(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の発明では、認証手段による複数回の照合を必要とするため、例えば、リレー制御による比較的簡便な設備(例えば、多段式機械式駐車装置)に適用しようとすると、マイコン制御やシーケンス制御への変更が必要になり、多くのコストが必用となる。
【0007】
また、暗証番号などは家族の複数人で共用することがあり、必ずしも第1の認証を行った利用者しか操作できないとは限らない。そのため、先の利用者が装置内にいるときに他の利用者が扉閉等の操作を行い、先の利用者が装置内に閉じ込められるおそれはある。
【0008】
そこで、本発明は、先の利用者が機械式駐車装置の内部にいる場合、他の利用者による機械式駐車装置の運転を適切に禁止するようにした駐車装置の操作禁止装置と、それを備えた機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る操作禁止装置は、操作盤による呼び操作によって入出庫を行う駐車装置の操作禁止装置であって、前記駐車装置の運転操作を許可する認証手段を備え、前記駐車装置の所定位置に脱着可能な操作禁止媒体を備え、前記操作禁止媒体が所定位置から取り外されている場合には、前記操作盤による入出庫のための機械動作の操作を不能又は無効にするように構成されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「認証手段」としては、電源キー、暗証番号、運転リモコン、認証カードなどがある。また、「操作禁止媒体」としては、キー、カード、ボタンなど、利用者が取り外し、持って入出庫ができる媒体であればよい。また、「操作を不能又は無効」は、物理的に操作を不能にすること、制御的に操作を無効にすることなどをいう。
【0010】
この構成により、認証手段によって運転操作を可能としても、認証手段とは別の操作禁止媒体を駐車装置の所定位置から取り外すことで、操作盤による入出庫のための機械動作の操作が不能又は無効にされる。そのため、先の利用者が操作禁止媒体を取り外して駐車装置の内部にいるときには、他の利用者による駐車装置に対する入出庫のための機械動作の操作を不能又は無効にすることができる。多段式機械式駐車装置等で、前面扉又は前面フェンスを持たない機種にも適用できる。
【0011】
また、前記操作禁止媒体は、前記認証手段による利用者の認証を制御装置が確認した後に取り外せるように構成されていてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「認証手段」としては、例えば、運転キー、暗証番号、運転リモコン、認証カードなどによる認証とすることができる。
【0012】
このように構成すれば、認証手段によって機械式駐車装置の利用者を認証した後、認証を行った利用者が操作禁止媒体を取り外すことができるようにして、他の利用者による操作盤の操作を不能又は無効にすることができる。
【0013】
また、前記操作禁止媒体は、前記所定位置から取り外せないようにロック装置でロックされており、前記認証手段による利用者の認証が認証条件を満たさない場合には前記ロック装置による操作禁止媒体のロック状態を維持するように構成されていてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「ロック装置」としては、例えば、電磁ソレノイド、電子ロック等によって操作禁止媒体を取り外せないようにするものを用いることができる。
【0014】
このように構成すれば、認証手段によって機械式駐車装置の利用者を認証することで操作禁止媒体をロックしているロック装置のロックを解除することができ、認証できた利用者だけが操作禁止媒体を取り外して他の利用者による操作盤の操作を不能又は無効にすることができる。
【0015】
また、前記認証手段は、運転キーで構成され、前記操作禁止媒体は、前記運転キーを差し込むことで取り外せるように構成され、前記運転キーは、前記操作禁止媒体を戻すことで抜くことができるように構成されていてもよい。
【0016】
このように構成すれば、利用者は携帯している運転キーを差し込んで認証することで、操作禁止媒体を取り外して機械式駐車装置の内部に入り、機械式駐車装置から出て操作禁止媒体を戻して運転キーを抜いた後に機械式駐車装置から離れることになり、操作禁止媒体の戻し忘れを防止することができる。
【0017】
