(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
荷受台を有する車両に設けられるクロスメンバの長手方向における一端部から出し入れ可能に収納され、前記荷受台を作動させるための油圧駆動源であるパワーユニットと、前記出し入れの際に、前記パワーユニットと一体的に移動するように前記クロスメンバに収納され、前記パワーユニットを制御する制御部と、該制御部に接続され前記パワーユニットを作動させるための信号を該制御部に出力する操作部とを備えたパワーユニット装置であって、
前記収納状態のパワーユニットの、前記クロスメンバの長手方向一端部に対応する側の端部に前記操作部を設けたことを特徴とするパワーユニット装置。
前記パワーユニットの、前記クロスメンバの長手方向一端部に対応する側の端部には、該パワーユニットの収納状態で該クロスメンバの一端部の開口部を閉じる蓋体を備え、該蓋体に前記操作部が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のパワーユニット装置。
前記蓋体は、前記クロスメンバの内部側を向く内面と外部側を向く外面とを備え、該外面には、前記操作部と前記取っ手とが取り付けられ、前記取っ手は、前記操作部よりも外方側まで突出していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のパワーユニット装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、クロスメンバ内に収納されているパワーユニットとクロスメンバの外部に位置しているコントロールスイッチとを電線で接続するためには、クロスメンバに収納されているパワーユニットから、クロスメンバから離れた位置に取り付けられているコントロールスイッチまでの距離の長い配線を必要とする。このため、配線が複雑になるという不都合がある。
【0006】
また、パワーユニットをクロスメンバに対して出し入れする場合には、パワーユニットの制御部とコントロールスイッチとを接続する電線の長さを余裕分を考慮して長めに設定することになる。そのため、更に配線が複雑になるだけでなく、パワーユニットをクロスメンバから出し入れする時に、電線に引っ張り力が不測に加わってしまい、断線が発生することもある。
【0007】
そこで本発明は、操作性を保ちつつ、配線を簡単にできながらも、断線の発生を抑制することができるパワーユニット装置及びパワーユニット装置を備えた荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパワーユニット装置は、荷受台を有する車両に設けられるクロスメンバの長手方向における一端部から出し入れ可能に収納され、前記荷受台を作動させるための油圧駆動源であるパワーユニットと、前記出し入れの際に、前記パワーユニットと一体的に移動するように前記クロスメンバに収納され、前記パワーユニットを制御する制御部と、該制御部に接続され前記パワーユニットを作動させるための信号を該制御部に出力する操作部とを備えたパワーユニット装置であって、前記収納状態のパワーユニットの、前記クロスメンバの長手方向一端部に対応する側の端部に前記操作部を設けたことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、収納状態のパワーユニットの、クロスメンバの長手方向一端部に対応する側の端部に操作部を設けることによって、操作性を保ちつつ、パワーユニットの出し入れ時に、パワーユニットと制御部と操作部とが一体的に移動するため、制御部と操作部とを接続する電線に不測に引っ張り力が作用することがなく、断線を抑制できる。しかも、前記電線をクロスメンバの外の離れた位置まで配置する必要がないだけでなく、電線の長さが操作部から制御部までを結ぶだけの所定の距離で済むから、配線を簡単に行うことができる。
【0010】
本発明のパワーユニット装置は、前記パワーユニットの、前記クロスメンバの長手方向一端部に対応する側の端部に、該パワーユニットの収納状態で該クロスメンバの一端部の開口部を閉じる蓋体を備え、該蓋体に前記操作部が取り付けられている構成であってもよい。
