(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端部側に、燃料電池自動車のレセプタクルの差し込み口に挿入接続可能な突状のノズルと、前記ノズルの周囲を包囲しかつ前記レセプタクルの差し込み口に外嵌可能な受け口を有するソケットとからなるソケット式ノズルユニットを備え、少なくとも、前記ソケット式ノズルユニットの後方の外周面に当該外周面の外径よりも大径のフランジを有し、全体として略筒形状に形成され、燃料電池自動車に水素ガスを充填する充填カプラを、水素ガスを供給するためのディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面を含むカプラ設置面に保持するのに使用する水素ガス充填カプラ用ホルダーであって、
充填カプラの前記フランジを係止して充填カプラを支持する受け部と、
前記受け部の上方で、充填カプラの先端部側を保持固定する保持ユニットと、
を備え、
前記受け部は、
充填カプラの前記フランジを係止可能に平面視略U字形に形成され、両端部間に充填カプラの外周面の外径と略同じか少し大きい間隔を有し、
前記保持ユニットは、
下面に開口を有し、上面を閉塞された略筒状に形成され、前記下面開口と前記上面との間に、少なくとも、前記受け部に支持された充填カプラの先端部側を充填カプラの先端面から後端部方向に一定の長さまでを包囲保持可能に、かつ前記受け部に支持された充填カプラを前記受け部から上げて充填カプラの先端面から後端部方向にさらに所定の長さまで進入可能な内部空間を有するホルダーケースと、
前記ホルダーケースの前記下面開口内に前記下面開口から前記ホルダーケースの前記上面に向けて後退可能に配設される可動部材と、
前記可動部材に前記下面開口に対向して設けられ、前記下面開口と略同じ大きさを有する弾性材からなる押え部材と、
前記ホルダーケース内に設置され、常態として、前記可動部材を前記ホルダーケースの下面開口側に向けて押圧付勢し、前記押え部材を前記ホルダーケースの下面開口に位置決め保持するばね部材と、
を有し、
充填カプラを、前記フランジを介して前記受け部に支持し、前記ホルダーケースの前記下面開口内で充填カプラの先端面を前記ばね部材の付勢力により前記可動部材で前記押え部材を介して弾性的に押え保持する、
ことを特徴とする水素ガス充填カプラ用ホルダー。
ホルダーケースに、前記ホルダーケース内でばね部材の押圧により下面開口に向けて押圧付勢された可動部材を、前記可動部材の後退方向の動きを規制してロックする形式の錠ユニットを併せて備える請求項1に記載の水素ガス充填カプラ用ホルダー。
受け部に、前記受け部の外周面に前記受け部の外周面側から内周面側に向けて形成される軸挿通部と、前記軸挿通部に貫挿され、一端が前記受け部の内周面から出没可能に配置され、他端が前記受け部の外周面の外側に延びる検知棒と、前記軸挿通部内に配置され、前記検知棒の一端を常態として前記受け部の内周面から突出させるばね部材とからなり、前記受け部に充填カプラが支持されている状態と支持されていない状態とを前記検知棒の進退運動により検知、伝達する形式のカプラ検知伝達器を併せて備える請求項1又は2に記載の水素ガス充填カプラ用ホルダー。
受け部、保持ユニットは、共通の取付ベースに固定され、前記取付ベースを介して、ディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面を含むカプラ設置面に取り付けられる請求項1乃至6のいずれかに記載の水素ガス充填カプラ用ホルダー。
【背景技術】
【0002】
近年の電動機を動力源とする電動自動車に続いて、近く、水素ガスを用いた燃料電池を動力源とする自動車(FCV)の普及が開始される。そして、これに先行して水素供給インフラを整備するため、燃料電池自動車に水素ガスを供給するための水素ステーションの配備が徐々に進められている。
この種の水素ステーションでは、水素ガスを供給するためのディスペンサーが設置される。このディスペンサーは、ディスペンサー本体と、このディスペンサー本体に接続され、自動車の水素タンクへ水素ガスを送給するための水素送給ホースと、このホースの先端に装着され、自動車のレセプタクルに着脱自在に接続される水素ガス充填カプラとを備える。充填カプラは水素供給ノズルとも称せられ、全体が略円筒状に構成され、外周面にフランジ又は凹凸形状を有し、特に先端側はソケット式ノズルユニットになっていて、自動車のレセプタクルの差し込み口に挿入接続可能な突状のノズル、及びノズルの周囲を包囲しかつレセプタクルの差し込み口に外嵌可能な受け口を有するソケットとからなる。また、この充填カプラの先端部には、レセプタクル側の通信機に接続して各種情報を送受信する通信機として、赤外線通信などの無線通信を行う通信インターフェースが併せて設けられる。
ディスペンサーはかかる構造を備え、充填カプラを自動車のレセプタクルに挿入接続して、ディスペンサー本体から水素送給ホースを通じ、充填カプラ及びレセプタクルを介して、水素ガスを自動車の水素タンク内へ送り込むようになっている。
【0003】
ところで、このような水素ステーションでも、一般のガソリンスタンドと同様に、ディスペンサーを使用しない間は、充填カプラをディスペンサーの外面又はその周辺に保持する必要があり、ディスペンサーの外面や建物、塀の壁面などに充填カプラ用のホルダーが付設される。現状の一般的なホルダーとしては、充填カプラの外周面のフランジ又は凹凸形状に係合可能なフック状のものが知られている。また、この場合、充填カプラはソケットの先端面を上向きにしてホルダーに支持されるため、ホルダーの上方に庇状のカバーが設けられて、このカバーにより、ソケットの先端面が覆われて、ソケットの先端面に開口された受け口に水や不純物が入らないようにしている。
