(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[シリコーン系粘着テープ]
本発明のシリコーン系粘着テープは、ベースポリマーとしてのシリコーン系ポリマー及びシリコーン系剥離剤を含有するシリコーン系粘着剤層(シリコーン系感圧接着剤層)を少なくとも有する。なお、本明細書では、上記の「シリコーン系ポリマー及びシリコーン系剥離剤を含有するシリコーン系粘着剤層」を「シリコーン系粘着剤層A」と称する場合がある。
また、本明細書において、「粘着テープ」には、「粘着シート」の意味も含むものとする。また、本明細書において、上記シリコーン系粘着剤層Aを形成する際に用いられる組成物を、「シリコーン系粘着剤組成物A」と称する場合がある。粘着剤組成物は、粘着剤層の形成に用いられる組成物であり、粘着剤の形成に用いられる組成物の意味を含むものとする。
【0013】
本発明のシリコーン系粘着テープは、基材フィルムの少なくとも一方の面側にシリコーン系粘着剤層Aを有する。つまり、本発明のシリコーン系粘着テープは、基材付き粘着テープである。また、本発明のシリコーン系粘着テープは、一方の面にのみ粘着面を有する片面粘着タイプの粘着テープであってもよいし、両方の面に粘着面を有する両面粘着タイプの粘着テープであってもよい。なお、本発明のシリコーン系粘着テープが両面粘着テープである場合、本発明のシリコーン系粘着テープは、両方の粘着面がシリコーン系粘着剤層Aにより提供される形態を有していてもよいし、一方の粘着面がシリコーン系粘着剤層Aにより提供され、他方の粘着面がその他の粘着剤層(シリコーン系粘着剤層A以外の粘着剤層)により提供される形態を有していてもよい。
【0014】
本発明のシリコーン系粘着テープは、基材フィルムやシリコーン系粘着剤層A以外にも、粘着剤層A以外の粘着剤層(その他の粘着剤層)、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。また、本発明のシリコーン系粘着テープの粘着剤層表面(粘着面)は、剥離ライナーにより保護されていてもよい。
【0015】
(シリコーン系粘着剤層A)
本発明のシリコーン系粘着テープは、シリコーン系粘着剤層Aを少なくとも有する。シリコーン系粘着剤層Aは、ベースポリマーとしてのシリコーン系ポリマー、及び、シリコーン系剥離剤を少なくとも含有する。本発明のシリコーン系粘着テープにおいて、シリコーン系粘着剤層Aにより提供される粘着面は、軽剥離面であり、経時での粘着力上昇が抑制されており、一定の粘着性を維持できる。これは、シリコーン系粘着剤層Aに含まれるシリコーン系剥離剤が、シリコーン系粘着剤層A表面に均一に存在し硬化しているためと推測される。
【0016】
シリコーン系粘着剤層Aは、シリコーン系ポリマーをベースポリマーとして含む。シリコーン系粘着剤層Aにおけるシリコーン系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、シリコーン系粘着剤層A全量(100重量%)に対して、50重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは60重量%以上である。
【0017】
上記シリコーン系粘着剤層Aは、シリコーン系粘着剤組成物Aにより形成される。上記シリコーン系粘着剤層Aとしては、特に限定されないが、例えば、過酸化物架橋型シリコーン系粘着剤組成物(過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤組成物)や付加反応型シリコーン系粘着剤組成物により形成されたシリコーン系粘着剤層が好ましく挙げられ、付加反応型シリコーン系粘着剤組成物により形成されたシリコーン系粘着剤層Aがより好ましく挙げられる。
【0018】
また、シリコーン系粘着剤組成物Aとしては、フェニル基含有シリコーン系粘着剤組成物が好ましい。上記フェニル基含有シリコーン系粘着剤組成物としては、例えば、ポリメチルフェニルシリコーン系粘着剤組成物、ポリエチルフェニルシリコーン系粘着剤組成物等のポリアルキルフェニルシリコーン系粘着剤組成物などが挙げられる。
【0019】
上記付加反応型シリコーン系粘着剤組成物としては、フェニル基を有しているオルガノポリシロキサンによる付加反応型シリコーン系粘着剤組成物(付加反応型のフェニル基含有シリコーン系粘着剤組成物)が好ましい。このような付加反応型のフェニル基含有シリコーン系粘着剤組成物におけるフェニル基を有しているオルガノポリシロキサンとしては、例えば、ポリメチルフェニルシロキサン(ポリメチルフェニルシリコーン)や、ポリエチルフェニルシロキサン(ポリエチルフェニルシリコーン)等のポリアルキルフェニルシロキサン(ポリアルキルフェニルシリコーン)などが挙げられる。
【0020】
上記付加反応型シリコーン系粘着剤組成物は、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有することが好ましい。
【0021】
上記シリコーンゴムとしては、シリコーン系のゴム成分であれば特に限定されないが、フェニル基を有しているオルガノポリシロキサン(特に、メチルフェニルシロキサンを主な構成単位としているオルガノポリシロキサン)からなるシリコーンゴムが好ましい。このようなシリコーンゴムにおけるオルガノポリシロキサンには、必要に応じて、ビニル基等の各種官能基が導入されていてもよい。なお、上記オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、特に限定されないが、15万以上であることが好ましく、より好ましくは28万〜100万、さらに好ましくは50万〜90万である。
【0022】
また、上記シリコーンレジンとしては、シリコーン系粘着剤(シリコーン系感圧接着剤)に使用されているシリコーン系のレジンであれば特に限定されないが、例えば、構成単位「R
