特許第6378521号(P6378521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6378521複合樹脂エマルションにより被覆処理された粉体及びそれを含有する化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378521
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】複合樹脂エマルションにより被覆処理された粉体及びそれを含有する化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20180813BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20180813BHJP
【FI】
   A61K8/25
   A61Q1/00
【請求項の数】4
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-71672(P2014-71672)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193552(P2015-193552A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵悟
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/020060(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/126470(WO,A1)
【文献】 特開2002−069329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0185984(US,A1)
【文献】 特開2011−016957(JP,A)
【文献】 特開2010−150519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C08F 283/01;290/00−290/14;299/00−299/08
C08G 18/00−18/87;71/00−71/04
C09C 1/00−3/12
C09D 15/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)以下の工程(1)〜(4);
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた(a)成分及び(b)成分の混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂エマルションを得る工程
の各工程を順次行うことにより得られ、工程(1)において、ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量1000のポリプロピレングリコールと数平均分子量2000のポリプロピレングリコールの2種を94:6〜92:8(質量比)の割合で使用し、混合液中の(a)成分と(b)成分との割合が、(a)成分:(b)成分(純分質量比)=50:50〜60:40である複合樹脂エマルション
により被覆処理された粉体。
【請求項2】
前記被覆処理され粉体が、タルク、セリサイト及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも1種であ請求項1記載の被覆処理された粉体。
【請求項3】
前記被覆処理された粉体の複合樹脂の被覆量が、被覆処理された粉体中の0.1〜10質量%である請求項1又は2に記載の被覆処理された粉体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の被覆処理された粉体を含有する化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン系ポリマーとアクリル系ポリマーを特定比率でブレンドした新規な複合樹脂エマルションにより被覆処理された粉体、及びそれを配合する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料は、メイクアップ効果の演出や感触調整等を目的として、無機粉体、有機粉体、色素粉体など種々の粉体を含有するものが多い。これらの粉体は、肌上における伸び、やわらかさ等の感触や、化粧もち等の機能性に大きな影響を与えている。。そのため、粉体を目的に応じて種々の表面処理剤で被覆することが行われてきた。その一つとして、化粧崩れを防止するために、フッ素化合物で被覆処理して撥水性や耐水性を付与した化粧料用粉体の技術(特許文献1)や、粉体の凝集による使用時の伸び広がりの悪さを改善するために、アクリル酸アルキル共重合体で表面処理した粉体を配合した固形粉末化粧料の技術(特許文献2)等が提案されてきた。一方、感触を向上させる技術としては、粉体を肌への親和性の高いヒアルロン酸で被覆処理した技術(特許文献3)や、シリコーンエラストマーを粉体に表面処理することで、柔らかい感触を付与する技術(特許文献4)等が検討されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−180811号公報
【特許文献2】特開2007−269699号公報
【特許文献3】特開2013−177328号公報
【特許文献4】特開2010−163375号公報
【0004】
しかながら、粉体にフッ素化合物処理を施した技術や、アクリル酸アルキル共重合体で粉体表面を被覆した技術は、皮脂や汗に濡れにくいために経時での色沈みがしにくいものの、粉体と肌との親和性が低くなり、肌への付着、なじみが低下するなど、感触の点で不十分であった。これとは逆に、肌への親和性を高めるためにヒアルロン酸にて処理した技術は、肌への付着は優れるものの粉体本来の硬さは改善できず、感触の点で満足のできるものではなく、また耐水・耐油性についても劣る傾向があった。一方、シリコーンエラストマーにより粉体表面を被覆処理技術では、感触はやわらかいものの肌への親和性が低く、また耐油性が十分でないために化粧料に配合した際に耐皮脂性という点で満足のできるものではなかった。このように粉体の表面処理において感触の良さと化粧もちの良さを両立させることは容易ではなく、化粧料に配合した際に十分な耐水・耐油性を有し経時で色沈みを起こすことなく、付着性がよく化粧もちが良好で、なおかつ肌当たりがやわらかく感触にも優れた化粧料を得ることができる処理粉体が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、前述した従来技術では解消しなかった、皮脂や汗による色沈みがしにくく、肌への付着に優れるために化粧もちが良好で、柔らかく滑らかな感触を有する新規な被覆処理粉体、及びそれを含有する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような実情に鑑み、本発明者は、ウレタン系ポリマーとアクリル系ポリマーを特定比率でブレンドした新規な複合樹脂エマルションを粉体の表面処理剤として用いることにより、アクリル系ポリマーが粉体表面に耐水・耐油性に優れる膜を形成し、その膜の上を感触がやわらかく肌への親和性にも優れるウレタン系ポリマーが覆うと考えた。検討の結果、少量の処理量で高い耐水・耐油性を粉体に付与できることを見出し、さらにこの表面処理粉体を化粧料に配合することで、汗や皮脂による色沈みが起きにくく、また肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
以下の工程(1)〜(4);
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂エマルションを得る工程
の各工程を順次行うことにより得られ、工程(1)において、ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量1000のポリプロピレングリコールと数平均分子量2000のポリプロピレングリコールの2種を94:6〜92:8(質量比)の割合で使用し、混合液中の(a)成分と(b)成分との割合が、(a)成分:(b)成分(純分質量比)=50:50〜60:40である複合樹脂エマルション
により被覆処理された粉体、及びこれを含有する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に用いられる複合樹脂エマルションにより被覆処理された粉体は、耐水・耐油性に優れ、かつ感触は柔らかく肌への密着性も良好な粉体、及びこれを含有する、汗や皮脂による色沈みが起きにくく、また肌への塗布時の感触が滑らかで付着性も良好な化粧料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の詳細について以下に説明する。
(複合樹脂エマルション)
本発明の粉体の被覆処理に用いられる複合樹脂エマルションは、ウレタン系ポリマーとアクリル系ポリマーがブレンドされポリマーエマルションの形態をとるものであり、この複合樹脂エマルションは、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)(以下、「(a)成分」ということがある)と、特定の重合性単量体(b)(以下、「(b)成分」ということがある)との混合液を水性媒体中に乳化分散し、この乳化液中の(b)成分を重合させて得られる水性エマルションである。
【0010】
前記の複合樹脂エマルションは、以下の工程(1)〜(4)の工程を順次行うことによって得られる。
(1)エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性単量体であって、これを重合させて得られる重合体のガラス転移温度が95℃以上、105℃以下となる重合性単量体((b)成分)の存在下で、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー((a)成分)を生成させ、(a)成分及び(b)成分の混合液を得る工程、