【0004】
なお、請求項に係る発明と関連性を有する技術の蓄積がなく、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の水素ガス充填カプラは、既述のとおり、ディスペンサーの外面や建物、塀の壁面などにホルダーを介して保持されることが、充填カプラの使用上必要であり、この場合、ホルダーに確実に保持できること、ホルダーへの出し入れが容易であることは勿論のこと、さらに、充填カプラのいたずらや不正な使用を防ぎ、特にソケットの損傷を防止することが求められており、このため、充填カプラがホルダー内に保持されている状態がロック(施錠)されることが望ましい。
しかしながら、現状での充填カプラ用ホルダーは、充填カプラの外周面のフランジ又は凹凸形状に係合可能なフック状のものが一般的で、このようなホルダーでは、充填カプラのフランジを引掛けるだけなので、確実な保持状態とは言い難く、また、充填カプラをロックする場合に、チェーンや南京錠を使って拘束する他に手立てがなく、これでは、取扱いが煩雑で、また、充填カプラを損傷させる恐れがある。
また、このホルダーでは、上部に庇状のカバーを付けて、充填カプラのソケットの先端面を覆うようにしているが、このようなカバーの覆いでは、ソケットの先端面の受け口が密閉されないため、この受け口から水や不純物が入りやすく、充填カプラの保護管理上好ましくない。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の充填カプラを保持するホルダーにおいて、充填カプラを確実に保持できること、この場合に、ソケットの先端面の受け口から水や不純物の浸入を防止できること、また、充填カプラの出し入れを容易に行えること、さらに、充填カプラをホルダーに保持した状態を確実かつ簡易にロック(施錠)し、また、このロック状態を確実かつ簡易に解除(解錠)できるようにして、充填カプラのいたずらや不正な使用を防ぎ、特にソケット式ノズルユニットの損傷を防止することなど、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
先端部側に、燃料電池自動車のレセプタクルの差し込み口に挿入接続可能な突状のノズルと、前記ノズルの周囲を包囲しかつ前記レセプタクルの差し込み口に外嵌可能な受け口を有するソケットとからなるソケット式ノズルユニットを備え、少なくとも、前記ソケット式ノズルユニットの後方の外周面に当該外周面の外径よりも大径のフランジを有し、全体として略筒形状に形成され、燃料電池自動車に水素ガスを充填する充填カプラを、水素ガスを供給するためのディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面を含むカプラ設置面に保持するのに使用する水素ガス充填カプラ用ホルダーであって、
充填カプラの前記フランジを係止して充填カプラを支持する受け部と、
前記受け部の上方で、充填カプラの先端部側を保持固定する保持ユニットと、
を備え、
前記受け部は、
充填カプラの前記フランジを係止可能に平面視略U字形に形成され、両端部間に充填カプラの外周面の外径と略同じか少し大きい間隔を有し、
前記保持ユニットは、
下面に開口を有し、上面を閉塞された略筒状に形成され、前記下面開口と前記上面との間に、少なくとも、前記受け部に支持された充填カプラの先端部側を充填カプラの先端面から後端部方向に一定の長さまでを包囲保持可能に、かつ前記受け部に支持された充填カプラを前記受け部から上げて充填カプラの先端面から後端部方向にさらに所定の長さまで進入可能な内部空間を有するホルダーケースと、
前記ホルダーケースの前記下面開口内に前記下面開口から前記ホルダーケースの前記上 面に向けて後退可能に配設される可動部材と、
前記可動部材に前記下面開口に対向して設けられ、前記下面開口と略同じ大きさを有する弾性材からなる押え部材と、
前記ホルダーケース内に設置され、常態として、前記可動部材を前記ホルダーケースの下面開口側に向けて押圧付勢し、前記押え部材を前記ホルダーケースの下面開口に位置決め保持するばね部材と、
を有し、
充填カプラを、前記フランジを介して前記受け部に支持し、前記ホルダーケースの前記下面開口内で充填カプラの先端面を前記ばね部材の付勢力により前記可動部材で前記押え部材を介して弾性的に押え保持する、
ことを要旨とする。
【0008】
また、このホルダーは各部に次のような構成を備えることが好ましい。
(1)ホルダーケースに、ホルダーケース内でばね部材の押圧により下面開口に向けて押圧付勢された可動部材を、前記可動部材の後退方向の動きを規制してロックする形式の錠ユニットを併せて備える。
(2)受け部に、前記受け部の外周面に前記受け部の外周面側から内周面側に向けて形成される軸挿通部と、前記軸挿通部に貫挿され、一端が前記受け部の内周面から出没可能に配置され、他端が前記受け部の外周面の外側に延びる検知棒と、前記軸挿通部内に配置され、前記検知棒の一端を常態として前記受け部の内周面から突出させるばね部材とからなり、前記受け部に充填カプラが支持されている状態と支持されていない状態とを前記検知棒の進退運動により検知、伝達する形式のカプラ検知伝達器を併せて備える。
(3)保持ユニットの押え部材に充填カプラの受け口に嵌入可能な凸状部を有する。
(4)保持ユニットの押え部材に充填カプラの受け口に対向してエアーの吹き出し孔を有する。