3−Si
1/2」からなるM単位、構成単位「SiO
2」からなるQ単位、構成単位「R−SiO
3/2」からなるT単位、および構成単位「R
2−SiO」からなるD単位から選択される少なくとも1種の単位を有する(共)重合体からなるオルガノポリシロキサンを含むシリコーンレジンなどが挙げられる。なお、上記構成単位におけるRは炭化水素基又はヒドロキシル基を示す。上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(メチル基、エチル基等のアルキル基など)、脂環式炭化水素基(シクロヘキシル基等のシクロアルキル基など)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基等のアリール基など)などが挙げられる。上記「M単位」と、「Q単位、T単位およびD単位から選択された少なくとも1種の単位」との割合(比)としては、例えば、前者/後者(モル比)=0.3/1〜1.5/1(好ましくは0.5/1〜1.3/1)であることが好ましい。
【0023】
上記シリコーンレジンにおけるオルガノポリシロキサンには、必要に応じて、ビニル基等の各種官能基が導入されていてもよい。なお、導入される官能基は、架橋反応を生じることが可能な官能基であってもよい。シリコーンレジンにおけるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、1000以上であることが好ましく、より好ましくは1000〜20000、さらに好ましくは1500〜10000である。
【0024】
上記シリコーンゴムと上記シリコーンレジンとの配合割合としては、特に限定されないが、シリコーンゴム100重量部に対して、シリコーンレジンが100〜220重量部(特に120〜180重量部)とすること好ましい。
【0025】
なお、シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物において、シリコーンゴム及びシリコーンレジンは、単に混合されている混合状態となっていてもよく、該混合により、シリコーンゴムとシリコーンレジンとが反応して縮合物(特に部分縮合物)となっている縮合状態となっていてもよい。
【0026】
また、シリコーン系粘着剤Aは、シリコーン系剥離剤を含有する。上記シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性シリコーン系剥離剤、電離性放射線硬化性シリコーン系剥離剤などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤は、溶剤を含まない無溶剤型、有機溶剤に溶解あるいは分散した溶剤型のいずれであってもよい。なお、シリコーン系剥離剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記熱硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとを含むものが好ましい。また、上記シリコーン系剥離剤は、熱付加反応による架橋が起こって硬化する熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤であることが好ましい。
【0028】
上記熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、分子中にケイ素原子(Si)に結合した水素原子(H)を有するポリシロキサン(Si−H基含有ポリシロキサン)と、分子中にSi−H結合(SiとHとの共有結合)に対して反応性を有する官能基(Si−H基反応性官能基)を含むポリシロキサン(Si−H基反応性ポリシロキサン)とを含む剥離剤が好ましく挙げられる。なお、この剥離剤は、Si−H基とSi−H基反応性官能基とが付加反応して架橋することにより硬化する。
【0029】
上記Si−H基含有ポリシロキサンにおいて、Hが結合したSiは、主鎖中のSiおよび側鎖中のSiのいずれであってもよい。上記Si−H基含有ポリシロキサンは、分子中にSi−H基を二個以上含むポリシロキサンが好ましい。二個以上のSi−H基を含有するポリシロキサンとしては、ポリ(ジメチルシロキサン−メチルシロキサン)等のジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーが好ましく挙げられる。
【0030】
また、上記Si−H基反応性ポリシロキサンとしては、Si−H基反応性官能基またはかかる官能基を含む側鎖が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)に結合した態様のポリシロキサンが好ましく挙げられる。中でも、Si−H基反応性官能基が主鎖中のSiに直接結合したポリシロキサンが好ましい。さらには、上記Si−H基反応性ポリシロキサンとしては、分子中にSi−H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンも好ましく挙げられる。
【0031】
上記Si−H基反応性ポリシロキサンにおけるSi−H基反応性官能基としては、例えば、ビニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。また、上記Si−H基反応性ポリシロキサンにおける主鎖部分を形成するシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン(2つのアルキル基は同じでも、異なってもよい。);ポリアルキルアリールシロキサン;ポリ(ジメチルシロキサンッメチルシロキサン)、複数のSi含有モノマーを重合してなるポリマー等が挙げられる。中でも、主鎖部分を形成するシロキサン系ポリマーとしては、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0032】
