(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水酸基を含有する多官能(メタ)アクリル化合物(C1)が、(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーまたはそのオリゴマーである請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、以下の(A)〜(D)成分を含むことを特徴とする。
【0011】
(A)アリル基末端アリルエステルオリゴマー
本発明の硬化性組成物における主成分であり、硬化物の耐熱性の発現に寄与するアリル基末端アリルエステルオリゴマー(A)は、一般式(1)
【化3】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、A
1はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表す。)
で示される基を末端基として有し、かつ一般式(2)
【化4】
(式中、A
2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基を表し、Xは多価アルコールから誘導される1種以上の有機残基を表す。ただし、Xはエステル結合によって上記一般式(1)で示される基を末端基とし、上記一般式(2)で示される構造を構成単位とする分岐構造を形成することができる。)で示される構造を構成単位として有するアリルエステルオリゴマーを含む。
【0012】
上記アリルエステルオリゴマーにおいて、前記一般式(1)で示される末端基の数は少なくとも2個以上であるが、前記一般式(2)のXが分岐構造を有する場合には3個以上となる。この場合、各末端基のRも複数個存在することになるが、これらの各Rは同じでなくてもよく、ある末端はRが水素原子であるアリル基、他の末端はRがメチル基であるメタリル基という構造であっても構わない。また、全ての末端がアリル基またはメタリル基である必要はなく、硬化性を損なわない範囲で、その一部はメチル基またはエチル基等の非重合性基であってもよい。A
1で示される構造についても同様に、各末端基で異なっていてもよい。例えば、ある末端のA
1はベンゼン環、他方はシクロヘキサン環という構造であってもよい。
【0013】
一般式(1)及び(2)におけるA
1及びA
2はジカルボン酸に由来する脂環式構造及び/または芳香環構造を有する1種以上の有機残基である。ジカルボン酸に由来する部分はA
1に隣接するカルボニル構造で示されている。したがって、A
1及びA
2の部分はベンゼン骨格やシクロヘキサン骨格を示す。
【0014】
一般式(2)で示される構造単位は、アリルエステルオリゴマー中に少なくとも1つは必要であるが、この構造が繰り返されることによりアリルエステルオリゴマー全体の分子量がある程度大きくなった方が適切な粘度が得られるので作業性が向上し、硬化物の靭性も向上するので好ましい。しかし、分子量が大きくなりすぎると硬化物の架橋点間分子量が大きくなるため、ガラス転移温度(Tg)が低下し、耐熱性が低下するおそれもある。用途に応じて適切な分子量に調整することが大切である。アリルエステルオリゴマー(A)のGPC測定による数平均分子量は500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がさらに好ましい。
【0015】
A
1及びA
2構造を誘導するジカルボン酸としては特に制限はないが、原料の入手しやすさの点からは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、p−カルボキシフェニル酢酸、メチルテレフタル酸、テトラクロルフタル酸が好ましく、耐熱性を考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、ビシクロデカンジカルボン酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸が好ましい。また、分子内に芳香環を有さないジカルボン酸を用いることが耐光性の点で好ましく、高い透明性が求められる用途には1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0016】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、A
1構造を誘導するジカルボン酸に加え、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水エンディック酸、無水クロレンド酸等の環状構造を有さないジカルボン酸を併用してもよい。
【0017】
一般式(2)中のXは、多価アルコールから誘導される1種以上の有機残基を表す。多価アルコールとは2個以上の水酸基を有する化合物であり、X自体は、多価アルコールの水酸基以外の骨格部分を示す。多価アルコール中の水酸基は少なくとも2個が存在していればよいため、原料となる多価アルコールが3価以上、すなわち、水酸基が3個以上のときは、未反応の水酸基が存在していてもよい。多価アルコールの炭素数は2〜20であり、水酸基を2〜6個有するものが好ましい。
【0018】
炭素数2〜20の多価アルコールとしては、2価のアルコールの具体例としてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Aのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールA、2,2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン等を挙げることができる。
【0019】
また、3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールの2種以上の混合物であってもよい。
【0020】
アリルエステルオリゴマー中の一般式(2)で示される構造単位としては、同一の構造単位が繰り返されていても、異なる構造単位が含まれていてもよい。つまり、アリルエステルオリゴマーは共重合タイプであってもよい。この場合、1つのアリルエステルオリゴマーには数種類のXが存在することになる。例えば、Xの1つがプロピレングリコール由来の残基、もう1つのXがトリメチロールプロパン由来の残基であるという構造でもよい。この場合、アリルエステルオリゴマーはトリメチロールプロパン残基の部分で枝分かれすることになる。A
2も同様にいくつかの種類が存在してもよい。以下にRが水素原子、A
1及びA
2がイソフタル酸由来の残基、Xがプロピレングリコールとトリメチロールプロパンの場合の構造式を示す。
【化5】
【0021】
[アリルエステルオリゴマーの製造方法]