(2)(1)で得られた混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る工程、
(3)(2)で得られた混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る工程、
(4)(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、複合樹脂エマルションを得る工程
【0011】
以下各工程について説明する。まず、工程(1)において得られる(a)成分のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーとは、イソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマーであり、ポリプロピレングリコールと、ジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートとを反応させた重合体である。
【0012】
ポリプロピレングリコールとして、数平均分子量約1000のポリプロピレングリコール(PPG1000)と数平均分子量約2000のポリプロピレングリコール(PPG2000)の2種をPPG1000:PPG2000=94:6〜92:8(質量比)の割合で使用する。
【0013】
脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有するものであり、具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート等が例示できる。
【0014】
この(a)成分の酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満であると、水性溶媒への分散状態が悪くなる場合がある。一方で、その上限は70mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g以下であるとより好ましい。ジメチロールプロピオン酸の使用量は、重合により形成される(a)成分の酸価が上記した範囲となるように調整すればよい。
【0015】
ジメチロールプロピオン酸の望ましい使用割合としては、ポリプロピレングリコールとジメチロールプロピオン酸との合計中30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。一方で、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。この範囲内とすることで、上記の酸価の範囲を満たすことができる。
【0016】
一方、ポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸と、脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物との使用割合は、当量比で、ポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2が好ましく、1:1.5〜1.9がより好ましい。このように、ジオール成分であるポリプロピレングリコール及びジメチロールプロピオン酸に対して、脂肪族又は脂環式多価イソシアネート化合物が化学量論的に過剰となる割合で反応させることにより、(a)成分にイソシアネート基が導入される。
【0017】
(a)成分を製造するためのウレタン生成反応は、(b)成分の存在下で行う。この(b)成分によって反応系が希釈されて反応を均一に行うことができる。
【0018】
(b)成分である重合性単量体は、エステル基含有(メタ)アクリル酸単量体を含有する重合性二重結合を有する単量体であり、中でも、イソシアネート基に対して反応性のない重合性単量体、すなわち、活性水素基を含まない重合性単量体が好ましい。
【0019】
このような(b)成分、特に活性水素基を含まない重合性単量体の例としては、炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等が挙げられる。
【0020】
上記炭素原子数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等が例示される。これらの中でも、炭素原子数1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、とりわけ炭素原子数1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0021】
上記エステル基含有ビニル単量体の具体例としては、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸ビニル等の疎水性ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等が例示される。
【0022】
また、上記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられる。上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
【0023】
これらの(b)成分は、一種類のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。一種類からなる場合はその単独重合体の、複数種類からなる場合は、その組成比における共重合体のガラス転移温度が、95℃以上、105℃以下である。95℃未満であると、塗膜強度が不足してバルクにじみが生じたり、乾燥速度が遅くなり色移りが生じる場合がある。一方、105℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。
【0024】
なお、共重合体である場合、そのガラス転移温度の算出方法は下記式(1)によるものである。ここで、Tgは共重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各々の単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各々の単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+…(1)
各単独重合体のガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK(ポリマーハンドブック)等に記載されている。
【0025】
上記(b)成分の存在下、ポリプロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、脂肪族又は脂環式多価イソシアネートをウレタン化反応させることにより、(a)成分が生成する。ウレタン化反応は、50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度行えばよい。これにより、カルボキシル基及び末端にイソシアネート基を含有する(a)成分を得ることができる。
【0026】
(a)成分の製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
【0027】
(a)成分の数平均分子量は800〜10,000であることが好ましく、1000〜9000がより好ましい。数平均分子量が800より小さいと、得られる皮膜が硬くなり、化粧料として用いる際に、ごわつき感等の問題が生じる可能性がある。一方10,000より大きいと、プレポリマーそのものの粘度が高くなり、ゲル化したり、安定なエマルションが得られなくなったりする場合がある。
【0028】
ウレタン化反応後、生成した(a)成分と(b)成分との混合液が得られる。混合液中の(a)成分と(b)成分との混合割合は、純分重量比で(a):(b)=50:50〜60:40である。(b)成分の割合がこれよりも多いと化粧膜が硬くなり、部分的に欠落するポロ落ちが生じやすくなる。一方、(b)成分が少ないと、化粧膜が柔らかすぎるため、にじみを生じやすくなる。
【0029】
工程(2)においては、上記工程(1)で得られた(a)成分及び(b)成分の混合液中の(a)成分が含有するカルボキシル基を当量のトリエタノールアミンを用いて中和して、(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を得る。このように、(a)成分が含有するカルボキシル基を中和させることにより、(a)成分の水性媒体中での分散性を向上させることができる。
【0030】
次いで工程(3)では、工程(2)で得られた(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液を、水性媒体中に乳化分散させて乳化液を得る。(a)成分の中和物及び(b)成分の混合液に水性媒体を加える方法としては、混合液に水性媒体を滴下して分散させる方法、混合液を水性媒体中に滴下して分散させる方法のどちらを用いてもよい。水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水が好ましい。乳化分散時の温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。一方で80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。温度が高過ぎると(a)成分が変性するおそれがある。
【0031】
さらに工程(4)において、工程(3)で得られた乳化液中の(b)成分を重合させて、コアシェル型ポリマーエマルションを得る。この(b)成分の重合を行う際の重合反応は、(b)成分に合わせた一般的な重合方法で行うことができ、例えば、上記混合液にラジカル重合開始剤を添加して行うことができる。
【0032】
