(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378558
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】自動車用バイザー及び自動車用バイザーの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20180813BHJP
【FI】
B60J3/00 L
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-139849(P2014-139849)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-16714(P2016-16714A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(72)【発明者】
【氏名】早川 文治
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−362150(JP,A)
【文献】
実公昭48−021720(JP,Y1)
【文献】
特開昭57−195909(JP,A)
【文献】
特開2010−042691(JP,A)
【文献】
特開2001−328678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
B60J 7/00
B60R 13/00−13/04
F16B 5/00−5/12
F16B 19/00
F16B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の庇体と、前記庇体の上側に形成された当接板とからなるバイザー部と、一端を前記当接板に、他端を窓枠に取り付け、前記当接板と前記窓枠とを一体に固定する取付ブラケットとで少なくとも構成し、
前記当接板の取付面側に設けられた凹部には、突起体が突設され、前記一端に設けられた係止孔に前記突起体が挿入されるとともに、前記凹部に前記一端が嵌合する自動車用バイザーであって、
前記一端と前記凹部とを、前記一端が前記凹部から抜けることを防止する抜け防止形状に形成し、前記凹部は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリ溝部を形成する前記抜け防止形状を有する一方、前記一端は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリほぞ部を形成する前記抜け防止形状を有し、
前記突起体先端の爪が前記係止孔に設けられた係止片に係止することを特徴とする自動車用バイザー。
【請求項2】
帯状の庇体と、前記庇体の上側に形成された当接板とからなるバイザー部と、一端を前記当接板に、他端を窓枠に取り付け、前記当接板と前記窓枠とを一体に固定する取付ブラケットとで少なくとも構成し、
前記当接板の取付面側に設けられた凹部には、突起体が突設され、前記一端に設けられた係止孔に前記突起体が挿入されるとともに、前記凹部に前記一端が嵌合する自動車用バイザーの取付構造であって、
前記一端と前記凹部とを、前記一端が前記凹部から抜けることを防止する抜け防止形状に形成し、前記凹部は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリ溝部を形成する前記抜け防止形状を有する一方、前記一端は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリほぞ部を形成する前記抜け防止形状を有し、
前記突起体先端の爪が前記係止孔に設けられた係止片に係止することを特徴とする自動車用バイザーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用バイザーを窓枠へ取り付ける自動車用バイザー及び自動車用バイザーの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車用バイザーの取付構造としては、自動車用バイザー取付部材に設けられた係合部にバイザーに設けられた柱状ボスを挿通し、自動車用バイザー取付部材の第1係合部によって窓枠の突出片の下端を把持する構造が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−116365号公報
【特許文献2】特開2002−362150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような取り付け構造では、自動車用バイザーに外力が加わると、柱状ボスへの負荷が集中することで、柱状ボスが破損するという問題があった。
【0005】
これに対し、上部金具を、バイザーに設けられた凹部に係止させる構造では、凹部周縁に上部金具外周が接触することから、バイザーに外力が加わっても小突起のみに負荷が集中することがなく、小突起が破損するという問題は解消されるものの、上方への負荷が加わった時は、小突起のみに負荷が集中することから小突起が破損するという問題があった(特許文献2)。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記従来の自動車用バイザーの取付構造の問題点を解消し、バイザーを取り付けた状態で外力が加わっても、突起体の破損を防止する自動車用バイザー及び自動車用バイザーの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち、請求項1に記載された発明は、帯状の庇体と、前記庇体の上側に形成された当接板とからなるバイザー部と、一端を前記当接板に、他端を窓枠に取り付け、前記当接板と前記窓枠とを一体に固定する取付ブラケットとで少なくとも構成し、
