【実施例1】
【0015】
図1は、本実施例に係る顕微鏡装置100の構成を例示した図である。まず、
図1を参照しながら、顕微鏡装置100の構成について説明する。
【0016】
顕微鏡装置100は、オートフォーカス機能を有する顕微鏡装置である。顕微鏡装置100は、顕微鏡装置本体と、顕微鏡装置本体の動作を制御する制御装置500と、制御装置500に接続された入力装置600とを備えている。入力装置600は、利用者が直接操作する装置であり、例えば、タッチパネルディスプレイ装置、キーボード、マウスなどである。
【0017】
顕微鏡装置本体のフレーム101には、試料Sが配置されるステージ105と、レボルバ装置300とが取り付けられている。レボルバ装置300には、複数の対物レンズ(対物レンズ401、対物レンズ402、対物レンズ403、これらを区別しない場合には、対物レンズ400と記す。)が装着されていて、これらの対物レンズ400は、レボルバ装置300の回転により切換えて使用される。なお、レボルバ装置300に装着された対物レンズ400に関する情報は、制御装置500が有する記憶装置501に予め記憶されている。
【0018】
レボルバ装置300上方には、投光管103と、AF装置200と、鏡筒102が設けられている。さらに、フレーム101内には、モータ106が設けられている。モータ106は、ステージ105と対物レンズ400の間の距離を変更し、ステージ105に対する対物レンズ400の相対的な位置(以降、Z位置と記す)を変更する駆動装置である。モータ106は、ステージ105、又は、鏡筒102、AF装置200、投光管103及び対物レンズ400が装着されているレボルバ装置300からなる焦準部を上下に動かすことで、Z位置を変更する。なお、モータ106は、通常は制御装置500によって制御されるが、後述するオートフォーカス処理(以降、AF処理)の実行中は基本的にAF装置200によって制御される。
【0019】
投光管103は、光源104からの光を対物レンズ400の光軸に導く照明光学系を備えている。光源104は、LEDやハロゲンランプなどである。光源104からの光は、投光管103及び対物レンズ400を介して試料Sに照射される。鏡筒102は、光源104からの光で照明された試料Sを観察する観察光学系を備えている。顕微鏡装置100の利用者は、鏡筒102に設けられた接眼レンズを介して試料Sの像を観察する。なお、鏡筒102には、撮像素子が設けられてもよく、その撮像素子で撮像された試料Sの像が図示しない表示装置に表示されてもよい。
【0020】
図2は、本実施例に係るAF装置200の構成を例示した図である。
図2を参照しながら、AF装置200の構成、及び、顕微鏡装置100での合焦位置の検出方法について説明する。
【0021】
AF装置200は、レーザダイオード(以降、LDと記す)201からの光を、対物レンズ400を介して試料Sに照射し、試料Sで反射した光を、対物レンズ400を介してフォトダイオード(以降、PDと記す)211で検出する、アクティブ方式のAF装置である。
【0022】
AF装置200は、制御装置500からの指示に従って、AF処理を開始する。LD201から出射したレーザ光L1は、コリメートレンズ202でコリメートされ、ストッパ203でその光束の半分が遮断される。ストッパ203を通過した残りの半分の光束(レーザ光L1)は、偏光ビームスプリッタ(以降、PBSと記す)204を透過して、レンズ205、収差補正レンズ206、1/4λ板207を介してダイクロイックミラー208に入射する。その後、レーザ光L1は、ダイクロイックミラー208で反射してAF装置200から出射し、レボルバ装置300に装着された対物レンズ400を介して、試料Sに照射される。
【0023】
試料Sで反射したレーザ光L2は、対物レンズ400を介してAF装置200に入射する。AF装置200に入射したレーザ光L2の光束は、
図2に示すように、AF装置200から出射したレーザ光L1の光束が通過する領域とは光軸に対して反対側の領域を通って、PBS204に入射する。試料S側からPBS204に入射したレーザ光L2は、LD201側からPBS204に入射したレーザ光L1とは直交する偏光面を有しているため、PBS204で反射する。その後、ストッパ209で迷光が遮断され、迷光が除去されたレーザ光L2が、レンズ210を介してPD211に入射する。
【0024】
PD211は、光軸を中心に受光面が2分割された2分割されたPDであり、2つの受光面(受光面P1、受光面P2)のそれぞれで検出した光量に応じた検出信号を出力する。それらの検出信号は、増幅器212で増幅された後、A/D変換器213でデジタル信号に変換されて、AF制御部214へ出力される。
【0025】