ラジカル重合開始剤としては、慣用のラジカル重合開始剤を用いればよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイドやジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も好ましく用いられる。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性単量体(b)に対して、0.1〜5質量%程度、好ましくは0.5〜2質量%程度とすればよい。
【0033】
上記(b)成分の重合は、重合温度10〜80℃で行うことが好ましく、30〜60℃で行うことがより好ましい。重合は、通常、発熱が終了した後、40〜90℃程度に30分〜3時間程度維持することによって、ほぼ完了する。これにより、成分(A)複合樹脂エマルションが得られる。この複合樹脂は、ウレタン系ポリマーをコア、アクリル系ポリマーをシェルとした構造を有していると考えられる。
【0034】
成分(A)複合樹脂エマルションの最低造膜温度は+20℃以下であることが好ましく、+15℃以下であることがより好ましい。+20℃を超えると、得られる皮膜にクラック等の不良が生じやすくなる。また一方で、最低造膜温度は−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。−10℃未満では得られる皮膜の耐水性が悪化することがある。
【0035】
かくして得られる成分(A)複合樹脂エマルションの固形分濃度は、特に制限されるものではないが、20〜50質量%であることが好ましい。なお、この成分(A)複合樹脂エマルションは、特開2007−001969号公報に記載の製造方法に従って製造することができる。
【0036】
(被覆処理された粉体)
本発明の被覆処理粉体は、上記の複合樹脂エマルションで粉体の表面を被覆処理してなる表面処理粉体である。被覆処理される粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状や、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径や、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等の1種又は2種以上が使用できる。
【0037】
前記無機粉体類としては、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト及び窒化硼素等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。なお、これらは10〜30nm程度の微粒子に調製したものを使用してもよい。
【0038】
前記光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末及びアルミニウムパウダー等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0039】
前記有機粉体類としては、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、PET樹脂末、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー及びN−アシルリジンパウダー等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
前記色素粉体類としては、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記複合粉体類としては、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
これらのうち、特に、本発明の被覆処理される粉体として好適なのは、無機体質粉体であるタルク、セリサイト、および雲母である。これらの粉体は化粧料において汎用され、多量に含有されるものであるため、これらを被覆処理することにより、化粧料に配合した際に顕著な効果を発揮することができる。
【0042】
本発明において、これらの粉体に上記の複合樹脂エマルションを被覆処理する方法としては、特に限定されるものではなく、通常公知の方法で製造される。例えば、複合樹脂エマルション中に顔料粉体を分散させ、撹拌しながら水分を蒸発除去する方法、複合樹脂エマルション中に顔料粉体を分散させたものをスプレードライヤーで水分を蒸発除去するという方法などがある。好ましくは、複合樹脂エマルションと粉体とを混練した後、水分を蒸発除去し完全に乾燥させ、さらにこれを粉砕することにより、より均質で使用感に優れる被覆処理粉体を製造することができる。粉砕方法も特に限定されるものではない。
【0043】
また、本発明の表面被覆粉体は、さらに、化粧料基材への分散性改良、感触改良等の目的で、シリコーン化合物、フッ素化合物、油剤、油脂、高級アルコール、ワックス、高分子、樹脂等の通常公知の表面処理剤を被覆処理して用いても良い。
【0044】
本発明の表面処理粉体は、粉体表面が前記複合樹脂エマルションで処理されたものであり、粉体表面には複合樹脂エマルションの固形分である複合樹脂が存在する。その被覆量は、特に限定されないが、被覆処理粉体中の複合樹脂が0.1〜10質量%(以下%と表す)であると好ましく、さらに好ましくは1〜5%である。被覆量がこの範囲内であれば、目的とされる耐水・耐油性、やわらかさ、及び肌への付着性に特に優れる表面被覆粉体を得ることができる。
【0045】
(化粧料)
本発明の化粧料は、上記の被覆処理粉体の1種又は2種以上を、常法に従い、公知の化粧料成分と組み合わせて配合することにより製造される。本発明の化粧料における、当該被覆処理粉体の含有量は、特に限定されるものではなく、化粧料の剤型により異なるが、1〜99%、好ましくは、5〜95%である。また、本発明の化粧料は粉体を主成分とする粉体化粧料で顕著な効果を発揮することができ、その場合は、50〜99%、更に70〜95%であると好ましい。
【0046】
化粧料には、必要に応じて配合可能な成分を適宜配合することができる。
例えば、油剤、界面活性剤、アルコール類、水、保湿剤、ゲル化剤及び増粘剤、上記の被覆処理粉体以外の粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等を配合することができる。
【0047】
油剤としては、固形油、半固形油、液状油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、有機溶剤等が例示される。
固形油としてはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸等を例示することができる。
液状油で、天然動植物油及び半合成油としては、具体的にアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
グリセライド油としては、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等が挙げられる
高級脂肪酸としては、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
有機溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等の非芳香族系化合物、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系化合物、ジオキサン、テトラハイドロフラン等のエーテル系化合物、2−プロパノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、カービトール類、セロソルブ類、スピンドル油等が挙げられる。
【0048】
界面活性剤としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N−アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N−[3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0049】
アルコール類として、具体的にはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール、ベンジルアルコール等が例示される。
保湿剤としては、尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
【0050】
水系増粘剤、ゲル化剤としてはアラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、アクリル酸・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系増粘剤、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0051】
油ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。
【0052】
粉体としては、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等が挙げられ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、何れのものも使用することができる。
無機粉体として、具体的には酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプン、ラウロイルリジン等が挙げられる。
金属石鹸粉末(界面活性剤金属塩粉末)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の各粉末が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられ、また、金属粉末としてはアルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられ、天然色素としてはカルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