また、前記操作盤による入出庫のための機械動作の操作が、少なくとも格納・搬出手段の呼び出し又は格納のいずれかの操作であってもよい。
【0018】
このように構成すれば、操作禁止媒体を駐車装置の所定位置から取り外すことで、少なくとも格納・搬出手段の呼び出し又は格納のいずれかの操作が不能又は無効にされる。そのため、先の利用者が駐車装置の内部にいるときに他の利用者が、駐車装置の格納・搬出手段の呼び出し又は格納の操作を行うこと、がないようにできる。
【0019】
また、前記駐車装置は、前面扉又は前面フェンスを備え、前記操作盤による入出庫のための機械動作の操作が、少なくとも格納・搬出手段の呼び出し又は格納もしくは前面扉又は前面フェンスの閉操作のいずれかの操作であってもよい。
【0020】
このように構成すれば、操作禁止媒体を駐車装置の所定位置から取り外すことで、少なくとも前面扉又は前面フェンスの閉操作、格納・搬出手段の呼び出し又は格納のいずれかの操作が不能又は無効にされる。そのため、先の利用者が駐車装置の内部にいるときに他の利用者が、駐車装置の前面扉又は前面フェンスを閉めること、格納・搬出手段の呼び出し又は格納の操作を行うこと、がないようにできる。
【0021】
また、前記操作禁止媒体は、前記所定位置から取り外せないようにロック装置でロックされており、前記ロック装置は、搬出/格納準備動作の完了、前面扉又は前面フェンスの開放のいずれかの信号に基づいて解除されるように構成されていてもよい。
【0022】
このように構成すれば、利用者によって搬出/格納準備動作の完了、前面扉又は前面フェンスの開放のいずれかが行われることで、操作禁止媒体を取り外して機械式駐車装置の内部に入ることができる。
【0023】
前記入出庫のための機械動作の内、前面扉又は前面フェンスの開操作は、前記操作禁止媒体の取り外し後に許可されるように構成されていてもよい。
【0024】
このように構成すれば、利用者が機械式駐車装置の内部に入る際、操作禁止媒体の取り外しを忘れることを防止することができる。
【0025】
また、前記操作禁止媒体の取り外し操作に連動して前面扉又は前面フェンスの開動作が行われるように構成されていてもよい。
【0026】
このように構成すれば、利用者が操作禁止媒体を取り外すことに連動させて前面扉又は前面フェンスを開放することができ、利用者による操作の簡便を図ることができる。
【0027】
また、前記操作禁止媒体の戻し操作に連動して前面扉又は前面フェンスの閉動作が行われるように構成されていてもよい。
【0028】
このように構成すれば、利用者が操作禁止媒体を戻すことに連動させて前面扉又は前面フェンスを閉鎖することができ、利用者による操作の簡便を図ることができる。
【0029】
また、前記操作禁止媒体は、キーで構成されていてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「キー」としては、通常のキーの他、ソレノイドキー、電子ロックキー、ロック機能付キーなどが利用できる。
【0030】
このように構成すれば、比較的簡単な構成で操作禁止媒体を構成することができ、設備費用を抑えることができる。
【0031】
また、前記操作禁止媒体は、操作盤における操作部を脱着可能に構成されたものでもよい。「操作部」としては、例えば、運転開始ボタン等の必ず操作する部分とすることができる。
【0032】
このように構成すれば、操作盤を操作する場合に使用する操作部の有無によって、他の利用者に先の利用者が機械式駐車装置の内部にいることを容易に認識することができる。
【0033】
一方、本発明に係る機械式駐車装置は、前記いずれかの操作禁止装置を備え、少なくとも複数の昇降するパレットを有し、操作盤又は該操作盤の周囲もしくは出入口周辺に前記操作禁止媒体が設けられている。
【0034】
この構成により、複数の昇降するパレットを有する機械式駐車装置において、操作盤又は操作盤の近傍において操作禁止媒体を駐車装置から取り外して、先の利用者が駐車装置の内部にいるときに他の利用者による前面扉又は前面フェンスの閉操作、格納・搬出手段の呼び出し又は格納のいずれかの操作を不能又は無効にして機械式駐車装置への入出庫を禁止することができる。