(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378522
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】天然ガスのための水分発生システムにおける臨界流
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
G01N1/00 101R
G01N1/00 101T
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-77432(P2014-77432)
(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-206533(P2014-206533A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】13/859,777
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ユーフェン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー・スティーブン・ペアーチェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マックキンリー・プール
【審査官】
渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−040937(JP,A)
【文献】
特表2007−509318(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0011156(US,A1)
【文献】
特開平11−264788(JP,A)
【文献】
特開2004−199245(JP,A)
【文献】
特開平07−212032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 〜 1/44
G01N 21/00 〜 21/61
G01N 33/00 〜 33/46
C10L 3/00 〜 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れている天然ガス流の水分を与えて分析する水分供与及び分析器構成であって、
前記流れている天然ガス流から天然ガスの標本流を得るための導管と、
自身に与えられた前記標本流の水分量を分析する水分分析器と、
該水分分析器に流体平行に延在しており、前記水分分析器を通過せずに当該水分供与及び分析器構成を通る流路を与えるバイパス流導管と、
当該水分供与及び分析器構成の内部で流体連通しており、前記水分分析器の上流に位置する主オリフィスであって、前記水分分析器に与えられる前記標本流は、当該主オリフィスに与えられて当該主オリフィスを通って進む、主オリフィスと、
前記バイパス流導管に沿って位置するバイパス・オリフィスと、
を備えており、
前記主オリフィスは、前記水分分析器に与えられる前記標本流が臨界流条件となるような寸法とされ、前記主オリフィスを介して前記水分分析器に与えられる前記標本流は、前記水分分析器に与えられる当該標本流が臨界流条件となるような圧力で前記主オリフィスから与えられ、
前記バイパス・オリフィスは、当該バイパス・オリフィスを通って進む前記バイパス流が臨界流条件となるような寸法とされ、前記バイパス流は、前記バイパス・オリフィスを通って進む当該バイパス流が臨界流条件となるような圧力で前記バイパス・オリフィスに与えられ、
前記主オリフィスと前記バイパス・オリフィスとは、寸法および上流の圧力が同等である、
水分供与及び分析器構成。
【請求項2】
前記天然ガスの標本流から水分を除去するガス精製器と、該ガス精製器を迂回して延在するバイパス線と、前記ガス精製器又は前記バイパス線の何れかを通る流路を選択する第一の弁とを含んでいる請求項1に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項3】
含湿ガスを与えるように前記天然ガスの標本流の少なくとも幾分かに水分を導入するための透過管と、該透過管を迂回して延在しており、水分導入を受け入れない天然ガスの流れのための透過管バイパス線と、前記透過管を前記主オリフィス及び前記バイパス・オリフィスの一方に選択的に接続し、前記透過管バイパス線を前記主オリフィス及び前記バイパス・オリフィスの他方に選択的に接続する第二及び第三の弁とを含んでいる請求項2に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項4】
前記第一から第三の弁は、当該水分供与及び分析器構成の内部でプロセス・モード、乾燥モード及び加湿モードを提供するように動作する、請求項3に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項5】
前記プロセス・モードの範囲内では、前記流れている天然ガス流からの前記得られる天然ガスの標本流は、前記第一の弁により前記ガス精製器を迂回して延在する前記バイパス線に沿って、前記第二の弁により前記透過管を迂回して延在する前記バイパス線を介して、前記主オリフィス及び前記水分分析器へ導かれる、請求項4に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項6】
前記プロセス・モードの範囲内では、前記第三の弁は、前記透過管から進んで来たガスを前記バイパス・オリフィスへ導く、請求項5に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項7】
前記乾燥モードの範囲内では、前記流れている天然ガス流からの前記得られる天然ガスの標本流は、前記第一の弁により前記ガス精製器を通して、前記第二の弁により前記透過管を迂回して延在する前記バイパス線を介して、前記主オリフィス及び前記水分分析器へ導かれる、請求項4に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項8】
前記乾燥モードの範囲内では、前記第三の弁は、前記透過管から進んで来たガスを前記バイパス・オリフィスへ導く、請求項7に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項9】
前記加湿モードの範囲内では、前記流れている天然ガス流からの前記得られる天然ガスの標本流は、前記第一の弁により前記ガス精製器を通して、前記第三の弁により前記透過管を介して、前記主オリフィス及び前記水分分析器へ導かれる、請求項4に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項10】
前記加湿モードの範囲内では、前記第二の弁は、前記透過管を迂回して延在する前記バイパス線から進んで来たガスを前記バイパス・オリフィスへ導く、請求項9に記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項11】