AF制御部214は、受信した検出信号に基づいて、Z位置が合焦位置にあるか否かを判定する。より具体的には、AF制御部214は、例えば、検出信号が所定値以上であり、且つ、受光面P1に対応する検出信号と受光面P2に対応する検出信号との差が所定範囲内にあるときに、Z位置が合焦位置にあると判定し、合焦位置の検出を制御装置500に通知する。一方、AF制御部214は、Z位置が合焦位置にないと判定すると、モータ106を制御してステージ105と対物レンズ400との間の距離を変更して、再度、上記の判定処理(以降、合焦判定処理)を行う。
【0026】
このように、顕微鏡装置100では、AF装置200が検出信号に基づく合焦判定処理とモータ106の駆動制御処理とを繰り返すことで合焦位置が検出される。即ち、顕微鏡装置100では、AF装置200がPD211で検出された光に基づいて合焦位置を検出するAF処理を実行するオートフォーカス手段として機能する。
【0027】
AF装置200は、制御装置500からのAF処理の開始が指示されると、ワンショットモード、トラックモード、アシストモードのいずれかの動作モードでAF処理を実行する。以下、これらのモードの違いについて、
図3から
図6を参照しながら説明する。
【0028】
図3は、ワンショットモードにおけるAF装置200の動作を示すフローチャートである。ワンショットモードは、一度だけ合焦位置を検出する動作モードである。制御装置500からの指示に従ってワンショットモードでAF処理が開始されると、AF装置200は、まず、初期設定処理を行う(ステップS101)。ここでは、AF装置200は、制御装置500から対物レンズの倍率の情報を受信して、倍率に応じた設定を行う。具体的には、例えば、後述する判定処理で使用される閾値の設定、駆動制御処理での駆動速度の設定、サーチ範囲の設定などが行われる。
【0029】
次に、AF装置200は、合焦判定処理を行う。つまり、合焦位置を判定するための値を検出信号に基づいて算出する合焦演算処理を行い(ステップS102)、合焦位置が検出されたか否かを判定する(ステップS103)。そして、合焦位置が検出されると(ステップS103YES)、AF装置200は、合焦位置の検出を制御装置500に通知して(ステップS104)、AF処理を停止して終了する。
【0030】
合焦位置が検出されないと(ステップS103NO)、AF装置200は、予め決められたサーチ範囲で合焦位置が検出されなかったかどうか、さらに、AF処理開始後所定時間経過していないか(タイムアウトしていないか)どうかを判定する(ステップS105)。サーチが完了している又はタイムアウトしていると判定されると(ステップS105YES)、AF装置200は、合焦位置の検出が失敗したことを制御装置500に通知して(ステップS106)、後述するアシストモードへ移行する。サーチが未だ完了せず且つタイムアウトもしていないと判定されると(ステップS105NO)、AF装置200は、モータ106の駆動制御処理を行ってサーチ範囲内を移動し(ステップS107)、ステップS102に戻って上述した処理を繰り返す。以降では、ステップS102の合焦演算処理、ステップS103の合焦位置検出処理、ステップS107の駆動制御処理をまとめて、サーチ動作と記す。
【0031】
図4は、トラックモードにおけるAF装置200の動作を示すフローチャートである。トラックモードは、合焦位置を検出した後、その状態(合焦状態)を保ち続ける動作モードである。なお、トラックモードのステップS201からステップS207までの処理は、ワンショットモードのステップS101からステップS107までの処理と同じである。AF装置200は、合焦位置の検出を制御装置500へ通知した後、再び、合焦演算処理を行い(ステップS208)、合焦位置が検出されたか否かを判定する(ステップS209)。
【0032】
合焦状態から非合焦状態への状態変化が発生し、ステップS209で合焦位置が検出されないと、モータ106の駆動制御処理を行って(ステップS210)、装置を合焦状態へ復帰させる。ここでは、AF装置200は、ステップS208で算出された合焦位置を判定するための値に基づいて、合焦位置が存在する方向を特定して、Z位置が合焦位置に近づくようにモータ106を駆動する。これにより、装置が合焦状態から非合焦状態へ遷移しても直ぐに合焦状態へ復帰することになるため、合焦状態が安定して維持される。以降では、ステップS208の合焦演算処理、ステップS209の合焦位置検出処理、ステップS210の駆動制御処理をまとめて、追従動作と記す。
【0033】
図5は、アシストモードにおけるAF装置200の動作を示すフローチャートである。アシストモードは、ワンショットモード又はトラックモードで合焦位置の検出に失敗したときに移行するモードである。ワンショットモード又はトラックモードで動作中は、モータ106はAF装置200によって排他的に制御されるのに対して、アシストモードで動作中は、モータ106は、AF装置200と制御装置500の両方によって制御される。より具体的には、アシストモードでは、Z位置が合焦位置から離れた位置にある間は利用者の操作に従って制御装置500がモータ106を制御するが、Z位置が合焦位置に近づくとAF装置200がモータ106を制御する。顕微鏡装置100は、AF装置200がモータ106を制御している期間中は、利用者が操作しても制御装置500がモータ106を制御しないように構成されている。