本発明に用いられるアリルエステルオリゴマーは、ジカルボン酸のアリルエステルモノマーと2個以上の水酸基を有する多価アルコールとのエステル交換反応により製造することができる。ジカルボン酸のアリルエステルモノマーはジカルボン酸と(メタ)アリルアルコールのエステルである。具体的には、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、ジフェニル−m,m’−ジカルボン酸ジアリル、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸ジアリル、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸ジアリル、p−フェニレンジ酢酸ジアリル、p−カルボキシフェニル酢酸ジアリル、メチルテレフタル酸ジアリル、テトラクロルフタル酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ノルボルナンジカルボン酸ジアリル、ビシクロデカンジカルボン酸ジアリル、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸ジアリル、メチルテトラヒドロフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。これらアリルエステルモノマーは、必要に応じて2種以上併用することもできる。
【0022】
多価アルコールとしては前述のX構造を誘導する多価アルコールを使用する。末端に(メタ)アリルエステル基を有するアリルエステルオリゴマーを得るためには、これらの使用比率として、ジカルボン酸のカルボキシル基よりも、多価アルコールのヒドロキシル基を少なく用いる必要がある。
【0023】
本発明に用いるアリルエステルオリゴマー製造用のエステル交換反応触媒としては、従来知られているエステル交換反応の触媒を使用できるが、特に好ましいのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、弱酸塩、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ジルコニウム(Zr)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、コバルト(Co)及び錫(Sn)の酸化物、水酸化物、無機酸塩、アルコラート、有機酸塩、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジクロライド等の有機錫化合物等を挙げることができる。中でも、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドが好ましい。
【0024】
使用量は、触媒の活性によって異なるが、適度な速度でアリルアルコールを留出させ得るような量を使用すべきである。一般的には、多価カルボン酸のアリルエステルモノマーに対して0.0001〜1質量%、特に0.001〜0.5質量%程度を使用することが好ましい。
【0025】
この製造工程における反応温度は、特に制限はないが、好ましくは120〜230℃の範囲、より好ましくは140〜200℃の範囲である。反応の実施の形態としては、反応の進行を促進させるため、減圧下で行うか、適当な溶媒を使用して副生するアリルアルコールを反応系外に除去しながら行う必要がある。アリルエステルオリゴマーの具体的な製造方法は、例えば特公平6−74239号公報に記載されている。
【0026】
(B)架橋助剤
本発明の硬化性組成物は、アリル基を含有する架橋助剤(B)を含む。アリル基を含有する架橋助剤(B)は分子内にアリル基を3個以上有する化合物であり、具体例としては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、及びこれら化合物やジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートなどが縮重合したポリアリル化合物が挙げられる。これらの中では、特にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)及びトリアリルシアヌレート(TAC)が架橋特性、耐久性の点から好適である。
【0027】
架橋助剤中には、アリル基が1つまたは2つのみの化合物が不純物として含まれている場合がある。例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)中に含有する不純物としては、分子内にアリル基を2つ有するジアリルイソシアヌレートや分子内にアリル基を1つ有するアリルイソシアヌレート、その他分子内にアリル基を含まないイソシアヌレート化合物等が挙げられる。
本発明者らは、架橋助剤の純度が組成物を硬化して得られる透明性耐熱材料の耐熱変色性に影響することを確認した。すなわち、硬化性組成物中に存在する前記不純物成分の含有量が0.1質量%未満であることが好適である。不純物成分の含有量が0.1質量%以上であると、光及び/または熱を加えて硬化させてなる透明性耐熱材料の耐熱変色性が悪化する。
【0028】
成分(B)の架橋助剤は、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらの架橋助剤の使用量には特に制限はないが、アリル基末端アリルエステルオリゴマー(A)100質量部に対して、0.5〜100質量部であり、1質量部〜50質量部であることが好ましい。使用量が0.5質量部未満であると、架橋度が低下し、表面硬度や耐熱性が不十分となる。また、100質量部よりも多くなると、架橋度が高すぎて、柔軟性や屈曲性が低下する場合がある。
【0029】
(C)多官能(メタ)アクリル化合物
本発明の硬化性組成物は、硬化物の高い表面硬度の発現に寄与する成分である多官能(メタ)アクリル化合物(C)を含む。本明細書において多官能(メタ)アクリル化合物(C)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ以上有する有機化合物を意味する。
【0030】
本明細書において、(メタ)アクリル化合物は、メタクリル化合物またはアクリル化合物を意味し、同様に(メタ)アクリレートは、メタクリレートまたはアクリレートを、(メタ)アクリロイルオキシ基はメタアクリロイルオキシ基またはアクリロイルオキシ基を意味する。
【0031】
多官能(メタ)アクリル化合物(C)としては、寸法安定性の点で3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、炭素数が10〜30の(メタ)アクリレートモノマーまたはそのオリゴマーが好ましく、透明性の点で分子内に芳香環を有さない脂肪族あるいは脂環骨格を有する化合物が好ましい。