これらの粉体はそのまま使用しても良いが、これらの粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、フッ素化合物等の、上記の樹脂組成物以外の表面処理剤で、被覆処理を行なって使用しても良い。
上記粉体は必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、サリチル酸−2−エチルヘキシル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、(1,3,5)−トリアジン−2,4−ビス[{4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及びそのナトリウム塩等が挙げられ等が挙げられる。
【0054】
防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0055】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としてはアラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン等、清涼剤としてはL−メントール、カンファ、薄荷油、ペパーミント油、ユーカリ油等、抗炎症剤としてはアラントイン、グリチルレチン酸塩、グリチルレチン誘導体、トラネキサム酸、アズレン等が夫々挙げられる。
【0056】
美肌用成分としては、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0057】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が挙げられる。
【0058】
アミノ酸類としては、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、グリシン、プロリン等、核酸としてはデオキシリボ核酸等、ホルモンとしてはエストラジオール、エチニルエストラジオール等が挙げられる。
【0059】
本発明の化粧料の剤型としては、粉体剤型、水中油型乳化剤型、油中水型乳化剤型、油性剤型、溶剤型等が挙げられる。また、化粧料の形態としては、粉末状、粉末固形状、油性固形状、クリーム状、ゲル状、液状、ムース状、スプレー状等を挙げることができる。また、本発明の化粧料は、本発明の表面被処理覆粉体を含有するものであればよく、特に、ファンデーション、コンシーラー、白粉、アイシャドウ、頬紅、化粧下地、アイカラー、口紅、アイブロウ、マスカラ、アイライナー、マニキュア等のメイクアップ化粧料、及び日焼け止め化粧料に好適に用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0061】
(複合樹脂エマルションの調製)
[製造例1]複合樹脂エマルション1
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、反応溶媒として重合性単量体(b)である、メチルメタクリレート19.7重量部及びn−ブチルアクリレート0.8重量部を入れ、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000(*1)を7.7重量部と数平均分子量2000(*2)を0.6重量部)及びジメチロールプロピオン酸2.0重量部を加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネート10.2重量部を加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.3重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基を中和した。次いで、この溶液に精製水56.6重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒として、t−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.15重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.05重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルション1を得た。
(複合樹脂エマルション1は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
*1:ポリプロピレングリコール,ジオール型,1000(和光純薬工業社製 水酸基価:111mgKOH/g)
*2:ポリプロピレングリコール,ジオール型,2000(和光純薬工業社製 水酸基価:56mgKOH/g)
【0062】
[製造例2]複合樹脂エマルション2
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート20.2重量部及びn−ブチルアクリレートを0.2重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を7.2重量部、前記*2を0.58重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.6重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを10.1重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.8重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体56.3重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.14重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.06重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルション2を得た。
(複合樹脂エマルション2は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約102℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
【0063】
[製造例3]複合樹脂エマルション3
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート19.6重量部及びn−ブチルアクリレートを0.8重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を8.7重量部、前記*2を0.6重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.3重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを8.9重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.6重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体56.5重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.07重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.02重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルション3を得た。
(複合樹脂エマルション3は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が50:50である。)
【0064】
[製造例4]複合樹脂エマルション4
温度計、攪拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、重合性単量体(b)であるメチルメタクリレート14.8重量部及びn−ブチルアクリレートを0.6重量部を加え、更にポリプロピレングリコール(前記*1を9.8重量部、前記*2を0.7重量部)及びジメチロールプロピオン酸を2.6重量部加え、内温50℃とし、次いで、イソホロンジイソシアネートを10.1重量部加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてイソシアネート基及びカルボキシル基を含有するウレタンプレポリマー(a)を得た。
得られたウレタンプレポリマー(a)溶液を50℃に保ちながら、トリエタノールアミン2.9重量部を加えて、このウレタンプレポリマー(a)中のカルボキシル基の全部を中和した。次いで、この溶液に水性媒体53.2重量部を、50℃で15分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
その後、この分散液を50℃に保温し、この温度で、ラジカル重合触媒であるt−ブチルハイドロパーオキサイドの7重量%水溶液を0.11重量部とアスコルビン酸1重量%水溶液0.04重量部を添加して、重合性単量体(b)の重合を開始した。発熱終了後、更に70℃に昇温して3時間維持することによって、複合樹脂エマルション4を得た。
(複合樹脂エマルション4は、成分(b)を重合した共重合体のガラス転移温度が約95℃、ウレタンプレポリマー(a)と重合性単量体(b)の混合割合が60:40である。)
【0065】
(被覆処理粉体の製造)
上記方法で調製された複合樹脂エマルションを用いて、以下の方法で被覆処理粉体を調製した。
[製造実施例1]本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク
製造例1の複合樹脂エマルション1(固形分40%)37.5gと水300gを混合し、ここにタルク(ハイフィラー K−5:松村工業社製)485gを加え、これを高粘度ミキサーにて30分間混練した。その後、得られたスラリー状物を風乾し、パルベライザーで粉砕して複合樹脂3%被覆処理タルクを得た。