前記主オリフィスの上流の圧力と前記バイパス・オリフィスの上流の圧力とが等しくなるように、前記第二の弁は自身を通る流れについて無視し得る降下を生じ、前記第三の弁は自身を通る流れについて無視し得る降下を生じ、前記透過管室は自身を通る流れについて無視し得る降下を生ずる、請求項3から10のいずれかに記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項12】
前記水分分析器及び前記バイパス・オリフィスは、変化し得る圧力を有する煙道へ流出を導き、前記主オリフィスを通した前記臨界流条件及び前記バイパス・オリフィスを通した前記臨界流条件は、前記煙道の内部の前記変化し得る圧力による影響を蒙らない、請求項1から11のいずれかに記載の水分供与及び分析器構成。
【請求項13】
流れている天然ガス流の水分を水分供与及び分析器構成により与えて分析する方法であって、
前記流れている天然ガス流から天然ガスの標本流を得るための導管を設けるステップと、
自身に与えられた前記標本流の水分量を分析する水分分析器を設けるステップと、
該水分分析器と流体平行に延在しており、前記水分分析器を通過せずに前記水分供与及び分析器構成を通る流路を与えるバイパス流導管を設けるステップと、
前記水分供与及び分析器構成の内部で流体連通しており、前記水分分析器の上流に位置する主オリフィスを設けるステップであって、前記水分分析器に与えられる前記標本流は当該主オリフィスに与えられて当該主オリフィスを通って進む、主オリフィスを設けるステップと、
前記バイパス流導管に沿って位置するバイパス・オリフィスを設けるステップと、
前記主オリフィスを、前記水分分析器に与えられる前記標本流が臨界流条件となるような寸法とし、前記標本流を前記主オリフィスを介して前記水分分析器に与えるときに、前記水分分析器に与えられる当該標本流が臨界流条件となるような圧力で前記主オリフィスから与えるステップと、
前記バイパス・オリフィスを、当該バイパス・オリフィスを通って進む前記バイパス流が臨界流条件となるような寸法とし、前記バイパス流を、前記バイパス・オリフィスを通って進む当該バイパス流が臨界流条件となるような圧力で前記バイパス・オリフィスに与えるステップと、
を含み、
前記主オリフィスと前記バイパス・オリフィスとは、寸法および上流の圧力が同等である、
方法。
【請求項14】
前記天然ガスの標本流から水分を除去するガス精製器と、該ガス精製器を迂回して延在するバイパス線と、前記ガス精製器又は前記バイパス線の何れかを通る流路を選択する第一の弁とを設けるステップと、
前記第一の弁を選択的に動作させるステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
含湿ガスを与えるように前記天然ガスの標本流の少なくとも幾分かに水分を導入するための透過管を設けるステップと、
該透過管を迂回して延在しており、水分導入を受け入れない天然ガスの流れのための透過管バイパス線を設けるステップと、
前記透過管を前記主オリフィス及び前記バイパス・オリフィスの一方に選択的に接続し、前記透過管バイパス線を前記主オリフィス及び前記バイパス・オリフィスの他方に選択的に接続する第二及び第三の弁を設けるステップと、
該第二及び第三の弁を選択的に動作させるステップと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第一の弁を選択的に動作させる前記ステップ、並びに前記第二及び第三の弁を選択的に動作させる前記ステップは、前記水分供与及び分析器構成の内部でプロセス・モード、乾燥モード及び加湿モードを提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロセス・モードの範囲内では、前記流れている天然ガス流からの前記得られる天然ガスの標本流は、前記第一の弁により前記ガス精製器を迂回して延在する前記バイパス線に沿って、前記第二の弁により前記透過管を迂回して延在する前記バイパス線を介して、前記主オリフィス及び前記水分分析器へ導かれ、前記第三の弁は、前記透過管から進んで来たガスを前記バイパス・オリフィスへ導く、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記乾燥モードの範囲内では、前記流れている天然ガス流からの前記得られる天然ガスの標本流は、前記第一の弁により前記ガス精製器を通して、前記第二の弁により前記透過管を迂回して延在する前記バイパス線を介して、前記主オリフィス及び前記水分分析器へ導かれ、前記第三の弁は、前記透過管から進んで来たガスを前記バイパス・オリフィスへ導く、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記加湿モードの範囲内では、前記流れている天然ガス流からの前記得られる天然ガスの標本流は、前記第一の弁により前記ガス精製器を通して、前記第三の弁により前記透過管を介して、前記主オリフィス及び前記水分分析器まで導かれ、前記第二の弁は、前記透過管を迂回して延在する前記バイパス線から進んで来たガスを前記バイパス・オリフィスへ導く、請求項15または16に記載の方法。
【請求項20】
前記水分分析器及び前記バイパス・オリフィスは、変化し得る圧力を有する煙道へ流出を導き、前記主オリフィスを通した前記臨界流条件及び前記バイパス・オリフィスを通した前記臨界流条件は、前記煙道の内部の前記変化し得る圧力による影響を蒙らない、請求項13から19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガスの液化に関し、さらに具体的には、液化に進むのに先立ち天然ガスの内部の水分を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス、特に天然ガスの液化(すなわち液体を製造する工程)については様々な理由が存在している。原天然ガスの液化を行なう理由の一例は、様々な炭化水素成分への分離/液化である。天然ガスの液化を行なう理由のもう一つの例は、液化によってガスの容積が約1/600に減少し、これにより液化ガスをさらに安価で実用的な設計の容器で貯蔵し輸送することが可能になることである。一例では、ガスが供給源/供給元から遠隔の市場までパイプラインによって輸送されるときに、実質的に一定の高積載率で扱われると望ましい。しばしば容量が需要を上回るが、需要がラインの容量を上回る場合もある。
【0003】