しかも、操作盤又は操作盤の周囲もしくは出入口周辺に操作禁止媒体が設けられていることで、操作禁止媒体を取り外して迅速な入出庫ができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、先の利用者が操作禁止媒体を取り外すことで、先の利用者が利用中に他の利用者が機械式駐車装置を動作させる操作を不能又は無効にすることができ、先の利用者が機械式駐車装置の内部にいるときに、他の利用者による機械式駐車装置の運転を適切に禁止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車装置の一例として、ピット格納式の3段3列昇降横行式の複数列多段式駐車装置で、中段が乗入れ部となった例を説明する。この駐車装置には、前面フェンスが設けられている。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、
図1に示す駐車装置の正面に向った状態で、右方向、左方向、入口の方向を前方向、奥の方向を後方向という。
【0038】
図1に示すように、この実施形態の複数列多段式駐車装置1は、複数本の支柱2及び横梁3により枠組みされた枠組体5を骨格として構築され、上下に3段、左右に3列の格納スペースが形成されている。上段は高車高車HWの格納が可能な上段格納スペース6、中段は高車高車HWの格納が可能な中段格納スペース7、下段は低車高車LWを格納する下段格納スペース8となっている。これら格納スペース6〜8のうち、上段格納スペース6及び中段格納スペース7は地上に設けられ、下段格納スペース8は地下に掘削して形成されたピット9内に設けられている。
【0039】
上記上段格納スペース6には3台の上段パレット10が横方向に並設され、上記下段格納スペース8には3台の下段パレット11が横方向に並設され、上記中段格納スペース7には1台少ない2台の中段パレット12が左行横行位置で横方向に並設されている。図では、この中段格納スペース7の右端に形成されている空スペースに上段パレット10が下降して配置されている。この中段格納スペース7の中段パレット12は、中段格納スペース7で左右方向に横行可能となっている。上段格納スペース6の上段パレット10は、昇降駆動部15によって駆動される昇降用チェーン16によって中段格納スペース7との間で昇降可能となっている。下段格納スペース8の下段パレット11は、昇降駆動部15によって駆動される昇降用チェーン17によって中段格納スペース7との間で昇降可能となっている。昇降する上段パレット10及び下段パレット11は昇降パレットであり、横行する中段パレット12は横行パレットである。昇降用チェーン16,17による上段パレット10,下段パレット11の昇降機構は、公知の技術を採用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
地上階の中段格納スペース7が乗入れ部20となっており、入出庫車両である高車高車HW及び低車高車LWは、この乗入れ部20から中段格納スペース7に位置する各パレット10〜12に入出庫される。
【0041】
この乗入れ部20の前部には、前面フェンス21が上下方向に開閉可能に設けられている。この前面フェンス21の開閉動作により、中段格納スペース7と乗入れ床22とが連通又は遮断されるようになっている。前面フェンス21は、支柱2の上部に設けられたフェンス開閉駆動部25によって駆動するバランスチェーン26によって開閉させられる。このバランスチェーン26の端部には、カウンタウエイト27が設けられている。
【0042】
そして、上記枠組体5の乗入れ部20側における右側の支柱2には、操作盤30が配設されており、この操作盤30に操作禁止媒体50が設けられている。
【0043】
次に、
図2に基づいて、上記前面フェンス21を有する駐車装置1の操作盤30に設けられた操作禁止媒体50と、その操作禁止媒体50を備えた操作禁止装置70について説明する。
【0044】
図2(a) に示すように、操作盤30には、電源キー31を差し込む部分と、フェンス開ボタン32、フェンス閉ボタン33、スタートボタン34、及びテンキーボタン35とが設けられている。テンキーボタン35の上方にはパレット呼び番号を表示する表示部36が設けられている。
【0045】
そして、この第1実施形態では、操作盤30に利用者が抜き差し可能な操作禁止媒体50としての操作禁止キー51が設けられている。この操作禁止キー51は、
図2(b) に示すように差し込んだ状態から、
図2(c) に示すように抜き取り可能となっている。
【0046】
次に、このような操作禁止キー51が設けられた操作禁止装置70による駐車装置1の機械動作の禁止について詳細に説明する。
【0047】