前記当接板の取付面側に設けられた凹部には、突起体が突設され、前記一端に設けられた係止孔に前記突起体が挿入されるとともに、前記凹部に前記一端が嵌合する自動車用バイザーであって、
前記一端と前記凹部とを、前記一端が前記凹部から抜けることを防止する抜け防止形状に形成し、
前記凹部は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリ溝部を形成する前記抜け防止形状を有する一方、前記一端は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリほぞ部を形成する前記抜け防止形状を有し、前記突起体先端の爪が前記係止孔に設けられた係止片に係止することを特徴とするものである。
【0009】
請求項
2に記載された発明は、帯状の庇体と、前記庇体の上側に形成された当接板とからなるバイザー部と、一端を前記当接板に、他端を窓枠に取り付け、前記当接板と前記窓枠とを一体に固定する取付ブラケットとで少なくとも構成し、
前記当接板の取付面側に設けられた凹部には、突起体が突設され、前記一端に設けられた係止孔に前記突起体が挿入されるとともに、前記凹部に前記一端が嵌合する自動車用バイザーの取付構造であって、
前記一端と前記凹部とを、前記一端が前記凹部から抜けることを防止する抜け防止形状に形成し、
前記凹部は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリ溝部を形成する前記抜け防止形状を有する一方、前記一端は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリほぞ部を形成する前記抜け防止形状を有し、前記突起体先端の爪が前記係止孔に設けられた係止片に係止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び
2に記載された発明は、外力が加わっても、突起体の破損を防止する。また、取付作業が容易であり取付後は外部から目立たない構造である。
【0012】
さらに、取付ブラケットの嵌合をより強固に行うことが可能であり、不完全な嵌合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は窓枠に自動車用バイザーが取り付けられた状態の全体図を示し、(b)は、(a)のA−A断面を示す説明図である。
【
図3】凹部に突起体を突設した状態を示す説明図である。
【
図4】突起体が取付ブラケットに係止した状態を示す説明図である。
【
図5】(a)(b)は、自動車用バイザーの凹部に取付ブラケットを係止する手順を示した説明図である。
【
図6】(a)は爪が係止片に係止した状態を示し、(b)はその変更例を示した説明図である。
【
図8】
図7の爪が係止片に係止した状態を示す説明図である。
【
図10】取付ブラケットの変更例の断面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の自動車用バイザーの取付構造の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、自動車用バイザーが窓枠に取り付けられた状態の全体図である。
図2は、取付ブラケットを示す説明図である。
図3は、自動車用バイザーの凹部に突起体を突設した状態を示す説明図である。
図4は、突起体が取付ブラケットに係止した状態を示す説明図である。
図5は、自動車用バイザーの凹部に取付ブラケットを係止する手順を示した説明図である。
【0016】
先ず初めに、
図1(a)に示すように、自動車用バイザー1は、自動車100の窓枠30に取り付け、日除けや雨除けとして機能するもので、
図1(b)に示すように、バイザー部2と、取付ブラケット20とで構成したものである。
【0017】
このうち、バイザー部2は、長尺な帯状の当接板3と、この当接板3から突設された庇体5とで構成したものである。当接板3は、長尺な帯状部材で接着面9を両面テープ40を介して窓枠30に貼着するもので、この当接板3内側には、凹部4が長手方向に所定の間隔(図示せず)を置いて設けられる構成である。そして、
図3及び4に示すように、凹部4は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリ溝部6が形成されるとともに、爪8を備えた突起体7が突設されている。
【0018】
一方、
図2に示すように、取付ブラケット20は樹脂材で、胴体部21を、凹部4と同様に、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリほぞ部24が形成される形状として、この胴体部21と窓枠30に取り付け一体に固定する湾曲部26,26とを連設する連設部25とで構成したものである。このうち、胴体部21には、内部に係止片23を備えた係止孔22が設けられている。また、連設部25には、開口部27が設けられており、取付ブラケット20に外力が加えられた際に全体がしなることで、外力を逃がして取付ブラケット20本体が破損することを防止する構造になっている。更に、開口部27が設けられることにより、連結部25の柔軟性が増し、取付ブラケット20を窓枠30へ取り付ける作業も容易になる。この胴体部21が、本発明の取付ブラケットの一端であり、湾曲部26,26が、本発明の取付ブラケットの他端である。