需要が供給を上回るピークを緩和するために、供給が需要を上回っているときにガスを貯蔵し、これにより貯蔵に保持されるガスから需要のピークに応え得るようにすることが望ましい。この目的のために、ガスの貯蔵を液化状態で提供し、需要の求めに応じて液体を気化することが望ましい。もう一つの例では、天然ガスの液化は、豊富な供給源から遠隔の市場までのガスの輸送を可能にするのに有用であり、特に供給源をパイプラインによって市場に直接繋ぐことができないときに有用である。このことは、輸送が遠洋航行船によって行なわれなければならない場合に特に当てはまる。気体状態での天然ガスの輸送は、天然ガスを高圧縮しない限り高価であり、すると適当な強度及び容量の容器を提供するのは実際的でないためシステムが安価にならない。
【0004】
天然ガスを液化状態(すなわち液化天然ガス又はLNG)まで減容するためには、大気圧において約−240°Fから−260°F(−151℃から−162℃)の温度まで冷却することが必要とされる。天然ガス等の液化のための多くのシステムが存在しており、これらのシステムでは、液化温度に達するまでガスを連続的に低温化するように冷却するために、ガスを相次いで複数の冷却段に通過させることにより液化する。例えば、冷却はプロパン、プロピレン、エタン、エチレン、及びメタンのような1又は複数の膨張冷凍剤との間接熱交換によって達成され得る。
【0005】
一般的には、ガス、明確に述べると坑井からの原天然ガスは、液化され得る前に処理される必要がある。かかる処理に「スイートニング(sweetening)」と呼ばれる処理があり、この処理では硫化水素(H
2S)除去が生じ、二酸化炭素(CO
2)除去が生ずる。「スイートニング」の後に水銀(Hg)除去及び水分(水、H
2O)除去が生ずる。
【0006】
脱水は、ガス(すなわち天然ガス)からの水分量の除去である。一例は、天然ガス導管(例えばLNGパイプライン)において水分が上昇すると、高圧のメタンハイドレートを形成する場合があり、導管を塞ぐことである。もう一つの例は、水分の凝縮によって設備を腐食させ得ることである。さらにもう一つの例として、水分が上昇すると氷形成を招き、氷の量がかなりの量になると低温設備を激しく損傷し得ることである。一般的には、天然ガスにおける水分量は、さらに低温処理され得る前に1ppm(百万分率)未満まで減少させられなければならない。
【0007】
液化システム(例えばLNGプラント)の内部では、ガスにガス脱水工程が行なわれた後であるが液化工程が行なわれる前に、ガスを監視するために水分分析器が通例設けられている。水分分析器の目的は、水分量を監視して、ガスが液化工程に進む前に水分量が望まれる量(例えば1ppm)を確実に下回るようにすることにある。水分分析器が望まれる量(例えば限界水準(action level)量)よりも高い水分量を示すときには、原因は様々な出所からのものであり得る。例えば、限界水準指標は、システムの漏れ、又は再生を受けて然るべき飽和した乾燥器の結果であり得る。限界水準指標の原因を改善することに関わる何らかの対策を講じる前に、水分分析器による限界水準水分指標が正しいことを確認すると有用である場合がある。換言すると、水分分析器の動作を検査/試験することが有用である場合がある。
【0008】
水分供与及び分析器構成の内部で、ガスに既知の水分量を与えるために水分供与システムを用いることができる。水分供与システムの一例は、内部に水を備えた透過管を含み得る。次いで、かかる既知の水分量のガスを水分分析器に供給することができる。既知水分のガスについて水分分析器からの水分指標(例えば感知示度)が所期の指標の何らかの許容差範囲内にあるならば、この水分分析器は信頼できると看做される。水分分析器の信頼性が確認されたら、限界水準水分指標について他の可能な理由の探索を論理的に追究することができる。例えば、技師が、可能な漏れの故障復旧に赴く場合もあるし、再生を見込んで乾燥器をオフに切り換える必要がある場合もある。既知水分のガスについて水分分析器からの水分指標が期待される指標の何らかの許容範囲内にないならば、他の何らかの対策を講じる前に水分分析器及び検証システムを慎重に再検査することができる。
【0009】
認められるように、ガスへの既知水分量の供与及び水分分析器へのかかる既知水分のガスの供給は、選択的工程である。換言すると、水分分析器への既知水分のガスのかかる供与は、液化システム(例えばLNGプラント)の運転全体の何らかの選択時にのみ行なわれる。従って、水分供与及び分析器構成は、水分をガスに選択的に与え、既知水分のガスを水分分析器に選択的に供給するための構成要素を有する。
【0010】
水分分析器が水分量を感知するように動作しないと選択しているときに、水分供与及び分析器構成を通るガス流を完全に止めることは賢明とは言えないことを認められたい。水分供与及び分析器構成を通るガス流が完全に止まると、水分は水分供与及び分析器構成の内部に蓄積し始める可能性がある。かかる水分の蓄積は、水分供与及び分析器構成の構成要素に悪影響を及ぼし得る。また、かかる水分の蓄積は、構成の内部の水分分析器の動作/精度に悪影響を及ぼし得る。一例では、かかる水分蓄積は、水分供与及び分析器構成の内部/近傍の不用空間に生ずる場合があり、水分供与及び分析器構成へ向かうガス流が開始する/発生すると、かかる水分蓄積はガス流を汚染し得る。汚染は、他の仕方でガスに存在しているレベルに加わる付加的な水分の形態となる。
【0011】
水分供与及び分析器構成の内部/近傍での望ましくない水分蓄積を回避するために、構成を通って進むが水分分析器は通らないもう一つの流れを用いる。このもう一つの流れは構成の内部で水分分析器を迂回するためバイパス流と呼ばれる。水分分析器を通る経路又はバイパスを通る経路の何れかのガス流路選択のために、水分供与及び分析器構成の内部に1又は複数の切り換え弁が設けられる。
【発明の概要】
【0012】
ガス流路選択(すなわち水分分析器を通るかバイパスを通るか)の切り換え中に、流量の断絶が生じ得ることが注目されている。また、流量の断絶は、水分分析器が適正に作用して知覚水分の正確な指標を与える能力の何らかの中断を招き得ることが注目されている。例えば、水分供与システム(例えば透過管)は、ガス流路選択(すなわち水分分析器を通るかバイパスを通るか)の切り換え時に/切り換えに続いて不正確な/不整合な/変動性の水分レベルを与え得る。一つの特定例として、水分供与の行き過ぎが生じ得る。結果として、水分分析器が正確な/信頼できる測定を行なう前に超過量の据え置き時間が必要とされ得る。このようなものとして、水分供与及び分析器構成の改良が必要とされている。動作時間の改良が得られると、流れているガスに関する決定時間の改良を可能にするので、かかる改良によれば技術的利点が提供される。
【0013】
以下の概要は、本書で議論されるシステム及び/又は方法の幾つかの観点の基本的な理解を提供するために単純化された概要を提示する。この概要は、本書で議論されるシステム及び/又は方法の広範な全体像である訳ではない。また、主要/肝要な要素を特定したり、かかるシステム及び/又は方法の範囲を画定したりすることが意図されている訳ではない。この概要の目的は、後述するさらに詳細な説明の前置きとして幾つかの概念を単純化された形態で提示することのみである。