前面フェンス21がある場合、まず、前面フェンス21が閉まった状態で呼び操作をする。この呼び操作としては、前面フェンス21が閉まった待機状態で電源キー31を差して電源を入れる。電源キー31は、利用者が携帯するものであり、駐車装置1の運転操作を許可するための認証手段である。認証手段としては、電源キー31以外に、暗証番号、運転リモコン、認証カードなどによる認証としてもよい。また、複数の認証手段によって認証するようにしてもよい。この認証は、制御装置60によって確認される。その後、テンキーボタン35で呼び番号を押し、スタートボタン34を押す。これにより、駐車装置1が動作して呼び番号のパレットに車両を格納するための準備が行われる。呼び番号のパレットが入庫位置に配置されると、フェンス開ボタン32を押して前面フェンス21を開ける。
【0048】
そして、利用者は、操作盤30から操作禁止キー51を抜き取り、その操作禁止キー51を持って駐車装置1の中に入って入庫作業を行う。この操作禁止キー51は、電源キー31を差し込まないと抜くことができない。このように操作禁止キー51を抜き取ることにより、制御装置60によって、操作盤30による入出庫のための機械動作の操作が無効となる。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止することができる。この実施形態では、入出庫のための機械動作の操作として、フェンス閉ボタン33、スタートボタン34、テンキーボタン35のいずれか又は複数の操作が無効となり、他の利用者によるフェンス閉操作やパレット呼び操作を禁止している。
【0049】
なお、利用者が操作禁止キー51を必ず抜くようにするために、操作禁止キー51を差した状態ではフェンス開ボタン32による操作を無効にして操作不可とし、操作禁止キー51を抜くことでフェンス開ボタン32の操作が有効となるようにしてもよい。
【0050】
また、操作禁止キー51の差し忘れを防止するために、操作禁止キー51を差さないと電源キー31が抜けないようにしてもよい。さらに、前面フェンス21を閉めないと電源キー31が抜けないようにしてもよい。
【0051】
一方、駐車装置1が待機中で電源キー31が「入」の状態になるまでは、操作禁止キー51が抜けないようにロック装置(図示略)で操作禁止キー51をロックしてもよい。このロック装置としては、電磁ソレノイド、電子ロックなどを用いることができる。この場合、呼び操作による搬出/格納準備動作の完了、又は前面フェンス21の開放のいずれかの信号に基づいてロックが解除され、操作禁止キー51が抜けるようにできる。このようにすることで、いたずら等で利用者以外が操作禁止キー51を抜いたり、誤操作で操作禁止キー51が抜かれることを防ぐことができる。このロック装置の制御は、制御装置60によって行なえばよい。また、複数の認証条件を設定してもよい。例えば、電源キー31の「入」操作と、暗証番号の入力等でもよい。
【0052】
なお、認証手段が電源キー31ではなく、暗証番号や運転リモコンや認証カードで利用者を認証する場合でも、認証が完了するまで操作禁止キー51が抜けないようにしてもよい。
【0053】
そして、利用者が車両を入出庫した後、駐車装置1から出て操作盤30の位置に戻り、操作禁止キー51を元の位置に差す。これにより、フェンス閉ボタン33の操作が可能となり、前面フェンス21を閉めることができる。そして、電源キー31を抜いて駐車装置1の電源を切る。
【0054】
なお、電源キー31以外の認証手段の場合でも、例えば、前面フェンス21を閉めると、以降の操作を行いたいときは再度認証を行わなければならないようにして、電源を切ったのと同様の状態とすることができる。
【0055】
また、この実施形態は、操作盤30に認証手段となる電源キー31と操作禁止媒体50としての操作禁止キー51とが設けられた例を説明したが、例えば、既設の駐車装置1に操作禁止装置70を設ける場合、新たに認証手段と操作禁止媒体50とを設けることも可能であるが、新たに操作禁止媒体50を設け、認証手段は既設の操作盤における電源キーに兼ねさせるようにすることができる。
【0056】
このように、上記操作禁止装置70が設けられた駐車装置1によれば、格納している車両を搬出又は格納のための準備(パレット式/パレットレス式)をするステップ(パレット呼び機械動作)と、操作禁止媒体50を駐車装置1から取り外すステップ(操作禁止キー51を抜く)と、を行うことで、操作禁止キー51の取り外しに基づいて、少なくとも駐車装置の扉閉操作、格納・搬出手段の呼び出し又は格納のいずれかが禁止される。