【0034】
ワンショットモード又はトラックモードで合焦位置の検出に失敗し、アシストモードへ移行すると、AF装置200は、合焦位置を判定するための値を検出信号に基づいて算出する合焦演算処理を行う(ステップS301)。ここでは、PD211全体で受光した光量に関連する値(例えば、受光面P1に対応する検出信号と受光面P2に対応する検出信号の合計値)、受光面P1で受光した光量と受光面P2で受光した光量の差に関連する値、などが算出される。なお、この処理は、ワンショットモードのステップS102、トラックモードのステップS202の処理と同様である。
【0035】
その後、AF装置200は、Z位置が合焦位置近傍にあるか否かを判定する(ステップS302)。ここでは、ステップS301で算出したPD211全体で受光した光量に関連する値が所定の閾値を上回っている場合には、Z位置が合焦位置近傍にあると判定する。Z位置が合焦位置近傍にないと判定されると(ステップS302NO)、Z位置が合焦位置近傍にあると判定されるまで、ステップS301とステップS302の処理を繰り返す。この間は、モータ106はAF装置200によって制御されず、制御装置500によって制御される。
【0036】
利用者が入力装置600を操作して、制御装置500がモータ106を制御すると、ステージ105と対物レンズ400の間の距離が変化する。そして、ステップS302でZ位置が合焦位置近傍にあると判定されると(ステップS302YES)、さらに、合焦位置が検出されたか否かを判定する(ステップS303)。なお、この処理は、ワンショットモードのステップS103、トラックモードのステップS203の処理と同様である。
【0037】
その後、AF装置200は、合焦位置が検出されるまで、モータ106の駆動制御処理(ステップS305)と上述した処理(ステップS301からステップS303)を繰り返す。なお、ステップS305では、AF装置200は、トラックモードにおけるステップS210と同様に、ステップS301で算出された合焦位置を判定するための値に基づいて、合焦位置が存在する方向を特定して、Z位置が合焦位置に近づくようにモータ106を駆動する。
【0038】
合焦位置が検出されると(ステップS303YES)、AF装置200は、合焦位置の検出を制御装置500に通知する(ステップS304)。通知後は、動作モードがワンショットモードから移行したアシストモードである場合には、AF処理を停止して終了する。動作モードがトラックモードから移行したアシストモードである場合には、合焦状態が維持されるように
図4に示す追従動作が行われる。以降では、
図5に示す一連の動作をまとめて、引き込み動作と記す。
【0039】
AF処理の動作モードと各動作モードで行われる具体的な動作の関係は、
図6に示すとおりである。なお、AF装置200は、動作モードによらず、制御装置500からAF処理の停止指示、又は、一時停止指示を受信すると、AF処理を停止して終了する。
【0040】
図7は、本実施例に係るレボルバ装置300の構成を例示した図である。
図7を参照しながら、レボルバ装置300の構成について説明する。
【0041】
レボルバ装置300は、顕微鏡装置100に固定された本体部と、本体部に対して回転する回転部301と、を備えている。回転部301には、対物レンズ400を取り付けるための複数の取付け穴(取付け穴302a、・・・、取付け穴302f、これらを区別しない場合には、取付け穴302と記す。)が形成されている。さらに、回転部301には、取付け穴302毎に識別部(識別部303a、・・・、識別部303f、これらを区別しない場合には、識別部303と記す。)が設けられている。各識別部303は、状態識別部304(状態識別部304a、・・・、状態識別部304f)と、穴識別部305(穴識別部305a、・・・、穴識別部305f)を有している。
【0042】
一方、本体部には、識別部303の情報を読み取る読取部310と、読取部310で読み取った情報に基づいてレボルバ装置300の状態を判定する判定部311と、が設けられている。そして、顕微鏡装置100の検出光路上に取付け穴302が位置するときにその取付け穴302に対応する識別部303が読取部310によって読み取られる位置にくるように、レボルバ装置300は構成されている。検出光路は、試料Sからの光が鏡筒102の接眼レンズに至る光路であり、試料Sからの光がAF装置200のPD211に至る光路でもある。
【0043】