【0011】
上記構成において、操作部を取り付ける部材を、クロスメンバの一端部の開口部を閉じる蓋体で兼用することができるので、部材点数を削減できる。
【0012】
本発明のパワーユニット装置は、前記蓋体に、一対の取っ手が設けられ、該一対の取っ手の間に前記操作部が配置されている構成であってもよい。
【0013】
上記構成のように、一対の取っ手の間に操作部を配置しておけば、一対の取っ手で操作部に他物が当接することを回避し易い。
【0014】
本発明のパワーユニット装置は、前記一対の取っ手が、走行方向前後端に配置されている構成であってもよい。
【0015】
上記構成のように、一対の取っ手を、走行方向前後端に配置しておけば、特に走行時(前進時又はバック時)において、他物が操作部に前後方向から当接することを一対の取っ手で回避し易い。
【0016】
本発明のパワーユニット装置は、前記蓋体が、前記クロスメンバの内部側を向く内面と外部側を向く外面とを備え、該外面には、前記操作部と前記取っ手とが取り付けられ、前記取っ手は、前記操作部よりも外方側まで突出している構成であってもよい。
【0017】
上記構成のように、取っ手が、操作部よりも外方側まで突出していることによって、操作部を取っ手で有効に保護することができる。
【0018】
本発明のパワーユニット装置を備えた荷受台昇降装置であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、パワーユニットの出し入れ側の端部に操作部を設けることによって、操作性を保ちつつ、配線を簡単にできながらも、断線の発生を抑制することができるパワーユニット装置及びパワーユニット装置を備えた荷受台昇降装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るパワーユニット装置について説明する。このパワーユニット装置は、例えば貨物自動車に搭載される荷受台昇降装置のアクチュエータを駆動させるために用いられるものである。このパワーユニット装置の説明の前に、貨物自動車及び荷受台昇降装置の概略構成を説明する。尚、
図1〜
図3、
図5〜
図8、
図11において、「○」の中に「×」が記載されているものは、紙面の手前から奥へ向く方向を示し、「○」の中に「・」が記載されているものは、紙面の奥から手前へ向く方向を示している。
【0022】
図1を参照して、貨物自動車1には、車体2上に荷台3を有する荷箱4が搭載されている。車体2の後部には、荷台3に荷物を積み降ろしするための荷受台昇降装置5が、車体2の後部に取付けられた取付フレーム6を介して配設されている。荷受台昇降装置5は、左右一対の昇降枠7及び方形板状の荷受台8を備えている。また、荷受台昇降装置5は、左右一対の平行リンク9をさらに備えている。平行リンク9は、左右一対の昇降枠7を一定の姿勢としたまま、荷受台8を、荷台3の上面と略同一高さとする最上昇位置(
図1に一点鎖線で示す)と、荷受台8を地面に接地させた最下降位置(
図1に二点鎖線で示す)との間で昇降させ得るようになっている。なお、荷受台8の裏面には、荷受台8を補強するための中空の補強支持部材10が、左右一対で固着されている。
【0023】
さらに、荷受台昇降装置5は、昇降用シリンダ(リフトシリンダ)11を備えている。昇降用シリンダ11は、昇降枠7を昇降駆動させるための油圧式のアクチュエータである。昇降用シリンダ11は、各平行リンク9と取付フレーム6との間に配置されている。左右の各昇降枠7には、荷受台8の基部枠12が軸支されており、荷受台8を、起立格納位置(
図1に実線で示す)と、荷台3の上面と略同一高さとする水平張出位置(
図1に一点鎖線で示す)との間で回動させ得るようになっている。
【0024】
また、荷受台昇降装置5は、起伏用シリンダ(チルトシリンダ)13を備えている。起伏用シリンダ13は、荷受台8を起伏させるための油圧式のアクチュエータである。起伏用シリンダ13は、荷受台8の裏面に固定された支持ブラケット(図示せず)と昇降枠7との間に配置されている。起伏用シリンダ13の伸長により、荷受台8を起立させ得るようになっている。