【0057】
この場合、操作禁止キー51が取り外されても前面フェンス21の開動作は可能となっており、その後、前面フェンス21の開放操作をして前面フェンス21を開放する。この前面フェンス21の開放は、操作禁止媒体50を抜く前に行ってもよい。そして、利用者が駐車装置1の内部に入って入出庫をする。
【0058】
その後、操作禁止キー51を駐車装置1に取り付ける(必ずしも同じ場所に「戻す」とは限らない)ステップ(操作禁止キー51を差す)と、操作禁止キー51の取り付けに基づいて、上記禁止された操作を許可するステップと、が行われる。その後、前面フェンス21の閉鎖操作をして、前面フェンス21を閉鎖する。
【0059】
なお、車両を搬出/格納するための準備が完了した後、前面フェンス21を開放する操作は、操作禁止キー51を取り外した後でなければ行えないようにしてもよい。つまり、操作禁止キー51を抜かないと前面フェンス21の開放動作ができないようにして、利用者に操作禁止キー51を抜くことを強制してもよい。
【0060】
このように、上記操作禁止装置70によれば、操作盤30に操作禁止キー51を設け、この操作禁止キー51を抜くことで前面フェンス21(入口扉なども含む)の閉鎖操作や格納・搬出手段の呼び出し又は格納の機械操作ができないように禁止することができる。そのため、先の利用者が入出庫の操作開始時に操作禁止キー51を抜き、その操作禁止キー51を持って入出庫を行い、入出庫終了時に操作禁止キー51を所定位置に差し込むまでの間は、他の利用者が駐車装置1の前面フェンス21を閉鎖する操作や呼び操作ができず、先の利用者が駐車装置1の内部に閉じ込められることを防ぐことができる。
【0061】
次に、
図3〜
図8に基づいて、前面フェンスを有する駐車装置1の操作盤30に設けられる他の操作禁止媒体50の例と、その操作禁止媒体50によって操作盤30による入出庫のための機械動作の操作を不能又は無効にすることについて説明する。これらは一例であり、他の構成で操作盤による入出庫のための機械動作の操作を不能又は無効にしてもよい。
図3〜
図8では、
図2に示す構成と同一の構成には同一符号を付し、作用などの詳細な説明は省略する。
【0062】
図3(a) 〜(c) に示す第2実施形態は、操作禁止媒体50を操作禁止タグ(ICタグ)52とした例である。この例の場合、操作盤30から操作禁止タグ52を抜き取ることで、制御装置60によって操作盤30による操作が無効とされる。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止している。
【0063】
図4(a) 〜(c) に示す第3実施形態は、操作禁止媒体50を操作禁止カード(磁気カード)53とした例である。この操作禁止カード53も、操作盤30から抜き取ることで、制御装置60によって操作盤30による操作が無効とされる。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止している。この操作禁止媒体50としては、機械式キーの他、ICタグ、磁気カード等を利用することができる。
【0064】
図5(a) 〜(d) に示す第4実施形態は、操作禁止媒体50である操作禁止キー54を回転させて切り替えるようにした切り替えスイッチタイプの例である。操作盤30には、利用者が抜き差し可能な切り替えスイッチタイプの操作禁止キー54が設けられている。この例の場合、操作禁止キー54を「フェンス閉操作」の「解除」と「禁止」とに切り替えるようにしている。操作禁止キー54が、「解除」の位置の場合は、フェンス閉ボタン33による前面フェンス21の閉鎖が可能である。
【0065】
そして、
図5(c) に示すように、操作禁止キー54を「禁止」に切り替えて、(d) に示すように抜き取ることで、制御装置60によってフェンス閉ボタン33の操作を無効にしてフェンス閉操作を禁止している。このように操作禁止キー54を抜き取ることで、他の利用者による操作盤30の操作を無効にしている。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止している。
【0066】
上記操作禁止媒体50には、操作禁止キー54のように回すなどして操作すると操作禁止の状態になり、操作禁止キー54(51)を抜いて持っておくタイプや、操作禁止タグ52のように、抜くことによって操作禁止の状態になり、差すことによって操作禁止を解除するタイプなどがある。
