全文検索し、当該キーワードに言及している文書に対応する銘柄の情報を検索結果として出力することが可能であり、例えば、営業担当者が外出先において、顧客との会話の中から得られたキーワードに基づいて、営業端末300を利用して関連する銘柄の情報をその場で顧客に提示してタイムリーな営業活動を行うことが可能である。
【0066】
また、キーワードを指定しない銘柄の検索結果をソート表示する際に、検索エンジン200によるインデックステーブルの検索ではなく、直接データストアのDB検索を行うことで、本来表示されるべき銘柄が表示されないという誤認勧誘につながり得る事態を回避することが可能である。
【0067】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。