【0025】
さらに、荷受台昇降装置5は、クロスメンバ14を備える。クロスメンバ14は、車両前後方向に直交する方向である車幅方向を長手方向として延び、車体2の後部下面に配置されている。クロスメンバ14は、底壁14A、天壁14B、前後の側壁14C,14Dを備え、長手方向一方の端が閉じられた中空の断面矩形状(図では正方形状であるが、長方形状であってもよい)に形成されている。クロスメンバ14の天壁14Bの長手方向途中部分が、車体2の後部下面に固定(例えば溶接)されている。各取付フレーム6には挿通開口6aが形成され、クロスメンバ14の長手方向の各端部寄り部分が挿通開口6aに挿通され、その挿通された状態で、クロスメンバ14及び各取付フレーム6が固定(例えば溶接)されている。
【0026】
本発明のパワーユニット装置は、貨物自動車が備えた荷受台8を作動させるために用いられる油圧駆動源であるパワーユニット15と、パワーユニット15を制御する制御部としてのコントローラ16と、コントローラ16に接続される操作部17とを備えている。
【0027】
図2〜
図5に示すように、パワーユニット15は、クロスメンバ14内に収納され、クロスメンバ14の長手方向である車幅方向における一端の開口部14K(
図3参照)から出し入れ可能に構成されている。パワーユニット15を出し入れする際には、ベース部材(後述する)18の長手方向一端に固定された蓋体19の一対の取っ手31,31(後述する)を掴んで引っ張る又は押し込むことによって、パワーユニット15をクロスメンバ14から出し入れする。この蓋体19は、パワーユニット15をクロスメンバ14に収納した収納状態では、クロスメンバ14の長手方向一端(開口部14K)を閉じ(
図2参照)、パワーユニット15をクロスメンバ14から引き出した状態では、クロスメンバ14の車幅方向一端の開口部14Kから離間する(
図3参照)。
【0028】
パワーユニット15は、複数の構成要素であるバルブブロック20、タンク(オイルタンク)21、及びポンプ22を有し、荷受台8の作動を油圧制御するパワーユニット本体23と、パワーユニット本体23の各構成要素20,21,22をクロスメンバ14の車幅方向所定位置に位置決めする位置決め部材18と、パワーユニット本体23を保護する保護部材24とを備えている。保護部材24は、パワーユニット15がクロスメンバ14に収納された収納状態において、パワーユニット本体23とクロスメンバ14との間に配置されている。
【0029】
さらに、パワーユニット15は、パワーユニット本体23の構成要素であるバルブブロック20、タンク21、及びポンプ22を一体的に保持する前後一対の保持部材25,25と、クロスメンバ14の天壁14Bにパワーユニット本体23が接触することを防止する門型カバー26と、パワーユニット本体23を振動から保護する防振ゴム(図示せず)と、電気配線27(
図5参照)及び油圧配管28(
図5参照)とを備えている。
【0030】
位置決め部材18は、
図3及び
図5に示すように、クロスメンバ14の長手方向に延びる部材であり、バルブブロック20、タンク21、及びポンプ22をクロスメンバ14の長手方向に並べて載置するベース部材である。このベース部材18は、長方形で平板状のベース本体部18Aと、ベース本体部18Aの前後端から上方に向かう程外広がりとなるよう斜めに傾斜する前後の傾斜板部18B,18B(図では、一方のみ図示している)と、傾斜板部18B,18Bの上端から上方へ起立する前後の板状のカバー部18C,18C(図では、一方のみ図示している)とを備えている。ベース本体部18Aが、クロスメンバ14の底壁14Aの壁面に倣う平板に形成され、パワーユニット本体23を載置するのに充分な長さに設定されている。カバー部18C,18Cは、パワーユニット本体23の車両前後方向の寸法よりも幅広に形成されている。ベース部材18のベース本体部18Aには、複数のネジ孔が形成され、これらネジ孔に一致するネジ挿通孔がクロスメンバ14の底壁14Aに形成されている。従って、パワーユニット15をクロスメンバ14に収納した収納状態で、ネジ挿通孔を通して挿入されたネジをネジ孔にねじ込むことによってパワーユニット15がクロスメンバ14に固定される。パワーユニット15と蓋体19とは、
