特許第6378644号(P6378644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6378644
(24)【登録日】2018年8月3日
(45)【発行日】2018年8月22日
(54)【発明の名称】乾燥海苔製造装置における海苔成型装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20180813BHJP
【FI】
   A23L17/60 103B
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-95404(P2015-95404)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-208908(P2016-208908A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149457
【氏名又は名称】株式会社大坪鉄工
(73)【特許権者】
【識別番号】512146432
【氏名又は名称】株式会社西日本エネルギー管理総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 洋記
(72)【発明者】
【氏名】徳永 恵典
【審査官】 川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−072392(JP,U)
【文献】 特開昭56−092769(JP,A)
【文献】 特開2008−301741(JP,A)
【文献】 特開昭59−220173(JP,A)
【文献】 実開昭58−073495(JP,U)
【文献】 特開昭57−074070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後2つの第1及び第2のローラに張設された連続移動可能な搬送用ベルトを備え、
前記第2のローラは、中央部分が小径のアレイ状に形成され、
前記搬送用ベルトが透水性の抄き箱の機能を付加し、かつ、前記搬送用ベルトの搬出側に設けられた第2のローラが前記アレイ状の凹部で海苔原料の幅調整を行う成型機能を付加したことを特徴とする海苔成型装置。
【請求項2】
前記第2のローラの凹部に入れ込まれて配置された第3のローラをさらに備え、
前記第2及び第3のローラの隙間により、海苔原料の厚みを成型する、厚み成型機能を有する、請求項1に記載の海苔成型装置。
【請求項3】
前記第3のローラは、前記第2のローラとの間の隙間を調整できるように、その配置位置が移動可能である、請求項に記載の海苔成型装置。
【請求項4】
前記第2及び第3のローラは、海苔原料を一時的に滞留させる、原料一時滞留機能を有する、請求項又はに記載の海苔成型装置。
【請求項5】
前記搬送用ベルトの裏面に設置され、高周波振動を発生させる振動板をさらに備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の海苔成型装置。
【請求項6】
海苔原料が前記搬送用ベルトから分離する位置の近傍に設置された単数又は複数の成型カッタをさらに備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の海苔成型装置。
【請求項7】
前記成型カッタは、海苔原料を任意の位置で急速に切断する、急速切断機能を有する、請求項に記載の海苔成型装置。
【請求項8】
前記成型カッタは、超音波カッタである、請求項に記載の海苔成型装置。
【請求項9】
前記搬送用ベルト及び次工程のベルトの一方のベルトの移動速度を、前記搬送用ベルト及び前記次工程のベルトの他方のベルトの移動速度、切断された海苔原料の前記次工程のベルト上での間隔、1枚の海苔の移動方向の長さによって決定する速度決定機能をさらに備え、
決定した速度によって前記搬送用ベルト及び前記次工程のベルトを移動させながら海苔原料を切断する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の海苔成型装置。
【請求項10】
前記第2のローラの下方に設置され、高周波振動を発生させる搬送シュータをさらに備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の海苔成型装置。
【請求項11】
前記搬送シュータは、その傾きの方向を任意に変えることが可能である、請求項10に記載の海苔成型装置。
【請求項12】
成型された海苔原料を長さ方向に切断する、単数又は複数の第1の成型カッタと、成型された海苔原料を幅方向に切断する、単数又は複数の第2の成型カッタと、をさらに備えた、請求項1〜のいずれか1項に記載の海苔成型装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の成型カッタは、海苔原料を任意の位置で急速に切断する、急速切断機能を有する、請求項12に記載の海苔成型装置。
【請求項14】