(5)保持ユニットのホルダーケースに内部空間を通気するための通気孔を有する。
(6)受け部、保持ユニットは、共通の取付ベースに固定され、前記取付ベースを介して、ディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面を含むカプラ設置面に取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水素ガス充填カプラ用ホルダーによれば、上記の構成により、充填カプラを、フランジを介して受け部に支持し、ホルダーケースの下面開口内で充填カプラの先端面をばね部材の付勢力により可動部材で押え部材を介して弾性的に押え保持するので、充填カプラを確実に保持することができ、しかも、充填カプラのソケットの先端面が保持ユニットのホルダーケースの下面開口内で弾性材からなる押え部材により押え固定されるので、ソケットの先端面を傷付けることなしに、先端面の受け口に水や不純物の浸入を確実に防止することができる。
また、本ホルダーでは、上記の構成により、充填カプラを本ホルダーに保持する場合、充填カプラの先端部側を保持ユニットのホルダーケースの下面開口内に挿入し、充填カプラの先端面で押え部材を介して可動部材をばね部材の付勢力に抗して押圧することにより、充填カプラの先端部側をホルダーケースの下面開口内にさらに挿入して、充填カプラのフランジよりも後方の一部を受け部内に通し、この状態から、充填カプラのホルダーケースの下面開口内への押圧を解除して、充填カプラをフランジを介して受け部に支持し、ホルダーケースの下面開口内で充填カプラの先端面をばね部材の付勢力により可動部材で押え部材を介して弾性的に押えるようにし、反対に、充填カプラを本ホルダーから取り外す場合は、まず、充填カプラの先端面で押え部材を介して可動部材をばね部材の付勢力に抗して押圧することにより、充填カプラの先端部側をホルダーケースの下面開口内にさらに挿入し、続いて、充填カプラのフランジよりも後方を受け部から離脱し、この状態から、充填カプラの先端部側をホルダーケースの下面開口内から引き抜いて、保持ユニットから離脱すればよく、充填カプラの出し入れを容易に行うことができる。
さらに、本ホルダーでは、保持ユニットの錠ユニットにより、ホルダーケース内で可動部材の後退方向の動きを規制するようにしたので、充填カプラをホルダーに保持した状態を確実かつ簡易にロック(施錠)して、充填カプラのいたずらや不正な使用を防ぎ、ソケットの損傷を防止することができ、また、このロック状態の解除(解錠)も確実かつ簡易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に充填カプラ用ホルダーの外観を示し、
図2に同ホルダーの全体構成を示し、
図3及び
図4に同ホルダーの要部の構成を示している。
なお、本ホルダーHは、燃料電池自動車に水素ガスを充填する充填カプラを、水素ガスを供給するためのディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面を含むカプラ設置面に保持するのに使用するもので、本ホルダーHの適用対象となる充填カプラCは、
図2に示すように、先端部側に、燃料電池自動車のレセプタクルの差し込み口に挿入接続可能な突状のノズル91と、このノズル91の周囲を包囲しかつレセプタクルの差し込み口に外嵌可能な受け口90を有するソケット92とからなるソケット式ノズルユニットU9を備え、少なくとも、ソケット式ノズルユニットU9の後方の外周面に当該外周面の外径よりも大径のフランジ93を有し、全体として略筒形状に形成される。この実施の形態では、特に、充填カプラCのノズルユニットU9の後方で、全体としては長さ方向略中央部に、充填カプラCの外径よりも大径のフランジ93が形成され、このフランジ93の後部に隣接してフランジ93の外径よりも小さい段部94が形成され、この段部94の後方の後端部側が段部94の外径よりも少し小さくなっている。この後端部側は充填カプラCのグリップ95となる部分で、グリップ95として握りやすくするために、外周面が凹凸状に形成される。
また、充填カプラの主要な部分が略筒形状であれば、充填カプラの一部にハンドルを付けてガンタイプにしたものでも、本ホルダーHの適用対象となる。
【0012】
図1、
図2に示すように、充填カプラ用ホルダーHは、取付ベース1と、取付ベース1の下部側に取り付け固定され、充填カプラCのフランジ93を(下から)係止して充填カプラCを支持する受け部2と、取付ベース1の上部に取り付け固定され、受け部2の上方で、充填カプラCの先端部側を保持固定する保持ユニット3と、充填カプラCを受け部2に支持し、保持ユニット3で保持固定した状態をロックする錠ユニット4とを備える。
【0013】
取付ベース1は縦に長い平板状に形成される。この場合、取付ベース1は、縦長の略長方形の平板になっていて、下部側の所定の位置、及び上部所定の位置にそれぞれ、受け部取付用の複数のねじ挿通穴11、及び保持ユニット取付用の複数のねじ挿通穴12が、取付ベース1の正面と背面との間を貫通して形成され、各ねじ挿通穴11、12の背面側の開口周囲にはねじ頭部が嵌合可能な溝110、120が併せて形成される。この取付ベース1にはまた、下部の受け部用の複数のねじ挿通穴11に近接する所定の位置に軸挿通穴13が1つ取付ベース1の正面と背面との間を貫通して形成される。さらに、この取付ベース1の四隅には、この取付ベース1自体をディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面などのホルダー設置面に取り付けるための取付穴14が1つずつ設けられる。