【0014】
本発明の一つの観点は、流れている天然ガス流の水分を与えて分析する水分供与及び分析器構成を提供する。この構成は、流れている天然ガス流から天然ガスの標本流を得るための導管を含んでいる。この構成は、自身に与えられた標本流の水分量を分析する水分分析器を含んでいる。この構成は、水分分析器に流体平行に延在しており、水分分析器を通過せずに水分供与及び分析器構成を通る流路を与えるバイパス流導管を含んでいる。この構成は、水分供与及び分析器構成の内部で流体連通しており、水分分析器の上流に位置する主オリフィスを含んでいる。水分分析器に与えられる標本流は主オリフィスに与えられて主オリフィスを通って進む。この構成は、バイパス流導管に沿って位置するバイパス・オリフィスを含んでいる。主オリフィスは、水分分析器に与えられる標本流が臨界流条件となるような寸法とされ、主オリフィスを介して水分分析器に与えられる標本流は、水分分析器に与えられる当該標本流が臨界流条件となるような圧力で主オリフィスから与えられ、またバイパス・オリフィスは、当該バイパス・オリフィスを通って進むバイパス流が臨界流条件となるような寸法とされ、バイパス流は、バイパス・オリフィスを通って進む当該バイパス流が臨界流条件となるような圧力でバイパス・オリフィスに与えられる。水分供与及び分析器構成の構成要素は、主オリフィスを通る臨界流量とバイパス・オリフィスを通る臨界流量とが等しくなるように選択される。
【0015】
本発明のもう一つの観点は、流れている天然ガス流の水分を水分供与及び分析器構成によって与えて分析する方法を提供する。この方法は、流れている天然ガス流から天然ガスの標本流を得るための導管を設けるステップを含んでいる。この方法は、自身に与えられた標本流の水分量を分析する水分分析器を設けるステップを含んでいる。この方法は、水分分析器と流体平行に延在しており、水分分析器を通過せずに水分供与及び分析器構成を通る流路を与えるバイパス流導管を設けるステップを含んでいる。この方法は、水分供与及び分析器構成の内部で流体連通しており、水分分析器の上流に位置する主オリフィスを設けるステップを含んでいる。水分分析器に与えられる標本流は、主オリフィスに与えられて主オリフィスを通って進む。この方法は、バイパス流導管に沿って位置するバイパス・オリフィスを設けるステップを含んでいる。この方法は、主オリフィスを、水分分析器に与えられる標本流が臨界流条件となるような寸法とし、標本流を主オリフィスを介して水分分析器に与えるときに、水分分析器に与えられる当該標本流が臨界流条件となるような圧力で主オリフィスから与えるステップを含んでいる。この方法は、バイパス・オリフィスを、当該バイパス・オリフィスを通って進むバイパス流が臨界流条件となるような寸法とし、バイパス流を、バイパス・オリフィスを通って進む当該バイパス流が臨界流条件となるような圧力でバイパス・オリフィスに与えるステップを含んでいる。水分供与及び分析器構成の構成要素は、主オリフィスを通る臨界流量とバイパス・オリフィスを通る臨界流量とが等しくなるように選択される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
発明の以上の観点及び他の観点は、添付図面を参照して以下の記載を読むと発明の関連する技術分野の業者には明らかとなろう。
【
図1】本発明の少なくとも一つの観点を組み入れた水分供与及び分析器構成を含む液化天然ガス処理システムの概略図である。
【
図2】本発明の少なくとも一つの観点による
図1の水分供与及び分析器構成の概略図であって、詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の1又は複数の観点を組み入れた実施形態の例が記載され図面に示される。これらの図示された例は、発明に対する制限を意図するものではない。例えば、発明の1又は複数の観点を他の実施形態に用いてもよく、またさらに他の形式の装置に用いてもよい。また、本書では幾つかの用語を用いるが、簡便にするのみのためであって発明に対する制限と解釈すべきではない。さらにまた、図面では、同じ要素を指示するために同じ参照番号を用いている。
【0018】
本発明による少なくとも一つの観点を含む液化天然ガス(LNG)処理システム10の実施形態の一例が、
図1の範囲内に概略図示されている。
図1の範囲内に示されているシステム10は単に一例であって、本発明による少なくとも一つの観点を含む他の例が可能であり思量されることを認められたい。
【0019】
図1の例では、未処理又は「原(raw)」天然ガス12が供給源14から与えられている。かかる供給源は、1又は複数の天然ガス坑井、パイプライン、又は保有設備等を含み得る。天然ガス供給源の詳細は必ずしも本発明に対する制限ではない。
【0020】
供給源14を介して与えられる未処理天然ガス12は、1又は複数の望ましくない成分を含み得る。例えば、天然ガス供給源14から与えられる未処理天然ガス12の内部には、硫化水素(H
2S)、二酸化炭素(CO
2)、水銀(Hg)及び水分(水H
2O)が存在し得る。
【0021】
天然ガス供給源14は、システム10の前処理部18と流体連通16している。前処理部18は、未処理天然ガス12からの少なくとも幾つかの成分の除去を提供し得る。例えば、前処理部18は、ガスからの水分の除去(例えば脱水)のための構造(1又は複数)を含み得る。また、前処理部18は、硫化水素、二酸化炭素及び水銀の除去のための構造を含み得る。
【0022】
システム10の内部では、液化部22が前処理部18の下流で流体連通24しており、前処理済み天然ガス26がこの液化部に流れる。液化部22は、前処理済み天然ガス26を液化して液化天然ガス(LNG)28を提供するために任意の適当な構造を含み得る。かかる構造は、天然ガスを低温化(すなわち冷却)する部分、及び天然ガスを圧縮する部分等を含み得る。かかる構造は確かに様々であってよく、従って必ずしも本発明に対する特定的な制限ではない。液化に続いて、LNG28は貯蔵設備又は配給等に提供され得る。ここでも、かかる観点は本発明に対する特定的な制限ではない。
【0023】
上述のように、脱水は、ガス、明確に述べるとこの議論では天然ガスから水分量を除去する工程である。天然ガスの内部の水分量が上昇すると、システム10の内部に問題が生じ得る。例えば、水分は、導管、及びパイプライン等を塞ぐ又は詰まらせる場合がある。また、かかる塞ぎ/詰まりは、高圧でのメタンハイドレートの形成を伴い得る。さらに、水分凝縮がシステム10の設備の内部に腐蝕を招き得る。さらにまた、液化工程時の著しい氷形成によって、設備(例えば液化部22の内部の低温設備)を損傷し得る。一つの一般的な例では、天然ガスの内部の水分量は典型的には、天然ガスが液化部22に進む前に百万部当たり1部未満まで減少させられるべきである。このようなものとして、例として百万分当たり1部未満という望まれる水分量を達成するように、あらゆる必要な水分除去を達成するための前処理が必要とされる。