前記第1及び第2の成型カッタは、超音波カッタである、請求項13に記載の海苔成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥海苔製造装置における海苔成型装置に関する。さらに詳細には、本発明は、停止時間が発生しない効率的な海苔の成型作業を行うことを可能にした海苔成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の海苔成型装置としては、古来より用いられてきた伝統的な手抄きの手法を機械化したものが知られている。これは、乾燥海苔の大きさに規定された抄き箱に海苔原料を供給し、当該海苔原料を「ゆらし」、「静止」させ、スノコから「落水」させる、という一連の工程を機械化し、海苔抄き及び海苔の成型作業の効率化を図ろうとするものである(例えば、特許文献1の段落[0013]、図2図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−052053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の海苔成型装置では、海苔1枚ごとに「抄き箱」を使用して海苔抄き及び海苔の成型作業が行われるため、抄き工程において一時的な停止を行う「静止」が必要となり(停止時間が発生し)、抄き箱の成型機能も停止してしまう。すなわち、上記従来の海苔成型装置は、完全な連続作業を実現するものではなく、抄き箱の成型機能の停止時間が発生し、海苔の成型作業の効率化を達成するには至っていない。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、停止時間が発生しない効率的な海苔の成型作業を行うことが可能な海苔成型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る海苔成型装置の構成は、
(1)少なくとも前後2つの第1及び第2のローラに張設された連続移動可能な搬送用ベルトを備え、前記第2のローラは、中央部分が小径のアレイ状に形成され、前記搬送用ベルトが透水性の抄き箱の機能を付加し、かつ、前記搬送用ベルトの搬出側に設けられた第2のローラが前記アレイ状の凹部で海苔原料の幅調整を行う成型機能を付加したことを特徴とする。
すなわち、本発明の海苔成型装置は、抄き箱の成型機能が停止することなく連続動作する、連続成型機能を有している。
また、前記第2のローラは、海苔原料の幅を成形する、幅成形機能を有する。
【0007】
本発明の海苔成型装置の上記(1)の構成によれば、抄き工程における一時的な停止を行う「静止」の必要が無くなり(停止時間が発生せず)、従って、成型作業時にも一時的な停止を行う「静止」の必要が無くなる(停止時間が発生しない)。既存の海苔成型装置における停止時間(既存の海苔抄き装置における停止時間)は、海苔1枚当たりの生産稼動時間の約50%であり、従って、本発明の海苔成型装置の上記(1)の構成によれば、停止時間が発生しない効率的な海苔の成型作業を行うことが可能となる。その結果、製造時間の短縮が図れることで効果的な乾燥海苔の製造が可能となり、生産効率の向上を図ることができると共に、エネルギー消費量を大幅に削減して炭酸ガスの排出を抑制することができる。
また、上記(1)の構成によれば、連続移動可能な搬送用ベルトによって搬送されてきた海苔原料を、第2のローラを通過させるだけで、当該海苔原料を、海苔の品質規格値に適合する幅に成型することができる。すなわち、海苔の品質規格値に適合する海苔の幅を生成し、連続成型時に成型品質を保ったまま移動する「成型」を機械的に提供することが可能となる。
【0008】
本発明の海苔成型装置の上記(1)の構成においては、以下の(2)〜(14)のような構成にすることが好ましい。
【0011】
(2)前記海苔成型装置は、前記第2のローラの凹部に入れ込まれて配置された第3のローラをさらに備え、前記第2及び第3のローラの隙間により、海苔原料の厚みを成型する、厚み成型機能を有する。
【0012】
上記(2)の好ましい構成によれば、連続移動可能な搬送用ベルトによって搬送されてきた海苔原料を、第2のローラと第3のローラの間の隙間を通過させるだけで、海苔の品質規格値に適合する厚みに成型することができる。すなわち、上記(2)の好ましい構成によれば、海苔の品質規格値に適合する海苔の厚みを生成し、連続成型時に成型品質を保ったまま移動する「成型」を機械的に提供することが可能となる。
【0013】
(3)上記(2)の構成において、前記第3のローラは、前記第2のローラとの間の隙間を調整できるように、その配置位置が移動可能である。
【0014】
上記(3)の好ましい構成によれば、第2のローラと第3のローラの間の隙間を、任意の厚みの海苔を得ることが可能な隙間に設定することができる。この場合、第2のローラと第3のローラの間の隙間を通過した海苔原料の厚みは、設定された間隙に等しくなるため、海苔1枚当たりの全体の厚みが一定となる。そして、このように海苔原料の全体が均一化されるので、原料量が一定の連続した海苔に制御することが可能となる。
【0015】
(4)上記(2)の構成において、前記第2及び第3のローラは、海苔原料を一時的に滞留させる、原料一時滞留機能を有する。
【0016】
上記(4)の好ましい構成によれば、過大な海苔原料を自動的に滞留させ、第2のローラと第3のローラの間の隙間に対応した量の海苔原料を、当該隙間に流入させることができる。その結果、常に一定の品質が維持された乾燥海苔を得ることが可能となる。すなわち、上記(4)の好ましい構成によれば、連続成型時に海苔の厚み等の成型品質を保ったまま移動する「成型」を機械的に提供することが可能となる。
【0017】
(5)前記海苔成型装置は、前記搬送用ベルトの裏面に設置され、高周波振動を発生させる振動板をさらに備えている。
【0018】
上記(5)の好ましい構成によれば、振動板の微細な高周波振動によって、第2のローラを通過した海苔原料を搬送用ベルトから剥離し分離することが可能となる。