【0032】
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。より好ましい具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0033】
本発明の硬化性組成物においては、前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)は、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C1)を含む。
分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C1)としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
これらの多官能(メタ)アクリル化合物は、単独で用いてもまたは2種以上混合して用いてもよいが、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C1)を硬化性組成物中に0.5〜30質量%含有することが好ましく、1〜25質量%含有することがより好ましい。含有量が0.5質量%未満であると耐熱変色性への効果が低く、30質量%よりも多くなると吸水率が高くなる。
【0035】
なお、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジメチレンジ(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF−エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF−エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物と(メタ)アクリル酸とをエステル化することにより得られるポリエステルジ(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより得られるウレタンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリル化合物を、反応性希釈剤を兼ねて併用することができる。
【0036】
成分(C)の多官能(メタ)アクリル化合物の使用量は、アリル基末端アリルエステルオリゴマー(A)100質量部に対して5〜50質量部である。使用量が5質量部未満であると表面硬度や耐熱性が不十分となり、50質量部よりも多くなると柔軟性や屈曲性が低下する。
【0037】
(D)重合開始剤
本発明の硬化性組成物は、硬化物を得るための重合開始剤(D)
を含む。重合開始剤としては光重合開始剤(D1)、熱重合開始剤(D2)を用いることができる。光重合開始剤(D1)と熱重合開始剤(D2)はいずれか単独で使用することもできるし、両者を併用することもできる。
【0038】
光重合開始剤(D1)としては、公知の紫外線照射によって、容易に開裂して2個のラジカルができる光開裂型及び/または水素引き抜き型の公知の開始剤を用いることができる。また、これらを混合して使用することもできる。これらの開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類、チオキサン
トン、2−クロ
ロチオキサン
トン、2−メチルチオキサン
トン、2,4−ジメチルチオキサン
トン等のチオキサン
トン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン等のアルキルアントラキノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノケトン類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類、9,10−フェナンスレンキノン等を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0039】
光重合開始剤の配合量は、アリル基末端アリルエステルオリゴマー(A)を100質量部に対して0.1〜10質量部である。配合量が0.1質量部未満では光硬化性が不十分となり、10質量部を超えると耐溶剤性や柔軟性が低下するため好ましくない。
【0040】
また、光重合開始剤を使用し、紫外線で重合硬化させる場合には、重合速度を向上させるために必要に応じて光増感剤を併用することができる。そのような目的で使用する増感剤としては、ピレン、ペリレン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、フェノチアジン等が挙げられる。増感剤を併用する場合の使用量は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲が好ましい。
【0041】
熱重合開始剤(D2)は、公知の有機過酸化物やアゾ化合物を使用することができる。有機過酸化物としては、例えばジアシルパーオキサイド系[ジベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等]、ジアルキルパーオキサイド系[ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等];パーオキシエステル系[t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等];ケトンパーオキサイド系[メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等];パーオキシジカーボネート系[ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等];パーオキシモノカーボネート系[t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等];パーオキシケタール系[1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン等];及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、パーオキシエステル系有機過酸化物が好適である。
【0042】
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系化合物等が挙げられる。
【0043】
これらの熱重合開始剤は単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。熱重合開始剤の配合量は、アリル基末端アリルエステルオリゴマー(A)を100質量部に対して0.1〜10質量部である。配合量が0.1質量部未満では熱硬化性が不十分となる場合がある。一方、10質量部を超えると耐溶剤性や柔軟性が低下するため好ましくない。