【0024】
システムの内部では、水分供与及び分析器構成40が前処理部18から液化部22へ進む前処理済みガス26の流れと流体連通している。水分供与及び分析器構成40は、少なくとも幾分かの量42(例えば標本量)の前処理済み天然ガス26を水分供与及び分析器構成40に分流させるように接続される。この標本量42の分流は、前処理部18での前処理に続いて、且つ前処理済みガスが液化部22に到達するのに先立って行なわれる。
【0025】
水分供与及び分析器構成40の一つの目的は、ガスが液化へ進む前に水分量が望まれる量(例えば百万部当たり1部等)未満になっていることを保証するように前処理済み天然ガスの水分量を監視することである。一般的には、水分の分析は、注意を要する1又は複数の項目をシステム10が有し得るか否かを決定するためのものである。例えば、システム10を通って進む天然ガスの流れに望まれない水分の混入を許す漏れが存在しているかも知れない。また、前処理部18の内部の構成要素が、注意又は整備を必要とする可能性もある。例えば、前処理部が、天然ガスから除去された水分で飽和した1又は複数の乾燥器を含む可能性がある。かかる乾燥器は、再生させて水分除去のためにさらなる利用を可能にするように整備を必要とし得る。水分供与及び分析器構成40のもう一つの目的は、水分供与作用である。水分の供与によって、ガスにおける既知水分量(例えば乾燥及び湿潤)を与えることにより、水分分析器の検証が可能になる。
【0026】
図2は、本発明による少なくとも一つの観点を含んでいる水分供与及び分析器構成40の一例の概略図である。前処理済み天然ガス26全体の小部分42のみが水分供与及び分析器構成40へ進むことを認められたい。標本量42は、前処理済み天然ガス26の流れ(
図1)の大半から分流しており、他の部分は液化部22へ向けて進んでいる。標本量42は、水分供与及び分析器構成40(
図2)による利用(例えば標本抜取/試験)に供される。
【0027】
この水分供与及び分析器構成40の例の内部では、ガスは先ず、水分供与及び分析器構成40へ進むガスの圧力量を制御する圧力調整器46へ進む。圧力調整器46は、節点50と流体連通48しており、次にガス精製器52と連通している。また、節点50から、ガス精製器52を迂回する流体連通線54がバイパス点58まで延在している。このようなものとして、流体連通線54はバイパス線となる。
【0028】
ガス精製器52へ移ると、このガス精製器52は、圧力調整器46から進んで来て与えられたガスを受け入れることができる。ガス精製器52は、自身を通って進むガスから実効的に全ての水分を除去するように動作する。ガス精製器52からの出力は点60である。ガス精製器52から出力されるガスは、水分供与及び分析器構成40の内部での利用のためにゼロ水分点を実効的に有することを認められたい。
【0029】
水分供与及び分析器構成40は、ガス精製器52及び流体連通(バイパス)線54の下流に位置する弁(V0)62を含んでいる。明確に述べると、バイパス点58と、ガス精製器52からの出力点60とが、弁(V0)62の内部の二つの切り換え点となっている。明確に述べると、弁(V0)62は三つの点を有している。弁(V0)62の内部の点64が共通点「1」であり、点60が切り換え点「2」であり、バイパス点58が切り換え点「3」である。弁(V0)62は二つの状態の間で動作可能であり、第一の状態は共通弁点(点1)64からガス精製器52の出力の切り換え点(点2)60への接続であり、第二の状態は共通弁点(点1)64からバイパス線54の切り換え点(点3)58への接続である。
【0030】
弁(V0)62の下流に、水分供与及び分析器構成40は比例弁68を含んでいる。水分供与及び分析器構成40を通る天然ガスの全ての流れが比例弁68を通って進み、ガスがガス精製器52を通って進むか、又はバイパス線54に沿って進み、従ってガス精製器52を通らずに進むかを問わない。比例弁68は、主オリフィスの上流では一定圧P
cとなっているような主オリフィスを通る天然ガスの流れを提供するように構成され動作する。
【0031】
比例弁68の出力には、節点70において透過管72が流体接続されており、透過管72は次に透過管室74の内部に位置している。透過管72は密閉型の管部材であり、TEFLON(登録商標)のような透過性材料を含み得る。透過管72の内部には有限量の水が備えられている。この水が、透過性材料を通過することを介して透過管72を流れる天然ガスと結合することができる。天然ガスと結合するための材料を通る水の透過速度は、管の内外の間での水蒸気圧差、管の表面積、管壁厚み、及び管材料の透過性の関数である。さらにまた、透過性は、透過管72の温度の関数である。透過管室74は、透過管72の温度制御を提供する。
【0032】
透過管72に供給される全てのガスが、当初は水分量を有しない場合がある(例えばガス精製器52によって既に除去されている可能性が高い)ことを認められたい。また、透過管72を通って進むガスは、幾分かの水分量を獲得し得ることを認められたい。獲得される水分量は、透過管72の構造観点及び動作観点の制御のため既知の制御された量とすることができる。透過管の出力は点76まで延在している。
【0033】
比例弁68の出力、従って節点70に戻ると、第二の流体連通線80が、節点70から透過管72の外部に延在している。このようなものとして、連通線80は透過管72を迂回するバイパス線であり、透過管バイパスと呼ぶことができる。第二のバイパス線80は点82まで延在している。
【0034】
水分供与及び分析器構成40の内部に流れマニホルド90が設けられている。流れマニホルド90は三つ(第一、第二及び第三)の入力92、94、96を有している。第一のマニホルド入力92は、点102と流体接続している。第二のマニホルド入力94は、点104及び点106と流体接続している。第三のマニホルド96は、点108と流体接続している。
【0035】
水分供与及び分析器構成40の内部に、弁110(V1)が点82、102及び104に設けられ、弁112(V2)が点76、106及び108に設けられている。弁110(V1)は二位置弁であって、点82が共通点であり、図面では「1」と指示されている。弁110(V1)の第一の位置は、共通点82「1」を点104(図面では「2」と指示)に接続し、弁110(V1)の第二の位置は、共通点82「1」を点102(図面では「3」と指示)に接続する。このように、第一の位置では弁110(V1)はバイパス線80を第二のマニホルド入力94に接続し、第二の位置では弁110(V1)はバイパス線80を第一のマニホルド入力92に接続する。
【0036】
弁112(V2)は二位置弁であって、点76が共通点であり、図面では「1」と指示されている。弁112(V2)の第一の位置は、共通点76「1」を点108(図面では「2」と指示)に接続し、弁112(V2)の第二の位置は、共通点76「1」を点106(図面では「3」と指示)に接続する。このように、第一の位置では弁112(V2)は透過管72を第三のマニホルド入力96に接続し、第二の位置では弁112(V2)は透過管72を第二のマニホルド入力94に接続する。