【0019】
(6)前記海苔成型装置は、海苔原料が前記搬送用ベルトから分離する位置の近傍に設置された単数又は複数の成型カッタをさらに備えている。
【0020】
(7)上記(6)の構成において、前記成型カッタは、海苔原料を任意の位置で急速に切断する、急速切断機能を有する。
【0021】
上記(7)の好ましい構成によれば、海苔原料の成型長さを任意に設定し、長さ方向の成型品質を保つことが可能となる。また、海苔原料を、加熱、変形させることなく迅速に切断することができるので、海苔の品質を維持することが可能となる。
【0022】
(8)上記(7)の構成において、前記成型カッタは、超音波カッタである。
【0023】
上記(8)の好ましい構成によれば、超音波振動によって、海苔原料を、加熱、変形させることなく迅速に切断することが可能となる。
【0024】
(9)上記(6)の構成において、前記搬送用ベルト及び次工程のベルトの一方のベルトの移動速度を、前記搬送用ベルト及び前記次工程のベルトの他方のベルトの移動速度、切断された海苔原料の前記次工程のベルト上での間隔、1枚の海苔の移動方向の長さによって決定する速度決定機能をさらに備え、決定した速度によって前記搬送用ベルト及び前記次工程のベルトを移動させながら海苔原料を切断する。
1枚の海苔の移動方向の長さは、業界で定められた規格値で一定であるため、例えば、搬送用ベルトの移動速度の設定値は、切断された海苔原料の次工程のベルト上での間隔によって決定される。
【0025】
上記(9)の好ましい構成によれば、切断された海苔原料を、次工程のベルト上に所定の間隔でセットすることが可能となる。
【0026】
(10)前記海苔成型装置は、前記第2のローラの下方に設置され、高周波振動を発生させる搬送シュータをさらに備えている。
【0027】
上記(10)の好ましい構成によれば、搬送シュータの微細な高周波振動によって、第2のローラを通過した海苔原料を、品質を維持しながら次工程のベルト上に容易に搬送することが可能となる。微細な高周波振動により、搬送シュータの摩擦係数が低減されると共に、海苔原料の移動する方向に振動力が加えられるからである。
【0028】
(11)上記(10)の構成において、前記搬送シュータは、その傾きの方向を任意に変えることが可能である。
【0029】
上記(11)の好ましい構成によれば、搬送シュータを、次工程のベルト側から搬送用ベルト側に向かって下り傾斜となるように配置することにより、設備の起動時及び設備調整時に不要となった海苔原料を廃棄することなく循環させることが可能となる。
【0030】
(12)前記海苔成型装置は、成型された海苔原料を長さ方向に切断する、単数又は複数の第1の成型カッタと、成型された海苔原料を幅方向に切断する、単数又は複数の第2の成型カッタと、をさらに備えている。
【0031】
上記(12)の好ましい構成によれば、搬送用ベルトの幅が複数枚の規格値の海苔の幅を合算したものとなるような第2のローラを用い、第2のローラによって幅が整えられた海苔原料を、第1の成型カッタによって1枚ごとの幅に成型カットし、第2の成型カッタによって1枚ごとの長さに成型カットして、複数枚の規格値の海苔の形状にすることができる。その結果、多数の海苔を同時に連続して成型することが可能となる。
【0032】
(13)上記(12)の構成において、前記第1及び第2の成型カッタは、海苔原料を任意の位置で急速に切断する、急速切断機能を有する。
【0033】
(14)上記(13)の構成において、前記第1及び第2の成型カッタは、超音波カッタである。
【0034】
以上の発明によれば、海苔成型装置の動作が「成型形状が移動する箱」に変化していながら、伝統的な成型の特徴を提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、停止時間が発生しない効率的な海苔の成型作業を行うことが可能な海苔成型装置を提供することができる。その結果、製造時間の短縮が図れることで効果的な乾燥海苔の製造が可能となり、生産効率の向上を図ることができると共に、エネルギー消費量を大幅に削減して炭酸ガスの排出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の一部を含んだ海苔抄き装置の構成を概略的に示す側面図である。
図2図2は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の一部を含んだ海苔抄き装置の構成部材である抄きローラ及び原料戻しローラの形状及び配置関係を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の構成部材である抄き・成型駆動ローラ及び成型ローラの形状及び配置関係を示す斜視図である(抄き・成型駆動ローラは、海苔抄き装置の構成部材でもある)。
図4図4は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の構成を概略的に示す側面図である。
図5図5は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置による海苔の成型作業を示すフロー図である。
図6図6は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の他の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