[製造実施例2]本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ
製造実施例1のタルクをマイカ(MICA POWDER Y−2300:ヤマグチマイカ社製)485gに代えた以外は同様にして、本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカを得た。

[製造実施例3]本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト
製造実施例1のタルクをセリサイト(セリサイト FSE:三信鉱工業社製)485gに代えた以外は同様にして、本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイトを得た。

[製造実施例4]本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク
製造実施例1の複合樹脂エマルション1の37.5gを、製造例2の複合樹脂エマルション2(固形分40%)37.5gに代えた以外は同様にして、複合樹脂3%被覆処理タルクを得た。

[製造実施例5]本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ
製造実施例2の複合樹脂エマルション1の37.5gを、製造例2の複合樹脂エマルション2(固形分40%)37.5gに代えた以外は同様にして、複合樹脂3%被覆処理マイカを得た。

[製造実施例6]本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト
製造実施例3の複合樹脂エマルション1の37.5gを、製造例2の複合樹脂エマルション2(固形分40%)37.5gに代えた以外は同様にして、複合樹脂3%被覆処理セリサイトを得た。

[製造実施例7]本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク
製造実施例1の複合樹脂エマルション1の37.5gを、製造例3の複合樹脂エマルション3(固形分40%)37.5gに代えた以外は同様にして、複合樹脂3%被覆処理タルクを得た。

[製造実施例8]本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク
製造実施例1の複合樹脂エマルション1の37.5gを、製造例4の複合樹脂エマルション4(固形分40%)37.5gに代えた以外は同様にして、複合樹脂3%被覆処理タルクを得た。
【0066】
[製造比較例1]アクリル酸アルキルコポリマー3%被覆処理タルク
製造実施例1の複合樹脂エマルション1の37.5gを、アクリル酸アルキル共重合体エマルション(YODOSOL GF800F:アクゾノーベル社製、固形分45%)33.5gに代えた以外は同様にして、製造実施例1の原料粉体を上記製造例に準じて表面処理し、アクリル酸アルキルコポリマー3%被覆処理タルクを得た。

[製造比較例2]アクリル酸アルキルコポリマー3%被覆処理マイカ
製造実施例2の複合樹脂エマルション1の37.5gを、アクリル酸アルキル共重合体エマルション(YODOSOL GF800F:アクゾノーベル社製、固形分45%)33.5gに代えた以外は同様にして、アクリル酸アルキルコポリマー3%被覆処理マイカを得た。

[製造比較例3]アクリル酸アルキルコポリマー3%被覆処理セリサイト
製造実施例3の複合樹脂エマルション1の37.5gを、アクリル酸アルキル共重合体エマルション(YODOSOL GF800F:アクゾノーベル社製、固形分45%)33.5gに代えた以外は同様にして、アクリル酸アルキルコポリマー3%被覆処理セリサイトを得た。

[製造比較例4]アクリレーツコポリマー/ポリウレタン3%被覆処理タルク
製造実施例1の複合樹脂エマルション1の37.5gを、アクリレーツコポリマー/ポリウレタン‐14混合溶液(DYNAM X:アクゾノーベル社製、固形分28%)53.5gに代えた以外は同様にして、アクリレーツコポリマー/ポリウレタン3%被覆処理タルクを得た。

[製造比較例5]アクリレーツコポリマー/ポリウレタン3%被覆処理マイカ
製造実施例2の複合樹脂エマルション1の37.5gを、アクリレーツコポリマー/ポリウレタン‐14混合溶液(DYNAM X:アクゾノーベル社製、固形分28%)53.5gに代えた以外は同様にして、アクリレーツコポリマー/ポリウレタン3%被覆処理マイカを得た。

[製造比較例6]アクリレーツコポリマー/ポリウレタン3%被覆処理セリサイト
製造実施例3の複合樹脂エマルション1の37.5gを、アクリレーツコポリマー/ポリウレタン‐14混合溶液(DYNAM X:アクゾノーベル社製、固形分28%)53.5gに代えた以外は同様にして、アクリレーツコポリマー/ポリウレタン3%被覆処理セリサイトを得た。

[製造比較例7]比較複合樹脂3%被覆処理タルク
製造実施例1の複合樹脂エマルション1の37.5gを、本発明品以外の複合樹脂エマルション(リカボンド SU‐U0609−SS:中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg=6℃、固形分30%)50gに代えた以外は同様にして、比較複合樹脂3%被覆処理タルクを得た。

[製造比較例8]比較複合樹脂3%被覆処理マイカ
製造実施例2の複合樹脂エマルション1の37.5gを、本発明品以外の複合樹脂エマルション(リカボンド SU‐U0609−SS:中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg=6℃、固形分30%)50gに代えた以外は同様にして、比較複合樹脂3%被覆処理マイカを得た。

[製造比較例9]比較複合樹脂エマルション3%被覆処理セリサイト
製造実施例3の複合樹脂エマルション1の37.5gを、本発明品以外の複合樹脂エマルション(リカボンド SU‐U0609−SS:中央理化工業社製、(a)成分:(b)成分の質量比=50:50、(b)成分の理論Tg=6℃、固形分30%)50gに代えた以外は同様にして、比較複合樹脂エマルション3%被覆処理セリサイトを得た。
【0067】
(化粧料)
実施例1〜6及び比較例1〜4:固形粉末状アイカラー
下記表1に示す処方の固形粉末状アイカラーを調製し、a.塗布時のなめらかさ、b.付着の良さ(化粧もち)、c.色沈みのなさを下記の評価方法により評価した。結果も併せて表1に示す。
【0068】
【表1】
※1:製造実施例1、2及び3の複合樹脂エマルション1(固形分40%)を135gに
代えて製造したもの
※2:製造実施例1、2及び3の複合樹脂エマルション1(固形分40%)を12.5g
代えて製造したもの
※3:ハイフィラー K−5(松村工業社製)
※4:MICA POWDER Y−2300(ヤマグチマイカ社製)
※5:セリサイト FSE(三信鉱工業社製)
※6:チミロンスーパーレッド(メルク社製)
※7:TLF−64(トピー工業社製)
※8:シリカマイクロビードP−1505(東ソー・シリカ社製)(平均粒径12μm、比表面積152m/g)
※9:BORON NITRIDE POWDER SA08(日本光研工業社製)
※10:オルガソール 2002D(アトフィナ・ジャパン社製)
※11:KSパウダー(SASOL WAX社製)
※12:SNOW WHITE SPECIAL(SONNNEBORN社製)
※13:KF−96−100CS(信越化学工業社製)
※14:KLEAROL(SONNNEBORN社製)
※15:T.I.O.(日清オイリオグループ社製)