【0014】
受け部2は、充填カプラCのフランジ93を(下から)係止可能に平面視略U字形に形成され、正面に突出される両端部間に充填カプラCの外周面の外径と略同じか少し大きい間隔を有する開放部20が設けられる。この場合、受け部2は、受け座2Aと、受け台2Bとからなる。受け座2Aは、
図3に示すように、充填カプラCのフランジ93の下面の少なくとも半面を超える範囲を支持可能な平面視略U字形(この場合、内周縁部がU字形、外周縁部がC字形)の支持面をなすフランジ支持部211と、このフランジ支持部211の外周縁部に立ち上げられてフランジ93の周囲の少なくとも半周を超える範囲を包囲保持可能な平面視略U字形(この場合、フランジ支持部211の外周縁部と同様に平面視略C字形に近似する形状)の保持面をなすフランジ保持部212とを有する上部21と、上部21のフランジ支持部211の内周縁部から連続的に下方に延び、充填カプラCのフランジ93後部の段部94に沿って抱持可能に平面視略U字形の保持面をなす段部保持部221を有する下部22とからなり、正面に突出される両端部間、すなわち、開放部20間に充填カプラCの段部94の外径と略同じかそれよりも僅かに大きい間隔が設けられる。また、この場合、フランジ保持部212の両端部に近接する所定の範囲は両端部に向けて漸次下方傾斜され、両端部は開放部20とは反対方向に折曲される。また、この受け座2Aには、上部21の外周面底部の複数個所に楔形の突起213が下方に向けて突出される。受け台2Bは、
図4に示すように、受け部2をカプラ設置面に取り付けるための受け台取付部23と、受け座2Aを支持するための受け座支持部24とからなる。受け台取付部23は、横長の略箱形に形成され、正面は上部から下部に向けて漸次前方に突き出された所定角度の傾斜面231をなし、背面は鉛直面で受け台2Bの取付面232になっていてねじ穴233が設けられる。また、この受け台取付部23の上面中央部には、正面(受け座支持部24側)から背面(取付面232側)に向けて略五角柱の凸状部234が形成され、この凸状部234の正面(受け座支持部24側の面)と背面(取付面232側の面)との間に軸挿通部235が形成され、背面側の開口周辺にはばねを押えるための平板状の部材が嵌合可能な溝236が設けられる。受け座支持部24は、受け台取付部23の正面の傾斜面231の下部からこの傾斜面231に対して略直角に、すなわち正面側が高く受け台取付部23側の背面側が低い水平面に対して所定角度の斜め上方に向けて延び、上面が、受け座2Aの形状に対応して、正面に受け座2Aの両端部が嵌合可能な開放部20Aを有する平面視略U字形で、かつ受け座2Aの上部21を嵌合保持可能な断面略L字形(この場合、内周縁部がU字形、外周縁部がC字形)の溝240をなす上部241と、上部から連続的に下方に延び、内周面に受け座2Aの下部22の外周面に沿って保持可能な平面視略U字形の保持面243を有する下部242とからなる。この場合、受け座支持部24の両端部に近接する所定の範囲は、受け座2Aのフランジ保持部212と同様に、両端部方向に漸次下方傾斜され、両端部(の先端)には受け座2Aのフランジ保持部212の両端部が嵌合可能に溝が形成される。また、この受け台2Bには、受け座2Aの各突起213に対応して、受け座支持部24の上部241上面と下部242下面との間に各突起213が挿通係止可能な段付き形状の穴244が貫通形成される。このようにして受け座2Aが受け台2Bの受け座支持部24上に相互の形状を対応させて設置され、受け座2Aの両端部が受け座支持部24の両端部(溝)に係合され、受け座2Aの各突起213が受け座支持部24の各段付き形状の穴244に挿通係止されて固定される。
【0015】
また、この受け台2Bには、
図2に示すように、本ホルダーHに充填カプラCが収納されている状態と収納されていない状態を検知するために、カプラ検知伝達器5を併せて備える。このカプラ検知伝達器5は、受け部2の外周面に受け部2の外周面側から内周面側に向けて形成される軸挿通部235と、軸挿通部235に貫挿され、一端が受け部2の内周面から出没可能に配置され、他端が受け部2の外周面の外側に延びる検知棒51と、軸挿通部235内に配置され、検知棒51の一端を常態として受け部2の内周面から突出させるばね部材52とからなり、受け部2に充填カプラCが支持されている状態と支持されていない状態とを検知棒51の進退運動により検知、伝達する形式になっている。この場合、軸挿通部235は、既述のとおり、受け台2の上部(受け台取付部23の上面中央部)に形成される。検知棒51は、軸挿通部235よりも長い所定の長さを有し、先端部が大径に、先端部の後部から後端部までが小径に形成され、後端部にはドグ53が取り付けられる。ばね部材52にはコイルスプリングが使用される。また、このばね部材の押え54として、平板状の部材で、中心に検知棒51を挿通可能な穴を有するものが併せて使用される。このカプラ検知伝達器5は、受け部2の取付ベース1への取り付け固定とともに受け部2と取付ベース1間に装着される。
【0016】