本発明の海苔成型装置は、伝統的な抄き箱を機械工学による形状としたものである。より具体的には、本発明の海苔成型装置は、少なくとも前後2つの第1及び第2のローラに張設された連続移動可能な搬送用ベルトを備え、前記搬送用ベルトに伝統的な抄き箱の機能を付加し、かつ、前記搬送用ベルトの搬出側に成型機能を付加したものである。すなわち、本発明の海苔成型装置は、抄き箱の成型機能が停止することなく連続動作する、連続成型機能を有している。
これにより、抄き工程における一時的な停止を行う「静止」の必要が無くなり(停止時間が発生せず)、従って、成型作業時にも一時的な停止を行う「静止」の必要が無くなる(停止時間が発生しない)。既存の海苔成型装置における停止時間(既存の海苔抄き装置における停止時間)は、海苔1枚当たりの生産稼動時間の約50%であり、従って、本発明の海苔成型装置によれば、停止時間が発生しない効率的な海苔の成型作業を行うことが可能となる。その結果、製造時間の短縮が図れることで効果的な乾燥海苔の製造が可能となり、生産効率の向上を図ることができると共に、エネルギー消費量を大幅に削減して炭酸ガスの排出を抑制することができる。
【0039】
[海苔抄き装置の構成]
まず、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の一部を含んだ海苔抄き装置の構成について、図1図3を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の一部を含んだ海苔抄き装置の構成を概略的に示す側面図、図2は、当該海苔抄き装置の構成部材である抄きローラ及び原料戻しローラの形状及び配置関係を示す斜視図、図3は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の構成部材である抄き・成型駆動ローラ及び成型ローラの形状及び配置関係を示す斜視図である(抄き・成型駆動ローラは、海苔抄き装置の構成部材でもある)。
【0041】
図1に示すように、本実施の形態の海苔成型装置17(図4参照)の一部を含んだ海苔抄き装置1は、4つのローラ2〜5と、当該4つのローラ2〜5に張設された搬送用ベルト6と、を備えている。搬送用ベルト6は、透水性を有するワイヤーフェルトからなっている(搬送用ワイヤーフェルトベルト)。すなわち、搬送用ベルト6は、海苔原料9に含まれる水のみを透過し、海苔を透過させることなく落水させる、落水機能を有している。かかる構成によれば、搬送用ベルト6の網目の大きさを、海苔原料9に含まれる海苔の大きさや形状によって選定することにより、落水速度を変化させることができるので、伝統的な抄き手法における「抄き」を機械的に提供することが可能となる。
4つのローラ2〜5のうち、図1の左上のローラ2は抄きローラ(第1のローラ)である。図1の右上のローラ3は抄き・成型駆動ローラ(第2のローラ)であり、当該抄き・成型駆動ローラ3を回転駆動させることにより、搬送用ベルト6を図1の時計回りに連続移動させることができるようにされている(図1の白矢印⇒参照)。搬送用ベルト6は、抄きローラ2と抄き・成型駆動ローラ3との間でほぼ水平な状態に保たれており、この水平な状態に保たれた部分において抄き工程が行われる。
【0042】
抄きローラ2の前方斜め上方には、海苔原料9を均一化する原料均一化槽7が配置されており、当該原料均一化槽7の底部には、後方斜め下方を向けた状態で原料供給ノズル8が接続されている。そして、海苔原料9は、原料均一化槽7から原料供給ノズル8を介して搬送用ベルト6上へ連続供給され(図1の黒矢印→参照)、搬送用ベルト6上へ供給された海苔原料9は、当該搬送用ベルト6によって連続して搬送される。
【0043】
搬送用ベルト6は、フェルト構造であるため、スノコと同じように水を自然落下(自然落水)させることができる。
この場合、フェルトの網目構造の粗密度の選定によって水の自然落下時間を任意に設定することができる。すなわち、ワイヤーフェルトからなる搬送用ベルト6は、「移動する抄き箱」の一部となっている。海苔原料9からフェルトを通して落水する自然落下速度を適切に設定すれば、搬送用ベルト6は、原料水を保持し、当該原料水を穏やかに自然落下させながら移動することができる。海苔原料9の供給の流れの方向(図1の黒矢印→参照)と搬送用ベルト6の移動の方向(図1の白矢印⇒参照)が同一であり、かつ、落水時間が制御されているため、海苔原料9の供給の流れの強さも減衰され、「移動する抄き箱」は、「静止している抄き箱」の状態となり、「手抄き」のような状態を実現することができる。
【0044】
搬送用ベルト6の左右両側には、海苔抄き装置1の前部(抄きローラ2と後述する抄き脱水ローラ13a,13bとの間)に位置して横長矩形状の抄きガイド板10がそれぞれ設置されている。このように左右一対の抄きガイド板10を設置すれば、搬送用ベルト6による「抄き」に必要な水の高さ(保水高さ)を維持することができ、かつ、海苔の幅を規格値に成型することができる。
【0045】
図1図2(a),図3(a)に示すように、抄きローラ2及び抄き・成型駆動ローラ3は、それぞれ、中央部分が小径のアレイ状に形成されている。そして、図1図2(b),図3(b)に示すように、搬送用ベルト6は、抄きローラ2及び抄き・成型駆動ローラ3の小径部分に張設されている。ここで、抄きローラ2及び抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の長さ、並びに、搬送用ベルト6の幅は、1枚の海苔の幅の規格値に合致したものとなっている。
【0046】