特に、上記熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤は、分子中にSi−H基を二個以上含むポリシロキサンと、分子中にSi−H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンとを含有する熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤であることが好ましい。
【0033】
また、上記電離性放射線硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、紫外線(UV)照射により架橋反応が起こって硬化するUV硬化性シリコーン系剥離剤が好ましく挙げられる。
【0034】
上記UV硬化性シリコーン系剥離剤は、UV照射によって、カチオン重合、ラジカル重合、ラジカル付加重合、ヒドロシリル化反応等の化学反応が起こって硬化する剥離剤である。上記UV硬化性シリコーン系剥離剤は、カチオン重合により硬化するUV硬化性シリコーン系剥離剤が特に好ましい。
【0035】
カチオン重合型のUV硬化性シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、少なくとも二個のエポキシ基が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)および/または側鎖に含まれるSiに、それぞれ直接または2価の基(メチレン基、エチレン基等のアルキレン基;エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基等)を介して結合したエポキシ基含有ポリシロキサンを含む剥離剤が好ましく挙げられる。これら少なくとも二個のエポキシ基のSiへの結合態様は、同じでも異なってもよい。すなわち、一種または二種以上のエポキシ基含有側鎖を二個以上含むポリシロキサンを含む剥離剤が好ましく挙げられる。エポキシ基含有側鎖としては、グリシジル基、グリシドキシ基(グリシジルオキシ基)、3,4−エポキシシクロヘキシル基、2,3−エポキシシクロペンチル基等が挙げられる。エポキシ基含有ポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、またはそれらの混合物のいずれであってもよい。
【0036】
特に、本発明のシリコーン系粘着テープでは、経時での粘着力上昇の抑制性を優れたレベルで得る点より、シリコーン系粘着剤Aに熱硬化性シリコーン系剥離剤を含むことが好ましく、熱付加反応硬化性シリコーン系剥離剤を含むことがより好ましい。
【0037】
本発明のシリコーン系粘着テープのシリコーン系粘着剤層Aにおける上記シリコーン系剥離剤の含有量は、特に限定されないが、ベースポリマーであるシリコーン系ポリマー100重量部に対して、0.2重量部以上100重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部以上80重量部以下であり、さらにより好ましくは0.2重量部以上60重量部未満である。上記含有量が0.2重量部以上であると、シリコーン系剥離剤をシリコーン系粘着剤層に含有させることによる経時での接着力上昇を抑える効果を得やすくなる。また、上記含有量が100重量部以下であると、十分な粘着性が得られず、被着体への貼付が難しくなるという不具合を抑制しやすくなる。
【0038】
さらには、本発明のシリコーン系粘着テープのシリコーン系粘着剤層Aには、必要に応じて、添加剤が含まれていてもよい。すなわち、上記シリコーン系粘着剤組成物Aは、シリコーン系剥離剤の他に、添加剤を必要に応じて含有していてもよい。また、上記シリコーン系粘着剤組成物Aは、触媒(特に白金系触媒など)を含有していてもよい。上記添加剤としては、特に限定されないが、架橋剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、着色剤(顔料や染料など)等が挙げられる。なお、添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
上記シリコーンゴムとシリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤組成物では、架橋構造体であるシリコーン系粘着剤層を得る点より、架橋剤を含有していてもよい。このような架橋剤としては、特に限定されないが、シロキサン系架橋剤(シリコーン系架橋剤)、過酸化物系架橋剤などが好ましく挙げられる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
上記シロキサン系架橋剤としては、特に限定されないが、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましく挙げられる。このようなポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、水素原子が結合しているケイ素原子には、水素原子以外に各種有機基が結合していてもよい。該有機基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基;ハロゲン化アルキル基などが挙げられる。中でも、合成や取り扱いの観点から、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの骨格構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれの骨格構造を有していてもよいが、直鎖状が好適である。
【0041】