[製造方法]
(1)成分1〜32をヘンシェルミキサー(三井三池社製)にて均一に分散する。
(2)成分33〜36を75℃で均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状のアイシャドウを得た。
【0069】
[評価方法]
前記実施例及び比較例の組成物に対して、化粧品評価専門パネル20名に、下記a〜cの各評価項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。なお、aについては塗布直後を評価し、bおよびcについては、各試料を顔に塗布し、通常の生活をしてもらい、8時間後の化粧効果について評価した。
(評価項目)
a.塗布時のなめらかさ
b.付着の良さ(化粧もち)
c.色沈みのなさ
(評価基準)
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
(判定基準)
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 : ◎ 非常に良好
3.5以上〜5.0未満 : ○ 良好
1.5以上〜3.5未満 : △ 不良
1.5未満 : × 非常に不良
【0070】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜6の固形粉末状アイカラーは、比較例1〜4の固形粉末状アイカラーと比較して汗や皮脂による粉体の濡れを防ぐために色沈みがなく、さらに肌への親和性が高く感触もやわらかく、付着の良さ(化粧もち)と塗布時のなめらかさにも優れるものであった。
これに対して、本発明の被覆処理粉体に代えて表面未処理の粉体を用いた比較例1は、粉体の耐水・耐油性、肌への親和性、やわらかさに乏しく、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさのすべてにおいて劣るものであった。また、アクリルポリマー処理粉体を配合した比較例2では、肌への親和性、やわらかさにおいて満足のいくものが得られなかった。また、ウレタン・アクリル混合ポリマー処理粉体を用いた比較例3では、粉体表面をウレタンポリマーとアクリルポリマーの混合物が覆うために耐水・耐油性に乏しく経時で色沈みが起こり、やわらかさについても満足のいくものが得られなかった。また、本発明に用いられる複合樹脂エマルションとは異なるエマルションで被覆処理した粉体を用いた比較例4では、アクリル部分の塗膜強度が不足することから汗・皮脂に濡れやすく、経時で色沈みが起こるという点で劣るものであった。
【0071】
<実施例7:固形粉末状ファンデーション>
(成分) (%)
1.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例4) 30.0
2.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例5) 15.0
3.本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト(製造実施例6) 残量
4.酸化チタン 15.0
5.黄酸化鉄 2.0
6.赤酸化鉄 0.5
7.黒酸化鉄 0.2
8.合成金雲母 5.0
9.架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体※16 1.0
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
11.流動パラフィン※14 3.0
12.ジメチルポリシロキサン※13 3.0
13.2−エチルヘキサン酸セチル※17 3.0
14.香料 0.05
※16:KSP−102(信越化学工業社製)
※17:サラコス816T(日清オイリオグループ社製)

[製造方法]
(1)成分1〜10をヘンシェルミキサー(三井三池社製)にて均一に分散する。
(2)成分11〜14を75℃で均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状ファンデーションを得た。
実施例7の固形粉末状ファンデーションは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れる固形粉末状ファンデーションであった。
【0072】
<実施例8:固形粉末状フェイスカラー>
(成分) (%)
1.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例2) 20.0
2.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 残量
3.雲母チタン※18 10.0
4.群青 0.5
5.赤226号 0.2
6.ポリアクリル酸アルキル※19 1.0
7.メチルパラベン 0.2
8.流動パラフィン※14 2.0
9.ジメチルポリシロキサン※13 3.0
10.イソノナン酸イソトリデシル※20 3.0
11.香料 0.1
※18:FLAMENCO RED(BASF社製)
※19:マツモトマイクロスフェアーM−101(松本油脂製薬社製)
※20:サラコス913(日清オイリオグループ社製)
[製造方法]
(1)成分1〜7をヘンシェルミキサー(三井三池社製)にて均一に分散する。
(2)成分8〜11を75℃で均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状フェイスカラーを得た。
実施例8の固形粉末状フェイスカラーは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れる固形粉末状フェイスカラーであった。
【0073】
<実施例9:粉末状白粉>
(成分) (%)
1.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例2) 20.0
2.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 残量
3.酸化チタン 5.0
4.黄酸化鉄 0.2
5.赤酸化鉄 0.1
6.黒酸化鉄 0.05
7・硫酸バリウム 4.0
8.ポリメチルシルセスキオキサン※21 5.0
9.雲母チタン※22 5.0
10.メチルパラベン 0.05
11.流動パラフィン※14 0.5
12.ジカプリン酸プロピレングリコール※23 1.0
13.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル)*24 1.0
14.フェノキシエタノール 0.1
15.香料 0.05
※21:トスパール2000B*(モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※22:TIMICA EXTRA BRIGHT 1500(BASF社製)
※23:ニッコールPDD(日本サーファクタント工業社製)
※24:PLANDOOL−S(日本精化社製)

[製造方法]
(1)成分1〜10をヘンシェルミキサー(三井三池社製)にて均一に分散する。
(2)成分11〜15を75℃で均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕し、粉末状白粉を得た。
実施例9の粉末状白粉は、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れる粉末状白粉であった。
【0074】
<実施例10:固形粉末状アイブロウ>
(成分) (%)
1.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例5) 5.0
2.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例4) 30.0
3.本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト(製造実施例6) 残量
4.ベンガラ 1.0
5.黄酸化鉄 6.0
6.黒酸化鉄 2.0
7.ラウロイルリシン※25 1.0
8.炭化水素ワックス※11 1.0
9.シリカ(球状:平均粒径5μm) 5.0
10.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3
11.水添ポリデセン※26 2.0
12.ポリヒドロキシステアリン酸※27 0.2
13.ヒドロキシステアリン酸コレステリル※28 1.5
14.酢酸トコフェロール 0.05
15.香料 0.03
※25:アミホープLL(味の素社製)
※26:SILKFLO364(LIPO CHEMICALS社製)
※27:サラコスHS−6C(日清オイリオグループ社製)
※28:サラコスHS(日清オイリオグループ社製)