上記のように、抄きローラ2及び抄き・成型駆動ローラ3は、中央部分が小径のアレイ状に形成されており(中央部分が凹状に形成されており)、海苔規格に合わせた海苔原料9の幅の成型ができ(海苔原料9の幅を成型する、幅成型機能を有し)、かつ、抄き箱としての保水量を維持するための深さを保つこともできる。
保水高さは、抄きローラ2の中央部分(凹部)の深さとほぼ同じ高さである。従って、海苔原料9を投入した後の当該海苔原料9を静止状態で浮遊させることができ、落水終了まで海苔原料9の密度の分散状況を均一にする効果が得られる。その結果、製品である乾燥海苔の品質を評価する「海苔の密度の偏在状況」の状態が均一化され、製品の高品質化を図ることが可能となる。
乾燥海苔の生産量を高める場合には、搬送用ベルト6の移動速度を上昇させることによって容易に対応することができるが、上記のように搬送用ベルト6を、抄きローラ2及び抄き・成型駆動ローラ3の小径部分に張設することにより、このような場合に物理的に生じる搬送用ベルト6の蛇行を防止することが可能となる。
また、上記のように搬送用ベルト6の左右両側に左右一対の抄きガイド板10を設置すれば、搬送用ベルト6の移動の安定を補完することができる。
【0047】
図1図2(b)に示すように、抄きローラ2の小径部分の前方斜め上方には、原料戻しローラ11が抄きローラ2の中央部分(凹部)に入れ込まれた状態で設置されており、原料戻しローラ11は、抄きローラ2の回転方向とは逆方向に回転可能となっている。かかる構成によれば、搬送用ベルト6上に投入された海苔原料9を、搬送用ベルト6の供給側に設置された原料戻しローラ11によって外部に落下させることなく抄き部へ戻し入れることができるので、原料損失の少ない「抄き」を機械的に提供することが可能となる。その結果、海苔原料を効率的に使用して、乾燥海苔の生産効率を高めることができる。
【0048】
図1に示すように、海苔抄き装置1の後部(海苔原料9の自然落水が完了する位置の近傍)には、搬送用ベルト6の上面に当接した状態で2つの抄き脱水ローラ13a,13bが設置されている。ここで、抄き脱水ローラ13a,13bは、その外周部がスポンジで形成されており(スポンジローラ)、これにより、海苔原料9の表面に加わる圧縮力を均一化して、表面の仕上げをムラなくすることが可能となる。そして、このように抄き脱水ローラ13a,13bはスポンジローラであるため、海苔原料9に軽度の圧力を加える、脱水機能を有している。かかる構成によれば、成型品質を安定させ、長さ方向の成型を容易にするための予備的成型を行うことが可能となる。
また、上記のように複数段の抄き脱水ローラ13a,13bを設置して、脱水圧力を順次高めるような丁寧な脱水を行うことにより、乾燥海苔の品質向上を図ることが可能となる。
【0049】
抄き脱水ローラ13a,13bの下方には、搬送用ベルト6の裏面に位置して抄き脱水ローラ13a,13bの圧力を受ける滑り板14a,14bがそれぞれ設置されている。さらに、抄き脱水ローラ13a,13bの下方には、搬送用ベルト6の裏面の滑り板14a,14bの後方に位置して脱水用真空チャンバ15a,15bがそれぞれ設置されており、これにより、海苔原料9の脱水を効率良く行うことができるようにされている。
【0050】
搬送用ベルト6の左右両側には、海苔抄き装置1の後部(抄き脱水ローラ13a,13bと抄き・成型駆動ローラ3との間)に位置して横長矩形状の成型補助ガイド板16がそれぞれ設置されている。このように左右一対の成型補助ガイド板16を設置すれば、抄き脱水ローラ13a,13bの圧縮による海苔の形状変化を規格値に抑えることができる。
また、搬送用ベルト6の左右両側に左右一対の成型補助ガイド板16を設置すれば、搬送用ベルト6の移動の安定を補完することもできる。
【0051】
以上のように、搬送用ベルト6には、伝統的な抄き箱の機能が付加されている。
【0052】
[海苔成型装置の構成]
次に、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の構成について、図4図5をも参照しながら説明する。
【0053】
図4は、本発明の一実態の形態における海苔成型装置の構成を概略的に示す側面図、図5は、当該海苔成型装置による海苔の成型作業を示すフロー図である。
【0054】
海苔の成型作業は、海苔の形を規格値にする工程のことである。ここでは、図5に示すように、抄き・成型工程のうちの、海苔の幅を規格値にして送り出す成型(海苔の幅)工程、及び、海苔の長さを規格値にする成型(海苔の長さ)工程のことであり、図5の破線で囲まれた部分が成型部である。
以下、成型部(海苔成型装置)の具体的構成について説明する。
【0055】
図1図4に示すように、本実施の形態の海苔成型装置17は、搬送用ベルト6の搬出側に設置された抄き・成型駆動ローラ3(第2のローラ)を構成部材として備えている。
上記のように、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の長さは、1枚の海苔の幅の規格値に合致したものとなっている。すなわち、抄き・成型駆動ローラ3は、小径部分を通過させることによって海苔原料9の幅を成型する、幅成型機能を有している。これにより、海苔の品質規格値に適合する海苔の幅を生成し、連続成型時に成型品質を保ったまま移動する「成型」を機械的に提供することが可能となる。
【0056】