この受け部2は、カプラ検知伝達器5とともに、取付ベース1の下部側所定の位置に取り付けられる。この場合、検知棒51が受け台2の軸挿通部235に取付面232側から受け座支持部24側に向けて挿通され、この検知棒51の先端部の後方にコイルスプリング52が巻装されるとともに、このコイルスプリング52の後方からばね部材の押え54が通されて受け部2の溝236に嵌め込まれ、この状態で、受け部2は、検知棒51が取付ベース1の軸挿通穴13に挿通され、受け台2の取付面232が取付ベース1の下部側所定の位置に向けて配置されて、取付ベース1の背面側から下部側の各ねじ挿通穴11に通された複数のねじSが受け台2の取付面232の各ねじ孔233に締結されて取り付けられる。そして、この取り付けにより、カプラ検知伝達器5は、検知棒51の先端部とばね部材の押え54との間でコイルスプリング52が圧縮されて、検知棒51の先端部が受け台2の軸挿通部235から出没可能に突出され、後端部側は取付ベース1の背面側に延ばされる。この後端部にはドグ53が取り付けられる。
【0017】
保持ユニット3は、ホルダーケース31と、可動部材32と、押え部材33と、ばね部材34とからなる。
ホルダーケース31は、下面に開口310を有し、上面を閉塞された略筒状に形成され、下面開口310と上面との間に、少なくとも、受け部2に支持された充填カプラCの先端部側を充填カプラCの先端面から後端部方向に一定の長さまでを包囲保持可能に、かつ受け部2に支持された状態の充填カプラCを受け部2から(持ち)上げて充填カプラCの先端面から後端部方向にさらに所定の長さまでが進入可能な内部空間311を有する。また、このホルダーケース31には任意の位置に内部空間311を通気するための通気孔312を併せて有する。
この場合、ホルダーケース31は、上面が平板状に形成され、外周面が鉛直面と断面略U字形の曲面との複合形状で、背面が鉛直面で取付面313になっていて、所定の位置にねじ穴314が設けられ、正面から両側面にかけては断面略U字形の曲面形状になっている。下面は受け部2の受け座2Aと同芯的に対向可能に、正面が高く背面側が低い斜めに形成されて開口される。この下面開口310から内部空間311を画成する内周面は略円筒形で、受け部2の受け座2Aの内周面と略平行の斜めに形成され、その奥行は既述の少なくとも必要な寸法よりもやや大きく取ってある。このホルダーケース31の内部空間311には奥行方向中間部に内周面から内部空間311上に突出してばねを押えるためのばね押え片315が形成される。
また、この場合、ホルダーケース31の下面開口310の内周にはホルダーケース31の一部品としてガイド部材316が取り付けられる。ガイド部材316は、ホルダーケース31の下面開口310の内周に嵌着可能に上下各面を開口された略円筒形に形成され、その内周面が可動部材32のためのガイド面316Gで、その奥側の上面開口縁部が可動部材32のためのストッパー316Sになっている。また、このガイド部材316の背面側には、通気孔312として、外周面の上部から下部にかけてガスを抜くための溝が併せて形成される。このガイド部材316はホルダーケース31の下面開口310の内周に取り付けられ、上面開口の縁部、すなわちストッパー316Sはホルダーケース31の内部空間311内のばね押え片315の下方所定の位置に配置される。
可動部材32は、ホルダーケース31の下面開口310内に下面開口310からホルダーケース31の上面に向けて後退可能に配設される。
この場合、可動部材32はガイド部材316の内周に嵌合可能に下面に開口320を有し上面を閉塞された略円筒形に形成され、外周面の上部に外周方向に突出するフランジ321、上面の中央に凹状のばね受け322、ばね受け322の底面中心に貫通穴323を有する。可動部材32は、外周面上部のフランジ321がガイド部材316のストッパー316Sに係止され、下面開口320面をホルダーケース31の下面開口310面と面一にして、ガイド部材316の内側に配置される。このようにして可動部材32は、ガイド部材316内に配置され、このガイド部材316のガイド面316Gを案内にして、またこのガイド部材316のストッパー316Sにより抜け止めされて、ホルダーケース31の下面開口310内に下面開口310からホルダーケース31の上面に向けて(斜め)上方に後退可能に配置される。
押え部材33は弾性材からなり、ホルダーケース31の下面開口310と略同じ大きさで、充填カプラCの受け口90に嵌入可能な凸状部331を有し、充填カプラCの受け口90に対向してエアーの吹き出し孔332を有し、可動部材32にホルダーケース31の下面開口310に対向して設けられる。
この場合、押え部材33はEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)からなり、ホルダーケース31の下面開口310と略同じ大きさの略円形の皿状に形成され、下面の中央に充填カプラCの受け口90に嵌入可能な略球形面の凸状部331を有し、上面の中央に可動部材32のばね受け322の底面中心の貫通穴323に挿通係止される略楔形の突起333を有し、この突起333が可動部材32の下面開口320側からばね受け322底面中心の貫通穴323に係合されて、可動部材32の下面開口320内に一体的に組み付けられる。また、この押え部材33には、突起333の先端から突起333の軸心を通り、凸状部331の中心に貫通して、突起333側からエアーを通し、凸状部331の中心開口から吹き出すためのエアーの吹き出し孔332が形成される。
ばね部材34は、ホルダーケース31内に設置され、常態として、可動部材32をホルダーケース31の下面開口310側に向けて押圧付勢し、押え部材33をホルダーケース31の下面開口310に位置決め保持する。この場合、ばね部材34は、コイルスプリングが採用され、可動部材32の上面のばね受け322内に配置され、ばね受け322の底面とホルダーケース31の内部空間311に突出されるばね押え片315との間で圧縮され、可動部材32をホルダーケース31の下面開口310側に向けて押圧付勢し、押え部材33をホルダーケース31の下面開口310に位置決め保持するようになっている。