【0044】
[反応性モノマー]
本発明の硬化性組成物には、硬化反応速度のコントロール、粘度調整(作業性の改善)、架橋密度の向上、機能付加等を目的として、反応性モノマー(反応性希釈剤)を加えることもできる。反応性モノマーとしては特に制限はなく、種々のものが使用できるが、アリルエステルオリゴマーと反応させるためにはビニル基、アリル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。例えば、不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。中でも、架橋性多官能性モノマーを使用すれば、硬化物の架橋密度を制御することもできる。これら反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示す。
【0045】
不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート; フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート及びビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル; フルオロメチル(メタ)アクリレート及びクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート; さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びα−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0046】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン及びビニルトルエン等を挙げることができる。
【0047】
飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び安息香酸ビニル等を挙げることができる。
【0048】
架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン等のジ(メタ)アクリレート;
フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタリル、テレフタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル及びジビニルベンゼン等の2官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート及びジアリルクロレンデート等の3官能の架橋性モノマー;さらにペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の架橋性モノマー等が挙げられる。
【0049】
また、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジメチレンジアクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジンクジアクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキシド変性ジアクリレート、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジアクリレート、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールF−エチレンオキシド変性ジアクリレート、水添ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルジアクリレート、水添ビスフェノールF−エチレンオキシド変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート等のエポキシアクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することにより得られるポリエステルジアクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることにより得られるウレタンジアクリレート等の2官能(メタ)アクリル化合物を、反応性希釈剤を兼ねて併用することができる。
【0050】
上記の反応性モノマーは、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらの反応性モノマーの使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー(A)100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、粘度低下等の効果を発現するには不十分である。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の優れた透明性が発現されなかったり、アリルエステル樹脂由来の機械強度が低下したりする場合がある。なお、反応性モノマーとして多官能性モノマーを使用する場合架橋密度が低くなり耐熱性が不十分になることがあるので、要求される耐熱性のレベルに応じて種類、使用量を調整することが好ましい。
【0051】
[ラジカル反応性の樹脂成分]
本発明において用いられる硬化性組成物は、諸物性を改良する目的でラジカル反応性の樹脂成分を含んでいてもよい。ラジカル反応性の樹脂成分としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
【0052】
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(及び必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、必要に応じてスチレン等の重合性不飽和化合物に溶解したもので、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第16頁〜第18頁及び第29頁〜第37頁などに記載されている樹脂を挙げることができる。この不飽和ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。
【0053】