図8に示すように、蓋体19の四隅に設けた蓋孔19cと、クロスメンバ14に固定したブラケットの孔(図示せず)とにボルト19Nを通し、ボルト19Nの先端にナット(図示せず)をねじ込むことで固定される。また、ネジを緩めることによって、前記固定を解除してパワーユニット15をクロスメンバ14から引き出すことができる。
【0031】
図5に示すように、ポンプ22の上面には、板状の樹脂パッドPが取り付けられている。この樹脂パッドPにより、クロスメンバ14の天壁14Bの内面とパワーユニット15のポンプ22の上端との間隔を小さくできる。このため、貨物自動車1の走行中の振動により、クロスメンバ14内でパワーユニット15が上下動することによって、パワーユニット15が損傷したり、クロスメンバ14に異音が生じたりすることを樹脂パッドPで抑制できる。パワーユニット15の上下動を抑制するために、例えば、ベース部材18をクロスメンバ14内に設けられた金具で挟み込むことができる。このベース部材18をクロスメンバ14内に設けられた金具で挟み込むことによって、ベース部材18をクロスメンバ14に固定する構成を備える場合には、パワーユニット15をクロスメンバ14にネジで固定する構成を省略してもよい。また、その他種々の手段を採用できる。
【0032】
バルブブロック20は、タンク21とアクチュエータである昇降用シリンダ11及び起伏用シリンダ13(
図1参照)との間で作動油の流れを中継する部分である。バルブブロック20には、図示していないプラットホーム開閉用のニードルバルブ、荷受台8の下降速度を調整するためのフロコンバルブ、作動油の吐出圧を調整するためのリリーフバルブの他に、調整部であるニードルバルブ調整部、フロコンバルブ調整部、およびリリーフバルブ調整部を備え、さらに圧力センサを備えている。
【0033】
コントローラ16は、ベース部材18におけるクロスメンバ14の長手方向他端部(クロスメンバ14の開口部14Kから離間する側となる端部)に固定され、出し入れするパワーユニット15と一体的に移動するようにクロスメンバ14に収納されている。このコントローラ16は、操作部17から出力される信号を受けて前記昇降用シリンダ11、起伏用シリンダ13を伸縮動作させるようにパワーユニット15のバルブブロック20に備えている前記した各種のバルブの開閉を制御する制御部である。
【0034】
操作部17は、クロスメンバ14の一端部の開口部14Kを閉じる前述した蓋体19に備えられ、コントローラ16にパワーユニット15を作動させるための信号を出力する。具体的には、操作部17は、2つのスイッチ17A,17Bを備え、
図6〜
図9に示すように、正面(車体の左側)から見た蓋体19の右側上部に、荷受台の格納張出用スイッチ17Aを備え、正面(車体の左側)から見た蓋体19の右側中央部に、荷受台の昇降用スイッチ17Bを備えている。蓋体19は、クロスメンバ14の内部側を向く内面19aと、クロスメンバ14の外部側を向く外面19bとを備えている。蓋体19の外面19bに、スイッチ17A,17B、後述する緊急スイッチ17C及びコントローラ16内に記憶されているデータを吸い上げるためのコネクタ17Dを取り付けている。また、蓋体19の外面19bには、スイッチ17A,17B、緊急スイッチ17C、コネクタ17Dを囲うためのケース19Zが取り付けられている。また、緊急スイッチ17C及びコネクタ17Dの下部には、エラーメッセージ等を文字表示するための表示部(モニター)Eを備えている。操作部17は、蓋体19に備えられており、蓋体19は、パワーユニット15をクロスメンバ14に収納した状態でクロスメンバ14の長手方向一端(開口部14K)を閉じる位置にある。そのため、パワーユニット15の収納状態においてクロスメンバ14長手方向の一端部に対応する側の端部に操作部17が位置している。
【0035】
図8において一方のスイッチである荷受台の格納張出用スイッチ17Aを左側に傾倒操作することによって、荷受台8を起立させて起立格納位置(