【0018】
錠ユニット4は、ホルダーケース31に、ホルダーケース31内でばね部材34の押圧により下面開口310に向けて押圧付勢された可動部材33を、可動部材33の後退方向の動きを規制してロックする形式を取る。この場合、ホルダーケース31の正面上部に正面を開口されて錠ユニット4のための装着部が形成され、この装着部に錠ユニット4としてシリンダー錠が取り付けられる。シリンダー錠4は、一般に知られているシリンダー錠で、ローター41の正面から背面に向けて鍵孔40が形成され、このローター41の背面側の端部にロックレバー42がローター21の径方向に突出して取り付けられる。このシリンダー錠4はホルダーケース31内の装着部にばね押え片315に近接して設置され、シリンダー錠4の鍵孔40にキー(図示省略)を差し込み、キーの回転操作により、ロックレバー42が常態の可動部材32の上面に当接可能なロック位置とばね押え片315の上方で可動部材32に干渉しないアンロック位置との間で回動されるようになっている。
【0019】
この保持ユニット3は、取付ベース1の上部側所定の位置に取り付けられる。この場合、ホルダーケース31の取付面313が取付ベース31の上部側所定の位置に向けて配置されて、取付ベース1の背面側から上部側の各ねじ挿通穴12に通された複数のねじSがホルダーケース31の取付面313の各ねじ孔314に締結されて取り付けられる。
【0020】
本ホルダーHは、かかる構成を備え、受け部2、保持ユニット3がそれぞれ、既述のとおり、共通の取付ベース1に固定され、この取付ベース1を介して、ディスペンサーの外面その他建物、塀の壁面を含むカプラ設置面に取り付けられる。
そして、充填カプラCを、フランジ93を介して受け部2に支持し、ホルダーケース31の下面開口310内で充填カプラCの先端面をばね部材34の付勢力により可動部材32で押え部材33を介して弾性的に押え保持するようになっている。
【0021】
図5に本ホルダーHを水素ステーションなどに設置されるディスペンサーDに適用し、充填カプラCをディスペンサーDの外面に保持する場合を示している。
なお、このディスペンサーD内には、汎用性のリミットスイッチLS(この場合、水素ガス雰囲気での使用が可能な防爆用で、アクチュエータとしてローラレバーL1を備えた縦型のリミットスイッチLS)、制御装置(図示省略)が内設され、このリミットスイッチLSの作動(この場合、ローラレバーL1が回動方向に押されて、内蔵スイッチ(図示省略)が作動すること)により、本ホルダーHに充填カプラCが収納されている状態か収納されていない状態かを検出するようになっている。この場合、リミットスイッチLSはディスペンサーD内で本ホルダーHの取付位置、特に受け部2に近接する所定の位置に配置される。
【0022】
本ホルダーHは、既述のとおり、受け部2、保持ユニット3がそれぞれ、共通の取付ベース1に、受け部2を下部に、保持ユニット3を上部にして、受け部2の受け座2A内の開放面と保持ユニット3のホルダーケース31の下面開口310が所定の間隔で、相互に対向して取り付け固定され、この取付ベース1がディスペンサーDの外面のホルダー設置面に取り付けられて、設置固定される。この場合、取付ベース1はディスペンサーDの外面に取付ベース1の四隅の各取付穴14から通された取付ねじによりねじ締結される。また、本ホルダーHは、既述のとおり、受け部2にカプラ検知伝達器5が併せて設けられて、その検知棒51が取付ベース1の背面側に延ばされており、このホルダーHがディスペンサーDに取り付けられる際に、ディスペンサーDのホルダー設置面の所定の位置に軸挿通穴D1が形成されて、検知棒51がこの軸挿通穴D1から挿通され、その後端部にドグ53が取り付けられて、このドグ53を介してディスペンサーD内のリミットスイッチLSのローラレバーL1に当接し、ローラレバーL1を回動方向に押圧可能に作動連結される。
【0023】
このようにして本ホルダーHがディスペンサーDに取り付けられ、充填カプラCを、フランジ93を介して受け部2(受け座2A)に支持し、ホルダーケース31の下面開口310内で充填カプラCの先端面をコイルスプリング34の付勢力により可動部材32で押え部材33を介して弾性的に押え保持するようになっている。
この場合、まず、充填カプラCの先端部側を保持ユニット3のホルダーケース31の下面開口310内に挿入する。続いて、充填カプラCの先端面で押え部材33を介して可動部材32をコイルスプリング34の付勢力に抗して押圧することにより、充填カプラCの先端部側をホルダーケース31の下面開口310内にさらに挿入する。これにより、フランジ93が受け部2の受け座2Aの上方にあり、充填カプラCのフランジ93よりも後方の一部、この場合、フランジ93後部に隣接する段部94が受け部2の略U字形の受け座2Aの正面の開放部20から挿通可能となるので、充填カプラCの段部94を受け座2A内に通す。このとき、受け部2の内周部がU字形になっているので、正面の開放部20が広くなって、充填カプラCを開放部20に通しやすく、また、受け部2の正面両端部付近が前方に向けて下方傾斜しているので、充填カプラCと受け部2が干渉しにくく、充填カプラCを受け部2内に入れやすくなっている。そして、この状態から、充填カプラCのホルダーケース31の下面開口310内への押圧を解除して、充填カプラCをフランジ93を介して受け部2の受け座2Aに支持し(このとき、フランジ93は受け座2Aの上部に嵌合固定される)、ホルダーケース31の下面開口310内のコイルスプリング34の付勢力により、充填カプラCの先端面を可動部材32で押え部材33を介して弾性的に押えるとともに、充填カプラCのフランジ93を受け部2に向けて圧接する。