上述のように、本発明のシリコーン系粘着剤層Aは、シリコーン系粘着剤組成物Aにより形成される。シリコーン系粘着剤組成物Aは、シリコーン系粘着剤層Aの形成に用いられる組成物であり、上記ベースポリマーとしてのシリコーン系ポリマー及び上記シリコーン系剥離剤を少なくとも含有する。シリコーン系粘着剤層Aは、特に限定されないが、例えば、上記シリコーン系ポリマー、上記シリコーン系剥離剤などを混合することにより得ることができる。
【0042】
シリコーン系粘着剤組成物Aの粘度は、特に限定されないが、作業性、取り扱い性、均一な粘着剤層の形成しやすさの点より、0.1〜100Pa・sが好ましく、より好ましくは0.5〜50Pa・sである。なお、本明細書において粘度とは、粘度計としてBH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃の条件で測定された粘度をいうものとする。
【0043】
シリコーン系粘着剤層Aは、層状のシリコーン系粘着剤組成物Aを得て、該層状物を硬化させることにより形成される。例えば、シリコーン系粘着剤組成物Aより粘着剤組成物層を得て、該粘着剤組成物層を加熱・乾燥(例えば100〜160℃の温度で、1〜10分加熱処理すること)することにより、形成される。
【0044】
シリコーン系粘着剤層Aの厚みは、特に限定されないが、接着信頼性の点より、3〜200μmが好ましく、より好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは5〜100μmである。
【0045】
シリコーン系粘着剤層Aのヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、高い透明性を得る点より、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。なお、ヘイズは、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)にシリコーン系粘着剤層Aを貼り合わせ、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0046】
また、シリコーン系粘着剤層Aの透過率(可視光波長領域における全光線透過率、JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、高い透明性を得る点より、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上である。なお、透過率は、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)にシリコーン系粘着剤層Aを貼り合わせ、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0047】
(基材フィルム)
上述のように、本発明のシリコーン系粘着テープは、基材フィルム及びシリコーン系粘着剤層Aを少なくとも有する基材付き粘着テープである。なお、基材フィルムは、1層からなる基材フィルムであってもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0048】
上記基材フィルムは、プラスチック基材(ポリマー基材)であることが好ましい。上記プラスチック基材(ポリマー基材)を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ酢酸ビニル;ポリアミド;ポリイミド;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどのセルロース類;フッ素系樹脂;ポリエーテル;ポリエーテルアミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂などが挙げられる。なお、上記材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0049】
中でも、上記プラスチック基材を構成する材料としては、強度、取り扱い性(ハンドリング性)、コスト、寸法安定性、投錨力のバランスの良さから、ポリエステルやセルロース類、アクリル樹脂などが好ましく、より好ましくはポリエステルである。つまり、上記プラスチック基材は、ポリエステルフィルムやセルロースフィルム、アクリル樹脂フィルムであることが好ましく、より好ましくはポリエステルフィルムである。
【0050】
上記基材フィルムは、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。例えば、上記基材フィルムは、延伸処理(一軸延伸又は二軸延伸)等により変形性が制御されていてもよい。また、基材フィルムの表面には、粘着剤層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。
【0051】
さらには、粘着剤層との密着力を高めるためのプライマー処理が施されていてもよい。特に、上記基材フィルムは、シリコーン系粘着剤層Aとの密着力を高めるために、シリコーンプライマー処理されたものが好ましい。
【0052】
他にも、上記基材フィルムは、表面の耐擦傷性(耐擦過性)を向上させる点より、ハードコート処理が施されていてもよい。このようなハードコート処理が施されていると、表面保護用として用いる場合、その保護機能をより向上させることができる。また、基材フィルムは、静電気の発生を抑制する点より、帯電防止処理が施されていてもよい。
【0053】
上記基材は、例えば、一方の面に粘着剤層との密着性を向上させるためにプライマー処理が施され、他方の面にハードコート処理が施された基材であってもよい。
【0054】
(剥離ライナー)
上述のように、本発明のシリコーン系粘着テープは、粘着面を保護するために、剥離ライナーが設けられていてもよい。上記剥離ライナーは、特には限定されず、公知乃至慣用の剥離ライナーを用いることができる。例えば、上記剥離ライナーとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系樹脂などから構成されるプラスチックフィルムが好ましく挙げられる。