【0067】
図6(a) 〜(d) に示す第5実施形態は、操作禁止媒体50をフェンス開ボタン32又はフェンス閉ボタン33をプレート56で隠す操作禁止キー55とした例である。この例では、操作盤30に、利用者が抜き差し可能な操作禁止キー55が設けられ、この操作禁止キー55を差す部分に一体的に回るプレート56が設けられている。
【0068】
この例の場合、
図6(a),(b) に示すように、操作盤30に設けられたプレート56の所定位置に操作禁止キー55を差し、
図6(c) に示すように、この操作禁止キー55でプレート56をフェンス閉ボタン33が隠れる禁止側に回すようにしている。プレート56でフェンス閉ボタン33が隠れる禁止側に操作禁止キー55を回すことで、
図6(d) に示すように、操作禁止キー55を操作盤30から抜くことができる。操作禁止キー55を抜き取ることで、フェンス閉ボタン33を押せないようにして、他の利用者によるフェンス閉操作を不能にしている。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止している。
【0069】
また、この実施形態では、
図6(a) に示すように、操作禁止キー55をフェンス開ボタン32がプレート56で隠れる解除側に回さないと、フェンス閉ボタン33を押してフェンス閉操作できないようにしている。このようにすることで、入出庫する利用者は、必ず操作禁止キー55をフェンス閉ボタン33が隠れる禁止側と、フェンス開ボタン32が隠れる解除側とに回さなければならなくなる。なお、上記プレート56により、フェンス開ボタン32の代わりにスタートボタン34を隠して不能としてもよい。
【0070】
図7(a) 〜(c) に示す第6実施形態は、操作禁止媒体50を操作盤30における操作部であるフェンス閉ボタン57を脱着可能にした例である。この例の場合、操作盤30に設けられたフェンス閉ボタン57が脱着可能となっており、
図7(c) に示すように、先の利用者がフェンス閉ボタン57を取り外して駐車装置1の内部に入ることで、他の利用者によるフェンス閉操作を禁止し、他の利用者がフェンス閉操作を不能としている。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止している。なお、この例ではフェンス閉ボタン57を脱着可能に構成したが、スタートボタン34を脱着可能に構成してもよい。
【0071】
図8(a) 〜(d) に示す第7実施形態は、操作禁止媒体50としての操作禁止キー58を抜く(取り外す)ことに連動して前面フェンス21(
図1)を開け、操作禁止キー58を差す(戻す)ことに連動して前面フェンス21を閉じるようにした例である。
【0072】
図8(b) に示すように、操作禁止キー58を差した状態から、
図8(c) に示すように、操作禁止キー58を抜くことにより、それに連動して前面フェンス21が開けられる。その後、利用者は操作禁止キー58を持って入出庫を行う。そして、
図8(d),(e) に示すように、操作禁止キー58を操作盤30の所定位置に差すことにより、その操作に連動して前面フェンス21が閉じられる。これらの連動は、制御装置60によって制御される。
【0073】
このように、操作禁止キー58の抜き差しに連動して、前面フェンス21の開閉が行われるようにすれば、利用者による前面フェンス21の開閉操作を省くことができるとともに、先の利用者が利用中に他の利用者による操作を禁止することができる。
【0074】
なお、この例では操作禁止キー58を操作盤30から抜き取ることで、制御装置60によって操作盤30による操作が無効とされる。これにより、他の利用者による操作盤30の操作による駐車装置1の機械動作を禁止している。
【0075】
次に、
図9(a) 〜(c) に基づいて、前面フェンスが無い駐車装置の操作盤40に設けられた操作禁止媒体50の例と、その操作禁止媒体50を備えた操作禁止装置75について説明する。
【0076】
図9(a) 〜(c) に示す第8実施形態の操作禁止媒体50は、前面フェンス21がない機械式駐車装置の例を示しており、この例では、単純昇降式の駐車装置で、利用者が車両を収納するパレットが地下に格納されている場合の操作を説明する。
【0077】