図1に実線で示す)に位置させることができ、また、
図8において荷受台の格納張出用スイッチ17Aを右側に傾倒操作することによって、荷受台8を荷台3の上面と略同一高さとする水平張出位置(
図1に一点鎖線で示す)に位置させることができる。また、
図8において他方のスイッチである荷受台の昇降用スイッチ17Bを上側に傾倒操作することによって、荷受台8を上昇させることができ、また、
図8において荷受台の昇降用スイッチ17Bを下側に傾倒操作することによって、荷受台8を下降させて
図1の2点鎖線で示す最下降位置に位置させることができる。
【0036】
2つのスイッチ17A,17Bは、蓋体19の背面(クロスメンバ14の内側部を向く内面)からコントローラ16までの長さのある2本の電線(図示せず)によりコントローラ16に接続されている。これら2つのスイッチ17A,17Bの他に、後述する緊急スイッチ17C及びコネクタ17Dも同様に、蓋体19の背面からコントローラ16までの長さのある2本の電線(図示せず)によりコントローラ16に接続されている。それら4本の電線(図示せず)は、
図5に示すように、可撓性を有する合成樹脂製の電線管D1に収納され、この電線管D1をバルブブロック20とポンプ22とを繋ぐ保護部材24の下部に備えられたステーS内を通してから上方へ立ち上げた後、コントローラ16の真上まで移動させる。そして、電線管D1内の4本の電線のそれぞれを対応するコントローラ16の端子に接続する。
【0037】
また、
図8に示すように、蓋体19の左側の上部には、トグルスイッチからなる緊急スイッチ17Cと差込み口を有するコネクタ17Dとを左右方向に並んだ状態で備えている。緊急スイッチ17Cは、コントローラ16が故障して、格納張出用スイッチ17A、昇降用スイッチ17Bを操作しても荷受台8が動作しない場合、つまり、荷台3の荷物を降ろせなくなるという事態を回避するために、強制的に荷受台8を動作させるスイッチである。具体的には、緊急スイッチ17Cを操作すると、コントローラ16を介さずに前記バルブに電気を流して、荷受台8を水平張出位置(
図1の一点鎖線参照)に位置させてから最下降位置(
図1の2点鎖線参照)まで下げるように動作させる。これにより、荷台3の荷物を降ろすことができるようにしている。これら緊急スイッチ17C及びコネクタ17Dは通常時には、使用しないため、誤って操作しないように、
図6で示す開放可能な開閉板K1をビスB1により固定して、緊急スイッチ17Cとコネクタ17Dを覆い隠している。
図8では、開閉板K1を取り外した状態を示し、ビスB1は取り付けたままにしている。
【0038】
また、蓋体19の幅方向両端(車体2から見ると前後端)のそれぞれには、取っ手31,31を備えており、その取っ手先端である把持部31a,31aは、
図7紙面上(車両前方)から見て、取っ手31,31以外の蓋体19から最も車幅方向外側に飛び出しているスイッチ17A,17Bの先端(車幅方向外側の先端)よりも外方側に突出する。また、取っ手31,31は、側面視においてコの字状で金属製(ほぼ同等の強度を有する硬質樹脂でもよい)である。このように、蓋体19の幅方向両端のそれぞれに取っ手31を備えることによって、一対の取っ手31,31の間に、格納張出用スイッチ17A及び昇降用スイッチ17Bを配置することによって、それらスイッチ17A,17Bを取っ手31,31で保護することができる。また、これら一対の取っ手31,31を掴んで引っ張る又は押し込むことによって、パワーユニット15をクロスメンバ14から出し入れすることができる。ここでは、取っ手31,31の車両上下方向における上端が、上側のスイッチ17Aよりも下方に位置しているが、同一高さ又は取っ手31,31の上端が、上側のスイッチ17Aと同じ高さ位置又は上側のスイッチ17Aよりも上方に位置するように、取っ手31,31を構成して実施してもよい。
【0039】
前述のように、一対の取っ手31,31が、蓋体19の走行方向前後端にそれぞれ位置しているので、スイッチ17A,17Bの走行方向前側及び後側に取っ手31,31がある。特に走行時(前進時又はバック時)において、他物が2つのスイッチ17A,17Bに前後方向から当接することを一対の取っ手31,31で回避し易い。