【0055】
また、上記剥離ライナーとしては、例えば剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなども挙げられる。さらに、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)も挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)を使用することが好ましい。
【0056】
上記剥離ライナー基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルム等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されるプラスチックフィルムが挙げられる。中でも、加工性、入手性、作業性、防塵性、コスト等の観点から、ポリエステル系樹脂から形成されるプラスチックフィルムが好ましく、さらに好ましくはPETフィルムである。
【0057】
上記剥離層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどの剥離処理剤が挙げられる。なお、剥離処理剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
上記剥離ライナーは、公知慣用の方法により製造することができる。また、上記剥離ライナーの厚みは、特に限定されない。
【0059】
(シリコーン系粘着テープ)
本発明のシリコーン系粘着テープの製造方法は、特に限定されないが、公知の形成方法を利用することができる。例えば、上記基材フィルムの少なくとも一方の面側に、上記シリコーン系粘着剤組成物Aよりシリコーン系粘着剤層Aを形成することにより、作製できる。
【0060】
本発明のシリコーン系粘着テープの初期粘着力(特に、シリコーン系粘着剤層Aにより提供される粘着面の初期粘着力)は、0.01〜0.10N/25mmであり、好ましくは0.01〜0.08N/25mm、より好ましくは0.01〜0.05N/25mmである。本発明のシリコーン系粘着テープは、初期粘着力が0.01N/25mm以上であるので、被着体に対して十分な接着性を得ることができる。また、初期粘着力が0.10N/25mm以下であるので、被着体に対して軽剥離であり、被着体に対する粘着力が小さい。このため、被着体に貼り付けても、被着体を破損することなく、簡易に被着体から剥離することができる。なお、初期粘着力は、貼付や保存のされていない粘着テープを被着体に貼り、貼ったばかりの時の粘着力という意味である。初期粘着力は、粘着テープを被着体に貼り合せてから30分後に剥離する際の粘着力を測定することにより求められる。上記初期粘着力は、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の剥離条件下で測定され、ガラス板に対する粘着力である。また、測定温度:23℃、相対湿度:50%RHの雰囲気下で測定される。また、ガラス板としては、例えば、ガラス板(ソーダライムガラス#0050、松浪硝子工業株式会社製)が挙げられる。
【0061】
本発明のシリコーン系粘着テープでは、下記式(1)の値が80以下であることが好ましい。
(粘着力A)/(粘着力B)×100 (1)
粘着力A:ガラスに貼付して、85℃で48時間保存した後のガラスに対する粘着力
粘着力B:シリコーン系剥離剤を含有しないシリコーン系粘着剤層を基材フィルムの表面に有する粘着テープをガラスに貼付して、85℃で48時間保存した後のガラスに対する粘着力
【0062】
粘着力A及び粘着力Bは、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の剥離条件下で測定され、ガラス板に対する粘着力である。また、測定温度:23℃、相対湿度:50%RHの雰囲気下で測定される。
ガラス板としては、例えば、ガラス板(ソーダライムガラス#0050、松浪硝子工業株式会社製)が挙げられる。
粘着力Aの測定で用いた粘着テープは、シリコーン系剥離剤を含有するシリコーン系粘着剤層を基材フィルムの少なくとも一方の面側に有する粘着テープであり、また、粘着力Bの測定で用いた粘着テープは、シリコーン系剥離剤を含有しないシリコーン系粘着剤層を基材フィルムの少なくとも一方の面側に有する粘着テープである。粘着力Aの測定で用いた粘着テープと粘着力Bの測定で用いた粘着テープとを対比すると、シリコーン系粘着剤層におけるシリコーン系剥離剤の含有の有無以外は、同じである。例えば、粘着力Aの測定で用いた粘着テープと粘着力Bの測定で用いた粘着テープとにおいて、シリコーン系粘着剤層の厚み同じであり、基材フィルムの材料や厚みは同じである。
なお、85℃での48時間の保存は、常温での長期間の保存に相当する。
【0063】
本発明のシリコーン系粘着テープにおいて、式(1)の値は80以下であり、好ましくは75以下である。本発明のシリコーン系粘着テープは、式(1)の値が80以下であるので、経時での粘着力の上昇が抑制され、一定の粘着力を維持でき、また、経時で保存しても一定の粘着力を維持できる。
【0064】
また、本発明のシリコーン系粘着テープは、透明であることが好ましい。
【0065】
本発明のシリコーン系粘着テープのヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、高い透明性を得る点より、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。なお、ヘイズは、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に本発明のシリコーン系粘着テープを貼り合わせ、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0066】