ビニルエステル樹脂はエポキシ(メタ)アクリレートとも呼ばれ、一般にエポキシ樹脂に代表されるエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸などの重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂、またはカルボキシル基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物のエポキシ基との開環反応により生成する重合性不飽和基を有する樹脂を指す。詳しくは「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社,1988年発行,第336頁〜第357頁などに記載されており、その製造は、公知の方法により行うことができる。
【0054】
ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0055】
上記のラジカル反応性の樹脂成分は、1種単独で、または2種以上混合または組み合わせて用いることができる。これらのラジカル反応性の樹脂成分の使用量には特に制限はないが、アリルエステルオリゴマー(A)100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、5〜100質量部であることが特に好ましい。反応性モノマーの使用量が1質量部未満であると、ラジカル反応性の樹脂成分由来の機械強度向上などの効果が小さく、作業性や成形性が悪化することがある。また、使用量が1000質量部を超えるとアリルエステル樹脂自体の耐熱性が現れない場合がある。
【0056】
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、硬度、強度、成形性、耐久性、耐水性を改良する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、着色剤、難燃剤、無機充填材、有機充填材、重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の公知慣用の各種添加剤を使用することができる。特に、光線透過率を阻害しないものが好ましい。
【0057】
紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、4−t−ブチルフェニルサリシラート等のサリシラート類が挙げられる。
【0058】
紫外線吸収剤の配合量は、他の配合物の種類、量等により変わるが、一般的には、本発明の硬化性組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して0.01〜2質量部が好ましく、0.03〜1.7質量部がより好ましく、0.05〜1.4質量部が最も好ましい。紫外線吸収剤が0.01質量部未満では十分な効果が期待できず、2質量部を超えると経済的に好ましくない。
【0059】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]メタン等のフェノール系、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオナート等の硫黄系、トリスノニルフェニルホスファイト等のリン系の酸化防止剤、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン類等が挙げられる。
酸化防止剤の配合量は、他の配合物の種類、量等により変わるが、一般的には、本発明の硬化性組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜4質量部がより好ましく、1〜3質量部が最も好ましい。酸化防止剤が0.01質量部未満では十分な効果が期待できず、5質量部を超えると経済的に好ましくない。
【0060】
離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、フッ素系化合物類、シリコン化合物類等が挙げられる。離型剤の配合量は、他の配合物の種類、量等により変わるが、一般的には、本発明の硬化性組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、0.03〜1.7質量部がより好ましく、0.05〜1.4質量部が最も好ましい。離型剤が0.01質量部未満では十分な効果が期待できず、2質量部を超えると経済的に好ましくない。
【0061】
滑剤としては、特に制限はなく、一般に使用されているものを用いることができる。中でも、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪族炭化水素系滑剤等が好ましく、金属石鹸系滑剤が特に好ましい。金属石鹸系滑剤としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらは複合体として用いてもよい。
【0062】
着色剤としては、アントラキノン系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミン系、インジゴイド系、フタロシアニン系等の有機顔料、アゾイック染料、硫化染料等の有機染料、チタンイエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルトグリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。その配合量は特に限定されない。
【0063】
難燃剤としては、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アクリロイル基を有する臭素化エポキシ化合物、アクリロイル基を有する酸変性臭素化エポキシ化合物等のような臭素含有化合物、赤リン、酸化スズ、アンチモン系化合物、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤、リン酸アンモニウム化合物、ホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含窒素リン化合物、ホスファゼン化合物等のリン系化合物等が挙げられる。
【0064】
難燃剤の配合量としては、他の配合物の種類、量等により変わるが、一般的には、光学材料用組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して10〜50質量部が好ましい。難燃剤が10質量部未満では十分な難燃効果が期待できず、50質量部を超えると透明性が低下し好ましくない。
【0065】