【0040】
また、2つのスイッチ17A,17Bを取り付ける部材を、クロスメンバ14の一端部の開口部14Kを閉じる蓋体19で兼用することができるので、部材点数を削減できる。
【0041】
2つのスイッチ17A,17Bをパワーユニット15の出し入れ側の端部に設けることによって、操作性を保ちつつ、パワーユニット15の出し入れ時に、パワーユニット15とコントローラ16とスイッチ17A,17Bとが一体的に移動するため、コントローラ16とスイッチ17A,17Bとの距離が常に同一であることから、パワーユニットの出し入れ時に、コントローラ16とスイッチ17A,17Bとを接続する電線に不測に引っ張り力が作用することがなく、断線を抑制できる。しかも、電線をクロスメンバ14の外で他の機器を迂回させる必要がないだけでなく、電線の長さがパワーユニット15の出し入れ側の端部のスイッチ17A,17Bからクロスメンバ14内に収納されたコントローラ16までを結ぶだけの所定の距離で済むから、配線を簡単に行うことができる。
【0042】
パワーユニット15の収納状態とは、パワーユニット15がクロスメンバ14内に少なくとも一部が収納されている状態であり、パワーユニット15の一部がクロスメンバ14の一端から飛び出ていたり、パワーユニット15の一端部がクロスメンバ14の一端から奥側(他端側)に位置してもよい。この場合であっても、パワーユニット15にスイッチ17A,17Bを設けていることから、パワーユニット15の出し入れ時にパワーユニット15とスイッチ17A,17Bとを一体的に動かすことができるため、パワーユニット15とスイッチ17A,17Bとの間の電線を一定の長さとして簡略化でき、パワーユニット15の出し入れ時に当該電線の断線の発生を抑制することができる。
【0043】
また、蓋体19は、ベース部材18のクロスメンバ長手方向一端側の端に設けられ、当該蓋体19にスイッチ17A,17Bが設けられているので、スイッチ17A,17Bはパワーユニット15の端部に設けられている。そして、パワーユニット15がクロスメンバ長手方向一端に収納される際に、蓋体19がクロスメンバ14の一端に配置されるので、スイッチ17A,17Bを車両の外側に位置させることができる。これにより、作業者が操作し易い車両の外側にスイッチ17A,17Bを配置することができる。なお、スイッチ17A,17Bは、上記位置に限らず、他の位置でもよい。具体的には、スイッチ17A,17Bは、作業者が荷箱4の側壁から車両の内側に手を伸ばした距離以内のパワーユニット15の端部にあればよく、これにより、作業者は荷箱4に潜り込むことなくスイッチ17A,17Bを操作することができる。パワーユニット15における、クロスメンバ14の底壁14A、天壁14B、前後の側壁14C,14Dに相対する位置にスイッチ17A,17Bを設ける場合には、クロスメンバ14の、パワーユニット15の収納状態においてスイッチ17A,17Bが位置する箇所に切欠や孔を形成し、スイッチ17A,17Bを操作できるように取り付ければよい。
【0044】
また、蓋体19は、クロスメンバ14と蓋体19とによりパワーユニット15を覆う形状であればよく、パワーユニット15の一部がクロスメンバ14の一端から飛び出した位置をパワーユニット15の収納状態としたときは、蓋体19を断面C字状とし、パワーユニット15の飛び出した部分を覆い被せるように設けたものとすればよい。
【0045】
上記実施例では、パワーユニット15の収納状態を、パワーユニット15の一端がクロスメンバ14の一端に略一致する位置となった状態に設定しているため、蓋体19を略一枚板の形状とすることができ、安価に製造できる。また、パワーユニット15とスイッチ17A,17Bとの距離が接近しているため、配線を短くできる利点もある。
【0046】
パワーユニット15は、前記したバルブブロック20、タンク21、及びポンプ22を備えるパワーユニット本体23の他に、