図1図3(b),図4に示すように、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の後方斜め上方には、成型ローラ12(第3のローラ)が抄き・成型駆動ローラ3の中央部分(凹部)に入れ込まれた状態で抄き・成型駆動ローラ3に近接して配置されており、当該成型ローラ12は、抄き・成型駆動ローラ3の回転方向とは逆方向に回転可能となっている。
このように、成型ローラ12は、抄き・成型駆動ローラ3の中央部分(凹部)に入れ込まれた状態で当該抄き・成型駆動ローラ3に近接して配置されている。すなわち、抄き・成型駆動ローラ3及び成型ローラ12は、両者の間の隙間を通過させることによって海苔原料9の厚みを成型する、厚み成型機能を有している。そして、これにより、海苔の品質規格値に適合する海苔の厚みを生成し、連続成型時に成型品質を保ったまま移動する「成型」を機械的に提供することが可能となる。
ここで、成型ローラ12は、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分との間の隙間を調整できるように、その配置位置が移動可能となっている。そして、かかる構成によれば、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間を、任意の厚みの海苔を得ることが可能な隙間に設定することができる。この場合、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間を通過した海苔原料9の厚みは、設定された間隙に等しくなるため、海苔1枚当たりの全体の厚みが一定となる。そして、このように海苔原料9の全体が均一化されるので、原料量が一定の連続した海苔に制御することが可能となる。
【0057】
上記のように、成型ローラ12は、抄き・成型駆動ローラ3の中央部分(凹部)に入れ込まれた状態で抄き・成型駆動ローラ3に近接して配置されており、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12との間には、供給された海苔原料9を一時的に滞留させることが可能な空間(滞留空間)18が形成されている(図3(b)参照)。すなわち、抄き・成型駆動ローラ3及び成型ローラ12は、海苔原料9を一時的に滞留させる、原料一時滞留機能を有している。かかる構成によれば、過大な海苔原料9を自動的に滞留空間18に滞留させ、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間に対応した量の海苔原料9を、当該隙間に流入させることができる。その結果、常に一定の品質が維持された乾燥海苔を得ることが可能となる。すなわち、かかる構成によれば、連続成型時に海苔の厚み等の成型品質を保ったまま移動する「成型」を機械的に提供することが可能となる。
尚、供給される海苔原料9の品質が一定である場合には、成型ローラ12の配置位置を移動させて、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間が大きくなるように調整することにより、供給された海苔原料9をそのまま円滑に通過させることができる。
【0058】
図1図4に示すように、搬送用ベルト6の裏面には、抄き・成型駆動ローラ3とローラ4の間の抄き・成型駆動ローラ3寄りに位置して、高周波振動を発生させる原料分離振動板19が設置されている。かかる構成によれば、原料分離振動板19の微細な高周波振動によって、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間を通過した海苔原料9を搬送用ベルト6から剥離し分離することが可能となる。すなわち、原料分離振動板19は、成型された海苔原料9を搬送用ベルト6から分離する、原料分離機能を有している。そして、搬送用ベルト6から分離された海苔原料9は、自重によって後述する振動搬送シュータ20上に連続供給される。
【0059】
図4に示すように、抄き・成型駆動ローラ3の下方には、高周波振動を発生させる振動搬送シュータ20が設置されている。かかる構成によれば、当該振動搬送シュータ20の微細な高周波振動によって、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間を通過した海苔原料9を、品質を維持しながら次工程のスノコベルト21上に容易に搬送することが可能となる。微細な高周波振動により、振動搬送シュータ20の摩擦係数が低減されると共に、海苔原料9の移動する方向に振動力が加えられるからである。
このように、振動搬送シュータ20は、成型された海苔原料9を次工程のスノコベルト21上に搬送する、搬送機能を有している。ここで、スノコベルト21は、搬送用ベルト6よりも下方でかつ後方に設置されており、このため、振動搬送シュータ20は、後方に向かって下り傾斜となるように配置されている。そして、振動搬送シュータ20の傾きにより、海苔原料9の移動速度を、自由落下速度以下の速度にすることができる。
振動搬送シュータ20は、支軸20aを中心としてその傾きの方向を任意に変えることが可能となっている(図4の矢印A,B参照)。かかる構成によれば、振動搬送シュータ20を、前方に向かって(スノコベルト21側から搬送用ベルト6側に向かって)下り傾斜となるように配置することにより、設備の起動時及び設備調整時に不要となった海苔原料9を廃棄することなく循環させることが可能となる。
【0060】
図1図4に示すように、搬送用ベルト6の裏面には、抄き・成型駆動ローラ3とローラ4の間のローラ4寄りに位置して、清掃スプレー22が設置されている。これにより、海苔原料9が分離された搬送用ベルト6は、清掃スプレー22によって清掃されて抄き工程に戻るようにされている。