また、本発明のシリコーン系粘着テープの透過率(可視光波長領域における全光線透過率、JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、高い透明性を得る点より、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上である。なお、透過率は、例えば、スライドガラス(例えば、全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%のもの)に本発明のシリコーン系粘着テープを貼り合わせ、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0067】
本発明のシリコーン系粘着テープの厚みは、特に限定されないが、15〜400μmが好ましく、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは25〜250μmである。
【0068】
本発明のシリコーン系粘着テープは、シリコーン系粘着剤層Aを有するので、被着体に対して十分な接着性を発揮するとともに、経時での接着力上昇性が抑制されている。また、被着体に対して軽剥離であり、長期間保存した後であっても、被着体に対して軽剥離である。このため、本発明のシリコーン系粘着テープは、長期間、一定の粘着力を維持できる。ゆえに、本発明のシリコーン系粘着テープは、被着体に貼り付けてから長期間経過しても、被着体を破損することなく、簡易に被着体から剥離することができる。つまり、本発明の本発明のシリコーン系粘着テープは、再剥離性に優れる。
【0069】
例えば、本発明のシリコーン系粘着テープを厚みの小さい半導体ウエハなどの脆弱な被着体に貼付して、長い時間が経過しても、本発明のシリコーン系粘着テープを、被着体を破損することなく、被着体から簡易に剥離することができる。
【0070】
本発明のシリコーン系粘着テープは、上記の特性を有するので、表面保護フィルムとして好適に用いられる。例えば、薄層表示部材、薄層表示装置、薄層光学フィルム、電子機器等の表面保護用途に好ましく用いられる。上記薄層表示装置としては、特に限定されないが、LCDなどを用いたタッチパネルが好ましく挙げられる。上記薄層表示部材としては、特に限定されないが、LCDあるいはそれに使用されるカラーフィルターなどが好ましく挙げられる。上記薄層光学フィルムとしては、特に限定されないが、偏光板が好ましく挙げられる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
シリコーン系粘着剤1(付加反応型シリコーン系粘着剤、商品名「X−40−3306」、信越化学工業株式会社製):100重量部、白金系触媒1(商品名「CAT−PL−50T」、信越化学工業株式会社製):0.4重量部、シリコーン系剥離剤1(ジメチルポリシロキサンを主成分とした付加反応型のシリコーン系剥離剤、商品名「KS−776A」、信越化学工業株式会社製):0.5重量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物1)を調製した。
基材フィルム1(一方の面がシリコーンプライマー処理されたポリエステルフィルム、厚み38μm、商品名「ダイアホイル MRF#38」、三菱樹脂株式会社製)のシリコーンプライマー処理された面に、シリコーン系粘着剤組成物1を塗布して、シリコーン系粘着剤組成物層を有するフィルムを得た。
次に、上記のシリコーン系粘着剤組成物層を有するフィルムを、温度:30℃、時間:2分の条件で加熱し、さらに、温度:130℃、時間:3分の条件で加熱するという加熱乾燥処理を行い、厚みが75μmのシリコーン系粘着剤層を形成した。そして、基材フィルムの一方の面側にシリコーン系粘着剤層を有するシリコーン系粘着テープを得た。
なお、シリコーン系粘着テープの粘着面上には、ポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離処理されていないポリエチレンテレフタレートフィルム)を貼り合わせ、シリコーン系粘着剤層を保護した。
【0073】
(実施例2)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を1.0重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物2)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0074】
(実施例3)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を3.0重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物3)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0075】
(実施例4)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を5.0重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物4)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0076】
(実施例5)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を10.0重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物5)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物5を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0077】