【0019】
このようにして構成される取付ブラケット20による自動車用バイザー1の窓枠30への取り付けは、以下のように行われる。
先ず初めに、
図5(a)に示すように、当接板3の凹部4に取付ブラケット20の胴体部21を挿嵌する。この時、
図5(b)に示すように、アリほぞ部24がアリ溝部6に嵌合することで接合される構造である。そして、突起体7を係止孔22に挿入することで、
図6(a)に示すように、突起体7の爪8が係止片23に係止する。
その後、両面テープ40の一方の貼着面を、接着面9に貼着した後、この状態から取付ブラケット20の湾曲部26,26に窓枠30の下端32を挿入し、両面テープ40の他方の貼着面を窓枠30に貼着することで、
図1(b)に示すように、窓枠30とバイザー部2との間に取付ブラケット20が取り付けられ、一体に固定されることとなる。
【0020】
上記の如く構成される自動車用バイザー1及び自動車用バイザー1の取付構造は、一端である胴体部21と凹部4とを、胴体部21が凹部4から抜けることを防止する抜け防止形状に形成し、突起体7先端の爪8が係止孔22に設けられた係止片23に係止することで、外力が加わっても、突起体7の破損を防止する。また、取付作業が容易であり取付後は外部から目立たない構造である。
【0021】
他にも、凹部4は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリ溝部6を形成する抜け防止形状を有する一方、胴体部21は、左右幅が上方へ行くに従って狭くなった後、逆に上方へ行くに従って広くなって上端部にアリほぞ部24を形成する抜け防止形状を有するので、取付ブラケット20の嵌合をより強固に行うことが可能であり、不完全な嵌合を防止することができる。
【0022】
なお、本発明にかかる自動車用バイザー及び自動車用バイザーの取付構造は、上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、突起体やの形状や大きさ、取付ブラケットとの固定方法、材質等を適宜変更することができる。
【0023】
例えば、爪8は、必ずしも
図6(a)に示すように、下端を傾斜状の段部に形成する必要はなく、
図6(b)に示すように、下端を水平な段部に形成しても良く、爪50が係止片23に係止する構造であれば適宜変更可能である。これにより、下端が傾斜面になっていることで、この下端は係止片23の角(辺)に当接することとなる。故に、寸法誤差や取付誤差が生じても確実に係止可能とする構造である。他にも、爪50が係止片23上に乗り上げた状態であったり、係止片23との間に隙間を形成する等の不具合を生じることがない。
【0024】
また、
図7に示すように、爪61は、突起体60の厚みよりも左右に広い形状に形成しても良く、適宜変更可能である。この場合、
図8に示すように、取付ブラケット20の係止孔22に挿嵌すると、爪61の左右のエッジ部分が係止孔22の内周に設けられた係止片62,62に係止する構造である。
【0025】
他にも、
図9に示すように、当接板65の接着面66には、アリ溝部68と凹部70の下方に突出する壁部67,67とで構成しても良く、適宜変更可能である。この場合、突起体69は、凹部70の下方で壁部67,67内に収まる位置に突設すれば良い。
【0026】
また、取付ブラケットは、湾曲部を上端に設けても良く、適宜変更可能である。この場合、
図10に示すように、当接板90の凹部91内に取付ブラケット75の胴体部77を挿嵌し、突起体92の爪93が係止孔78の係止片79に係止した後、両面テープ85の一方の貼着面を、当接板90の接着面に貼着する。そして、湾曲部76を窓枠80の上端部81に挿入し、両面テープ85の他方の貼着面を窓枠80に貼着することで、窓枠80とバイザー部94との間に取付ブラケット75が取り付けられ、一体に固定されるのである。
【0027】
他にも、取付ブラケット20は、樹脂材を使用しているが、必ずしも樹脂材である必要はなく、変形や破壊を防止するものであれば金属製のものであっても良く、適宜変更可能である。
【0028】
また、取付ブラケット20と凹部4との嵌合は、必ずしもアリ溝部にアリほぞ部が嵌合することで接合される構造である必要はなく、自動車用バイザーにおける取付面側に凹部4をT字状や円形状、その他の形状に設けても良く、凹部4から胴体部21が抜けることを防止する抜け防止形状に形成したものであれば、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
1・・自動車用バイザー、2・・バイザー部、3・・当接板、4・・凹部、5・・庇体、6・・アリ溝部、7・・突起体、8・・爪、9・・接着面、20・・取付ブラケット、21・・胴体部、22・・係止孔、23・・係止片、24・・アリほぞ部、25・・連設部、26・・湾曲部、27・・開口部、30・・窓枠、31・・胴体部、32・・下端部、40・・両面テープ、41・・突起体、50・・爪、60・・突起体、61・・爪、62・・係止片、65・・当接板、66・・接着面、67・・壁部、68・・アリ溝、69・・突起体、70・・凹部、75・・取付ブラケット、76・・湾曲部、77・・胴体部、78・・係止孔、79・・係止片、80・・窓枠、81・・上端部、85・・両面テープ、90・・当接板、91・・凹部、92・・突起体、93・・爪、94・・バイザー部、100・・自動車。