これにより、充填カプラCは本ホルダーHに安定的に確実に保持される。また、この場合、充填カプラCのソケット92の先端面は保持ユニット3のホルダーケース31の下面開口310内でEPDM製の押え部材33により押え固定されるので、ソケット92の先端面を傷つけることなく、受け口90への水や不純物の浸入が防止される。特に、この保持ユニット3の押え部材33の中央に充填カプラCの受け口90に嵌入可能な略球形面の凸状部331を有するので、この凸状部331で受け口90は完全に密閉されて、シール性は増大し、受け口90への水や不純物の浸入がより確実に防止される。
また、この押え部材33は凸状部331の中心にエアーの吹き出し孔332を有しているので、このエアーの吹き出し孔332にエアーの供給源から延ばされたホースを接続して、充填カプラCの受け口90へエアーを供給することにより、受け口90内の凍結が防止される。さらに、ホルダーケース31の一部、この場合、ガイド部材316の背面に通気孔312が設けられていることで、この通気孔312を通じて、ホルダーケース31内を通気することができ、ホルダーケース31内に水素が浸入し、滞留するのを防止することができる。
また、この場合、充填カプラCが受け座2A内に通されたときに、受け部2の受け台2Bに設けられたカプラ検知伝達器5の受け台2Bから突出される検知棒51の先端部が充填カプラCの外周面で押されて、検知棒51が後端部方向に変位し、検知棒51後端部のドグ53がディスペンサーD内部でリミットスイッチLSのローラレバーL1を押圧回動するので、リミットスイッチLSの内蔵スイッチが作動し、ONとなる。これにより、充填カプラCが本ホルダーHに収納された状態が検出される。
そして、この充填カプラCの保持状態は、錠ユニット4によりロックすることができる。この場合、ホルダーケース31の正面上部の装着部に錠ユニット4としてシリンダー錠が取り付けられているので、シリンダー錠4の鍵孔40にキー(図示省略)を差し込み、キーの回転操作によりロック位置に回動すれば、ホルダーケース31内でロックレバー42が可動部材32の上面に当接して、可動部材32の後退方向の動きを規制する。これにより、充填カプラCを本ホルダーHに保持した状態を確実かつ簡易にロック(施錠)して、充填カプラCのいたずらや不正な使用を防ぎ、ソケット92の損傷を防止することができる。
【0024】
そして、この状態から、(燃料電池自動車に水素ガスを供給するため、)充填カプラを使用するときは、錠ユニット4によりロックされた場合は、ロックを解除した後、充填カプラCを本ホルダーHに保持したときと概ね同じ操作で、本ホルダーHから取り外せばよい。すなわち、錠ユニット4のロックを解除する場合は、ホルダーケース31の正面上部のシリンダー錠4の鍵孔40にキー(図示省略)を差し込み、キーの回転操作によりアンロック位置に回動すれば、ホルダーケース31内で、ロックレバー42がばね押え片315の上方で可動部材32に干渉しない位置に回動され、ロック状態の解除(解錠)を確実かつ簡易に行うことができる。そして、充填カプラCは、先端面がホルダーケース31の下面開口310内でコイルスプリング34の付勢力により可動部材32で押え部材33を介して弾性的に押えられるとともに、充填カプラCのフランジ93が受け部2の受け座2Aに圧接支持されているので、まず、充填カプラCの先端面で押え部材33を介して可動部材32をコイルスプリング34の付勢力に抗して押圧することにより、充填カプラCの先端部側をホルダーケース31の下面開口310内にさらに挿入する。これにより、充填カプラCのフランジ93が受け部2の受け座2Aの上方にあり、フランジ93よりも後方の一部、この場合、フランジ93後部に隣接する段部94が受け部2の略U字形の受け座2Aの正面の開放部20から挿通可能となるので、充填カプラCの段部94を受け座2Aから離脱する。そして、この状態から、充填カプラCの先端部側をホルダーケース31の下面開口310内から引き抜いて、保持ユニット3から離脱すればよい。
また、この場合、充填カプラCが受け部2から離脱されたときに、受け部2の受け台2Bに設けられたカプラ検知伝達器5の受け台2Bから突出される検知棒51の先端部が充填カプラCの外周面による押圧が解除されて、検知棒51が先端部方向に変位し、ディスペンサーDの内部で検知棒51後端部のドグ53によるリミットスイッチLSのローラレバーL1の押圧回動が解除されて、リミットスイッチL2の内蔵スイッチが作動し、OFFとなる。これにより、充填カプラCが本ホルダーHから取り外されて本ホルダーHに収納されていない状態が検出される。
【0025】