【0061】
図4に示すように、振動搬送シュータ20の表面の対向位置には、1つの成型カッタ23が設置されており、当該成型カッタ23は、振動搬送シュータ20と平行な方向に移動可能に構成されている(図4の両矢印C参照)。そして、当該成型カッタ23により、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間を通過し搬送用ベルト6から分離した海苔原料9を、振動搬送シュータ20の上部に移動する直前、振動搬送シュータ20上、又は振動搬送シュータ20の下部の直後等の任意の位置で切断することができるようにされている。すなわち、成型カッタ23は、設置位置を自由に変更できるように構成されており、成型された海苔原料9を所定の長さに切断する、長さ成型機能を有している。
成型カッタ23は、海苔原料9を任意の位置で急速に切断する、急速切断機能を有していることが好ましい。かかる好ましい構成によれば、海苔原料9の成型長さを任意に設定し、長さ方向の成型品質を保つことが可能となる。また、海苔原料9を、加熱、変形させることなく迅速に切断することができるので、海苔の品質を維持することが可能となる。ここでは、成型カッタ23として、超音波カッタが用いられている。超音波カッタを用いれば、超音波振動によって、海苔原料9を、加熱、変形させることなく迅速に切断することができる。
【0062】
以上のように、搬送用ベルト6の搬出側には、成型機能が付加されている。
【0063】
尚、図1図4中、参照符号24は振動防止ローラを、参照符号25,26はスノコベルトローラを、それぞれ示している。
【0064】
[海苔原料の切断位置]
次に、本実施の形態の海苔成型装置における海苔原料の切断位置について説明する。
【0065】
図5に示すように、海苔原料9を切断する位置(切断位置)は、1枚の海苔の長さ方向の規格値(ベルトの移動方向の長さ)Lを満たすタイミングの場所であり、この1枚の海苔の長さ方向の規格値Lは、業界で定められた190mmである。
また、図5に示すように、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の周面速度(搬送用ベルト6の移動速度)をV、次工程のスノコベルト21の移動速度をVs、切断された海苔原料9のスノコベルト21上での間隔をLgとする。
【0066】

任意の切断時点から次の切断時点までの経過時間をtとすると、経過時間tにおけるスノコベルト21の移動距離Vs×tは、L+Lgであるから、
L+Lg=Vs×t ・・・(式a)
が成り立つ。
同様に、経過時間tにおける抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の周面の回転距離(搬送用ベルト6の移動距離)V×tは、Lであるから、
L=V×t ・・・(式b)
が成り立つ。
上記(式a)から、
t=(L+Lg)/Vs ・・・(式c)
上記(式b)から、
t=L/V ・・・(式d)
ここで、Vsを基準速度として速度比SをS=V/Vsと定義すると、上記(式c),(式d)から、
S=L/(L+Lg) ・・・(式e)
が導かれる。
上記(式e)を変形すると、
V=L/(L+Lg)×Vs ・・・(式f)
【0067】
Lは海苔の長さ方向の規格値(190mm)で一定であるため、上記(式f)は、搬送用ベルト6の移動速度Vの設定値が切断された海苔原料9のスノコベルト21上での間隔Lgによって決定されること示している。
従って、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の周面速度(搬送用ベルト6の移動速度)がVとなるように当該抄き・成型駆動ローラ3を回転させ(速度決定機能)、海苔原料9の位置をセンサで検出して切断すれば、切断された海苔原料9を、スノコベルト21上に所定の間隔Lgでセットすることが可能となる。
切断された海苔原料9のスノコベルト21上での間隔Lgは、速度比S=V/Vsを変えることによって変更することができる。
尚、海苔長さの成型速度は、後段の生産工程である脱水部と乾燥部の生産速度の変化に影響されるが、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の周面速度(搬送用ベルト6の移動速度)Vと次工程のスノコベルト21の移動速度Vsを適宜変化させることによってこれに対応することができる。
【0068】
海苔抄き装置1及び海苔成型装置17において、抄き・成型駆動ローラ3、原料戻しローラ11及び成型ローラ12は、操作パネル(図示せず)をタッチ操作することにより、同期して回転駆動するようにされている。また、原料均一化槽7は、同じく操作パネルをタッチ操作することにより、搬送用ベルト6上への海苔原料9の供給を開始するようにされている。さらに、原料分離振動板19、振動搬送シュータ20、スノコベルト21、清掃スプレー22、成型カッタ23は、同じく操作パネルをタッチ操作することにより、それぞれの動作を開始するようにされている。
【0069】
[海苔成型装置の動作]
次に、本実施の形態の海苔成型装置17の動作について説明する。
【0070】