この実施形態の操作盤40には、電源キー41を差し込む部分と、中段パレット選択ボタン42と下段パレット選択ボタン43、上昇ボタン44と格納ボタン45とが設けられている。そして、この操作盤40に、利用者が抜き差し可能な操作禁止媒体50としての操作禁止キー59が設けられている。この操作禁止キー59は、
図9(b) に示す差し込んだ状態から、
図9(c) に示すように抜き取り可能となっている。
【0078】
このような操作禁止キー59が備えられた操作禁止装置75によれば、以下のように駐車装置の機械動作を禁止することができる。なお、以下の説明では、下段のパレットに入出庫する場合を説明する。
【0079】
まず、機械式駐車装置の待機状態で電源キー41を差して電源を入れる。この電源キー41は、利用者が携帯するものであり、駐車装置を利用するための認証手段である。その後、下段パレット選択ボタン43を押す。そして、上昇ボタン44を押す。これにより、駐車装置が動作し、入出庫のための準備をする。目的の下段パレットが入庫位置に到着すると、利用者は操作禁止キー59を抜き取り、持った状態で入出庫を行う。
【0080】
この時、操作盤40は操作禁止キー59が抜かれた状態であるため、他の利用者が来て上昇ボタン44、格納ボタン45を押したとしてもこれらのボタンは制御装置60によって無効となっており、駐車装置の機械動作は禁止されている。
【0081】
そして、先の利用者が入出庫を終了して駐車装置から出て、操作盤40に操作禁止キー59を差し戻すことで、操作盤40による上昇ボタン44、格納ボタン45の操作が有効になる。その後、先の利用者が格納ボタン45を押すことで、駐車装置が動作して、車両を下段位置に格納して待機状態に戻る。駐車装置が待機状態に戻ると、利用者は電源キー41を抜いて電源を切る。
【0082】
このように、前面フェンス21がない機械式駐車装置の場合には、操作禁止キー59を抜き取ることで、制御装置65によって、上昇ボタン44、格納ボタン45を無効にして駐車装置の機械動作を禁止し、先の利用者が駐車装置の内部にいるときに他の利用者によるこれらの操作を禁止することができる。
【0083】
なお、上記
図5、
図6、
図8で説明した操作禁止媒体50の機能の一部などを、この操作禁止キー59に備えさせてもよい。
【0084】
また、例えば、複数台の駐車装置が並設されていて操作盤30(40)が複数ある場合、それぞれの操作盤30(40)毎に異なる操作禁止媒体50とすることで、他の操作盤30(40)の操作禁止媒体50を共用することを防ぐようにしてもよい。
【0085】
以上のように、上記した操作禁止装置70,75によれば、機械式駐車装置1において、先の利用者が入出庫開始時に操作禁止媒体50を取り外し、その操作禁止媒体50を持って入出庫を行うようにすることで、先の利用者が入出庫中で装置内にいるときに、他の利用者が来て操作盤30(40)を操作したとしても、操作盤30(40)による入出庫のための機械動作の操作は不能又は無効となっている。従って、先の利用者が機械式駐車装置1の内部に閉じ込められることを防ぐことが可能となる。
【0086】
そして、先の利用者が入出庫終了時に操作禁止媒体50を戻すことで、他の利用者よる操作が可能となり、次の入出庫を行うことが可能となる。
【0087】
従って、上記操作禁止装置70,75によれば、先の利用者が利用中に他の利用者による駐車装置1の機械動作を禁止するために多くの費用を要することなく実現することができる。また、先の利用者が操作盤30,40から取り外した操作禁止媒体50(ハードウエア)を持って入出庫をするので、作業終了後に操作禁止媒体50を戻すことを忘れるのを防止することもできる。
【0088】
なお、上記した実施形態では、ピット格納式の3段3列昇降横行式の複数列多段式駐車装置1であって、高車高車HWと低車高車LWとを格納可能な例を説明したが、同一高さの車両を格納する駐車装置や、他の形式の機械式駐車装置においても適用することができ、機械式駐車装置の大きさ、形式などは限定されるものではない。しかも、既設の機械式駐車装置に操作禁止装置を付加することもできる。
【0089】
また、上記した実施形態における操作禁止媒体50は一例で他の構成であってもよく、操作禁止媒体50を設ける場所も操作盤30,40以外に操作盤30,40の周囲や、出入り口周辺であってもよく、操作禁止媒体の構成、種類、配置などは上記実施形態に限定されるものではない。
【0090】
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。