無機充填材としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、結晶性シリカ、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、ガラス球、ガラス繊維、炭素繊維等を例示できる。また、有機充填材の具体例としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、弗素樹脂等を例示できる。これらの無機充填材や有機充填材は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、本発明の主旨を損ねない範囲、すなわち本発明の硬化性組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して1〜50質量部添加することができる。
【0066】
さらに、必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、シリカ、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、アクリル系、高分子系等の消泡剤及び/またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系
のシランカップリング剤等の密着性付与剤のような添加剤類を、本発明の主旨を損ねない範囲で添加することができる。
【0067】
これらの添加剤は上述した具体例に制限されるものではなく、本発明の目的、または効果を阻害しない範囲であらゆるものを添加することができる。
【0068】
本発明の硬化性組成物を硬化する方法において、粘度を低下させる必要があれば、溶剤を使用してもよい。粘度調整に使用することのできる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。ただし、後で溶媒の除去が必要となるので、粘度は反応性粘度調整剤としても使用できる成分(C)(多官能(メタ)アクリル化合物)で調整することが好ましい。
【0069】
本発明の硬化性組成物を光及び/または熱を加えて硬化させることによって、透明性、耐熱性に優れたフィルムあるいはシート、及び成形体材料を得ることが出来る。
ここで、フィルムは、通常、膜厚が250μm未満のものを指し、シートは厚みが250μm以上のものを指す。
本発明の硬化性組成物から光学用樹脂フィルム及びシートを作製するにあたっては、一定の表面硬度が得られれば、どのような硬化方法を選択してもよい。一定以上の表面硬度を得るには、硬化性組成物をフィルム形状に塗工した後、光硬化及び熱硬化手法、もしくは熱硬化手法のみをとるのが好ましい。
【0070】
硬化性組成物を硬化させる際の条件等には特に制限はないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなどの透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上に塗工し流延させた後、光硬化及び熱硬化、もしくは熱硬化を実施するのが好適である。
【0071】
光硬化の場合、紫外線照射法が一般的であり、例えば紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ、LEDランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。照射条件はそれぞれのラン
プによって異なるが、照射露光量が20〜5000mJ/cm
2程度が好ましい。また、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付け、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するのが好ましい。また、硬化促進のために、予め30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
【0072】
熱硬化の場合、加熱方法は特に限定されないが、熱風オーブン、遠赤外線オーブン等の均一性に優れた加熱方法がよい。硬化温度は約100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。硬化時間は、硬化方法により異なるが、熱風オーブンであれば0.5〜5時間、遠赤外線オーブンであれば0.5〜60分間が好ましい。
【0073】
また、光重合開始剤を用いた紫外線硬化や、有機過酸化物やアゾ化合物を用いた熱硬化は、ラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受けやすい。硬化反応時の酸素阻害を防止するため、硬化性組成物は、透明プラスチックフィルム、金属シート、もしくはガラス板上へ塗工、流延後、光硬化を実施する前に、硬化性組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された硬化性組成物表面の酸素濃度を1%以下にすることが好ましい。透明カバーフィルムは、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さいもので、かつ紫外線硬化や熱硬化時に発生する熱に耐えられるものを使用する必要がある。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、アセテート樹脂、アクリル樹脂、
ポリフッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー(ノルボルネン樹脂)等のフィルムであり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。ただし、硬化後の硬化物との剥離が可能でなければならないため、これらの透明カバーフィルムの表面にシリコーン樹脂塗布、フッ素樹脂塗布等の易剥離処理が施されていてもよい。
【0074】
本発明の硬化性組成物は液状であることから、公知の塗布装置を用いて所定の形状や形態となるように塗布、塗工等を行うことができる。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、スピナーコート等が挙げられる。また、注型成形法、光造形法等の公知の成形方法を用いることにより、光学レンズ、導光板
、窓材、半田飛散防止治具等に成形することができる。なお、塗布、塗工、成形時の硬化性組成物の好ましい粘度範囲としては常温で100〜100,000mPa・sの範囲である。
【0075】
本発明の硬化性組成物を光及び/または熱を加えて硬化させることによって得られるフィルムあるいはシート、及び成形体には、機能性を付与するため、ハードコート、防汚染コート、反射防止コート、導電性膜、ガスバリアコートなどの表面加工(二次加工)をすることができる。また、該フィルム、シート及び成形体は、用途に応じて、光学用粘接着剤、UV接着剤、光学透明両面テープなどを用いて、他の部材と積層することも可能である。ここでいう他の部材とは、ガラスやPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PMMA(アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、シクロオレフィンポリマー等の透明フィルム、シートであり、これらの1種の単層品、または2種以上の異なる材料の積層体であっても構わない。