状態識別部304には、例えば、永久磁石が配置されている。判定部311は、レボルバ装置300が、検出光路上に複数の取付け穴302のいずれかが位置する状態(以降、第1の状態、又は、穴位置確定状態と記す)にあるか、それとも、複数の取付け穴302のいずれも位置しない状態(以降、第2の状態、又は、穴位置不定状態と記す)にあるかを、読取部310が状態識別部304から磁界(磁気情報)を検出するか否かによって判定する。そして、レボルバ装置300は、判定部311の判定結果に従って第1の状態と第2の状態の間での状態変化を検出すると、その状態変化を制御装置500へ通知する。なお、レボルバ装置300は、状態変化の代わりに状態そのものを定期的に制御装置500へ通知してもよい。
【0044】
穴識別部305には、例えば、最大3つの永久磁石が配置されている。より詳細には、複数の穴識別部305の各々には、
図7に示すように、他の穴識別部305とは異なる数の永久磁石が配置されているか、又は、同じ数の永久磁石が異なる配置で配置されている。判定部311は、レボルバ装置300が第1の状態にあると判定すると、穴識別部305からの磁界を読取部310が検出した結果に基づいて、検出光路上に位置する取付け穴302を特定する。そして、レボルバ装置300は、特定された取付け穴302の情報を制御装置500へ出力する。
【0045】
このように、レボルバ装置300は、第1の状態と第2の状態との間での状態変化を検出する機能と、第1の状態における検出光路上に位置する取付け穴を特定する機能を有している。
【0046】
図8は、顕微鏡装置100の状態遷移図である。
図8を参照しながら、利用者の操作に基づいて行われる制御装置500による顕微鏡装置100の動作制御について説明する。
【0047】
図8には、顕微鏡装置100の状態として、レボルバ装置300の状態とAF装置200の状態で定義される以下の4状態(状態601から状態604)が示されている。状態601は、レボルバ装置300が第2の状態(穴位置不定状態)であって、AF装置200がAF処理を停止している状態である。状態602は、レボルバ装置300が第1の状態(穴位置確定状態)であって、AF装置200がAF処理を停止している状態である。状態603は、レボルバ装置300が第1の状態(穴位置確定状態)であって、AF装置200がAF処理を実行している状態である。状態604は、レボルバ装置300が第2の状態(穴位置不定状態)であって、AF装置200がAF処理を一時的に停止している状態である。また、
図8には、各状態における入力と出力の関係がその状態から延びる矢印の傍に記載されている。矢印の傍に記載されている/よりも前方部分は制御装置500への入力(イベント)を示し、/の後方部分は制御装置500からの出力(動作)を示している。
【0048】
状態601における制御装置500による制御動作について説明する。
利用者が入力装置600を操作してAF処理の開始を指示すると、制御装置500にAF処理の開始指示が入力される(イベント601a)。これに対して、制御装置500は、指示を受け付けても何もしない。つまり、制御装置500は、AF装置200にAF処理の開始を指示しない。なお、イベント601aの発生により顕微鏡装置100の状態遷移は生じない。
【0049】
いずれかの取り付け穴302が検出光路上に位置するように利用者がレボルバ装置300を回転させると、レボルバ装置300が第2の状態から第1の状態への状態変化の通知と検出光路上に位置する取付け穴302の情報とを制御装置500に出力する(イベント601b)。これに対して、制御装置500は、記憶装置501に記憶されている対物レンズ400に関する情報を参照して、検出光路上に位置する取付け穴302に取り付けられている対物レンズ400の倍率を特定し、その情報をAF装置200へ出力する。出力された情報は、AF装置200で初期設定処理に利用される。記憶装置501には、レボルバ装置300に装着された対物レンズ400に関する情報として、対物レンズ400の倍率などがその対物レンズ400が取り付けられた取付け穴302と関連付けて記憶されている。なお、イベント601bの発生により顕微鏡装置100の状態は状態601から状態602に遷移する。
【0050】
状態602における制御装置500による制御動作について説明する。
利用者が入力装置600を操作してAF処理の開始を指示すると、制御装置500にAF処理の開始指示が入力される(イベント602a)。これに対して、制御装置500は、AF装置200にAF処理の開始を指示する。そして、AF装置200は、制御装置500からの指示に従ってAF処理を開始する。なお、イベント602aの発生により顕微鏡装置100の状態は状態602から状態603へ遷移する。
【0051】
取付け穴302のいずれもが検出光路上に位置しないように利用者がレボルバ装置300を回転させると、レボルバ装置300が第1の状態から第2の状態への状態変化の通知を制御装置500に出力する(イベント602b)。これに対して、制御装置500は何もしない。なお、イベント602bの発生により、顕微鏡装置100の状態は状態602から状態601に遷移する。
【0052】
状態603における制御装置500による制御動作について説明する。