【0037】
流れマニホルド90の内部に、二つのオリフィス120、122が設けられている。明確に述べると、第一の又は主オリフィス120及び第二の/バイパス・オリフィス122が設けられている。主オリフィス120は、流れマニホルドの第二の入力94に接続された入力を有している。また、主オリフィス120への入力、従って流れマニホルド90への第二の入力94には、圧力P
cを検出する圧力センサ126が設けられている。このように、圧力P
cは、主オリフィス120への入力における圧力である。流れマニホルド90の第一及び第三の入力92及び96は、流れマニホルド90の内部でバイパス・オリフィス122の入力に流体接続している。
【0038】
マニホルド入力92〜96の主オリフィス120及びバイパス・オリフィス122への接続を介して認められ得るように、弁112(V2)は、透過管72の出力を主オリフィス120又はバイパス・オリフィス122の何れかに接続するように動作可能である。同様に、弁110(V1)は、透過管72を迂回して進むバイパス線80を主オリフィス120又はバイパス・オリフィス122の何れかに接続するように動作する。
【0039】
主オリフィス120は、流れマニホルド90の第一の出力130を介して水分供与及び分析器構成40の水分分析器132まで進む出力を有している。主オリフィス120からの流れを主流(F
c)と呼ぶことができ、主流F
cは圧力P
dを有する。水分分析器132は、当該水分分析器に与えられるガス流(すなわち主流(F
c))の内部に存在する水分の量を決定するための構造を含んでいる。
【0040】
水分分析器132の出力136は、排気煙道138に流体接続している。排気煙道138は、利用済み、消費済み、又は他の方法で最早必要とされないガス等を運ぶ。このようなものとして、水分分析器132を通って進むガスは、可能性としては他のガス流と共に、水分供与及び分析器構成40から離れて運び出される。出力136を通って煙道138へ進むガスは、煙道の内部を流れる他のガスと比較して極く少量であることを認められたい。排気煙道138は、環境制御装置139、又は周囲雰囲気等のようなさらに他の処理構成要素に接続され得る。環境制御装置139は、煙道138の内部を進む内容物をフレア・ガスとして燃焼させる又は煙道の内部を進む内容物を他の方法で処理するための構成要素を含み得ることを認められたい。排気煙道138の内部の圧力P
S1は相対的に低くてよい。一例では、排気煙道138の内部の圧力P
S1は、0psigから12psigの範囲内にある。
【0041】
バイパス・オリフィス122は、流れマニホルド90からの第二の出力140を介してバイパス流線142に流体連通しており、この線142は水分供与及び分析器構成40から出て進む。バイパス流線142は、圧力P
eを有するバイパス流F
bを運ぶ。バイパス流線142は、バイパス・オリフィス122から進んで来たバイパス流F
bが排気煙道138へ導かれるように排気煙道138と流体接続している。このようなものとして、バイパス・オリフィス122を通って進んで来たガスも、可能性としては他のガス流と共に、水分供与及び分析器構成40から離れて運び出される。バイパス流線142を通って煙道138まで進むガスは、煙道の内部を流れる他のガスと比較して極く少量であることを認められたい。この場合にも、排気煙道138は、環境制御装置139のようなさらに他の処理構成要素に接続されることができ、環境制御装置は、煙道138の内部を進む内容物をフレア・ガスとして燃焼させる又は煙道の内部を進む内容物を他の方法で処理するための構成要素を含み得ることを想起されたい。
【0042】
水分供与及び分析器構成は、当該水分供与及び分析器構成40の内部で周囲圧力P
0を決定する圧力センサ150を含んでいる。また、一連の電子回路160が、比例弁68に動作接続162され、透過管室74に動作接続164され、流れマニホルド90に動作接続166され、圧力センサ126に動作接続167され、周囲圧力センサ150に動作接続168されていることを認められたい。
【0043】
比例弁68への電子回路160の動作接続162に着目すると、この接続は、P
cすなわち主オリフィスの上流での圧力が一定となるような比例弁68の比例積分微分(PID)接続及び制御を提供し得る。これにより、主オリフィスを通る臨界流量が確実に常に一定になる。また、一般的には、この制御は、水分供与及び分析器構成40を通って進むガスの圧力が制御され得るような制御である。
【0044】
透過管室74への電子回路160の動作接続164に移ると、この接続はPID接続を提供し得る。透過管室74は、当該透過管室の温度が制御され得るように構成されている。この透過管室74の内部の温度制御はこのようにして、透過管に望まれる温度の維持を可能にする。上述のように、透過管72での水分の透過は温度の関数である。このように、透過管の温度は、透過管を通した水分透過が望まれる速度になるように制御される。
【0045】
電子回路160と流れマニホルド90温度制御との間の動作接続166は、PID接続として設けられ得る。上述のように、電子回路160は、周囲圧力センサ150に動作接続168されている。周囲圧力センサ150から導かれる周囲圧力P
0、及び主オリフィス120の入力における接続167を介したセンサ126からの圧力P
cを用いて、主オリフィスを通る臨界流量を決定する。
【0046】
水分供与及び分析器構成40の動作に移ると、この構成は三つの異なるモードで動作することができる。これらのモードを(1)プロセス・モード、(2)乾燥モード、及び(3)加湿モードと呼ぶ。水分供与及び分析器構成40の動作は、三つの弁62、110及び112(V0〜V2)の配置に依存する。三つの動作モードについての三つの弁62、110及び112(V0〜V2)の動作位置を下の表1に掲げる。
【0047】
【表1】
プロセス・モードの範囲内では、他の場合ならばシステムの前処理部18(
図1を参照)から液化部22へ進む筈のガス標本抜取を分析し又は試験して水分量を決定する。かかるプロセス・モードのために、ガスがガス精製器52を通って進まずに代わりにガス精製器を迂回してバイパス線54に沿って進むように、
図2の弁62(V0)は点64と点58との間(位置1−3)で接続する。次いで、ガスは比例弁68を通り、透過管72の上流の節点70まで進む。ガスは透過管72を通って進むことができる。しかしながら、プロセス・モードについては、透過管72の出力が流れマニホルド90の内部のバイパス・オリフィス122の入力と流体接続するように、弁112(V2)が点76と点108との間(位置1−2)で接続する。従って、かかるガスはバイパス・オリフィス122へ導かれる。やがて、かかるガスはバイパス・オリフィス122を通って進み、煙道138へ導かれる。透過管72及びバイパス・オリフィス122を通って進むかかるガスに水分が添加され得ることを認められたい。しかしながら、かかる水分添加は動作にとって重要ではない。ガスは水分量を監視せずに煙道138に単に与えられる。