[製造方法]
(1)成分1〜9をヘンシェルミキサー(三井三池社製)にて均一に分散する。
(2)成分10〜15を75℃で均一に混合溶解する。
(3)(1)をヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、(2)を添加し、均一分散する。
(4)(3)をパルベライザーにて粉砕する。
(5)(4)を金皿に充填し、圧縮成型し、固形粉末状アイブロウを得た。
実施例10の固形粉末状アイブロウは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れる固形粉末状アイブロウであった。
【0075】
<実施例11:粉末状ボディーパウダー>
(成分) (%)
1.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 50
2.赤色226号 0.1
3.黄色4号 0.2
4.黒酸化鉄 0.05
5.ベンガラ 0.2
6.ポリメチルシルセスキサン*29 1.0
7. 本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例2) 残量
8.多孔質シリカ *30 5.0
9.香料 1.0
10.L−メントール 0.3
11.カンファ 0.02
13.乳酸メンチル 0.2
*29:トスパール150KA(東レ・ダウコーニング社製)
*30:サイロスフェアC−1504(富士シリシア社製)

[製造方法]
(1)成分1〜8をヘンシェルミキサー(三井三池社製)にて均一に分散する。
(2)(1)に成分9〜13を加え均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーにて粉砕し、粉末状ボディーパウダーを得た。
実施例11の粉末状ボディーパウダーは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れる粉末状ボディーパウダーであった。
【0076】
<実施例12:O/W型リキッドファンデーション>
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.酸化チタン 10.0
5.赤酸化鉄 0.4
6.黄酸化鉄 2.0
7.黒酸化鉄 0.1
8.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 5.0
9.カルボキシビニルポリマー 0.3
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.エタノール 2.0
13.ステアリン酸 1.0
14.ベヘニルアルコール 0.5
15.流動パラフィン※14 2.0
16.テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル※31 2.0
17.パラメトキシケイ皮酸2−エチルへキシル※32 2.0
18.ワセリン※12 0.5
19.パラオキシ安息香酸エチル 0.08
20.香料 0.03
※31:サラコス5408(日清オイリオグループ社製)
※32:UVINUL MC80(BASF社製)

[製造方法]
(1)成分1〜8をローラーにて均一に分散する。
(2)成分9〜12を均一に混合する。
(3)(2)に(1)を添加し、均一に混合する。
(4)成分13〜19を80℃にて混合溶解する。
(5)(3)に(4)を80℃にて添加し、乳化する。
(6)(5)を冷却し、成分20を添加し、O/W型ファンデーションを得た。
実施例12のO/W型ファンデーションは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れるO/W型ファンデーションであった。
【0077】
<実施例13:W/O型リキッドファンデーション>
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体※33 2.0
2.PEG−3ジメチコン※34 1.0
3.ジメチルポリシロキサン 20.0
4.デカメチルシクロペンタシロキサン※35 20.0
5.シリコーン処酸化チタン 10.0
6.シリコーン処理赤酸化鉄 1.0
7.シリコーン処理黄酸化鉄 1.5
8.シリコーン処理黒酸化鉄 0.5
9.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 5.0
10.ジカプリン酸ネオペンチルアルコール※36 5.0
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
12.精製水 残量
13.1,3−ブチレングリコール 5.0
14.パラオキシ安息香酸エチル 0.1
15.香料 0.03
※33:KF−6028(信越化学工業社製)
※34:KF−6015(信越化学工業社製)
※35:KF−995(信越化学工業社製)
※36:エステモールN−01(日清オイリオグループ社製)

[製造方法]
(1)成分1〜4を均一に混合する。
(2)成分5〜11をローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一混合する。
(4)(3)に成分12〜14を加えて乳化後、成分15を添加し、W/O型ファンデーションを得た。
実施例13のW/O型ファンデーションは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れるW/O型ファンデーションであった。
【0078】
<実施例14:油性固形ファンデーション>
(成分) (%)
1.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例4) 15.0
2.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例5) 10.0
3.酸化チタン 15.0
4.赤酸化鉄 1.0
5.黄酸化鉄 3.0
6.黒酸化鉄 0.2
7.ポリエチレンワックス※37 7.0
8.マイクロクリスタリンワックス※38 6.0
9.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2※39 残量
10.ジメチルポリシロキサン 10.0
11.流動パラフィン※14 20.0
12.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体※33 2.0
13.1,2−ペンタンジオール 0.1
14.香料 0.05
※37:PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
※38:ムルチワックスW−445(SONNEBORN社製)
※39:コスモール43V(日清オイリオグループ社製)

[製造方法]
(1)成分7〜13を100℃にて加熱溶解する。
(2)(1)に成分1〜6を添加し、ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)に成分14を添加し、100℃にて溶解後、90℃で金皿に充填し、油性固形ファンデーションを得た。
実施例15の油性固形ファンデーションは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れる油性固形ファンデーションであった。
【0079】
<実施例15:スティック状油性固形コンシーラー>
(成分) (%)
1.パラフィンワックス※40 5.0
2.ポリエチレンワックス※41 5.0
3.キャンデリラロウ 2.0
4.トリオクタン酸グリセリル※15 15.0
5.メチルフェニルポリシロキサン※42 25.0
6.酢酸液状ラノリン 10.0
7.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル※32 5.0
8.酸化チタン 20.0
9.黄酸化鉄 2.0
10.赤酸化鉄 0.5
11.黒酸化鉄 0.2
12.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例5) 7.0
13.1,2−ペンタンジオール 0.1
※40:PARACERA256(PARAMENT社製)
※41:PERFORMALENE655(ニューフェーズテクノロジー社製)
※42:KF−54(信越化学工業社製)

[製造方法]
(1)成分1〜7を110℃にて混合溶解する。
(2)90℃にて(1)に成分8〜13を加え均一に混合する。
(3)(2)を3本ローラーにて処理する。
(4)(3)を脱泡し、95℃にてカプセルに溶解充填後、4℃にて冷却して、スティック状コンシーラーを得た。
実施例15のスティック状油性固形コンシーラーは、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れたスティック状油性固形コンシーラーであった。
【0080】
<実施例16:スティック状口紅>
(成分) (%)
1.(エチレン/プロピレン)コポリマー※43 10.0
2.フィッシャートロプシュワックス※44 5.0
3.パラフィンワックス※40 2.0
4.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
5.流動パラフィン※13 10.0
6.イソノナン酸イソトリデシル※20 10.0
7.ジメチルポリシロキサン 5.0
8.赤202号 0.5
9.黄色4号 2.0
10.酸化チタン 0.5
11.黒酸化鉄 0.1
12.酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)*45 3.0
13.本発明の複合樹脂3%被覆処理マイカ(製造実施例2) 5.0
14.α−トコフェロール 0.5
15.香料 0.03
※43:EP−700(Baker Petrolite社製)
※44:CIREBELLE108(CIREBELLE社製)
※45:メタシャイン1080RC−R(日本板硝子社製)