利用者が入力装置600を操作してAF処理の停止を指示すると、制御装置500にAF処理の停止指示が入力される(イベント603a)。これに対して、制御装置500は、AF装置200にAF処理の停止を指示する。そして、AF装置200は、制御装置500からの指示に従ってAF処理を停止して終了する。なお、イベント603aの発生により顕微鏡装置100の状態は状態603から状態602へ遷移する。
【0053】
取付け穴302のいずれもが検出光路上に位置しないように利用者がレボルバ装置300を回転させると、レボルバ装置300が第1の状態から第2の状態への状態変化を検出して制御装置500に出力する(イベント603b)。これに対して、制御装置500はAF処理を一時的に停止するようにAF装置200に指示する。そして、AF装置200は、制御装置500からの指示に従ってAF処理を一時的に停止する。なお、イベント603aの発生により、顕微鏡装置100の状態は状態603から状態604に遷移する。
【0054】
状態604における制御装置500による制御動作について説明する。
利用者が入力装置600を操作してAF処理の停止を指示すると、制御装置500にAF処理の停止指示が入力される(イベント604a)。これに対して、制御装置500は、AF装置200にAF処理の停止を指示する。そして、AF装置200は、制御装置500からの指示に従ってAF処理を停止して終了する。なお、イベント604aの発生により顕微鏡装置100の状態は状態604から状態601へ遷移する。
【0055】
いずれかの取り付け穴302が検出光路上に位置するように利用者がレボルバ装置300を回転させると、レボルバ装置300が第2の状態から第1の状態への状態変化の通知と検出光路上に位置する取付け穴302の情報とを制御装置500に出力する(イベント604b)。これに対して、制御装置500は、記憶装置501に記憶されている対物レンズ400に関する情報を参照して、検出光路上に位置する取付け穴302に取り付けられている対物レンズ400の倍率を特定し、その情報をAF装置200へ出力する。さらに、制御装置500は、AF装置200に一時的に停止しているAF処理の再開を指示する。そして、AF装置200は、制御装置500からの指示に従ってAF処理を再開する。このとき、AF装置200は、
図9に示すアシストモードでAF処理を再開する。
【0056】
図9は、AF処理再開後のアシストモードにおけるAF装置200の動作を示すフローチャートである。
図9に示すアシストモードの動作は、合焦演算処理(ステップS301)の前に初期設定処理(ステップS300)が行われる点が、
図5に示すアシストモードの動作とは異なっている。ステップS300の初期設定処理は、ワンショットモードのステップS101、トラックモードのステップS201の処理と同じである。これにより、AF処理再開時に対物レンズ400が変更されている場合であっても、適切な設定でAF処理を再開することができる。
【0057】
本実施例に係る顕微鏡装置100では、AF装置200は、レボルバ装置300が第1の状態から第2の状態への変化を検出すると、実行中のAF処理を一時的に停止するように構成されている。従って、顕微鏡装置100によれば、対物レンズ400の切換え時におけるAF装置200の予期しない動作を防止することができる。
【0058】
さらに、AF装置200は、レボルバ装置300が第2の状態から第1の状態への変化を検出すると、一時停止中のAF処理を再開するように構成されている。そして、顕微鏡装置100では、AF処理の一時停止と再開がいずれも自動的に行われる。従って、顕微鏡装置100によれば、対物レンズ400の切換え前にAF装置の動作を手動で停止して、切換え後にAF装置の動作を手動で再開させるといった作業を省略することが可能であり、観察に関する作業効率を改善することができる。
【0059】
また、AF装置200は、AF処理をアシストモードで再開するように構成されている。つまり、再開後にサーチ動作は行われない。一般的に、対物レンズ400は一定の同焦点距離(例えば、45mmなど)となるように設計されている。このため、対物レンズ400を切換えても合焦位置がほとんど変化しない。また、レボルバ装置300には、例えば、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍のように、回転により徐々に倍率が高くなるように複数の対物レンズ400が装着されるのが通常である。倍率などの対物レンズ400の光学特性によってAF装置200が合焦位置近傍であると判断する範囲に違いはあるが、切換え前後の対物レンズの光学特性が近い場合にはその違いは大きくない。これらを考慮すると、AF処理を一時停止する前にZ位置が合焦位置またはその近傍にある場合には、AF処理再開後もZ位置が合焦位置またはその近傍にある可能性が高い。このため、AF処理をアシストモードで再開する顕微鏡装置100によれば、無駄なサーチ動作を省略することができるため、再開後、素早く合焦位置を検出することができる。