【0048】
透過管72の上流の節点70に戻ると、ガスはまた、透過管バイパス線80に沿って弁110(V1)まで流れることを認められたい。プロセス・モードの範囲内では、透過管72を迂回するバイパス線80が流れマニホルド90の第二の入力94と流体接続する、従って流れマニホルドの内部で主オリフィス120の入力と流体接続するように、弁110(V1)が位置1−2(点82と点104との間の接続)にある。従って、かかるガスは、主オリフィス120を通って水分分析器132まで進むことができる。水分分析器によって分析されるかかるガスは、システム10の前処理部18(
図1)からシステムの液化部22へ進む前処理済み天然ガス26のバルクの標本である。このように、液化部22へ進む前処理済み天然ガス26の実際の水分量が監視される。
【0049】
水分供与及び分析器構成40(
図2)は、水分分析器132が水分量を正しく分析/決定していることを検証/確認する能力を提供する。かかる検証を行なうために、水分供与及び分析器構成40は乾燥モードを通って進んだ後に、続いて加湿モードを通って進む。乾燥モードの範囲内では、弁62(V0)は位置1−2(点64と点60とが接続されている)にある。このようなものとして、ガス精製器52を迂回するバイパス線54は接続を切断されて、ガスはガス精製器を通って進み、水分等の除去を施される。また乾燥モードの範囲内では、比例弁68から進むガスであってガス精製器52を介して乾燥済みのガスが、透過管を迂回してバイパス線80を介して主オリフィス120まで進み得るように、弁110(V1)は位置1−2(点82と点104とが接続されている)にある。これにより、乾燥したガスが、主オリフィス120を通り、水分分析器132を通って進むことを可能にする。かかる乾燥したガスの流れは、この系列の線及び線に設けられた構成要素を乾燥させる。弁112(V2)は、透過管72を流れるガス流がバイパス・オリフィス122の入力へ導かれ、続いて煙道138まで導かれるように、位置1−2(点76と点108とが接続されている)にある。水分が透過管72を介してかかるガスに添加されている場合がある。但し、このようなことは乾燥モードの範囲内の動作時には重要ではない。
【0050】
上述のように、検証は結局、加湿モードの範囲内での水分供与及び分析器構成40の動作を必要とする。加湿モードの範囲内では、弁62(V0)は、ガス精製器52を迂回するバイパス線54が接続を切断されて、ガスがガス精製器のみを通って乾燥等(例えば水分を除去される)を施されるように、位置1−2(点64と点60とが接続される)の内部に保たれる。ここでも、ガスは比例弁68を通って透過管72の上流の節点70まで進む。弁112(V2)は、透過管72を通って進むガスが主オリフィス120への入力に接続されるように、位置1−3(点76と点106とが接続される)にある。透過管72の内部では、当該透過管72を通って進むガス流に水分が添加され得ることを認められたい。このようなものとして、主オリフィス120から水分分析器132まで進むガスは水分を有する(例えば含湿)。透過管72によってガスに導入される/添加される水分の量は制御される。明確に述べると、水分導入は、水分分析器132が識別する水分量に関して期待されるような既知量とする。このことを照合基準として用いて水分分析器132の適正動作を決定することができる。明確に述べると、水分分析器132が、透過管によって導入された制御された既知水分量に略等しい識別水分量の指標を与えるならば、水分分析器132及びシステム10は全体として適正に動作していると看做され得る。しかしながら、水分分析器132が、透過管によって導入された制御された既知水分量に略等しくない識別水分量の指標を与えるならば、このようなことは水分供与及び分析器構成40の何らかの部分又は観点が適正に動作していない可能性があるという指標を与える。
【0051】
また加湿モードの範囲内では、弁V1は接続1−3にある(点82と点102とが共に接続されている)。このようなものとして、透過管72を迂回してバイパス線80に沿って進む流れは、バイパス・オリフィス122の入力に接続され、続いて煙道138に接続される。この保持された流れは、以下に議論されるような何らかの利益を提供する。
【0052】
主オリフィス120及びバイパス・オリフィス122の両方が、それぞれ自身を進むガス流に対して何らかの量の制約又は抵抗を与えることを認められたい。水分供与及び分析器構成40の内部に水分分析器132を迂回するバイパス流を設ける必要は、水分供与及び分析器構成40を一定的に通る少なくとも幾分かの流れを保つのに有益であることを認められたい。かかる一定流は水分供与及び分析器構成40を乾燥に保ち、従って水分の望ましくない蓄積を防ぐ助けになり得る。バイパス流が存在しない場合には、水分は静止空間に蓄積し始めて、水分分析器132を介して水分の分析を行なうことが望まれるときに水分供与及び分析器構成40の内部の流れを汚染し得る。
【0053】
水分供与及び分析器構成40の動作の詳細に移ると、透過管72に導入される水分は、下式によって定義され得る水分量を与える。
【0054】
【数1】
式中、
P
rは、所定の温度での水放出速度(ngm/min)であり、
MW
H2Oは、水の分子量(gm/mol)であり、
P
0は、周囲標準圧力(pa)であって通常1気圧であり、
T
0は、標準温度(K)であって通常25℃であり、
R
0は、一般気体定数であって8.31J/(mol*K)であり、
F
cは、P
0及びT
0での質量流量(分当たり標準cc)である。
上述のように、透過管72を一定の温度に保つと、水放出速度(P
r)を一定に保つ助けになる。
【0055】
加湿モードの範囲内では、主オリフィスを通るガスはF
cであって主流(F
c)と呼ばれる。バイパス・オリフィスを通るガスはバイパス流(F
b)と呼ばれる。上述のように、主流(F
c)は、煙道138に排出される前に水分分析器132によって分析される。バイパス流(F
b)は、検証システムの残部を乾燥に保つために通るガス流である。バイパス流が存在しなければ、水分が不用空間に蓄積し始めて、主流を汚染することになる。
【0056】
本発明の一つの観点によれば、バイパス流F
bの速度を主流F
cの速度に可能な限り近付けて保つ/制御すると有益であることが見出された。他の場合に、F
bがF
c実質的に等しくない(すなわち≠)場合には、検証動作モードが変化したときに主流量F
cが断絶を蒙り得る。結果として、主流F
cは、水分分析器132が信頼できる測定を行ない得る前に追加量/超過量の据え置き時間を必要とし得る。第二に、F
b≠F