[製造方法]
(1)成分1〜7を110℃で均一に溶解混合する。
(2)90℃にて(1)に成分8〜15を添加し均一に混合する。
(3)(2)を脱泡し、95℃にて金型容器に流し込み、4℃にて冷却してスティック状口紅を得た。
実施例16のスティック状口紅は、色沈みのなさ、付着の良さ(化粧もち)、塗布時のなめらかさに優れたスティック状口紅であった。
【0081】
<実施例17:O/W型マスカラ>
(成分) (%)
1.ステアリン酸 2.0
2.ミツロウ 10.0
3.セトステアリルアルコール 1.0
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 1.5
5.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
6.ジメチルポリシロキサン 5.0
7.黒酸化鉄 5.0
8.無水ケイ酸(平均粒径2μm)※46 3.0
9.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 5.0
10.本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト(製造実施例3) 3.0
11.精製水 残量
12.1,3−ブチレングリコール 10.0
13.トリエタノールアミン 1.5
14.アクリル酸アルキル共重合体エマルション※47 30.0
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
16.香料 0.05
※46:ニップシールE−220(日本シリカ工業社製)
※47:ヨドゾール32A707(45%固形分)(日本NSC社製)

[製造方法]
(1)成分1〜3を80℃にて均一に混合する。
(2)成分4〜10をローラーにて処理する。
(3)成分11〜16を80℃にて均一に混合する。
(4)(1)、(2)を混合後、(3)を添加し、乳化する。
(5)(4)を冷却し、O/W型マスカラを得た。
実施例17のO/W型マスカラは、色沈みのなさ、付着の良さ、塗布時のなめらかさに優れたO/W型マスカラであった。
【0082】
<実施例18:非水系マスカラ>
(成分) (%)
1.水添ロジン酸ペンタエリスリチル※48 10.0
2.キャンデリラ樹脂※49 3.0
3.ミツロウ 2.0
4.セレシンワックス 2.0
5.パルミチン酸デキストリン 2.0
6.トリメチルシロキシケイ酸※50 3.0
7.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト※51 5.0
8.プロピレンカーボネート 1.0
9.軽質流動イソパラフィン※52 残量
10.ジメチルポリシロキサン 3.0
11.黒酸化鉄 5.0
12.無水ケイ酸(平均粒径4μm、比表面積470m/g)※53 3.0
13.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例4) 5.0
14.本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト(製造実施例6) 3.0
※48:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
※49:キャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)
※50:SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
※51:ベントン38V(エレメンティス社製)
※52:IPソルベント1620MU(出光興産社製)
※53:サイリシア550(富士シリシア社製)

[製造方法]
(1)成分1〜6を110℃に加温する。
(2)(1)に成分7〜14を添加混合する。
(3)(2)を3本ローラーにて処理し、非水系マスカラを得た。
実施例18の非水系マスカラは、色沈みのなさ、付着の良さ、塗布時のなめらかさに優れた非水系マスカラであった。
【0083】
<実施例19:油性アイライナー>
(成分) (%)
1.セレシンワックス 11.0
2.ポリイソブチレン・セレシン混合物※54 16.0
3.フィッシャートロプシュワックス※55 8.0
4.軽質流動イソパラフィン※52 残量
5.ジメチルポリシロキサン 3.0
6.黒酸化鉄 15.0
7.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 5.0
8.本発明の複合樹脂3%被覆処理セリサイト(製造実施例3) 5.0
8.1,2−ペンタンジオール 0.1
9.香料 0.03
※54:ブチルワックス201N(興立化学社製)
※55:CIREBELLE109(CIREBELLE社製)

[製造方法]
(1)成分1〜5を100℃に加温し、均一混合する。
(2)80℃にて成分6〜9を添加し、均一混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一に混合する。
(4)(3)をローラーにて処理し、油性アイライナーを得た。
実施例19の油性アイライナーは、色沈みのなさ、付着の良さ、塗布時のなめらかさに優れた油性アイライナーであった。
【0084】
<実施例20:W/O型日焼け止め料>
(成分) (%)
1.微粒子酸化亜鉛 2.0
2.微粒子酸化チタン 5.0
3.本発明の複合樹脂3%被覆処理タルク(製造実施例1) 5.0
4.トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル※56 5.0
5.ジメチルポリシロキサン 3.0
6.パルミチン酸オクチル※57 3.0
7.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル※32 10.0
8.デカメチルシクロペンタシロキサン※35 10.0
9.セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン※58 1.8
10.トリオクタン酸グリセリル※15 3.0
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12.塩化ナトリウム 0.3
13.精製水 残量
14.ジプロピレングリコール 3.0
15.エタノール 3.0
16.香料 1.0
※56:PALMESTER3575(PALMOREO社製)
※57:PALMESTER1543(PALMOREO社製)
※58:ABIL EM−90(EVONIC GOLDSCHMIDT GMBH社製)

[製造方法]
(1)成分4、5を加温溶解した後、成分1〜3を添加し3本ローラーにて均一に分散する。
(2)成分5〜11を70℃で溶解させた後、60℃で(1)を添加し、均一に混合溶解する。
(3)成分12〜14を混合溶解させた後、60℃で(2)へ添加し乳化する。
(4)(3)に成分15、16を添加し均一に混合し、W/O型日焼け止め料を得た。
実施例20のW/O型日焼け止め料は、色沈みのなさ、付着の良さ、塗布時のなめらかさに優れたW/O型日焼け止め料であった。