図5示す電動モータ32と、前述したコントローラ16とをベース部材18に取り付けて一体化して構成されている。電動モータ32は、ポンプ22を駆動させるためのものであり、ポンプ22に隣接して配置されている。
【0047】
コントローラ16への電源供給について説明すれば、
図4に示すように、コントローラ16に一端が接続されている電線33の他端がクロスメンバ14の蓋体19から離間する端部側に延びてから蓋体19側に向って延びることでU字状に折り返される。折り返された電線33の他端をクロスメンバ14の長手方向略中央部に形成の開口部(図示せず)を通してクロスメンバ14の外部に位置させる。開口部には、開口部を覆うボックス部34を備えており、このボックス部34の空間に通された電線33の他端を通す。電線33の他端は、クロスメンバ14における蓋体19の近傍箇所の前側壁14Cに取り付けられた外端子箱36に接続されている。
【0048】
外端子箱36は、
図10及び
図11に示すように、端子台37を収納するための箱型の端子箱本体36Aと、端子箱本体36Aの開口部36Kを閉じる端子箱蓋36Bとを備える。端子台37は、電線を挿入することによって接続状態となる挿入型に構成され、一次側の多数の電線挿入孔37Aと、パワーユニット15のコントローラ16に接続された一方の電線33を接続する二次側の多数の電線挿入孔37Bとを備える。尚、もう一方(他方)の電線33(バッテリB)は、後記する二次側の導電プレート40にボルト41とナット42で接続される。一次側の多数(図では10個)の電線挿入孔37Aは、蓋体19側(
図11では右側)に上下方向に沿って併設して形成され、二次側の多数(図では10個)の電線挿入孔37Bは、蓋体19から離れる側(
図11では左側)に上下方向に沿って併設して形成されている。そして、パワーユニット15のコントローラ16に一端が接続された電線33の他端が差し込まれた後の二次側の電線挿入孔37Bは着脱自在な覆い板38によって覆われている。このようにコントローラ16からの電線の接続部分となる二次側の電線挿入孔37Bが覆い板38によって覆われることにより、覆い板38を取り外さなければ二次側に挿入された電線を抜くことができない。このため、外端子箱36の蓋36Bを外して一次側の電線挿入孔37Aに、運転席スイッチT(例えばパワーユニット15に電源を供給するスイッチ)からの電線を挿入する際、作業者が誤って二次側の電線挿入孔37Bに挿入されている電線を抜いてしまうことを抑制でき、効率的な配線作業が可能となる。尚、バッテリBの端子からの2本の電線は、他の電線に比べて太いため、
図11に示すように、端子台37に接続されている一次側及び二次側の導電プレート39,40にボルト41とナット42で接続される。
【0049】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、蓋体19に取り付けたケース19Zを省略して実施することもできる。
【0050】
上記実施形態では、コの字状の取っ手31,31を用いたが、Cの字状又はUの字状など、どのような形状であってもよい。また、板状に構成された取っ手であってもよい。車体の前後に取っ手31,31を設けたが、前後の一方側のみ設けてもよい。また、同一形状で同一の大きさの取っ手31,31に構成する他、異なる形状で異なる大きさの一対の取っ手に構成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、クロスメンバ14の長手方向を車幅方向としたが、車幅方向と交差する方向であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、操作部17がスイッチ17A,17Bから構成したが、ダイヤル式や押圧式のものであってもよい。また、操作部17の数を2個としたが、操作部の数は自由に変更できる。また、荷受台の格納張出スイッチ17Aを設けなくて実施することもできる。この場合、手動で荷受台8を格納張出させる。
【0053】
また、上記実施形態では、蓋体19に操作部17を設けたが、蓋体19以外のパワーユニットの出し入れ方向一端部に取付部材を設けて、その取付部材に操作部17を設けてもよい。