cならば、動作モードが乾燥モードから加湿モードへ変化すると、乾燥モード及び加湿モードにある間に透過管を通る流量が異なることにより水分分析器132から水分の行き過ぎが観測され得る。第三に、F
b≠F
cならば、動作モードが乾燥モードから加湿モードへ変化するときに透過管72による水分導入が不安定になり得る。透過管72の温度及び流れマニホルド90の温度は、ガス流Fb及びFcが安定であるときにのみ一定となる。というのは、周囲温度は変化する場合があり(例えば−20℃から50℃まで)、ガス温度はこの温度変化によって影響されるからである。透過管72及び流れマニホルド90の内部でガス流が常に安定であり一定であるならば、初期の相対的に短い過渡期間の後に熱平衡に達する。しかしながら、ガス流がF
b≠F
cであり動作モードが乾燥モードから加湿モードへ切り換わるときに流れが不安定になると、透過管温度及び流れマニホルド温度も不安定になる。透過管72による水分導入の行き過ぎが生ずる場合があり、水分が安定になるのに応答時間を代償として付加的な/余分な時間が掛かる。
【0057】
本発明の一つの観点は、主流Fc及びバイパス流F
bを等しく且つ一定に保つために臨界流の概念を採用するものである。臨界流はオリフィスにおいて、上流絶対圧力が下流絶対圧力の少なくとも1.98倍である場合に生ずることを認められたい。主流について、
【0058】
【数2】
ならば主オリフィスを通る流れは臨界となり、この流れの流量は下式のように表わされる。
【0059】
【数3】
式中、
Cr
c:主流の流量係数
A
c:主流オリフィスの断面の面積
T
ref:Kでの参照温度であって、通常273.15K
P
ref:Pascalでの参照圧力であって、通常1.013e+5Pa
P
c:主流オリフィス上流圧力(Pa)
P
0:周囲圧力(Pa)
T:流れマニホルドのオリフィス温度(K)
k:気体の比熱(殆どの気体について1.4)
R
0:一般気体定数(8.31J/mol*K)
MW:気体の分子量
である。
【0060】
主流が臨界となると、質量流量Fcは下流圧力条件に独立となる。煙道背圧は0psigと10psigとの間で変動し得る。臨界流条件が満たされなければ、主流量は煙道背圧の変動と共に変化する。しかしながら、臨界流条件が満たされれば、主流量(Fc)は上流圧力Pcが安定である限り一定となる。かかる安定性は、バイパス流F
bを介して示され、
【0061】
【数4】
ならばバイパス流F
bは臨界となる。
【0062】
【数5】
式中、
Cr
b:バイパス流の流量係数
A
b:バイパス流オリフィスの断面の面積
Pc′:バイパス流オリフィス上流圧力(Pa)
である。
【0063】
V1に跨がる圧力降下をDPV1と表わす。V2に跨がる圧力降下をDPV2と表わす。透過管に跨がる圧力降下をDPPTと表わす。Pc及びPc′は、以下の関係を通して関係付けられる。
【0064】
P
c=P
up−DP
PT−DP
V2 (式4)
P
c′=P
up−DP
V1 (式5)
一例では、V1及びV2は、汎用の三方ソレノイド弁であってよい。V1及びV2の内部のオリフィスは、圧力降下が最小になるすなわちDPV1=DPV2 0となるように極めて大きくすることができる。換言すると、弁V1及びV2は、自身を通る流れについて無視し得る圧力降下を生ずる。また、一例の範囲内では、透過管室74は透過管72を内部に収容したステンレス鋼ハウジングである。かかる例では、室74の内部には流れ制約が存在しないので、圧力降下DPPTは無視しうるものと看做される。このようなものとして、主オリフィスの上流の圧力とバイパス・オリフィスの上流の圧力とが等しくなる。従って、
P
c=P
c′ (式6)
となる。
【0065】
主オリフィス120及びバイパス・オリフィス122は、構造及び寸法について許容差の範囲内で同等であり、従って、
Cr
c=Cr
b (式7)
A
c=A
b (式8)
となる。
【0066】
従って(式2から式8を参照)、
Fc=Fb (式9)
となる。
【0067】
一旦、Fc及びFbが臨界となり、Fc=Fbとなったら、オリフィス下流圧力が変動しても、オリフィス上流圧力Pc及び流れマニホルド温度Tが安定である限りFc及びFbは安定となる。Pcは、上流比例弁によって電子的に制御される。流れマニホルド温度Tは電子的に制御される。Fc及びFbは、気体組成が変化するならば気体分子量の変化によって変化し得る。
【0068】
このようなものとして、本発明の一つの観点は、透過管72及び水分供与及び分析器構成40の残部を通して同時に等量のガス流を流すように、上述の臨界流原理を二つの臨界オリフィスの利用と共に適用することにある。一例の観点では、主オリフィス120は、水分分析器に与えられる標本流が臨界流条件になるような寸法とされ、主オリフィスを介して水分分析器132に与えられる標本流は、水分分析器に与えられる当該標本流が臨界流条件になるような圧力で主オリフィスから与えられ、またバイパス・オリフィス140は、当該バイパス・オリフィスを通って進むバイパス流が臨界流条件になるような寸法とされ、バイパス流は、バイパス・オリフィスを通って進む当該バイパス流が臨界流条件になるような圧力でバイパス・オリフィスに与えられる。本発明の観点による一つの可能な利益は、下流の背圧変動を問わずプロセス・ガス、乾燥ガス及び湿潤ガスを一定の安定した流量で出力する能力である。主オリフィスを通した臨界流条件及びバイパス・オリフィスを通した臨界流条件は、煙道の内部の変化し得る圧力による影響を蒙らない。天然ガスは主な気体組成がメタンであるので、本発明は天然ガスに適用すると特に有用であり得る。
【0069】
以上に記載された実施形態の例を参照して発明を記載した。本明細書を読んで理解すれば当業者には改変及び変更が想到されよう。発明の1又は複数の観点を組み入れた実施形態の例は特許請求の範囲内に含まれる限り全てのかかる改変及び変形を含むものとする。
【符号の説明】
【0070】
10:液化天然ガス(LNG)処理システム
12:原天然ガス
14:供給源
16、24、48:流体連通
18:前処理部
22:液化部
26:処理済み天然ガス
28:液化天然ガス
40:水分供与及び分析器構成
42:標本量
46:圧力調整器
50、70:節点
52:ガス精製器
54、80:流体連通線
58:バイパス点
60:ガス精製器からの出力点
62、110、112:弁
64:共通点
68:比例弁
72:透過管
74:透過管室
76:透過管からの出力点
82:バイパス線の終点
90:流れマニホルド
92、94、96:流れマニホルドの入力
102、104、106、108:流体接続点
120:主オリフィス
122:バイパス・オリフィス
126:圧力センサ
130、140:流れマニホルドの出力
132:水分分析器
136:水分分析器の出力
138:排気煙道
139:環境制御装置
142:バイパス流線
150:圧力センサ
160:電子回路
162、164、166、167、168:動作接続