以上説明したように、本ホルダーHは、充填カプラCのフランジ93を係止可能に平面視略U字形に形成され、正面の両端部間に充填カプラCの外周面の外径と略同じか少し大きい間隔を有し、充填カプラCのフランジ93を係止して充填カプラCを支持する受け部2と、下面に開口310を有し、上面を閉塞された略筒状に形成され、下面開口310と上面との間に、少なくとも、受け部2に支持された充填カプラCの先端部側を充填カプラCの先端面から後端部方向に一定の長さまでを包囲保持可能に、かつ受け部2に支持された充填カプラCを受け部2から持ち上げて充填カプラCの先端面から後端部方向にさらに所定の長さまでが進入可能な内部空間311を有するホルダーケース31、ホルダーケース31の下面開口310内に下面開口310からホルダーケース31の上面に向けて後退可能に配設される可動部材32、可動部材32に下面開口310に対向して設けられ、下面開口310と略同じ大きさを有する弾性材からなる押え部材33、及びホルダーケース31内に設置され、常態として、可動部材32をホルダーケース31の下面開口310側に向けて押圧付勢し、押え部材33をホルダーケース31の下面開口310に位置決め保持するばね部材34を有し、受け部2の上方で、充填カプラCの先端部側を保持固定する保持ユニット3とからなり、充填カプラCを、フランジ93を介して受け部2に支持し、ホルダーケース31の下面開口310内で充填カプラCの先端面をばね部材34の付勢力により可動部材32で押え部材33を介して弾性的に押え保持するようにしたので、充填カプラCを確実に保持することができ、しかも、充填カプラCのソケットの先端面が保持ユニット3のホルダーケース31の下面開口310内で弾性材からなる押え部材33により押え固定されるので、ソケットの先端面を傷付けることなく、受け口90に水や不純物の浸入を確実に防止することができる。
また、本ホルダーHでは、上記の構成により、充填カプラCを本ホルダーHに保持する場合、充填カプラCの先端部側を保持ユニット3のホルダーケース31の下面開口310内に挿入し、充填カプラCの先端面で押え部材33を介して可動部材32をばね部材34の付勢力に抗して押圧することにより、充填カプラCの先端部側をホルダーケース31の下面開口310内にさらに挿入して、充填カプラCのフランジ93よりも後方の一部を受け部2内に通し、この状態から、充填カプラCのホルダーケース31の下面開口310内への押圧を解除して、充填カプラCをフランジ93を介して受け部2に支持し、ホルダーケース31の下面開口310内で充填カプラCの先端面をばね部材34の付勢力により可動部材32で押え部材33を介して弾性的に押えるようにし、反対に、充填カプラCを本ホルダーHから取り外す場合は、まず、充填カプラCの先端面で押え部材33を介して可動部材32をばね部材34の付勢力に抗して押圧することにより、充填カプラCの先端部側をホルダーケース31の下面開口310内にさらに挿入し、充填カプラCのフランジ93よりも後方を受け部2から離脱し、この状態から、充填カプラCの先端部側をホルダーケース31の下面開口310内から引き抜き、保持ユニット3から離脱すればよく、充填カプラCの出し入れを容易に行うことができる。
さらに、本ホルダーHでは、錠ユニット4として、ホルダーケース31の正面上部に正面を開口されて形成された装着部にシリンダー錠が取り付けられ、シリンダー錠4の鍵孔40にキー(図示省略)を差し込み、キーの回転操作によりロック位置に回動すれば、ホルダーケース31内でロックレバー42が可動部材32の上面に当接して、可動部材32の後退方向の動きを規制し、反対に、このシリンダー錠4の鍵孔40にキー(図示省略)を差し込み、キーの回転操作によりアンロック位置に回動すれば、ホルダーケース31内で、ロックレバー42がばね押え片315の上方で可動部材32に干渉しない位置に回動されるようにしたので、充填カプラCを本ホルダーHに保持した状態を確実かつ簡易にロック(施錠)して、充填カプラCのいたずらや不正な使用を防ぎ、ソケットの損傷を防止することができ、また、このロック状態の解除(解錠)も確実かつ簡易に行うことができる。
【0026】
また、本ホルダーHにあっては、受け部2、保持ユニット3は、共通の取付ベース1に固定され、取付ベース1を介して、ディスペンサーDの外面などのカプラ設置面に取り付けられるので、ディスペンサーDの外面などに簡易に取り付けることができる。
また、本ホルダーHの場合、受け部2に、受け部2の外周面に受け部2の外周面側から内周面側に向けて形成される軸挿通部235と、軸挿通部235に貫挿され、一端が受け部2の内周面から出没可能に配置され、他端が受け部2の外周面の外側に延びる検知棒51と、軸挿通部235内に配置され、検知棒51の一端を常態として受け部2の内周面から突出させるばね部材52とからなり、受け部2に充填カプラCが支持されている状態と支持されていない状態とを検知棒51の進退運動により検知、伝達する形式の検知伝達器5を併せて備え、この検知伝達器5をディスペンサーD内に配設されたリミットスイッチLSに作動連結することにより、本ホルダーHに充填カプラCが収納されている状態と収納されていない状態とを検知して伝達することができる。
さらに、本ホルダーHの場合、保持ユニット3の押え部材33の中央に充填カプラCの受け口90に嵌入可能な略球形面の凸状部331を有するので、この凸状部331で受け口90を完全に密閉して、シール性を増大し、受け口90への水や不純物の浸入をより確実に防止することができる。
またさらに、この押え部材33の中心に充填カプラCの受け口90に対向してエアーの吹き出し孔332を有するので、このエアーの吹き出し孔332にエアーの供給源から延ばされたホースを接続して、受け口90へエアーを供給することにより、受け口90の凍結を防止することができる。さらに、ホルダーケース31に、この場合、ガイド部材316の背面に内部空間311を通気するための通気孔312を設けたので、この通気溝312を通じて、ホルダーケース31内を通気することができ、ホルダーケース31内に水素が浸入し、滞留するのを防止することができる。
【0027】
なお、この実施の形態では、本ホルダーHをディスペンサーDに適用した場合を例示したが、本ホルダーDを建物、塀の壁面などにも同様に適用し、同様の作用効果を得ることができることは言うまでもない。