海苔成型装置17の操作パネルをタッチ操作すると、抄き・成型駆動ローラ3が回転駆動して、搬送用ベルト6が図1図4の白矢印⇒の方向に移動し始める。このとき、抄きローラ2も抄き・成型駆動ローラ3と同じ方向に回転する。また、抄き・成型駆動ローラ3の回転と同期して、原料戻しローラ11及び成型ローラ12が、それぞれ、抄きローラ2及び抄き・成型駆動ローラ3の回転方向とは逆方向に回転し始める。また、海苔成型装置17の操作パネルをタッチ操作すると、原料分離振動板19、振動搬送シュータ20、スノコベルト21、清掃スプレー22、成型カッタ23がそれぞれの動作を開始する。
【0071】
さらに海苔抄き装置1の操作パネルをタッチ操作すると、原料均一化槽7が、搬送用ベルト6上への海苔原料9の供給を開始する。これにより、海苔原料9が、原料供給ノズル8を介して搬送用ベルト6上へ連続供給される。そして、搬送用ベルト6上へ供給された海苔原料9は、当該搬送用ベルト6によって連続して搬送される。
【0072】
搬送用ベルト6上へ供給された海苔原料9は、2つの抄き脱水ローラ13a,13bに至るまでの間に抄き工程が行われ、当該2つの抄き脱水ローラ13a,13bとそれらに付随する滑り板14a,14b及び脱水用真空チャンバ15a,15bとによって脱水工程が行われる。
【0073】
脱水工程を終えた海苔原料9は、抄き・成型駆動ローラ3と成型ローラ12の間を通過する。この場合、海苔原料9は、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分を通過することによって1枚の海苔の幅の規格値に成型される。また、この場合、海苔原料9は、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分と成型ローラ12の間の隙間を通過することによって所定の厚みに成型される。
【0074】
抄き・成型駆動ローラ3と成型ローラ12の間を通過した海苔原料9は、原料分離振動板19の微細な高周波振動によって搬送用ベルト6から分離される。搬送用ベルト6から分離された海苔原料9は、振動搬送シュータ20の上部に移動する直前の位置で成型カッタ(超音波カッタ)23によって切断される。切断され規格値に成型された後の海苔原料9は、振動搬送シュータ20を経由して次工程のスノコベルト21上に搬送される。海苔原料9が分離された搬送用ベルト6は、清掃スプレー22によって清掃されて抄き工程に戻る。
【0075】
スノコベルト21上に搬送された海苔原料9は、乾燥前の「脱水工程」へ搬送される。
以上により、停止時間が発生しない効率的な海苔の成型作業が行われる。
【0076】
尚、上記実施の形態においては、搬送用ベルト6が4つのローラ2〜5に張設されている場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。搬送用ベルトは、少なくとも前後2つのローラに張設されていればよい。
【0077】
また、上記実施の形態においては、搬送用ベルト6がワイヤーフェルトからなる場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。搬送用ベルトは、海苔原料に含まれる水のみを透過し、海苔を透過させることなく落水させる、落水機能を有していればよい。
【0078】
また、上記実施の形態においては、1つの成型カッタ23を設置する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。成型カッタの数は2つ以上の複数であってもよい。
また、上記実施の形態においては、成型カッタ23が超音波カッタからなる場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。成型カッタとしては、通常の切断刃を使用することもできる。
【0079】
また、上記実施の形態においては、抄き・成型駆動ローラ3の小径部分の長さ(搬送用ベルト6の幅)が、1枚の海苔の幅の規格値に合致したものとなっている場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。図6に示すように、小径部分の長さ(搬送用ベルトの幅)が複数枚の規格値の海苔の幅を合算したものとなるような抄き・成型駆動ローラ27を用いることもできる。
この場合、成型カッタとしては、図6に示すように、成型された海苔原料29を長さ方向に切断する(幅成型カット機能を有する)、単数又は複数の第1の成型カッタ30と、成型された海苔原料29を幅方向に切断する(長さ成型カット機能を有する)、単数又は複数の第2の成型カッタ31と、が用いられる。
そして、かかる構成によれば、抄き・成型駆動ローラ27と成型ローラ28とによって幅及び厚みの全体が整えられた海苔原料29を、第1の成型カッタ30によって1枚ごとの幅に成型カットし、第2の成型カッタ31によって1枚ごとの長さに成型カットして、複数枚の規格値の海苔の形状とすることができる。その結果、多数の海苔を同時に連続して成型することが可能となる。
第1及び第2の成型カッタ30,31は、海苔原料29を任意の位置で急速に切断する、急速切断機能を有していることが好ましい。ここでは、第1及び第2の成型カッタ30,31として、超音波カッタが用いられている。
【符号の説明】
【0080】
1 海苔抄き装置
2 抄きローラ
3,27 抄き・成型駆動ローラ
6 搬送用ベルト
9,29 海苔原料
12,28 成型ローラ
20 振動搬送シュータ
20a 支軸
21 次工程のスノコベルト
22 清掃スプレー
23 成型カッタ
24 振動防止ローラ
25,26 スノコベルトローラ
30 第1の成型カッタ
31 第2の成型カッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6