【実施例】
【0076】
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載により限定されるものではない。
【0077】
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた硬化フィルムの諸物性及び用いた材料の特性は以下の方法により評価した。
【0078】
[鉛筆硬度]
JIS K5600−5−4に基づいて、円柱状に削った鉛筆芯を45度の角度に傾け、上から750gの荷重をかけ、被測定物の表面を5mm程度引っかいて傷の有無を確認し、鉛筆硬度を表面硬度の指標として求めた。
【0079】
[線膨張係数の測定]
線膨張係数は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA/SS6100を使用し、引張モードで測定を行った。フィルム状試験片は、厚さ200μm×4mm×40mm(チャック間距離20mm)、張力:30mNとし、窒素を100mL/minの雰囲気下で昇温速度5℃/minで200℃まで温度を上げ、50〜150℃までの平均熱膨張係数(単位:ppm/K)を求めた。
【0080】
[全光線透過率]
厚さ0.1mmのフィルムについて、JIS K7361−1に従い、日本電色工業(株)製のNDH−2000を使用して、全光線透過率を光学特性の指標として求めた。本明細書において「高透明」とは全光線透過率が85%以上であることを意味する。
【0081】
[耐熱変色性]
硬化フィルムを、熱風循環式乾燥機を使用し220℃下2時間加熱処理し、その処理前後でのYI値変化量を算出した。YI値の測定は、ASTM E313に従い、日本電色工業(株)製の分光色彩計SD6000を使用して測定した。
ΔYI=(加熱劣化後のフィルムのYI値)−(加熱劣化前のフィルムのYI値)
【0082】
[架橋助剤純度]
架橋助剤純度(架橋助剤由来の不純物含有量)は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)測定により算出した。測定条件は以下のとおりである。
装置:HP6890(ヒューレット・パッカード社(Hewlett-Packard Company)製)、
カラム:DB−1MS(Agilent J&W)、長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm、
GC条件:キャリアガス He、カラム温度 60℃→320℃、注入口温度 300℃。
【0083】
[アリルエステルオリゴマーの数平均分子量]
以下の条件で測定した。
使用機種:昭和電工(株)製GPCシステムSIC−480II、
カラム :昭和電工(株)製GPC用カラムK−801、K−802、K−802.5、
検出器 :昭和電工(株)製RI−201H、
溶離液 :クロロホルム、
測定方法:クロロホルムに溶解した試料を、40℃に制御されたカラムへ100μL導入し、ポリスチレン換算の数
平均分子量を測定した。
【0084】
「アリルエステルオリゴマー(AEO)の合成」
蒸留装置の付いた2リットルの三つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル1625g、トリメチロールプロパン167g、ジブチル錫オキサイド0.813gを仕込み、窒素気流下、180℃で生成してくるアルコールを留去しながら加熱した。留去したアルコールが約170gになったところで反応系内を徐々に、約4時間かけて6.6kPaまで減圧し、アルコールの留出速度を速めた。留出液が殆ど出なくなったところで、反応系を0.5kPaに減圧し、さらに1時間反応させた後、反応物を冷却した。以下、これにより得られた反応物を「アリルエステルオリゴマー(AEO)」とする。GPCで測定した反応物の数平均分子量は2100であった。
【化6】
【0085】
実施例1:
合成例で製造したアリル基末端アリルエステルオリゴマー(AEO)100質量部に対して、アリル基を含有する架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC、商品名
:TAICROS(登録商標)、エボニッ
クジャパン株式会社製)33質量部、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物としてペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA、商品名;アロニックス(登録商標)M−306、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有率67質量%)33質量部、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO、商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン株式会社製)0.8質量部、熱重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(t-Hexyl peroxy isopropyl monocarbonate)(PH−I、商品名:パーヘキシル(登録商標)I、日油株式会社製)1.6質量部を均一となるまで混合し、アリルエステル樹脂組成物を調製した。本配合で用いた架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート[分子量:249、C
12H
15N
3O
3](TAIC)のGC−MS測定をしたが不純物は検出できず、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物の含有量は、13.4質量%であった。この硬化性組成物を0.1mm厚のPETフィルム上に流延し、さらに0.1mm厚のPETフィルムでラミネートした。この積層フィルムを、メタルハライドランプを有するUV照射機にて、ピーク照度300mW/cm
2、照射量800mJ/cm
2の条件でUVを照射し、UV硬化積層フィルムを作製した。さらに、空気雰囲気下のオーブン中、160℃で1時間熱硬化した後、室温まで冷却した。CO
2レーザー加工装置(装置名:VD7050、株式会社コマックス製)で積層フィルムの両端部をスリット加工し、積層フィルムの両面からPETフィルムを剥離することにより、硬化性組成物を硬化処理した厚さ約0.2mmの硬化フィルムを得た。
【0086】