(実施例6)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を30.0重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物6)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物6を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0078】
(実施例7)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を50.0重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物7)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0079】
(実施例8)
シリコーン系粘着剤組成物2を使用し、乾燥後の粘着剤組成物2の厚みを10μmした以外は実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0080】
(実施例9)
シリコーン系粘着剤組成物3を使用したこと以外は、実施例8と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0081】
(比較例1)
シリコーン系剥離剤1を加えていないこと以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物8)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物8を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0082】
(比較例2)
シリコーン系剥離剤1の量(添加部数)を0.1重量部とした以外は実施例1と同様にシリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物(シリコーン系粘着剤組成物9)を調製した。
このシリコーン系粘着剤組成物9を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン系粘着テープを得た。
【0083】
(比較例3)
シリコーン系粘着剤組成物8を使用したこと以外は実施例8と同様にして、シリコーン系粘着テープを調製した。
【0084】
(比較例4)
シリコーン系粘着剤組成物9を使用したこと以外は実施例8と同様にして、シリコーン系粘着テープを調製した。
【0085】
[測定]
実施例及び比較例で得られたシリコーン系粘着テープについて、下記の粘着力の測定法を用いて、初期粘着力、粘着力A、粘着力Bを求めた。また、この粘着力A及び粘着力Bより、式(1)の値[(粘着力A)/(粘着力B)×100]を求めた。
さらに、スライドガラス(全光線透過率91.8%、ヘイズ0.4%)にシリコーン系粘着剤層を貼り合わせて測定サンプルとし、この測定サンプルから、ヘイズメータ(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて、シリコーン系粘着剤層のヘイズ及びシリコーン系粘着剤層の全光線透過率を求めた。
【0086】
(粘着力の測定法)
23℃、50%RH雰囲気下でシリコーン系粘着テープを30分間放置してから、シリコーン系粘着テープより、長さ100mm、幅25mmのシート片を得た。次いで、23℃、50%RH雰囲気下で、上記シート片から剥離ライナーを剥離して、粘着面(測定面)を露出させ、シート片を、ガラス板(ソーダライムガラス#0050、松浪硝子工業株式会社製)に、2kgローラー、1往復の条件で圧着し、シート片をガラス板に貼り合わせた。そして、引張試験機(商品名「TCM−1kNB」、ミネベア社製)を用いて、180°剥離試験を行い、180°ピール粘着力(180°引き剥がし粘着力)(N/25mm)を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。
【0087】
(初期粘着力)
シリコーン系粘着テープを作製した後、シリコーン系粘着テープについて、上記粘着力の測定法により、粘着力を求めた。この粘着力を初期粘着力とした。
なお、初期粘着力の測定では、シート片をガラス板に貼り合わせ、30分放置してから、180°剥離試験を行った。
【0088】
(粘着力A)
シリコーン系粘着テープを作製した後、85℃の温度下で48時間放置し、加熱放置後のシリコーン系粘着テープとした。この加熱放置後のシリコーン系粘着テープについて、上記粘着力の測定法により、粘着力を求めた。この粘着力を粘着力Aとした。
【0089】
(粘着力B)
シリコーン系粘着剤層にシリコーン系剥離剤を含有するシリコーン系粘着テープに関する実施例及び比較例について、シリコーン系剥離剤を加えたこと以外は同じ手順で、それぞれの実施例及び比較例に対応するシリコーン系粘着テープを、参考として、作製した。
この参考としてのシリコーン系粘着テープは、シリコーン系粘着剤層にシリコーン系剥離剤を含有せず、シリコーン系剥離剤の含有の有無以外は、対応する実施例又は比較例のシリコーン系粘着テープと同一である。
この参考としてのシリコーン系粘着テープを作製した後、85℃の温度下で48時間放置し、加熱放置後の参考のシリコーン系粘着テープとした。この加熱放置後の参考のシリコーン系粘着テープについて、上記粘着力の測定法により、粘着力を求めた。この粘着力を粘着力Bとした。
なお、シリコーン系剥離剤を含有しない比較例については、粘着力Bの値として、便宜上、粘着力Aの値を採用した。
【0090】
【表1】
表1において、「A/B×100」は、「式(1)の値[(粘着力A)/(粘着力B)×100]」を示す。