実施例2:
分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物としてペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有率67質量%、商品名;アロニックスM−306、東亜合成株式会社製)の配合量を16質量部にし、代わりにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA,商品名
:アロニックスM−309、東亜合成株式会社製、トリメチロールプロパンジアクリレート含有率1質量%未満)16質量部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合における架橋助剤由来の不純物含有量は検出できず、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物含有量は6.7質量%であった。
【0087】
実施例3:
アリル基を含有する架橋助剤としてトリアリルシアヌレート(
商品名:TAC、化薬アクゾ株式会社製)33質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合で用いた架橋助剤であるトリアリルシアヌレート[分子量:249、C
12H
15N
3O
3](TAC)のGC−MS測定をしたところ不純物含有量は0.2質量%であったことから組成物中の不純物含有量は0.05質量%であり、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物含有量は13.4質量%であった。
【0088】
実施例4:
光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO、商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン株式会社製)0.4質量部を用い、熱重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(PH−I、商品名:パーヘキシルI、日油株式会社製)3.3質量部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合で用いた架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート[分子量:249、C
12H
15N
3O
3](TAIC)のGC−MS測定をしたが不純物は検出できず、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物の含有量は13.4質量%であった。
【0089】
比較例1:
アリル基を含有する架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(
商品名:TAIC、日本化成株式会社製)を代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合で用いた架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート[分子量:249、C
12H
15N
3O
3](TA
IC)のGC−MS測定をしたところ不純物含有量は0.5質量%であったことから組成物中の不純物含有量は0.1質量%であり、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物含有量は13.4質量%であった。なお、用いたトリアリルイソシアヌレート(TAIC)のGC−MS測定をしたところ不純物中にジアリルイソシアヌレート[分子量:
209、
C9H11N3O3]を含んでいた。
【0090】
比較例2:
アリル基を含有する架橋助剤として比較例1で用いたトリアリルイソシアヌレート(
商品名:TAIC、日本化成株式会社製)を代わりに用いた以外は、実施例2と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合で用いた架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート[分子量:249、C
12H
15N
3O
3](TAIC)のGC−MS測定をしたところ不純物含有量は0.5質量%であったことから組成物中の不純物含有量は0.1質量%であり、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物含有量は6.7質量%であった。
【0091】
比較例3:
分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物であるPETAの代わりにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA,商品名
:アロニックスM−309、東亜合成株式会社製、トリメチロールプロパンジアクリレート含有率1質量%未満)を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合における架橋助剤由来の不純物含有量は検出限界以下、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物含有量は1質量%未満であった。
【0092】
比較例4:
アリル基を含有する架橋助剤を用いず、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA,商品名
:アロニックスM−309、東亜合成株式会社製、トリメチロールプロパンジアクリレート含有率1質量%未満)を25質量部とした以外は、比較例3と同様にして硬化フィルムを作製し、その特性を評価した。本配合における架橋助剤由来の不純物含有量は0質量%、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物含有量は1質量%未満であった。
【0093】
上記実施例1〜4及び比較例1〜4で用いた硬化性組成物の組成及びそれらの硬化フィルムの評価結果を表1にまとめて示した。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例1〜4と比較例1〜4の比較から、アリル基を含有する架橋助剤、及び分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリル化合物を配合することにより、全光線透過率を低下させることなく、表面硬度が向上、線膨張係数が低減し、かつ耐熱変色性が改善されたことがわかる。また、実施例1及び比較例1、実施例2及び比較例2の比較から、架橋助剤由来の不純物含有量の耐熱変色性への影響が大きいことがわかる。